局所適用医薬組成物
式Iの化合物は皮膚透過増強剤として有用であり、(I)式中、Rは、直鎖の飽和または不飽和、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、C=O、CONH、O、NHCONH、S、またはS=O基を表す。これらの化合物を用いる組成物および方法も記載する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体を参照により本明細書に援用する、2003年7月11日出願の米国特許仮出願第60/486236号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、皮膚および他の膜を通して活性剤を投与するための医薬組成物、ならびにそれを調製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、皮膚または他の膜、例えば粘膜を通して身体に活性剤を送達するために、経皮治療製剤が開発されてきた。これらの製剤は、腸および肝臓において活性剤が代謝を回避することを可能にするという利点を提供し、副反応を低減し、より長い薬理効果を提供する。しかしながら、皮膚は天然にほとんどの活性剤などの異物に対するバリアを提供するため、それらの使用は限定されている。したがって、限られた種類の活性剤のみが、皮膚組織内および血流内部で有効濃度に達することができる。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/486236号
【非特許文献1】WienerおよびGilon、J.Mol.Catalysis 37: 45〜52、1986
【特許文献2】米国特許第5,942,545号
【特許文献3】米国特許第5,976,566号
【特許文献4】米国特許第5,023,252号
【特許文献5】米国特許第5,731,303号
【特許文献6】米国特許第6,046,244号
【特許文献7】米国特許第4,980,378号
【特許文献8】米国特許第4,316,893号
【特許文献9】米国特許第4,424,210号
【特許文献10】米国特許第5,204,339号
【非特許文献2】The Merck Index、最新版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの問題を克服するために様々な試みがなされてきた。1つのアプローチは、皮膚透過増強(SPE)化合物の使用によって皮膚のバリア性を低減することにより、活性剤の経皮吸収を増大するものである。しかしながら、活性剤および/または担体とのSPE化合物の適合性の問題、あるいは増強剤自体の有効性の問題が引き続き生じる。さらに、皮膚刺激、ならびに他の全身性および局所性副作用が問題となることが判明した。これらの問題を克服するために、さらなる改善が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)以下の式Iで表され皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
[式中、
Rは、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、>C=O、-CONH-、-O-、-NHCONH-、-S-、または>S=O基を表す。]
【0008】
本発明の一実施形態は、
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0011】
本発明の他の実施形態は、
a)約1重量%から約15重量%の塩酸ブスピロン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
【化3】
【0013】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0014】
本発明の他の実施形態は、
a)約1重量%から約10重量%のイブプロフェン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
【化4】
【0016】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0017】
本発明の他の実施形態は、
a)約0.5重量%から約5重量%のテストステロン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
【化5】
【0019】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0020】
本発明の他の実施形態は、
a)約0.5重量%から約5重量%のPGE-1、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
【化6】
【0022】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0023】
本発明の他の実施形態は、
a)約1.5重量%から約3.5重量%のヒドロキノン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
【化7】
【0025】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0026】
本発明の他の実施形態は、医薬組成物を形成する方法であって、
a)約1重量%から約10重量%の活性剤、
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を混合することを含む方法を提供する。
【0027】
【化8】
【0028】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0029】
本発明の他の実施形態は、それを必要としている動物または植物に活性剤を投与する方法であって、
a)活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を前記動物または植物に局所適用することを含む方法を提供する。
【0030】
【化9】
【0031】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0032】
本明細書では、以下の用語は以下の意味を有する。「医薬として許容される」は、リスクに対するベネフィットを考慮するとき、過度の副作用(毒性、刺激、およびアレルギー反応など)なしに、ヒトを含む哺乳動物に使用が許容される物質を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
皮膚透過増強剤
一実施形態において、本発明の皮膚透過増強化合物は、以下の式Iで表すことができる。
【0034】
【化10】
【0035】
[式中、Rは、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、>C=O、-CONH-、-O-、-NHCONH-、-S-、>S=O基を表す。]
式Iの化合物の非限定的な例には、エステル類、アミド類、ケトン類、エーテル類、ウレタン類、チオエーテル類、およびスルホキシド類が含まれる。
【0036】
本発明の一実施形態において、式Iの皮膚透過増強剤化合物は、式IAまたはIBで表される化合物から選択することができる。
【0037】
【化11】
【0038】
[式中、R1は、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、X1は、酸素原子またはNH基である。]
【0039】
本発明の一実施形態において、式IAおよびIBの化合物には、R1が、直鎖C6〜C20アルキル基、例えばC6〜C16アルキル基、C6〜C14アルキル、またはC8〜C14アルキル基を表す化合物が含まれる。R1は、例えばC8〜C14直鎖アルキル基、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシル基を表すことができる。一実施形態において、R1は、偶数個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、例えばオクチル、デシル、ドデシル、またはテトラデシル基を表す。
【0040】
式IAおよびIBの典型的な皮膚透過増強剤化合物には、ピバル酸デシル、ピバル酸ドデシル、ピバル酸テトラデシル、N-デシルピバルアミド、N-ドデシルピバルアミド、デカン酸t-ブチル、ラウリン酸t-ブチル、およびミリスチン酸t-ブチルが含まれる。
【0041】
多くの場合、式IAまたはIBの化合物は一般に、他の増強剤に比べて臭気が低く、かつ、それらを含有する製剤においてより安定である可能性がある。
【0042】
本発明の増強剤は多くの場合、この組成物の総重量に対して、約1重量%または2重量%から約15重量%または20重量%、例えば約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%存在することができる。例えば活性剤、所望の透過の深度および速度、ならびに存在する他の成分の種類に応じて、より多いまたは少ない量も有効である可能性がある。
【0043】
式IAおよびIBによる化合物は、当分野で知られている手法によって合成することができる。例えば、これらの式のエステルは、成分アルコールと酸とのエステル化反応によって合成することができる。例えば、WienerおよびGilon,J.Mol.Catalysis 37:45〜52,1986を参照されたい。
【0044】
式IAまたはIBの皮膚透過増強化合物は、個別に、あるいは互いに組み合わせて、または以下に記載する化合物などの他の知られている皮膚透過増強化合物と混合して用いることができる。
【0045】
式IAおよび/またはIBの化合物と組み合わせて用いることのできる、知られている皮膚透過増強化合物には、例えば
(i)式(I)の2-置換1,3-ジオキソラン、
【0046】
【化12】
【0047】
または式(II)の2-置換1,3-ジオキサン、
【0048】
【化13】
【0049】
または式(III)のアセタール(ヘミアセタールを含む)が含まれる。
【0050】
【化14】
【0051】
[式中、Rは、C6からC20脂肪族基を表し、R0、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して、水素またはC1からC4脂肪族基を表し、R'1およびR'2は、それぞれ独立して、水素またはC1からC4脂肪族基を表すことができるが、但し、R'1およびR'2は、同時には水素を表さない。これらの式の化合物は、MacroChem CorporationからSEPA(登録商標)の商標で市販されており入手することができる。]
【0052】
Rは、C6からC12脂肪族基、特にC7からC10脂肪族基を表すこともできる。この脂肪族基は、直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケニル基、例えばn-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-メチル-オクチル、4-エチル-デシル、8-メチル-デシル、n-オクテニル、n-ステアリルなどであることができる。
【0053】
C1からC4脂肪族基は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、エテニルなどであることができる。例えば、R1からR6は、脂肪族基を表すことができ、R'1およびR'2は、アルキル基、例えば1または2個の炭素原子を有するアルキル、例えばエチルなどを表すことができる。R1からR6は、すべて水素であることもできる。
【0054】
式(I)、(II)、および(III)の代表的な皮膚透過増強化合物には、例えば2-n-ヘプチル-1,3-ジオキソラン、2-n-ノニル-1,3-ジオキソラン、2-n-ウンデシル-1,3-ジオキソラン、2-n-ノニル-1,3-ジオキサン、2-n-ウンデシル-1,3-ジオキサン、2-n-ヘプチルアルデヒド-アセタール、2-n-オクチル-アルデヒド-アセタール、2-n-ノニルアルデヒド-アセタール、2-n-デシルアルデヒド-アセタール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール(シトラール)、シトロナール(citronal)などが含まれる。米国特許第5,942,545号および第5,976,566号も参照されたい。
【0055】
他のクラスの皮膚透過増強化合物(ii)は、例えばそれらの開示の全体を参照により本明細書に援用する、米国特許第5,023,252号および第5,731,303号に記載されている環状ケトンおよび環状ラクトン、ならびにそれらの誘導体である。
【0056】
皮膚透過増強化合物(ii)は、以下の式(IV)で表すことができる。
【0057】
【化15】
【0058】
[式中、XおよびYは、酸素、硫黄、あるいは以下の構造、
【0059】
【化16】
【0060】
または=N-Rのイミノ基であるが、Yがイミノ基であるとき、Xはイミノ基であり、Yが硫黄であるとき、Xは硫黄またはイミノ基であり、Aは、以下の構造を有する基であり、
【0061】
【化17】
【0062】
式中、XおよびYは、上に定義したとおりであり、
mおよびnは、1から20の値を有する整数であり、m+nの合計は、25以下であり、
pは、0または1の値を有する整数であり、
qは、0または1の値を有する整数であり、
rは、0または1の値を有する整数であり、
Rは、水素、あるいは1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表し、
R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して、水素、あるいは1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表すが、但し、R1からR6の1つのみが前記アルキル基であることができ、さらに但し、
p、q、およびrが、0の値を有するとき、Yは酸素であり、m+nは少なくとも11であり、
Xがイミノ基であるとき、qは1であり、Yは酸素であり、pおよびrは0であり、このときm+nは少なくとも11である。]
【0063】
RおよびR1からR6のアルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、アミル、ヘキシルなどが含まれる。
【0064】
例えば、RおよびR1からR6はそれぞれ、水素原子を表すことができ、XおよびYは、それぞれ酸素を表すことができる。式(IV)で表される化合物は、環状ケトン(qおよびrがそれぞれ0であるとき)、または環状ラクトンであることができる。
【0065】
式(IV)の他の化合物は、以下の一般式(IV-A)で表すことができる。
【0066】
【化18】
【0067】
[式中、X、Y、R、A、m、n、p、q、およびrは、上に定義したとおりである。]
【0068】
例えば、式(IV-A)において、XおよびYは、それぞれ酸素を表すことができ、Rは、水素を表すことができる。
【0069】
例えば、ペンタデカラクトンは、(ii)型の皮膚透過増強剤である。
【0070】
他のクラスの皮膚透過増強化合物(iii)には、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート、(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート、またはそれらの混合物が含まれ、より詳細には、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第6,046,244号に記載されているとおりである。好都合に参照するために、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類および(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類は、アルキル(N,N 2置換アミノ)エステル類としてまとめて分類することができる。
【0071】
皮膚透過増強剤として有用なアルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は、以下の式(V)で表すこともでる。
【0072】
【化19】
【0073】
[式中、nは、約4から約18の範囲の値を有する整数であり、
Rは、水素、C1からC7アルキル、ベンジル、およびフェニルからなる群のメンバーであり、
R1およびR2は、水素、およびC1からC7アルキルからなる群のメンバーであり、R3およびR4は、水素、メチル、およびエチルからなる群のメンバーである。]
【0074】
典型的なアルキル(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類には、C4からC18アルキル(N,N 2置換アミノ)アセテート類、およびC4からC18アルキル(N,N 2置換アミノ)プロピオネート類が含まれる。典型的な特定のアルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類には、ドデシル2(N,Nジメチルアミノ)プロピオネート(DDAIP)、およびドデシル2(N,Nジメチルアミノ)アセテート(DDAA)が含まれる。
【0075】
アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は知られている。例えば、ドデシル2(N,Nジメチルアミノ)プロピオネート(DDAIP)は、Steroids,Ltd.(Chicago、Ill)から入手可能である。さらに、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は、その合成手順を参照により本明細書に援用する、Wong他の米国特許第4,980,378号に記載のとおり、より容易に入手可能な化合物から合成することができる。
【0076】
適切な(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類は、式(VI)で表すことができる。
【0077】
【化20】
【0078】
[式中、mは、約5から約22、好ましくは約5から約18の範囲の値を有する整数であり、yは、0から約5の範囲の値を有する整数であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素、C1からC8アルキル、およびC6からC8アリールからなる群のメンバーであり、R8は、水素、ヒドロキシル、C1からC8アルキル、またはC6からC8アリールを表す。]
【0079】
(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類には、C5からC18カルボン酸エステル、例えば以下の式(VI-1)の化合物などが含まれる。
【0080】
【化21】
【0081】
[式中、mは、約5から約21、好ましくは約5から約16の整数であり、pは、0から約3の整数、好ましくは0または1、特に0である。]
【0082】
典型的な式(VI)の特定のアルキルアルカノエート化合物には、1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールドデカノエート(DAIPD)、1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールミリステート(DAIPM)、および1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールオレエート(DAIPO)が含まれる。
【0083】
他のクラスの(iv)型の透過増強剤には、N-アルキルラクタム類、例えばそれらの開示の全体を参照により本明細書に援用する米国特許第4,316,893号および第4,424,210号に開示のものなど、ならびにN-アルキルアザシクロヘプタン類、例えばその開示の全体を参照により本明細書に援用する米国特許第5,204,339号に開示のものなどが含まれる。
【0084】
N-アルキルラクタム類には、例えば以下の式(VII)の化合物が含まれる。
【0085】
【化22】
【0086】
[式中、mは、3から7の整数であり、nは、0、または1から17の整数であり、但し、mが3であるとき、nは、7から17であり、Rは、好ましくはメチルである。]
【0087】
以下の式(VII-1)で表されるあるクラスのラクタム類も、SPEとして用いることができる。
【0088】
【化23】
【0089】
[式中、n=0または1であり、n''=0、1、または2である。]
【0090】
式(VII)の化合物の例には、
1-n-ヘキシルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ヘプチルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-オクチルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ノニルアザシクロペンタン-2-オン
1-デシルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ドデシルアザシクロペンタン-2-オン
1-メチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-プロピルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-ブチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-オクチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-フェニルアザシクロペンタン-2-オン
1-(2-クロロフェニル)アザシクロペンタン-2-オン
1,3-ビス-(1-アザシクロペンタン-2-オニル)プロパン
が含まれる。
【0091】
これらの中で、1-n-ドデシル-アザシクロヘプタン-2-オンは、AZONEの商標名で市販され入手可能である。
【0092】
N-アルキルアザシクロヘプタン類は、以下の式(VIII)で表すことができる。
【0093】
【化24】
【0094】
[式中、Xは、OまたはS、好ましくはOを表し、R'は、HまたはC1からC4アルキルを表し、rは、2から6の整数であり、sは、0または1から17の整数である。]
【0095】
代表的な式(VIII)の化合物には、
1-n-ウンデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-デシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-オクチルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ノニルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ドデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-テトラデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ヘキサデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ペンタデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ヘプタデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-(16-メチルヘキサデシル)ホルミルアザシクロヘプタン
が含まれる。
【0096】
式(I)および/または式(II)の化合物に加えて、上記の1種または複数の(i)〜(iv)型などの、1種または複数のSPE化合物が用いられるとき、そのような他のSPE化合物の量は、通常、全処方に対して約0.1重量%から約10重量%の範囲内となる。SPE化合物の総量は、約0.1から約20重量%の範囲内であることができる。
【0097】
活性剤
本明細書では、「活性剤」という用語は、その薬剤が投与される動物または植物において、所望の生物、薬理、または生理的効果を生じる、投与に適した任意の化学または生物材料を意味する。そのような効果には、これに限定されるものではないが、(1)例えば感染を防ぐような、所望でない生物作用を防ぐなど、動物または植物に予防効果を有すること、(2)動物または植物の疾患に起因する状態を緩和する、例えば疾患の結果生じる疼痛または炎症を緩和すること、および/または(3)動物または植物から疾患を緩和、軽減、または完全に除去することを含むことができる。この効果は、局所麻酔効果を提供するなど、局所性であることができ、または全身性であることもできる。活性剤は、医薬として有効な量で存在する。本明細書では、「動物」という用語は、ヒト、ならびに他の哺乳動物、例えばネコおよびイヌなどの家畜を含む、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジも含むものとして理解される。
【0098】
本発明の組成物に用いることのできる活性剤には、本発明の組成物と適合性であり、所望の効果を得るための皮膚または他の膜を通して送達され得る任意の局所性または全身性活性剤が含まれる。生物および医薬活性剤に加えて、本発明による式(I)および(II)のSPE化合物は、化粧剤などの、他の活性剤の皮膚または他の膜内への送達を促進するために用いることもできる。
【0099】
本発明の実施形態において有用な活性剤は、極性、非極性、イオン性、非イオン性、親水性、脂肪親和性、水溶性、または水不溶性であることができる。
【0100】
代表的な活性剤(治療クラスによって分類)には、これに限定されるものではないが、
気管支拡張剤、例えばクロモグリク酸ナトリウム、サルブタモール、またはテオフィリンなど、
利尿剤、例えばフロセミド、またはヒドロクロロチアジドなど、
抗菌剤、例えばペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、またはクロラムフェニコールなど、
抗真菌剤、例えばアモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン(ticlatone)、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオンなど、
抗挫創剤、例えばエリスロマイシンなど、
鎮静剤または精神安定剤、例えばペントバルビタール、セコバルビタール、またはコデインなど、
精神刺激剤、例えば3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート、または3-(2-アミノブチル)インドールアセテートなど、
抗不安剤、例えばジアゼパム、クロルジアゼポキシド、レセルピン、クロルプロマジン、塩酸ブスピロン、またはチオプロパゼートなど、
エストロゲン類(Oestrogens)、例えばエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、およびゼラノールなど、
ホルモン薬(ホルモン)、例えばアンドロゲン類、例えばアンドロステンジオールおよびアンドロイソオキサゾールなど、テストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステノン;エストロゲン(Estrogens)、例えば17β-エストラジオール、エストラジオール-3,17-ジアセテート、エストラジオール-3-アセテート、エストラジオール-17-アセテート、エストラジオール-3,17-バレレート、エストラジオール-3-バレレート、エストラジオール-17-バレレート、エチニルエストラジオール、エストロン; プロゲステロン類、例えばプロゲステロン(プレグ-4-エン-3,20-ジオン)、ノルエチンドロン、ノルゲストリエオン(norgestrieone)、ノルゲスタジエノン(norgestadienone)、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、プロゲストゲン酸(progestogenic acid)、ジヒドロプロゲステロール(dihydroprogesterol)、ノマゲステロール(nomagesterol)などが含まれる。さらに、上に挙げた典型的なホルモンにおいて、テストステロンは、例えばアセテート、プロピオネート、17-β-シクロペンタン-プロピオネート、エナンタネート(enanthanate)、イソブチレート、ウンデコネートなどの、通常の任意の形態で用いることができる。同様に、エストラジオール類もさらに、例えばピバレート、プロピオネート、シピオネート、ベンゾエート、および他のエステルなどの、任意の知られている形態、または新しく開発された形態で用いることができる。薬理学分野の現在の知識レベルに基づいて、これらの中で特に好ましくは、任意の塩またはエステル形態のテストステロン、プロゲステロン、およびエストラジオールである。しかしながら、より一般的には、例えばThe Merck Indexの最新版に挙げられているような、任意の政府承認ホルモンを有利に用いることができる
【0101】
他の薬理活性剤には、例えば
排卵誘発剤、例えばクロミフェンなど、
解熱剤、例えばアセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、またはサリチル酸メチルなど、
麻薬性鎮痛剤、例えばモルヒネ、または主要な鎮痛剤、
血糖降下剤、例えばスルホニル尿素、例えばグリピジド、グリブリック(glyburic)、クロルプロパミド、またはインスリンなど、
鎮痙剤、例えばアトロピン、または臭化メトスコポラミン、
抗マラリア剤、例えば4-アミノキノリン、または9-アミノキノリンなど、
β遮断薬、例えばメトプロロールなど、
抗関節炎剤、例えばスリンダクなど、
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばヘテロアリール酢酸、例えばトルメチン、ジクロフェナク、ケトロラクなど、アリールプロピオン酸類、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジンなど、アントラニル酸類(フェナメート類)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸など、エノール酸、例えばオキシカム(例えばピロキシカム、テノキシカム)、ピラゾリジンジオン類(例えばフェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))など、アルカノン類、例えばナブメトンなどが含まれる。薬理学分野の現在の知識レベルに基づいて、これらの中で特に好ましくは、イブプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、およびピロキシカムである。しかしながら、より一般的には、例えばThe Merck Indexの最新版に挙げられているような、任意の政府承認NSAIDを有利に用いることができる。
【0102】
本発明の実施形態に従って、より効率よく経皮的に送達することのできる薬理活性剤の他の例には、以下が含まれる。
抗骨粗鬆剤、例えばエチドロン酸塩、またはチルドロン酸塩など、
皮膚漂白剤、例えばアスコルビン酸、またはヒドロキノンなど、
血管拡張剤、例えばジピリダモール、プロスタグランジン、トリニトリン、またはイソソルビドジニトレートなど、
プロスタグランジン類、例えばアルプロスタジル(PGE1)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2α)、およびミソプロストールなど、
男性または女性の性機能障害の治療に有用な他の薬剤、例えばパパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、ニトログリセリン、α遮断薬、酸化窒素供与体など、
コルチコステロイド類、例えばベタメタゾン、ベタメタゾンバレレート、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチレート、ヒドロコルチゾン21-アセテートメチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソロン21-ホスフェート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど、
ステロイド剤類、例えばコルトドキソン、フルオロアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート(difluorsone diacetate)、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル(amcinafel)、アムシナフィド(amcinafide)、ベタメタゾン、および他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン(clorcortelone)、デスシノロン(descinolone)、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾンアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル(amcinafal)、アムシナフィド(amcinafide)、ベタメタゾン、ベタメタゾンベンゾエート、クロロプレドニゾンアセテート、クロコルトロンアセテート、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、ジクロリゾンアセテート、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾンピバレート、フルニソリドアセテート、フルペロロンアセテート、フルプレドニソロンバレレート、パラメタゾンアセテート、プレドニソラメート(prednisolamate)、プレドニバル(prednival)、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール(cortivazol)、ホルモコルタール(formocortal)、およびニバゾール(nivazol)など、
血圧降下剤、例えばプロパノロール、プラゾシン、ジルチアゼム、またはクロニジンなど、
抗パーキンソン病剤、例えばメチルドパまたはセレジリンなど、
抗片頭痛剤、例えばジヒドロエルゴタミンなど、
抗潰瘍剤、例えばシメチジンなど、
抗癌剤、例えばタモキシフェン、シスプラチンなど、
栄養剤、例えばビタミン類、必須アミノ酸類、または必須脂肪酸類など。
【0103】
本発明による他の有用な活性剤には、さらにヒドロモルホン、ヒドロキノン、テンタニル(tentanyl)、ナロゾン(nalozone)、ナルブフィン、ブプレノルフィン、メチルフェニデート、セレジリン、ピモジド、ブスピロン、オキシブチニン、タクロリムス、ムピロシン、ブロモクリプチン、ナプロキセン、ジクロフェナク、イブプロフェン、プロスタグランジンE1、テストステロン、テルビナフェン、またはエコナゾールを含むことができる。
【0104】
上述のとおり、本発明の組成物は、上に挙げた群から選択されたいくつかの医薬物質の組合せから形成される活性剤を場合によって含有することができる。上に挙げたような活性剤は、多くの場合、複数の生物または薬理効果を有し得ることも知られている。
【0105】
活性剤は、組成物に薬理、医薬、または化粧品的有効量で存在することができ、治療される疾患または状態、患者の年齢、および当分野の技術者に充分に理解される他の要因などの要因によって決まる。一般に、活性剤の量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%から約15重量%、例えば組成物の約1重量%から約15重量%、例えば約0.5重量%から約5重量%、または約1重量%から約10重量%、または約1重量%から約5重量%、例えば約1.0重量%または1.5重量%から約3.0重量%または3.5重量%の範囲であることができる。
【0106】
賦形剤
本発明による組成物はさらに、活性剤および皮膚透過増強剤を皮膚、あるいは鼻または口腔粘膜などの他の膜に運ぶのを助けるために、適切な濃度および量の固体、半固体、または液体の医薬として許容される賦形剤を含むことができる。賦形剤の性質は、組成物を局所投与するために選択された方法によって決まる。
【0107】
このための賦形剤の選択には、必要とされる組成物の製品形態に応じて、広範囲な可能性がある。
【0108】
賦形剤は、活性剤および透過増強剤の希釈剤、分散剤、または溶媒を含むことができ、したがってそれらが皮膚の適切な領域に均一に適用され、分布され得ることを確実にする組成物であると説明されるべきである。本発明による組成物は、賦形剤として水、および/または少なくとも1種の医薬として許容される水以外の賦形剤を含むことができる。
【0109】
本発明による組成物に用いることのできる水以外の賦形剤には、固体、または液体、例えば皮膚軟化剤および保湿剤、溶媒、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、着色剤、香料、推進剤、および固体添加剤が含まれる。単独または混合物として用いることのできる、そのような種類の添加剤の例は以下のとおりである。
【0110】
代表的な皮膚軟化剤および保湿剤の例には、例えばステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチルが含まれる。
【0111】
代表的な推進剤には、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、プロパン、ブタン、イソブタン、二酸化炭素が含まれる。
【0112】
代表的な溶媒には、例えば低級アルコール、ポリオール、ポリエーテル、油、エステル、アルキルケトンなどが含まれる。例えば、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランを挙げることができる。溶媒は、活性剤および1種または複数のSPE化合物を溶解する能力に関して選択されることができ、当分野の技術者は、どの溶媒がそのような目的に適しているか、またはどの溶媒が適切であるか判定する方法を理解するであろう。
【0113】
代表的な湿潤剤には、例えばグリセリン、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、ゼラチンが含まれ、本発明による実施形態に用いることができる。
【0114】
代表的な固体添加剤には、例えばチョーク、タルク、フラーズアース、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状二酸化ケイ素、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、含水ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシアルキル化セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。
【0115】
賦形剤の量は、組成物の残量を占めることができる。したがって、1種または複数の賦形剤は、組成物の約99.9重量%まで、例えば約50から約99重量%、例えば約70から約95重量%、例えば約70から約99重量%を占めることができる。
【0116】
上述の成分は、皮膚透過増強剤および活性剤と共に製剤化して、局所適用に適した組成物を形成することができ、これにはクリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、噴霧剤、エアロゾル剤などが含まれる。一実施形態において、活性剤および皮膚透過増強剤は、クリーム剤または軟膏剤を形成するために、クリームベースまたは軟膏ベースに分散される。
【0117】
局所用担体には、通常の乳化剤または他の賦形剤を含むことができ、これにはアルギン酸塩、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、セチルアルコール、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ソルビトール、ポリエトキシル化ソルビタン、脂肪酸エステル(TWEEN)、白色ワセリン(ペトロラタム)、トリエタノールアミン、アロエベラ抽出物、ラノリン、カカオ脂などが含まれる。適切な局所用担体は、当分野の技術者によく知られている。
【0118】
調製および投与
本発明による組成物は、局所、例えば経皮投与によく適しており、選択された比率で種々の成分を混合することによって通常の方法で調製することができる。異なる活性剤は、製剤において異なる皮膚透過増強剤、溶媒、または担体系、あるいは他の成分と共に異なる結果を生じる可能性があり、当分野の技術者は本発明の開示に照らして、所与の活性剤に関して、適切な系と共に適切な増強剤を選択することができるであろう。
【0119】
このようにして得られる本発明による組成物は、任意の手段で所定の皮膚の領域、例えば10から100cm2、例えば50cm2の領域に適用することができる。
【0120】
本発明の医薬組成物が、ローション剤、クリーム剤、エマルション、ゲル剤、液剤、軟膏剤、または類似の組成物の形態であるとき、これらの組成物は、選択された皮膚の領域に薄膜として広げることができ、この目的を達するために、必ずしも中間の推進ガスを必要としない。あるいは、局所経皮組成物は、経皮送達装置、例えばパッチに組み入れることもできる。
【0121】
本発明の他の実施形態において、この組成物は、推進剤を使用せずに用いられる、既知であり市販されている型の投薬ポンプを用いて、直接噴霧によって投与することができる。しかしながら、所望であれば、本発明の組成物は、上に挙げたものなどの圧縮推進ガスをさらに含有する、用量バルブを備えた容器から噴霧することによって投与できる。
【0122】
(実施例)
以下の実施例を、本発明の特定の実施形態として、本発明の実施および利点を実証するために示す。これらの実施例は、例示のために示されるものにすぎず、本明細書および請求の範囲をいかなる方法によっても限定するものではないことが理解される。
【0123】
(実施例1)
以下の組成物を、指示した活性剤および皮膚透過増強化合物のエタノール溶液として調製し、その後、経皮透過を試験した。
【0124】
【表1−1】
【0125】
【表1−2】
【0126】
【表1−3】
【0127】
【表1−4】
【0128】
(実施例2)
皮膚透過増強剤の存在下、ヒトの皮膚を通る種々の活性剤の流量を測定するために以下の実験を行った。ヒトの遺体皮膚を、AATB認定組織バンクから得た。この組織は、死後15時間以内、または遺体が冷蔵された場合24時間以内に採取し、標準的な技法を用いてこれらの実験のために調製した。
【0129】
ドナー区画およびレセプタ区画からなる水平ガラス拡散セル(Crown Glass Company of Somerville、NJ、U.S.A.から提供されるFranz型拡散セル、または静止セル)を用いて、経皮吸収を測定した。拡散に利用できる面積は0.635cm2であり、レセプタ区画の容量は5.5mlであった。液体が皮膚膜と接するように、レセプタチャンバに、活性剤を溶解するのに充分な量でVolpo 20を含有する約5mlの緩衝食塩水を充填し、正確な温度に平衡させた。皮膚表面の温度は、37℃に設定したドライブロックヒーターに拡散セルを置くことによって、実験中32℃に維持した。レセプタ区画の内容物は、小さいPTFE被覆磁気攪拌子で連続的に攪拌した。
【0130】
次いで、マイクロピペットを用いて製剤を適用した。ピペットを適用前後に秤量し、適用した量を記録した。製品の適用後、注射器を用いて、一定時間毎に全レセプタ相を除去した。最終レセプタ相サンプル後、皮膚表面に残っている残留薬剤を求めた。
【0131】
可変波長検出器、カラムオーブン、インライン脱気装置、およびオートサンプラーを備えたAgilent HPLCシステムを用いて、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析測定を行った。
【0132】
活性剤の流量および累積移動を表すデータを添付の図にグラフで示す。実験を繰り返した回数は、図中の数字「n」で表す。これらのグラフからわかるように、式IAおよびIBの皮膚透過増強剤は、選択したすべての活性剤および増強剤でヒトの皮膚を通る活性剤の透過を増大したが、但し、イブプロフェンをN-デシルピバルアミドまたはN-ドデシルピバルアミドと共に用いた場合を除く(図1および2)。この場合、イブプロフェンの投与速度は、N-デシルピバルアミドまたはN-ドデシルピバルアミドとの組合せによって変えられる可能性がある。本発明のアミド増強剤は疎水系で有効に働くため、これらの2例は例外であると考えられ、例えば図からわかるように、PGE-1またはテストステロン系で増強をもたらすことが認められた。
【0133】
本発明の特定の実施形態を述べたが、当分野の技術者には多くの変更が容易に明らかとなるか、示唆され得ることが理解され、したがって本発明は請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】エタノール単独中のイブプロフェンの5%溶液(14)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(34)、10%N-ドデシルピバルアミド(35)、10%ピバル酸テトラデシル(33)、10%ラウリン酸t-ブチル(10)、10%ピバル酸ラウリル(13)、10%デカン酸t-ブチル(22)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(23)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るイブプロフェンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図2】エタノール単独中のイブプロフェンの5%溶液(14)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(34)、10%N-ドデシルピバルアミド(35)、10%ピバル酸テトラデシル(33)、10%ラウリン酸t-ブチル(10)、10%ピバル酸ラウリル(13)、10%デカン酸t-ブチル(22)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(23)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るイブプロフェンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図3】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%デカン酸t-ブチル(25)、10%ミリスチン酸t-ブチル(26)、10%ラウリン酸t-ブチル(27)、10%ピバル酸ラウリル(28)、または10%ピバル酸テトラデシル(47)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図4】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%デカン酸t-ブチル(25)、10%ミリスチン酸t-ブチル(26)、10%ラウリン酸t-ブチル(27)、10%ピバル酸ラウリル(28)、または10%ピバル酸テトラデシル(47)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図5】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(48)、または10%N-ドデシルピバルアミド(49)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図6】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(48)、または10%N-ドデシルピバルアミド(49)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図7】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%ピバル酸ラウリルを含有するエタノール溶液(6)として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図8】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%ピバル酸ラウリルを含有するエタノール溶液(6)として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図9】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、あるいは10%ミリスチン酸t-ブチル(24)、10%N-デシルピバルアミド(38)、または10%N-ドデシルピバルアミド(39)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図10】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、あるいは10%ミリスチン酸t-ブチル(24)、10%N-デシルピバルアミド(38)、または10%N-ドデシルピバルアミド(39)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図11】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%デカン酸t-ブチル(40)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図12】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%デカン酸t-ブチル(40)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図13】水性エタノール中のブスピロンの10%溶液(52)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(61)、10%N-ドデシルピバルアミド(69)、10%ラウリン酸t-ブチル(66)、10%ピバル酸ラウリル(50)、10%デカン酸t-ブチル(51)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(63)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るブスピロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図14】水性エタノール中のブスピロンの10%溶液(52)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(61)、10%N-ドデシルピバルアミド(69)、10%ラウリン酸t-ブチル(66)、10%ピバル酸ラウリル(50)、10%デカン酸t-ブチル(51)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(63)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るブスピロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図15】エタノール単独中のヒドロキノンの3%溶液(30)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(56)、10%N-ドデシルピバルアミド(57)、10%ラウリン酸t-ブチル(31)、10%ピバル酸ラウリル(29)、10%デカン酸t-ブチル(58)、10%ミリスチン酸t-ブチル(59)、または10%ピバル酸テトラデシル(55)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るヒドロキノンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図16】エタノール単独中のヒドロキノンの3%溶液(30)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(56)、10%N-ドデシルピバルアミド(57)、10%ラウリン酸t-ブチル(31)、10%ピバル酸ラウリル(29)、10%デカン酸t-ブチル(58)、10%ミリスチン酸t-ブチル(59)、または10%ピバル酸テトラデシル(55)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るヒドロキノンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図17】エタノール単独中のPGE-1の1%溶液(21)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(43)、10%N-ドデシルピバルアミド(44)、10%ラウリン酸t-ブチル(17)、10%ピバル酸ラウリル(20)、10%デカン酸t-ブチル(53)、10%ミリスチン酸t-ブチル(54)、または10%ピバル酸テトラデシル(42)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図18】エタノール単独中のPGE-1の1%溶液(21)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(43)、10%N-ドデシルピバルアミド(44)、10%ラウリン酸t-ブチル(17)、10%ピバル酸ラウリル(20)、10%デカン酸t-ブチル(53)、10%ミリスチン酸t-ブチル(54)、または10%ピバル酸テトラデシル(42)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体を参照により本明細書に援用する、2003年7月11日出願の米国特許仮出願第60/486236号の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、皮膚および他の膜を通して活性剤を投与するための医薬組成物、ならびにそれを調製および使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、皮膚または他の膜、例えば粘膜を通して身体に活性剤を送達するために、経皮治療製剤が開発されてきた。これらの製剤は、腸および肝臓において活性剤が代謝を回避することを可能にするという利点を提供し、副反応を低減し、より長い薬理効果を提供する。しかしながら、皮膚は天然にほとんどの活性剤などの異物に対するバリアを提供するため、それらの使用は限定されている。したがって、限られた種類の活性剤のみが、皮膚組織内および血流内部で有効濃度に達することができる。
【特許文献1】米国特許仮出願第60/486236号
【非特許文献1】WienerおよびGilon、J.Mol.Catalysis 37: 45〜52、1986
【特許文献2】米国特許第5,942,545号
【特許文献3】米国特許第5,976,566号
【特許文献4】米国特許第5,023,252号
【特許文献5】米国特許第5,731,303号
【特許文献6】米国特許第6,046,244号
【特許文献7】米国特許第4,980,378号
【特許文献8】米国特許第4,316,893号
【特許文献9】米国特許第4,424,210号
【特許文献10】米国特許第5,204,339号
【非特許文献2】The Merck Index、最新版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの問題を克服するために様々な試みがなされてきた。1つのアプローチは、皮膚透過増強(SPE)化合物の使用によって皮膚のバリア性を低減することにより、活性剤の経皮吸収を増大するものである。しかしながら、活性剤および/または担体とのSPE化合物の適合性の問題、あるいは増強剤自体の有効性の問題が引き続き生じる。さらに、皮膚刺激、ならびに他の全身性および局所性副作用が問題となることが判明した。これらの問題を克服するために、さらなる改善が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)以下の式Iで表され皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
[式中、
Rは、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、>C=O、-CONH-、-O-、-NHCONH-、-S-、または>S=O基を表す。]
【0008】
本発明の一実施形態は、
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0009】
【化2】
【0010】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0011】
本発明の他の実施形態は、
a)約1重量%から約15重量%の塩酸ブスピロン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0012】
【化3】
【0013】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0014】
本発明の他の実施形態は、
a)約1重量%から約10重量%のイブプロフェン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0015】
【化4】
【0016】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0017】
本発明の他の実施形態は、
a)約0.5重量%から約5重量%のテストステロン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0018】
【化5】
【0019】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0020】
本発明の他の実施形態は、
a)約0.5重量%から約5重量%のPGE-1、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0021】
【化6】
【0022】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0023】
本発明の他の実施形態は、
a)約1.5重量%から約3.5重量%のヒドロキノン、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
【化7】
【0025】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0026】
本発明の他の実施形態は、医薬組成物を形成する方法であって、
a)約1重量%から約10重量%の活性剤、
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を混合することを含む方法を提供する。
【0027】
【化8】
【0028】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0029】
本発明の他の実施形態は、それを必要としている動物または植物に活性剤を投与する方法であって、
a)活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤を含む医薬組成物を前記動物または植物に局所適用することを含む方法を提供する。
【0030】
【化9】
【0031】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【0032】
本明細書では、以下の用語は以下の意味を有する。「医薬として許容される」は、リスクに対するベネフィットを考慮するとき、過度の副作用(毒性、刺激、およびアレルギー反応など)なしに、ヒトを含む哺乳動物に使用が許容される物質を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
皮膚透過増強剤
一実施形態において、本発明の皮膚透過増強化合物は、以下の式Iで表すことができる。
【0034】
【化10】
【0035】
[式中、Rは、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、>C=O、-CONH-、-O-、-NHCONH-、-S-、>S=O基を表す。]
式Iの化合物の非限定的な例には、エステル類、アミド類、ケトン類、エーテル類、ウレタン類、チオエーテル類、およびスルホキシド類が含まれる。
【0036】
本発明の一実施形態において、式Iの皮膚透過増強剤化合物は、式IAまたはIBで表される化合物から選択することができる。
【0037】
【化11】
【0038】
[式中、R1は、直鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、X1は、酸素原子またはNH基である。]
【0039】
本発明の一実施形態において、式IAおよびIBの化合物には、R1が、直鎖C6〜C20アルキル基、例えばC6〜C16アルキル基、C6〜C14アルキル、またはC8〜C14アルキル基を表す化合物が含まれる。R1は、例えばC8〜C14直鎖アルキル基、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシル基を表すことができる。一実施形態において、R1は、偶数個の炭素原子を有する直鎖アルキル基、例えばオクチル、デシル、ドデシル、またはテトラデシル基を表す。
【0040】
式IAおよびIBの典型的な皮膚透過増強剤化合物には、ピバル酸デシル、ピバル酸ドデシル、ピバル酸テトラデシル、N-デシルピバルアミド、N-ドデシルピバルアミド、デカン酸t-ブチル、ラウリン酸t-ブチル、およびミリスチン酸t-ブチルが含まれる。
【0041】
多くの場合、式IAまたはIBの化合物は一般に、他の増強剤に比べて臭気が低く、かつ、それらを含有する製剤においてより安定である可能性がある。
【0042】
本発明の増強剤は多くの場合、この組成物の総重量に対して、約1重量%または2重量%から約15重量%または20重量%、例えば約1重量%、2重量%、3重量%、4重量%、5重量%、6重量%、7重量%、8重量%、9重量%存在することができる。例えば活性剤、所望の透過の深度および速度、ならびに存在する他の成分の種類に応じて、より多いまたは少ない量も有効である可能性がある。
【0043】
式IAおよびIBによる化合物は、当分野で知られている手法によって合成することができる。例えば、これらの式のエステルは、成分アルコールと酸とのエステル化反応によって合成することができる。例えば、WienerおよびGilon,J.Mol.Catalysis 37:45〜52,1986を参照されたい。
【0044】
式IAまたはIBの皮膚透過増強化合物は、個別に、あるいは互いに組み合わせて、または以下に記載する化合物などの他の知られている皮膚透過増強化合物と混合して用いることができる。
【0045】
式IAおよび/またはIBの化合物と組み合わせて用いることのできる、知られている皮膚透過増強化合物には、例えば
(i)式(I)の2-置換1,3-ジオキソラン、
【0046】
【化12】
【0047】
または式(II)の2-置換1,3-ジオキサン、
【0048】
【化13】
【0049】
または式(III)のアセタール(ヘミアセタールを含む)が含まれる。
【0050】
【化14】
【0051】
[式中、Rは、C6からC20脂肪族基を表し、R0、R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して、水素またはC1からC4脂肪族基を表し、R'1およびR'2は、それぞれ独立して、水素またはC1からC4脂肪族基を表すことができるが、但し、R'1およびR'2は、同時には水素を表さない。これらの式の化合物は、MacroChem CorporationからSEPA(登録商標)の商標で市販されており入手することができる。]
【0052】
Rは、C6からC12脂肪族基、特にC7からC10脂肪族基を表すこともできる。この脂肪族基は、直鎖または分枝鎖アルキルまたはアルケニル基、例えばn-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-メチル-オクチル、4-エチル-デシル、8-メチル-デシル、n-オクテニル、n-ステアリルなどであることができる。
【0053】
C1からC4脂肪族基は、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、エテニルなどであることができる。例えば、R1からR6は、脂肪族基を表すことができ、R'1およびR'2は、アルキル基、例えば1または2個の炭素原子を有するアルキル、例えばエチルなどを表すことができる。R1からR6は、すべて水素であることもできる。
【0054】
式(I)、(II)、および(III)の代表的な皮膚透過増強化合物には、例えば2-n-ヘプチル-1,3-ジオキソラン、2-n-ノニル-1,3-ジオキソラン、2-n-ウンデシル-1,3-ジオキソラン、2-n-ノニル-1,3-ジオキサン、2-n-ウンデシル-1,3-ジオキサン、2-n-ヘプチルアルデヒド-アセタール、2-n-オクチル-アルデヒド-アセタール、2-n-ノニルアルデヒド-アセタール、2-n-デシルアルデヒド-アセタール、3,7-ジメチル-2,6-オクタジエナール(シトラール)、シトロナール(citronal)などが含まれる。米国特許第5,942,545号および第5,976,566号も参照されたい。
【0055】
他のクラスの皮膚透過増強化合物(ii)は、例えばそれらの開示の全体を参照により本明細書に援用する、米国特許第5,023,252号および第5,731,303号に記載されている環状ケトンおよび環状ラクトン、ならびにそれらの誘導体である。
【0056】
皮膚透過増強化合物(ii)は、以下の式(IV)で表すことができる。
【0057】
【化15】
【0058】
[式中、XおよびYは、酸素、硫黄、あるいは以下の構造、
【0059】
【化16】
【0060】
または=N-Rのイミノ基であるが、Yがイミノ基であるとき、Xはイミノ基であり、Yが硫黄であるとき、Xは硫黄またはイミノ基であり、Aは、以下の構造を有する基であり、
【0061】
【化17】
【0062】
式中、XおよびYは、上に定義したとおりであり、
mおよびnは、1から20の値を有する整数であり、m+nの合計は、25以下であり、
pは、0または1の値を有する整数であり、
qは、0または1の値を有する整数であり、
rは、0または1の値を有する整数であり、
Rは、水素、あるいは1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表し、
R1、R2、R3、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して、水素、あるいは1から6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基を表すが、但し、R1からR6の1つのみが前記アルキル基であることができ、さらに但し、
p、q、およびrが、0の値を有するとき、Yは酸素であり、m+nは少なくとも11であり、
Xがイミノ基であるとき、qは1であり、Yは酸素であり、pおよびrは0であり、このときm+nは少なくとも11である。]
【0063】
RおよびR1からR6のアルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、アミル、ヘキシルなどが含まれる。
【0064】
例えば、RおよびR1からR6はそれぞれ、水素原子を表すことができ、XおよびYは、それぞれ酸素を表すことができる。式(IV)で表される化合物は、環状ケトン(qおよびrがそれぞれ0であるとき)、または環状ラクトンであることができる。
【0065】
式(IV)の他の化合物は、以下の一般式(IV-A)で表すことができる。
【0066】
【化18】
【0067】
[式中、X、Y、R、A、m、n、p、q、およびrは、上に定義したとおりである。]
【0068】
例えば、式(IV-A)において、XおよびYは、それぞれ酸素を表すことができ、Rは、水素を表すことができる。
【0069】
例えば、ペンタデカラクトンは、(ii)型の皮膚透過増強剤である。
【0070】
