屈折率の検出方法及び光ファイバセンサシステム
【課題】エネルギーロスの少ない光ファイバセンサシステム、及び屈折率の検出方法を提供する。
【解決手段】入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を、被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出する。光ファイバセンサシステムは、レーザ光を出射する投光器と、投光器に一端を接続してレーザ光を導く第1の光ファイバと、第1の光ファイバの他端を接続した長手状の導波体と、第1の光ファイバと対向させて導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、受光器から出力された信号を解析する解析器で構成する。
【解決手段】入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を、被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出する。光ファイバセンサシステムは、レーザ光を出射する投光器と、投光器に一端を接続してレーザ光を導く第1の光ファイバと、第1の光ファイバの他端を接続した長手状の導波体と、第1の光ファイバと対向させて導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、受光器から出力された信号を解析する解析器で構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバで導波したレーザ光の回折光を利用して被検体の屈折率を検出する検出方法及び光ファイバセンサシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを利用した各種のセンサシステムが提案されている。従来のセンサシステムでは、光ファイバの中途部分にコア内の光をリークさせるセンサ部を設けており、リークさせた光の散乱等による透過損失を検出することにより歪みや温度等の変動を検出可能としている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
センサシステムのセンサ部では、コアとクラッドとで構成された光ファイバのクラッドを部分的に除去してコアを露出させたり、あるいは、センサ部のコア径をセンサ部以外の部分の光ファイバのコア径よりも小さくまたは大きくしたり、場合によって、コアを有さずにクラッドだけとしたりして、光ファイバで導波した光を効果的にリークさせるようにしている。
【0004】
特に、界面活性剤の濃度測定に用いるセンサシステムでは、被検体の界面活性剤溶液に発色指示薬を添加しておき、光をリークさせているセンサ部において生じたエバネッセント波のエネルギーを発色指示薬に移動させることによって、界面活性剤溶液の濃度に依存した光の透過損失を検出して濃度測定を行うことが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3180959号公報
【特許文献2】特開2007−040738号公報
【特許文献3】特開2009−063538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光ファイバセンサシステムでは、センサ部においてリークさせた光はエネルギーの損失でしかなく、エネルギーロスの多いセンサシステムであった。
【0007】
特に、光ファイバセンサシステムでのセンサ感度を高めるためには、光をできるだけ多くリークさせた方がよく、それだけエネルギーロスが大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
このような現状に鑑み、本発明者らは、グースヘンシェンシフトとして知られている位相変化を利用することにより、エネルギーロスの少ない光ファイバセンサシステムを構成すべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の屈折率の検出方法では、被検体の屈折率を検出する屈折率の検出方法において、入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出するものである。
【0010】
また、本発明の光ファイバセンサシステムでは、レーザ光を出射する投光器と、投光器に一端を接続してレーザ光を導く第1の光ファイバと、第1の光ファイバの他端を接続して第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体と、第1の光ファイバと対向させて導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、受光器から出力された信号を解析する解析器とを備えた光ファイバセンサシステムであって、導波体をセンサ部として、導波体と接した被検体の屈折率を導波体での全反射によって回折光に生じた位相変化に基づいて検出するものである。
【0011】
さらに、本発明の光ファイバセンサシステムでは、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)導波体は、第1及び第2の光ファイバのコアと同材質とするとともに、導波体の径方向の寸法を第1の光ファイバのコア及び第2の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしていること。
(2)第2の光ファイバのコアの寸法を、第1の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしていること。
(3)導波体は、第1の光ファイバ側から第2の光ファイバ側にかけて径方向の寸法を漸次拡大または漸次縮小させたテーパ状としていること。
(4)導波体は、第1の光ファイバ側の端部の外周形状を第1の光ファイバの端部の外周形状と一致させているとともに、第2の光ファイバ側の端部の外周形状を第2の光ファイバの端部の外周形状と一致させていること。
(5)導波体は、第1の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、第1の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしていること。
(6)導波体は、第2の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、第2の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしていること。
(7)導波体は、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としていること。
(8)導波体は、径方向と平行な断面の形状を楕円形状としていること。
【発明の効果】
【0012】
本発明の屈折率の検出方法によれば、入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じるグースヘンシェンシフトの位相変化に基づいて屈折率を検出することにより、光をリークさせる必要がなく、エネルギーロスの小さい検出方法とすることができる。
【0013】
また、本発明の光ファイバセンサシステムによれば、第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体をセンサ部として、導波体と接した被検体の屈折率を導波体での全反射によって回折光に生じたグースヘンシェンシフトの位相変化に基づいて検出することにより、光をリークさせる必要がなく、エネルギーロスの小さい光ファイバセンサシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】グースヘンシェンシフトの説明図である。
【図2】本発明に係る光ファイバセンサシステムの概略説明図である。
【図3】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図4】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図5】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図6】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図7】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図8】第1実施例での空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図9】第2実施例での空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図10】エタノールと水の混合溶液の混合比と屈折率との関係を示すグラフである。
