説明

局所的血流増大の有益な効果

【課題】組織における局所的血流を増大させるためのシステムおよび方法を提供すること。
【解決手段】被験体の外科手術部位に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;を包含する、方法。不利な生物物理学的環境中に一酸化窒素ドナーを含むクリームを含む、物品。末梢動脈疾患を有する被験体に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;を包含する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of Transdermal L−Arginine and Adjuncts to Cause Beneficial Effects by Increasing Local Blood Flow」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,563号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of a Transdermal L−Arginine Preparation and Adjuncts to Improve Outcome in Transplant and Plastic Surgery」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,551号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「A Transdermal Preparation of L−Arginine to Improve Flow in Peripheral Artery Disease and Prevent Claudication」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,557号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of L−Arginine Preparation to Regress Neuropathy and Heal and Prevent Ulvers」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,556号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of A Transdermal L−Arginine and Adjuncts to Improve Bone Healing」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,553号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of a Transdermal Preparation of L−Arginine and Adjuncts to Effect Wound Healing」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,554号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of a Transdermal Preparation of L−Arginine and Adjuncts to Facilitate Healing of Infection」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,555号;および2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of Arginine and Arginine Delivatives and Adjuncts to Improve Grafting of Real and Artificial Skin」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,565号;の恩恵を主張する。
【0002】
本願はまた、2004年4月19日に出願された発明の名称が「Flow Assisted Topical Transdermal Methods of Drug Delivery」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,558号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of Pharmaceutical Agents Effected by a Hostile Biophysical Environment」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,559号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Drug Delivery by Means of a High Ionic Strength Environment」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,560号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Use of a Silicon Based Matrix for Transdermal Delivery of L−Arginine and Adjuncts to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,561号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Preparation of Ibuprofen to Reduce Pain and Inflammation」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,562号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「An Augmented Flow Assisted Preparation to Increase Muscle Size and Performance」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,572号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「A Flow Assisted Preparation to Increase Muscle Size and Performance」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,564号;2004年4月19日に各々出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of L−Arginine for the Purpose of Enhancing the Appearance of the Female Breast」であるE.T.Fosselによる米国特許出願番号第第60/563,566号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「A Transdermal Augmented L−Arginine Preparation for Treatment of Headache」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,567号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Flow Assisted Topical Transdermal Methods of Drug Delivery of Drugs with Systemic Toxicity」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,552号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of Systematically Toxic Pharmaceutical Agents Effected by a Hostile Biophysical Environment」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,569号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Preparations to Improve Muscle Function and Size」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,570号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Flow Assisted Localized Delievery of Chemotherapeutic Agents」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,571号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Flow Assisted Transdermal Preparations of Ephedra and Ephedra Components to Avoid Adverse Effects」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,573号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Augmented Flow Assisted Transdermal Delivery of Anabolic Sterodis」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,574号;2004年4月19日に出願された発明の名称が「Flow Assisted Transdermal Delivery of Anabolic Steroids」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,575号;および2004年4月19日に出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of Ephedra and Ephedra Components by Use of A Hostile Biophysical Environment」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/563,576号の恩恵も主張する。
