局所適用のための調製物及び活性剤の基体への送達方法
多層包帯剤及び基体への局所適用のための放出制御組成物は、エマルション及び前記エマルションに導入された活性剤を含む。前記活性剤はタンパク質を含む。基体への活性剤の送達方法は、エマルションを提供し、基体への活性剤の送達のための前記エマルションに前記活性剤を導入する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年10月27日に出願された、米国特許仮出願第60/514709号からの優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題は、一般に、多層包帯剤及び基体への局所適用のための放出制御組成物に関する。本発明の主題はまた、一般に、基体への活性剤の送達方法に関する。とりわけ、本発明の包帯剤、放出制御組成物、及び方法は、皮膚への局所適用のために使用され、特に、治療目的で皮膚に適用された際に、この包帯剤からの活性剤の制御された放出を提供する、タンパク質含有活性剤とシリコーンとのエマルションを含む放出制御包帯剤に関する。
【0003】
従来技術のシリコーンの種類は、アルキルシロキサンまたはオルガノシロキサン化学に基づく化合物であり、製薬応用における賦形剤及び処理助剤として使用されているポリジメチルシロキサン物質を含む。当業者には、こうしたシリコーン化合物の、制御された経皮薬剤送達システムにおける使用が既知である。インプラント、挿入物、粘膜接着剤、及び経皮形態を含む新たな長期持続性の薬剤送達応用は、シリコーン独自の、また本来的な特性を引き出す。経皮送達システムは生物学的に適当な動態で標的領域への活性分子の制御された放出を可能にし、且つ悪影響、例えば最大用量、低コンプライアンス、及び薬剤劣化等の従来経口及び非経口の薬物適用について一般に観察される影響を回避する。
【0004】
経皮薬剤送達システムは、接着性パッチを含む薬剤からなるが、これは無傷の皮膚に最長7日間接着する。パッチデザインが活性剤の放出をコントロールする。活性剤は皮膚を透過し循環系によって器官中に輸送されて全身性活性を得る。皮膚を入口点として利用し、接着性プラスターまたはフィルム形成性の実体的材料(例えばクリームもしくはゲル)からなる経皮形態は、局所処置(筋肉もしくは皮膚の疾患)のために使用される。
【0005】
経皮薬剤送達システムは、局所包帯応用、例えば創傷包帯及び軟膏などには導入されておらず、前記システムではシリコーンマトリックス中に分散した生化学薬剤が皮膚もしくは創傷に放出されて治癒を促進する。
【特許文献1】米国特許第6497894号
【特許文献2】米国特許第5321075号
【特許文献3】米国特許第4248751号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、かかる分野には、シリコーンの有利な特性を活かすと共に活性剤の制御された放出を提供することのできる調剤が依然として求められている。
【0007】
多層包帯剤、放出制御組成物、及び方法が開示される。本発明のこれらの要素は、基体への局所適用のために使用される。この方法は基体に活性剤を送達する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
包帯剤には、放出制御層及び接着層が含まれる。放出制御層は、放出制御組成物から形成される。放出制御組成物には、とりわけ、水中油型もしくは油中水型エマルション及び活性剤が含まれる。活性剤は、エマルション中に導入され、且つタンパク質を含むものである。接着層は包帯剤を基体に接着させるために放出制御層に隣接して配置される。かかる方法はタンパク質を含む活性剤を基体に送達する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、活性剤を、基体への適用と同時に、制御された方法で基体に送達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施態様についての以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読むことで最もよく理解することができる。
【0011】
本発明によれば、放出制御組成物を、皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用することのできる、様々な局所用包帯剤に使用して良い。局所用包帯剤は多層のものであり、活性剤が放出し、その下の皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用されるようにすることができる。
【0012】
さらにまた、この組成物を軟膏を形成するために使用してよく、この軟膏は活性剤を放出し、その下の皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用されるようにすることができる。
【0013】
局所用包帯剤は、基体、例えば皮膚、損傷組織、または罹患組織への、分泌物の吸収、外傷からの組織の保護、組織への活性剤の投与、周囲環境からの組織の保護、止血、湿式環境の維持もしくは提供、及びこれらの組み合わせのための直接適用に適した、様々なタイプのあらゆる被覆に言及するものと解してよい。例えば、局所包帯剤は、フィルム、パッチ、包帯、ゲル、軟膏、及び他の半固体組成物の形態であって、皮膚に適用すると乾燥してフィルムもしくはコーティングを皮膚表面に形成するものであって良い。局所用包帯剤は、放出制御組成物の層と少なくとも1つのさらなる層、例えば接着層とを含むという意味において多層を成す。しかしながら、多層の包帯剤でなければ、放出制御組成物自体が基体表面にフィルムを形成し、適当な局所適用もしくは包帯剤として機能しうる。
【0014】
様々な形態の多層包帯剤が図1A乃至1Dに開示されている。この包帯剤は、最高でおよそ5層までを含んで良い。図1A乃至1Dには様々な層に名称が与えられている。接着層(薄い点描部)は放出制御組成物層(濃い斜交線部)のよりよい接着を提供するために結合を強化する。放出制御組成物層は、滲出物を吸収するための吸収層(垂直線部)に覆われていてよく、この層はクッションもしくはクッション層(薄い斜行線部)に覆われていて良い。裏当て層(黒塗り部)は液体の水に対して閉塞していてよい。さらにまた、特に図1Aに言及すれば、基体、すなわち皮膚表面への適用もしくは接着前には、この包帯剤は除去可能なはぎ取り式裏当て層をさらに含んでも良い。さらにまた、図1Dに示されるように、様々な層、例えば接着層は他の層を囲む環として形成可能である。
【0015】
軟膏とは、例えば皮膚、損傷組織、及び罹患組織への外用に適当なあらゆる半固体調剤を意味すると解するべきである。
【0016】
本発明は、基体への局所適用のための、特定処理を施したエマルションと活性剤とを本質的に含む放出制御組成物を含む。本発明は、前記活性剤を基体へ送達する方法をさらに含む。上記してはいないが、これ以降は単に組成物と呼称される放出制御組成物は、エマルションと活性剤とを含む。前記活性剤は前記エマルション中に導入される。
【0017】
エマルションとは、1つの液相の、第二の液相中での一時的もしくは永久的な分散物を意味すると解するべきである。一般的に、液体の一方は水もしくは水性溶液であり、他方は油もしくは別の水と不混和性の液体である。然るに、油中水型(W/O)エマルション中の連続相または外部相は油もしくは別の水不混和性液体である。水中油型(O/W)エマルション中の連続相は水もしくは水性溶液である。本発明の詳説のためには、外部相なる語は疎水性相と互換的に用いられ、内部相なる語は親水性相と互換的に用いられる。
【0018】
有利には、活性剤及び、存在するならば界面活性剤は、エマルションを準備するために行われる様々な乳化工程中に、またはエマルションが準備された後の事後添加状況(post-add)において、活性剤の放出プロフィールまたはエマルションの安定性全般に影響することなくエマルションに添加可能である。
【0019】
放出制御とは、放出動態を、システム自体またはその周囲環境によって制御される方法で活性剤が放出されるようなシステムとして設計することを意味すると解されるべきである。前記活性剤は短期間、例えば約2時間の間に全て放出されるよりはむしろ、例えば4−6時間、約4−12時間、約4−18時間、約4−24時間、約4−36時間、約4−48時間に亘って、湿分等のトリガーの存在下で包帯剤からゆっくりと放出される。制御された放出とは、持続性放出と同等である。
【0020】
エマルションとは、1つの液相の、第二の液相中の一時的もしくは永久的な分散物を意味すると解されるべきであり、W/O及びO/Wエマルションを含む。一般的に、前記液体の一方は水または水性溶液であり、他方は油または別の水不混和性液体である。第一の液体は一般的に連続相または外部相と呼称される。エマルションはさらに、単純エマルション(分散液体もしくは内部相が単純な均一液体であるもの)またはより複雑なエマルション(分散液体相が液体もしくは固体の相の均一な混合物であるもの)、例えば二相エマルションまたは多相エマルションに分類することができる。
【0021】
エマルションは、本発明の調製物を生成させるために適当なあらゆる方法、例えば高剪断処理等で内部相と外部相とを混合させることにより形成される。
【0022】
好ましい方法は、以下に補足的に説明される通り、油中水型(W/O)エマルションの力学的転相であり、形成されたO/Wエマルションは親油性溶媒を含んでいても含まなくても良い。力学的転相はまた、当業者には力学的転相乳化とも呼称される。W/Oエマルションは、力学的転相の前のO/Wエマルションの基礎であるが、シリコーン成分と界面活性剤とを、好ましくは均一な油相中に含み、さらに水を含む。このW/Oエマルションは、本発明の包帯剤において使用して良い実施態様である。このエマルションから得られる包帯剤は、経時的に安定である。
【0023】
前記エマルションのシリコーン成分は、疎水性または親水性の液体、半固体(例えばワックス、ゴム)、または固体であって良い。シリコーン成分がそれ自体疎水性であるか親水性であるかによらず、該シリコーン成分はエマルションの疎水性相中に含まれる。しかしながら、シリコーン成分がエマルションの親水性相中に存在することもまた可能である。
【0024】
さらにまた、疎水性シリコーン成分が幾らかの親水性の置換基を含むことも、親水性シリコーン成分がいくらかの疎水性置換基を含むことも可能である。
【0025】
好ましくは、シリコーン成分は、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物である、感圧性接着剤(PSA)である。好ましくは、前記ヒドロキシ官能性シリケート樹脂は、トリメチルシロキシ及びヒドロキシ末端ブロックシリケート樹脂である。前記ポリマーと樹脂とは、縮合反応で反応し、PSAを生成する。PSAが最も好ましいが、シリコーン成分の別の形態には、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、またはこれら成分の混合物が含まれる。
【0026】
シリコーン成分のこれらの別の形態は、これらがフィルムを形成するため利用可能なのである。
【0027】
活性剤と共に、PSAは生体接着剤として機能する。PSAをシリコーン成分として使用する利点は、PSAが提供する永続性(substantivity)である。こうした永続性は、活性剤が持続性の治療効果を提供するという著しい永続性が求められる、ヒト及び獣医学への応用において特に有利である。
【0028】
前記力学的転相処理によって乳化されるシリコーン成分、特にPSA、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、及び高分子量シリコーン類は、親油性溶媒の非存在下においては、最大で5000000000(50億)センチポワズ(cP)、このましくは少なくとも200000000(2億)センチポワズ(cP)、及びもっとも好ましくは少なくとも1000000000(10億)センチポワズ(cP)の粘度を有する。
【0029】
本発明の目的のためには、シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーなる語は、少なくともいずれのシリコーン成分も伸張及び回復が可能である点で同義である。対照的に、シリコーンガムは引き延ばすことはできるが一般的にはね戻らない。シリコーンガムは、その高粘度可塑性状態から架橋によっておおむね弾性の状態に転化することが可能な、高分子量の、一般的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンである。シリコーンガムは、シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーの調製における主成分の1つとしてしばしば使用される。
【0030】
シリコーンエマルションは、シリコーンエラストマー粒子の水性エマルションである。
【0031】
これらエマルションから水を除去することにより、シリコーン弾性フィルムまたはシリコーンエラストマー粒子のいずれかを得る。これらのエマルションは、反応性シリコーンポリマー類と他の成分、例えば触媒または架橋化合物とを水中に乳化させ、次いで適当な加硫(硬化または架橋)工程を行うことによって調製可能である。利用する乳化条件によって、これらのエラストマーエマルションはまた、およそ0.10μm乃至50μmの範囲の平均粒径で製造することができる。シリコーンエラストマーエマルションは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第6497894号(2002年12月24日発行)及び米国特許第5321075号(1994年6月14日発行)及び米国特許第4248751号(1981年2月3日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0032】
したがって本発明の目的のためには、シリコーンガムは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第3692737号(1972年9月19日発行)、米国特許第4152416号(1979年5月1日発行)、米国特許第4885129号(1989年8月8日発行)、米国特許第5057240号(1991年10月15日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0033】
シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第4882377号(1989年11月21日発行)、米国特許第5654362号(1979年8月5日発行)、米国特許第5994549号(1999年11月30日発行)、及び米国特許第6015858号(2004年1月18日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0034】
シリコーン樹脂は、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第2676182号(1954年4月20日発行)、米国特許第4310678号(1982年1月12日発行)、米国特許第4423095号(1983年12月27日発行)、及び米国特許第5356585号(1994年10月18日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0035】
本発明のシリコーン樹脂は、MQ樹脂を含むと見なしてもよい。MQなる略語は、シリコーン樹脂に関することから、=Si-O-Si=結合により接合されたシロキサン単位を含むシリコーン樹脂中に存在しうる様々なタイプの構造単位の官能性をそれぞれ表す、記号M、D、T、及びQに由来する。一官能性(M)単位は、(CH3)3sil/2を表し、二官能性(D)単位は(CH3)2SiO2/2を表す。三官能性(T)単位はCH3SiO3/2を表し、枝分かれした直鎖状のシロキサンの生成をもたらす。四官能性(Q)単位はSiO4/2を表し、これは架橋の形成をもたらし、樹脂質のシリコーン組成物をもたらす。
【0036】
ゆえに、MQとは、シロキサンが一官能性のM及び四官能性のQ単位のみを含む場合、または少なくとも高パーセンテージでM及びQ単位を含んでシリコーン樹脂を与える場合に使用される。
【0037】
ここで有用なシリコーン樹脂は、0℃より高いガラス転移温度(Tg)を有する非直線性シロキサン樹脂である。ガラス転移温度とは、高度シリコーンポリマー等のアモルファス物質が、脆性のガラス質状態から可塑性状態に変化する温度である。薄いシリコーン樹脂は一般的に、式R'aSiO/(4a)を有し、ここでR'は、1-6の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または1-6の炭素原子で官能基置換された炭化水素基であり、aは1-1.8の平均値を有する。このシリコーン樹脂は好ましくは一官能性(M)単位R"3SiO1/2及び四官能性(Q)単位SiO4/2を含み、ここでR"は1-6の炭素原子を有する一価の炭化水素基、最も好ましくはメチル基であることが好ましい。典型的には、Q基に対するM基の数値比が0.5:1乃至1.2:1の範囲であって、式R'aSiO(4-a)/2中のaが1.0-1.63の平均値を有するものの等価物を与える。好ましくは前記数値比が0.6:1乃至0.9:1である。最も好ましいのは、1分子あたりのQ単位の数が1を上回る、好ましくは5を上回るシリコーンMQである。
【0038】
シリコーン樹脂は、1-5重量%のケイ素結合ヒドロキシル基、例えばジメチルヒドロキシシロキシ単位(HO)(CH3)2SiO1/2をさらに含んでも良い。所望により、シリコーン樹脂はを少量の二官能性(D)単位及び/または三官能性(T)単位をさらに含んでも良い。シリコーン樹脂は、(i)MxQyタイプのシリコーン樹脂(x及びyは、シリコーン樹脂が一分子あたりに少なくとも5より多くのQ単位を含むような値を有する);(ii)MxTyタイプのシリコーン樹脂(x及びyは、シリコーン樹脂が一分子あたりに少なくとも5より多くのT単位を含むような値を有する);(iii)MxDyTpQqタイプのシリコーン樹脂(x、y、p、及びqは、シリコーン樹脂が一分子あたりにQ単位とT単位との合計で少なくとも5より多くの単位を含むような値を有し、D単位の数は0-100の範囲である)を含んで良い。
【0039】
上記の通り、エマルションは界面活性剤を含んで良い。界面活性剤とは、非混和性の液体同士の、または液体とこの上なく微細な固体粒子(しばしばコロイド粒子のサイズのもの)との、均一且つ最大の分離を促進するために懸濁媒質に添加する表面活性剤を意味すると解するべきである。当業者には理解されるとおり、極性の頭基(head group)及び非極性鎖を有する両親媒性分子である。
【0040】
界面活性剤はそれ自体が親水性相と疎水性相との界面に蓄積し、極性の頭が親水性相に向かい、非極性相が疎水性相に向かっている。界面活性剤は湿潤を、液体分散媒質中の不混和性液体、液滴、もしくは微細固体粒子の有効な分散を、また粒子凝集に対抗する安定化を促進する。界面活性剤は一般的に粒子表面の完全な表面被覆を提供するために十分な量で分散媒質に添加される。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはこれら界面活性剤の混合物であってよい。
【0041】
