説明

局所適用可能な薬剤学的製剤

【課題】局所適用可能な薬剤学的製剤を製造する方法及び皮膚の障害を処置するための使用の提供。
【解決手段】ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのピリジン残基のN−オキシド又はその塩からなっている群から選択される化合物を活性薬剤学的成分とし、付形剤の1つがポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール400である半固体の局所的薬剤学的製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤学的技術の分野に関するものであり、かつ活性成分として微溶性のPDE 4阻害剤を含んでいる局所適用可能な薬剤学的製剤を記載するものである。本発明は付加的に、局所適用可能な薬剤学的製剤を製造する方法及び皮膚、眼及び気道の障害を処置するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(とりわけ4型)は目下、炎症性障害、特に気道の障害、例えば喘息又は気道閉塞(例えば、COPD=慢性閉塞性肺疾患)を処置するための活性成分の新世代として特別な関心が寄せられている。幾つかのPDE 4阻害剤は目下、活性成分N−(3,5−ジ−クロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト;roflumilast)を含んでいる経口投与用の剤形を含め、前進した臨床試験を受けている。ベンズアミド構造を有するこの化合物及び他の化合物及び環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤としてのその使用はWO 95/01338に記載されている。これらの活性成分は皮膚の特定の障害(例えば、皮膚病)の処置についてもWO 95/01338に提案されている。WO 00/53182には、多発性硬化症の処置のためのロフルミラスト又はそのN−オキシドの使用が提案されている。
【0003】
皮膚の障害を処置するためには、局所適用に適している薬剤学的製剤中の前記の活性薬剤学的成分を提供することが望ましい。しかしながら、当業者が知っているように、局所適用のための剤形の提供は、極端に困難であることが判明しているとしてさしつかえないか又は目的が極めて低い溶解度を有する活性成分を投与することである場合には不可能である。ゆえに、例えば、WO 95/01338に記載されているPDE 4阻害剤N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト)について見出された水への溶解度は、21℃で0.53mg/lであるに過ぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO 95/01338
【特許文献2】WO 00/53182
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は付加的に、局所適用可能な薬剤学的製剤を製造する方法及び皮膚の障害を処置するための使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の局所的薬剤学的製剤は半固体の薬剤学的製剤であり、その際に付形剤の1つがポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール400である。
【0007】
意外なことに、微溶性のPDE 4阻害剤ロフルミラストを含んでいる局所適用可能な薬剤学的製剤が、局所の皮膚適用に関して皮膚病の処置において極めて良好な効果を示すことが現在見出されている。完全に意外なことに、局所効果に加えて、経口剤形の全身効果に匹敵する卓越した全身効果も見出される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
それゆえ本発明の第一の態様は、局所投与されることができ、かつ局所投与に適している1つ又はそれ以上の薬剤学的なキャリヤー及び/又は付形剤と共に活性薬剤学的成分を含んでいる薬剤学的製剤であり、その際に前記の活性薬剤学的成分はロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩からなる群から選択される化合物である。
【0009】
ロフルミラスト(roflumilast)は、式I
【化1】

[式中、
R1はジフルオロメトキシであり、
R2はシクロプロピルメトキシであり、かつ
R3は3,5−ジクロロピリド−4−イルである]で示される化合物のINNである。
【0010】
この化合物は化学名N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロ−メトキシベンズアミド(INN:ロフルミラスト)を有する。ロフルミラストのN−オキシドは化学名3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル 1−オキシド)ベンズアミドを有する。
【0011】
式Iのこの化合物、その塩、N−オキシド、その塩及びホスホジエステラーゼ(PDE) 4阻害剤としてのこれらの化合物の使用は国際特許出願明細書WO 95/01338に記載されている。
【0012】
式Iの化合物に適している塩は−置換に依存して−全ての酸付加塩であるがしかし、特に塩基との全ての塩である。薬剤学的技術において通常使用される無機及び有機の酸及び塩基の薬理学的に許容される塩を特に挙げることができる。例えば、工業的規模で本発明の化合物を製造するための方法の最初の産物でありうる薬理学的に許容されない塩は当業者に公知の方法により薬理学的に許容される塩へ変換される。一方では、適しているものは、酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸との水溶性及び水に不溶性の酸付加塩であり、その際に酸は、等モルの量比又はそれとは異なる量比で−その際に酸が一塩基性又は多塩基性であるかに依存しており、かつどの塩が望ましいかに依存している−塩を製造するのに使用される。
【0013】
他方では、塩基との塩も特に適している。挙げることができる塩基性塩の例はリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、アンモニウム、メグルミン又はグアニジウム塩であり、その際にもう一度、塩基は等モルの量比又はそれとは異なる量比で塩を製造するのに使用される。
【0014】
本発明の薬剤学的製剤中の活性薬剤学的成分の割合(完成した薬剤学的製剤の質量に対する質量%;w/w)は通常0.001〜50質量%である。活性薬剤学的成分の割合は好ましくは1質量%までである。
【0015】
局所投与に適している薬剤学的なキャリヤー及び/又は付形剤は好ましくは、本発明によれば皮膚投与のための薬剤学的製剤(=外皮用剤;dermatologicals)に関連した当業者に公知の常用のキャリヤー及び/又は付形剤である。挙げることができる例は粉剤、乳剤、懸濁剤、スプレー、油、軟膏剤、油脂性軟膏、クリーム、泥膏、ゲル、フォーム又は溶液及び経皮吸収治療システムを製造するのに適しているキャリヤー及び/又は付形剤である。
【0016】
本発明の局所的薬剤学的製剤は当業者に熟知されている方法により製造されることができる。
【0017】
常用の外皮用剤及びその製造及び個々の薬剤学的製剤のための好ましいキャリヤー及び/又は付形剤は、例えば、教本"Pharmazeutische Technologie"(Sucker, Fuchs, Speiser, Georg Thieme Verlag, 1978, 629頁以降)に記載されている。
【0018】
本発明の第一の実施態様において、本発明の局所的薬剤学的製剤は半固体の剤形である。挙げることができる例は特に、軟膏剤(例えば溶液性軟膏、懸濁性軟膏)、クリーム、ゲル又は泥膏である。
【0019】
水中油型又は油中水型の乳剤は通常はクリームと呼ばれる。油性相に主に使用されるのは、脂肪アルコール、例えばラウリルアルコール、セチルアルコール又はステアリルアルコール、脂肪酸、例えばパルミチン酸又はステアリン酸、液体又は固体のパラフィン又はオゾケライト、液体ないし固体のろう、例えばイソプロピルミリステート、天然又は部分合成の脂肪、例えばココヤシ脂肪酸トリグリセリド、硬化油、例えば水素化された落花生油又はひまし油、又はグリセリンの脂肪酸部分エステル、例えばグリセリンモノステアレート又はグリセリンジステアレートである。適している乳化剤は、表面活性物質、例えば非イオン性界面活性剤、例えばポリアルコール又はそのエチレンオキシド付加物の脂肪酸エステル、例えばポリグリセリン脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween(R): ICI)、ソルビタン脂肪酸エステル(Span(R): ICI)、例えばソルビタンオレエート及び/又はソルビタンイソステアレート、ステロール、またポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル又は脂肪酸エステル、又はアニオン性界面活性剤、例えば脂肪アルコールスルフェートのアルカリ金属塩、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムセチルスルフェート又はナトリウムステアリルスルフェート、これらは通常前記の脂肪アルコール、例えばセチルアルコール又はステアリルアルコールの存在で使用される、である。水相に、とりわけクリームが乾くのを防止する薬剤、例えばポリアルコール、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール、また防腐剤、香料等を添加することが可能である。
【0020】
軟膏剤は、無水であってよく、かつ基剤として局所使用に適しており、かつ体温で液体であるパラフィン、特に低粘度パラフィン、また前記の天然又は部分合成の脂肪、例えばココヤシ脂肪酸トリグリセリド、硬化油、例えば水素化された落花生油又はひまし油、グリセリンの脂肪酸部分エステル、例えばグリセリンモノステアレート及びジステアレート、シリコーン、例えばポリジメチルシロキサン、例えばヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルトリシロキサン、及び、例えば、含水のクリームに関連して挙げられ、かつ吸水能を増大させる脂肪アルコール、及びステロール、羊毛脂、他の乳化剤及び/又は他の添加剤を含有していてよい。
【0021】