【0003】
上記の出願各々は、本明細書において参考として援用される。
【0004】
(発明の分野)
本発明は、一般的には、組織の健康の改善に関する。
【背景技術】
【0005】
(背景)
四肢における乏しい循環は、糖尿病などを有するヒトにおける主要な問題である。この問題を処置するために利用可能な手段は何も存在しない。症状は、特殊な靴下および靴ならびに保湿クリームの使用を介して管理される。さらに、形成手術および移植手術の後の有効な治癒および機能は、しばしば、最適には及ばない。治癒は、しばしば、時間がかかり過ぎる。有効な治癒および機能は、酸素供給および組織栄養供給の改善をもたらす血流増大によって、大いに増強される。
【0006】
薬物の局所的経皮送達は、望ましいが、現行の技術によって制限される。ほんの少数の薬学的実体しか、有効投与量で首尾よく経皮送達されていない。例えば、限定数の薬物(例えば、ステロイド、ニコチン、およびニトログリセリン(これらは、非荷電であり、水素結合を形成しない))が、受動拡散によって首尾よく送達された。この受動拡散は、フィックの第一拡散法則に従って因子を送達するために、皮膚の外側と内側との間の濃度勾配に依存した。単純な拡散を介して送達され得る薬剤の量もまた、限定される。例えば、一旦、角質層の内側の濃度がその外側と等しくなると、薬剤の流れは停止し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの例が示すように、必要とされるのは、組織における局所的血流を増大させるためのシステムおよび方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、一般的には、局所的血流を増大させることによる組織健康の改善に関する。本発明の主題は、ある場合には、相互関係する製品、特定の課題に対する代替的解決法、ならびに/または1つ以上のシステムおよび/もしくは方法の複数の種々の使用を含む。
【0009】
ある場合には、全身ではなく局所部位において機能する種々の有益な物質が、全身投与よりも有効に経皮投与され得る。上記有益な物質が皮膚に送達される場合、処置されるべき組織において、より高い用量が達成され得る。さらに、実質的に低い総身体用量が、ある場合においては達成され得る。これは、NSAID(非ステロイド抗炎症薬)を用いて指関節における疼痛を処置するという非限定的例を考慮した場合に、理解され得る。その疼痛が全身的に(例えば、経口投与によって)処置されるべき場合、身体全部(上記指関節を含む)に、上記NSAIDが投与される。NSAIDの濃度は、身体(上記指関節を含む)全体を通してほぼ同じである。一方、上記NSAIDを上記指関節に経皮的に適用した場合、身体の残りの部分には投与されない(または実質的に少ない程度しか投与されない)。従って、経皮NSAIDの総用量は、全身投与のために必要とされる投与量のほんの一部分に過ぎない。
【0010】
本発明の一局面は、被験体に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程を包含する、方法に関する。本発明の別の極面は、不利な生物物理学的環境中に一酸化窒素ドナーを含むクリームを含む、物品に関する。
【0011】
本発明は、ある局面においては、有益な効果を有する物質の局所的経皮送達の分野に関し、例えば、不利な生物物理学的環境によって影響を受ける、薬草、ビタミン、ミネラル、薬剤、薬物、ペプチド、食事サプリメント、または他の物質の経皮送達に関する。上記不利な生物物理学的環境は、ある実施形態においては、高イオン強度を含み得、送達は、特定の場合においては、送達部位における局所的血流を増大させるための種々の技術によって増強され得る。例えば、局所作用を有する物質は、局所的かつ経皮的に送達された場合に、全身毒性を回避し得る。
【0012】
ある実施形態において、経皮送達される有益な物質は、健康を改善し得、身体機能を改善し得、または種々の疾患状態を処置し得る。
【0013】
ある組の実施形態において、本発明は、頭痛処置の分野に関し、ある場合においては、有効な頭痛軽減を提供するためのアルギニンおよび/もしくはアルギニン誘導体または添加物の使用に関する。本発明はまた、別の組の実施形態においては、疼痛および/または炎症の軽減の分野に関し、ある場合においては、疼痛および/または炎症を軽減するためのイブプロフェンの経皮調製物に関する。特定の場合においては、上記イブプロフェンは、不利な生物物理学的環境の使用を介してビヒクルから組織へと送達される。
【0014】
本発明はまた、なお別の組の実施形態においては、例えば、一酸化窒素ドナー(例えば、L−アルギニン)を単独でかまたは添加物(例えば、テオフィリン)とともに送達することにより局所的血流を増大させることによって、筋肉改良剤の摂取を改善するためのシステムおよび方法に関する。本発明はまた、なお別の組の実施形態においては、アナボリックステロイド(例えば、許容不可能な全身毒性を示すステロイド)を投与するための局所的方法に関する。上記ステロイドはまた、増強された血流の使用を介して、筋肉の大きさおよび機能の改善を促進し得る。
【0015】
本発明は、ある組の実施形態においては、化学療法剤または抗ウイルス剤を投与して、例えば、治癒もしくは回復を促進するため、または局所的癌もしくはウイルス感染の再発を予防するための、局所的方法に関する。
【0016】
なお別の組の実施形態においては、本発明は、性機能増強の分野に関する。ある場合においては、アルギニンおよび/もしくはアルギニン誘導体と、添加物とが、生殖器の血流を増加させるために適用され得、この増加によって、性機能が増大され得る。
【0017】
一局面においては、本発明は、方法である。上記方法は、ある組の実施形態においては、被験体の皮膚の一部に対して、不利な生物物理学的環境中にある薬剤を含む送達ビヒクルを適用する工程を包含する。
【0018】
別の局面において、本発明は、送達ビヒクルを包含する。ある組の実施形態においては、上記送達ビヒクルは、一酸化窒素ドナー;および局所的医学的状態を処置するために有効な投与量の薬剤を含み、その投与量は、経口摂取される場合の上記薬剤の有効投与量よりも少ない。別の組の実施形態においては、上記送達ビヒクルは、一酸化窒素ドナー;および痙攣、疼痛、片頭痛、関節炎、腫脹、性機能障害、脱毛症(hair loss)、皮膚潰瘍、および片頭痛からなる群より選択される1種以上の医学的状態を処置することが可能な薬剤;を含む。
【0019】
特定の状態の予防または処置のための組成物を被験体(ヒトであっても、非ヒト動物であってもよい)に投与するための、いくつかの方法が、本明細書において開示される。本発明のそのような局面の各々において、本発明はまた、具体的には、その特定の状態の処置または予防における使用のための組成物、ならびにその特定の状態の処置または予防のための医薬の製造のための組成物の使用を包含することが、理解されるべきである。
【0020】
本発明は、別の局面においては、本明細書中に記載される実施形態のうちの1つ以上を作製するための方法に関する。なお別の局面においては、本発明は、本明細書中に記載される実施形態のうちの1つ以上を使用する方法に関する。なお別の局面においては、本発明は、本明細書中に記載される実施形態のうちの1つ以上を促進するための方法に関する。
【0021】
本発明の他の利点および新規な特徴は、以下にある本発明の種々の非限定的実施形態の詳細な説明から明らかになる。本明細書および参考として援用される文書が矛盾する開示および/または一致しない開示を含む場合には、本明細書が支配する。参考として援用される2つ以上の文書が互いに矛盾する開示および/または一致しない開示を含む場合には、遅い有効日を有する文書が支配する。
・本発明はさらに、以下を提供し得る:
・(項目1)
被験体の外科手術部位に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目2)
項目1に記載の方法であって、上記外科手術部位は、皮膚移植片を含む、方法。
・(項目3)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、少なくとも約1Mであるイオン強度を有する、方法。
・(項目4)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、尿素を含む、方法。
・(項目5)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、糖質を含む、方法。
・(項目6)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、少なくとも約9であるpHを有する、方法。
・(項目7)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、約5未満であるpHを有する、方法。
・(項目8)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、少なくとも約1000であるオクタノール−水分配係数を有する成分を含む、方法。
・(項目9)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、約10−3未満であるオクタノール−水分配係数を有する成分を含む、方法。
・(項目10)
項目1に記載の方法であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンを含む、方法。
・(項目11)
項目1に記載の方法であって、上記一酸化窒素ドナーは、約0.05重量%〜約25重量%である濃度を有する、方法。
・(項目12)
項目1に記載の方法であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンの誘導体を含む、方法。
・(項目13)
項目1に記載の方法であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンメチルエステルを含む、方法。
・(項目14)
項目1に記載の方法であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンブチルエステルを含む、方法。
・(項目15)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、約3〜約11であるpHを有する、方法。
・(項目16)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、塩化ナトリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムのうちの1種以上を含む、方法。
・(項目17)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、約0.25M〜約15Mであるイオン強度を有する、方法。
・(項目18)