【図11】エタノールと水の混合溶液の混合比に対する光ファイバセンサシステムでの最大の透過光量となる波長の変化を示すグラフである。
【図12】第4実施例での空気中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図13】本発明が利用している干渉現象の説明図である。
【図14】導波体の長さと導波体に入射させる光の波長との関係に関する理論値と実測値を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の屈折率の検出方法、及びこの屈折率の検出方法を利用した光ファイバセンサシステムでは、従来の光ファイバセンサシステムのような透過損失を利用するものではなく、光の全反射時に生じるグースヘンシェンシフトの位相変化を利用して、被検体の屈折率を検出しているものである。
【0016】
グースヘンシェンシフトとは、図1に示すように、屈折率n1の物質A中の光Lが、屈折率n1の物質Aと屈折率n2の物質Bとの境界面Pで全反射する場合に位相遅れが生じて、境界面よりも屈折率n2の物質B側の仮想反射面P'で反射しているかのように、少し遅れてから反射する状態となることである。ここで、屈折率n2の物質B側に染み出しているのは、光Lの伝搬にともなう電磁界であって、この電磁界によってエバネッセント波が生じている。
【0017】
グースヘンシェンシフトによる位相変化の大きさは屈折率n2と相関を有するので、本発明では、グースヘンシェンシフトにより生じた位相変化の影響を光の干渉を利用して検出し、屈折率n2の特定を可能としている。
【0018】
特に、効果的にグースヘンシェンシフトを生じさせるために、本発明では、センサ部となる導波体において回折光を全反射させながら導くこととし、しかも、導波体に接続した光ファイバからレーザ光を導波体に入射させる際に回折を生じさせて、回折光を得ることとしている。
【0019】
この導波体を被検体内に配設することにより導波体と被検体とを接触させ、導波体内を導かれる回折光にグースヘンシェンシフトによる位相変化を生じさせている。ここで、被検体は、一般的には液体や気体であるが、導波体と緊密に接触できるのであれば固体であってもよく、あるいは屈折率を測定する時だけ固体状となっていたりするものであってもよい。
【0020】
以下において、図面を用いながら本発明の光ファイバセンサシステムを詳説する。図2は、本発明の光ファイバセンサシステムの概略模式図である。
【0021】
光ファイバセンサシステムは、レーザ光を出射する投光器11と、投光器11に一端を接続してレーザ光を導く第1光ファイバ12と、第1光ファイバ12の他端を接続した長手状の導波体13と、第1光ファイバ12と対向させて導波体13に一端を接続した第2光ファイバ14と、第2光ファイバ14の他端を接続した受光器15と、受光器15から出力された信号を解析する解析器16とを備えている。
【0022】
投光器11は、所定の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源である。投光器11は、単一の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源であってもよいし、所定の帯域の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源であってもよい。なお、所定の帯域の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源を用いる場合には、解析器16からの制御信号の入力を可能として、解析器16の制御に基づいてレーザ光を出射するようにすることが望ましい。
【0023】
第1光ファイバ12は、投光器11から出射されたレーザ光を導くことができる光ファイバであり、コア12aと、クラッド12bと、図示しない被腹膜とで構成している。第1光ファイバ12のコア12aは、導波体13に入射した光に強い回折を生じさせることができるように、できるだけ径寸法の小さいものを用いることが望ましい。
【0024】
導波体13は、第1光ファイバ12のコア12aと同材質の透光材料で形成しており、第1光ファイバ12から入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導くこととしている。導波体13と第1光ファイバ12のコア12aとを同材質とすることにより、第1光ファイバ12から導波体13に入射されたレーザ光はリークすることなく導波体13に入射させることができる。なお、導波体13は、必ずしも第1光ファイバ12のコア12aと同材質である必要はなく、第1光ファイバ12から導波体13に入射されたレーザ光を、できるだけ少ないリークで導波体13内に導くことができればよい。
【0025】
導波体13は、最も簡単には円柱体としてよいが、円柱体に限定するものではなく、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としてもよい。具体的には、断面の形状が長方形または正方形となっている四角柱体や、断面の形状が六角形となっている六角柱体や、断面の形状が楕円形となっている楕円柱体等であってもよい。
【0026】
導波体13は、必ずしも長手方向に一様な断面を有する棒状となっているものに限定するものではなく、図3に示すように、第1光ファイバ12側から第2光ファイバ14側にかけて径方向の寸法を漸次拡大させたテーパ状としてもよいし、逆に、図4に示すように、第1光ファイバ12側から第2光ファイバ14側にかけて径方向の寸法を漸次縮小させたテーパ状としてもよい。
【0027】
導波体13は、第1光ファイバ12のコア12aと同材質の材料を用いて、第1光ファイバ12とは別に形成しており、放電を利用した既存の融着接続器を用いて第1光ファイバ12と接続している。
【0028】
したがって、導波体13では、図3及び図4に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部の外周形状を第1光ファイバ12の端部の外周形状と一致させて連続的とした方が、融着接続器による接続作業を確実に行うことができるが、場合によっては、図5に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を、第1光ファイバ12の径寸法よりも大きくしてもよいし、逆に、図6に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を、第1光ファイバ12の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0029】
第2光ファイバ14は、第1光ファイバ12と対向させて導波体13に一端を接続して、導波体13内の回折光を後段の受光器15に導く光ファイバであり、コア14aと、クラッド14bと、図示しない被腹膜とで構成している。
【0030】
第2光ファイバ14のコア14aは、導波体13及び第1光ファイバ12のコア12aと同材質の透光材料で形成しており、導波体13と第2光ファイバ14のコア14aとの界面で反射を生じさせることなく、導波体13内の回折光を第2光ファイバ14のコア14aに導けるようにしている。なお、第1光ファイバ12の場合と同様に、導波体13と第2光ファイバ14のコア14aとは、必ずしも同材質である必要はなく、導波体13内の光をできるだけ損失させることなく第2光ファイバ14のコア14aに入射させることができればよい。
【0031】
ここで、導波体13から第2光ファイバ14のコア14aに導かれた光は干渉光となっている。すなわち、第2光ファイバ14で導かれる光は、第1光ファイバ12のコア12aから第2光ファイバ14のコア14aまで導波体13内を直線的に進んだ直進光と、導波体13内で全反射することによりグースヘンシェンシフトの位相変化を受けた回折光とが干渉した光となっており、この干渉光が受光器15に導かれることとなっている。
【0032】
そのため、第2光ファイバ14のコア14aの径寸法を小さくすると、直進光と干渉する回折光の第2光ファイバ14への入射が制限されることにより、直進光からの位相ズレの小さい回折光だけが第2光ファイバ14に入射することとなって、波の重ね合わせにより直進波を増幅したような回折波が受光器15に導かれることとなっている。
【0033】
一方、第2光ファイバ14のコア14aの径寸法を大きくすると、直進光からの位相ズレの大きい回折光も第2光ファイバ14に入射することとなって、波の重ね合わせにおいて位相ズレの大きい回折光の成分による緩和を受けた干渉光が受光器15に導かれることとなっている。
【0034】
この直進光からの位相ズレの大きい回折光の影響は、第2光ファイバ14のコア14aの寸法で調整でき、センサ部に要求される感度に応じて、適宜とすることができる。
【0035】