他のクラスの皮膚透過増強化合物(iii)には、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート、(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート、またはそれらの混合物が含まれ、より詳細には、その開示を参照により本明細書に援用する米国特許第6,046,244号に記載されているとおりである。好都合に参照するために、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類および(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類は、アルキル(N,N 2置換アミノ)エステル類としてまとめて分類することができる。
【0071】
皮膚透過増強剤として有用なアルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は、以下の式(V)で表すこともでる。
【0072】
【化19】
【0073】
[式中、nは、約4から約18の範囲の値を有する整数であり、
Rは、水素、C1からC7アルキル、ベンジル、およびフェニルからなる群のメンバーであり、
R1およびR2は、水素、およびC1からC7アルキルからなる群のメンバーであり、R3およびR4は、水素、メチル、およびエチルからなる群のメンバーである。]
【0074】
典型的なアルキル(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類には、C4からC18アルキル(N,N 2置換アミノ)アセテート類、およびC4からC18アルキル(N,N 2置換アミノ)プロピオネート類が含まれる。典型的な特定のアルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類には、ドデシル2(N,Nジメチルアミノ)プロピオネート(DDAIP)、およびドデシル2(N,Nジメチルアミノ)アセテート(DDAA)が含まれる。
【0075】
アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は知られている。例えば、ドデシル2(N,Nジメチルアミノ)プロピオネート(DDAIP)は、Steroids,Ltd.(Chicago、Ill)から入手可能である。さらに、アルキル2(N,N 2置換アミノ)アルカノエート類は、その合成手順を参照により本明細書に援用する、Wong他の米国特許第4,980,378号に記載のとおり、より容易に入手可能な化合物から合成することができる。
【0076】
適切な(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類は、式(VI)で表すことができる。
【0077】
【化20】
【0078】
[式中、mは、約5から約22、好ましくは約5から約18の範囲の値を有する整数であり、yは、0から約5の範囲の値を有する整数であり、R1、R2、R3、R4、R5、R6、およびR7は、水素、C1からC8アルキル、およびC6からC8アリールからなる群のメンバーであり、R8は、水素、ヒドロキシル、C1からC8アルキル、またはC6からC8アリールを表す。]
【0079】
(N,N 2置換アミノ)アルカノールアルカノエート類には、C5からC18カルボン酸エステル、例えば以下の式(VI-1)の化合物などが含まれる。
【0080】
【化21】
【0081】
[式中、mは、約5から約21、好ましくは約5から約16の整数であり、pは、0から約3の整数、好ましくは0または1、特に0である。]
【0082】
典型的な式(VI)の特定のアルキルアルカノエート化合物には、1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールドデカノエート(DAIPD)、1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールミリステート(DAIPM)、および1-(N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノールオレエート(DAIPO)が含まれる。
【0083】
他のクラスの(iv)型の透過増強剤には、N-アルキルラクタム類、例えばそれらの開示の全体を参照により本明細書に援用する米国特許第4,316,893号および第4,424,210号に開示のものなど、ならびにN-アルキルアザシクロヘプタン類、例えばその開示の全体を参照により本明細書に援用する米国特許第5,204,339号に開示のものなどが含まれる。
【0084】
N-アルキルラクタム類には、例えば以下の式(VII)の化合物が含まれる。
【0085】
【化22】
【0086】
[式中、mは、3から7の整数であり、nは、0、または1から17の整数であり、但し、mが3であるとき、nは、7から17であり、Rは、好ましくはメチルである。]
【0087】
以下の式(VII-1)で表されるあるクラスのラクタム類も、SPEとして用いることができる。
【0088】
【化23】
【0089】
[式中、n=0または1であり、n''=0、1、または2である。]
【0090】
式(VII)の化合物の例には、
1-n-ヘキシルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ヘプチルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-オクチルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ノニルアザシクロペンタン-2-オン
1-デシルアザシクロペンタン-2-オン
1-n-ドデシルアザシクロペンタン-2-オン
1-メチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-プロピルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-ブチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-n-オクチルアザシクロヘプタン-2-オン
1-フェニルアザシクロペンタン-2-オン
1-(2-クロロフェニル)アザシクロペンタン-2-オン
1,3-ビス-(1-アザシクロペンタン-2-オニル)プロパン
が含まれる。
【0091】
これらの中で、1-n-ドデシル-アザシクロヘプタン-2-オンは、AZONEの商標名で市販され入手可能である。
【0092】
N-アルキルアザシクロヘプタン類は、以下の式(VIII)で表すことができる。
【0093】
【化24】
【0094】
[式中、Xは、OまたはS、好ましくはOを表し、R'は、HまたはC1からC4アルキルを表し、rは、2から6の整数であり、sは、0または1から17の整数である。]
【0095】
代表的な式(VIII)の化合物には、
1-n-ウンデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-デシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-オクチルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ノニルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ドデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-テトラデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ヘキサデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ペンタデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-n-ヘプタデシルホルミルアザシクロヘプタン
1-(16-メチルヘキサデシル)ホルミルアザシクロヘプタン
が含まれる。
【0096】
式(I)および/または式(II)の化合物に加えて、上記の1種または複数の(i)〜(iv)型などの、1種または複数のSPE化合物が用いられるとき、そのような他のSPE化合物の量は、通常、全処方に対して約0.1重量%から約10重量%の範囲内となる。SPE化合物の総量は、約0.1から約20重量%の範囲内であることができる。
【0097】
活性剤
本明細書では、「活性剤」という用語は、その薬剤が投与される動物または植物において、所望の生物、薬理、または生理的効果を生じる、投与に適した任意の化学または生物材料を意味する。そのような効果には、これに限定されるものではないが、(1)例えば感染を防ぐような、所望でない生物作用を防ぐなど、動物または植物に予防効果を有すること、(2)動物または植物の疾患に起因する状態を緩和する、例えば疾患の結果生じる疼痛または炎症を緩和すること、および/または(3)動物または植物から疾患を緩和、軽減、または完全に除去することを含むことができる。この効果は、局所麻酔効果を提供するなど、局所性であることができ、または全身性であることもできる。活性剤は、医薬として有効な量で存在する。本明細書では、「動物」という用語は、ヒト、ならびに他の哺乳動物、例えばネコおよびイヌなどの家畜を含む、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジも含むものとして理解される。
【0098】
本発明の組成物に用いることのできる活性剤には、本発明の組成物と適合性であり、所望の効果を得るための皮膚または他の膜を通して送達され得る任意の局所性または全身性活性剤が含まれる。生物および医薬活性剤に加えて、本発明による式(I)および(II)のSPE化合物は、化粧剤などの、他の活性剤の皮膚または他の膜内への送達を促進するために用いることもできる。
【0099】
本発明の実施形態において有用な活性剤は、極性、非極性、イオン性、非イオン性、親水性、脂肪親和性、水溶性、または水不溶性であることができる。
【0100】
代表的な活性剤(治療クラスによって分類)には、これに限定されるものではないが、
気管支拡張剤、例えばクロモグリク酸ナトリウム、サルブタモール、またはテオフィリンなど、
利尿剤、例えばフロセミド、またはヒドロクロロチアジドなど、
抗菌剤、例えばペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、またはクロラムフェニコールなど、
抗真菌剤、例えばアモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン(ticlatone)、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオンなど、
抗挫創剤、例えばエリスロマイシンなど、
鎮静剤または精神安定剤、例えばペントバルビタール、セコバルビタール、またはコデインなど、
精神刺激剤、例えば3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート、または3-(2-アミノブチル)インドールアセテートなど、
抗不安剤、例えばジアゼパム、クロルジアゼポキシド、レセルピン、クロルプロマジン、塩酸ブスピロン、またはチオプロパゼートなど、
エストロゲン類(Oestrogens)、例えばエストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、およびゼラノールなど、
ホルモン薬(ホルモン)、例えばアンドロゲン類、例えばアンドロステンジオールおよびアンドロイソオキサゾールなど、テストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステノン;エストロゲン(Estrogens)、例えば17β-エストラジオール、エストラジオール-3,17-ジアセテート、エストラジオール-3-アセテート、エストラジオール-17-アセテート、エストラジオール-3,17-バレレート、エストラジオール-3-バレレート、エストラジオール-17-バレレート、エチニルエストラジオール、エストロン; プロゲステロン類、例えばプロゲステロン(プレグ-4-エン-3,20-ジオン)、ノルエチンドロン、ノルゲストリエオン(norgestrieone)、ノルゲスタジエノン(norgestadienone)、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、プロゲストゲン酸(progestogenic acid)、ジヒドロプロゲステロール(dihydroprogesterol)、ノマゲステロール(nomagesterol)などが含まれる。さらに、上に挙げた典型的なホルモンにおいて、テストステロンは、例えばアセテート、プロピオネート、17-β-シクロペンタン-プロピオネート、エナンタネート(enanthanate)、イソブチレート、ウンデコネートなどの、通常の任意の形態で用いることができる。同様に、エストラジオール類もさらに、例えばピバレート、プロピオネート、シピオネート、ベンゾエート、および他のエステルなどの、任意の知られている形態、または新しく開発された形態で用いることができる。薬理学分野の現在の知識レベルに基づいて、これらの中で特に好ましくは、任意の塩またはエステル形態のテストステロン、プロゲステロン、およびエストラジオールである。しかしながら、より一般的には、例えばThe Merck Indexの最新版に挙げられているような、任意の政府承認ホルモンを有利に用いることができる
【0101】
他の薬理活性剤には、例えば
排卵誘発剤、例えばクロミフェンなど、
解熱剤、例えばアセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、またはサリチル酸メチルなど、
麻薬性鎮痛剤、例えばモルヒネ、または主要な鎮痛剤、
血糖降下剤、例えばスルホニル尿素、例えばグリピジド、グリブリック(glyburic)、クロルプロパミド、またはインスリンなど、
鎮痙剤、例えばアトロピン、または臭化メトスコポラミン、
抗マラリア剤、例えば4-アミノキノリン、または9-アミノキノリンなど、
β遮断薬、例えばメトプロロールなど、
抗関節炎剤、例えばスリンダクなど、
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばヘテロアリール酢酸、例えばトルメチン、ジクロフェナク、ケトロラクなど、アリールプロピオン酸類、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジンなど、アントラニル酸類(フェナメート類)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸など、エノール酸、例えばオキシカム(例えばピロキシカム、テノキシカム)、ピラゾリジンジオン類(例えばフェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン(oxyphenthatrazone))など、アルカノン類、例えばナブメトンなどが含まれる。薬理学分野の現在の知識レベルに基づいて、これらの中で特に好ましくは、イブプロフェン、ジクロフェナク、ケトロラク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、およびピロキシカムである。しかしながら、より一般的には、例えばThe Merck Indexの最新版に挙げられているような、任意の政府承認NSAIDを有利に用いることができる。
【0102】
本発明の実施形態に従って、より効率よく経皮的に送達することのできる薬理活性剤の他の例には、以下が含まれる。
抗骨粗鬆剤、例えばエチドロン酸塩、またはチルドロン酸塩など、
皮膚漂白剤、例えばアスコルビン酸、またはヒドロキノンなど、
血管拡張剤、例えばジピリダモール、プロスタグランジン、トリニトリン、またはイソソルビドジニトレートなど、
プロスタグランジン類、例えばアルプロスタジル(PGE1)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2α)、およびミソプロストールなど、
男性または女性の性機能障害の治療に有用な他の薬剤、例えばパパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、ニトログリセリン、α遮断薬、酸化窒素供与体など、
コルチコステロイド類、例えばベタメタゾン、ベタメタゾンバレレート、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチレート、ヒドロコルチゾン21-アセテートメチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソロン21-ホスフェート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニドなど、
ステロイド剤類、例えばコルトドキソン、フルオロアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート(difluorsone diacetate)、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル(amcinafel)、アムシナフィド(amcinafide)、ベタメタゾン、および他のエステル、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン(clorcortelone)、デスシノロン(descinolone)、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド(flucloronide)、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン(fluoromethalone)、フルペロロン、フルプレドニソロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾンアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル(amcinafal)、アムシナフィド(amcinafide)、ベタメタゾン、ベタメタゾンベンゾエート、クロロプレドニゾンアセテート、クロコルトロンアセテート、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、ジクロリゾンアセテート、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾンピバレート、フルニソリドアセテート、フルペロロンアセテート、フルプレドニソロンバレレート、パラメタゾンアセテート、プレドニソラメート(prednisolamate)、プレドニバル(prednival)、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール(cortivazol)、ホルモコルタール(formocortal)、およびニバゾール(nivazol)など、
血圧降下剤、例えばプロパノロール、プラゾシン、ジルチアゼム、またはクロニジンなど、
抗パーキンソン病剤、例えばメチルドパまたはセレジリンなど、
抗片頭痛剤、例えばジヒドロエルゴタミンなど、
抗潰瘍剤、例えばシメチジンなど、
抗癌剤、例えばタモキシフェン、シスプラチンなど、
栄養剤、例えばビタミン類、必須アミノ酸類、または必須脂肪酸類など。
【0103】
本発明による他の有用な活性剤には、さらにヒドロモルホン、ヒドロキノン、テンタニル(tentanyl)、ナロゾン(nalozone)、ナルブフィン、ブプレノルフィン、メチルフェニデート、セレジリン、ピモジド、ブスピロン、オキシブチニン、タクロリムス、ムピロシン、ブロモクリプチン、ナプロキセン、ジクロフェナク、イブプロフェン、プロスタグランジンE1、テストステロン、テルビナフェン、またはエコナゾールを含むことができる。
【0104】
上述のとおり、本発明の組成物は、上に挙げた群から選択されたいくつかの医薬物質の組合せから形成される活性剤を場合によって含有することができる。上に挙げたような活性剤は、多くの場合、複数の生物または薬理効果を有し得ることも知られている。
【0105】
活性剤は、組成物に薬理、医薬、または化粧品的有効量で存在することができ、治療される疾患または状態、患者の年齢、および当分野の技術者に充分に理解される他の要因などの要因によって決まる。一般に、活性剤の量は、全組成物の重量に対して約0.01重量%から約15重量%、例えば組成物の約1重量%から約15重量%、例えば約0.5重量%から約5重量%、または約1重量%から約10重量%、または約1重量%から約5重量%、例えば約1.0重量%または1.5重量%から約3.0重量%または3.5重量%の範囲であることができる。
【0106】
賦形剤
本発明による組成物はさらに、活性剤および皮膚透過増強剤を皮膚、あるいは鼻または口腔粘膜などの他の膜に運ぶのを助けるために、適切な濃度および量の固体、半固体、または液体の医薬として許容される賦形剤を含むことができる。賦形剤の性質は、組成物を局所投与するために選択された方法によって決まる。
【0107】
このための賦形剤の選択には、必要とされる組成物の製品形態に応じて、広範囲な可能性がある。
【0108】
賦形剤は、活性剤および透過増強剤の希釈剤、分散剤、または溶媒を含むことができ、したがってそれらが皮膚の適切な領域に均一に適用され、分布され得ることを確実にする組成物であると説明されるべきである。本発明による組成物は、賦形剤として水、および/または少なくとも1種の医薬として許容される水以外の賦形剤を含むことができる。
【0109】
本発明による組成物に用いることのできる水以外の賦形剤には、固体、または液体、例えば皮膚軟化剤および保湿剤、溶媒、湿潤剤、増粘剤、防腐剤、着色剤、香料、推進剤、および固体添加剤が含まれる。単独または混合物として用いることのできる、そのような種類の添加剤の例は以下のとおりである。
【0110】
代表的な皮膚軟化剤および保湿剤の例には、例えばステアリルアルコール、モノリシノール酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、プロパン-1,2-ジオール、ブタン-1,3-ジオール、ミンク油、セチルアルコール、イソステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸、パルミチン酸イソブチル、ステアリン酸イソセチル、オレイルアルコール、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、オクタデカン-2-オール、イソセチルアルコール、パルミチン酸セチル、ジメチルポリシロキサン、セバシン酸ジ-n-ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ポリエチレングリコール、トリエチレングリコール、ラノリン、ゴマ油、ヤシ油、落花生油、ヒマシ油、アセチル化ラノリンアルコール、石油、鉱油、ミリスチン酸ブチル、イソステアリン酸、パルミチン酸、リノール酸イソプロピル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチルが含まれる。
【0111】
代表的な推進剤には、例えばトリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、プロパン、ブタン、イソブタン、二酸化炭素が含まれる。
【0112】
代表的な溶媒には、例えば低級アルコール、ポリオール、ポリエーテル、油、エステル、アルキルケトンなどが含まれる。例えば、エチルアルコール、塩化メチレン、イソプロパノール、ヒマシ油、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランを挙げることができる。溶媒は、活性剤および1種または複数のSPE化合物を溶解する能力に関して選択されることができ、当分野の技術者は、どの溶媒がそのような目的に適しているか、またはどの溶媒が適切であるか判定する方法を理解するであろう。
【0113】
代表的な湿潤剤には、例えばグリセリン、ソルビトール、2-ピロリドン-5-カルボン酸ナトリウム、可溶性コラーゲン、ゼラチンが含まれ、本発明による実施形態に用いることができる。
【0114】
代表的な固体添加剤には、例えばチョーク、タルク、フラーズアース、カオリン、デンプン、ゴム、コロイド状二酸化ケイ素、テトラアルキルおよび/またはトリアルキルアリールアンモニウムスメクタイト、化学修飾ケイ酸アルミニウムマグネシウム、有機修飾モンモリロナイト粘土、含水ケイ酸アルミニウム、ヒュームドシリカ、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシアルキル化セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。
【0115】
賦形剤の量は、組成物の残量を占めることができる。したがって、1種または複数の賦形剤は、組成物の約99.9重量%まで、例えば約50から約99重量%、例えば約70から約95重量%、例えば約70から約99重量%を占めることができる。
【0116】
上述の成分は、皮膚透過増強剤および活性剤と共に製剤化して、局所適用に適した組成物を形成することができ、これにはクリーム剤、ローション剤、軟膏剤、ゲル剤、噴霧剤、エアロゾル剤などが含まれる。一実施形態において、活性剤および皮膚透過増強剤は、クリーム剤または軟膏剤を形成するために、クリームベースまたは軟膏ベースに分散される。
【0117】
局所用担体には、通常の乳化剤または他の賦形剤を含むことができ、これにはアルギン酸塩、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸PEG-100、セチルアルコール、プロピルパラベン、ブチルパラベン、ソルビトール、ポリエトキシル化ソルビタン、脂肪酸エステル(TWEEN)、白色ワセリン(ペトロラタム)、トリエタノールアミン、アロエベラ抽出物、ラノリン、カカオ脂などが含まれる。適切な局所用担体は、当分野の技術者によく知られている。
【0118】
調製および投与
本発明による組成物は、局所、例えば経皮投与によく適しており、選択された比率で種々の成分を混合することによって通常の方法で調製することができる。異なる活性剤は、製剤において異なる皮膚透過増強剤、溶媒、または担体系、あるいは他の成分と共に異なる結果を生じる可能性があり、当分野の技術者は本発明の開示に照らして、所与の活性剤に関して、適切な系と共に適切な増強剤を選択することができるであろう。
【0119】
このようにして得られる本発明による組成物は、任意の手段で所定の皮膚の領域、例えば10から100cm2、例えば50cm2の領域に適用することができる。
【0120】
本発明の医薬組成物が、ローション剤、クリーム剤、エマルション、ゲル剤、液剤、軟膏剤、または類似の組成物の形態であるとき、これらの組成物は、選択された皮膚の領域に薄膜として広げることができ、この目的を達するために、必ずしも中間の推進ガスを必要としない。あるいは、局所経皮組成物は、経皮送達装置、例えばパッチに組み入れることもできる。
【0121】
本発明の他の実施形態において、この組成物は、推進剤を使用せずに用いられる、既知であり市販されている型の投薬ポンプを用いて、直接噴霧によって投与することができる。しかしながら、所望であれば、本発明の組成物は、上に挙げたものなどの圧縮推進ガスをさらに含有する、用量バルブを備えた容器から噴霧することによって投与できる。
【0122】
(実施例)
以下の実施例を、本発明の特定の実施形態として、本発明の実施および利点を実証するために示す。これらの実施例は、例示のために示されるものにすぎず、本明細書および請求の範囲をいかなる方法によっても限定するものではないことが理解される。
【0123】
(実施例1)
以下の組成物を、指示した活性剤および皮膚透過増強化合物のエタノール溶液として調製し、その後、経皮透過を試験した。
【0124】
【表1−1】
【0125】
【表1−2】
【0126】
【表1−3】
【0127】
【表1−4】
【0128】
(実施例2)
皮膚透過増強剤の存在下、ヒトの皮膚を通る種々の活性剤の流量を測定するために以下の実験を行った。ヒトの遺体皮膚を、AATB認定組織バンクから得た。この組織は、死後15時間以内、または遺体が冷蔵された場合24時間以内に採取し、標準的な技法を用いてこれらの実験のために調製した。
【0129】
ドナー区画およびレセプタ区画からなる水平ガラス拡散セル(Crown Glass Company of Somerville、NJ、U.S.A.から提供されるFranz型拡散セル、または静止セル)を用いて、経皮吸収を測定した。拡散に利用できる面積は0.635cm2であり、レセプタ区画の容量は5.5mlであった。液体が皮膚膜と接するように、レセプタチャンバに、活性剤を溶解するのに充分な量でVolpo 20を含有する約5mlの緩衝食塩水を充填し、正確な温度に平衡させた。皮膚表面の温度は、37℃に設定したドライブロックヒーターに拡散セルを置くことによって、実験中32℃に維持した。レセプタ区画の内容物は、小さいPTFE被覆磁気攪拌子で連続的に攪拌した。
【0130】
次いで、マイクロピペットを用いて製剤を適用した。ピペットを適用前後に秤量し、適用した量を記録した。製品の適用後、注射器を用いて、一定時間毎に全レセプタ相を除去した。最終レセプタ相サンプル後、皮膚表面に残っている残留薬剤を求めた。
【0131】
可変波長検出器、カラムオーブン、インライン脱気装置、およびオートサンプラーを備えたAgilent HPLCシステムを用いて、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析測定を行った。
【0132】
活性剤の流量および累積移動を表すデータを添付の図にグラフで示す。実験を繰り返した回数は、図中の数字「n」で表す。これらのグラフからわかるように、式IAおよびIBの皮膚透過増強剤は、選択したすべての活性剤および増強剤でヒトの皮膚を通る活性剤の透過を増大したが、但し、イブプロフェンをN-デシルピバルアミドまたはN-ドデシルピバルアミドと共に用いた場合を除く(図1および2)。この場合、イブプロフェンの投与速度は、N-デシルピバルアミドまたはN-ドデシルピバルアミドとの組合せによって変えられる可能性がある。本発明のアミド増強剤は疎水系で有効に働くため、これらの2例は例外であると考えられ、例えば図からわかるように、PGE-1またはテストステロン系で増強をもたらすことが認められた。
【0133】
本発明の特定の実施形態を述べたが、当分野の技術者には多くの変更が容易に明らかとなるか、示唆され得ることが理解され、したがって本発明は請求の範囲の精神および範囲によってのみ限定されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】エタノール単独中のイブプロフェンの5%溶液(14)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(34)、10%N-ドデシルピバルアミド(35)、10%ピバル酸テトラデシル(33)、10%ラウリン酸t-ブチル(10)、10%ピバル酸ラウリル(13)、10%デカン酸t-ブチル(22)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(23)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るイブプロフェンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図2】エタノール単独中のイブプロフェンの5%溶液(14)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(34)、10%N-ドデシルピバルアミド(35)、10%ピバル酸テトラデシル(33)、10%ラウリン酸t-ブチル(10)、10%ピバル酸ラウリル(13)、10%デカン酸t-ブチル(22)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(23)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るイブプロフェンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図3】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%デカン酸t-ブチル(25)、10%ミリスチン酸t-ブチル(26)、10%ラウリン酸t-ブチル(27)、10%ピバル酸ラウリル(28)、または10%ピバル酸テトラデシル(47)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図4】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%デカン酸t-ブチル(25)、10%ミリスチン酸t-ブチル(26)、10%ラウリン酸t-ブチル(27)、10%ピバル酸ラウリル(28)、または10%ピバル酸テトラデシル(47)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図5】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(48)、または10%N-ドデシルピバルアミド(49)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図6】エタノール単独中のPGE-1の2%溶液として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(48)、または10%N-ドデシルピバルアミド(49)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図7】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%ピバル酸ラウリルを含有するエタノール溶液(6)として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図8】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%ピバル酸ラウリルを含有するエタノール溶液(6)として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図9】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、あるいは10%ミリスチン酸t-ブチル(24)、10%N-デシルピバルアミド(38)、または10%N-ドデシルピバルアミド(39)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図10】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、あるいは10%ミリスチン酸t-ブチル(24)、10%N-デシルピバルアミド(38)、または10%N-ドデシルピバルアミド(39)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図11】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%デカン酸t-ブチル(40)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図12】エタノール単独中のテストステロンの1%溶液(7)として、または10%デカン酸t-ブチル(40)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るテストステロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図13】水性エタノール中のブスピロンの10%溶液(52)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(61)、10%N-ドデシルピバルアミド(69)、10%ラウリン酸t-ブチル(66)、10%ピバル酸ラウリル(50)、10%デカン酸t-ブチル(51)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(63)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るブスピロンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図14】水性エタノール中のブスピロンの10%溶液(52)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(61)、10%N-ドデシルピバルアミド(69)、10%ラウリン酸t-ブチル(66)、10%ピバル酸ラウリル(50)、10%デカン酸t-ブチル(51)、または10%ミリスチン酸t-ブチル(63)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るブスピロンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図15】エタノール単独中のヒドロキノンの3%溶液(30)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(56)、10%N-ドデシルピバルアミド(57)、10%ラウリン酸t-ブチル(31)、10%ピバル酸ラウリル(29)、10%デカン酸t-ブチル(58)、10%ミリスチン酸t-ブチル(59)、または10%ピバル酸テトラデシル(55)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るヒドロキノンの測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図16】エタノール単独中のヒドロキノンの3%溶液(30)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(56)、10%N-ドデシルピバルアミド(57)、10%ラウリン酸t-ブチル(31)、10%ピバル酸ラウリル(29)、10%デカン酸t-ブチル(58)、10%ミリスチン酸t-ブチル(59)、または10%ピバル酸テトラデシル(55)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るヒドロキノンの累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図17】エタノール単独中のPGE-1の1%溶液(21)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(43)、10%N-ドデシルピバルアミド(44)、10%ラウリン酸t-ブチル(17)、10%ピバル酸ラウリル(20)、10%デカン酸t-ブチル(53)、10%ミリスチン酸t-ブチル(54)、または10%ピバル酸テトラデシル(42)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の測定流量を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【図18】エタノール単独中のPGE-1の1%溶液(21)として、あるいは10%N-デシルピバルアミド(43)、10%N-ドデシルピバルアミド(44)、10%ラウリン酸t-ブチル(17)、10%ピバル酸ラウリル(20)、10%デカン酸t-ブチル(53)、10%ミリスチン酸t-ブチル(54)、または10%ピバル酸テトラデシル(42)を含有するエタノール溶液として適用されたとき、ヒトの皮膚を通るPGE-1の累積移動を時間の関数として示すグラフである。括弧内の数字は表1に示す溶液に関連する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)以下の式Iで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物。
【化1】
[式中、Rは、直鎖の飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、C=O、CONH、O、NHCONH、S、またはS=O基を表す。]
【請求項2】
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物。
【化2】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項3】
皮膚透過増強剤が、式IAの化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
皮膚透過増強剤が、式IBの化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R1が、直鎖C6〜C20アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R1が、直鎖C6〜C16アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
R1が、直鎖C6〜C14アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R1が、直鎖C8〜C14アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
R1が、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
R1が、オクチル、デシル、ドデシル、またはテトラデシル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項11】
X1が、酸素原子を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項12】
X1が、N-H基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項13】
式IAまたはIBの皮膚透過増強剤が、ピバル酸デシル、ピバル酸ドデシル、ピバル酸テトラデシル、N-デシルピバルアミド、N-ドデシルピバルアミド、デカン酸t-ブチル、ラウリン酸t-ブチル、またはミリスチン酸t-ブチルである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬として許容される賦形剤をさらに含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
液剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
クリーム剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ローション剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
軟膏剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
ゲル剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
噴霧剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
エアロゾル剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記活性剤が、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、またはピリチオンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記活性剤が、パパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、またはニトログリセリンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記活性剤が、アルプロスタジル(PGE1)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2α)、またはミソプロストールから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記活性剤が、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フィレナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項26】
a)約1重量%から約15重量%の塩酸ブスピロン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化3】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項27】
a)約1重量%から約10重量%のイブプロフェン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化4】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項28】
a)約0.5重量%から約5重量%のテストステロン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化5】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項29】
a)約0.5重量%から約5重量%のPGE-1、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化6】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項30】
a)約1.5重量%から約3.5重量%のヒドロキノン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化7】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項31】
医薬または化粧品組成物を形成する方法であって、
a)約1重量%から約10重量%の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を混合することを含む方法。
【化8】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項32】
それを必要としている動物に活性剤を投与する方法であって、
a)活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物を前記動物に局所適用することを含む方法。
【化9】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項33】
前記動物または植物が、ヒトである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記活性剤が、薬理活性剤である請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記活性剤が、化粧剤である請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記活性剤が、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗挫創剤、鎮静剤、精神安定剤、精神刺激剤、抗不安剤、エストロゲン、ホルモン、排卵誘発剤、解熱剤、麻薬性鎮痛剤、血糖降下剤、鎮痙剤、抗マラリア剤、β遮断薬、抗関節炎剤、非ステロイド性抗炎症薬、抗骨粗鬆剤、皮膚漂白剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、コルチコステロイド、ステロイド剤、血圧降下剤、抗パーキンソン病剤、抗片頭痛剤、抗潰瘍剤、抗癌剤、または栄養剤である請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記活性剤が、クロモグリク酸ナトリウム、サルブタモール、テオフィリン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロラムフェニコール、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオン、エリスロマイシン、ペントバルビタール、セコバルビタール、コデイン、3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート、3-(2-アミノブチル)インドールアセテート、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、レセルピン、クロルプロマジン、塩酸ブスピロン、チオプロパゼート、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノール、アンドロステンジオール、アンドロイソオキサゾール、テストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステノン、17β-エストラジオール、エストラジオール-3,17-ジアセテート、エストラジオール-3-アセテート、エストラジオール-17-アセテート、エストラジオール-3,17-バレレート、エストラジオール-3-バレレート、エストラジオール-17-バレレート、エチニルエストラジオール、エストロン、プロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルゲストリエオン、ノルゲスタジエノン、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、プロゲストゲン酸、ジヒドロプロゲステロール、ノマゲステロール、クロミフェン、アセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、モルヒネ、グリピジド、グリブリック、クロルプロパミド、インスリン、アトロピン、臭化メトスコポラミン、4-アミノキノリン、9-アミノキノリン、メトプロロール、スリンダク、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトン、エチドロン酸塩、チルドロン酸塩、アスコルビン酸、ヒドロキノン、ジピリダモール、トリニトリン、イソソルビドジニトレート、ミソプロストール、パパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、ニトログリセリン、ベタメタゾン、ベタメタゾンバレレート、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチレート、ヒドロコルチゾン21-アセテートメチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソロン21-ホスフェート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルトドキソン、フルオロアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾンアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメタゾン、ベタメタゾンベンゾエート、クロロプレドニゾンアセテート、クロコルトロンアセテート、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、ジクロリゾンアセテート、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾンピバレート、フルニソリドアセテート、フルペロロンアセテート、フルプレドニソロンバレレート、パラメタゾンアセテート、プレドニソラメート、プレドニバル、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコルタール、ニバゾール、プロパノロール、プラゾシン、ジルチアゼム、クロニジン、メチルドパ、セレジリン、ジヒドロエルゴタミン、シメチジン、タモキシフェン、またはシスプラチンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物である請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記活性剤が、ヒドロモルホン、ヒドロキノン、テンタニル、ナロゾン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、メチルフェニデート、セレジリン、ピモジド、ブスピロン、オキシブチニン、タクロリムス、ムピロシン、ブロモクリプチン、ナプロキセン、ジクロフェナク、イブプロフェン、プロスタグランジンE1、テストステロン、テルビナフェン、またはエコナゾールから選択された少なくとも1種の化合物である請求項32に記載の方法。
【請求項1】
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)以下の式Iで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物。
【化1】
[式中、Rは、直鎖の飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
Xは、-(CO)O-、-O(CO)-、C=O、CONH、O、NHCONH、S、またはS=O基を表す。]
【請求項2】
a)少なくとも1種の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物。
【化2】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項3】
皮膚透過増強剤が、式IAの化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
皮膚透過増強剤が、式IBの化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
R1が、直鎖C6〜C20アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
R1が、直鎖C6〜C16アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
R1が、直鎖C6〜C14アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項8】
R1が、直鎖C8〜C14アルキル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項9】
R1が、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、またはテトラデシル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項10】
R1が、オクチル、デシル、ドデシル、またはテトラデシル基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項11】
X1が、酸素原子を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項12】
X1が、N-H基を表す請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項13】
式IAまたはIBの皮膚透過増強剤が、ピバル酸デシル、ピバル酸ドデシル、ピバル酸テトラデシル、N-デシルピバルアミド、N-ドデシルピバルアミド、デカン酸t-ブチル、ラウリン酸t-ブチル、またはミリスチン酸t-ブチルである請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項14】
医薬として許容される賦形剤をさらに含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項15】
液剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
クリーム剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ローション剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項18】
軟膏剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項19】
ゲル剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項20】
噴霧剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項21】
エアロゾル剤の形態である請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記活性剤が、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、またはピリチオンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記活性剤が、パパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、またはニトログリセリンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記活性剤が、アルプロスタジル(PGE1)、プロスタサイクリン(PGI2)、ジノプロスト(プロスタグランジンF2α)、またはミソプロストールから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記活性剤が、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フィレナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトンから選択された少なくとも1種の化合物を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項26】
a)約1重量%から約15重量%の塩酸ブスピロン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化3】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項27】
a)約1重量%から約10重量%のイブプロフェン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化4】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項28】
a)約0.5重量%から約5重量%のテストステロン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化5】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項29】
a)約0.5重量%から約5重量%のPGE-1、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化6】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項30】
a)約1.5重量%から約3.5重量%のヒドロキノン、および
b)式IAまたはIBで表される透過増強量の皮膚透過増強剤
を含む請求項2に記載の医薬組成物。
【化7】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項31】
医薬または化粧品組成物を形成する方法であって、
a)約1重量%から約10重量%の活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を混合することを含む方法。
【化8】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項32】
それを必要としている動物に活性剤を投与する方法であって、
a)活性剤、および
b)式IAまたはIBで表される皮膚透過増強剤
を含む医薬組成物を前記動物に局所適用することを含む方法。
【化9】
[式中、
R1は、直鎖または分枝鎖の、飽和または不飽和の、置換または非置換ヒドロカルビル基を表し、
X1は、酸素原子またはNH基を表す。]
【請求項33】
前記動物または植物が、ヒトである請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記活性剤が、薬理活性剤である請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記活性剤が、化粧剤である請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記活性剤が、気管支拡張剤、利尿剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗挫創剤、鎮静剤、精神安定剤、精神刺激剤、抗不安剤、エストロゲン、ホルモン、排卵誘発剤、解熱剤、麻薬性鎮痛剤、血糖降下剤、鎮痙剤、抗マラリア剤、β遮断薬、抗関節炎剤、非ステロイド性抗炎症薬、抗骨粗鬆剤、皮膚漂白剤、血管拡張剤、プロスタグランジン、コルチコステロイド、ステロイド剤、血圧降下剤、抗パーキンソン病剤、抗片頭痛剤、抗潰瘍剤、抗癌剤、または栄養剤である請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記活性剤が、クロモグリク酸ナトリウム、サルブタモール、テオフィリン、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロラムフェニコール、アモロルフィン、イソコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、ナイスタチン、テルビナフィン、ビフォナゾール、アンホテリシン、グリセオフルビン、ケトコナゾール、フルコナゾール、およびフルシトシン、サリチル酸、フェザチオン、チクラトン、トルナフテート、トリアセチン、亜鉛、ピリチオン、エリスロマイシン、ペントバルビタール、セコバルビタール、コデイン、3-(2-アミノプロピル)インドールアセテート、3-(2-アミノブチル)インドールアセテート、ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、レセルピン、クロルプロマジン、塩酸ブスピロン、チオプロパゼート、エストラジオール、エストリオール、エストロン、エチニルエストラジオール、メストラノール、スチルベストロール、ジエノエストロール、エピエストリオール、エストロピペート、ゼラノール、アンドロステンジオール、アンドロイソオキサゾール、テストステロン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステノン、17β-エストラジオール、エストラジオール-3,17-ジアセテート、エストラジオール-3-アセテート、エストラジオール-17-アセテート、エストラジオール-3,17-バレレート、エストラジオール-3-バレレート、エストラジオール-17-バレレート、エチニルエストラジオール、エストロン、プロゲステロン、ノルエチンドロン、ノルゲストリエオン、ノルゲスタジエノン、ノルゲストレル、ノルゲスチメート、プロゲストゲン酸、ジヒドロプロゲステロール、ノマゲステロール、クロミフェン、アセチルサリチル酸、サリチルアミド、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸メチル、モルヒネ、グリピジド、グリブリック、クロルプロパミド、インスリン、アトロピン、臭化メトスコポラミン、4-アミノキノリン、9-アミノキノリン、メトプロロール、スリンダク、トルメチン、ジクロフェナク、ケトロラク、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、オキサプロジン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム、テノキシカム、フェニルブタゾン、オキシフェンタトラゾン、ナブメトン、エチドロン酸塩、チルドロン酸塩、アスコルビン酸、ヒドロキノン、ジピリダモール、トリニトリン、イソソルビドジニトレート、ミソプロストール、パパベリン、ジオキシリン、エタベリン、ミノキシジル、ニトログリセリン、ベタメタゾン、ベタメタゾンバレレート、コルチゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン21-ホスフェート、フルドロコルチゾン、フルメタゾン、フルオシノニド、フルオシノニドデソニド、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、フルコルトロン、ハルシノニド、ハロプレドン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン17-バレレート、ヒドロコルチゾン17-ブチレート、ヒドロコルチゾン21-アセテートメチルプレドニソロン、プレドニソロン、プレドニソロン21-ホスフェート、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、コルトドキソン、フルオロアセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、クロロプレドニゾン、クロルコルテロン、デスシノロン、デソニド、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルコルトロン、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニソロン、メプレドニゾン、メチルメプレドニゾロン、パラメタゾン、コルチゾンアセテート、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾンアセテート、フルランドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナファル、アムシナフィド、ベタメタゾン、ベタメタゾンベンゾエート、クロロプレドニゾンアセテート、クロコルトロンアセテート、デスシノロンアセトニド、デスオキシメタゾン、ジクロリゾンアセテート、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルメタゾンピバレート、フルニソリドアセテート、フルペロロンアセテート、フルプレドニソロンバレレート、パラメタゾンアセテート、プレドニソラメート、プレドニバル、トリアムシノロンヘキサアセトニド、コルチバゾール、ホルモコルタール、ニバゾール、プロパノロール、プラゾシン、ジルチアゼム、クロニジン、メチルドパ、セレジリン、ジヒドロエルゴタミン、シメチジン、タモキシフェン、またはシスプラチンからなる群から選択された少なくとも1種の化合物である請求項32に記載の方法。
【請求項38】
前記活性剤が、ヒドロモルホン、ヒドロキノン、テンタニル、ナロゾン、ナルブフィン、ブプレノルフィン、メチルフェニデート、セレジリン、ピモジド、ブスピロン、オキシブチニン、タクロリムス、ムピロシン、ブロモクリプチン、ナプロキセン、ジクロフェナク、イブプロフェン、プロスタグランジンE1、テストステロン、テルビナフェン、またはエコナゾールから選択された少なくとも1種の化合物である請求項32に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2007−531694(P2007−531694A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520222(P2006−520222)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021855
【国際公開番号】WO2005/007100
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506011526)マクロケム・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021855
【国際公開番号】WO2005/007100
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(506011526)マクロケム・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
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