項目1に記載の方法であって、上記不利な生物物理学的環境は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムのうちの1種以上を含む、方法。
・(項目19)
項目1に記載の方法であって、
上記外科手術部位近傍の組織に上記送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目20)
項目1に記載の方法であって、
皮膚に上記送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目21)
項目1に記載の方法であって、
脚部に上記送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目22)
項目1に記載の方法であって、
足部に上記送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目23)
項目1に記載の方法であって、上記送達ビヒクルは、水、鉱油、グリセリルステレアート、スクアレン、プロピレングリコールステアレート、麦芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、またはBHAのうちの1種以上をさらに含む、方法。
・(項目24)
不利な生物物理学的環境中に一酸化窒素ドナーを含むクリームを含む、物品。
・(項目25)
項目24に記載の物品であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンを含む、物品。
・(項目26)
項目24に記載の物品であって、上記一酸化窒素ドナーは、約0.05重量%〜約25重量%の濃度を有する、物品。
・(項目27)
項目24に記載の物品であって、上記一酸化窒素ドナーは、L−アルギニンの誘導体を含む、物品。
・(項目28)
項目24に記載の物品であって、上記不利な生物物理学的環境は、約3〜約11であるpHを有する、物品。
・(項目29)
項目24に記載の物品であって、上記不利な生物物理学的環境は、塩化ナトリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムのうちの1種以上を含む、物品。
・(項目30)
項目24に記載の物品であって、上記不利な生物物理学的環境は、約0.25M〜約15Mであるイオン強度を有する、物品。
・(項目31)
項目24に記載の物品であって、上記不利な生物物理学的環境は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化コリン、塩化マグネシウム、塩化カルシウムのうちの1種以上を含む、物品。
・(項目32)
項目24に記載の物品であって、上記クリームは、添加物をさらに含む、物品。
・(項目33)
項目32に記載の物品であって、上記添加物は、テオフィリンを含む、物品。
・(項目34)
項目32に記載の物品であって、上記添加物は、約0.05%(重量/体積)〜約25%(重量/体積)である濃度を有する、物品。
・(項目35)
項目24に記載の物品であって、上記クリームは、水、鉱油、グリセリルステレアート、スクアレン、プロピレングリコールステアレート、麦芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、またはBHAのうちの1種以上をさらに含む、物品。
・(項目36)
末梢動脈疾患を有する被験体に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目37)
被験体の感染部位に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目38)
跛行を有するかまたは跛行の危険がある被験体に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目39)
神経障害を有するかまたは神経障害の危険を有する被験体に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
・(項目40)
被験体の骨折した骨に対して、不利な生物物理学的環境中に含まれた一酸化窒素ドナーを含む送達ビヒクルを投与する工程;
を包含する、方法。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(詳細な説明)
本発明は、一般的には、局所的血流を増大させることによって組織の健康を改善することに関する。本発明のいくつかの局面においては、局所的血流の増大は、一酸化窒素ドナー前駆体であるL−アルギニンおよび/またはその誘導体を単独で経皮送達すること、または必要に応じて、テオフィリンなどの添加物と組合わせて経皮送達することによって、もたらされる。上記経皮送達は、特定の実施形態においては、不利な生物物理学的環境(例えば、高イオン強度環境によって生成される)によって、もたらされる。不十分な血流によって引き起こされる種々の病理学的状態または不十分な血流とともに生じる種々の病理学的状態が、本明細書中に記載されるような本発明のシステムおよび方法を使用して、処置され得る。他の実施形態において、本発明のシステムおよび方法を使用する血流増大は、例えば、その血液の構成成分の利用性の増大を介して、治癒の増大をもたらし得る。血流の増大から恩恵を受け得る状態の例としては、勃起機能障害、脱毛症(hair loss)、女性の性的不満、たるんだ顔面組織もしくはたるんだ身体組織、末梢脈管疾患(跛行を含む)、神経障害、皮膚潰瘍、骨治癒、創傷治癒、ウイルス感染および細菌感染、および皮膚移植が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0023】
以下の文書が、参考として本明細書中で援用される:2004年4月19日に各々出願された、E.T.Fosselによる米国特許出願番号第60/563,563号、同第60/563,558号、同第60/563,559号、同第60/563,560号、同第60/563,561号、同第60/563,562号、同第60/563,572号、同第60/563,564号、同第60/563,565号、同第60/563,566号、同第60/563,567号、同第60/563,553号、同第60/563,554号、同第60/563,555号、同第60/563,556号、同第60/563,557号、同第60/563,551号、同第60/563,552号、同第60/563,569号、同第60/563,570号、同第60/563,571号、同第60/563,573号、同第60/563,574号、同第60/563,575号、および同第60/563,576号;2004年2月23日に出願された発明の名称が「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第60/546,214号;1997年9月17日に出願され2002年4月11日に第2002/0041903号として公開された発明の名称が「Topical Delivery of Arginine of Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国仮特許出願第08/932,227号;2002年7月22日に出願され2003年2月6日に第2003/0028169号として公開された発明の名称が「Topical Delivery of L−Arginine to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国特許出願第10/201,635号;2002年8月5日に出願され2003年1月23日に第2003/0018076号として公開された発明の名称が「Topical and Oral Arginine to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国特許出願第10/213,286号;1998年9月17日に出願され1999年3月25日にWO99/13717として公開された発明の名称が「A Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる国際特許出願番号PCT/US98/19429;1999年8月20日に発行された発明の名称が「Topical Delivery of L−Arginine to Cause Tissue Warming」であるE.T.Fosselによる米国特許第5,895,658号;1999年7月13日に発行された発明の名称が「Topical Delivery of Arginine to Overcome Pain」であるE.T.Fosselによる米国特許第5,922,332号;2001年3月27日に発行された発明の名称が「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国特許第6,207,713号;2002年10月1日に発行された発明の名称が「Topical and Oral Delivery of Arginine to Cause Beneficial Effects」であるE.T.Fosselによる米国特許第6,548,841号;2005年2月23日に出願された発明の名称が「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」であるE.T.Fosselによる国際特許出願番号PCT/US2005/005726;ならびに本願と同日に出願された発明の名称が「Transdermal Delivery of Beneficial Substances Effected by a Hostile Biophysical Environment」であるE.T.Fosselによる国際特許出願。
【0024】
種々の実施形態の詳細な説明が、本明細書において提供される。しかし、本発明は種々の形態で実施され得ることが、理解されるべきである。従って、本明細書において開示される具体的な詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、特許請求の範囲の基礎として、そして適切に詳説された事実上すべてのシステム、構造、または様式で当業者が本発明を使用することを教示する例示的基礎として、解釈されるべきである。
【0025】
本発明は、一局面においては、局所的血流を増大させるための種々のシステムおよび技術を提供する。例えば、血流増大は、薬剤(例えば、薬物、生物学的化合物など)を導入して、医学的状態または疾患とそれに付随する症状とを処置することを補助するため(例えば、本明細書中に記載されるような、医学的状態または疾患を有すると診断される被験体を処置するために)使用され得る。そして/または血流増大は、罹患領域に対して有効レベルの薬物適用を提供すると同時に副作用を制限するために可能な、最小限の量の薬剤の送達を提供するために使用され得る。ある組の実施形態においては、一酸化窒素ドナー(例えば、L−アルギニンおよび/または塩酸L−アルギニン)が、有効濃度において、局所的血流を増大させるために使用され得、これによって、薬剤または他の有益な物質の、例えば、局所的に罹患した組織への送達が、増強され得る。一酸化窒素は、血管を弛緩させ得、これによって、血流の増大が可能になり得る。ある場合においては、1種以上の一酸化窒素ドナー(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種などの一酸化窒素ドナー)が、1種以上の有益な物質(2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種などの有益な物質)と、本明細書中に記載されるような、適切な不利な生物物理学的環境において組み合わされ得る。