なお、第2光ファイバ14のコア14aの寸法を第1光ファイバ12のコア12aの寸法よりも大きくした場合には、第2光ファイバ14の寸法を第1光ファイバ12の寸法よりも大きくしてもよいし、第2光ファイバ14のクラッド14bで調整して、第2光ファイバ14の寸法を第1光ファイバ12の寸法に一致させてもよい。
【0036】
第2光ファイバ14は、導波体13と融着接続器を用いて接続しており、図3及び図4に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部の外周形状を第2光ファイバ14の端部の外周形状と一致させて連続的とした方が、融着接続器による接続作業を確実に行うことができる。
【0037】
ただし、場合によっては、図5に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を、第2光ファイバ14の径寸法よりも大きくしてもよいし、逆に、図6に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を、第2光ファイバ14の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0038】
また、必要に応じて、例えば図7に示すように、導波体13は、第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を第1光ファイバ12の径寸法よりも大きくし、第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を第2光ファイバ14の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0039】
受光器15は、フォトセンサ等の光電変換素子を備えており、第2光ファイバ14によって導かれた光を受けて、光の強度、すなわち透過光量に対応した信号を出力することとしている。
【0040】
解析器16は、受光器15から出力された信号から透過光量を特定し、透過光量から屈折率を特定する。
【0041】
ここで、投光器11が単一の波長のレーザ光を出射するレーザ光源である場合には、予め解析器16に登録された透過光量と屈折率の相関テーブルに基づいて、屈折率を特定することとしている。
【0042】
また、投光器11が所定の帯域の波長のレーザ光を出射するレーザ光源である場合には、出射する波長を変えながら透過光量を検出し、透過光量が最大となる波長を特定し、特定された波長と屈折率の相関テーブルに基づいて、屈折率を特定することとしている。
【0043】
さらに、例えば糖度等のように屈折率との相関性を有している物性の相関テーブルがある場合には、その相関テーブルを用いて物性値を特定することもできる。すなわち、被検体の糖度変化を検出することもできる。
【0044】
特に、解析器16は、パーソナルコンピュータで構成しており、光ファイバセンサシステムの動作プログラムに基づいてCPUを制御部として機能させるとともに、透過光量と屈折率の相関テーブルや波長と屈折率の相関テーブル、さらには屈折率と糖度等の物性値の相関テーブルを予めハードディスクに記憶させておくことにより、屈折率だけでなく所定の物性値を検出できる光ファイバセンサシステムとすることができる。
【0045】
ここで、センサ部としての導波体13は、気体状または液体状の被検体内、あるいは固体状の被検体内に配設することにより被検体を導波体13に接触させ、導波体13と接触した被検体の屈折率あるいは所定の物性値を検出している。
【実施例1】
【0046】
第1実施例として、コア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、この第1光ファイバと同じコア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが100mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続することによりセンサ部を作成した。
【0047】
このセンサ部を用い、空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、ある特定の波長(図8においては空気中(図8中の実線)で約921nm、水中(図8中の破線)で約925nm)において直線光と回折光の重ね合わせによるピークが存在し、空気中と水中というセンサ部周りの屈折率の違いによりピークの波長のシフトが生じていることが分かる。
【実施例2】
【0049】
第2実施例として、コア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、コア径が約50μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが100mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続することによりセンサ部を作成した。
【0050】
このセンサ部を用い、空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を図9に示す。
【0051】
図9に示すように、ある特定の波長(図9においては空気中(図9中の実線)で約909nm、水中(図9中の破線)で約913nm)において直線光と回折光の重ね合わせによるピークが存在し、空気中と水中というセンサ部周りの屈折率の違いによりピークの波長のシフトが生じていることが分かる。
【0052】
また、図8と図9の比較から分かるように、第2光ファイバのコア径を大きくすることにより、透過光量のピーク前及びピーク後の光強度の変化率が小さくなっており、第2光ファイバのコア径によってセンサ部の感度が調整可能であることがわかる。
【0053】
図8及び図9でのピークの位置は、導波体の径寸法や長さによって変動するものであり、所定の波長部分にピークが生じるように導波体の径寸法や長さ、さらには形状を調整してよい。
【0054】
また、図9の図中に示す約915nm近くに表示した縦軸と平行な一点鎖線に注目すると、約915nmの波長の光に対して、水中での光強度が空気中での光強度よりも7dB程度大きくなっていることから、この光強度の変動を利用した光ファイバセンサシステムとすることもできる。
【実施例3】
【0055】
第3実施例として、第1実施例のセンサ部を用い、エタノールと水の混合溶液の混合比の検出を行ってみた。
【0056】
エタノールと水の混合溶液は、図10に示すように混合比に応じて屈折率が変動することが知られており、これを用いて本発明の光ファイバセンサシステムの実用性の検証を行った。
【0057】
各混合比としたエタノールと水の混合溶液にセンサ部を浸漬させ、入射光波長を変動させながら透過光量が最大となる波長の特定を行った結果、図11に示すように、エタノールと水の混合溶液の混合比と、透過光量が最大となる波長との間に相関があることが確かめられた。このことから、本発明の光ファイバセンサシステムは、少なくともエタノールと水の混合溶液の混合比のセンサとして利用できることが分かる。
【実施例4】
【0058】
第4実施例として、上述した第1実施例や第2実施例よりも広帯域での測定を行ってみた。
【0059】
ここで、センサ部は、コア径が約50μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、この第1光ファイバと同じコア径が約50μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが98mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続して作成した。
【0060】
被検体は空気であって、センサ部を空気中に置き、700〜1700nmの波長の光を入射させ、入射光波長に対する透過光量を測定した。
【0061】
図12は、測定結果を示すグラフであり、複数のピークが存在していることが分かる。
【0062】
これらのピークの出現に関し、図13を用いながら具体的に説明する。ここで、導波体の径寸法をd、長さをLとし、導波体における光の入射点をS、後述する仮想の光の入射点をS'とする。導波体には、第1光ファイバによって、導波体の中心に光を入射させるものとしており、説明の便宜上、導波体の中心を入射点Sとしている。
【0063】
導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で1回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(a)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdだけ離れた位置となっている。
【0064】
同様に、導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で2回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(b)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdの2倍だけ離れた位置となっている。
【0065】
同様に、導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で3回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(c)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdの3倍だけ離れた位置となっている。
【0066】
このように、導波体内では回折光の全反射を生じさせていることにより、複数の入射点が存在していると見なせることとなっている。
【0067】
上記の複数のピークは、導波体に入射させる光の波長が変わることにより、導波体内を直線的に進む直進光と互いに強め合う干渉を生じる光を入射させている仮想の入射点S'の位置が変わっていることに対応している。
【0068】
すなわち、各ピークは、導波体内を直線的に進む直進光と互いに強め合う干渉を生じる光の、導波体内での全反射の各回数に対応して出現するものである。
【0069】
このことをヤングの実験に当てはめて考えてみると、入射点Sと入射点S'はヤングの実験におけるスリットに相当し、導波体に波長λの光を入射させた場合に、光が強め合って明線を生じることとなる条件は、屈折率n中の光の波長がλ/n=λ'であることから、
x=m'Lλ'/d'
となる。
【0070】
ここで、m'は、任意の整数、d'は、入射点Sと入射点S'の間隔であり、xは、入射点Sと入射点S'の中間点から干渉縞が投影される仮想のスクリーンまで垂線を下ろした場合の垂線の足の位置からの距離である。
【0071】
この場合、明線の間隔をΔxとすると、
Δx=(m'+1)Lλ'/d'−m'Lλ'/d'=Lλ'/d'
である。
【0072】
一方、回折光の全反射を生じさせている導波体では、全反射を生じさせている周面が鏡面となって、上述したように複数の入射点が存在しているのと同様に、第2ファイバとの接続部分である出射点も鏡面の影響を受け、複数の出射点が存在していると見なすことができる。
【0073】
しかも、複数の出射点は、各出射点との間隔が、鏡面条件のために導波体の径寸法であるdとなっており,Δxがちょうどdとなっていれば,干渉縞の明線がすべて出力されることとなる。ここで、説明の便宜上、干渉縞の周期をDとする。したがって、D=dである。
【0074】
このことから、明線の間隔Δxは、干渉縞の周期であって、Δx=Dであることから、
D=Lλ'/d'=L(λ/n)/d'
となる。
【0075】
さらに、d'は、導波体の径寸法であるdの整数倍であるので、mを任意の整数として、d'=mdと表すことができるので、
λ=(Dmd/L)×n
の関係式が得られることとなる。
【0076】
ここで、
λ:波長
D:干渉縞の周期
m:鏡像の次数に対応する任意の整数(1,2,3,・・・)
d:導波体の径寸法
L:導波体の長さ寸法
n:導波体の屈折率
である。
【0077】
上式から、導波体の形状が特定されると、図12で出現している各ピークの波長が特定できることがわかる。なお、図12中の「○に4」の符号は、m=4に対応したピークであることを、「○に5」の符号は、m=5に対応したピークであることを、「○に6」の符号は、m=6に対応したピークであることを、「○に7」の符号は、m=7に対応したピークであることを示している。
【0078】
このことから、導波体の長さを異ならせて、入射光波長に対する透過光量のピークが生じる波長の測定を行ったところ、図14に示すように、上式に対応する波長においてピークが見られた。
【0079】
図14中の右下がりの実線は、各mの値でのλ=(Dmd/L)×nによる理論曲線であり、白丸印はm=1の場合に対応する実測のピーク、白四角印はm=2の場合に対応する実測のピーク、白ひし形印はm=3の場合に対応する実測のピーク、バツ印はm=4の場合に対応する実測のピーク、プラス印はm=5の場合に対応する実測のピーク、白三角印はm=6の場合に対応する実測のピーク、黒丸印はm=7の場合に対応する実測のピークを示している。
【0080】
図12に示すように、各mの値に対応して出現するピークでは、ピーク前後の形状が同一となることはなく、様々な形状となっている。
【0081】
導波体をセンサ体として用いる場合には、高感度であることが望ましいため、ピーク前後においてそれぞれ変化率が大きい方がセンサ体として好適であると思われる。
【0082】
したがって、図12の場合であれば、m=4となる形状の導波体とすることにより、高感度のセンサ体を提供することができる。なお、この場合、使用するレーザ光の波長も特定されることとなる。
【0083】
mが大きいと全反射の回数も増え,外部との相互作用回数が増えるため,高感度化に有利である。しかし,mが大きすぎるとセンサファイバの曲がりやわずかな非対称性などから干渉がぼけることが考えられ,m=4程度が最適となる。本実施例では、導波体を円柱状としているため、m=4が好適であると思われるが、導波体が円柱状以外の形状であれば、必ずしもm=4の場合が好適であるとはかぎらず、別のmの値であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の屈折率の検出方法、及びこの屈折率の検出方法を利用した光ファイバセンサシステムでは、被検体の屈折率をリアルタイムで検出でき、例えば、清涼飲料の製造工程中における材料溶液の糖度変化をリアルタイムでモニタリングできる。
【0085】
また、糖度だけでなくエタノールと水の混合溶液における混合比のように、屈折率との相関性を有する物性値を検出するセンサシステムとして用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
11 投光器
12 第1光ファイバ
12a コア
12b クラッド
13 導波体
14 第2光ファイバ
14a コア
14b クラッド
15 受光器
16 解析器
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバで導波したレーザ光の回折光を利用して被検体の屈折率を検出する検出方法及び光ファイバセンサシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバを利用した各種のセンサシステムが提案されている。従来のセンサシステムでは、光ファイバの中途部分にコア内の光をリークさせるセンサ部を設けており、リークさせた光の散乱等による透過損失を検出することにより歪みや温度等の変動を検出可能としている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0003】
センサシステムのセンサ部では、コアとクラッドとで構成された光ファイバのクラッドを部分的に除去してコアを露出させたり、あるいは、センサ部のコア径をセンサ部以外の部分の光ファイバのコア径よりも小さくまたは大きくしたり、場合によって、コアを有さずにクラッドだけとしたりして、光ファイバで導波した光を効果的にリークさせるようにしている。
【0004】
特に、界面活性剤の濃度測定に用いるセンサシステムでは、被検体の界面活性剤溶液に発色指示薬を添加しておき、光をリークさせているセンサ部において生じたエバネッセント波のエネルギーを発色指示薬に移動させることによって、界面活性剤溶液の濃度に依存した光の透過損失を検出して濃度測定を行うことが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3180959号公報
【特許文献2】特開2007−040738号公報
【特許文献3】特開2009−063538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の光ファイバセンサシステムでは、センサ部においてリークさせた光はエネルギーの損失でしかなく、エネルギーロスの多いセンサシステムであった。
【0007】
特に、光ファイバセンサシステムでのセンサ感度を高めるためには、光をできるだけ多くリークさせた方がよく、それだけエネルギーロスが大きくなってしまうという問題があった。
【0008】
このような現状に鑑み、本発明者らは、グースヘンシェンシフトとして知られている位相変化を利用することにより、エネルギーロスの少ない光ファイバセンサシステムを構成すべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の屈折率の検出方法では、被検体の屈折率を検出する屈折率の検出方法において、入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出するものである。
【0010】