適当なアニオン性界面活性剤の代表例には、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリアリールスルホネート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、長鎖脂肪アルコールスルフェート類、オレフィンスルフェート類、及びオレフィンスルホネート類、硫酸化モノグリセリド類、硫酸化エステル類、スルホン化エトキシル化アルコール類、スルホスクシネート類、アルカンスルホネート類、リン酸エステル類、アルキルイセチオネート類、アルキルタウレート類、及びアルキルサルコシネート類が含まれる。好ましいアニオン性界面活性剤の一例は、Bio-Soft N-300の名で市販されている。これはStephan Company(Northfield Illinois)により市販のドデシルベンゼンスルホン酸のトリエタノールアミン塩である。
【0042】
適当なカチオン性界面活性剤の代表例には、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、及びホスホニウム塩類が含まれる。
【0043】
好ましいカチオン性界面活性剤の一例は、Ammonxy CETAC 30の名でStephan Companyにより市販のセチルトリメチルアンモニウムクロライドである。別の例は、DC 5700の名でAegis Companyより市販の第四級アンモニウム官能性シランである。
【0044】
適当な非イオン性界面活性剤の代表例には、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールもしくは脂肪酸、例えばC12-16アルコールとの縮合物、エチレンオキシドとアミンもしくはアミドとの縮合物、エチレン及びプロピレンオキシド、グリセロールのエステル類、スクロース、ソルビトール、脂肪酸アルキロイルアミド類、スクロースエステル類、フルオロ界面活性剤類、及び脂肪アミンオキシド類が含まれる。適当な両性界面活性剤の代表例には、イミダゾリン化合物類、アルキルアミノ酸塩類、及びベタイン類が含まれる。
【0045】
適当な市販の非イオン性界面活性剤の代表例には、ポリビニルアルコール(PVAまたはPVOH)(例えば、Clariant Corporation(Charlotte, N.C.)より入手可能なMowiol(登録商標)3-83及び30-92)及びUniqema(ICI Surfactants)(Wilmington, Del.)より商品名BRIJとして市販のポリオキシエチレン脂肪アルコール類が含まれる。例としては、BRIJ 35 Liquid(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとして既知のエトキシル化アルコール)及びBRIJ 30(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルとして市販の別のエトキシル化アルコール)が含まれる。付加的非イオン性界面活性剤には、Dow Chemical Company(Midland, Mich.)よりTERGITOL(登録商標)の商品名で市販のエトキシル化アルコール類が含まれる。例としては、TERGITOLS(登録商標)TNIN-6(エトキシル化トリメチルノナノールとして既知のエトキシアルコール;並びに様々なエトキシル化アルコール類、すなわち商品名TERGITOL(登録商標)15-S-5、TERGITOL(登録商標)15-S-12、TERGITOL(登録商標)15-S-15、及びTERGITOL(登録商標)15-S-40の商品名で市販のC12-C14第二級アルコールエトキシレート類がある。ケイ素原子を含む界面活性剤、例えばシリコーンポリエーテル類もまた使用可能である。
【0046】
シリコーン成分、及び任意の界面活性剤及び水を含むエマルションの準備に際しては、このエマルションの基体への適用時に基体に活性剤を送達するためのエマルション中に、活性剤が導入又は分散される。この活性剤は粉末形態または結晶形態であってよいが、典型的には液体または粘性形態である。活性剤は、エマルション中で親水性担体及び/または疎水性成分と混合するか否かによらず、後から添加可能である。あるいはまた、活性剤はエマルションを準備するための工程中に導入可能である。
【0047】
親水性担体とは、活性剤のための溶媒として作用する本発明の調製物の相の少なくとも1つの成分を意味すると解されるべきである。この親水性担体は本発明の実施態様において使用されるシリコーンマトリックスからの活性剤の放出を助ける。
【0048】
親水性成分とは、本発明の実施態様における親水性担体と活性剤との混合物に添加される少なくとも1つの成分を意味すると解されるべきである。親水性成分は、本発明の実施態様において使用されるシリコーンマトリックスからの活性剤の放出を助ける。
【0049】
活性剤とは、タンパク質、とりわけ酵素を意味すると解されるべきである。
【0050】
タンパク質とは、天然、合成、及び改変酵素、例えばオキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、加水分解酵素類;抗体類;ポリペプチド類;ペプチド類;ホルモン類;サイトカイン類;成長因子類;及び別の生物学的調節因子を意味すると解されるべきである。
【0051】
本発明の活性剤は、一般的にタンパク質、例えば酵素類であって、親水性担体中に導入される。この活性剤は親水性であってよい。包帯剤中への導入に適した酵素は、いかなる酵素であってもよい。酵素には、以下に限定されるものではないが、市販品として入手可能なタイプ、改善タイプ、組替タイプ、ワイルドタイプ、天然には見られない変異体、及びこれらの混合物が含まれる。例えば、適当な酵素には、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、トランスフェラーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、イソメラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、及びこれらの混合物が含まれる。ヒドロラーゼ類には、以下に限定されるものではないが、プロテアーゼ類(細菌性、真菌性、酸性、中性、またはアルカリ性)、アミラーゼ類(アルファまたはベータ)、リパーゼ類、マンナナーゼ類、セルラーゼ類、コラゲナーゼ類、及びこれらの混合物が含まれる。
【0052】
本発明の調製物への配合が適当ととらえてよいリパーゼ酵素類には、Pseudomonas群の微生物により産生されるもの、例えばPseudomonas stutzeri ATCC 19.154(英国特許第1372034号に記載);Pseudomonas mendocina(米国特許第5389536号に記載);及びPseudomonas pseudoalcaligenes(米国特許第5153135号に記載)が含まれる。リパーゼ類には、リパーゼの抗体とポジティブな免疫交差反応を示すもの、微生物Pseudomonas fluorescens IAM 1057をさらに含む。このリパーゼは、Amano Pharmaceutical Co. Ltd.,(Nagoya, Japan)よりLipase P "Amano"の商品名で入手可能である。リパーゼ類にはM1 Lipase及びLipomax(Gist-Brocades NV, Delft, Netherlands)及びLipolase(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)が含まれる。リパーゼ類は通常、シリコーンマトリックス中に、シリコーンマトリックスの重量に対して約0.0001乃至約2%の活性酵素の濃度で、または約0.001mg/g乃至約20mg/gの活性酵素濃度でが導入される。
【0053】
プロテアーゼ類は、一般的にタンパク質類またはペプチド類のペプチド結合が開裂するように作用するカルボニルヒドロラーゼ類である。ここで使用されるように、「プロテアーゼ」とは、天然産生プロテアーゼまたは組替えプロテアーゼを意味する。天然産生プロテアーゼ類には、α-アミノアシルペプチドヒドロラーゼ、ペプチジルアミノ酸ヒドロラーゼ、アシルアミノヒドロラーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、チオールプロテイナーゼ、カルボキシルプロテイナーゼ、及びメタロプロテイナーゼが含まれる。
【0054】
セリン、メタロ、チオール、及び酸プロテアーゼ類も含まれ、エンド及びエキソ-プロテアーゼ類も含まれる。
【0055】
プロテアーゼは、動物、植物、または微生物由来であって良い。例えば、プロテアーゼは微生物由来のセリンタンパク質分解性酵素であってよい。酵素の精製または未精製形態を使用して良い。化学的に変性または遺伝学的に変性した変異体によって産生するプロテアーゼ酵素類が当然含まれ、類似構造の酵素変異体もまた含まれる。
【0056】
特に好ましいプロテアーゼ酵素の例は、Bacillusより得られる微生物セリンタンパク質分解性酵素、特にサブチラーゼ類、例えばBacillus subtilis、Bacillus lentus、Bacillus anayloliquefaciens、及び/またはBacillus licheniformisである。本発明の組成物への導入を考慮してよい適当な市販のタンパク質分解酵素には、Alcalase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Everlase(登録商標)、Kannase(登録商標)、Relase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、及びMaxapem(登録商標)15(タンパク質改変Maxacal);Purafect(登録商標)、Properase(登録商標)(タンパク質改変Purafect)、及びサブチリジンBPN及びBPN'が含まれる。
【0057】
プロテアーゼ酵素類は、天然では見られないアミノ酸配列を有するプロテアーゼ変異体をさらに含む。前記変異体は、天然では見られない別のアミノ酸配列を置換することによって前駆体プロテアーゼから誘導され、参照のためその全体をここに取りこむこととする米国特許第34,606号、米国特許第5,700,676号、米国特許第5,972,682号、及び/または米国特許第6,482,628号に記載の通り、Bacillus amyloliquefaciens subtilisinのナンバリングによる+76, +87, +99, +101, +103, +104, +107, +123, +27, +105, +109, +126, +128, +135, +156, +166, +195, +197, +204, +206, +210, +216, +217, +218, +222, +260, +265, 及び/または+274からなる群より選択されるものと同等の位置に、前記プロテアーゼにおいて対応する位置にてアミノ酸残基を別のアミノ酸で置換することによって前駆体プロテアーゼから誘導されるものである。
【0058】
プロテアーゼ変異体の例示には、米国特許第34606号に記載の通り、以下にプロテアーゼAと呼称される、Bacillus lentusより誘導されたサブチリジン変異体が含まれる。
【0059】
別の適当なプロテアーゼは、米国特許第5700676号に記載の通り、以下にプロテアーゼBと呼称されるBacillus anayloliquesfaciensから誘導されるY217L変異体である。米国特許第6482628号に記載の変性細菌性セリンタンパク質分解酵素であって、ここでプロテアーゼCと呼称するものもまた適当であり、米国特許第5972682号に記載の変性細菌性セリンタンパク質分解酵素であるプロテアーゼDも適当である。
【0060】
ここに参照のために取りこむこととする米国特許第5677163号に記載のLG12 a B.subtilisもまた適当である。
【0061】
本発明の実践に有用な別のプロテアーゼは、Savinase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Purafect(登録商標)、BPN'、プロテアーゼA、プロテアーゼB、プロテアーゼC、プロテアーゼD、LG12、及びこれらの混合物からなる群より選択可能である。プロテアーゼ酵素は一般的に、シリコーンマトリックスの重量に対して約0.0001 乃至約2%の活性酵素の濃度で、または約0.001mg/g乃至約20mg/gの濃度で本発明の調製物中に存在する。
【0062】
当業者には、本発明が上記の酵素に限定されるものではないことは理解されるであろう。さらに当業者には、非タンパク質分解性活性剤、例えば抗感染及び殺菌剤を含む1つ以上の活性剤を、本発明の局所用調製物に使用可能なことが理解される。
【0063】
活性剤及びあらゆる非タンパク質分解性剤は、様々な機能を担って良い。例えば、前記マトリックスは、プロテアーゼ並びに壊死組織の局所的除去及び一般的な創傷清浄化のための他の酵素性切除剤、凝固形成性及び凝固除去性の酵素、ペルオキシド、ペル酸、活性酸素種、並びに自己滅菌、抗感染、及び治癒の促進のための抗接着性触媒アンタゴニストを産生する作用剤、及び皮膚処理のための作用剤を放出することができる。
【0064】
さらにまた、活性剤を安定化または適合化させるため、並びにそのシリコーンマトリックスからの放出を補助するため、親水性及び/または両親媒性賦形剤を使用することができる。賦形剤は、液体、半固体(例えばワックス、ガム)、または固体であってよい。本発明における使用のためのシリコーン賦形剤は、シリコーンポリエーテル類、液体シリコーン類、ジメチコーン類、ジメチコーンコポリオール類、ジメチコノール類、シリコーンアルキルワックス類、シリコーンポリアミド類等を含んでよい。他の可能な賦形剤には、以下に限定されるものではないが、銀、(ポリ)サッカライド類、アクリレート誘導体類、PVA誘導体類、グリコール、グリセロール、グリセリド誘導体類、プロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、セルロース誘導体類、ポリアクリル酸類、アルギネート誘導体類、キトサン誘導体類、ゼラチン、ペクチン、及び多価アルコールが含まれる。
【0065】
さらに、賦形剤とは別に様々な化粧品、パーソナルケア、及び機能性化粧品成分を配合して良い。適当な化粧品、パーソナルケア、及び機能性化粧品成分の例には、以下に限定されるものではないが、アルコール類、脂肪アルコール類、及びポリオール類、アルデヒド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アルコール類(例えばアルコール類及び脂肪アルコール類のポリエチレングリコール誘導体類)、アルコキシル化アミド類、アルコキシル化アミン類、アルコキシル化カルボン酸類、塩を含むアミド類(例えばセラミド類)、アミン類、塩及びアルキル置換誘導体類を含むアミノ酸、エステル類、アルキル置換及びアシル誘導体類、ポリアクリル酸類、アクリルアミドコポリマー類、アジピン酸コポリマー水、アルコール類、アミノシリコーン類、生物学的ポリマー類及び誘導体、ブチレンコポリマー類、炭水化物(例えばポリサッカライド類、キトサン及び誘導体類)、カルボン酸類、カーボマー類、エステル類、エーテル類、及びポリマーエーテル類(例えばPEG誘導体類、PPG誘導体類)、グリセリルエステル類及び誘導体、ハロゲン化合物類、塩を含むヘテロ環化合物類、親水性コロイド類並びに塩及びゴムを含む誘導体類(例えばセルロース誘導体類、ゼラチン、キサンタンガム、天然ゴム類)、イミダゾリン類、無機物質(粘土、TiO2、ZnO)、ケトン類(例えば樟脳)、イセチオネート類、ラノリン及び誘導体類、有機塩類、塩を含むフェノール類(例えばパラベン類)、燐化合物類(例えばリン酸誘導体類)、ポリアクリレート類及びアクリレートコポリマー類、タンパク質及び酵素誘導体類(例えばコラーゲン)、塩を含む合成ポリマー類、シロキサン類及びシラン類、ソルビタン誘導体類、ステロール類、スルホン酸類及び誘導体類、並びにワックス類が含まれる。
【0066】
本発明の方法には、エマルションを準備するためのさらなる特定の工程が含まれる。好ましい実施態様によれば、外部相もしくは連続相中に内部相もしくは非混和性分散相を含む調製物が準備される。疎水性相は一般的にシリコーンマトリックスを含み、親水性相は一般的に少なくとも1つの活性剤を含む親水性担体を含む。さらに、親水性相は如何なる親水性成分をさらに含んでも良い。
【0067】
親水性相は、少なくとも1つの活性剤を含むあらゆる適当な親水性担体を含んでよい。本発明による1つの実施態様では、親水性担体は関連の温度では液体であって、適当な溶媒中に溶解させた固体物質(例えばソルビトール、マンニトール、ラクトース、塩化ナトリウム、及びクエン酸)も使用して良い。例えば、活性剤はプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、多価アルコール、水、または別の適当な親水性担体の溶液中に配合して良い。
【0068】
親水性相は、水溶性で親水性の成分をさらに含んで良い。親水性成分は一般的に活性剤のための溶媒としては作用しない。親水性成分はシリコーンマトリックスからの活性剤の放出速度を増大させることができ、ポリビニルアルコール(PVAまたはPVOH)(例えばClariant Corporation(Charlotte, N.C.)から入手可能なMowiol(登録商標)3-83及び30-92)を含有可能である。親水性相溶液は、最高で約50重量%を超えるPVA水溶液を含有可能である。しかしながら、PVAの高分子量と増大した濃度との両方により、最終組成物の高い粘度がもたらされることが理解される。本発明による1つの実施態様では、この親水性成分は水中に希釈された水濃化剤、例えばセルロース誘導体類(例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、多価アクリル酸類、アルギネート誘導体類、キトサン誘導体類、ゼラチン、ペクチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、並びに活性剤が可溶性もしくは不溶性である別の適当な親水性分子類及び巨大分子類であってよい。
【0069】
エマルションが、本発明の調製物を生成させるためのあらゆる適当な方法、例えば高剪断処理などで内部相と外部相とを撹拌することによって生成される。好ましくは、W/Oエマルションを機械的にO/Wエマルションに転化させる。適当な高剪断装置には、高強度ミキサー、ホモジェナイザー、コロイドミル、Sonolater、Microfluidizer、超音波処理機、チェンジカンミキサー、及びジェネリックデンタルミキサー、例えばFlacktek製のHauschild SpeedMixer(登録商標)が含まれる。好ましい撹拌装置 (すなわちデンタルミキサー)は、ハウジング内に包含され、且つ回転の第一軸の周りを回転するモーターを備えたアーム及び、回転の第二軸の周りを前記アームの回転に際し逆方向に回転するように配置されたバスケットを有するミキサーからなる。
【0070】
操作の間、バスケットは軸の周りを一方向に回転する一方で、同時に別の軸の周りを平面状の動きで(逆)回転する。混合しようとする物質を入れた容器はバスケット中におき、ミキサーを所定時間に亘って作動させるが、この時間は電気式タイマーで制御される。撹拌が非常に有効であるため、通常の撹拌時間は典型的には20秒のオーダーである。このミキサーはSpeedMixer(登録商標)の名でFlacktek, Inc.(Landrum, S.C.)より市販されている。このミキサーについての記載は、米国特許第6,755,565号(2004年6月9日発行)に見いだされる。