【0026】
ある組の実施形態は、生殖器への血流の増大を、例えば、一酸化窒素ドナー(例えば、一酸化窒素ドナー(例えば、L−アルギニン)を、必要に応じて、ケイ素ベースの経皮調製物および/または添加物(例えば、テオフィリン)と組合わせて)使用することによって、提供する。十分な局所的生殖器血流が、男性および女性の双方における最適な性機能および性的満足のために重要である。男性においては、それは、勃起を達成して維持するために、重要である。女性においては、それは、満足ゆくオルガズムを達成するために必要な神経の感度のために、重要である。ある場合において、上記調製物は、コンドーム中に、必要に応じて、他の性機能増強剤(例えば、潤滑剤)とともに含まれ得る。
【0027】
そのような調製物の非限定的例としては、塩酸L−アルギニン(7.5%(w/v)、テオフィリン(5%(w/v))、および高分子量ポリジメチルシロキサンと低粘性シクロテトラシロキサンとの混合物(Dow Corning 1411流体として商業的に知られている)、および水も含む、エマルジョンとして調製された皮膚中への優れた吸収特性を有するケイ素ベースのビヒクル(例えば、ケイ素含有物質を含むビヒクル)が挙げられる。上記ケイ素エマルジョンは、この例においては、不利な生物物理学的環境を提供する。このエマルジョンは、生殖器(例えば、陰茎、または陰核および/もしくは膣)に適用され、吸収されるまで擦り込まれる。このエマルジョンは、生殖器への血流増大を促進し得、その組織へと酸素および他の栄養物および血液を運ぶ。さらに、上記ケイ素は、性機能の享受改善のための潤滑剤として作用し得る。さらなる調製物が、本明細書においてより詳細に考察される。ケイ素含有物質の他の例としては、ポリジメチルシロキサン、シクロペンタシロキサン、ジメチコール(dimethicol)またはジメチコーン(dimethicon)が挙げられる。例えば、本発明の調製物は、水(20%〜80%)、ポリジメチルシロキサン/シクロペンタシロキサン混合物(20%(w/v)〜90%(w/v))、およびTWEEN20(1%〜10%)を含む、クリームであり得、そのpHは、約3〜約11であり得る。
【0028】
L−アルギンおよび塩酸L−アルギニンに加えて、一酸化窒素ドナーの非限定的例としては、D,L−アルギニン、D−アルギニン、またはL−アルギニンおよび/もしくはD−アルギニンのアルキル(例えば、エチル、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルなどの)エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステルなど)、ならびに/またはそれらの塩、ならびにアルギニンの他の誘導体、ならびに他の一酸化窒素ドナーが挙げられる。例えば、薬学的に受容可能な塩の非限定的例としては、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、またはグリコール酸塩(例えば、グルタミン酸L−アルギニン、酪酸L−アルギニン、グリコール酸L−アルギニン、塩酸D−アルギニン、グルタミン酸D−アルギニンなどを生じる)が挙げられる。一酸化窒素ドナーの他の例としては、L−アルギニンベースの化合物(例えば、L−ホモアルギニン、N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロシル化L−アルギニン、ニトロシル化N−ヒドロキシ−L−アルギニン、ニトロシル化N−ヒドロキシL−アルギニン、シトルリン、オルニチン(omithine)、リンシドミン(linsidomine)、ニプリド(nipride)、グルタミンなど)、およびそれらの塩(例えば、塩酸塩、グルタミン酸塩、酪酸塩、グリコール酸塩など)であるが、これらに限定はされない)が挙げられる。一酸化窒素ドナーのなお他の非限定的例としては、S−ニトロソチオール、硝酸塩、2−ヒドロキシ−2−ニトロソヒドラジン、または種々の形態の一酸化窒素シンターゼの基質が挙げられる。ある場合においては、上記一酸化窒素ドナーは、インビボでの一酸化窒素の内因性生成を刺激する化合物であり得る。そのような化合物の例としては、L−アルギニン、種々の形態の一酸化窒素シンターゼの基質、特定のサイトカイン、アデノシン、ブラジキニン、カルレチキュリン(calreticulin)、ビサコジル、フェノールフタレイン、OH−アルギニン、またはエンドセレイン(endothelein)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0029】
L−アルギニンを記載する本明細書中に記載される実施形態のいずれにおいても、他の一酸化窒素ドナーもまた、本発明の他の実施形態においては、代わりにか、またはL−アルギニンと組合わせて使用され得ることが、理解されるべきである。
【0030】
いかなる理論に拘束されることも望まないが、皮膚を通る上記薬剤または他の有益な物質の流れは、その流れが組織内で集中すると遅くなり得ることが、一般的に考えられる。フィックの第一拡散法則は、内側の濃度がその外側の濃度と実質的に等しくなった場合に、受動流が停止することを示唆する。局所的な血流の増大は、上記薬剤または他の有益な物質の流れの停止を防止し得るか、または少なくとも低減させ得る。従って、上記薬剤または他の有益な物質と、一酸化窒素ドナー(例えば、L−アルギニン)とを含むビヒクルが皮膚に適用された場合、その薬剤または他の有益な物質は、そのビヒクルから組織中へと容易に出て行く。なぜなら、その薬剤は、流れによって分散され、組織中で濃度が増加しないからである。従って、特定の実施形態においては、薬剤または他の有益な物質(例えば、イブプロフェン、アナボリックステロイド、または本明細書中に記載される他の薬剤もしくは物質)が、皮膚中へと導入され得る。
【0031】
「一酸化窒素ドナー」とは、本明細書中で使用される場合、その中に一酸化窒素(NO)部分を含む化合物であり、その化合物は、例えば、生物学的プロセスを介して、直接的にかまたは間接的に、一酸化窒素を放出可能であり、かつ/またはその一酸化窒素部分を別の分子へと化学的に転移可能である。その一酸化窒素ドナーは、皮膚中、および/またはその皮膚表面に近接している組織(例えば、筋肉および/もしくは循環系の要素)へと一酸化窒素を放出し得る。一酸化窒素ドナーの非限定的例としては、アルギニン(例えば、L−アルギニンおよび/またはD−アルギニン)、アルギニン誘導体(例えば、塩酸L−アルギニンおよび/または塩酸D−アルギニン)、ニトログリセリン、多糖結合型一酸化窒素求核付加物、N−ニトロソ−N−置換ヒドロキシアミン、1,3−(ニトロオキシメチル)フェニル−2−ヒドロキシベンゾエート)など、(本明細書中により詳細に記載される)が挙げられる。ある場合においては、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーの濃度は、特定の場合においては少なくとも約3時間であるか、少なくとも約5時間であるか、または少なくとも約8時間以上である有効処置持続期間を有するように、調整され得る。その持続期間はまた、例えば、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーと組合わせて使用される浸透剤の濃度を制御することによって、制御され得る。特定の適用のための実際の濃度は、慣用的に過ぎない実験を使用して、例えば、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーの輸送量を、死体皮膚もしくは適切な動物モデル、皮膚移植片、合成モデル膜などを通るインビトロ濃度の関数として測定することによって、当業者によって決定され得る。
【0032】
特定の非限定的例として、ある実施形態においては、一酸化窒素が、L−アルギニン(例えば、少なくとも0.5重量%(wt%もしくはw/v)、少なくとも約0.75wt%、少なくとも約1wt%、少なくとも約2wt%、少なくとも約3wt%、少なくとも約5wt%、少なくとも約7wt%、少なくとも約10wt%、または少なくとも約15wt%の濃度のL−アルギニン(必要に応じて、本明細書中に考察される1種以上の浸透剤(例えば、不利な生物物理学的環境を生成可能な浸透剤)と組み合わせる))を使用することによって、提供される。上記L−アルギニンは、適切な送達ビヒクル(例えば、クリームまたはローション)中に存在し得る。L−アルギニンは、ある場合においては、その低毒性、その高溶解度、またはその低コストが原因で、特に有用であり得る。一酸化窒素ドナーの他の例は、2005年2月23日に出願され発明の名称が「Topical Delivery of a Nitric Oxide Donor to Improve Body and Skin Appearance」であるE.T.Fosselによる国際特許出願番号PCT/US2005/005726(本明細書中に参考として援用される)において考察される。
【0033】
本発明の一局面は、身体への(下記にさらに考察されるような)一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーの送達を提供し、そのような処置は、全身的であり得るか、または例えば、特定の適用に依存して、身体の特定位置(例えば、頭部、腕部、脚部、足など)に対して、局所的であり得る。上記一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーは、局所的血流を増大し得、それによって、組織の健康を増強し得る。血流の増大はまた、治癒プロセス(例えば、損傷もしくは手術が生じた場合)を補助し得る。
【0034】
ある組の実施形態においては、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)は、種々の医学的状態(例えば、外科処置(例えば、手術部位における))の結果を改善するために被験体に適用され得る。非限定的例としては、移植および形成手術、本物の皮膚もしくは人工皮膚の移植部位、または他の外科処置領域が挙げられる。本発明のある実施形態においては、本発明の処置は、末梢動脈疾患における流れを改善するため、および/または跛行を防止するため、循環が損なわれている糖尿病などを有するヒトの脚部の循環を改善するため、神経障害を後退させるため、潰瘍を治癒もしくは予防するため、骨治癒を改善するため、感染(例えば、細菌感染、ウイルス感染、真菌感染など)を処置するため、本物の皮膚もしくは人工皮膚の移植を改善するため、および/または創傷治癒を改善するために、適用され得る。
【0035】
別の組の実施形態においては、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)は、末梢動脈疾患(PAD)を有する被験体に(例えば、侵襲的または非侵襲的に処置される被験体において)適用され得る。例えば、動脈は、しばしば、血管形成術、動脈切開術(arthectomy)、もしくはバイパス手術によって、または静脈内薬物処置(例えば、コルラパン(Corlapam)、フローラン(Flolan)、またはプリマコール(Primacor))の使用を介して、再開口される。未処置のままの場合、または処置が成功しなかった場合、PADは、跛行をもたらし得、これは、活動能力をなくし得、多大な疼痛を生じるのみならず、正常な生活を続ける能力の喪失をももたらし得る。本発明の種々のシステムおよび方法は、ある場合においては、そのような処置方法の代わりとして、および/またはそのような処置方法と組合わせて、使用され得る。
【0036】
なお別の組の実施形態は、局所的血流を増大することによって、骨治癒の増強を提供する。骨治癒は、遅くかつ複雑なプロセスであり、これは、血液中の種々のタンパク質および細胞によって増強される。従って、血液流速の増大は、骨治癒を増強し得る。ある場合においては、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)の適用は、骨への血流を増大させ得る。従って、例えば、折れた骨(壊れた骨を含む)は、本発明の特定の実施形態において処置され得る。
【0037】
なお別の組の実施形態において、感染が、局所的血流を増大させることによって処置され得る。身体は、血液中において見出される細胞および細胞由来物質を使用して、感染と闘う。感染部位への血流の増大は、感染と闘うための身体機構を増強し得る。従って、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)の適用は、感染部位への血流を増大させ得、これは、治癒を促進し得る。
【0038】
別の組の実施形態は、一般的には、糖尿病を有するヒトにおける(例えば、手および/または脚における)血流の処置に関する。一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)の適用は、そのような状態を処置するために使用され得、それによって、その手および/または脚における血流を増大させ得る。ある場合においては、血流の長期間継続する改善、および/または糖尿病性神経障害の後退が、達成され得る。例えば、局所的血流は、少なくとも約20%または少なくとも約30%増大され得る。本発明のなお別の組の実施形態は、糖尿病性皮膚潰瘍を、例えば、上記のように血流を増大させることによって、予防または処置することに関する。
【0039】
なお別の組の実施形態において、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)は、皮膚(例えば、皮膚移植片および/または皮膚移植片の移植物質、皮膚中の創傷など)へと適用され得る。しばしば、皮膚移植片は、十分な血流を有さず、これによって、移植の失敗がもたらされ得る。皮膚移植片への血流を、例えば、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーを使用して増強することによって、移植の失敗が低減され得る。ある場合においては、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーは、皮膚移植片近傍の組織に適用され得、そして/または一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーは、皮膚移植片に近接した組織へと移動するように誘導され得る。
【0040】
本発明の別の組の実施形態は、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナー(例えば、アルギニンおよび/またはアルギニン誘導体)(必要に応じて、テオフィリンなどの添加物を含む)の使用を介して薬剤もしくは他の有益な物質の経皮送達を増強して、分子輸送部位での血流を増大することに関する。そのような実施形態は、比較的単純であり、安価であり、かつ/または非刺激性であり得、多くの場合においては、物理的デバイスも機械的デバイスも必要としない。そのような輸送は、例えば、本明細書中に記載されるような浸透剤などと組合わせて、さらに増大され得る。
【0041】
薬剤の非限定的例としては、低分子(例えば、約2,000Da未満、約1,500Da未満、または約1,000Da未満の分子量を有する)、ペプチド(例えば、約10アミノ酸未満、約15アミノ酸未満、約20アミノ酸未満、または約25アミノ酸未満を有する)、タンパク質(代表的には、ペプチドよりも大きい)、ホルモン、ビタミン、核酸などが挙げられる。本発明に関して使用するために適切な薬剤のさらなる例としては、NSAID(非ステロイド抗炎症薬)(例えば、アセチルサリチルサリチル酸、ナプロキセン、セレコキシブ、レフェコキシブなど);麻薬作用を有する薬剤(例えば、モルヒネ、コデイン(codine)、プロポキシフェン、オキシコドン、ヒドロコドン、または他の同様の麻薬(narcotic));勃起機能障害または性機能障害に関する薬剤(例えば、ヨヒンビン(yohimbie)、アルプロスタジル、シルデナフィル、シアリス、ユープリマ、バルデナフィル(vardenaifl)など);片頭痛に関する薬剤(例えば、ジヒドロエルゴタミンおよびその塩、エルゴタミンおよびその塩、スマトリプタン(surnatripan)およびその塩、リザトリプタンおよびその塩、ゾルミトリプタンおよびその塩など);毛の処置のための薬剤(例えば、フィナステリド、エフロルニチン、ミノキシジルなど);または他の薬剤(例えば、ナイアシン、リドカイン、ベンゾカイン、イブプロフェンなど)が挙げられるが、これらに限定はされない。さらなる例としては、筋肉改良剤(例えば、クレアチンもしくはクレアチン前駆体(クレアチンリン酸)、アルギニンおよび/または他の一酸化窒素ドナーおよび/またはATP前駆体(例えば、イノシン、アデニン、イノシン、アデニン、ヒポキサンチン、リボース、ホスフェート(例えば、リン酸一ナトリウム)など)、および/またはアナボリックステロイド剤(例えば、アンドロステン、DHEA、アンドロステンジオール、アンドロステンジオンなど)が挙げられる。別の例は、マオウまたはその成分(例えば、エフェドリンおよびプソイドエフェドリン)である。なお別の例は、化学療法剤、または癌処置剤および/もしくはウイルス感染処置剤(例えば、タモキシフェン(例えば、乳癌処置用)、シスプラチン、カルボプラチンおよび関連分子、クロロホスファミドおよび関連分子、ビンカアルカロイド類、エピポドフィロトキシン(タキソール、アシクロビルなどを含む))であるが、これらに限定はされない。例えば、上記癌および/またはウイルス感染は、皮膚癌、乳癌、陰茎癌、精巣癌、もしくは他の局所的癌、またはウイルス感染(例えば、ヘルペス)であり得る。
【0042】
特定の非限定的例として、イブプロフェンが、経口投与された場合に疼痛に対する有効な薬剤である。しかし、このイブプロフェンは、胃の内層に対して刺激的であり、潰瘍を発症する傾向がある人、または炎症した胃腸管上部を有する人は、代表的には、イブプロフェンの使用を回避するように警告される。従って、本発明は、炎症部位または疼痛部位に対するイブプロフェンの局所適用を、身体の残りの部分(特に、胃)を回避しつつ可能にする。
【0043】
別の特定の非限定的例として、成長ホルモン、ステロイド、サプリメント、および他の薬剤が、筋肉の大きさおよび機能を改善するために経口投与または注射によって投与されているが、これらの筋肉改良剤は、しばしば、身体全体にわたって分散され、その薬剤のほんの少量だけしか、使用され発達される筋肉領域において作用しない。筋肉は、クレアチンホスフェート(CrP)およびアデノシン三リン酸(ATP)の両方が機能することを必要とする。しばしば、筋肉は、高レベルの機能を維持するためには不十分な量のこれらの物質およびその前駆体しか有さない。これらの物質およびその前駆体の投与が企図されているが、有効ではない低用量において、および非常に高価でありかつ副作用(例えば、胃腸窮迫)を生じる高用量においてであった。種々の実施形態に従う望ましい筋肉への筋肉改良剤の局所経皮送達の使用は、その望ましい領域へとその用量を局所化し得、そしてその望ましい領域において、より高濃度のその薬剤をもたらす可能性があり得る。
【0044】
従って、本発明の別の局面は、身体中への有益な物質(例えば、薬剤(例えば、薬物、生物学的化合物など))の送達を提供し、そのような処置は、具体的適用に依存して、全身的であっても、局所的であっても(例えば、身体の特定位置(例えば、頭部、1つ以上の具体的筋肉、生殖器など)に対してであっても)よい。
【0045】
ある組の実施形態において、薬剤は、医学的状態または疾患とそれに付随する症状とを処置することを補助するために導入される。ある実施形態においては、本発明は、薬剤を(例えば、本明細書中に記載されるような、医学的状態または疾患を有すると診断される被験体を処置するために)使用する、医学的状態もしくは疾患および/または病気の処置を提供する。ある場合においては、本発明は、罹患領域に対して有効レベルの薬物適用を提供すると同時に副作用を制限するために最小限の量の薬剤の送達を提供する。ある場合においては、上記薬剤の有効投与量は、経口摂取される場合のその薬剤の有効投与量よりも少ないものであり得る。本発明の他の実施形態は、癌、ウイルス感染、勃起機能障害、性機能障害、潰瘍、腫脹、または関節炎を処置するための方法を提供する。本発明のなお別の実施形態は、疼痛(例えば、片頭痛、他の頭痛、関節痛、筋肉痛、および他の型の疼痛に由来する疼痛)を処置するための方法を提供する。本発明のなお別の実施形態は、(例えば、毛が少ないものであり得る、頭皮の一部における)毛の成長を回復するための方法を提供する。
【0046】
有益な物質(薬剤を含む)の吸収をもたらすかまたは改善するための種々の方法がまた、本発明の種々の局面において包含される。ある場合においては、不利な生物物理学的環境が、使用され得る。不利な生物物理学的環境において、その有益な物質を取り囲む環境は、その有益な物質が、皮膚(特に角質層)に対して化学的/エネルギー学的に不都合な環境である(例えば、その不利な生物物理学的環境におけるその有益な物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーは、皮膚におけるその有益な物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーよりも有意に大きく、従って、皮膚への輸送をエネルギー学的に支持する)。その有益な物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーを増加させる不利な生物物理学的環境は、高イオン強度、高濃度の浸透剤(例えば、尿素、糖もしくは糖質)、高pH環境(例えば、約9よりも大きいか、約10よりも大きいか、約11よりも大きいか、約12よりも大きいか、または約13よりも大きい)、低pH環境(約5未満であるか、約4未満であるか、約3未満であるか、または約2未満である)、非常に疎水性の成分、または非常に親水性の成分、またはその有益な物質の化学ポテンシャルおよび/または自由エネルギーの増加をもたらす他の物質から構成され得る。疎水性成分は、少なくとも約100であるか、少なくとも約1000であるか、少なくとも約10であるか、少なくとも約10であるか、またはある場合にはそれよりも大きい、オクタノール−水分配係数を有し得る。同様に、親水性成分は、約0.01未満であるか、約10−3未満であるか、約10−4未満であるか、またはある場合においては約10−5未満である、オクタノール−水分配係数を有し得る。
【0047】
ある場合においては、上記送達ビヒクルは、上記不利な生物物理学的環境を定義する。他の場合においては、上記有益な物質は、その物質が組織中に運ばれる様式、ならびに/またはその物質の電荷が誘導体化および/もしくは中性塩の形成によって中性化される様式で、パッケージされ得る。生物物理学的に不利な環境の例としては、高イオン強度環境(例えば、尿素、糖、糖質、および/もしくはイオン性塩(例えば、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化コリン、フッ化ナトリウム、臭化リチウムなど)、ならびにこれらの因子および/または他の因子の組合せ(例えば、高イオン強度(例えば、約0.25Mよりも大きいか、約1Mよりも大きいか、約2Mよりも大きいか、約3Mよりも大きいか、約5Mよりも大きいか、約10Mよりも大きいか、約15Mよりも大きいか、約20Mよりも大きいか、約25Mなどよりも大きいか、またはある場合においては、約0.25M〜約15Mであり、約5M〜約15Mであり、約10M〜約15Mなどである)での)添加による);高pH環境または低pH環境(例えば、薬学的に受容可能な酸もしくは塩を、例えば、pHが約3〜約7であるように、約3〜約6であるように、約3〜約5であるように、約7〜約11であるように、約8〜約11であるように、約9〜約11などであるように、添加することによる);あるいは非常に疎水性の環境(例えば、その環境の水含量を減少させかつ脂質含量、油含量、および/もしくはロウ含量を増加させることによる)が挙げられるが、これらに限定はされない。他の高電荷分子(例えば、ポリリジン、ポリグルタミン、ポリアスパラギン酸など)またはそのような高電荷アミノ酸のコポリマーもまた、上記の不利な生物物理学的環境を生成するために特定の実施形態において使用され得る。組織中へ運ばれるパッケージングの非限定的例としては、リポソームもしくはコラーゲンエマルジョン、コラーゲンペプチドエマルジョン、または皮膚もしくは基底膜の他の成分のエマルジョンが挙げられる。電荷の中性化の非限定的例としては、電気的に中性であるエステルもしくは塩の形態である上記有益な物質の送達が挙げられる。ある実施形態においては、上記の不利な生物物理学的環境は、これらの条件のうちのいずれか2種以上を包含し得る。例えば、上記の不利な生物物理学的環境は、高イオン強度と高pHもしくは低pH、非常に疎水性の環境と高pHもしくは低pH、リポソームを含む非常に親水性の環境などを包含し得る。
【0048】
不利な生物物理学的環境はまた、ある実施形態においては、比較的に高電荷である一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーを、疎水性の油状環境(例えば、水をほとんど含まないかもしくは全く含まない、油ベースのクリームもしくはローション)中に配置することによって、生成され得る。吸収は、不利な生物物理学的環境の使用を、下記にさらに記載されるように、浸透剤の使用と組合わせることによって、さらに補助され得る。
【0049】
ある有益な物質について最適化された不利な生物物理学的環境は、別の有益な物質については必ずしも最適ではないかもしれないことが、留意されるべきである。例えば、本発明の一実施形態において非荷電でありかつ水素結合を形成しない有益な物質について最適な不利な生物物理学的環境は、有益な物質が荷電している本発明の他の実施形態、および/またはその有益な物質が水素結合を形成可能な実施形態においては、必ずしも最適ではないかもしれない。従って、種々の不利な生物物理学的環境が、種々の適用(種々の有益な物質が、その不利な生物物理学的環境を使用して送達されることを包含する)のために調製もしくは最適化され得る。
【0050】
本発明の特定の局面においては、薬剤または他の有益な物質が、浸透剤(すなわち、その薬剤も他の有益な物質も存在しない場合の輸送と比較して、その薬剤または他の有益な物質の皮膚への輸送を増加させる薬剤)と組み合わされ得る。ある実施形態においては、その浸透剤は、不利な生物物理学的環境と組み合わされ得る。浸透剤の例としては、トウガラシオレオレジン(oleoresin capsicum)もしくはその構成成分、または炭化水素鎖に付着した複素環式環を含む特定の分子が挙げられる。
【0051】
浸透剤の非限定的の例としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、もしくは非イオン性界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキサマーなど);脂肪酸およびアルコール(例えば、エタノール、オレイン酸、ラウリン酸、リポソームなど);抗コリン作用剤(例えば、臭化ベンジロニウム、臭化オキシフェノニウム);アルカノン(例えば、n−ヘプタン);アミド(例えば、尿素、N,N−ジメチル−m−トルアミド);脂肪酸エステル(例えば、n−ブチレート);有機酸(例えば、クエン酸);ポリオール(例えば、エチレングリコール、グリセロール);スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド);テルペン(例えば、シクロヘキセン);尿素;糖;糖質、または他の因子が挙げられるが、これらに限定はされない。ある実施形態においては、上記浸透剤としては、塩(例えば、上記の塩)が挙げられる。
【0052】
本発明のある局面においては、一酸化窒素および/もしくは一酸化窒素ドナー、ならびに/または薬剤もしくは他の有益な物質が、送達ビヒクル(例えば、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチ)を使用して投与され得る。送達ビヒクルの例は、以下に考察される。上記送達ビヒクルは、有効濃度の上記の一酸化窒素および/もしくは一酸化窒素ドナー、ならびに/または薬剤もしくは他の有益な物質を、直接的もしくは間接的に皮膚へと移動するのを促進し得る。例えば、上記送達ビヒクルは、本明細書中にさらに記載されるような、1種以上の浸透剤を含み得る。ある実施形態においては、上記送達ビヒクルは、不利な生物物理学的環境を、例えば、本明細書中に記載されるような浸透剤などを使用して、含み得る。当業者は、送達ビヒクル(例えば、クリーム、ゲル、液体、ローション、スプレー、エアロゾル、または経皮パッチ)中に一酸化窒素および/もしくは一酸化窒素ドナー、ならびに/または薬剤もしくは他の有益な物質を組み込むためのシステムおよび技術を知っている。ある場合においては、上記送達ビヒクル中の一酸化窒素および/もしくは一酸化窒素ドナー、ならびに/または薬剤もしくは他の有益な物質の濃度は、より大量もしくは高濃度の浸透剤を含めることによって低減され得、またはその有益な効果を延長するように増大され得る。ある組の実施形態において、上記一酸化窒素および/もしくは一酸化窒素ドナー、ならびに/または薬剤もしくは他の有益な物質は、添加物(例えば、テオフィリン(例えば、10%(重量/体積)))と組合わせて使用され得る。
【0053】
ある実施形態においては、上記クリームは、一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーと、上記有益な物質に関して不利な生物物理学的環境を生成するために少なくとも十分な濃度の1種以上のイオン性塩とを含み得る。他の物質(例えば、緩衝剤、保存剤、界面活性剤など)が、上記送達ビヒクル中に存在し得る。例えば、上記クリームは、水、鉱油、グリセリルステレアート(glyceryl stereate)、スクアレン、プロピレングリコールステアレート、麦芽油、ステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステリル、ポリソルベート60、プロピレングリコール、オレイン酸、酢酸トコフェロール、コラーゲン、ステアリン酸ソルビタン、ビタミンA、ビタミンD、トリエタノールアミン、メチルパラベン、アロエベラ(aloe vela)抽出物、イミダゾリジニル尿素、プロピルパラベン、PND、またはBHAのうちの1種以上を含み得る。
【0054】
具体的な非限定的例としては、上記クリームは、水(20%〜80%)、白色油(3〜18%)、ステアリン酸グリセリル(glyceryl stereate)(0.25%〜12%)、スクアレン(0.25%〜12%)、セチルアルコール(0.1%〜11%)、プロピレングリコールステアレート(0.1%〜11%)、麦芽油(0.1%〜6%)、ポリソルベート60(0.1%〜5%)、プロピレングリコール(0.05%〜5%)、コラーゲン(0.05%〜5%)、ステアリン酸ソルビタン(0.05%〜5%)、ビタミンA(0.02%〜4%)、ビタミンD(0.02%〜4%)、ビタミンE(0.02%〜4%)、トリエタノールアミン(0.01%〜4%)、メチルパラベン(0.01%〜4%)、アロエベラ抽出物(0.01%〜4%)、イミダゾリジニル尿素(0.01%〜4%)、プロピルパラベン(0.01%〜4%)、BHA(0.01%〜4%)、塩酸L−アルギニン(0.25%〜25%)、塩化ナトリウム(0.25%〜25%)、塩化マグネシウム(0.25%〜25%)、および/または塩化コリン(0.25%〜25%)(%は、%(w/v)である)のうちの1種以上を含み得る。各化合物のパーセンテージは、変化し得(または、その化合物は、ある場合においては、存在しないものであり得)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%などであり得る。
【0055】
別の実施形態において、上記クリームは、有益な物質(例えば、イブプロフェン)と、水(20%〜80%)、塩酸L−アルギニン(0%〜25%)、塩化ナトリウム(0%〜25%)、塩化カリウム(0%〜25%)、ステアリン酸グリセリル(glyeryl steareate)(0%〜15%)、セチルアルコール(0%〜15%)、スクアレン(0%〜15%)、ミリスチン酸イソプロピル(0%〜15%)、オレイン酸(0%〜15%)、Tween 20(0%〜10%)および/またはブタンジオール(0%〜10%)のうちの1種以上とを含み得る。各化合物のパーセンテージは、変化し得(または、その化合物は、ある場合においては、存在しないものであり得)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%などであり得る。
【0056】
ある実施形態において、上記クリームは、有益な物質と、その有益な物質に関して不利な生物物理学的環境を生成するために少なくとも十分な濃度の1種以上のイオン性塩とを、含み得る。例えば、上記クリームは、全身毒性を有する荷電しかつ/もしくは水素結合している有益な物質(0.01%〜30%)、塩化コリン(1%〜30%)、塩化ナトリウム(2%〜30%)、および/または塩化マグネシウム(1%〜20%)(%は、%(w/v)である)のうちの1種以上を含み得る。別の例において、上記クリームは、塩酸L−アルギニン(2.5%〜25%)、塩化コリン(10%〜30%)、塩化ナトリウム(5%〜20%)、および/または塩化マグネシウム(5%〜20%)(%は、%(w/v)である)のうちの1種以上を含み得る。なお別の例において、上記クリームは、クレアチン(0.001%〜30%)、イノシン(0.001%〜30%)、塩化コリン(1%〜30%)、塩化ナトリウム(2%〜30%)、塩化マグネシウム(1%〜20%)、L−アルギニン(0.1%〜25%)、および/またはテオフィリン(0.1%〜20%)(%は、%(w/v)である)のうちの1種以上を含み得る。ある場合においては、上記クリームはまた、塩酸L−アルギニン(0%(w/v)〜12.5%(w/v))および/またはテオフィリン(0%(w/v)〜10%(w/v))を含み得る。各化合物のパーセンテージは、変化し得(または、その化合物は、ある場合においては、存在しないものであり得)、例えば、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%などであり得る。これらの例において、塩化コリン、塩化ナトリウム、および塩化マグネシウムは、高イオン強度環境を提供し得る。
【0057】
本発明の特定の局面において、上記送達ビヒクルの多数回処置は、上記一酸化窒素および/または一酸化窒素ドナーの効果の持続期間を増加させ得る。例えば、2回、3回、4回、5回、またはそれ以上の処置が、特定の適用に依存して適用され得る。例えば、反復投与された場合、各処置の有益な効果は、処置後10時間もしくは20時間まで、またはある場合にはそれ以上まで、延長され得る。そのような処置は、特定の適用に依存して、任意の適切な頻度で、例えば、4時間毎、8時間毎、12時間毎、18時間毎、1日間毎、2日間毎、3日間毎、毎週などに、適用され得る。例えば、その処置は、約30日間の間に、約2回〜約30回提供され得る。ある場合において、最初の処置は、その後の処置よりも高レベルまたは高濃度で提供され得る。
【0058】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例証することが意図され、本発明の全範囲を例証するものではない。
【実施例】
【0059】
(実施例1)
脚下部の跛行を患っている58歳の男性老人が、毎晩、その脚に、浸透基剤中に塩酸L−アルギニン(12.5%(w/v))、塩化コリン(10%(w/v))、塩化マグネシウム(5%(w/v))、および塩化ナトリウム5%(w/v)を含むクリームを適用した。そのクリームを毎日3日間使用した後、跛行からの痙攣は、彼がそのクリームの使用を毎日継続した限りは、決して再発しなかった。
【0060】
(実施例2)
PADの12年の病歴、および彼を重篤に耐えられなくする跛行をもつ72歳の男性を、この実施例で処置した。彼は、浸透基剤中に、塩酸L−アルギニン(12.5%(w/v))、塩酸コリン(10%(w/v))、塩化マグネシウム(5%(w/v))、および塩化ナトリウム(5%(w/v))を含むクリームの彼の脚下部への毎日の使用を始めた。使用の3日後、発作の頻度は顕著に減少し、そして10日後、発作は止んだ。継続したクリームの毎日の使用は、発作を防ぎ続けた。
【0061】
(実施例3)
循環器損傷およびその続発症は、糖尿病の主要な合併症であることが長く知られている。例えば、糖尿病では、内皮一酸化窒素(NO)/一酸化窒素シンターゼ(eNOS)系の機能性が損なわれることが、示されている。NOは、酵素eNOSによるアミノ酸L−アルギニンの酸化を通じて内皮に生成される。NOは、血管平滑筋を弛緩させ、増加した血流を生じる。eNOSの基質であることに加えて、L−アルギニンは、eNOSの2つの同じサブユニットのダイマー化を容易にし、ホモダイマーを形成する。この酵素は、ダイマー形態でのみ活性である。適正な条件下で、ダイマー化が、分のタイムスケールで迅速に起こる。一旦形成されたダイマーは、一般に安定である。
【0062】
糖尿病をもつ患者は、それらの血漿中に、異常に低いレベルのL−アルギニンおよび高まったレベルのeNOSインヒビター、不斉ジメチルアルギニン(ADME)を有し得る。損傷した循環の場合の増加するL−アルギニンレベルの値が今や認識されているが、L−アルギニンの治療的使用のための実施スキームは、架空のものであった。この実施例では、L−アルギニンを経皮的に提供することが、流れおよび温度によって示されるように、糖尿病をもつ患者の足の血管機能を改善するか否かが決定された。
【0063】
この実施例は、1週間のウォッシュアウト(washout)期間有りまたはなしで、二重盲検法ビヒクルコントロール2期間交差プロトコールとして設計された。16人の被験体が入れられ、そして13人が研究を終了した(年齢56+/−8歳)。データを分析した後、このウォッシュアウト期間を通じてL−アルギニンの効果が持続したことが示された(表1および2)(AUは任意ユニットを意味する)。このため、最初の足に対するL−アルギニンの初期曝露を除いて、この分析を改変して、このプロトコール全体を通してL−アルギニンへの蓄積曝露からの影響を決定した。血流は、ドップラーフローメーターを用いて、中足およびアキレス領域で測定され、そして温度は、赤外サーモメーターを用いて中足および足の親指領域で測定された。活性クリームは、高濃度の塩化コリン、塩化ナトリウムおよび塩化マグネシウムを含む不利な生物物理学的環境中に12.5%の塩酸L−アルギニンを含む、水をベースにした湿潤化ビヒクルであった。コントロールビヒクルは、L−アルギニンが省略されたことを除いて同一であった。
【0064】
最初の訪問で、ベースライン測定がなされた後、各被験体は、片脚に活性クリーム(4mgのL−アルギニン/cm)を、そして他方にビヒクルを塗り込んだ。30分間後、測定が再びなされた。1週間のウォッシュアウト期間が続いた。患者は、このウォッシュアウト期間の後に戻り、そして流れおよび温度測定がなされた。彼らは、次いで、活性クリームまたは偽薬クリームのいずれかをランダムに与えられ、そして2週間の間毎日朝夕に彼らの足にそれを塗り込むよう言われた。2週間の終わりに、患者は戻り、そして再び測定がなされた。第2の1週間のウォッシュアウト期間の後に第3の訪問が続いた。この期間の終わりに被験体は戻り、そして測定がなされた。彼らは、乗り換え産物を与えられ、そして再び、2週間の間朝夕彼らの足にそれを塗り込むよう告げられた。被験体は、その期間の終わりに、最後の流れおよび温度の測定のために戻った。
【0065】
最初の訪問で、流れは、付与の30分間後に、8.1+/−3.3から11.5+/−5.5(p=0.05)まで活性クリームを用いた足のアキレスで増加した。偽薬クリームを受けた足では、流れは増加しなかった(8.1+/−1.4対8.3+/−2.2)。さらに、最後の訪問で、中足領域における温度は、82.0+/−2.3の初期値から82.4+/−4.8まで上昇し(p<0.0001)、そして足の親指の温度は、74.4+/−4.2の初期訪問値から82.4+/−4.8(p<0.0001)まで増加した。最後の訪問では、中足領域における流れは、8.7+/−4.3から11.6+/−5.5に上昇し(p<0.0001)、そしてアキレス領域における流れは、8.4+/−2.5から11.4+/−5.5に上昇した(p=0.02)。ウォッシュアウトに対してL−アルギニン効果のないことは、偽薬コントロールに対する機会を取り除く一方で、温度および流れにおける改善は、実質的でかつ高度に統計的に有意である。難解であるが、L−アルギニン効果についての持続の1つの説明は、L−アルギニンの局所的組織濃度が、eNOSの不活性モノマーが活性ダイマーを形成するようにするに十分高くなることである。
【0066】
従って、糖尿病をもつこの実施例で研究された患者において、L−アルギニンの経皮的調製物での彼らの足の処置は、流れおよび温度の両方を改善し、そしてこの効果は、驚く程長く続いた。損傷した局所的血流のこのような改善は、有益であり得、そして糖尿病の合併症を減少し得る。
【0067】
(表1.経皮的L−アルギニンクリームの温度に対する影響)
中足(゜F) p対訪問1 足の親指(゜F) p対訪問1
訪問1 82.0±2.3 74.4±4.2
訪問2 84.1±3.4 0.004 77.7±5.3 0.01
訪問3 87.0±2.4 <0.0001 83.6±4.9 <0.0001
訪問4 86.1±2.4 <0.0001 80.6±5.4 <0.0001
訪問5 86.9±2.4 <0.0001 82.4±4.8 <0.0001
(表2.経皮的L−アルギニンクリームの流れに対する影響)
中足(AU) p対訪問1 アキレス(AU) p対訪問1
訪問1 8.7±4.3 8.4±2.5
訪問2 10.8±5.9 NS 8.5±3.9 NS
訪問3 10.8±4.8 0.05 9.2±3.9 NS
訪問4 11.6±8.3 NS 10.0±4.2 0.06
訪問5 11.6±5.5 <0.0001 11.42±5.5 0.02
(実施例4)
本実施例において、手および指において重篤な関節炎を有する57歳の老女が、その手に、不利な生物物理学的環境を10%(w/v)イブプロフェンおよび12.5%(w/v)L−アルギニンとともに含むクリームを適用した。彼女は、そのクリームを、完全に吸収されるまで自分の手および指の皮膚に擦り込んだ。10分間以内に、彼女は、疼痛のかなりの軽減に気付いた。30分間以内に、その疼痛は完全になくなった。疼痛の軽減は、数時間持続した。
【0068】
(実施例5)
この実施例では、肩に痛みをもつ37歳の男性が、10%(w/v)のイブプロフェンおよび12.5%のw/vのL−アルギニンとともに、不利な生物物理学的環境を含むクリームを、痛みのある肩に付与した。彼は、このクリームをそれが完全に吸収されるまで塗り込んだ。30分間以内に、痛みは完全になくなった。痛みは決して戻らなかった。
【0069】
(実施例6)
右のこめかみに重篤な頭痛をもつ54歳の女性に、10%(w/v)のイブプロフェンおよび12.5%のw/vL−アルギニンとともに、不利な生物物理学的環境を負含むクリームを痛みのあるこめかみに付与した。彼女は、このクリームをそれが完全に吸収されるまで塗り込んだ。10分以内に、頭痛の実質的軽減が達成された。20分間以内に痛みはなくなった。痛みは決して戻らなかった。
【0070】
(実施例7)