また、本発明の光ファイバセンサシステムでは、レーザ光を出射する投光器と、投光器に一端を接続してレーザ光を導く第1の光ファイバと、第1の光ファイバの他端を接続して第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体と、第1の光ファイバと対向させて導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、受光器から出力された信号を解析する解析器とを備えた光ファイバセンサシステムであって、導波体をセンサ部として、導波体と接した被検体の屈折率を導波体での全反射によって回折光に生じた位相変化に基づいて検出するものである。
【0011】
さらに、本発明の光ファイバセンサシステムでは、以下の点にも特徴を有するものである。
(1)導波体は、第1及び第2の光ファイバのコアと同材質とするとともに、導波体の径方向の寸法を第1の光ファイバのコア及び第2の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしていること。
(2)第2の光ファイバのコアの寸法を、第1の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしていること。
(3)導波体は、第1の光ファイバ側から第2の光ファイバ側にかけて径方向の寸法を漸次拡大または漸次縮小させたテーパ状としていること。
(4)導波体は、第1の光ファイバ側の端部の外周形状を第1の光ファイバの端部の外周形状と一致させているとともに、第2の光ファイバ側の端部の外周形状を第2の光ファイバの端部の外周形状と一致させていること。
(5)導波体は、第1の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、第1の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしていること。
(6)導波体は、第2の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、第2の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしていること。
(7)導波体は、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としていること。
(8)導波体は、径方向と平行な断面の形状を楕円形状としていること。
【発明の効果】
【0012】
本発明の屈折率の検出方法によれば、入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じるグースヘンシェンシフトの位相変化に基づいて屈折率を検出することにより、光をリークさせる必要がなく、エネルギーロスの小さい検出方法とすることができる。
【0013】
また、本発明の光ファイバセンサシステムによれば、第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体をセンサ部として、導波体と接した被検体の屈折率を導波体での全反射によって回折光に生じたグースヘンシェンシフトの位相変化に基づいて検出することにより、光をリークさせる必要がなく、エネルギーロスの小さい光ファイバセンサシステムとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】グースヘンシェンシフトの説明図である。
【図2】本発明に係る光ファイバセンサシステムの概略説明図である。
【図3】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図4】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図5】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図6】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図7】センサ部である導波体の他の実施形態の説明図である。
【図8】第1実施例での空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図9】第2実施例での空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図10】エタノールと水の混合溶液の混合比と屈折率との関係を示すグラフである。
【図11】エタノールと水の混合溶液の混合比に対する光ファイバセンサシステムでの最大の透過光量となる波長の変化を示すグラフである。
【図12】第4実施例での空気中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を示したグラフである。
【図13】本発明が利用している干渉現象の説明図である。
【図14】導波体の長さと導波体に入射させる光の波長との関係に関する理論値と実測値を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の屈折率の検出方法、及びこの屈折率の検出方法を利用した光ファイバセンサシステムでは、従来の光ファイバセンサシステムのような透過損失を利用するものではなく、光の全反射時に生じるグースヘンシェンシフトの位相変化を利用して、被検体の屈折率を検出しているものである。
【0016】
グースヘンシェンシフトとは、図1に示すように、屈折率n1の物質A中の光Lが、屈折率n1の物質Aと屈折率n2の物質Bとの境界面Pで全反射する場合に位相遅れが生じて、境界面よりも屈折率n2の物質B側の仮想反射面P'で反射しているかのように、少し遅れてから反射する状態となることである。ここで、屈折率n2の物質B側に染み出しているのは、光Lの伝搬にともなう電磁界であって、この電磁界によってエバネッセント波が生じている。
【0017】
グースヘンシェンシフトによる位相変化の大きさは屈折率n2と相関を有するので、本発明では、グースヘンシェンシフトにより生じた位相変化の影響を光の干渉を利用して検出し、屈折率n2の特定を可能としている。
【0018】
特に、効果的にグースヘンシェンシフトを生じさせるために、本発明では、センサ部となる導波体において回折光を全反射させながら導くこととし、しかも、導波体に接続した光ファイバからレーザ光を導波体に入射させる際に回折を生じさせて、回折光を得ることとしている。
【0019】
この導波体を被検体内に配設することにより導波体と被検体とを接触させ、導波体内を導かれる回折光にグースヘンシェンシフトによる位相変化を生じさせている。ここで、被検体は、一般的には液体や気体であるが、導波体と緊密に接触できるのであれば固体であってもよく、あるいは屈折率を測定する時だけ固体状となっていたりするものであってもよい。
【0020】
以下において、図面を用いながら本発明の光ファイバセンサシステムを詳説する。図2は、本発明の光ファイバセンサシステムの概略模式図である。
【0021】
光ファイバセンサシステムは、レーザ光を出射する投光器11と、投光器11に一端を接続してレーザ光を導く第1光ファイバ12と、第1光ファイバ12の他端を接続した長手状の導波体13と、第1光ファイバ12と対向させて導波体13に一端を接続した第2光ファイバ14と、第2光ファイバ14の他端を接続した受光器15と、受光器15から出力された信号を解析する解析器16とを備えている。
【0022】
投光器11は、所定の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源である。投光器11は、単一の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源であってもよいし、所定の帯域の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源であってもよい。なお、所定の帯域の波長のレーザ光を出射できるレーザ光源を用いる場合には、解析器16からの制御信号の入力を可能として、解析器16の制御に基づいてレーザ光を出射するようにすることが望ましい。
【0023】
第1光ファイバ12は、投光器11から出射されたレーザ光を導くことができる光ファイバであり、コア12aと、クラッド12bと、図示しない被腹膜とで構成している。第1光ファイバ12のコア12aは、導波体13に入射した光に強い回折を生じさせることができるように、できるだけ径寸法の小さいものを用いることが望ましい。
【0024】
導波体13は、第1光ファイバ12のコア12aと同材質の透光材料で形成しており、第1光ファイバ12から入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導くこととしている。導波体13と第1光ファイバ12のコア12aとを同材質とすることにより、第1光ファイバ12から導波体13に入射されたレーザ光はリークすることなく導波体13に入射させることができる。なお、導波体13は、必ずしも第1光ファイバ12のコア12aと同材質である必要はなく、第1光ファイバ12から導波体13に入射されたレーザ光を、できるだけ少ないリークで導波体13内に導くことができればよい。
【0025】
導波体13は、最も簡単には円柱体としてよいが、円柱体に限定するものではなく、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としてもよい。具体的には、断面の形状が長方形または正方形となっている四角柱体や、断面の形状が六角形となっている六角柱体や、断面の形状が楕円形となっている楕円柱体等であってもよい。
【0026】
導波体13は、必ずしも長手方向に一様な断面を有する棒状となっているものに限定するものではなく、図3に示すように、第1光ファイバ12側から第2光ファイバ14側にかけて径方向の寸法を漸次拡大させたテーパ状としてもよいし、逆に、図4に示すように、第1光ファイバ12側から第2光ファイバ14側にかけて径方向の寸法を漸次縮小させたテーパ状としてもよい。
【0027】
導波体13は、第1光ファイバ12のコア12aと同材質の材料を用いて、第1光ファイバ12とは別に形成しており、放電を利用した既存の融着接続器を用いて第1光ファイバ12と接続している。
【0028】
したがって、導波体13では、図3及び図4に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部の外周形状を第1光ファイバ12の端部の外周形状と一致させて連続的とした方が、融着接続器による接続作業を確実に行うことができるが、場合によっては、図5に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を、第1光ファイバ12の径寸法よりも大きくしてもよいし、逆に、図6に示すように、導波体13の第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を、第1光ファイバ12の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0029】
第2光ファイバ14は、第1光ファイバ12と対向させて導波体13に一端を接続して、導波体13内の回折光を後段の受光器15に導く光ファイバであり、コア14aと、クラッド14bと、図示しない被腹膜とで構成している。
【0030】
第2光ファイバ14のコア14aは、導波体13及び第1光ファイバ12のコア12aと同材質の透光材料で形成しており、導波体13と第2光ファイバ14のコア14aとの界面で反射を生じさせることなく、導波体13内の回折光を第2光ファイバ14のコア14aに導けるようにしている。なお、第1光ファイバ12の場合と同様に、導波体13と第2光ファイバ14のコア14aとは、必ずしも同材質である必要はなく、導波体13内の光をできるだけ損失させることなく第2光ファイバ14のコア14aに入射させることができればよい。
【0031】
ここで、導波体13から第2光ファイバ14のコア14aに導かれた光は干渉光となっている。すなわち、第2光ファイバ14で導かれる光は、第1光ファイバ12のコア12aから第2光ファイバ14のコア14aまで導波体13内を直線的に進んだ直進光と、導波体13内で全反射することによりグースヘンシェンシフトの位相変化を受けた回折光とが干渉した光となっており、この干渉光が受光器15に導かれることとなっている。
【0032】
そのため、第2光ファイバ14のコア14aの径寸法を小さくすると、直進光と干渉する回折光の第2光ファイバ14への入射が制限されることにより、直進光からの位相ズレの小さい回折光だけが第2光ファイバ14に入射することとなって、波の重ね合わせにより直進波を増幅したような回折波が受光器15に導かれることとなっている。
【0033】
一方、第2光ファイバ14のコア14aの径寸法を大きくすると、直進光からの位相ズレの大きい回折光も第2光ファイバ14に入射することとなって、波の重ね合わせにおいて位相ズレの大きい回折光の成分による緩和を受けた干渉光が受光器15に導かれることとなっている。
【0034】
この直進光からの位相ズレの大きい回折光の影響は、第2光ファイバ14のコア14aの寸法で調整でき、センサ部に要求される感度に応じて、適宜とすることができる。
【0035】
なお、第2光ファイバ14のコア14aの寸法を第1光ファイバ12のコア12aの寸法よりも大きくした場合には、第2光ファイバ14の寸法を第1光ファイバ12の寸法よりも大きくしてもよいし、第2光ファイバ14のクラッド14bで調整して、第2光ファイバ14の寸法を第1光ファイバ12の寸法に一致させてもよい。
【0036】
第2光ファイバ14は、導波体13と融着接続器を用いて接続しており、図3及び図4に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部の外周形状を第2光ファイバ14の端部の外周形状と一致させて連続的とした方が、融着接続器による接続作業を確実に行うことができる。
【0037】
ただし、場合によっては、図5に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を、第2光ファイバ14の径寸法よりも大きくしてもよいし、逆に、図6に示すように、導波体13の第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を、第2光ファイバ14の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0038】
また、必要に応じて、例えば図7に示すように、導波体13は、第1光ファイバ12側の端部における径方向の寸法を第1光ファイバ12の径寸法よりも大きくし、第2光ファイバ14側の端部における径方向の寸法を第2光ファイバ14の径寸法よりも小さくしてもよい。
【0039】
受光器15は、フォトセンサ等の光電変換素子を備えており、第2光ファイバ14によって導かれた光を受けて、光の強度、すなわち透過光量に対応した信号を出力することとしている。
【0040】
解析器16は、受光器15から出力された信号から透過光量を特定し、透過光量から屈折率を特定する。
【0041】
ここで、投光器11が単一の波長のレーザ光を出射するレーザ光源である場合には、予め解析器16に登録された透過光量と屈折率の相関テーブルに基づいて、屈折率を特定することとしている。
【0042】
また、投光器11が所定の帯域の波長のレーザ光を出射するレーザ光源である場合には、出射する波長を変えながら透過光量を検出し、透過光量が最大となる波長を特定し、特定された波長と屈折率の相関テーブルに基づいて、屈折率を特定することとしている。
【0043】
さらに、例えば糖度等のように屈折率との相関性を有している物性の相関テーブルがある場合には、その相関テーブルを用いて物性値を特定することもできる。すなわち、被検体の糖度変化を検出することもできる。
【0044】
特に、解析器16は、パーソナルコンピュータで構成しており、光ファイバセンサシステムの動作プログラムに基づいてCPUを制御部として機能させるとともに、透過光量と屈折率の相関テーブルや波長と屈折率の相関テーブル、さらには屈折率と糖度等の物性値の相関テーブルを予めハードディスクに記憶させておくことにより、屈折率だけでなく所定の物性値を検出できる光ファイバセンサシステムとすることができる。
【0045】
ここで、センサ部としての導波体13は、気体状または液体状の被検体内、あるいは固体状の被検体内に配設することにより被検体を導波体13に接触させ、導波体13と接触した被検体の屈折率あるいは所定の物性値を検出している。
【実施例1】
【0046】
第1実施例として、コア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、この第1光ファイバと同じコア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが100mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続することによりセンサ部を作成した。
【0047】
このセンサ部を用い、空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を図8に示す。
【0048】
図8に示すように、ある特定の波長(図8においては空気中(図8中の実線)で約921nm、水中(図8中の破線)で約925nm)において直線光と回折光の重ね合わせによるピークが存在し、空気中と水中というセンサ部周りの屈折率の違いによりピークの波長のシフトが生じていることが分かる。
【実施例2】
【0049】
第2実施例として、コア径が典型値8.2μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、コア径が約50μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが100mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続することによりセンサ部を作成した。
