説明

局部洗浄装置

【課題】局部洗浄装置の複数のモード設定を、簡単な構成で確実に実行すること。
【解決手段】複数の動作モードを有する局部洗浄装置であって、前記局部洗浄装置へ電源を供給する電源供給手段と、前記電源供給手段から供給された電源周波数を判定する電源周波数判定手段と、前記局部洗浄装置に内蔵した負荷を駆動制御する制御部と、前記電源供給手段から入力された電源周波数に対応して実行する動作モードを記憶した記憶手段と、を備え、前記電源周波数判定手段は前記電源供給手段より入力された電源の周波数を判定し、前記制御部は、前記記憶手段に記憶された電源周波数と動作モードの対応に基づいて前記電源周波数判定手段で判定された周波数に対応した動作モードを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、局部洗浄装置では人が便座に着座したことを検知する着座センサにより着座時のみ洗浄用のノズルが収納部より出てノズルの先端より洗浄水が出る構成となっている。
【0003】
しかし商品展示時や生産ラインでの検査においては非着座の状態でノズルの動作をさせる必要からデモンストレーションモード(以下デモモードと言う)や製造ラインでの検査用に検査モードと呼ばれる、通常のユーザーの使用状態(以下、通常モード)と異なる動作をするモードを設け、そのデモモード、検査モードと通常モードの切り替え手段が提案されている。
【0004】
切り替え手段の例として電源投入時に特定のスイッチが押されているとデモモードと判定するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
図4は、特許文献1に記載された従来の局部洗浄装置を示すものである。図4に示すように、モード管理手段12と、電源投入検出手段13、動作スイッチ14、強制スイッチ受付モード実行手段19から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6―136806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、デモモードに設定するため電源投入時に強制スイッチが押されている必要がある。例えば展示用に設置していた場合、毎日電源投入を行い、電源投入時に強制スイッチを押す必要があり手間がかかる。また手動の操作を伴う為、特に、このような特殊モードの設定は通常の使用者が誤って操作してしまうことのないように、通常ではありえない操作の組み合わせであったり、少々無理な操作を伴ったりすることもあり、確実性に欠けるという課題を有していた。また複数のデモモードに設定するには複数操作をするように構成する必要があり煩雑な構成で、複雑な操作になる。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、容易に且つ確実に複数の動作モードに設定が出来る局部洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の局部洗浄装置は、複数の動作モードを有する局部洗浄装置であって、前記局部洗浄装置へ電源を供給する電源供給手段と、前記電源供給手段から供給された電源周波数を判定する電源周波数判定手段と、前記局部洗浄装置に内蔵した負荷を駆動制御する制御部と、前記電源供給手段から入力された電源周波数に対応して実行する動作モードを記憶した記憶手段と、を備え、前記電源周波数判定手段は前記電源供給手段より入力された電源の周波数を判定し、前記制御部は、前記記憶手段に記憶された電源周波数と動作モードの対応に基づいて前記電源周波数判定手段で判定された周波数に対応した動作モードを実行するものである。
【0010】
この構成によって、供給する電源周波数を変更するだけで、あらかじめ設定された入力電源周波数に対応した動作モードを選択して実行することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の局部洗浄装置は、機器に何ら操作を加えることなく容易にかつ確実に複数の動作モードのうちの選択した動作モードを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における局部洗浄装置の制御ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における局部洗浄装置の動作フローチャート
【図3】本発明の実施の形態2における局部洗浄装置の動作フローチャート
【図4】従来の局部洗浄装置を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、複数の動作モードを有する局部洗浄装置であって、前記局部洗浄装置へ電源を供給する電源供給手段と、前記電源供給手段から供給された電源周波数を判定する電源周波数判定手段と、前記局部洗浄装置に内蔵した負荷を駆動制御する制御部と、前記電源供給手段から入力された電源周波数に対応して実行する動作モードを記憶した記憶手段と、を備え、前記電源周波数判定手段は前記電源供給手段より入力された電源の周波数を判定し、前記制御部は、前記記憶手段に記憶された電源周波数と動作モードの対応に基づいて前記電源周波数判定手段で判定された周波数に対応した動作モードを実行するものである。
【0014】
この構成によって、供給する電源周波数を変更すると、あらかじめ設定された入力電源周波数に対応した動作モードの中から、入力された電源周波数に対応した動作モードを実行することができる。交流安定化電源周波数変換器などの汎用装置で任意の電源を発生させ、電源供給手段への入力が容易にできるので、動作モードの変更が容易にできる。