ゲルの場合に、含水ゲルと、無水ゲルと、膨潤可能なゲル形成性材料からなる低含水量のゲルとの間で区別される。主に適しているのは無機又は有機の高分子をベースとする透明なヒドロゲルである。ゲル形成性を有する高分子の無機成分は、主として含水の又は吸水性のケイ酸塩、例えばケイ酸アルミニウム、例えばベントナイト、ケイ酸マグネシウム−アルミニウム、例えばVeegum(R) - Vanderbilt Exp. Corp.、又はコロイドシリカ、例えばAerosil(R) - Degussaである。使用される高分子有機物質の例は、天然、半合成又は合成のポリマーである。天然及び半合成のポリマーは、例えば、異なる炭水化物単位を有する多糖、例えばセルロース、デンプン、トラガカント、アラビアゴム、寒天、ゼラチン、アルギン酸及びその塩、例えばアルギン酸ナトリウム及びその誘導体、低級アルキルセルロース、例えばメチルセルロース又はエチルセルロース、カルボキシ−又はヒドロキシ−低級−アルキルセルロース、例えばカルボキシメチルセルロース又はヒドロキシプロピルセルロースから誘導される。合成のゲル形成性ポリマーの単位は、例えば、不飽和の置換された脂肪族化合物、例えばビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸又はメタクリル酸である。そのようなポリマーの挙げることができる例は、ポリビニルアルコール誘導体、例えばPolyviol(R) - Wacker、ポリビニルピロリドン、例えばKollidon(R) - BASF又はPolyplasdon(R) - General Aniline、ポリアクリレート及びポリメタクリレート、例えばRohagit S(R) - Rohm und Haasである。常用の添加剤、例えば防腐剤又は香料をゲルに添加することが可能である。
【0022】
泥膏は前記の成分と、水分又は分泌物を結合させる仕事を果たす、分泌物吸収性の粉剤成分、例えば金属酸化物、例えば酸化チタン又は酸化亜鉛、またタルク及び/又はケイ酸アルミニウムとを有するクリーム又は軟膏剤である。
【0023】
本発明の好ましい実施態様において、本発明の局所的薬剤学的製剤は半固体の薬剤学的製剤であり、その際に付形剤の1つがポリエチレングリコール、特にポリエチレングリコール400である。
【0024】
本発明のさらなる実施態様において、本発明の局所的薬剤学的製剤は、経皮吸収治療システム(TTS)、例えばPharmazeutische Technologie: Moderne Arzneiformen、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH Stuttgart 1997、81頁以降に記載されているような系である。TTSsは原則として、皮膚への医薬物質の定義された供給、TTS中の医薬物質の全用量、全領域及び医薬物質の放出のためのそれとはおそらく異なる領域、医薬物質に対して不透過性であるカバーシート(バッキング層)、医薬物質レザバー、皮膚への医薬物質の供給を制御する制御要素、(感圧性の)粘着性層及び取り外すことのできる保護層により特徴付けられている。折に触れて1つを上回る機能について、1つの及び同じ要素、例えば適している粘着性マトリックスによるレザバー、制御及び粘着機能により満たされうることが可能である。薬剤学的技術の観点からは、TTSsは制御機能が達成される様式に従って、すなわち皮膚への医薬物質の供給をどのように制御するかに従ってカテゴリー分けされる。ここで挙げられる例は、膜透過−制御放出を有するTTSs(膜減速された薬物送達)、マトリックス拡散−制御放出を有するTTSs及びマイクロレザバー溶液−制御放出を有するTTSsである。
【0025】
膜透過−制御放出を有するTTSsは、レザバーから皮膚中への医薬物質の透過を制御するPVA−VAコポリマー(Chronomer(R))から構成されているポリマー膜により特徴付けられている。医薬物質は最初に固体粒子の形であるか又はレザバー中の分散液又は溶液として存在する。ポリマー膜は多様な様式(押出、カプセル封入、マイクロカプセル封入)でレザバーに結合されていてよい。マトリックス拡散−制御放出を有するTTSsは比較的により単純な構造を有する。それらは別個の制御要素を有していない。医薬物質の放出は、親油性又は親水性のポリマーマトリックス及び/又は粘着性層により制御される。ゲルの形のマトリックスを有するTTSsと固体ポリマーラミネートであるTTSsとの間で、マトリックスの特性に従って区別することが可能である。医薬物質レザバーは、マトリックス中に溶解された医薬物質により形成されるか(モノリシックな系)又は固体の医薬物質粒子の均質な分散液である。マトリックスTTSは、医薬物質粒子を粘稠な液体又は半固体ポリマーと室温で混合し、引き続きポリマー鎖を架橋させることにより製造されることができる。さらなる可能性はまた医薬物質を高められた温度で軟化したポリマーと混合することであるか(ホットメルト技術)、又は2つの成分(有機溶剤中に溶解された)は一緒に混合され、溶剤はついで真空中で除去される(溶剤蒸発)。成形は、適している型中へ注ぐか、特別な装置(ナイフ)で塗布するか又は押出により可能である。マイクロレザバー溶液−制御放出を有するTTSs(マイクロシールされた薬物送達、MDD原理)の場合に、活性成分及びサイズ10〜200μmを有している多数のマイクロコンパートメントが、レザバー及び送達−制御要素であるマトリックス中に埋め込まれている。マトリックスのために、これらのTTSsは実際にはマトリックス系に割り当てられる。製造のためには医薬物質は最初に、水及び透過促進剤として作用するイソプロピルパルミテート中の40%ポリエチレングリコール400と一緒に分散される。生じる分散液は、特別な高エネルギー分散技術を用いることにより、同時にカチオン重合を受ける粘稠なシリコーンエラストマー中へ配合される。医薬物質含有のマトリックスは、既に記載された方法でキャリヤーと組み合わされる前に、とりわけメルト又は押出技術により成形されることができる。医薬物質の物理化学的性質及び目的とされる遊離に依存して、ゆえに遊離の機構及び速度を修正するために、マトリックスを生物学的適合性のポリマーの層でカバーすることが可能である。