【0050】
このセンサ部を用い、空気中と水中での入射光波長に対する透過光量を測定した結果を図9に示す。
【0051】
図9に示すように、ある特定の波長(図9においては空気中(図9中の実線)で約909nm、水中(図9中の破線)で約913nm)において直線光と回折光の重ね合わせによるピークが存在し、空気中と水中というセンサ部周りの屈折率の違いによりピークの波長のシフトが生じていることが分かる。
【0052】
また、図8と図9の比較から分かるように、第2光ファイバのコア径を大きくすることにより、透過光量のピーク前及びピーク後の光強度の変化率が小さくなっており、第2光ファイバのコア径によってセンサ部の感度が調整可能であることがわかる。
【0053】
図8及び図9でのピークの位置は、導波体の径寸法や長さによって変動するものであり、所定の波長部分にピークが生じるように導波体の径寸法や長さ、さらには形状を調整してよい。
【0054】
また、図9の図中に示す約915nm近くに表示した縦軸と平行な一点鎖線に注目すると、約915nmの波長の光に対して、水中での光強度が空気中での光強度よりも7dB程度大きくなっていることから、この光強度の変動を利用した光ファイバセンサシステムとすることもできる。
【実施例3】
【0055】
第3実施例として、第1実施例のセンサ部を用い、エタノールと水の混合溶液の混合比の検出を行ってみた。
【0056】
エタノールと水の混合溶液は、図10に示すように混合比に応じて屈折率が変動することが知られており、これを用いて本発明の光ファイバセンサシステムの実用性の検証を行った。
【0057】
各混合比としたエタノールと水の混合溶液にセンサ部を浸漬させ、入射光波長を変動させながら透過光量が最大となる波長の特定を行った結果、図11に示すように、エタノールと水の混合溶液の混合比と、透過光量が最大となる波長との間に相関があることが確かめられた。このことから、本発明の光ファイバセンサシステムは、少なくともエタノールと水の混合溶液の混合比のセンサとして利用できることが分かる。
【実施例4】
【0058】
第4実施例として、上述した第1実施例や第2実施例よりも広帯域での測定を行ってみた。
【0059】
ここで、センサ部は、コア径が約50μm、クラッド径が125μmである第1光ファイバと、この第1光ファイバと同じコア径が約50μm、クラッド径が125μmの第2光ファイバを用い、径寸法が125μmで、長さが98mmの円柱状とした導波体の端部にそれぞれ融着接続器を用いて接続して作成した。
【0060】
被検体は空気であって、センサ部を空気中に置き、700〜1700nmの波長の光を入射させ、入射光波長に対する透過光量を測定した。
【0061】
図12は、測定結果を示すグラフであり、複数のピークが存在していることが分かる。
【0062】
これらのピークの出現に関し、図13を用いながら具体的に説明する。ここで、導波体の径寸法をd、長さをLとし、導波体における光の入射点をS、後述する仮想の光の入射点をS'とする。導波体には、第1光ファイバによって、導波体の中心に光を入射させるものとしており、説明の便宜上、導波体の中心を入射点Sとしている。
【0063】
導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で1回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(a)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdだけ離れた位置となっている。
【0064】
同様に、導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で2回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(b)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdの2倍だけ離れた位置となっている。
【0065】
同様に、導波体内を直線的に進んだ直進光と、導波体内で3回だけ全反射した回折光の干渉は、図13(c)に示すように、入射点Sから照射された光と、仮想の入射点S'から照射された光の干渉と考えることができる。ここで、入射点S'の位置は、入射点Sから導波体の径寸法であるdの3倍だけ離れた位置となっている。
【0066】
このように、導波体内では回折光の全反射を生じさせていることにより、複数の入射点が存在していると見なせることとなっている。
【0067】
上記の複数のピークは、導波体に入射させる光の波長が変わることにより、導波体内を直線的に進む直進光と互いに強め合う干渉を生じる光を入射させている仮想の入射点S'の位置が変わっていることに対応している。
【0068】
すなわち、各ピークは、導波体内を直線的に進む直進光と互いに強め合う干渉を生じる光の、導波体内での全反射の各回数に対応して出現するものである。
【0069】
このことをヤングの実験に当てはめて考えてみると、入射点Sと入射点S'はヤングの実験におけるスリットに相当し、導波体に波長λの光を入射させた場合に、光が強め合って明線を生じることとなる条件は、屈折率n中の光の波長がλ/n=λ'であることから、
x=m'Lλ'/d'
となる。
【0070】
ここで、m'は、任意の整数、d'は、入射点Sと入射点S'の間隔であり、xは、入射点Sと入射点S'の中間点から干渉縞が投影される仮想のスクリーンまで垂線を下ろした場合の垂線の足の位置からの距離である。
【0071】
この場合、明線の間隔をΔxとすると、
Δx=(m'+1)Lλ'/d'−m'Lλ'/d'=Lλ'/d'
である。
【0072】
一方、回折光の全反射を生じさせている導波体では、全反射を生じさせている周面が鏡面となって、上述したように複数の入射点が存在しているのと同様に、第2ファイバとの接続部分である出射点も鏡面の影響を受け、複数の出射点が存在していると見なすことができる。
【0073】
しかも、複数の出射点は、各出射点との間隔が、鏡面条件のために導波体の径寸法であるdとなっており,Δxがちょうどdとなっていれば,干渉縞の明線がすべて出力されることとなる。ここで、説明の便宜上、干渉縞の周期をDとする。したがって、D=dである。
【0074】
このことから、明線の間隔Δxは、干渉縞の周期であって、Δx=Dであることから、
D=Lλ'/d'=L(λ/n)/d'
となる。
【0075】
さらに、d'は、導波体の径寸法であるdの整数倍であるので、mを任意の整数として、d'=mdと表すことができるので、
λ=(Dmd/L)×n
の関係式が得られることとなる。
【0076】
ここで、
λ:波長
D:干渉縞の周期
m:鏡像の次数に対応する任意の整数(1,2,3,・・・)
d:導波体の径寸法
L:導波体の長さ寸法
n:導波体の屈折率
である。
【0077】
上式から、導波体の形状が特定されると、図12で出現している各ピークの波長が特定できることがわかる。なお、図12中の「○に4」の符号は、m=4に対応したピークであることを、「○に5」の符号は、m=5に対応したピークであることを、「○に6」の符号は、m=6に対応したピークであることを、「○に7」の符号は、m=7に対応したピークであることを示している。
【0078】
このことから、導波体の長さを異ならせて、入射光波長に対する透過光量のピークが生じる波長の測定を行ったところ、図14に示すように、上式に対応する波長においてピークが見られた。
【0079】
図14中の右下がりの実線は、各mの値でのλ=(Dmd/L)×nによる理論曲線であり、白丸印はm=1の場合に対応する実測のピーク、白四角印はm=2の場合に対応する実測のピーク、白ひし形印はm=3の場合に対応する実測のピーク、バツ印はm=4の場合に対応する実測のピーク、プラス印はm=5の場合に対応する実測のピーク、白三角印はm=6の場合に対応する実測のピーク、黒丸印はm=7の場合に対応する実測のピークを示している。
【0080】
図12に示すように、各mの値に対応して出現するピークでは、ピーク前後の形状が同一となることはなく、様々な形状となっている。
【0081】
導波体をセンサ体として用いる場合には、高感度であることが望ましいため、ピーク前後においてそれぞれ変化率が大きい方がセンサ体として好適であると思われる。
【0082】
したがって、図12の場合であれば、m=4となる形状の導波体とすることにより、高感度のセンサ体を提供することができる。なお、この場合、使用するレーザ光の波長も特定されることとなる。
【0083】
mが大きいと全反射の回数も増え,外部との相互作用回数が増えるため,高感度化に有利である。しかし,mが大きすぎるとセンサファイバの曲がりやわずかな非対称性などから干渉がぼけることが考えられ,m=4程度が最適となる。本実施例では、導波体を円柱状としているため、m=4が好適であると思われるが、導波体が円柱状以外の形状であれば、必ずしもm=4の場合が好適であるとはかぎらず、別のmの値であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の屈折率の検出方法、及びこの屈折率の検出方法を利用した光ファイバセンサシステムでは、被検体の屈折率をリアルタイムで検出でき、例えば、清涼飲料の製造工程中における材料溶液の糖度変化をリアルタイムでモニタリングできる。
【0085】
また、糖度だけでなくエタノールと水の混合溶液における混合比のように、屈折率との相関性を有する物性値を検出するセンサシステムとして用いることができる。
【符号の説明】
【0086】
11 投光器
12 第1光ファイバ
12a コア
12b クラッド
13 導波体
14 第2光ファイバ
14a コア
14b クラッド
15 受光器
16 解析器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の屈折率を検出する屈折率の検出方法において、
入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出する屈折率の検出方法。
【請求項2】
レーザ光を出射する投光器と、
前記投光器に一端を接続して前記レーザ光を導く第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバの他端を接続して前記第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体と、
前記第1の光ファイバと対向させて前記導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、
前記受光器から出力された信号を解析する解析器と
を備えた光ファイバセンサシステムであって、
前記導波体をセンサ部として、前記導波体と接した被検体の屈折率を前記導波体での全反射によって回折光に生じた位相変化に基づいて検出する光ファイバセンサシステム。
【請求項3】
前記導波体は、前記第1及び第2の光ファイバのコアと同材質とするとともに、前記導波体の径方向の寸法を前記第1の光ファイバのコア及び前記第2の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしている請求項2に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項4】
前記第2の光ファイバのコアの寸法を、前記第1の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしている請求項2または請求項3に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項5】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側から前記第2の光ファイバ側にかけて径方向の寸法を漸次拡大または漸次縮小させたテーパ状としている請求項2〜4のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項6】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側の端部の外周形状を前記第1の光ファイバの端部の外周形状と一致させているとともに、前記第2の光ファイバ側の端部の外周形状を前記第2の光ファイバの端部の外周形状と一致させている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項7】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、前記第1の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項8】
前記導波体は、前記第2の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、前記第2の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項9】
前記導波体は、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としている請求項2〜8のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項10】
前記導波体は、径方向と平行な断面の形状を楕円形状としている請求項2〜8のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項1】
被検体の屈折率を検出する屈折率の検出方法において、
入射されたレーザ光を回折させることにより生じさせた回折光を全反射させながら導く導波体を被検体内に配設して、全反射にともなって回折光に生じる位相変化に基づいて屈折率を検出する屈折率の検出方法。
【請求項2】
レーザ光を出射する投光器と、
前記投光器に一端を接続して前記レーザ光を導く第1の光ファイバと、
前記第1の光ファイバの他端を接続して前記第1の光ファイバから入射されたレーザ光を回折させて回折光を生じさせるとともに全反射させながら導く長手状の導波体と、
前記第1の光ファイバと対向させて前記導波体に一端を接続した第2の光ファイバと、
前記第2の光ファイバの他端を接続した受光器と、
前記受光器から出力された信号を解析する解析器と
を備えた光ファイバセンサシステムであって、
前記導波体をセンサ部として、前記導波体と接した被検体の屈折率を前記導波体での全反射によって回折光に生じた位相変化に基づいて検出する光ファイバセンサシステム。
【請求項3】
前記導波体は、前記第1及び第2の光ファイバのコアと同材質とするとともに、前記導波体の径方向の寸法を前記第1の光ファイバのコア及び前記第2の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしている請求項2に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項4】
前記第2の光ファイバのコアの寸法を、前記第1の光ファイバのコアの寸法よりも大きくしている請求項2または請求項3に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項5】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側から前記第2の光ファイバ側にかけて径方向の寸法を漸次拡大または漸次縮小させたテーパ状としている請求項2〜4のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項6】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側の端部の外周形状を前記第1の光ファイバの端部の外周形状と一致させているとともに、前記第2の光ファイバ側の端部の外周形状を前記第2の光ファイバの端部の外周形状と一致させている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項7】
前記導波体は、前記第1の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、前記第1の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項8】
前記導波体は、前記第2の光ファイバ側の端部における径方向の寸法を、前記第2の光ファイバの径寸法よりも大きくまたは小さくしている請求項2〜5のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項9】
前記導波体は、径方向と平行な断面の形状を、断面の中心を回転対称軸とする対称性を有する形状としている請求項2〜8のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【請求項10】
前記導波体は、径方向と平行な断面の形状を楕円形状としている請求項2〜8のいずれか1項に記載の光ファイバセンサシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−251963(P2012−251963A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126942(P2011−126942)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【Fターム(参考)】
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