【0071】
転化は一般的に、分散物の連続相が分散相になるかまたはその逆の場合に起こる。液体/液体分散物における転相は、突発性転化または遷移性転化のいずれかに分類される。突発性転化は、分散相が連続相になるために十分なほどこの相の比率が高くなるまで、単に相比率を変化させることによって引き起こされる。遷移性転化は、転化を引き起こすために2つの相に対する界面活性剤の親和性が変化する場合に起こる。
【0072】
転化の後、O/Wエマルションはさらなる水で希釈して良い。添加する場合、典型的には、さらなる水はシリコーン成分に所望の粒径が達成された後に加える。内部相の液滴サイズは、様々であって良い、例えば、好ましい実施態様における液滴サイズは約0.01μm乃至約1000μmである一方、最も好ましい実施態様では約0.1μm乃至約0.5μmである。
【0073】
固体含量は、基体へのエマルションの理想的な適用のためのターゲット粘度を達成するために、または基体への活性剤の送達の速度を実現するために、選択的に変化させて良い。
【0074】
以上に示唆されるように、エマルションを準備するために行われる工程の間に、活性剤を導入することができる。とりわけ、活性剤は、連続相と分散相とを含むエマルションに水を添加する工程に加えて活性剤を導入することによって、エマルション中に導入して良い。エマルションは、以下に限定されるものではないが、殺生物剤(例えばDC5700)、銀、増粘剤、凍結融解安定剤、及び電気泳動応用の電極として使用可能な導電性エマルションを作成するための電気導電性添加剤、例えばイオン性種を含む他の添加剤も含有可能である。
【0075】
基体への活性剤の送達方法は、エマルションを基体に適用してこの基体に活性剤を送達する工程をさらに含む。
活性剤を含むエマルションの適用の際、及び基体の空気への暴露の際には、溶媒がエマルションから放出され、基体表面にはフィルムが形成される。
このフィルムは活性剤を含む。
【0076】
要するに、この方法は、包帯剤の少なくとも1つの層を準備し、その後水中油型もしくは油中水型のエマルションを準備し、その後タンパク質を含む活性剤をエマルション中に導入して放出制御組成物を確立し、さらに放出制御組成物を前記層に適用して包帯剤の放出制御層を形成するものである。処置に際しては、放出制御層が水を含まないように放出制御組成物を乾燥させて良い。水を含まないとは、水を全く含まないことを意味すると解されるが、酵素に本来的に結合している水は例外とする。
【0077】
基体が皮膚である実施態様においては、エマルションを皮膚に適用して活性剤を皮膚に送達させる。エマルションは皮膚表面に直接適用、すなわちすり込むかまたは塗りつけてよい。あるいは、エマルションは基体、すなわち皮膚への適用の前に、絆創膏またはパッチ包帯剤に導入されても良い。
【0078】
本発明による送達制御組成物は、接着、制御付き粘着性、制御付き滑性、剪断減少、クッション性、耐水性、遮断性、湿式創傷環境の維持もしくは提供、及び瘢痕減少などの性能特性を送達することができる。この送達制御組成物は、皮膚及び他の基体に対して直接性を有する。さらに、所望により接着性物質を経皮パッチに適用して接着を改善することができる。前記組成物の著しい直接性は、活性剤の送達が長期間に亘って要求される場合に特に有利である。端的に言えば、送達制御組成物は基体に局所的に適用され、ここにフィルムが長期間に亘って維持される。基体が皮膚である場合には、ある程度の身体の油の存在のため、またとりわけ毛深い皮膚への適用の際には、直接性が重要である。この組成物はまた、例えば創傷などの湿った基体に対しても直接性を有する。
局所的包帯剤は、液体、半固体、または固体であって良い。
【0079】
局所的包帯剤が、様々なタイプのあらゆる被覆を意味すると解されることから、液体または半固体の前記包帯剤は、軟膏、ゲル、フォーム、及び低粘度流動体の形態であって良い。こうした包帯剤は、実装され、またチューブ、シリンジ、スティック、ポンプ、スプレー、またはワイプ及びこれらの組み合わせから送達されうる。液体形態は例えば軟膏包帯剤などの場合は液体としてに保持可能であり、または液体絆創膏などの場合は蒸発もしくは架橋によるフィルムの形成の間に固化可能である。
【0080】
固形包帯剤は、接着性ストリップ、絆創膏、パテ、または単一層もしくは多層のフィルムもしくは膜(例えば経皮パッチ)等の三次元形態を有する。図1に示されるように、三次元固形包帯剤は、接着剤、放出制御組成物、吸収剤、または裏当て材料、及びこれらの組み合わせを含んで良い。
【0081】
固形包帯剤は、放出制御組成物層の外側限界を超えて拡がる外部接着性層を利用するか、且つ/または接着性材料が放出制御組成物層に面する皮膚表面に(ただしこの層の外部限界に沿って)位置してもよい。多層固形包帯剤は、連続性または不連続性の層、ドット、接着性環、または空間を含むパターンコーティングした網目層、及びこれらの組み合わせの形態であってよい。固形包帯剤は、如何なるタイプの形状、厚さ、及びサイズを有していても良い。これは高度に可撓性または剛性であってよい。これは自己接着性であってよく(例えば完全接着性表面または接着性環)、またはその位置にとどまるために二次的包帯剤もしくは絆創膏を要する。これは自己指示性であっても、生地(例えばガーゼ、Dacronネット、編み地)に含浸されていても、且つ/またはさらなる裏当て材料で強化されていてもよい。天然の裏当て材料(例えばコラーゲン、アルギネート、セルロース)または合成の裏当て材料(例えばプラスチック及び弾性のフィルム)は、不織材料または編み地の、透明または不透明の、有孔の、平坦な、型押しした、または気泡質の(例えばフォーム)もの、及びこれらの組み合わせであって良い。例えば、プラスチック及び弾性のフィルムには、準閉塞性ポリウレタン類、ポリエチレン、及びシリコーン膜、例えばDow Corning (登録商標)7-4107が含まれる。放出制御組成物は、活性剤の放出制御を提供する親水性担体及びシリコーンマトリックスを含む調製物を含む。多層固形包帯剤中の連続性または不連続性の層は、多数の機能を提供しうる。例えば、放出制御組成物は接着、吸収、クッション、または遮断の特性及びこれらの組み合わせをさらに有してよい。吸収層は創傷からの滲出液を吸収する。クッション層は、再度の損傷を防ぐために創傷、例えば糖尿病性足潰瘍などを覆うパッドを提供する。裏当て層は液体に対して閉塞し、且つ包帯剤に構造的支持を提供しうる。固形包帯剤は、被覆、成形、注型、及び押出を含む、液体もしくは可塑性材料を変形及び成形するための如何なるタイプの方法を利用して構成してもよい。最終装置は、これを多層シートで打ち出し、これを直接最終パッケージ(例えばブリスター)中に型入れするか、またはこれを別個の小片から組み立てること、並びにこれらの組み合わせにより製造してよい。本発明をより容易に理解するために、本発明の詳説を意図するがその範囲を制限するものではない以下の実施例が参照される。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
この実験は、シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、8.71gの親水性担体PVA溶液(水中40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)とを混合することにより調製した。その後、20.43 gのシリコーン相をこの混合物に加えた。この場合はシリコーンマトリックスはDow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着剤であった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図2は、プロテアーゼ B 酵素を含むこのマトリックスからの酵素放出の結果を示す。約50%のプロテアーゼBの制御された放出が、24時間に亘って観察された。
【0083】
(実施例2)
この実験は、1倍、10倍、及び100倍の酵素ローディングを用いたシリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、13gの親水性担体PVA溶液(水中40%のMowiol 3-83)と3.192mlのLG-12プロテアーゼ 酵素原液を混合することによって調製した。その後、30gのシリコーン相をこの混合物に加えた。酵素原液は、酵素ローディングが1倍の場合には0.4098mg/ml、10倍の場合には4.098mg/ml、さらに100倍の場合には40.98mg/mlとした。この場合の シリコーンマトリックスは、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着剤であった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(sucAAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Pius Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図3は、このマトリックスからの酵素放出の結果を示す。24時間の間にLG12プロテアーゼの完全な放出が観察された。この製剤中の酵素ローディングを増大させることにより、パッチからの酵素放出を比例的に増大させることができる。
【0084】
(実施例3)
この実験は、シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB 酵素の持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、17.4gの親水性担体PVA溶液(水中10%のMowiol 30-92)と0.42gのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼ酵素)を混合することによって調製した。その後、10.04gのシリコーン相をこの混合物に加えた。この場合はシリコーンマトリックスはDow Corning(登録商標)高分子量2220非イオン性エマルションであった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図4は、このマトリックスからの酵素放出の結果を示す。約40%のプロテアーゼBの制御された放出が、24時間に亘って観察された。
【0085】
(実施例4)
この実験は、架橋シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出を評価し、製剤中におけるグリセリンの役割を判断するために行った。まず、0.49gのDow Corning(登録商標)1-3502 Si-H fluidを、60gのDow Corning(登録商標)SFD 128ビニルシリコーンポリマーに混合した。次いで、10.08gの10% Mowiol(30-92)界面活性剤を、高度固体エマルションが生成するまで前記混合物に加えた。その後、0.44gのPt触媒をエマルション形態の前記製剤(Dow Corning(登録商標)2-1271)に混合した。この製剤は、Dow Corning(登録商標)9090シリコーンエラストマーエマルションと類似である。この後、エマルションを65%のシリコーン固体含量にまで希釈し、この製剤に0.88gのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)を加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。第二の製剤においては、2%の乾燥重量をグリセリンで置き換え、製剤中にPVAと同一工程において添加した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させ、硬化させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図5は、プロテアーゼ B 酵素のこれらマトリックスからの放出速度を示す。
【0086】
(実施例5)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着性シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出に対する、グリセリンの影響を評価するために行った。まず、親水性相を、8.71gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼ酵素)を混合することにより調製した。その後、20.43gのシリコーン相をこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。第二の製剤においては、2%の乾燥重量をグリセリンで置き換え、製剤中にPVAと同一工程において添加した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図6は、プロテアーゼ B 酵素のこれらマトリックスからの放出速度を示す。
【0087】
(実施例6)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着性シリコーンマトリックスからのLG-12 プロテアーゼの持続性放出に対する加工効果を評価するために行った。まず、親水性相を、13gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.896mlのLG-12プロテアーゼ酵素原液とを混合することにより調製した。その後、30gのシリコーン相をこの混合物に加えた。第一の場合には、シリコーン成分を一工程で加え、第二の場合にはシリコーンを二工程で加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Plus Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。
【0088】
エマルション中のものとフィルム形態のものとの二つのタイプのサンプルを試験したところ、PSAシリコーン成分が親水性相に一工程で加えられているか、二工程で加えられているかによって、明かな相違が観察された。7-4602 PSAを一工程で添加した場合、エマルションは薄く、7-4107膜上での展延が容易であり、乾燥させたフィルムは前記膜表面への優れた接着特性を示した。二工程を用いて調製されたエマルションに比べて、この製剤から放出される酵素は少なかった。対照的に、7-4602が二工程で加えられる場合には、得られるエマルションは濃く、7-4107膜上での展延がより困難であり、乾燥させたフィルムは、フィルムと前記膜との間の7-4600PSA層に補助された場合にのみ前記膜表面に接着した。この製剤からの酵素放出は、一工程の方法を用いて製造されたフィルムから得られる酵素放出よりも多かった。図7はこれらマトリックスからの酵素放出の結果を示す。
【0089】
酵素放出が製剤中の添加工程に依存するようであることから、各エマルションからとった少量のエマルションを水と混合してこのエマルションの性質を試験した。この調査により、7-4602PSAが一工程で添加された場合にはエマルションは水と混ざらないことが示された。これに対して、7-4602PSAが二工程で添加された場合には、得られるエマルションは水中に放散した。これらの結果はそれぞれ、第一のエマルションタイプはW/Oエマルションであり、他方のサンプルはO/Wエマルションであったことを示す。O/Wエマルションからより大きな割合(%)でLG12プロテアーゼが放出されることが観察されたため、前記処理は得られるエマルションのタイプに影響を及ぼすことが判明した。
【0090】
(実施例7)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧接着性シリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出に対する銀コロイドの影響を評価するために行った。40.98mg/mlの酵素原液を銀コロイド溶液(Natural Immunogenics Corp.(Miami, Fla.)製)で10倍に希釈した。まず、親水性相を、6.5gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と1.596mlのLG-12プロテアーゼ酵素/銀コロイド溶液を混合することによって調製した。その後、15gのシリコーン相をこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(sucAAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Pius Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図8は、このマトリックスからの酵素放出が4時間の後には完了したことを示す。
さらに、酵素放出をスキムミルクプレート上でも追跡した。
【0091】
スキムミルクプレート調製:
瓶内において、スキムミルク粉末を水に溶解させ、別の瓶内において酵母抽出物、塩化ナトリウム、及び寒天を合わせて撹拌した。これら瓶を、Hirayamaオートクレーブを用いて121℃にて15分間オートクレーブにかけた。その後、これらを水浴中で45℃に冷却した。この後、スキムミルク溶液を寒天に添加し、混合溶液をペトリ皿にあけて固化させた。酵素を含むシリコーンマトリックスフィルムの小片を切り出し、スキムミルク寒天に押し込んだ。ペトリ皿プレートを30±2°でインキュベートした。図9は24時間のインキュベートの後にスキムミルクプレート上に調製したパッチから放出された酵素を示す。
【0092】
(実施例8)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧接着性シリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出に対するDC 5700シランの影響を評価するために行った。まず、親水性相を、6.54gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)とを混合することによって調製した。その後、2.17gのDC5700シランと、次いで20.43gのシリコーン相とをこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。酵素放出をスキムミルクプレート上で追跡した。
【0093】
スキムミルクプレート調製:
瓶内において、スキムミルク粉末を水に溶解させ、別の瓶内において酵母抽出物、塩化ナトリウム、及び寒天を合わせて撹拌した。これら瓶を、Hirayamaオートクレーブを用いて121℃にて15分間オートクレーブにかけた。その後、これらを水浴中で45℃に冷却した。この後、スキムミルク溶液を寒天に添加し、混合溶液をペトリ皿にあけて固化させた。酵素を含むシリコーンマトリックスフィルムの小片を切り出し、スキムミルク寒天に押し込んだ。ペトリ皿プレートを30±2°でインキュベートした。図10は24時間のインキュベートの後にスキムミルクプレート上に調製したパッチから放出された酵素を示す。少量の酵素がこの製剤から放出されることが観察された。
【0094】
(実施例9)