【0026】
本発明の他の実施態様において本発明の局所的薬剤学的製剤は眼についての使用のための剤形(眼科用薬)である。この点について挙げることができる例は、眼浴又はアイローション、アイインサート、眼軟膏剤、アイスプレー、点眼剤、眼内注射用の製剤及び眼瞼軟膏剤である。好ましい実施態様において本発明の剤形は眼軟膏剤又は点眼剤である。点眼剤は好ましくは本発明によれば活性成分の水性又は油性の懸濁液を含んでいる。この点について使用される活性成分の粒径が10μm未満が90%であることが好ましい。
【0027】
水性懸濁液の場合に、懸濁安定剤、例えば置換セルロース(例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンが防腐剤(例えばクロロクレゾール、フェニル水銀化合物、フェニルエタノール、塩化ベンザルコニウム又は個々の成分の混合物)及び、適当な場合には等浸透圧性に調節するための塩化ナトリウムに加えて好ましくは使用される。油性点眼剤の場合に本発明により好ましくは使用されるのはひまし油、落花生油又は中鎖トリグリセリドである。眼軟膏剤の場合に本発明によれば次の性質:無菌又は極端に低い微生物含量、刺激のないこと、良好な活性、軟膏剤中の活性成分又はその溶液の良好な分配、柔軟性、眼球上へのごく薄い膜としての迅速な分散、眼への良好な接着、良好な安定性及び低い視力障害を有する軟膏基剤を使用することが可能である。炭素水素又はコレステロール含有の基剤は本発明によればそれゆえ好ましくは眼軟膏剤のために使用される。ワセリンの場合に流動パラフィンはコンシステンシーの理由で好ましくは添加される。良好な塗布を達成するために、本発明によれば限定された粘度の組成物を提供することが好ましい。32℃での粘度は好ましくは1 000mPa.s未満であり、かつ降伏点は好ましくは300mPa未満である。懸濁性軟膏の場合に、本発明によれば活性成分粒子の90%が10μm未満であることが好ましく、かつ90μmを上回る粒子が生じるべきではない。水/油乳剤性軟膏の場合には本発明によれば、防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウム、チオメルサール又はフェニルエチルアルコールを添加することが好ましい。
【実施例】
【0028】
本発明の剤形の製造
例1
次のもの550gを含有する:
ポリエチレングリコール400 440.00g
Carbopol 934(R) 8.25g
ロフルミラスト 1.375g
水酸化ナトリウム溶液 十分な量
純水 550.00gまで
製造は約60〜70℃で挙げられた量のポリエチレングリコール中に活性成分を溶解させることにより行う。純水約90gを添加し、かつ均質に混合し、Carbopol 934を高速撹拌機を用いてその中に均質に分散させる。ゆっくりと撹拌しながら、水酸化ナトリウム溶液を、6.5〜7.5のpHに達するまで添加する。残りの水を最終質量まで添加し、均質に混合する。
例2
次のもの550gを含有する:
ロフルミラスト 1.65g
ポリエチレングリコール400 440.00g
ポリエチレングリコール4000 550.0gまで
製造は、2つのポリエチレングリコールを70℃に処理して澄明な融成物を得ることにより行う。活性成分を同様に添加して澄明な溶液を得る。製剤を、ゆっくりと撹拌しながら室温に冷却する。
例3
次のもの550gを含有する:
ロフルミラスト 1.10g
Tego Care 150(R) 27.50g
(Th. Goldschmidt)
ニュートラルオイル(Miglyol 812(R)) 137.50g
ポリエチレングリコール400 275.00g
セトステアリルアルコール 11.00g
純水 550gまで
製造を、ニュートラルオイル、セトステアリルアルコール及びTego Care 150の澄明な溶液を約70℃で製造することにより行う。ロフルミラストが溶解されているポリエチレングリコールを、同様に高速撹拌機を用いて撹拌混入する。70℃に加熱した水を脂質相に添加する。Turraxを均質化のために使用する。ついで製剤を冷たくなる(室温)まで撹拌する。
例4
次のもの100gを含有する:
ロフルミラスト 0.25g
ニュートラルオイル(Miglyol 812(R)) 16.00g
グリセリンモノステアレート 8.00g
Cremophor A6(R) (BASF) 4.00g
ポリエチレングリコール400 62.50g
純水 100.00gまで
製造を、全ての成分(水を除く)を一緒に約70〜80℃に加熱して澄明な溶液を得ることにより行う。ついで水を、撹拌しながら添加し、このようにして製造した製剤を、撹拌しながら室温に冷却する。
例5
次のもの100gを含有する:
ロフルミラスト 0.25g
流動パラフィン 15.00g
羊毛脂 5.00g
白色ワセリン 100gまで
製造を、流動パラフィン、羊毛脂及び白色ワセリンの澄明な融成物を約80℃で製造することにより行う。超微粉砕された活性成分を添加し、製剤を、室温に冷却されるまで撹拌する。
例6
ロフルミラスト 0.10g
流動パラフィン 10.00g
羊毛脂 5.00g
白色ワセリン 100gまで
製造を例5に類似して行う。
例7
ロフルミラスト 0.10g
ニュートラルオイル(Miglyol 812(R)) 16.00g
グリセリンモノステアレート 8.00g
Cremophor A6(R)(BASF) 2.00g
ポリエチレングリコール400 62.50g
純水 100.00gまで
製造を例4に類似して行う。
例8
ロフルミラスト 0.10g
ニュートラルオイル (Miglyol 812(R)) 16.00g
グリセリンモノステアレート 8.00g
Cremophor A6(R) (BASF) 4.00g
ポリエチレングリコール400 62.50g
純水 100.00gまで
製造を例4に類似して行う。
例9
眼軟膏剤の組成(1 000gについての量)
ロフルミラスト 1g
セチルアルコール 4g
高粘度パラフィン 200g
白色ワセリン 795g
製造:セチルアルコール、高粘度パラフィン及び白色ワセリンの澄明な融成物を約70℃で製造する。超微粉砕されたロフルミラスト(10μm未満の粒子90%)を撹拌混入し、均質な分散液をUltra-Turraxを用いて製造する。懸濁液を、撹拌しながら室温に冷却し、適しているチューブに充填するのに使用する。
例10
乳剤の形の点眼溶液の組成(1 000mlについての量)
ロフルミラスト 1.5g
中鎖トリグリセリド 100.0g
レシチン 12.0g
グリセリン 25.0g
チオメルサール 0.1g
純水 1 000mlまで
製造:最初にロフルミラスト及びついでレシチンを、中鎖トリグリセリド及びグリセリン中に30℃〜40℃で溶解させる。激しく撹拌しながら純水を添加し、ついで分散相の液滴サイズが500nm未満になるまで均質化する。チオメルサールを、撹拌することにより溶解させる。乳濁液を0.45μmフィルターでろ過し、適している容器中に分配する。
例11
鼻軟膏剤の組成(1 000gについての量)
ロフルミラスト 1g
セチルアルコール 4g
羊毛脂 50g
高粘度パラフィン 200g
白色ワセリン 745g
製造:セチルアルコール、高粘度パラフィン、羊毛脂及び白色ワセリンの澄明な融成物を約70℃で製造する。超微粉砕されたロフルミラスト(10μm未満の粒子90%)を撹拌混入し、均質な分散液をUltra-Turraxを用いて製造する。懸濁液を、撹拌しながら室温に冷却し、適しているチューブに充填するのに使用する。
局所的薬剤学的製剤の薬物動力学の調査
本発明の局所的薬剤学的製剤の薬物動力学パラメーターと経口形との比較
例A
14C]ロフルミラストを含有している、例7に相当する製剤及び例8に相当する製剤を、サイズ4cmでラットの皮膚の毛を剃った領域(5匹の雄のウィスターラット)に適用した。放射能濃度を1h、4h、8h、24h後に血漿中で及び尿(0〜24h)中で測定した(n=5)。用量は1.7mg/kgであった。
結果:
例7の製剤:Cmax:0.214mg当量/l、AUC(0-24h):4.13(mg当量/l×h)
例8の製剤:Cmax:0.214mg当量/l、AUC(0-24h):3.99(mg当量/l×h)
1mg/kgに標準化した結果は次の通りである:
例7の製剤:Cmax:0.126、AUC:2.43
例8の製剤:Cmax:0.126、AUC:2.35
1mg/kgの経口投与後の動力学的パラメーターとの比較:
Cmax:0.225mg当量/l、AUC(0-24h):3.10(mg当量/l×h)
AUC(例7の製剤)とAUC(経口)との比は78%であり、かつAUC(例8の製剤)とAUC(経口)との比は76%である。
【0029】
尿での排泄の比較結果:
例7の製剤:用量の19.4%
例8の製剤:用量の18.0%
経口投与:用量の18.4%
結論:
ラットへの[14C]ロフルミラスト1.7mg/kgの経皮投与後に、全放射能は皮膚を通して十分に輸送され、使用された製剤に関係なく4h後に0.214mg当量/lの最大血漿レベルに達する。経皮投与後の全放射能、AUCs及び尿での排泄に基づいて経口投与後のそれとは取るに足るほど違わない。
例B
14C]ロフルミラストを含有している例5に相当する製剤を、サイズ4cmでラットの皮膚の毛を剃った領域(雄のウィスターラット)に適用した。放射能濃度を、1h、4h、8h、24h後に血漿中で及び尿(0〜24h)中で測定した(n=5)。用量は1.77mg/kgであった。
例5の製剤:Cmax:0.331mg当量/l、AUC(0-24h):4.99(mg当量/l×h)
1mg/kgに標準化した結果は次の通りである:
例5の製剤:Cmax:0.187、AUC:2.82
1mg/kgの経口投与後の動力学的パラメーターとの比較:
Cmax:0.225mg当量/l、AUC(0-24h):3.10(mg当量/l×h)
尿での排泄の比較結果:
例5の製剤:用量の22.0%
経口投与:用量の18.4%
結論:
これらのデータは、ロフルミラストが、例7又は8に相当する製剤からよりも、幾分より一層良好に例5の製剤から吸収されることを示している。投与後24h内の尿での排泄は22%であり、これは例7又は8に相当する製剤の皮膚投与後の尿での排泄の範囲内でもある。経口投与との比較は、局所製剤の組成に関係なく、類似のCmax及びAUCs及び類似の尿での排泄が達成されることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の剤形は、PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる全ての疾患の処置及び予防に使用されることができる。選択的環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(とりわけ4型)は、一方では気管支治療剤として(それらの拡張させる効果のため並びに呼吸速度及び呼吸欲動を増大させるそれらの効果のために気道閉塞の処置のため)及び血管を拡張させる効果のために勃起機能不全を除去するため、しかし他方では特に障害、特に炎症性障害、例えばメディエーター、例えばヒスタミン、PAF(血小板活性因子)、アラキドン酸誘導体、例えばロイコトリエン及びプロスタグランジン、サイトカイン、インターロイキン、ケモカイン(chemokines)、α−、β−及びγ−インターフェロン、腫瘍壊死因子(TNF)又は酸素フリーラジカル及びプロテアーゼにより促進される、気道(喘息予防)、皮膚、中枢神経系、腸、眼及び関節の障害の処置のために適している。本発明の薬剤学的製剤は、それゆえヒト及び獣医学において例えば次の疾患の処置及び予防に使用されることができる:多様な病因の急性及び慢性の(特に炎症性及びアレルゲン誘発性の)気道障害(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、COPD);皮膚病(特に増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚病)、例えば乾癬(尋常性)、有毒性及びアレルギー性の接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、生殖肛門領域におけるそう痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性(follicular)及び拡張性(extensive)膿皮症、内因性及び外因性のざ瘡、酒さ性ざ瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚障害;TNF及びロイコトリエンの過剰放出に基づく障害、例えば関節炎型の障害(慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症及び他の関節炎状態)、免疫系の障害(AIDS、多発性硬化症)、ショックのタイプ[敗血症性ショック、内毒素性ショック、グラム−陰性の敗血症、毒物ショック症候群及びARDS(成人呼吸窮迫症候群)]及び胃腸領域における全身性化された炎症(クローン病及び潰瘍性大腸炎);上部気道の領域(咽頭腔、鼻)及び隣接領域(副鼻腔、眼)におけるアレルギー性及び/又は慢性の異常な免疫反応に基づく障害、例えばアレルギー性の鼻炎/副鼻腔炎、慢性の鼻炎/副鼻腔炎、アレルギー性結膜炎、細菌類、ウイルス類又は真菌類により引き起こされる結膜炎、眼内レンズ移植後の炎症状態、視神経の炎症(視神経炎;neuritis nervi optici)、角膜炎、ドライアイ症候群(乾性角膜炎)、ブドウ膜炎、緑内障、網膜浮腫、色素性網膜炎、糖尿病性網膜症、及び鼻ポリープ;並びにPDE阻害剤により処置されることができる心臓性障害、例えば心不全、又はPDE阻害剤の組織−弛緩薬効果のために処置されることができる障害、例えば勃起機能不全又は腎結石と関係した腎臓及び尿管の疝痛;さもなければCNSの障害、例えばうつ病又は動脈硬化性痴呆。
【0031】
本発明の薬剤学的製剤は、皮膚の障害、例えば皮膚病(特に増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚病)、例えば乾癬(尋常性)、有毒性及びアレルギー性の接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、生殖肛門領域におけるそう痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性及び拡張性の膿皮症、内因性及び外因性のざ瘡、酒さ性ざ瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚障害の処置に特に適している。好ましくは乾癬及びアトピー性湿疹の処置における本発明の薬剤学的製剤の使用を挙げることができる。
【0032】
それゆえ本発明はさらに、PDE 4阻害剤の適用により処置可能又は予防可能であると考えられる皮膚の障害を処置するための皮膚投与用の局所的薬剤学的製剤を製造するための、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド又はその塩の使用にも関する。好ましくはこの点について皮膚病(特に増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚病)、例えば乾癬(尋常性)、有毒性及びアレルギー性の接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、生殖肛門領域におけるそう痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性及び拡張性の膿皮症、内因性及び外因性のざ瘡、酒さ性ざ瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚障害を挙げることができる。
【0033】
本発明はさらに、前記疾患の1つに罹っているヒトを含めたほ乳動物の処置方法に関する。前記方法は、化合物ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩の群から選択される活性薬剤学的成分の治療上有効でありかつ薬理学的に適した量が疾患を有するほ乳動物に投与され、その際に活性薬剤学的成分が本発明の局所的薬剤学的製剤で投与されることにより特徴付けられる。前記疾患は好ましくは皮膚の障害、例えば皮膚病(特に増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚病)、例えば乾癬(尋常性)、有毒性及びアレルギー性の接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、生殖肛門領域におけるそう痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性及び拡張性の膿皮症、内因性及び外因性のざ瘡、酒さ性ざ瘡及び他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚障害である。前記方法は、投与が皮膚投与により、即ち皮膚又は粘膜への本発明の局所的薬剤学的製剤の適用により行われることにより特徴付けられる。
【0034】
好ましい他の実施態様において本発明はPDE4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる眼の障害に罹っているヒトを含めたほ乳動物の処置に関する。この眼の障害は好ましくはアレルギー性結膜炎、細菌類、ウイルス類又は真菌類により引き起こされる結膜炎、眼内レンズ移植後の炎症状態、視神経の炎症(視神経炎)、角膜炎、ドライアイ症候群(乾性角膜炎)、ブドウ膜炎、緑内障、網膜浮腫、色素性網膜炎及び糖尿病性網膜症の群から選択される。眼の障害は好ましくはアレルギー性結膜炎、細菌類、ウイルス類又は真菌類により引き起こされる結膜炎、眼内レンズ移植後の炎症状態又はブドウ膜炎である。前記方法は、投与が眼への本発明の製剤の適用により行われることにより特徴付けられる。
【0035】
局所投与に関して意外なことに観察された良好な全身性の利用能が、本発明の薬剤学的製剤を付加的に全身療法、ひいてはPDE 4阻害剤の適用により処置可能又は予防可能であると考えられる他の全ての疾患、特に前記疾患の処置に適するようにする。
【0036】
それゆえ本発明はさらに、PDE 4阻害剤の適用により処置可能又は予防可能であると考えられる疾患の全身療法のための皮膚投与用の局所的薬剤学的製剤を製造するための、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド又はその塩の使用にも関する。好ましくはこの点について多様な病因の急性及び慢性の(特に炎症性及びアレルゲン誘発性の)気道障害(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、COPD)、及び関節炎型の障害(慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症及び他の関節炎状態)を挙げることができる。
【0037】
本発明の薬剤学的製剤はさらに、前記疾患に罹っており、かつ経口投与されうる薬剤学的製剤を摂取するのに問題がある患者、例えば寝たきりの患者、集中医療の患者、嚥下困難を有する患者及び子供の群への投与に特に適している。
【0038】
本発明はさらに、前記疾患の1つに罹っているヒトを含めたほ乳動物の処置方法に関する。前記方法は、化合物ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩の群から選択される活性薬剤学的成分の治療上有効でありかつ薬理学的に適している量が疾患を有するほ乳動物に投与され、その際に活性薬剤学的成分が本発明の局所的薬剤学的製剤で投与されることにより特徴付けられる。前記疾患は好ましくは多様な病因の急性及び慢性の(特に炎症性及びアレルゲン誘発性の)気道障害(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、COPD)及び関節炎型の障害(慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症及び他の関節炎状態)である。前記方法は、投与が皮膚投与により、即ち皮膚又は粘膜への本発明の局所的薬剤学的製剤の適用により行われることにより特徴付けられる。
【0039】
本発明の剤形は個々の疾患の処置に常用の用量の活性薬剤学的成分を含んでいる。活性成分の用量はPDE阻害剤に常用のオーダーであり、その際に1日量を1つ又はそれ以上の用量単位で投与することが可能である。常用の用量は例えばWO 95/01338に開示されている。全身療法(経口)についての通常の用量は1kg及び1日当たり0.001〜3mgである。局所投与のための本発明により好ましい剤形は、1用量単位当たりロフルミラスト0.005mg〜5mg、好ましくは0.01mg〜2.5mg、特に好ましくはロフルミラスト0.1mg〜0.5mgを含有する。本発明の薬剤学的製剤の例は、1用量単位当たりロフルミラスト0.01mg、0.1mg、0.125mg、0.25mg及び0.5mgを含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局所投与に適している1つ又はそれ以上の薬剤学的なキャリヤー及び/又は付形剤と共に活性薬剤学的成分を含んでいる局所適用可能な薬剤学的製剤において、
活性薬剤学的成分が、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのピリジン残基のN−オキシド又はその塩からなっている群から選択される化合物であることを特徴とする、局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項2】
ロフルミラストが式I
【化1】

[式中、
R1はジフルオロメトキシであり、
R2はシクロプロピルメトキシであり、かつ
R3は3,5−ジクロロピリド−4−イルである]で示される化合物である、請求項1記載の局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項3】
軟膏剤(例えば溶液性軟膏、懸濁性軟膏)、クリーム、ゲル又は泥膏の群から選択される半固体の剤形である、請求項1記載の局所的薬剤学的製剤。
【請求項4】
経皮吸収治療システム(TTS)である、請求項1記載の局所的薬剤学的製剤。
【請求項5】
PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる疾患の全身療法のための皮膚投与用の局所的薬剤学的製剤を製造するための、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド又はその塩の使用。
【請求項6】
PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる皮膚の障害を処置するための皮膚投与用の局所的薬剤学的製剤を製造するための、ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド又はその塩の使用。
【請求項7】
PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる皮膚病に罹っているヒトを含めたほ乳動物を処置する方法において、
化合物ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩の群から選択される治療上有効でありかつ薬理学的に適した量の活性薬剤学的成分を、前記障害を有するほ乳動物に投与し、その際に活性薬剤学的成分を請求項1記載の発明の局所的薬剤学的製剤で投与し、かつ投与を皮膚投与により行うことを特徴とする、ほ乳動物を処置する方法。
【請求項8】
皮膚病が乾癬(尋常性)、有毒性及びアレルギー性の接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、生殖肛門領域におけるそう痒症、円形脱毛症、過形成性瘢痕、円板状エリテマトーデス、毛包性及び拡張性の膿皮症、内因性及び外因性のざ瘡、酒さ性ざ瘡又は他の増殖性、炎症性及びアレルギー性の皮膚障害である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる疾患に罹っているヒトを含めたほ乳動物を処置する方法において、
化合物ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩の群から選択される治療上有効でありかつ薬理学的に適した量の活性薬剤学的成分を、前記障害を有するほ乳動物に投与し、その際に活性薬剤学的成分を請求項1記載の発明の局所的薬剤学的製剤で投与し、かつ投与を皮膚投与により行うことを特徴とする、ほ乳動物を処置する方法。
【請求項10】
疾患が、多様な病因の急性及び慢性の(特に炎症性及びアレルゲン誘発性の)気道障害(気管支炎、アレルギー性気管支炎、気管支喘息、COPD)又は関節炎型の障害(慢性関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症及び他の関節炎状態)である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
眼に使用するための剤形である、請求項1記載の局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項12】
点眼剤を含んでいる、請求項11記載の局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項13】
キャリヤー及び/又は付形剤中の活性薬剤学的成分の懸濁剤を含んでいる、請求項11記載の局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項14】
眼軟膏剤を含んでいる、請求項11記載の局所適用可能な薬剤学的製剤。
【請求項15】
PDE 4阻害剤の使用により処置可能又は予防可能であると考えられる眼の障害に罹っているヒトを含めたほ乳動物を処置する方法において、
化合物ロフルミラスト、ロフルミラストの塩、ロフルミラストのN−オキシド及びその塩の群から選択される治療上有効でありかつ薬理学的に適した量の活性薬剤学的成分を、前記障害を有するほ乳動物に投与し、その際に活性薬剤学的成分を請求項11記載の発明の局所的薬剤学的製剤で投与することを特徴とする、ほ乳動物を処置する方法。
【請求項16】
前記疾患がアレルギー性結膜炎、細菌類、ウイルス類又は真菌類により引き起こされる結膜炎、眼内レンズ移植後の炎症状態、視神経の炎症(視神経炎)、角膜炎、ドライアイ症候群(乾性角膜炎)、ブドウ膜炎、緑内障、網膜浮腫、色素性網膜炎又は糖尿病性網膜症である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
アレルギー性結膜炎、細菌類、ウイルス類又は真菌類により引き起こされる結膜炎、眼内レンズ移植後の炎症状態又はブドウ膜炎が含まれる、請求項16記載の方法。

【公開番号】特開2012−229245(P2012−229245A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154020(P2012−154020)
【出願日】平成24年7月9日(2012.7.9)
【分割の表示】特願2004−506857(P2004−506857)の分割
【原出願日】平成15年5月27日(2003.5.27)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】