性器ヘルペス感染の病歴をもつ33歳の女性を、アシクロビルの局所的経皮調製物で処置した。ヘルペスは、赤色のしばしば痒い領域として開始し、そして開いたただれへと進行する発生によって特徴付けられる。このアシクロビル調製物は、不利な生物物理学的環境、2.5%(w/v)のアシクロビル、および12.5%(w/v)のL−アルギニンを含んだ。この調製物は、赤くしばしば痒い領域が出現するやいなや付与された。この処置は、愚鈍なヘルペス発生の退行を生じ、この領域を2日間以内に正常に戻し、そして開いたただれが進行するのを防いだ。
【0071】
(実施例8)
この実施例は、イブプロフェンを含む本発明の経皮処方物を調製する1つの方法を示す。最終組成を表3に示す。勿論、当業者は、本発明のその他の実施形態に従って、以下に列挙されるもの以外の%もまた可能であることを理解する。
【0072】
(表3.経皮調製物の例)
水 49%
塩酸L−アルギニン 7.5%
イブプロフェン(ナトリウム塩) 7.5%
塩化ナトリウム 10%
塩化カリウム 5%
ステアリン酸グリセリル(SE) 7%
セチルアルコール 7%
スクアレン 2%
ミリスチン酸イソプロピル 1%
オレイン酸 1%
Tween20 2%
ブタンジオール 1%。
【0073】
この実施例における処方物を調製するために、塩化ナトリウム、塩化カリウム、L−アルギニンおよびイブフロフェンを水中で混合し、次に、迅速に混合しながら74℃まで加熱した。別個の容器において、残りの成分を一緒に混合し、そして74℃まで加熱した。その他の成分は、次いで、迅速に混合しながら74℃の水相に添加した。次いで、この混合物を継続して混合しながら室温まで冷却した。この点で、比較的粘性が低いコンシステンシーでエマルジョンが形成された。このエマルジョンを、次いで、室温において高速度でホモゲナイズし、このコンシステンシーを高くした。
【0074】
本明細書で記載および示される本発明の局面によれば、有益な物質(単数または複数)(例えば、薬剤)が、(例えば、送達ビヒクル中に)、約0.1%〜約25%の間の濃度で提供され得る(例えば、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、など)。しかし、より高い(例えば、25%、30%、40%、50%を超えるか、またはより高い)、またはより低い(例えば、0.1%、0.005%未満、またはより低い)濃度の有益な物質が、用いられ得る。本明細書で用いられるとき(有益な物質または本明細書で記載される任意のその他の化合物について)、濃度%は、重量%、体積%、または重量/体積%であり得る。本明細書で用いられるとき、有益な物質は、例えば、荷電をもつ有益な物質、非荷電の有益な物質、水素結合を形成する有益な物質、水素結合を形成しない有益な物質などであり得る。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態が本明細書中で説明され、かつ示されているが、当業者は、本明細書中に記載される機能を実施するため、そして/または結果および/または1つ以上の利点を得るための種々のその他の手段および/または構造を容易に想定し、そしてこのような変更および/または改変の各々は、本発明の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者は、本明細書中に記載されるすべてのパラメーター、寸法、材料および形態が例示的なものであり、しかも、実際のパラメーター、寸法、材料および/または形態は本発明の教示(単数/複数)が用いられる特有の用途または複数の用途に依存することを容易に認識する。当業者は、慣用的に過ぎない実験を用いて、本明細書中に記載される本発明の詳細な実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認し得る。従って、上記の実施形態は例示のみのために提示されたこと、添付の特許請求の範囲およびそれに対する等価物の範囲内で、本発明が、具体的に記載されるのとは異なって実施され得そして特許請求され得ることが、理解されるべきである。本発明は、本明細書中に記載されるような、各個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法に関する。さらに、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の2つ以上の任意の組み合わせは、このような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、互いに一致しないものではない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0076】
本明細書で定義されそして用いられるすべての定義は、辞書の定義、参考として援用される書類中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を支配することが理解されるべきである。
【0077】
不定冠詞「a」および「an」は、明細書中および特許請求の範囲において本明細書中で用いられるとき、反対であることが明瞭に示されなければ、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0078】
語句「および/または」、明細書中および特許請求の範囲中で本明細書において用いられるとき、そのように組み合わされる要素のうちの「いずれかまたは両方」を意味することが理解されるべきである。すなわち、これら要素は、ある場合には接続的に、そしてその他の場合には非接続的に存在している。「および/または」とともに列挙された複数要素は、同じ様式で解釈されるべきである。すなわち、これら要素の「1つ以上」がそのように同時に合わせられる。その他の要素が、「および/または」の節によって具体的に識別される要素以外に、詳細に識別されたこれら要素に関連があろうと、または関連がなかろうと、必要に応じて存在し得る。従って、非制限的な例として、「Aおよび/またはB」に対する言及は、「包含する」のような開放型言語と組合せて用いられるとき、1の実施形態では、Aのみ(必要に応じてB以外の要素を含む)をいい;別の実施形態では、Bのみ(必要に応じてA以外の要素を含む)をいい、;なお別の実施形態ではAとBとの両方(必要に応じてその他の要素を含む)をいう;などのようである。
【0079】
明細書中および特許請求の範囲中で本明細書において用いられるとき、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、別個の品目が列挙中にあるとき、「または」もしくは「および/または」は包括的であると解釈されるべきである。すなわち、少なくとも1つを包含するのみならず、多数または一群の要素のうちの1つよりも多くのものもまた含み、そして必要に応じてさらなる列挙されていない品目を含む。「のうちの1つ」または「のうちのまさに1つ」のような反対であることが明瞭に示される用語のみ、または特許請求の範囲で用いられるとき「からなる」は、多数の要素または一群の要素のうちの正に1つの要素を含むことをいう。一般に、本明細書で用いられるとき、用語「または」は、「いずれか」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正に1つ」のような排他的用語によって先行されるとき、排他的選択肢を示す(すなわち、「一方または他方であり、両方ともではない」)としてのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で用いられるとき、特許法の分野で用いられるようなその通常の意味を有する。
【0080】
明細書中および特許請求の範囲中で本明細書において用いられるとき、一群の1つ以上の要素に関する語句「少なくとも1つ」は、これら要素群における要素のうちの任意の1つ以上から選択される少なくとも1つの要素を意味することが理解されるべきであるが、これらの要素群において具体的に列挙された各々のすべての要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含む必要はなく、そしてこれら要素群における要素のどの組み合わせも排除しない。この定義はまた、語句「少なくとも1つ」が言及する要素群において具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別された要素に関連するか関連しないかにかかわらず、必要に応じて存在し得ることを、可能にし得る。従って、非制限的な例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、または、同等に「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、1つの実施形態で、少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多くを含む)Aであるが、Bは存在しない(そして必要に応じてB以外の要素を含む)こと;別の実施形態では、少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多くを含む)Bであるが、Aは存在しない(そして必要に応じてA以外の要素を含む)こと;なお別の実施形態では、少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多くを含む)Aおよび少なくとも1つ(必要に応じて1つよりも多くを含む)B(そして必要に応じてその他の要素を含む)こと;などをいい得る。
【0081】
反対であることが明瞭に示されなければ、1つ以上の工程または動作を含む本明細書で特許請求される任意の方法において、この方法の工程または動作の順序は、この方法の工程または動作が記載される順序に必ずしも制限されない。
【0082】
特許請求の範囲において、および上記の明細書において、すべての遷移句、例えば、「包含する(comprising)」、「含む(including)」、「保持する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「関与する(involving)」、「保つ(holding)」、「からなる(composed of)」などは、解放型であること、すなわち、制限されないで含むことを意味することが、理解されるべきである。遷移句「からなる」および「本質的になる」のみが、米国特許商標庁特許審査手順のマニュアル、セクション2111.03で提示されるように、それぞれ、閉鎖型語句または半閉鎖型語句である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載される発明。

【公開番号】特開2012−56964(P2012−56964A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−273409(P2011−273409)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【分割の表示】特願2007−509553(P2007−509553)の分割
【原出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(506283639)ストラテジック サイエンス アンド テクノロジーズ, エルエルシー (9)
【Fターム(参考)】