【0015】
第2の発明は、電源周波数判定手段は、所定の時間で切り替わる電源周波数を順次判定し、
記憶手段は複数の電源周波数の組み合わせに対応する複数の動作モードを記憶し、
制御部は、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記電源周波数判定手段により判定された複数の電源周波数の組み合わせに対応した動作モードを実行する構成としたものである。
【0016】
この構成によって、電源周波数の組み合わせを変えて入力するだけで選択した動作モードの実行が可能となるので、より多くの動作モードをあらかじめ設定し、そのなかから特定の動作モードを実行することがより確実となる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における局部洗浄装置の制御ブロックの構成を示すものである。
【0019】
図1において、電源供給手段1は、商用電源を局部洗浄装置に供給するコンセントである。これは、通常は50Hz、または60Hzの商用電源から電源供給される。電源周波数判定部2を介して制御部6に電源が入力され、局部洗浄装置に搭載される各種機能ユニットにそれぞれ電力を供給する。図示しない便座への着座を検出する着座スイッチ3、図
示しない操作部に設けられて使用者が局部を洗浄する際に指示するためのおしり洗浄スイッチ4、複数の電源周波数毎に対応する動作モードを記憶した記憶手段5が、制御部6に信号を送出する。便座の開閉制御を行う駆動ユニットからなる便座駆動部7、局部洗浄ノズルの駆動や洗浄水噴出動作を行うノズル駆動部8は制御部6によって制御されている。着座スイッチ3は、便座の回動軸に設けてあり、人体が便座に着座して回動軸に荷重がかかる状態とかからない状態とで、スイッチが入り切りするというものである。また、一般的な光学式の着座検知センサを便座本体部などに設けたものであってもよい。
【0020】
本実施の形態において、記憶手段5に、通常の商用電源50Hzまたは60Hzであれば通常の動作モードで、電源周波数が52Hz以上55Hz未満で、局部洗浄ノズルの駆動を見せるためのデモモード1、電源周波数が55Hz以上58Hz未満で、便座の開閉駆動を見せるためのデモモード2というように対応する動作モードが記憶されている。
【0021】
以上のように構成された局部洗浄装置について、通常の動作モードにおいては、次のように動作する。便座に人体が着座すると着座スイッチ3が着座を検知して、おしり洗浄やビデ洗浄などの洗浄にかかわるスイッチが有効となる。おしり洗浄スイッチ4を押すと、局部洗浄ノズルが待機位置から突出して、栓浄水を噴出しておしりを洗浄する。また、着座しないまま誤っておしり洗浄スイッチ4を押してしまった場合であれば着座スイッチ3が非着座OFFのままなので、洗浄にかかわるスイッチは無効となり、局部洗浄ノズルは動作をしない。
【0022】
デモモード1であれば、着座しないまま着座スイッチ3が着座を検知しない状態でおしり洗浄スイッチ4を押されると、局部洗浄ノズルを突出させて洗浄水を噴出させる。
【0023】
次に、各動作モードの判定とその動作について、以下、図1の制御ブロックの構成図及び図2の動作フローチャートとともにその動作、作用を説明する。
【0024】
図1の電源供給手段1に電源が供給される。ここで、電源として汎用の電源周波数変換器を用いる。商用電源の周波数である50Hz、60Hz以外の52Hz(以下flと言う)と58Hz(以下fhと言う)を選択的に出力するように設定する。汎用の電源周波数変換器に電源供給部1のコンセントを差し込み、電源周波数変換器において入力する周波数の設定を行う。電源周波数判定部2は供給された電源の周波数がflかfhであるか判定し制御部3に判定した信号を送る。そして、記憶手段5に保存された各周波数に対応する動作モードを選択して、制御部6は各機能部を制御する。
【0025】
次に図2に基づいて電源周波数の判定及び判定後の各モードの動作を説明する。ステップS1で印加された電源周波数が52Hz以下であるか又はステップS7で58Hz以上であればステップS3で通常モードと設定する。
【0026】
通常モードにおいてはステップS4で洗浄スイッチ4が押されているか判断し押されていればステップS5で着座スイッチ4がオン即ち着座状態を判断し着座状態であればステップS6でノズル駆動部8によりノズルを駆動する。着座状態でなければノズル駆動せず処理を終了する。
【0027】
前述のステップS7で58Hz以下と判定した場合はデモモードでありステップS8で55Hz以下の場合はデモモード1と設定しステップS10で洗浄スイッチが押されれば着座スイッチ2がオンでなくてもノズルを駆動する。
【0028】
ステップS8で55Hz以上であればステップS11でデモモード2と設定しステップS12、ステップS13の処理により便座駆動部7を制御して、10秒毎に便座の開閉を
実行する。
【0029】
本実施例では電源周波数として商用周波数である50Hzと60Hzの間の2つの周波数を動作モード判定用の周波数としたが、電源回路の動作が可能な範囲で50Hz以下または60Hz以上の任意の周波数とすることが可能である。これにより電源周波数判定手段2に要求される判定精度が緩和される。
【0030】