この実験は、シリコーンマトリックス中の酵素安定性を評価するために行った。乾燥PSA 7-4602シリコーン+PVAフィルム(乾燥重量1g当たりおよそ0.400mgのLG12を含有)を3.5cmのディスク状に切り出し、42°に設定したSYBRON Thermolyne Type 3700培地インキュベーター中で10日間及び20日間に亘りインキュベートした。これらディスクの半数は湿分喪失を最低限にするためにオートクレーブパウチ内に置き、一方で残りの半数は覆わずに置いた。インキュベートしていないディスクを計量し、Hanson SR8 Plus Dissolution Testerの溶解容器に入れ、この実験のコントロールとして用いた。用いた溶解バッファは10mMのMES(pH 5.2)+0.005%のTween-80+10mMの塩化カルシウムであった。10分後、1、2、4、8、16、及び24時間後にフラクションを回収した。これらフラクションを、シリコーンディスクから放出される酵素の量を定量するための基体としてN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリドを用いて、プロテアーゼ活性について評価した。42℃でインキュベートしたディスクについては、ディスクから放出された残りの活性酵素の量を、同様のアッセイで測定した。図11及び12にはシリコーンマトリックス中の酵素安定性に対する湿分損失の影響が示される。
【0095】
(実施例10)
この実験は、DC 3563を加えてより粘着性のシリコーン+PVA+酵素フィルムを作成するために行った。様々な濃度のDC 3563をDow Corning(登録商標)PSA 7-4602のシリコーン相と混合した。その後このシリコーン混合物を、PVA溶液(水中40%のMowial 3-83)とプロテアーゼB酵素とをいずれも含む親水性相に添加してエマルションを生成させた。このエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製の金属展延機を用いて Mylar基体に取り付けたDC 7-4107表面にフィルム状に展延した。乾燥フィルムを3.5cmのディスク状に切り出し、計量し、Hanson SR8 Plus Dissolution Testerの溶解容器に入れた。用いた溶解バッファは10mMのMES(pH 5.2)+0.005%のTween-80+10mMの塩化カルシウムであった。10分後、1、2、4、8、16、及び24時間後にフラクションを回収した。これらフラクションを、シリコーンディスクから放出される酵素の量を定量するための基体としてN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリドを用いてプロテアーゼ活性について評価した。図13には酵素放出に対するDC3563の様々な濃度の影響が示される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1A】図1Aは、本発明による多層包帯剤の側断面図である。
【図1B】図1Bは、はぎ取り式裏当て層を備えた図1Aの包帯剤の側断面図である。
【図1C】図1Cは、付加的な層を含む包帯剤の別の実施態様の側断面図である。
【図1D】図1Dは、接着層として接着剤の輪を備えた、さらに別の包帯剤の実施態様の側断面図である。
【図2】図2は、PSA/PVP製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図3】図3は、様々な濃度でLG12を含有するPSA 7-4602/PVAパッチから放出される酵素(mg)を示すグラフである。
【図4】図4は、2220製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図5】図5は、9090製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図6】図6は、PSA/PVP製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)に対するグリセリンの影響を示すグラフである。
【図7】図7は、LG12酵素の放出に対する処理の影響を示すグラフである。
【図8】図8は、PSA 7-4602/PVA/銀コロイドパッチから放出されるLG12(mg)を示すグラフである。
【図9】図9は、スキムミルクプレート上のPSA/PVA/銀コロイド製剤から24時間で放出されるLG12酵素を表す図である。
【図10】図10は、スキムミルクプレート上のPSA/PVA/DC5700製剤から24時間で放出されるLG12酵素を表す図である。
【図11】図11は、PSA 7-4602+PVAパッチ製剤から放出されるLG12(mg)(42℃で10日間のインキュベート)を示すグラフである。
【図12】図12は、PSA 7-4602+PVAパッチ製剤から放出されるLG12(mg)を示すグラフである。
【図13】図13は、様々なDC3563濃度で製剤されたPVA+PSA7-4602パッチから放出される酵素(%)を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年10月27日に出願された、米国特許仮出願第60/514709号からの優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明の主題は、一般に、多層包帯剤及び基体への局所適用のための放出制御組成物に関する。本発明の主題はまた、一般に、基体への活性剤の送達方法に関する。とりわけ、本発明の包帯剤、放出制御組成物、及び方法は、皮膚への局所適用のために使用され、特に、治療目的で皮膚に適用された際に、この包帯剤からの活性剤の制御された放出を提供する、タンパク質含有活性剤とシリコーンとのエマルションを含む放出制御包帯剤に関する。
【0003】
従来技術のシリコーンの種類は、アルキルシロキサンまたはオルガノシロキサン化学に基づく化合物であり、製薬応用における賦形剤及び処理助剤として使用されているポリジメチルシロキサン物質を含む。当業者には、こうしたシリコーン化合物の、制御された経皮薬剤送達システムにおける使用が既知である。インプラント、挿入物、粘膜接着剤、及び経皮形態を含む新たな長期持続性の薬剤送達応用は、シリコーン独自の、また本来的な特性を引き出す。経皮送達システムは生物学的に適当な動態で標的領域への活性分子の制御された放出を可能にし、且つ悪影響、例えば最大用量、低コンプライアンス、及び薬剤劣化等の従来経口及び非経口の薬物適用について一般に観察される影響を回避する。
【0004】
経皮薬剤送達システムは、接着性パッチを含む薬剤からなるが、これは無傷の皮膚に最長7日間接着する。パッチデザインが活性剤の放出をコントロールする。活性剤は皮膚を透過し循環系によって器官中に輸送されて全身性活性を得る。皮膚を入口点として利用し、接着性プラスターまたはフィルム形成性の実体的材料(例えばクリームもしくはゲル)からなる経皮形態は、局所処置(筋肉もしくは皮膚の疾患)のために使用される。
【0005】
経皮薬剤送達システムは、局所包帯応用、例えば創傷包帯及び軟膏などには導入されておらず、前記システムではシリコーンマトリックス中に分散した生化学薬剤が皮膚もしくは創傷に放出されて治癒を促進する。
【特許文献1】米国特許第6497894号
【特許文献2】米国特許第5321075号
【特許文献3】米国特許第4248751号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、かかる分野には、シリコーンの有利な特性を活かすと共に活性剤の制御された放出を提供することのできる調剤が依然として求められている。
【0007】
多層包帯剤、放出制御組成物、及び方法が開示される。本発明のこれらの要素は、基体への局所適用のために使用される。この方法は基体に活性剤を送達する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
包帯剤には、放出制御層及び接着層が含まれる。放出制御層は、放出制御組成物から形成される。放出制御組成物には、とりわけ、水中油型もしくは油中水型エマルション及び活性剤が含まれる。活性剤は、エマルション中に導入され、且つタンパク質を含むものである。接着層は包帯剤を基体に接着させるために放出制御層に隣接して配置される。かかる方法はタンパク質を含む活性剤を基体に送達する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、活性剤を、基体への適用と同時に、制御された方法で基体に送達することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の好ましい実施態様についての以下の詳細な説明は、以下の図面と共に読むことで最もよく理解することができる。
【0011】
本発明によれば、放出制御組成物を、皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用することのできる、様々な局所用包帯剤に使用して良い。局所用包帯剤は多層のものであり、活性剤が放出し、その下の皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用されるようにすることができる。
【0012】
さらにまた、この組成物を軟膏を形成するために使用してよく、この軟膏は活性剤を放出し、その下の皮膚、損傷組織、及び罹患組織に適用されるようにすることができる。
【0013】
局所用包帯剤は、基体、例えば皮膚、損傷組織、または罹患組織への、分泌物の吸収、外傷からの組織の保護、組織への活性剤の投与、周囲環境からの組織の保護、止血、湿式環境の維持もしくは提供、及びこれらの組み合わせのための直接適用に適した、様々なタイプのあらゆる被覆に言及するものと解してよい。例えば、局所包帯剤は、フィルム、パッチ、包帯、ゲル、軟膏、及び他の半固体組成物の形態であって、皮膚に適用すると乾燥してフィルムもしくはコーティングを皮膚表面に形成するものであって良い。局所用包帯剤は、放出制御組成物の層と少なくとも1つのさらなる層、例えば接着層とを含むという意味において多層を成す。しかしながら、多層の包帯剤でなければ、放出制御組成物自体が基体表面にフィルムを形成し、適当な局所適用もしくは包帯剤として機能しうる。
【0014】
様々な形態の多層包帯剤が図1A乃至1Dに開示されている。この包帯剤は、最高でおよそ5層までを含んで良い。図1A乃至1Dには様々な層に名称が与えられている。接着層(薄い点描部)は放出制御組成物層(濃い斜交線部)のよりよい接着を提供するために結合を強化する。放出制御組成物層は、滲出物を吸収するための吸収層(垂直線部)に覆われていてよく、この層はクッションもしくはクッション層(薄い斜行線部)に覆われていて良い。裏当て層(黒塗り部)は液体の水に対して閉塞していてよい。さらにまた、特に図1Aに言及すれば、基体、すなわち皮膚表面への適用もしくは接着前には、この包帯剤は除去可能なはぎ取り式裏当て層をさらに含んでも良い。さらにまた、図1Dに示されるように、様々な層、例えば接着層は他の層を囲む環として形成可能である。
【0015】
軟膏とは、例えば皮膚、損傷組織、及び罹患組織への外用に適当なあらゆる半固体調剤を意味すると解するべきである。
【0016】
本発明は、基体への局所適用のための、特定処理を施したエマルションと活性剤とを本質的に含む放出制御組成物を含む。本発明は、前記活性剤を基体へ送達する方法をさらに含む。上記してはいないが、これ以降は単に組成物と呼称される放出制御組成物は、エマルションと活性剤とを含む。前記活性剤は前記エマルション中に導入される。
【0017】
エマルションとは、1つの液相の、第二の液相中での一時的もしくは永久的な分散物を意味すると解するべきである。一般的に、液体の一方は水もしくは水性溶液であり、他方は油もしくは別の水と不混和性の液体である。然るに、油中水型(W/O)エマルション中の連続相または外部相は油もしくは別の水不混和性液体である。水中油型(O/W)エマルション中の連続相は水もしくは水性溶液である。本発明の詳説のためには、外部相なる語は疎水性相と互換的に用いられ、内部相なる語は親水性相と互換的に用いられる。
【0018】
有利には、活性剤及び、存在するならば界面活性剤は、エマルションを準備するために行われる様々な乳化工程中に、またはエマルションが準備された後の事後添加状況(post-add)において、活性剤の放出プロフィールまたはエマルションの安定性全般に影響することなくエマルションに添加可能である。
【0019】
放出制御とは、放出動態を、システム自体またはその周囲環境によって制御される方法で活性剤が放出されるようなシステムとして設計することを意味すると解されるべきである。前記活性剤は短期間、例えば約2時間の間に全て放出されるよりはむしろ、例えば4−6時間、約4−12時間、約4−18時間、約4−24時間、約4−36時間、約4−48時間に亘って、湿分等のトリガーの存在下で包帯剤からゆっくりと放出される。制御された放出とは、持続性放出と同等である。
【0020】
エマルションとは、1つの液相の、第二の液相中の一時的もしくは永久的な分散物を意味すると解されるべきであり、W/O及びO/Wエマルションを含む。一般的に、前記液体の一方は水または水性溶液であり、他方は油または別の水不混和性液体である。第一の液体は一般的に連続相または外部相と呼称される。エマルションはさらに、単純エマルション(分散液体もしくは内部相が単純な均一液体であるもの)またはより複雑なエマルション(分散液体相が液体もしくは固体の相の均一な混合物であるもの)、例えば二相エマルションまたは多相エマルションに分類することができる。
【0021】
エマルションは、本発明の調製物を生成させるために適当なあらゆる方法、例えば高剪断処理等で内部相と外部相とを混合させることにより形成される。
【0022】
好ましい方法は、以下に補足的に説明される通り、油中水型(W/O)エマルションの力学的転相であり、形成されたO/Wエマルションは親油性溶媒を含んでいても含まなくても良い。力学的転相はまた、当業者には力学的転相乳化とも呼称される。W/Oエマルションは、力学的転相の前のO/Wエマルションの基礎であるが、シリコーン成分と界面活性剤とを、好ましくは均一な油相中に含み、さらに水を含む。このW/Oエマルションは、本発明の包帯剤において使用して良い実施態様である。このエマルションから得られる包帯剤は、経時的に安定である。
【0023】
前記エマルションのシリコーン成分は、疎水性または親水性の液体、半固体(例えばワックス、ゴム)、または固体であって良い。シリコーン成分がそれ自体疎水性であるか親水性であるかによらず、該シリコーン成分はエマルションの疎水性相中に含まれる。しかしながら、シリコーン成分がエマルションの親水性相中に存在することもまた可能である。
【0024】
さらにまた、疎水性シリコーン成分が幾らかの親水性の置換基を含むことも、親水性シリコーン成分がいくらかの疎水性置換基を含むことも可能である。
【0025】
好ましくは、シリコーン成分は、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物である、感圧性接着剤(PSA)である。好ましくは、前記ヒドロキシ官能性シリケート樹脂は、トリメチルシロキシ及びヒドロキシ末端ブロックシリケート樹脂である。前記ポリマーと樹脂とは、縮合反応で反応し、PSAを生成する。PSAが最も好ましいが、シリコーン成分の別の形態には、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、またはこれら成分の混合物が含まれる。
【0026】
シリコーン成分のこれらの別の形態は、これらがフィルムを形成するため利用可能なのである。
【0027】
活性剤と共に、PSAは生体接着剤として機能する。PSAをシリコーン成分として使用する利点は、PSAが提供する永続性(substantivity)である。こうした永続性は、活性剤が持続性の治療効果を提供するという著しい永続性が求められる、ヒト及び獣医学への応用において特に有利である。
【0028】
前記力学的転相処理によって乳化されるシリコーン成分、特にPSA、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、及び高分子量シリコーン類は、親油性溶媒の非存在下においては、最大で5000000000(50億)センチポワズ(cP)、このましくは少なくとも200000000(2億)センチポワズ(cP)、及びもっとも好ましくは少なくとも1000000000(10億)センチポワズ(cP)の粘度を有する。
【0029】
本発明の目的のためには、シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーなる語は、少なくともいずれのシリコーン成分も伸張及び回復が可能である点で同義である。対照的に、シリコーンガムは引き延ばすことはできるが一般的にはね戻らない。シリコーンガムは、その高粘度可塑性状態から架橋によっておおむね弾性の状態に転化することが可能な、高分子量の、一般的に直鎖状のポリジオルガノシロキサンである。シリコーンガムは、シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーの調製における主成分の1つとしてしばしば使用される。
【0030】
シリコーンエマルションは、シリコーンエラストマー粒子の水性エマルションである。
【0031】
これらエマルションから水を除去することにより、シリコーン弾性フィルムまたはシリコーンエラストマー粒子のいずれかを得る。これらのエマルションは、反応性シリコーンポリマー類と他の成分、例えば触媒または架橋化合物とを水中に乳化させ、次いで適当な加硫(硬化または架橋)工程を行うことによって調製可能である。利用する乳化条件によって、これらのエラストマーエマルションはまた、およそ0.10μm乃至50μmの範囲の平均粒径で製造することができる。シリコーンエラストマーエマルションは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第6497894号(2002年12月24日発行)及び米国特許第5321075号(1994年6月14日発行)及び米国特許第4248751号(1981年2月3日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0032】
したがって本発明の目的のためには、シリコーンガムは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第3692737号(1972年9月19日発行)、米国特許第4152416号(1979年5月1日発行)、米国特許第4885129号(1989年8月8日発行)、米国特許第5057240号(1991年10月15日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0033】
シリコーンゴム及びシリコーンエラストマーは、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第4882377号(1989年11月21日発行)、米国特許第5654362号(1979年8月5日発行)、米国特許第5994549号(1999年11月30日発行)、及び米国特許第6015858号(2004年1月18日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0034】
シリコーン樹脂は、その開示の全体をここに参考のために取りこむこととする米国特許第2676182号(1954年4月20日発行)、米国特許第4310678号(1982年1月12日発行)、米国特許第4423095号(1983年12月27日発行)、及び米国特許第5356585号(1994年10月18日発行)に記載されたタイプの組成物を含むと見なすことができる。
【0035】
本発明のシリコーン樹脂は、MQ樹脂を含むと見なしてもよい。MQなる略語は、シリコーン樹脂に関することから、=Si-O-Si=結合により接合されたシロキサン単位を含むシリコーン樹脂中に存在しうる様々なタイプの構造単位の官能性をそれぞれ表す、記号M、D、T、及びQに由来する。一官能性(M)単位は、(CH3)3sil/2を表し、二官能性(D)単位は(CH3)2SiO2/2を表す。三官能性(T)単位はCH3SiO3/2を表し、枝分かれした直鎖状のシロキサンの生成をもたらす。四官能性(Q)単位はSiO4/2を表し、これは架橋の形成をもたらし、樹脂質のシリコーン組成物をもたらす。
【0036】
ゆえに、MQとは、シロキサンが一官能性のM及び四官能性のQ単位のみを含む場合、または少なくとも高パーセンテージでM及びQ単位を含んでシリコーン樹脂を与える場合に使用される。
【0037】
ここで有用なシリコーン樹脂は、0℃より高いガラス転移温度(Tg)を有する非直線性シロキサン樹脂である。ガラス転移温度とは、高度シリコーンポリマー等のアモルファス物質が、脆性のガラス質状態から可塑性状態に変化する温度である。薄いシリコーン樹脂は一般的に、式R'aSiO/(4a)を有し、ここでR'は、1-6の炭素原子を有する一価の炭化水素基、または1-6の炭素原子で官能基置換された炭化水素基であり、aは1-1.8の平均値を有する。このシリコーン樹脂は好ましくは一官能性(M)単位R"3SiO1/2及び四官能性(Q)単位SiO4/2を含み、ここでR"は1-6の炭素原子を有する一価の炭化水素基、最も好ましくはメチル基であることが好ましい。典型的には、Q基に対するM基の数値比が0.5:1乃至1.2:1の範囲であって、式R'aSiO(4-a)/2中のaが1.0-1.63の平均値を有するものの等価物を与える。好ましくは前記数値比が0.6:1乃至0.9:1である。最も好ましいのは、1分子あたりのQ単位の数が1を上回る、好ましくは5を上回るシリコーンMQである。
【0038】
シリコーン樹脂は、1-5重量%のケイ素結合ヒドロキシル基、例えばジメチルヒドロキシシロキシ単位(HO)(CH3)2SiO1/2をさらに含んでも良い。所望により、シリコーン樹脂はを少量の二官能性(D)単位及び/または三官能性(T)単位をさらに含んでも良い。シリコーン樹脂は、(i)MxQyタイプのシリコーン樹脂(x及びyは、シリコーン樹脂が一分子あたりに少なくとも5より多くのQ単位を含むような値を有する);(ii)MxTyタイプのシリコーン樹脂(x及びyは、シリコーン樹脂が一分子あたりに少なくとも5より多くのT単位を含むような値を有する);(iii)MxDyTpQqタイプのシリコーン樹脂(x、y、p、及びqは、シリコーン樹脂が一分子あたりにQ単位とT単位との合計で少なくとも5より多くの単位を含むような値を有し、D単位の数は0-100の範囲である)を含んで良い。
【0039】
上記の通り、エマルションは界面活性剤を含んで良い。界面活性剤とは、非混和性の液体同士の、または液体とこの上なく微細な固体粒子(しばしばコロイド粒子のサイズのもの)との、均一且つ最大の分離を促進するために懸濁媒質に添加する表面活性剤を意味すると解するべきである。当業者には理解されるとおり、極性の頭基(head group)及び非極性鎖を有する両親媒性分子である。
【0040】
界面活性剤はそれ自体が親水性相と疎水性相との界面に蓄積し、極性の頭が親水性相に向かい、非極性相が疎水性相に向かっている。界面活性剤は湿潤を、液体分散媒質中の不混和性液体、液滴、もしくは微細固体粒子の有効な分散を、また粒子凝集に対抗する安定化を促進する。界面活性剤は一般的に粒子表面の完全な表面被覆を提供するために十分な量で分散媒質に添加される。界面活性剤はアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、またはこれら界面活性剤の混合物であってよい。
【0041】
適当なアニオン性界面活性剤の代表例には、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルカリアリールスルホネート、例えばナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、長鎖脂肪アルコールスルフェート類、オレフィンスルフェート類、及びオレフィンスルホネート類、硫酸化モノグリセリド類、硫酸化エステル類、スルホン化エトキシル化アルコール類、スルホスクシネート類、アルカンスルホネート類、リン酸エステル類、アルキルイセチオネート類、アルキルタウレート類、及びアルキルサルコシネート類が含まれる。好ましいアニオン性界面活性剤の一例は、Bio-Soft N-300の名で市販されている。これはStephan Company(Northfield Illinois)により市販のドデシルベンゼンスルホン酸のトリエタノールアミン塩である。
【0042】
適当なカチオン性界面活性剤の代表例には、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類、スルホニウム塩類、及びホスホニウム塩類が含まれる。
【0043】
好ましいカチオン性界面活性剤の一例は、Ammonxy CETAC 30の名でStephan Companyにより市販のセチルトリメチルアンモニウムクロライドである。別の例は、DC 5700の名でAegis Companyより市販の第四級アンモニウム官能性シランである。
【0044】
適当な非イオン性界面活性剤の代表例には、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールもしくは脂肪酸、例えばC12-16アルコールとの縮合物、エチレンオキシドとアミンもしくはアミドとの縮合物、エチレン及びプロピレンオキシド、グリセロールのエステル類、スクロース、ソルビトール、脂肪酸アルキロイルアミド類、スクロースエステル類、フルオロ界面活性剤類、及び脂肪アミンオキシド類が含まれる。適当な両性界面活性剤の代表例には、イミダゾリン化合物類、アルキルアミノ酸塩類、及びベタイン類が含まれる。
【0045】
適当な市販の非イオン性界面活性剤の代表例には、ポリビニルアルコール(PVAまたはPVOH)(例えば、Clariant Corporation(Charlotte, N.C.)より入手可能なMowiol(登録商標)3-83及び30-92)及びUniqema(ICI Surfactants)(Wilmington, Del.)より商品名BRIJとして市販のポリオキシエチレン脂肪アルコール類が含まれる。例としては、BRIJ 35 Liquid(ポリオキシエチレン(23)ラウリルエーテルとして既知のエトキシル化アルコール)及びBRIJ 30(ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテルとして市販の別のエトキシル化アルコール)が含まれる。付加的非イオン性界面活性剤には、Dow Chemical Company(Midland, Mich.)よりTERGITOL(登録商標)の商品名で市販のエトキシル化アルコール類が含まれる。例としては、TERGITOLS(登録商標)TNIN-6(エトキシル化トリメチルノナノールとして既知のエトキシアルコール;並びに様々なエトキシル化アルコール類、すなわち商品名TERGITOL(登録商標)15-S-5、TERGITOL(登録商標)15-S-12、TERGITOL(登録商標)15-S-15、及びTERGITOL(登録商標)15-S-40の商品名で市販のC12-C14第二級アルコールエトキシレート類がある。ケイ素原子を含む界面活性剤、例えばシリコーンポリエーテル類もまた使用可能である。
【0046】
シリコーン成分、及び任意の界面活性剤及び水を含むエマルションの準備に際しては、このエマルションの基体への適用時に基体に活性剤を送達するためのエマルション中に、活性剤が導入又は分散される。この活性剤は粉末形態または結晶形態であってよいが、典型的には液体または粘性形態である。活性剤は、エマルション中で親水性担体及び/または疎水性成分と混合するか否かによらず、後から添加可能である。あるいはまた、活性剤はエマルションを準備するための工程中に導入可能である。
【0047】
親水性担体とは、活性剤のための溶媒として作用する本発明の調製物の相の少なくとも1つの成分を意味すると解されるべきである。この親水性担体は本発明の実施態様において使用されるシリコーンマトリックスからの活性剤の放出を助ける。
【0048】
親水性成分とは、本発明の実施態様における親水性担体と活性剤との混合物に添加される少なくとも1つの成分を意味すると解されるべきである。親水性成分は、本発明の実施態様において使用されるシリコーンマトリックスからの活性剤の放出を助ける。
【0049】
活性剤とは、タンパク質、とりわけ酵素を意味すると解されるべきである。
【0050】
タンパク質とは、天然、合成、及び改変酵素、例えばオキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、加水分解酵素類;抗体類;ポリペプチド類;ペプチド類;ホルモン類;サイトカイン類;成長因子類;及び別の生物学的調節因子を意味すると解されるべきである。
【0051】
本発明の活性剤は、一般的にタンパク質、例えば酵素類であって、親水性担体中に導入される。この活性剤は親水性であってよい。包帯剤中への導入に適した酵素は、いかなる酵素であってもよい。酵素には、以下に限定されるものではないが、市販品として入手可能なタイプ、改善タイプ、組替タイプ、ワイルドタイプ、天然には見られない変異体、及びこれらの混合物が含まれる。例えば、適当な酵素には、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、トランスフェラーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、イソメラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、及びこれらの混合物が含まれる。ヒドロラーゼ類には、以下に限定されるものではないが、プロテアーゼ類(細菌性、真菌性、酸性、中性、またはアルカリ性)、アミラーゼ類(アルファまたはベータ)、リパーゼ類、マンナナーゼ類、セルラーゼ類、コラゲナーゼ類、及びこれらの混合物が含まれる。
【0052】
本発明の調製物への配合が適当ととらえてよいリパーゼ酵素類には、Pseudomonas群の微生物により産生されるもの、例えばPseudomonas stutzeri ATCC 19.154(英国特許第1372034号に記載);Pseudomonas mendocina(米国特許第5389536号に記載);及びPseudomonas pseudoalcaligenes(米国特許第5153135号に記載)が含まれる。リパーゼ類には、リパーゼの抗体とポジティブな免疫交差反応を示すもの、微生物Pseudomonas fluorescens IAM 1057をさらに含む。このリパーゼは、Amano Pharmaceutical Co. Ltd.,(Nagoya, Japan)よりLipase P "Amano"の商品名で入手可能である。リパーゼ類にはM1 Lipase及びLipomax(Gist-Brocades NV, Delft, Netherlands)及びLipolase(Novozymes A/S, Bagsvaerd, Denmark)が含まれる。リパーゼ類は通常、シリコーンマトリックス中に、シリコーンマトリックスの重量に対して約0.0001乃至約2%の活性酵素の濃度で、または約0.001mg/g乃至約20mg/gの活性酵素濃度でが導入される。
【0053】
プロテアーゼ類は、一般的にタンパク質類またはペプチド類のペプチド結合が開裂するように作用するカルボニルヒドロラーゼ類である。ここで使用されるように、「プロテアーゼ」とは、天然産生プロテアーゼまたは組替えプロテアーゼを意味する。天然産生プロテアーゼ類には、α-アミノアシルペプチドヒドロラーゼ、ペプチジルアミノ酸ヒドロラーゼ、アシルアミノヒドロラーゼ、セリンカルボキシペプチダーゼ、メタロカルボキシペプチダーゼ、チオールプロテイナーゼ、カルボキシルプロテイナーゼ、及びメタロプロテイナーゼが含まれる。
【0054】
セリン、メタロ、チオール、及び酸プロテアーゼ類も含まれ、エンド及びエキソ-プロテアーゼ類も含まれる。
【0055】
プロテアーゼは、動物、植物、または微生物由来であって良い。例えば、プロテアーゼは微生物由来のセリンタンパク質分解性酵素であってよい。酵素の精製または未精製形態を使用して良い。化学的に変性または遺伝学的に変性した変異体によって産生するプロテアーゼ酵素類が当然含まれ、類似構造の酵素変異体もまた含まれる。
【0056】
特に好ましいプロテアーゼ酵素の例は、Bacillusより得られる微生物セリンタンパク質分解性酵素、特にサブチラーゼ類、例えばBacillus subtilis、Bacillus lentus、Bacillus anayloliquefaciens、及び/またはBacillus licheniformisである。本発明の組成物への導入を考慮してよい適当な市販のタンパク質分解酵素には、Alcalase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Everlase(登録商標)、Kannase(登録商標)、Relase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、及びMaxapem(登録商標)15(タンパク質改変Maxacal);Purafect(登録商標)、Properase(登録商標)(タンパク質改変Purafect)、及びサブチリジンBPN及びBPN'が含まれる。
【0057】
プロテアーゼ酵素類は、天然では見られないアミノ酸配列を有するプロテアーゼ変異体をさらに含む。前記変異体は、天然では見られない別のアミノ酸配列を置換することによって前駆体プロテアーゼから誘導され、参照のためその全体をここに取りこむこととする米国特許第34,606号、米国特許第5,700,676号、米国特許第5,972,682号、及び/または米国特許第6,482,628号に記載の通り、Bacillus amyloliquefaciens subtilisinのナンバリングによる+76, +87, +99, +101, +103, +104, +107, +123, +27, +105, +109, +126, +128, +135, +156, +166, +195, +197, +204, +206, +210, +216, +217, +218, +222, +260, +265, 及び/または+274からなる群より選択されるものと同等の位置に、前記プロテアーゼにおいて対応する位置にてアミノ酸残基を別のアミノ酸で置換することによって前駆体プロテアーゼから誘導されるものである。
【0058】
プロテアーゼ変異体の例示には、米国特許第34606号に記載の通り、以下にプロテアーゼAと呼称される、Bacillus lentusより誘導されたサブチリジン変異体が含まれる。
【0059】
別の適当なプロテアーゼは、米国特許第5700676号に記載の通り、以下にプロテアーゼBと呼称されるBacillus anayloliquesfaciensから誘導されるY217L変異体である。米国特許第6482628号に記載の変性細菌性セリンタンパク質分解酵素であって、ここでプロテアーゼCと呼称するものもまた適当であり、米国特許第5972682号に記載の変性細菌性セリンタンパク質分解酵素であるプロテアーゼDも適当である。
【0060】
ここに参照のために取りこむこととする米国特許第5677163号に記載のLG12 a B.subtilisもまた適当である。
【0061】
本発明の実践に有用な別のプロテアーゼは、Savinase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Purafect(登録商標)、BPN'、プロテアーゼA、プロテアーゼB、プロテアーゼC、プロテアーゼD、LG12、及びこれらの混合物からなる群より選択可能である。プロテアーゼ酵素は一般的に、シリコーンマトリックスの重量に対して約0.0001 乃至約2%の活性酵素の濃度で、または約0.001mg/g乃至約20mg/gの濃度で本発明の調製物中に存在する。
【0062】
当業者には、本発明が上記の酵素に限定されるものではないことは理解されるであろう。さらに当業者には、非タンパク質分解性活性剤、例えば抗感染及び殺菌剤を含む1つ以上の活性剤を、本発明の局所用調製物に使用可能なことが理解される。
【0063】
活性剤及びあらゆる非タンパク質分解性剤は、様々な機能を担って良い。例えば、前記マトリックスは、プロテアーゼ並びに壊死組織の局所的除去及び一般的な創傷清浄化のための他の酵素性切除剤、凝固形成性及び凝固除去性の酵素、ペルオキシド、ペル酸、活性酸素種、並びに自己滅菌、抗感染、及び治癒の促進のための抗接着性触媒アンタゴニストを産生する作用剤、及び皮膚処理のための作用剤を放出することができる。
【0064】
さらにまた、活性剤を安定化または適合化させるため、並びにそのシリコーンマトリックスからの放出を補助するため、親水性及び/または両親媒性賦形剤を使用することができる。賦形剤は、液体、半固体(例えばワックス、ガム)、または固体であってよい。本発明における使用のためのシリコーン賦形剤は、シリコーンポリエーテル類、液体シリコーン類、ジメチコーン類、ジメチコーンコポリオール類、ジメチコノール類、シリコーンアルキルワックス類、シリコーンポリアミド類等を含んでよい。他の可能な賦形剤には、以下に限定されるものではないが、銀、(ポリ)サッカライド類、アクリレート誘導体類、PVA誘導体類、グリコール、グリセロール、グリセリド誘導体類、プロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、セルロース誘導体類、ポリアクリル酸類、アルギネート誘導体類、キトサン誘導体類、ゼラチン、ペクチン、及び多価アルコールが含まれる。
【0065】
さらに、賦形剤とは別に様々な化粧品、パーソナルケア、及び機能性化粧品成分を配合して良い。適当な化粧品、パーソナルケア、及び機能性化粧品成分の例には、以下に限定されるものではないが、アルコール類、脂肪アルコール類、及びポリオール類、アルデヒド類、アルカノールアミン類、アルコキシル化アルコール類(例えばアルコール類及び脂肪アルコール類のポリエチレングリコール誘導体類)、アルコキシル化アミド類、アルコキシル化アミン類、アルコキシル化カルボン酸類、塩を含むアミド類(例えばセラミド類)、アミン類、塩及びアルキル置換誘導体類を含むアミノ酸、エステル類、アルキル置換及びアシル誘導体類、ポリアクリル酸類、アクリルアミドコポリマー類、アジピン酸コポリマー水、アルコール類、アミノシリコーン類、生物学的ポリマー類及び誘導体、ブチレンコポリマー類、炭水化物(例えばポリサッカライド類、キトサン及び誘導体類)、カルボン酸類、カーボマー類、エステル類、エーテル類、及びポリマーエーテル類(例えばPEG誘導体類、PPG誘導体類)、グリセリルエステル類及び誘導体、ハロゲン化合物類、塩を含むヘテロ環化合物類、親水性コロイド類並びに塩及びゴムを含む誘導体類(例えばセルロース誘導体類、ゼラチン、キサンタンガム、天然ゴム類)、イミダゾリン類、無機物質(粘土、TiO2、ZnO)、ケトン類(例えば樟脳)、イセチオネート類、ラノリン及び誘導体類、有機塩類、塩を含むフェノール類(例えばパラベン類)、燐化合物類(例えばリン酸誘導体類)、ポリアクリレート類及びアクリレートコポリマー類、タンパク質及び酵素誘導体類(例えばコラーゲン)、塩を含む合成ポリマー類、シロキサン類及びシラン類、ソルビタン誘導体類、ステロール類、スルホン酸類及び誘導体類、並びにワックス類が含まれる。
【0066】
本発明の方法には、エマルションを準備するためのさらなる特定の工程が含まれる。好ましい実施態様によれば、外部相もしくは連続相中に内部相もしくは非混和性分散相を含む調製物が準備される。疎水性相は一般的にシリコーンマトリックスを含み、親水性相は一般的に少なくとも1つの活性剤を含む親水性担体を含む。さらに、親水性相は如何なる親水性成分をさらに含んでも良い。
【0067】
親水性相は、少なくとも1つの活性剤を含むあらゆる適当な親水性担体を含んでよい。本発明による1つの実施態様では、親水性担体は関連の温度では液体であって、適当な溶媒中に溶解させた固体物質(例えばソルビトール、マンニトール、ラクトース、塩化ナトリウム、及びクエン酸)も使用して良い。例えば、活性剤はプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、グリセリン、アルコール、多価アルコール、水、または別の適当な親水性担体の溶液中に配合して良い。
【0068】
親水性相は、水溶性で親水性の成分をさらに含んで良い。親水性成分は一般的に活性剤のための溶媒としては作用しない。親水性成分はシリコーンマトリックスからの活性剤の放出速度を増大させることができ、ポリビニルアルコール(PVAまたはPVOH)(例えばClariant Corporation(Charlotte, N.C.)から入手可能なMowiol(登録商標)3-83及び30-92)を含有可能である。親水性相溶液は、最高で約50重量%を超えるPVA水溶液を含有可能である。しかしながら、PVAの高分子量と増大した濃度との両方により、最終組成物の高い粘度がもたらされることが理解される。本発明による1つの実施態様では、この親水性成分は水中に希釈された水濃化剤、例えばセルロース誘導体類(例えばカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、多価アクリル酸類、アルギネート誘導体類、キトサン誘導体類、ゼラチン、ペクチン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、並びに活性剤が可溶性もしくは不溶性である別の適当な親水性分子類及び巨大分子類であってよい。
【0069】
エマルションが、本発明の調製物を生成させるためのあらゆる適当な方法、例えば高剪断処理などで内部相と外部相とを撹拌することによって生成される。好ましくは、W/Oエマルションを機械的にO/Wエマルションに転化させる。適当な高剪断装置には、高強度ミキサー、ホモジェナイザー、コロイドミル、Sonolater、Microfluidizer、超音波処理機、チェンジカンミキサー、及びジェネリックデンタルミキサー、例えばFlacktek製のHauschild SpeedMixer(登録商標)が含まれる。好ましい撹拌装置 (すなわちデンタルミキサー)は、ハウジング内に包含され、且つ回転の第一軸の周りを回転するモーターを備えたアーム及び、回転の第二軸の周りを前記アームの回転に際し逆方向に回転するように配置されたバスケットを有するミキサーからなる。
【0070】
操作の間、バスケットは軸の周りを一方向に回転する一方で、同時に別の軸の周りを平面状の動きで(逆)回転する。混合しようとする物質を入れた容器はバスケット中におき、ミキサーを所定時間に亘って作動させるが、この時間は電気式タイマーで制御される。撹拌が非常に有効であるため、通常の撹拌時間は典型的には20秒のオーダーである。このミキサーはSpeedMixer(登録商標)の名でFlacktek, Inc.(Landrum, S.C.)より市販されている。このミキサーについての記載は、米国特許第6,755,565号(2004年6月9日発行)に見いだされる。
【0071】
転化は一般的に、分散物の連続相が分散相になるかまたはその逆の場合に起こる。液体/液体分散物における転相は、突発性転化または遷移性転化のいずれかに分類される。突発性転化は、分散相が連続相になるために十分なほどこの相の比率が高くなるまで、単に相比率を変化させることによって引き起こされる。遷移性転化は、転化を引き起こすために2つの相に対する界面活性剤の親和性が変化する場合に起こる。
【0072】
転化の後、O/Wエマルションはさらなる水で希釈して良い。添加する場合、典型的には、さらなる水はシリコーン成分に所望の粒径が達成された後に加える。内部相の液滴サイズは、様々であって良い、例えば、好ましい実施態様における液滴サイズは約0.01μm乃至約1000μmである一方、最も好ましい実施態様では約0.1μm乃至約0.5μmである。
【0073】
固体含量は、基体へのエマルションの理想的な適用のためのターゲット粘度を達成するために、または基体への活性剤の送達の速度を実現するために、選択的に変化させて良い。
【0074】
以上に示唆されるように、エマルションを準備するために行われる工程の間に、活性剤を導入することができる。とりわけ、活性剤は、連続相と分散相とを含むエマルションに水を添加する工程に加えて活性剤を導入することによって、エマルション中に導入して良い。エマルションは、以下に限定されるものではないが、殺生物剤(例えばDC5700)、銀、増粘剤、凍結融解安定剤、及び電気泳動応用の電極として使用可能な導電性エマルションを作成するための電気導電性添加剤、例えばイオン性種を含む他の添加剤も含有可能である。
【0075】
基体への活性剤の送達方法は、エマルションを基体に適用してこの基体に活性剤を送達する工程をさらに含む。
活性剤を含むエマルションの適用の際、及び基体の空気への暴露の際には、溶媒がエマルションから放出され、基体表面にはフィルムが形成される。
このフィルムは活性剤を含む。
【0076】
要するに、この方法は、包帯剤の少なくとも1つの層を準備し、その後水中油型もしくは油中水型のエマルションを準備し、その後タンパク質を含む活性剤をエマルション中に導入して放出制御組成物を確立し、さらに放出制御組成物を前記層に適用して包帯剤の放出制御層を形成するものである。処置に際しては、放出制御層が水を含まないように放出制御組成物を乾燥させて良い。水を含まないとは、水を全く含まないことを意味すると解されるが、酵素に本来的に結合している水は例外とする。
【0077】
基体が皮膚である実施態様においては、エマルションを皮膚に適用して活性剤を皮膚に送達させる。エマルションは皮膚表面に直接適用、すなわちすり込むかまたは塗りつけてよい。あるいは、エマルションは基体、すなわち皮膚への適用の前に、絆創膏またはパッチ包帯剤に導入されても良い。
【0078】
本発明による送達制御組成物は、接着、制御付き粘着性、制御付き滑性、剪断減少、クッション性、耐水性、遮断性、湿式創傷環境の維持もしくは提供、及び瘢痕減少などの性能特性を送達することができる。この送達制御組成物は、皮膚及び他の基体に対して直接性を有する。さらに、所望により接着性物質を経皮パッチに適用して接着を改善することができる。前記組成物の著しい直接性は、活性剤の送達が長期間に亘って要求される場合に特に有利である。端的に言えば、送達制御組成物は基体に局所的に適用され、ここにフィルムが長期間に亘って維持される。基体が皮膚である場合には、ある程度の身体の油の存在のため、またとりわけ毛深い皮膚への適用の際には、直接性が重要である。この組成物はまた、例えば創傷などの湿った基体に対しても直接性を有する。
局所的包帯剤は、液体、半固体、または固体であって良い。
【0079】
局所的包帯剤が、様々なタイプのあらゆる被覆を意味すると解されることから、液体または半固体の前記包帯剤は、軟膏、ゲル、フォーム、及び低粘度流動体の形態であって良い。こうした包帯剤は、実装され、またチューブ、シリンジ、スティック、ポンプ、スプレー、またはワイプ及びこれらの組み合わせから送達されうる。液体形態は例えば軟膏包帯剤などの場合は液体としてに保持可能であり、または液体絆創膏などの場合は蒸発もしくは架橋によるフィルムの形成の間に固化可能である。
【0080】
固形包帯剤は、接着性ストリップ、絆創膏、パテ、または単一層もしくは多層のフィルムもしくは膜(例えば経皮パッチ)等の三次元形態を有する。図1に示されるように、三次元固形包帯剤は、接着剤、放出制御組成物、吸収剤、または裏当て材料、及びこれらの組み合わせを含んで良い。
【0081】
固形包帯剤は、放出制御組成物層の外側限界を超えて拡がる外部接着性層を利用するか、且つ/または接着性材料が放出制御組成物層に面する皮膚表面に(ただしこの層の外部限界に沿って)位置してもよい。多層固形包帯剤は、連続性または不連続性の層、ドット、接着性環、または空間を含むパターンコーティングした網目層、及びこれらの組み合わせの形態であってよい。固形包帯剤は、如何なるタイプの形状、厚さ、及びサイズを有していても良い。これは高度に可撓性または剛性であってよい。これは自己接着性であってよく(例えば完全接着性表面または接着性環)、またはその位置にとどまるために二次的包帯剤もしくは絆創膏を要する。これは自己指示性であっても、生地(例えばガーゼ、Dacronネット、編み地)に含浸されていても、且つ/またはさらなる裏当て材料で強化されていてもよい。天然の裏当て材料(例えばコラーゲン、アルギネート、セルロース)または合成の裏当て材料(例えばプラスチック及び弾性のフィルム)は、不織材料または編み地の、透明または不透明の、有孔の、平坦な、型押しした、または気泡質の(例えばフォーム)もの、及びこれらの組み合わせであって良い。例えば、プラスチック及び弾性のフィルムには、準閉塞性ポリウレタン類、ポリエチレン、及びシリコーン膜、例えばDow Corning (登録商標)7-4107が含まれる。放出制御組成物は、活性剤の放出制御を提供する親水性担体及びシリコーンマトリックスを含む調製物を含む。多層固形包帯剤中の連続性または不連続性の層は、多数の機能を提供しうる。例えば、放出制御組成物は接着、吸収、クッション、または遮断の特性及びこれらの組み合わせをさらに有してよい。吸収層は創傷からの滲出液を吸収する。クッション層は、再度の損傷を防ぐために創傷、例えば糖尿病性足潰瘍などを覆うパッドを提供する。裏当て層は液体に対して閉塞し、且つ包帯剤に構造的支持を提供しうる。固形包帯剤は、被覆、成形、注型、及び押出を含む、液体もしくは可塑性材料を変形及び成形するための如何なるタイプの方法を利用して構成してもよい。最終装置は、これを多層シートで打ち出し、これを直接最終パッケージ(例えばブリスター)中に型入れするか、またはこれを別個の小片から組み立てること、並びにこれらの組み合わせにより製造してよい。本発明をより容易に理解するために、本発明の詳説を意図するがその範囲を制限するものではない以下の実施例が参照される。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
この実験は、シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、8.71gの親水性担体PVA溶液(水中40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)とを混合することにより調製した。その後、20.43 gのシリコーン相をこの混合物に加えた。この場合はシリコーンマトリックスはDow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着剤であった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図2は、プロテアーゼ B 酵素を含むこのマトリックスからの酵素放出の結果を示す。約50%のプロテアーゼBの制御された放出が、24時間に亘って観察された。
【0083】
(実施例2)
この実験は、1倍、10倍、及び100倍の酵素ローディングを用いたシリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、13gの親水性担体PVA溶液(水中40%のMowiol 3-83)と3.192mlのLG-12プロテアーゼ 酵素原液を混合することによって調製した。その後、30gのシリコーン相をこの混合物に加えた。酵素原液は、酵素ローディングが1倍の場合には0.4098mg/ml、10倍の場合には4.098mg/ml、さらに100倍の場合には40.98mg/mlとした。この場合の シリコーンマトリックスは、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着剤であった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(sucAAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Pius Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図3は、このマトリックスからの酵素放出の結果を示す。24時間の間にLG12プロテアーゼの完全な放出が観察された。この製剤中の酵素ローディングを増大させることにより、パッチからの酵素放出を比例的に増大させることができる。
【0084】
(実施例3)
この実験は、シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB 酵素の持続性放出を評価するために行った。まず、親水性相を、17.4gの親水性担体PVA溶液(水中10%のMowiol 30-92)と0.42gのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼ酵素)を混合することによって調製した。その後、10.04gのシリコーン相をこの混合物に加えた。この場合はシリコーンマトリックスはDow Corning(登録商標)高分子量2220非イオン性エマルションであった。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図4は、このマトリックスからの酵素放出の結果を示す。約40%のプロテアーゼBの制御された放出が、24時間に亘って観察された。
【0085】
(実施例4)
この実験は、架橋シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出を評価し、製剤中におけるグリセリンの役割を判断するために行った。まず、0.49gのDow Corning(登録商標)1-3502 Si-H fluidを、60gのDow Corning(登録商標)SFD 128ビニルシリコーンポリマーに混合した。次いで、10.08gの10% Mowiol(30-92)界面活性剤を、高度固体エマルションが生成するまで前記混合物に加えた。その後、0.44gのPt触媒をエマルション形態の前記製剤(Dow Corning(登録商標)2-1271)に混合した。この製剤は、Dow Corning(登録商標)9090シリコーンエラストマーエマルションと類似である。この後、エマルションを65%のシリコーン固体含量にまで希釈し、この製剤に0.88gのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)を加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。第二の製剤においては、2%の乾燥重量をグリセリンで置き換え、製剤中にPVAと同一工程において添加した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させ、硬化させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図5は、プロテアーゼ B 酵素のこれらマトリックスからの放出速度を示す。
【0086】
(実施例5)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着性シリコーンマトリックスからのプロテアーゼB酵素の持続性放出に対する、グリセリンの影響を評価するために行った。まず、親水性相を、8.71gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素原液(1ml当たり42 mgのプロテアーゼ酵素)を混合することにより調製した。その後、20.43gのシリコーン相をこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。第二の製剤においては、2%の乾燥重量をグリセリンで置き換え、製剤中にPVAと同一工程において添加した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Franz Cell Assembly及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Franz Cell本体を溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを前記セルの上に取り付けた。前記セルから、15分、1時間、2時間、4時間、8時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図6は、プロテアーゼ B 酵素のこれらマトリックスからの放出速度を示す。
【0087】
(実施例6)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧性接着性シリコーンマトリックスからのLG-12 プロテアーゼの持続性放出に対する加工効果を評価するために行った。まず、親水性相を、13gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.896mlのLG-12プロテアーゼ酵素原液とを混合することにより調製した。その後、30gのシリコーン相をこの混合物に加えた。第一の場合には、シリコーン成分を一工程で加え、第二の場合にはシリコーンを二工程で加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(suc-AAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Plus Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。
【0088】
エマルション中のものとフィルム形態のものとの二つのタイプのサンプルを試験したところ、PSAシリコーン成分が親水性相に一工程で加えられているか、二工程で加えられているかによって、明かな相違が観察された。7-4602 PSAを一工程で添加した場合、エマルションは薄く、7-4107膜上での展延が容易であり、乾燥させたフィルムは前記膜表面への優れた接着特性を示した。二工程を用いて調製されたエマルションに比べて、この製剤から放出される酵素は少なかった。対照的に、7-4602が二工程で加えられる場合には、得られるエマルションは濃く、7-4107膜上での展延がより困難であり、乾燥させたフィルムは、フィルムと前記膜との間の7-4600PSA層に補助された場合にのみ前記膜表面に接着した。この製剤からの酵素放出は、一工程の方法を用いて製造されたフィルムから得られる酵素放出よりも多かった。図7はこれらマトリックスからの酵素放出の結果を示す。
【0089】
酵素放出が製剤中の添加工程に依存するようであることから、各エマルションからとった少量のエマルションを水と混合してこのエマルションの性質を試験した。この調査により、7-4602PSAが一工程で添加された場合にはエマルションは水と混ざらないことが示された。これに対して、7-4602PSAが二工程で添加された場合には、得られるエマルションは水中に放散した。これらの結果はそれぞれ、第一のエマルションタイプはW/Oエマルションであり、他方のサンプルはO/Wエマルションであったことを示す。O/Wエマルションからより大きな割合(%)でLG12プロテアーゼが放出されることが観察されたため、前記処理は得られるエマルションのタイプに影響を及ぼすことが判明した。
【0090】
(実施例7)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧接着性シリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出に対する銀コロイドの影響を評価するために行った。40.98mg/mlの酵素原液を銀コロイド溶液(Natural Immunogenics Corp.(Miami, Fla.)製)で10倍に希釈した。まず、親水性相を、6.5gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と1.596mlのLG-12プロテアーゼ酵素/銀コロイド溶液を混合することによって調製した。その後、15gのシリコーン相をこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。サンプルを、Hanson SR8 Plus Dissolution Tester及びN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリド(sucAAPF-pNA)アッセイを用いてタンパク質分解活性について試験した。Hanson SR8 Pius Dissolution Testerを溶解バッファ(10mMのMES、10mMのCaCl2、及び0.005%のTween 80(pH 5.4))で満たし、パッチサンプルを容器内に置いた。前記セルから、10分、1時間、2時間、4時間、8時間、16時間、及び24時間後にサンプルを回収した。回収したサンプルそれぞれからアリコートをピペットでとり、アッセイバッファ(100mMのTris及び0.005%のTween 80(pH 8.6))及びsuc-AAPF-pNA基体を含むキュベットに直接入れた。その後、酵素活性を紫外/可視分光計で測定し、溶解バッファ中の酵素濃度(mg/ml)を得た。図8は、このマトリックスからの酵素放出が4時間の後には完了したことを示す。
さらに、酵素放出をスキムミルクプレート上でも追跡した。
【0091】
スキムミルクプレート調製:
瓶内において、スキムミルク粉末を水に溶解させ、別の瓶内において酵母抽出物、塩化ナトリウム、及び寒天を合わせて撹拌した。これら瓶を、Hirayamaオートクレーブを用いて121℃にて15分間オートクレーブにかけた。その後、これらを水浴中で45℃に冷却した。この後、スキムミルク溶液を寒天に添加し、混合溶液をペトリ皿にあけて固化させた。酵素を含むシリコーンマトリックスフィルムの小片を切り出し、スキムミルク寒天に押し込んだ。ペトリ皿プレートを30±2°でインキュベートした。図9は24時間のインキュベートの後にスキムミルクプレート上に調製したパッチから放出された酵素を示す。
【0092】
(実施例8)
この実験は、Dow Corning(登録商標)PSA 7-4602感圧接着性シリコーンマトリックスからのLG 12プロテアーゼの持続性放出に対するDC 5700シランの影響を評価するために行った。まず、親水性相を、6.54gの親水性担体PVA溶液(40%のMowiol 3-83)と0.767mlのプロテアーゼB酵素(1ml当たり42 mgのプロテアーゼB酵素)とを混合することによって調製した。その後、2.17gのDC5700シランと、次いで20.43gのシリコーン相とをこの混合物に加えた。各添加工程の後に、サンプルをHouschild AM-501デンタルミキサーで二度撹拌した。調製したエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製のドローダウンバーを用いてDC 7-4107シリコーン膜/ポリカーボネート基体上に塗布した。塗設したフィルムを通風フード内で24時間に亘って薄いフィルムとなるまで乾燥させた。乾燥させたフィルムからパッチを切り出し、酵素放出活性について分析した。酵素放出をスキムミルクプレート上で追跡した。
【0093】
スキムミルクプレート調製:
瓶内において、スキムミルク粉末を水に溶解させ、別の瓶内において酵母抽出物、塩化ナトリウム、及び寒天を合わせて撹拌した。これら瓶を、Hirayamaオートクレーブを用いて121℃にて15分間オートクレーブにかけた。その後、これらを水浴中で45℃に冷却した。この後、スキムミルク溶液を寒天に添加し、混合溶液をペトリ皿にあけて固化させた。酵素を含むシリコーンマトリックスフィルムの小片を切り出し、スキムミルク寒天に押し込んだ。ペトリ皿プレートを30±2°でインキュベートした。図10は24時間のインキュベートの後にスキムミルクプレート上に調製したパッチから放出された酵素を示す。少量の酵素がこの製剤から放出されることが観察された。
【0094】
(実施例9)
この実験は、シリコーンマトリックス中の酵素安定性を評価するために行った。乾燥PSA 7-4602シリコーン+PVAフィルム(乾燥重量1g当たりおよそ0.400mgのLG12を含有)を3.5cmのディスク状に切り出し、42°に設定したSYBRON Thermolyne Type 3700培地インキュベーター中で10日間及び20日間に亘りインキュベートした。これらディスクの半数は湿分喪失を最低限にするためにオートクレーブパウチ内に置き、一方で残りの半数は覆わずに置いた。インキュベートしていないディスクを計量し、Hanson SR8 Plus Dissolution Testerの溶解容器に入れ、この実験のコントロールとして用いた。用いた溶解バッファは10mMのMES(pH 5.2)+0.005%のTween-80+10mMの塩化カルシウムであった。10分後、1、2、4、8、16、及び24時間後にフラクションを回収した。これらフラクションを、シリコーンディスクから放出される酵素の量を定量するための基体としてN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリドを用いて、プロテアーゼ活性について評価した。42℃でインキュベートしたディスクについては、ディスクから放出された残りの活性酵素の量を、同様のアッセイで測定した。図11及び12にはシリコーンマトリックス中の酵素安定性に対する湿分損失の影響が示される。
【0095】
(実施例10)
この実験は、DC 3563を加えてより粘着性のシリコーン+PVA+酵素フィルムを作成するために行った。様々な濃度のDC 3563をDow Corning(登録商標)PSA 7-4602のシリコーン相と混合した。その後このシリコーン混合物を、PVA溶液(水中40%のMowial 3-83)とプロテアーゼB酵素とをいずれも含む親水性相に添加してエマルションを生成させた。このエマルションを、Paul N. Gardner Company, Inc.製の金属展延機を用いて Mylar基体に取り付けたDC 7-4107表面にフィルム状に展延した。乾燥フィルムを3.5cmのディスク状に切り出し、計量し、Hanson SR8 Plus Dissolution Testerの溶解容器に入れた。用いた溶解バッファは10mMのMES(pH 5.2)+0.005%のTween-80+10mMの塩化カルシウムであった。10分後、1、2、4、8、16、及び24時間後にフラクションを回収した。これらフラクションを、シリコーンディスクから放出される酵素の量を定量するための基体としてN-スクシニル-L-Ala-L-Ala-L-Pro-L-Phe-p-ニトロアニリドを用いてプロテアーゼ活性について評価した。図13には酵素放出に対するDC3563の様々な濃度の影響が示される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1A】図1Aは、本発明による多層包帯剤の側断面図である。
【図1B】図1Bは、はぎ取り式裏当て層を備えた図1Aの包帯剤の側断面図である。
【図1C】図1Cは、付加的な層を含む包帯剤の別の実施態様の側断面図である。
【図1D】図1Dは、接着層として接着剤の輪を備えた、さらに別の包帯剤の実施態様の側断面図である。
【図2】図2は、PSA/PVP製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図3】図3は、様々な濃度でLG12を含有するPSA 7-4602/PVAパッチから放出される酵素(mg)を示すグラフである。
【図4】図4は、2220製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図5】図5は、9090製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)を示すグラフである。
【図6】図6は、PSA/PVP製剤から放出されるプロテアーゼB酵素(%)に対するグリセリンの影響を示すグラフである。
【図7】図7は、LG12酵素の放出に対する処理の影響を示すグラフである。
【図8】図8は、PSA 7-4602/PVA/銀コロイドパッチから放出されるLG12(mg)を示すグラフである。
【図9】図9は、スキムミルクプレート上のPSA/PVA/銀コロイド製剤から24時間で放出されるLG12酵素を表す図である。
【図10】図10は、スキムミルクプレート上のPSA/PVA/DC5700製剤から24時間で放出されるLG12酵素を表す図である。
【図11】図11は、PSA 7-4602+PVAパッチ製剤から放出されるLG12(mg)(42℃で10日間のインキュベート)を示すグラフである。
【図12】図12は、PSA 7-4602+PVAパッチ製剤から放出されるLG12(mg)を示すグラフである。
【図13】図13は、様々なDC3563濃度で製剤されたPVA+PSA7-4602パッチから放出される酵素(%)を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体への局所適用のための多層包帯剤であって、
(A)(i)水中油型または油中水型エマルション;及び
(ii)前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤
を含む放出制御組成物から形成される放出制御層;
(B)前記包帯剤の基体への接着のための、前記放出制御層に隣接して設けられた接着層;及び
(C)裏当て層、クッション層、吸収層、第二接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される付加的な層
を含む包帯剤。
【請求項2】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項3】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項4】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項5】
前記タンパク質が酵素である、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項6】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項5に記載の包帯剤。
【請求項7】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項5に記載の包帯剤。
【請求項8】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項9】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項10】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項11】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項10に記載の包帯剤。
【請求項12】
賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項13】
前記エマルションが、前記水中油型エマルションである、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項14】
前記水中油型エマルションが、実質的に親油性の溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により生成する、請求項13に記載の包帯剤。
【請求項15】
前記包帯剤が、パッチである、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項16】
前記放出制御層が基体に隣接し、前記付加的な層が前記放出制御層から離れた前記接着層に隣接して設けられている、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項17】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項18】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項19】
基体への局所適用のための多層包帯剤であって、
(A)(i)実質的に親油性溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により形成される水中油型エマルション;及び
(ii)前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤
を含む放出制御組成物から形成される放出制御層;及び
(B)前記包帯剤の基体への接着のための、前記放出制御層に隣接して設けられた接着層
を含む包帯剤。
【請求項20】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項21】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項22】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項23】
前記タンパク質が酵素である、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項24】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項23に記載の包帯剤。
【請求項25】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項23に記載の包帯剤。
【請求項26】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項27】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項28】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項29】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項28に記載の包帯剤。
【請求項30】
賦形剤をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項31】
前記包帯剤が、パッチである、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項32】
裏当て層、クッション層、吸収層、第二接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される付加的な層をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項33】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項34】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項35】
実質的に親油性溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により形成される水中油型エマルション、及び前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤を含む、基体への局所適用のための放出制御組成物。
【請求項36】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項37】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項38】
前記担体が、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、アルコール、多価アルコール、水、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項39】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項40】
前記タンパク質が酵素である、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項41】
前記酵素が、天然酵素、合成酵素、改変酵素、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項42】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項43】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項44】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項37に記載の放出制御組成物。
【請求項45】
前記分散剤が、前記界面活性剤とは異なるシリコーンベースの界面活性剤を含む、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項46】
前記分散剤が、非イオン性界面活性剤類、アニオン性界面活性剤類、エーテル類、エステル類、グリコール類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項47】
前記活性剤が、粉末形態または結晶形態である、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項48】
前記分散剤が、前記活性剤を封入している、請求項47に記載の放出制御組成物。
【請求項49】
前記活性剤が、液状または粘性形態である、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項50】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項51】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項52】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項51に記載の放出制御組成物。
【請求項53】
前記ヒドロキシ官能性シリケート樹脂が、トリメチルシロキシ及びヒドロキシ末端ブロックシリケート樹脂としてさらに定義される、請求項52に記載の放出制御組成物。
【請求項54】
賦形剤をさらに含む、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項55】
前記放出制御組成物のフィルムが、基体への前記放出制御組成物の局所適用の際に基体表面に形成される、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項56】
多層包帯剤を用いる、タンパク質を含む活性剤の基体への送達方法であって、包帯剤の少なくとも1つの層を準備する工程;水中油型または油中水型のエマルションを準備する工程;前記エマルションにタンパク質を含む活性剤を導入して放出制御組成物を確立する工程;前記放出制御組成物を前記層に塗布して当該包帯剤の放出制御層を形成する工程;を含む方法。
【請求項57】
基体に包帯剤を接着させて基体にタンパク質を含む活性剤を送達する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記包帯剤の層が、裏当て層、クッション層、吸収層、接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
活性剤のエマルションへの導入に先立ち、分散剤中に活性剤を封入する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
活性剤のエマルションへの導入に先立ち、活性剤を分散剤と混合して分散物を形成する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
水中油型または油中水型のエマルションを準備する工程が、油中水型エマルションの水中油型エマルションへの機械的転化の工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
賦形剤をエマルションに導入する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記基体が皮膚であり、基体に包帯剤を接着する工程が、皮膚に包帯剤を接着してタンパク質を含む活性剤を皮膚に送達する工程としてさらに定義される、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記基体が、生物学的表面、人の身体組織、及び動物の身体組織のいずれか1つを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記基体が、叢を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記包帯剤が、パッチである、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
前記放出制御組成物を前記層に塗布して放出制御組成物層を形成する工程が、前記層表面に放出制御組成物を貼り付ける工程としてさらに定義される、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記放出制御組成物を乾燥させて、放出制御層が水を含まないようにする工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項1】
基体への局所適用のための多層包帯剤であって、
(A)(i)水中油型または油中水型エマルション;及び
(ii)前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤
を含む放出制御組成物から形成される放出制御層;
(B)前記包帯剤の基体への接着のための、前記放出制御層に隣接して設けられた接着層;及び
(C)裏当て層、クッション層、吸収層、第二接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される付加的な層
を含む包帯剤。
【請求項2】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項3】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項4】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項5】
前記タンパク質が酵素である、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項6】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項5に記載の包帯剤。
【請求項7】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項5に記載の包帯剤。
【請求項8】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項9】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項10】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項11】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項10に記載の包帯剤。
【請求項12】
賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項13】
前記エマルションが、前記水中油型エマルションである、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項14】
前記水中油型エマルションが、実質的に親油性の溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により生成する、請求項13に記載の包帯剤。
【請求項15】
前記包帯剤が、パッチである、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項16】
前記放出制御層が基体に隣接し、前記付加的な層が前記放出制御層から離れた前記接着層に隣接して設けられている、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項17】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項1に記載の包帯剤。
【請求項18】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項2に記載の包帯剤。
【請求項19】
基体への局所適用のための多層包帯剤であって、
(A)(i)実質的に親油性溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により形成される水中油型エマルション;及び
(ii)前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤
を含む放出制御組成物から形成される放出制御層;及び
(B)前記包帯剤の基体への接着のための、前記放出制御層に隣接して設けられた接着層
を含む包帯剤。
【請求項20】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項21】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項22】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項23】
前記タンパク質が酵素である、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項24】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項23に記載の包帯剤。
【請求項25】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項23に記載の包帯剤。
【請求項26】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項27】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項28】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項29】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項28に記載の包帯剤。
【請求項30】
賦形剤をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項31】
前記包帯剤が、パッチである、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項32】
裏当て層、クッション層、吸収層、第二接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される付加的な層をさらに含む、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項33】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項19に記載の包帯剤。
【請求項34】
前記放出制御層が前記包帯在中で乾燥しており、前記放出制御層が前記放出制御組成物によって形成された後には前記放出制御層が水を含まない、請求項20に記載の包帯剤。
【請求項35】
実質的に親油性溶媒を含まず、且つ油中水型エマルションの機械的転化により形成される水中油型エマルション、及び前記エマルションに導入され、且つタンパク質を含む活性剤を含む、基体への局所適用のための放出制御組成物。
【請求項36】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項37】
前記親水性相と疎水性相との間に界面活性剤をさらに含む、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項38】
前記担体が、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポロキサマー、アルコール、多価アルコール、水、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項39】
前記担体が前記水との溶液状である、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項40】
前記タンパク質が酵素である、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項41】
前記酵素が、天然酵素、合成酵素、改変酵素、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項42】
前記酵素が、オキシドレダクターゼ類、トランスフェラーゼ類、イソメラーゼ類、リガーゼ類、ヒドロラーゼ類、クチナーゼ類、オキシダーゼ類、レダクターゼ類、ヘミセルラーゼ類、エステラーゼ類、ペクチナーゼ類、ラクターゼ類、ペルオキシダーゼ類、ラッカーゼ類、カタラーゼ類、抗体類、ポリペプチド類、ペプチド類、ホルモン類、サイトカイン類、成長因子類、生物学的調節因子類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項43】
前記酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼB、またはLG12を含む、請求項40に記載の放出制御組成物。
【請求項44】
前記活性剤を分散させるための分散剤をさらに含む、請求項37に記載の放出制御組成物。
【請求項45】
前記分散剤が、前記界面活性剤とは異なるシリコーンベースの界面活性剤を含む、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項46】
前記分散剤が、非イオン性界面活性剤類、アニオン性界面活性剤類、エーテル類、エステル類、グリコール類、及びこれらの組み合わせの群から選択される、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項47】
前記活性剤が、粉末形態または結晶形態である、請求項44に記載の放出制御組成物。
【請求項48】
前記分散剤が、前記活性剤を封入している、請求項47に記載の放出制御組成物。
【請求項49】
前記活性剤が、液状または粘性形態である、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項50】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項51】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項36に記載の放出制御組成物。
【請求項52】
前記感圧性接着剤が、ヒドロキシ末端ブロックポリジメチルシロキサンポリマーとヒドロキシ官能性シリケート樹脂との反応生成物を含む、請求項51に記載の放出制御組成物。
【請求項53】
前記ヒドロキシ官能性シリケート樹脂が、トリメチルシロキシ及びヒドロキシ末端ブロックシリケート樹脂としてさらに定義される、請求項52に記載の放出制御組成物。
【請求項54】
賦形剤をさらに含む、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項55】
前記放出制御組成物のフィルムが、基体への前記放出制御組成物の局所適用の際に基体表面に形成される、請求項35に記載の放出制御組成物。
【請求項56】
多層包帯剤を用いる、タンパク質を含む活性剤の基体への送達方法であって、包帯剤の少なくとも1つの層を準備する工程;水中油型または油中水型のエマルションを準備する工程;前記エマルションにタンパク質を含む活性剤を導入して放出制御組成物を確立する工程;前記放出制御組成物を前記層に塗布して当該包帯剤の放出制御層を形成する工程;を含む方法。
【請求項57】
基体に包帯剤を接着させて基体にタンパク質を含む活性剤を送達する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記包帯剤の層が、裏当て層、クッション層、吸収層、接着層、及びこれらの組み合わせの群より選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
活性剤のエマルションへの導入に先立ち、分散剤中に活性剤を封入する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
活性剤のエマルションへの導入に先立ち、活性剤を分散剤と混合して分散物を形成する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
水中油型または油中水型のエマルションを準備する工程が、油中水型エマルションの水中油型エマルションへの機械的転化の工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
前記エマルションが、前記活性剤、水、及び担体を含む親水性相、並びにシリコーン成分を含む疎水性相を有する、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記シリコーン成分が、シリコーンガム、シリコーンゴム、シリコーンエラストマー、シリコーン樹脂、高分子量シリコーン類、シリコーンエマルション類、及びこれら成分の組み合わせからなる群より選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記シリコーン成分が、感圧性接着剤を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
賦形剤をエマルションに導入する工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記基体が皮膚であり、基体に包帯剤を接着する工程が、皮膚に包帯剤を接着してタンパク質を含む活性剤を皮膚に送達する工程としてさらに定義される、請求項57に記載の方法。
【請求項67】
前記基体が、生物学的表面、人の身体組織、及び動物の身体組織のいずれか1つを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記基体が、叢を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項69】
前記包帯剤が、パッチである、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
前記放出制御組成物を前記層に塗布して放出制御組成物層を形成する工程が、前記層表面に放出制御組成物を貼り付ける工程としてさらに定義される、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
前記放出制御組成物を乾燥させて、放出制御層が水を含まないようにする工程をさらに含む、請求項56に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2007−509956(P2007−509956A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538224(P2006−538224)
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/035686
【国際公開番号】WO2005/044242
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(503358709)ジェネンコー インターナショナル インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/035686
【国際公開番号】WO2005/044242
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【出願人】(503358709)ジェネンコー インターナショナル インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
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