以上のように、本実施の形態においては電源供給部から供給される電源の周波数を判定し、それにより複数の動作モードから対応する動作モードを選択的に実行することにより、外部より特殊な操作を行って動作モードを実行するのではなく、容易にかつ確実に所望する動作を実行することができる。通常の動作時に電源供給する電源供給部と兼用するので、動作モード変更用の特殊な電源供給部が必要というわけではなく、汎用の電源周波数変換器を用いれば、所望の電源周波数の入力は簡単に行うことができるので、複数のデモモードを設けて、各種の実演を行う場合など、容易に実行できる。
【0031】
(実施の形態2)
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるデモモード判定の動作を示すフローチャートである。本発明の第1の実施の形態における局部洗浄装置の制御ブロックの構成と同様の構成であり、通常モードと、デモモード1における動作は実施例1と同様であるので符号の説明と通常モード、デモモード1についての動作の説明を省略する。さらに、デモモード2としてビデ洗浄ノズルが非着座の状態で突出して洗浄水を噴出させる動作、デモモード3として、ノズルが突出したままノズルクリーニングを行う動作、デモモード4として、洗浄水の噴出する洗浄パターンをかえた場合、例えば洗浄水の強弱繰り返しのリズム洗浄噴流を噴出する動作として、設定する。
【0032】
周波数判定手段2は、所定時間で切り替わる入力電源周波数を判定するものであり、記憶手段5には、複数の周波数の組み合わせに対応した動作モードを記憶している。本実施の形態では、周波数判定手段2は所定の時間で切り替わる2つの周波数を第1周波数、第2周波数として判定し、記憶手段5には2つの周波数の組み合わせに応じて、4つの動作モードが記憶されている。第1周波数と第2周波数との組み合わせに対応したデモモード設定の関係を表1に示す。
【表1】

【0033】
上記構成によるデモモードの判定動作について説明する。電源供給手段1は、交流電源周波数変換器(図示せず)に接続され、これを操作して2種類の周波数が所定時間で切り替わるよう出力するように設定する。電源供給部1から入力された電源は電源周波数判定部2において周波数を判定する。ステップS14では第1周波数が確定しているかどうかを、フラグを参照することで判断し確定していなければステップS15で電源周波数が55Hz以下であればステップS16で第1周波数をLと確定、55Hz以上であればHと確定する。
【0034】
ステップS14で既に第1周波数が確定しているときはステップS18へ進み、ここで
は第2周波数が55Hz以下であればステップS19で第1周波数がLであればステップS20でデモモード1と設定する。第1周波数がHであればステップS21でデモモード2と設定する。
【0035】
ステップS18で電源周波数が55以上であればステップS22へ進み、ステップS19での処理と同様にデモモード3、デモモード4を設定する。
【0036】
外部より供給する電源の周波数は所定の時間、55Hz以下の例えば53Hzを機器に供給し、その後次の周波数に切り替えて供給する。
【0037】
このように、供給する電源周波数を切り替えて入力することで、入力の切り替えパターンにより複数の動作モードに対しても、動作モードを確実で容易に設定して実行出来る。
【0038】
本実施では2つの周波数を時間経過とともに2回切り替える例を示したが3回切り替えれば8種の動作モードを選択できる。また、供給する電源周波数を3種以上切り替えることも可能である。これにより、より数の多い動作モードの設定がある場合にも電源周波数の入力を変えるだけで、確実で、容易に必要な動作モードを特定して実行することができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかる局部洗浄装置は、機器に外部より専用の操作、信号を与えることなく、供給電源周波数を変えるだけで、複数の動作モードから必要な動作モードを選択することが可能となるので、生産ラインでの検査時やメインテナンス等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 電源供給手段
2 電源周波数判定手段
5 記憶手段
6 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の動作モードを有する局部洗浄装置であって、
前記局部洗浄装置へ電源を供給する電源供給手段と、
前記電源供給手段から供給された電源周波数を判定する電源周波数判定手段と、
前記局部洗浄装置に内蔵した負荷を駆動制御する制御部と、
前記電源供給手段から入力された電源周波数に対応して実行する動作モードを記憶した記憶手段と、
を備え、
前記電源周波数判定手段は前記電源供給手段より入力された電源の周波数を判定し、
前記制御部は、前記記憶手段に記憶された電源周波数と動作モードの対応に基づいて前記電源周波数判定手段で判定された周波数に対応した動作モードを実行する局部洗浄装置。
【請求項2】
電源周波数判定手段は、所定の時間で切り替わる電源周波数を順次判定し、
記憶手段は複数の電源周波数の組み合わせに対応する複数の動作モードを記憶し、
制御部は、前記記憶手段に記憶された情報に基づいて前記電源周波数判定手段により判定された複数の電源周波数の組み合わせに対応した動作モードを実行する構成とした請求項1に記載の局部洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate