説明

屈折率の高い芳香族ウレタンアクリレート

本発明は、屈折率の高い新規な芳香族ウレタン(メタ)アクリレート、その調製方法、およびホログラフィック媒体の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屈折率の高い新規なオレフィン性不飽和ウレタン、およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学的応用分野では、屈折率は、重要な材料特性である。従って、屈折率は、例えば、レンズ、プリズムおよび光学被膜のような光学構成要素の製造(US 5,916,987)またはホログラフィック材料でのコントラストの製造(US 6,780,546)において、重要な役割を果たす。そのような応用および類似の応用では、例えば屈折率の高い成分を混合することにより、目的に応じて屈折率を調整できることに対する要求が存在する。
【0003】
前述した使用分野では、オレフィン性不飽和化合物(例えば好ましくは(メタ)アクリレート)のポリマーを典型的には使用する。1.5以上の屈折率を達成するため、ハロゲン置換芳香族(メタ)アクリレートまたはUS 6,794,471に記載されている特別なアルキルメタクリレートを使用できる。特に後者は、複雑な調製方法の故に不利である。
【0004】
ウレタン(メタ)アクリレートからなる物質の種類は、被覆技術分野から、それ自体よく知られている。しかしながら、従来技術からは、それらがデータ媒体、特にホログラフィックストレージ法のためのデータ媒体の製造にどの程度適しているかはわからない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US 5,916,987
【特許文献2】US 6,780,546
【特許文献3】US 6,794,471
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、可能な限り技術的に簡単に調製され、かつ特にホログラフィックストレージ法のための光学データ媒体の製造に適した、新規なオレフィン性不飽和ウレタン、好ましくはウレタンアクリレートまたはウレタンメタクリレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明において、λ=532nmで少なくとも1.5の屈折率を有するオレフィン性不飽和ウレタン、好ましくはウレタンアクリレートまたはウレタンメタクリレートが前記要求を満足することが見出された。
【0008】
従って、本発明は、λ=532nmで1.5以上の屈折率を有するオレフィン性不飽和芳香族ウレタン、好ましくはウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートを使用する、ホログラフィック媒体の製造方法に関する。
【0009】
後の非限定の図面によって、本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】媒体のダイナミックレンジM#を測定するホログラフィック試験装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
明細書および特許請求の範囲で使用する場合、実施例で使用する場合を含んで特に記載のない限り、全ての数は、用語「約」が記載されていない場合でさえ該用語を前に置いて読まれ得る。また、明細書および特許請求の範囲に記載されているあらゆる数値範囲は、そこに包含されている小範囲の全てを包含することが意図されている。
【0012】
本発明のオレフィン性不飽和芳香族ウレタン、好ましくはウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートは、λ=532nmで好適には1.55以上、特に好適には1.58以上の屈折率を有する。
【0013】
本発明のオレフィン性不飽和ウレタン、好ましくはウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートは、成分A)芳香族ポリイソシアネートと成分B)少なくとも1つの放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有するイソシアネート反応性化合物との反応による、それ自体よく知られている方法で得られる。
【0014】
ポリイソシアネートとして、当業者にそれ自体よく知られている芳香族ジ−および/またはトリイソシアネートを使用できる。
【0015】
そのようなジ−またはトリイソシアネートの例は、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートである。
【0016】
1,5−ナフチレンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートが好ましい。トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートが特に好ましい。
【0017】
前記ジ−またはトリイソシアネートに基づき、ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有するより高分子量の二次生成物、およびそれらの混合物も適している。
【0018】
成分B)の化合物として、イソシアネート反応性基を少なくとも1つおよび化学線の作用下で重合を介してエチレン性不飽和化合物と反応する不飽和官能基(放射線硬化性基)を少なくとも1つ含有する化合物の全てを、個々にまたは所望の混合物として使用できる。
【0019】
化合物B)として、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する、アクリレート、メタクリレート、マレイネート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位含有化合物を好ましくは使用する。特に好ましいものは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有するアクリレートおよびメタクリレートである。
【0020】
適当なヒドロキシ官能性アクリレートまたはメタクリレートは、例えば以下のような化合物である:2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、例えばTone(登録商標)M100(Dow(ドイツ国シュヴァルバッハ在))、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、多価アルコール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、エトキシル化、プロポキシル化またはアルコキシル化された、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)またはそれらの工業用混合物のヒドロキシ官能性モノ−、ジ−またはテトラアクリレート。
【0021】
また、アクリレート基および/またはメタクリレート基含有イソシアネート反応性オリゴマーまたはポリマー不飽和化合物として、前記モノマー化合物単独またはそれらの組み合わせが適している。
【0022】
ヒドロキシル基を含有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するそれ自体既知のエポキシ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシル基を含有し、20〜300mgKOH/gのOH含量を有するポリウレタン(メタ)アクリレート、または20〜300mgKOH/gのOH含量を有するアクリル化ポリアクリレート、並びにそれらの、互いの混合物およびヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとの混合物およびポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物、或いはヒドロキシル基含有不飽和ポリエステルとポリエステル(メタ)アクリレートとの混合物を使用することも同様に可能である。また、そのような化合物は、P. K. T. Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints, 第2巻、1991, SITA Technology, ロンドン、第37〜56頁にも記載されている。ヒドロキシル基を含有し、所定のヒドロキシル官能価を有するエポキシアクリレートが好ましい。
【0023】
ヒドロキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートは特に、アクリル酸および/またはメタクリル酸と、モノマー、オリゴマーまたはポリマーのビスフェノールA、ビスフェノールF、ヘキサンジオールおよび/またはブタンジオールのエポキシド(グリシジル化合物)との反応生成物、或いはそれらのエトキシル化および/またはプロポキシル化誘導体に基づく。アクリル酸および/またはメタクリル酸およびグリシジル(メタ)アクリレートの既知の反応から得られるような、所定の官能価を有するエポキシアクリレートが更に好ましい。
【0024】
2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリチルトリアクリレート、およびOH基に対して二重結合の官能性がより高いヒドロキシアクリレート、例えばアクリル酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物が好ましい。
【0025】
2−ヒドロキシエチルアクリレートが特に好ましい。
【0026】
成分A)および成分B)に加えて、成分C)放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有しないイソシアネート反応性化合物、成分D)ナノ粒子充填材、および/または成分E)安定剤も、本発明のウレタンアクリレートの調製に付随的に使用できる。
【0027】
成分C)のイソシアネート反応性化合物は、1つ以上のイソシアネート反応性官能基を含有し、かつ化学線硬化性二重結合を含有しないモノマーまたはオリゴマー化合物、および1種以上のそれら化合物の混合物である。
【0028】
適当な成分C)の化合物は、低分子量短鎖の単官能性または多官能性のアルコール、チオールまたはアミン(即ち1〜40個の炭素原子を含有するもの)である。
【0029】
適当なアルコールは、例えば、脂肪族、芳香脂肪族、芳香族または脂環式のモノアルコール、ジオール、トリオールおよび高級ポリオールである。
【0030】
脂肪族アルコールの例は、以下である:メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、異性体のペンタノール、ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、オクタノールおよびノナノール、n−デカノール、n−ドデカノール、n−テトラデカノール、n−ヘキサデカノール、n−オクタデカノール、シクロヘキサノール、異性体のメチルシクロヘキサノールまたはヒドロキシメチルシクロヘキサン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタンまたはテトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、4−メチル−5−チアゾリルエタノール、2−(メチルチオ)エタノール、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジチオラン、2−メチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジチオラン、2,4−ジヒドロキシメチル−1,3−ジチオラン、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオネート、2,2’−チオジエタノール、2,2’−ジチオジエタノール、2−メルカプト−エタノール、4−メルカプト−1−ブタノール、4−メルカプト−2−ブタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、3−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−1−プロパノール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マンニトールまたはソルビトール。
【0031】
芳香族アルコールの例は、以下である:フェノール、異性体のクレゾール、メトキシフェノール、ハロゲン化フェノール、アルキルフェノール、アルコキシフェノール、1−ナフトール、2−ナフトール、臭素化ナフトール、9−ヒドロキシフェナントレン、ヒドロキシピレン、アセトアミノフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、ヒドロキシカルバゾール、ヒドロキシキノリン、5−インダノール、インドロール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、メルカプトフェノール、フェノキシフェノール、および前記化合物のアルキル化および/またはハロゲン化および/またはアルコキシル化誘導体。
【0032】
芳香脂肪族アルコールの例は、以下である:ベンジルアルコール、p−クロロベンジルアルコール、p−ブロモベンジルアルコール、p−ヨードベンジルアルコール、2,3,4,5,6−ペンタブロモベンジルアルコール、2,4,6−トリクロロベンジルアルコール、2,4,6−トリブロモベンジルアルコール、アニシルアルコール、シンナミルアルコール、2−フェニルエタノール、1−フェニルエタノール、1−ヒドロキシメチルナフタレン、2−ヒドロキシメチルナフタレン、1−ナフタレンエタノール、2−ナフチルエタノール、9−ヒドロキシフルオレン、1,8−ナフタレンジメタノール、2−チオフェンメタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、4−(メチルチオ)ベンジルアルコール、1−アセナフテノール、9−アントラセンメタノール、2−ベンズイミダゾールメタノール、ベンゾイン、ベンゼンジメタノール、1−ベンゾチオフェンスルホ−2−メタノール、N−ベンジルヒドロキシピペリジン、N−ベンジルピロリジノール、ビフェニルジメタノール、ビフェニルメタノール、5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン−5−オール、フルオレニルメタノール、フルオレニルエタノール、フルオレンジメタノール、2−(p−クロロフェニル)エタノール、ジフェニルエタノール、ジフェニルメタノール、ジフェニルプロパノール、トリフェニルメタノール、ジフェニル−4−ピリジルカルビノール、1,4−ジチアン−2,5−ジオール、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール、ジチオジエタノール、ジチオジナフトール、ヒドロキシメチルジチオラン、フルフリルアルコール、ヒドリンダンチン、ヒドロベンゾイン、ヒドロキシベンゾチアゾール、ヒドロキシベンズイミダゾール、ヒドロキシクマリン、2−(2−ヒドロキシエトキシ)フェノール、9−(2−ヒドロキシエチル)−9H−カルバゾール、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、3−(2−ヒドロキシエチル)インドール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、2−ヒドロキシメチルアントラキノン、N−(ヒドロキシメチル)ニコチンアミド、N−(ヒドロキシメチル)フタルイミド、N−(3−ヒドロキシプロピル)フタルイミド、2−(3−ヒドロキシプロピル)ピリジン、2−ピリジンメタノール、9−ヒドロキシ−9−フェニルフルオレン、1−インダノール、2−インダノール、インドールメタノール、エチルマンデレート、ベンジルマンデレート、マンデロニトリル、2−メルカプトベンジルアルコール、1−(2−ナフチル)エタノール、1−(1−ナフチル)エタノール、4,4−イソプロピリデンビス[2−フェノキシエタノール]、4,4−イソプロピリデンビス[2−(2,6−ジブロモフェノキシ)エタノール]、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノールAエトキシレート、ビスフェノールFエトキシレート、ベンズヒドロール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、1−フェニル−2−プロパノール、2−フェニル−1−プロパノール、3−フェニル−1−プロパノール、9−フェニル−9−キサンテノール、9−ヒドロキシキサンテン、ピリジンエタノール、ピリジンメタノール、ピリジンジメタノール、チオフェンメタノール、チオフェンエタノール、および前記化合物のアルキル化および/またはハロゲン化および/またはアルコキシル化誘導体。
【0033】
適当なチオールの例は、以下である:メタンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、ヘプタンチオール、オクタンチオール、ノナンチオール、ドデカンチオール、オクタデカンチオール、2−ナフタレンメタンチオール、チオフェノール、ベンゼンジメタンチオール、ベンゼンジチオール、ジフェニルメタンチオール、トリフェニルメタンチオール、ジチオエリスリトール、ジチオトレイトール、エタンジチオール、2,2’−チオジエタンチオール、フランメタンチオール、2−メルカプトベンズイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンズオキサゾール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、メチル3−メルカプトプロピオネート、イソオクチル3−メルカプトプロピオネート、ブチル3−メルカプトプロピオネート、メルカプトピリジン、メルカプトピリミジン、2−メルカプト−2−チアゾリン、メチマゾール、ナフタレンチオール、ペンタエリスリチルテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリチルテトラキス(3−メルカプトアセテート)、フェノキシエタンチオール、2−フェニルエタンチオール、4−メルカプトメチル−1,3−ジチオラン、4−(2−メルカプトエチル)−1,3−ジチオラン、2,4−ジメルカプトメチル−1,3−ジチオランおよび1,3−プロパンジチオール、並びに前記化合物のアルキル化および/またはハロゲン化および/またはアルコキシル化誘導体。
【0034】
適当なアミンの例は、以下である:アニリン、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、2−アミノチアゾール、2−アミノベンゾチアゾール、1−アミノ−4−ブロモナフタレン、2−アミノベンズイミダゾール、アミノクリセン、α−アミノジフェニルメタン、2−(2−アミノエチル)チオフェン、2−アミノ−5−(エチルチオ)−1,3,4−チアジアゾール、アミノインダン、(アミノメチル)ピリジン、アミノメチルチアゾール、1−(アミノメチル)ナフタレン、アミノナフトール、アミノフェナントレン、アミノフェノール、アミノピレン、アミノピラジン、アミノピリジン、アミノピリミジン、アミノメチルピリジン、ベンジルアミン、2−ベンジルアミノピリジン、ビフェニルエチルアミン、ビス(2−アミノフェニル)スルフィド、カルバゾール、ジアミノナフタレン、ジアミノトルエン、ジフェニルエチルアミン、ジチオジナフチルアミン、フルフリルアミン、ヒドラジン、1−(1−ナフチル)エチルアミン、1−(2−ナフチル)エチルアミン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキシアニリン、フェノキシエチルアミン、2−フェニルエチルアミン、n−フェニル−1−ナフチルアミン、1−フェニルプロピルアミン、2−フェニルプロピルアミン、3−フェニルプロピルアミン、ピリジンエチルアミン、チオフェンメチルアミン、並びに前記化合物のアルキル化および/またはハロゲン化および/またはアルコキシル化誘導体。
【0035】
イオウ含有化合物および9−(2−ヒドロキシエチル)−9H−カルバゾール、ヒドロキシメチルナフタレン、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、2−フェニルエタノール、(p−クロロ)フェニルエタノール、2−(p−クロロフェニル)エタノール、ナフタレンチオメタノールおよびトリフェニルメタノールが好ましい。
【0036】
9−(2−ヒドロキシエチル)−9H−カルバゾール、ヒドロキシメチルナフタレン、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミドおよびナフタレンチオメタノールが特に好ましい。
【0037】
好ましい態様では、ウレタンアクリレートは、前記成分からなり、以下の理想的化学構造式:
【化1】

または
【化2】

[式中、Xは、酸素、アミノまたはイオウであり、
各々の式中のRは、少なくとも30mol%の、任意にヘテロ原子を含有していてよいオレフィン性不飽和炭化水素基、および70mol%以下の、任意にヘテロ原子を含有していてよくオレフィン性不飽和基を含有しない炭化水素基を含んでなる。]
を有する。
【0038】
任意にヘテロ原子を含有していてよいオレフィン性不飽和炭化水素基は、好ましくは、エチルアクリレート基、プロピルアクリレート基および/またはブチルアクリレート基である。
【0039】
任意にヘテロ原子を含有していてよくオレフィン性不飽和基を含有しない炭化水素基は、好ましくは、9H−カルバゾール基、9−エチル−9H−カルバゾール基、ナフタレン基、メチルナフタレン基、N−エチルフタルイミド基、ベンゼン基、エチルベンゼン基、(p−クロロ)エチルベンゼン基および/またはトリフェニルメタン基である。
【0040】
場合により、ナノ粒子充填材D)を、本発明のウレタンアクリレートに添加してもよい。非官能性ポリマーおよび無機充填材の両方が、この目的に適している。
【0041】
非官能性ポリマーおよび充填材は、通常、機械的性質および光学的性質を確立するために使用される。本発明のウレタンアクリレートと適合性であり均質に混合できる、ポリマーおよび充填材の全てが、この目的に適している。
【0042】
充填材は、塊状材料として、または1〜1000nm、好ましくは1〜500nm、特に好ましくは2〜200nmの範囲に平均径を有する粒子状で使用され得る。
【0043】
適当な非官能性ポリマーは、例えば、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアミドおよびポリウレアのようなポリマーである。
【0044】
無機充填材として、金属塩、ガラス繊維および/または金属充填材を使用してよい。好ましくは、金属酸化物、例えば二酸化ケイ素、二酸化セリウム、酸化イットリウム(III)、二酸化ジルコニウム、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛または酸化タンタルを使用する。
【0045】
使用され得る安定剤E)は、化学線硬化性二重結合を安定化する化合物である。酸素含有ガスに加えて、化学安定剤は、時期尚早の重合を回避するのに適しており、その量は、不飽和化合物の量に基づいて0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜0.5重量%である。そのような安定剤は、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of organic Chemistry], 第4版、第XIV/1巻、Georg Thieme Verlag, シュトゥットガルト、1961, 第433頁以下に記載されている。例として、以下を挙げることができる:亜ジチオン酸ナトリウム、硫化水素ナトリウム、イオウ、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、ヒドラゾベンゼン、N−フェニル−β−ナフチルアミン、N−フェニルエタノールジアミン、ジニトロベンゼン、ピクリン酸、p−ニトロソジメチルアニリン、ジフェニルニトロソアミン、フェノール、例えば、パラ−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、p−tert−ブチルピロカテコールまたは2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、テトラメチルチウラムジスルフィド、2−メルカプトベンズチアゾール、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム塩、フェノチアジン、N−オキシル化合物、例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジンN−オキシド(TEMPO)またはその誘導体の1つ。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールおよびパラ−メトキシフェノール並びにそれらの混合物が好ましい。
【0046】
本発明のウレタンアクリレートは、イソシアネート成分Aとイソシアネート反応性成分BまたはBおよびCとの当量反応によって調製されるので、本発明のウレタンアクリレートは、0.5重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、特に好ましくは0.1重量%未満のイソシアネート基(M=42)含量を有する。更に、本発明のウレタンアクリレートは、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは0.2重量%未満の未転化成分B含量を有する。
【0047】
成分Aと成分Bとの反応または成分Aと成分Bおよび任意に成分Cとの反応は、ウレタン化またはチオウレタン化或いはウレア生成である。
【0048】
成分Aと成分Bとの反応または成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応の後、ジ−およびポリイソシアネート化学から知られている別の反応を実施することも可能であり、その例は以下である:場合によりイソシアネート反応性化合物(例えば、ヒドロキシ、メルカプトまたはアミノ化合物)を更に添加して、更なるウレタン化および/またはチオウレタン化、アロファネート化、ビウレット化、三量化、ウレア生成および/またはウレトジオン化。更に、成分Aで列挙したジ−またはトリイソシアネートの追加量を、可能な更なる反応のために添加できる。また、未転化ジ−またはトリイソシアネートを、例えば蒸留のような分離法によって除去することもできる。
【0049】
成分Aと成分Bとの反応および成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応は、イソシアネート付加反応を促進することで知られている触媒を用いて実施され得る。触媒の例は、第三級アミン、錫、亜鉛、鉄またはビスマス化合物、特に、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、オクタン酸ビスマスまたはジラウリン酸ジブチル錫である。触媒は、最初に導入してもよいし、後で計量添加してもよい。
【0050】
成分Aと成分Bとの反応は、好ましくは、アクリレートおよびメタクリレートにとっての安定剤の存在下で実施される。安定剤成分E)として前記した化合物が、この目的に適している。2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジン、パラ−メトキシフェノールおよびそれらの混合物が好ましい。安定剤は、反応の前、間および/または後に添加できる。
【0051】
イソシアネート基をなお含有する、成分Aと成分Bとの反応生成物の安定化には、前記した望ましい安定剤の他に、イソシアネートを更なる反応から安定化する化合物も適している。後者の例は、特に、酸または酸誘導体、例えば、塩化ベンゾイル、塩化フタロイル、亜ホスフィン酸、亜ホスホン酸および/または亜リン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸および/またはリン酸、最後に記載した6種の酸の酸性エステル、硫酸およびその酸性エステル、および/またはスルホン酸である。安定剤は、反応の前、間および/または後に添加できる。
【0052】
反応は、出発物質および生成物に対して不活性であり、好ましくはイソシアネートに対しても不活性である有機溶媒の存在下で実施できる。その例は、酢酸エチル、酢酸ブチル、ソルベントナフサ、メトキシプロピルアセテート、アセトン、ブタノン、または炭化水素、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンまたはイソオクタンのような塗料溶媒である。
【0053】
反応後、溶媒を例えば蒸留により生成物から除去してもよいし、生成物中に留めてもよいし、或いは別の溶媒に置き換えてもよい。好ましい態様では、反応後、蒸留により溶媒を除去する。更に好ましい態様では、反応後、第二の溶媒を添加し、反応が行われた溶媒は蒸留により除去する。第二の溶媒は、好ましくは、いわゆるポリオール、ヒドロキシ官能性ポリマーである。適当なポリオールは、500〜13000g/mol、好ましくは700〜4000g/molの範囲に数平均分子量を有するジ−またはポリオールである。1.5〜3.5、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.1の平均ヒドロキシル官能価を有するポリマーが好ましい。これらは例えば、脂肪族、脂環式および/または芳香族のジ−、トリ−および/またはポリカルボン酸とジ−、トリ−および/またはポリオールとに基づいたポリエステルアルコール、並びにラクトンに基づいたポリエステルアルコールを包含する。好ましいポリエステルアルコールは、例えば、500〜4000、特に好ましくは650〜2500の分子量を有する、アジピン酸とヘキサンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールまたは前記ジオールの混合物との反応生成物である。ポリエーテルオールも適しており、それらは、環状エーテルの重合によるか、またはアルキレンオキシドと開始剤分子との反応によって得られる。ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールは、500〜13000の平均分子量を有する。更に、500〜8000、好ましくは650〜3000の平均分子量を有するポリテトラヒドロフランを例として挙げることもできる。ポリエーテルポリオールとラクトンとの反応により得られるポリエステル−ポリエーテル−ポリエステルブロックポリオールも適している。ジオールまたはラクトン変性ジオールまたはビスフェノール(例えばビスフェノールA)と、ホスゲンまたはカルボン酸ジエステル(例えば炭酸ジフェニルまたは炭酸ジメチル)との反応によって得られるヒドロキシル末端ポリカーボネートも適している。500〜8000の平均分子量を有する1,6−ヘキサンジオールのポリマーカーボネート、および1〜0.1のモル比での1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクタムとの反応生成物のカーボネートを例として挙げることができる。650〜3000の平均分子量を有し、1,6−ヘキサンジオールに基づいた前記ポリカーボネートジオール、および/または1〜0.33のモル比での1,6−ヘキサンジオールとε−カプロラクタムとの反応生成物のカーボネートが好ましい。ヒドロキシル末端ポリアミドアルコールおよびヒドロキシル末端ポリアクリレートジオール、例えばTegomer(登録商標)BD 1000(Tego GmBH(ドイツ国エッセン在)製)を同様に使用できる。エステル基含有ポリオールが特に好ましい。
【0054】
更に好ましい態様では、反応後に反応性希釈剤を添加し、次いで反応が行われた溶媒を蒸留により除去する。そのような反応性希釈剤は、例えば、放射線硬化技術において知られている化合物であり(Roempp Lexikon Chemie [Roempp Lexikon Chemistry], 第491頁、第10版、1998, Georg-Thieme-Verlag, シュトゥットガルト参照)、特に、30mgKOH/g未満、好ましくは10mgKOH/g未満の低いヒドロキシル含量を有するものである。アクリル酸またはメタクリル酸のエステルを例として挙げることができ、好ましくは、アクリル酸と以下のアルコールとのエステルである:一価アルコール、例えば、異性体のブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールおよびデカノール、更に脂環式アルコール、例えば、イソボルノール、シクロヘキサノールおよびアルキル化シクロヘキサノール、ジシクロペンタノール、芳香脂肪族アルコール、例えば、フェノキシエタノールおよびノニルフェニルエタノール、およびテトラヒドロフルフリルアルコール。また、これらアルコールのアルコキシル化誘導体、並びに二価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、異性体ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチルヘキサンジオールおよびトリプロピレングリコール)またはこれらアルコールのアルコキシル化誘導体を使用することもできる。好ましい二価アルコールは、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。高官能性アルコール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールまたはジペンタエリスリトール)およびそれらのアルコキシル化誘導体のエステルも同様に使用できる。アクリル酸と、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびジペンタエリスリトールとのエステルが好ましい。
【0055】
成分Aと成分Bとの反応または成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応は、例えば静的ミキサーを用いて連続して、または例えば適当な撹拌槽を用いて回分式で実施される。回分式の場合、成分Aと成分Bおよび成分Cとの両方を最初に導入し、それ以外の各成分を室温または高温で計量添加できる。最初に成分A)を導入し、成分B)および成分C)を計量添加することにより、反応を実施することが好ましい。
【0056】
成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応は、成分Bおよび成分Cの混合添加によって実施され得る。しかしながら、成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応は、好ましくは、まず成分Aと成分Bとを反応させる方法で実施される。結果的に、得られた反応生成物は、0.5〜10重量%、好ましくは0.6〜6重量%、特に好ましくは0.7〜4.5重量%のイソシアネート基含量を有する。次いで、成分Aと成分Bとの反応により得られた反応生成物と成分Cとを反応させ、本発明のウレタンアクリレートを得る。
【0057】
複数の成分Bを使用する場合、これらを混合物としてAと反応させてもよいし、或いは成分Aおよび成分Bおよび成分Cの反応のために先に記載した手順と同様に逐次的に反応させてもよい。イソシアネートに対して異なった反応性を有する複数の成分Bを使用する場合、好ましくは、成分Bを成分Aと逐次的に反応させる。特に好ましくは、反応性が最も低い成分Bから出発して、それらの反応性の順に反応させる。
【0058】
複数の成分Cを使用する場合、これらを混合物として成分Aと成分Bとの反応生成物と反応させてもよいし、或いは成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応のために先に記載した手順と同様に逐次的に反応させてもよい。イソシアネートに対して異なった反応性を有する複数の成分Cを使用する場合、好ましくは、成分Cを成分Aと成分Bとの反応生成物と逐次的に反応させる。特に好ましくは、反応性が最も低い成分Cから出発して、それらの反応性の順に反応させる。
【0059】
加熱および/または発熱反応により、反応は、好ましくは40℃〜130℃、特に好ましくは50℃〜80℃の温度範囲で維持される。分析により転化率を測定する。分析は、例えば赤外線スペクトルまたは近赤外線スペクトルの記録により、分光的に実施できるが、取り出した試料の化学分析によっても実施できる。反応の転化率の尺度としては、例えばイソシアネート含量が、場合によりヒドロキシル含量も、特に適している。成分Aと成分Bとの反応または成分Aと成分Bおよび成分Cとの反応の後、場合により、ポリウレタン化学からそれ自体知られている更なる前記反応が続いてもよい。
【0060】
好ましい態様では、成分A)、成分B)および任意に成分C)の量は、溶媒を含まない状態の反応生成物が、0.5(C=Cのモル数)/(不揮発性画分に基づいた)kg以上、好ましくは0.8(C=Cのモル数)/(不揮発性画分に基づいた)kg以上の二重結合密度(アクリレートおよび/またはメタクリル)を有するような量である。
【0061】
本発明では、本発明のウレタン(メタ)アクリレートがトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートに基づいた場合に有利であることがわかった。その調製において、成分B)としてヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートまたはヒドロキシブチルアクリレートを単独で或いは成分C)として使用される9−(2−ヒドロキシエチル)−9H−カルバゾール、ヒドロキシメチルナフタレン、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミドまたはナフタレンチオメタノールと組み合わせて使用する場合、特に有利である。
【0062】
従って、本発明はまた、トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートまたはトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートと、少なくとも1つの放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有するイソシアネート反応性化合物との反応により得られる、ウレタン(メタ)アクリレートに関する。
【0063】
少なくとも1つの放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有するイソシアネート反応性化合物として、ヒドロキシエチルアクリレートを使用することが好ましい。
【0064】
2つの前記成分に加えて、成分C)〜成分E)に挙げた成分も、これらウレタン(メタ)アクリレートの調製に付随的に使用できる。
【0065】
前記ウレタン(メタ)アクリレートa)からのホログラフィック媒体の製造に、イソシアネート成分b)、イソシアネート反応性成分c)および一種以上の光開始剤d)も好ましくは使用する。
【0066】
イソシアネート成分b)は、好ましくはポリイソシアネートを含んでなる。使用されるポリイソシアネートは、一分子あたり平均して2以上のNCO官能価を有する、当業者にそれ自体よく知られている化合物の全てまたはそれらの混合物である。それらは、芳香族、芳香脂肪族、脂肪族または脂環式であってよい。不飽和基含有モノイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートも、少量で付随的に使用してよい。
【0067】
例えば、以下が適している:ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタン、2,2,4−および/または2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、異性体ビス(4,4’−イソシアナトシクロヘキシル)メタンおよびそれらの所望の異性体含量を有する混合物、イソシアナトメチル−1,8−オクタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、異性体シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルエンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、および/またはトリフェニルメタン4,4’4’’−トリイソシアネート。
【0068】
ウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオン構造を有する単量体ジ−またはトリイソシアネート誘導体を使用することも同様に可能である。
【0069】
脂肪族および/または脂環式のジ−またはトリイソシアネートに基づいたポリイソシアネートを使用することが好ましい。
【0070】
成分A)のポリイソシアネートは、特に好ましくは、二量化またはオリゴマー化された脂肪族および/または脂環式のジ−またはトリイソシアネートである。
【0071】
HDI、1,8−ジイソシアナト−4−(イソシアナトメチル)オクタンまたはそれらの混合物に基づいた、イソシアヌレート、ウレトジオンおよび/またはイミノオキサジアジンジオンが特に好ましい。
【0072】
成分b)のポリイソシアネートのNCO基は、産業においてそれ自体通例のブロッキング剤で完全にまたは部分的にブロックされていてもよい。ブロッキング剤は、例えば、アルコール、ラクタム、オキシム、マロン酸エステル、アルキルアセトアセテート、トリアゾール、フェノール、イミダゾール、ピラゾールおよびアミン、例えば、ブタノンオキシム、ジイソプロピルアミン、1,2,4−トリアゾール、ジメチル−1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、マロン酸ジエチル、酢酸エチル、アセトンオキシム、3,5−ジメチルピラゾール、ε−カプロラクタム、N−tert−ブチルベンジルアミン、シクロペンタノンカルボキシエチルエステル、またはこれらブロッキング剤の所望の混合物である。
【0073】
一分子当たり平均して少なくとも1.5個のイソシアネート反応性基を含有する多官能性イソシアネート反応性化合物の全てを、成分c)として、それ自体使用できる。
【0074】
本発明におけるイソシアネート反応性基は、好ましくは、ヒドロキシル基、アミノ基またはチオ基である。
【0075】
適当な多官能性イソシアネート反応性化合物は、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリ(メタ)アクリレートポリオールおよび/またはポリウレタンポリオールである。
【0076】
適当なポリエステルポリオールは、例えば、脂肪族、脂環式または芳香族のジ−またはポリカルボン酸或いはそれらの無水物と2以上のヒドロキシル官能価を有する多価アルコールとから既知の方法で得られるような、直鎖ポリエステルジオールまたは分枝ポリエステルポリオールである。
【0077】
そのようなジ−またはポリカルボン酸或いはその無水物の例は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、o−フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸またはトリメリット酸、および酸無水物、例えば、o−フタル酸無水物、トリメリット酸無水物またはコハク酸無水物、或いはそれらの互いの所望の混合物である。
【0078】
適当なアルコールの例は、エタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールおよびテトラプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、トリメチロールプロパン、グリセロール、またはそれらの互いの所望の混合物である。
【0079】
ポリエステルポリオールは、ひまし油のような天然原料に基づいてもよい。ポリエステルポリオールは、好ましくは、ラクトンまたはラクトン混合物(例えば、ブチロラクトン、ε−カプロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン)とヒドロキシ官能性化合物(例えば前記タイプの2以上のヒドロキシル官能価を有する多価アルコール)との付加反応によって得られるような、ラクトンのホモポリマーまたはコポリマーに基づくこともできる。
【0080】
そのようなポリエステルポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、特に好ましくは500〜2000g/molの数平均モル質量を有する。それらのヒドロキシル官能価は、好ましくは1.5〜3.5、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0081】
適当なポリカーボネートポリオールは、有機カーボネートまたはホスゲンとジオールまたはジオール混合物との反応によって、それ自体既知の方法で得ることができる。
【0082】
適当な有機カーボネートは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートおよびジフェニルカーボネートである。
【0083】
適当なジオールまたは混合物は、ポリエステルセグメントに関連してそれ自体記載され、2以上のヒドロキシル官能価を有する多価アルコール、好ましくは、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールおよび/または3−メチルペンタンジオールを包含する。
【0084】
そのようなポリカーボネートポリオールは、好ましくは400〜4000g/mol、特に好ましくは500〜2000g/molの数平均モル質量を有する。これらポリオールのヒドロキシル官能価は、好ましくは1.8〜3.2、特に好ましくは1.9〜3.0である。
【0085】
適当なポリエーテルポリオールは、環状エーテルとOH官能性またはNH官能性開始剤分子との重付加物であり、該重付加物は場合によりブロック構造を有する。
【0086】
適当な環状エーテルは、例えば、スチレンオキシド、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、ブチレンオキシド、エピクロロヒドリンおよびそれらの所望の混合物である。
【0087】
使用され得る開始剤は、ポリエステルポリオールに関連して記載され、2以上のヒドロキシル官能価を有する多価アルコール、並びに第一級または第二級のアミンおよびアミノアルコールである。
【0088】
そのようなポリエーテルポリオールは、好ましくは250〜10000g/mol、特に好ましくは500〜4000g/mol、とりわけ好ましくは600〜2000g/molの数平均モル質量を有する。ヒドロキシル官能価は、好ましくは1.5〜4.0、特に好ましくは1.8〜3.0である。
【0089】
また、分子量が低い、即ち500g/mol未満の分子量を有し、短鎖である、即ち2〜20個の炭素原子を含有する、脂肪族、芳香脂肪族または脂環式の二官能性、三官能性または多官能性アルコールも、成分G2)の構成要素としての多官能性イソシアネート反応性化合物として適している。
【0090】
これらは例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、トリメチルペンタンジオール、ジエチルオクタンジオール位置異性体、1,3−ブチレングリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−および1,4−シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン)、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピオン酸(2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピルエステル)であり得る。適当なトリオールの例は、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンまたはグリセロールである。適当な高官能性アルコールは、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールまたはソルビトールである。
【0091】
アミノアルコールは例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−エチルジイソプロパノールアミン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)パーヒドロピラジン、N−メチルビス(3−アミノプロピル)アミン、N−メチルビス(2−アミノエチル)アミン、N,N’,N’’−トリメチルジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、1−N,N−ジエチルアミノ−2−アミノエタン、1−N,N−ジエチルアミノ−3−アミノプロパン、2−ジメチルアミノメチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、N−イソプロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−オレイルジエタノールアミン、N−ステアリルジエタノールアミン、オキシエチル化ヤシ脂肪アミン、N−アリルジエタノールアミン、N−メチルジイソプロパノールアミン、N,N−プロピルジイソプロパノールアミン、N−ブチルジイソプロパノールアミンおよび/またはN−シクロヘキシルジイソプロパノールアミンである。
【0092】
成分d)として、1種以上の光開始剤を使用する。それらは通常、化学線によって活性化され得、対応する重合性基のラジカル重合を開始する開始剤である。光開始剤は、それ自体既知の市販化合物であり、一分子(I型)開始剤と二分子(II型)開始剤とに分類されている。(I型)系は、例えば、第3級アミンと組み合わせた芳香族ケトン化合物(例えばベンゾフェノン)、アルキルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、アントロンおよびハロゲン化ベンゾフェノンまたは前記タイプの混合物である。また、以下のような(II型)開始剤が適している:ベンゾインおよびその誘導体、ベンジルケタール、アシルホスフィンオキシド、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビスアシルホスフィンオキシド、フェニルグリオキシル酸エステル、カンファーキノン、α−アミノアルキルフェノン、α,α−ジアルコキシアセトフェノン、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)およびα−ヒドロキシアルキルフェノン。EP−A 0223587に記載され、アリールホウ酸アンモニウムと1種以上の染料との混合物からなる光開始剤系を、光開始剤として使用することもできる。アリールホウ酸アンモニウムとして、例えば、テトラブチルアンモニウムトリフェニルヘキシルボレート、テトラブチルアンモニウムトリス−(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、およびテトラメチルアンモニウムトリス−(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートが適している。適当な染料は、例えば、ニューメチレンブルー、チオニン、ベーシックイエロー、ピナシアノールクロリド、ローダミン6G、ガロシアニン、エチルバイオレット、ビクトリアブルーR、セレスチンブルー、キナルジンレッド、クリスタルバイオレット、ブリリアントグリーン、アストラゾンオレンジG、ダロウレッド、ピロニンY、ベーシックレッド29、ピリリウムI、シアニンおよびメチレンブルー、アズールAである。
【0093】
これらの化合物の混合物を使用することも有利であり得る。硬化に使用される線源に依存して、タイプおよび濃度は、当業者に既知の方法で光開始剤に適合されなければならない。更なる詳細は、例えば、P. K. T. Oldring(編)、Chemistry & Technology of UV & EB Formulations For Coatings, Inks & Paints, 第3巻、1991, SITA Technology, ロンドン、第61〜328頁に記載されている。
【0094】
好ましい光開始剤d)は、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、1−[4−(フェニルチオ)フェニル]オクタン−1,2−ジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)、並びにテトラブチルアンモニウムトリス−(3−フルオロフェニル)ヘキシルボレート、テトラメチルアンモニウムトリス−(3−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレートと染料、例えば、メチレンブルー、ニューメチレンブルー、アズールA、ピリリウムI、シアニン、ガロシアニン、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレットおよびチオニンとの混合物である。
【0095】
成分a)〜d)に加えて、ラジカル安定剤、触媒および更なる添加剤を使用することもできる。
【0096】
適当なラジカル安定剤は、"Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry]" (Houben-Weyl), 第4版、第XIV/1巻、第433頁以下、Georg Thieme Verlag, シュトゥットガルト、1961に記載されているような、重合禁止剤および抗酸化剤である。適当な物質の種類は、例えば、フェノール、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、クレゾール、ヒドロキノン、ベンジルアルコール、例えばベンズヒドロール、場合によりキノン、例えば、2,5−ジ−tert−ブチルキノン、場合により芳香族アミン、例えばジイソプロピルアミンまたはフェノチアジンである。
【0097】
好ましいラジカル安定剤は、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、フェノチアジンおよびベンズヒドロールである。
【0098】
更に、1種以上の触媒を使用できる。これらは好ましくはウレタン生成を触媒する。この目的に適しているものは、好ましくは、アミン、並びに金属(錫、亜鉛、鉄、ビスマス、モリブデン、コバルト、カルシウム、マグネシウムおよびジルコニウム)の金属化合物である。この目的に好ましいものは、以下である:オクタン酸錫、オクタン酸亜鉛、ジラウリン酸ジブチル錫、ジカルボン酸ジメチル錫、鉄(III)アセチルアセトネート、塩化鉄(II)、塩化亜鉛、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコラート、10〜20個の炭素原子および任意にOH側基を含有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩、オクタン酸鉛、または第三級アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルジアミノジエチルエーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、N−メチル−またはN−エチルモルホリン、N,N'−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルピペラジン、N−ジメチルアミノエチルピペリジン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−ヒドロキシプロピルイミダゾール、1−アザビシクロ[2.2.0]オクタン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)またはアルカノールアミン化合物、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチル−およびN−エチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、2−(N,N−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、またはN−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロトリアジン、例えば、N,N',N−トリス(ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジン。
【0099】
特に好ましい触媒は、ジラウリン酸ジブチル錫、ジカルボン酸ジメチル錫、鉄(III)アセチルアセトネート、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデカン、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−ピリミド(1,2−a)ピリミジンである。
【0100】
更なる助剤および添加剤として、例えば、溶媒、可塑剤、均展剤、消泡剤または接着促進剤が存在してよいが、ポリウレタン、熱可塑性ポリマー、オリゴマーおよび更なる官能基(例えば、アセタール、エポキシド、オキセタン、オキサゾリン、ジオキソランおよび/または親水性基)含有化合物、例えば、塩および/またはポリエチレンオキシドも存在してよい。
【0101】
好ましく使用される溶媒は、本発明の二成分組成物と良好な適合性を有する易揮発性溶媒であり、その例は、酢酸エチル、酢酸ブチルまたはアセトンである。
【0102】
好ましく使用される可塑剤は、良好な溶解特性、低い揮発性および高い沸点を有する液体であり、その例は、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジブチル、非ヒドロキシ官能性ポリエーテル、例えば、250g/mol〜2000g/molの数平均モル質量を有するポリエチレングリコールジメチルエーテル、またはポリプロピレングリコール、或いは前記化合物の混合物であり得る。
【0103】
1つのタイプの添加剤を複数同時に使用することも有利であり得る。もちろん、複数のタイプの添加剤を複数使用することも有利であり得る。
【0104】
ホログラフィック媒体の製造には、好ましくは、
0.1〜75重量%のウレタンアクリレート成分a)、
24.999〜99.899重量%のイソシアネート反応性成分c)、
0.001〜5重量%の光開始剤d)、
0〜3重量%のラジカル安定剤、
0〜4重量%の触媒、
0〜50重量%の助剤および添加剤
の混合物を、ポリイソシアネート成分b)との反応に使用する。
【0105】
2〜13重量%のウレタンアクリレート成分a)、
86.998〜97.998重量%のイソシアネート反応性成分c)、
0.001〜1重量%の光開始剤d)、
0.001〜1重量%のラジカル安定剤、
0〜2重量%の触媒、
0〜15重量%の助剤および添加剤
の混合物を、特に好ましく使用する。
【0106】
別の同様に好ましい態様では、
12.5〜55重量%のウレタンアクリレート成分a)、
44.8〜87.8重量%のイソシアネート反応性成分c)、
0.1〜3重量%のB3光開始剤d)、
0.1〜3重量%のラジカル安定剤、
0〜3重量%の触媒、
0〜50重量%の助剤および添加剤
の混合物を使用する。
【0107】
前記好ましい態様のホログラフィック媒体の製造におけるNCOとOHとのモル比は、典型的には0.5〜2.0、好ましくは0.90〜1.25である。
【0108】
ホログラフィック媒体は、通常、成分G1)〜G6)の全てを互いに最初に混合することにより得られる。混合は、混合技術から当業者にそれ自体知られている方法および装置の全て、例えば、撹拌槽または動的ミキサーおよび静的ミキサーを用いて達成され得る。温度は、0〜100℃、好ましくは10〜80℃、特に好ましくは20〜60℃である。この混合物を、直ちに更に処理してもよいし、または長い(場合により数ヶ月を超える)保存寿命を有する中間体として保存してもよい。
【0109】
必要であれば、減圧(例えば1mbar)で脱気してもよい。
【0110】
次いで、適用直前にポリイソシアネート成分b)と混合する。この混合も、通常の混合技術を使用できる。しかしながら、デッドスペースのない装置または狭いデッドスペースしか有さない装置が好ましい。混合される2成分が極めて短時間に激しく混合される方法が、更に好ましい。この目的のためには、特に、動的ミキサー、とりわけ成分がミキサー内でしか互いに接触しない動的ミキサーが適している。この混合は、0〜80℃、好ましくは5〜50℃、特に好ましくは10〜40℃の温度で実施され得る。残留気体を除去するためおよび被膜中の気泡形成を防ぐため、任意に、二成分AおよびBの混合物を、混合後に減圧下(例えば1mbar)で脱気してもよい。混合後、透明な液状組成物を得る。これを、組成によって、室温で数秒から数時間で硬化させる。
【0111】
ポリウレタン系は、硬化が室温で数分から1時間以内に生じるように好ましくは調整される。好ましい態様では、混合後に30〜180℃、好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃の温度まで組成物を加熱することによって硬化を促進させる。
【0112】
全成分の混合直後、ポリウレタン系は、典型的には10〜100,000mPa・s、好ましくは100〜20,000mPa・s、特に好ましくは200〜10,000mPa・s、特に好ましくは500〜1,500mPa・sの室温での粘度を有するので、溶媒を含まない状態でさえ、非常に良好な加工性を有する。適当な溶媒中の溶液では、10,000mPa・s未満、好ましくは2,000mPa・s未満、特に500mPa・s未満の室温での粘度が確立され得る。
【0113】
15gの量、触媒含量0.004%、4時間未満で硬化される系、または触媒含量0.02%、10分未満で硬化される系が有利であることがわかった。
【0114】
好ましい方法によれば、前記組成物を、混合後直接基材に適用する。適用には、被覆技術において当業者に知られている常套法の全てを使用できる。特に、被覆剤は、ナイフ塗り、流し込み、印刷、スクリーン印刷、噴霧またはインクジェット印刷によって適用され得る。
【0115】
基材は、プラスチック、金属、木材、紙、ガラス、セラミック、およびこれら複数の材料を含んでなる複合材であり得、好ましい態様では、基材はシート状である。
【0116】
好ましい態様では、基材の組成物での被覆は連続法で実施する。概して、本発明の組成物は、5mm〜1μm、好ましくは500μm〜5μm、特に好ましくは50μm〜8μm、とりわけ好ましくは25μm〜10μmの厚さを有するフィルムとして基材に適用される。
【0117】
基材としてシートを用いる場合、連続法の場合に硬化後巻き取ることができ、その状態で数ヶ月にわたって保存できる軟質被覆シートが得られる。
【0118】
更に好ましい態様では、透明基材(特にプラスチックまたはガラス)が組成物の両側を被覆するように、組成物を適用する。この目的のため、1〜2mm、好ましくは1.2〜1.8mm、特に好ましくは1.4〜1.6mm、とりわけ1.5mmの正確な距離に維持された基材の間に組成物を注ぐ。組成物が完全に硬化し、もはや流動できなくなるまで、基材を正確な距離で維持する。
【0119】
基材として使用される材料は、もちろん、複数の層を有してもよい。基材は、複数の異なった材料の層からなることができ、例えば、付加的特性(例えば、改善された接着性、高い撥水性または親水性、改善された耐引掻き性、特定の波長範囲での反射防止特性、改善された表面均一性など)を有する被膜を有することもできる。
【0120】
次いで、記載した方法の1つによって得られた材料を、ホログラムの記録に使用できる。この目的のため、ホログラムが生じるように、ホログラフィーにおいて当業者に知られている方法によって、2つの光線で材料に干渉を起こす(P. Hariharan, Optical Holography 第2版、Cambridge University Press, 1996)。ホログラムの露光は、連続およびパルス照射の両方で実施され得る。場合により、1つ以上のホログラムを同じ材料の同じ場所に露光することもでき、例えば、ホログラフィーにおいて当業者に知られている角度多重化法を使用できる。ホログラムの露光後、場合により、材料を強い広帯域光源に露光し、次いで、更なる必須処理工程なしでホログラムを使用することもできる。場合により、別の処理工程(例えば、別の基材への転写、変形、インサート成形、別の表面との接着結合、或いは耐引掻き性被膜での被覆)によってホログラムを更に処理することもできる。
【0121】
記載した方法の1つによって製造されたホログラムは、例えばヒトまたは対象物の三次元表示およびヒトまたは物品の確認に役立つ画像表現のためのデータストレージに役立ち得、レンズ、ミラー、フィルター、散乱スクリーン、回折素子、光導波路および/またはマスクの機能を有する光学素子の製造に使用され得る。
【実施例】
【0122】
特に記載のない限り、記載したパーセントの全ては重量パーセントに基づく。
532nmの波長で屈折率を測定した。試料の波長に依存して、透過スペクトルおよび反射スペクトルから屈折率nを得た。この目的のため、約100〜300nm厚の試料フィルムを、酢酸ブチル中希薄溶液からスピンコーティングによって石英ガラス支持体に適用した。この層パケットの透過スペクトルおよび反射スペクトルを、STEAG ETA-Optik社製分光計CD-測定システムETA-RTで測定し、層厚さおよびnのスペクトル曲線を、測定した透過スペクトルおよび反射スペクトルに適合させた。これは、分光計の内部ソフトウェアを用いて実施され、先にブランク測定で測定された石英ガラス基材のnデータを付加的に必要とした。
【0123】
実施例1:
まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、および213.07gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、42.37gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0124】
実施例2:
まず、0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.015gのジラウリン酸ジブチル錫、および98.88gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、9.83gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が3.3%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、13.41gの2−ナフタレンメタノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0125】
実施例3:
まず、0.15gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、および257.47gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、34.30gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が2.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、46.03gの4,4−イソプロピリデンビス[2−(2,6−ジブロモフェノキシ)エタノール]を滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0126】
実施例4:
まず、0.03gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.01gのジラウリン酸ジブチル錫、および150.34gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、14.95gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が3.3%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、44.33gのポリ(ε−カプロラクトン)モノアクリレート(Tone M100、Dow Chemicals Inc.の製品)を滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。粘性のある液体として生成物を得た。
【0127】
実施例5:
まず、0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.015gのジラウリン酸ジブチル錫、および90.71gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、9.02gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が3.3%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、16.43gの9H−カルバゾリル−9−エタノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0128】
実施例6:
まず、0.15gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.15gのジラウリン酸ジブチル錫、および356.19gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、47.22gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が2.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、6.31gの1,2−エタンジオールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0129】
実施例7:
まず、0.15gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.15gのジラウリン酸ジブチル錫、および349.69gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、46.36gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が2.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、8.93gのトリメチロールプロパンを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0130】
実施例8:
まず、0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.015gのジラウリン酸ジブチル錫、および76.71gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、29.22gの2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0131】
実施例9:
まず、0.06gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.02gのジラウリン酸ジブチル錫、および127.80gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、25.41gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。その後、冷却し、40gのエステル基含有ポリオールを添加し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。透明溶液として生成物を得た。
【0132】
実施例10:
まず、0.05gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.015gのジラウリン酸ジブチル錫、および82.35gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、5.46gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が4.5%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、7.37gの2−(パラクロロフェニル)エタノールを滴加し、イソシアネート含量が2.1%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。その後、14.87gの4,4−イソプロピリデンビス[2−(2,6−ジブロモフェノキシ)エタノール]を滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。次いで、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0133】
実施例11:
まず、0.01gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.004gのジラウリン酸ジブチル錫、および28.88gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、50ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、2.87gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が3.3%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、4.31gの2−ナフタレンメタンチオールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0134】
実施例12:
まず、0.25gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、および135.97gの4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを、500ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、12.84gの3−メチルペンタンジオールを滴加し、イソシアネート含量が24.5%未満に低下するまで、混合物を60℃で更に維持した。続いて、100.94gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を更に維持した。その後、冷却し、半結晶性固体として生成物を得た。
【0135】
実施例13:
まず、0.15gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、および95.41gの2−イソシアナト−1,3−ジイソプロピルベンゼンを、250ml容の丸底フラスコに導入し、60℃まで加熱した。次いで、54.44gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、60℃を維持した。その後、冷却し、半結晶性固体として生成物を得た。
【0136】
実施例14:
まず、0.1gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジラウリン酸ジブチル錫、および189.52gの酢酸エチル中トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、65℃まで加熱した。次いで、48.68gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、混合物を65℃で更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0137】
実施例15:
まず、0.10gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジラウリン酸ジブチル錫、および213.68gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、65℃まで加熱した。次いで、21.25gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が3.3%未満に低下するまで、混合物を65℃で更に維持した。続いて、20.91gの2−チオフェンメタノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、65℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0138】
実施例16:
まず、0.10gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、0.05gのジラウリン酸ジブチル錫、および223.31gの酢酸エチル中トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート27%濃度溶液(Desmodur(登録商標)RFE、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の製品)を、500ml容の丸底フラスコに導入し、65℃まで加熱した。次いで、34.16gの2−ヒドロキシエチルアクリレートを滴加し、イソシアネート含量が1.4%未満に低下するまで、混合物を65℃で更に維持した。続いて、5.40gの2,2’−チオジエタノールを滴加し、イソシアネート含量が0.1%未満に低下するまで、65℃を更に維持した。その後、冷却し、酢酸エチルを真空で完全に除去した。半結晶性固体として生成物を得た。
【0139】
比較例1:
Desmolux VP LS 2308(低粘性ヘキサンジイソシアネート三量体およびヒドロキシアルキルアクリレートに基づいたウレタンアクリレート、20%のヘキサンジオールジアクリレートに溶解、Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品)
【0140】
【表1】

【0141】
光学特性を試験するため、以下のように媒体を製造して光学的に測定した。
【0142】
ポリオール成分の調製:
まず、0.18gのオクタン酸亜鉛、374.8gのε−カプロラクトン、および374.81gの二官能性ポリテトラヒドロフランポリエーテルポリオール(500g/molOHの当量)を1リットル容のフラスコに導入し、120℃まで加熱し、固形分(不揮発性成分の割合)が99.5重量%以上になるまで、この温度で維持した。その後、冷却し、ワックス様固体として生成物を得た。
【0143】
媒体1:
前記のように調製されたポリオール成分7.913gを、0.500gの実施例1のウレタンアクリレート、0.015gのDarocur TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、Ciba Specialty Chemicals社(スイス国バーゼル在)からの市販品)、および0.050gのベンズヒドロールと50℃で混合し、透明溶液を得た。次いで、30℃まで冷却し、1.522gのDesmodur(登録商標)XP 2410(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.004gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、GE Silicones社(米国コネティカット州ウィルトン在)からの市販品)を添加し、再び短く混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、それを、広げたスペーサーによって250μmの距離に保った第2のガラス板で覆った。この試験片を、まず室温で30分間放置し、その後50℃で2時間硬化させた。
【0144】
媒体2:
前記のように調製されたポリオール成分7.982gを、0.500gの実施例5のウレタンアクリレート、0.015gのDarocur TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、Ciba Specialty Chemicals社(スイス国バーゼル在)からの市販品)、および0.050gのベンズヒドロールと50℃で混合し、透明溶液を得た。次いで、30℃まで冷却し、1.453gのDesmodur(登録商標)XP 2410(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.004gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、GE Silicones社(米国コネティカット州ウィルトン在)からの市販品)を添加し、再び短く混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、それを、広げたスペーサーによって250μmの距離に保った第2のガラス板で覆った。この試験片を、まず室温で30分間放置し、その後50℃で2時間硬化させた。
【0145】
媒体3:
前記のように調製されたポリオール成分7.982gを、0.500gの実施例14のウレタンアクリレート、0.015gのDarocur TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、Ciba Specialty Chemicals社(スイス国バーゼル在)からの市販品)、および0.050gのベンズヒドロールと50℃で混合し、透明溶液を得た。次いで、30℃まで冷却し、1.453gのDesmodur(登録商標)XP 2410(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.004gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、GE Silicones社(米国コネティカット州ウィルトン在)からの市販品)を添加し、再び短く混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、それを、広げたスペーサーによって250μmの距離に保った第2のガラス板で覆った。この試験片を、まず室温で30分間放置し、その後50℃で2時間硬化させた。
【0146】
比較媒体:
前記のように調製されたポリオール成分7.913gを、0.500gのDesmolux VP LS 2308(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品、ヘキサンジイソシアネートポリイソシアネート系、屈折率(532nm)=1.496)、0.015gのDarocur TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド、Ciba Specialty Chemicals社(スイス国バーゼル在)からの市販品)、および0.050gのベンズヒドロールと50℃で混合し、透明溶液を得た。次いで、30℃まで冷却し、1.522gのDesmodur(登録商標)XP 2410(Bayer MaterialScience AG(ドイツ国レーフエルクーゼン在)の実験用製品、ヘキサンジイソシアネート系ポリイソシアネート、少なくとも30%のイミノオキサジアジンジオン割合、NCO含量:23.5%)を添加し、再び混合した。最後に、0.004gのFomrez UL 28(ウレタン化触媒、GE Silicones社(米国コネティカット州ウィルトン在)からの市販品)を添加し、再び短く混合した。続いて、得られた液状物質をガラス板上に注ぎ、それを、広げたスペーサーによって250μmの距離に保った第2のガラス板で覆った。この試験片を、まず室温で30分間放置し、その後50℃で2時間硬化させた。
【0147】
次いで、前記のように製造した媒体を、それらのホログラフィック特性について以下のように試験した。
【0148】
図1は、媒体のダイナミックレンジ(いわゆるM#)を測定するホログラフィック試験装置を示す。
【0149】
GaN半導体レーザーのレーザー光線(放射波長405nm)の楕円ビーム断面を、歪像プリズム対(AP)を用いて円形にした。半導体レーザーは、十分に長いコヒーレンス長を生じるための外部共鳴装置を有する。コリメーターレンズ(L)と一緒に空間フィルター(R)は平行均一光線を生じ、その断面は虹彩絞り(I1)で確立された。偏光感受型ビームスプリッター(P1およびP2)は、レーザー光線を2つの均一偏光コヒーレント光線に分ける。λ/2プレート(W1およびW2)によって、2つの光線の出力を1mWに調節した。試料を取り除いた状態で、半導体検出器(D1およびD2)を用いて出力を測定した。虹彩絞り(I3およびI4)を4mmの直径に調節した。半角(θ)は21.72°であった。試料(媒体)の位置で、2つの重なった光線の干渉場は、試料へ入射する2つの光線の角2等分線と平行である明暗縞の回折格子を生じた。媒体における縞間隔は、約550nmであった(媒体の屈折率は約1.49と考えられた)。
【0150】
以下の方法で、61個のホログラムを、回転台(DT)の様々な回転角(W)で、媒体に書き込んだ。
シャッター2(S2)は常に開放しておいた。
Ωを−30°に設定した。シャッター1(S1)を時間t1の間、開放した。
Ωを−29°に設定した。シャッター1(S1)を時間t2の間、開放した。
Ωを+30°に設定した。シャッター1(S1)を時間t61の間、開放した。
その後、シャッター(S1およびS2)を閉じた状態で、媒体を5分間おいて、まだ重合されていない書込モノマーを拡散させた。
【0151】
ここで、書き込まれたホログラムを、以下の方法で読み取った。シャッター2(S2)は閉じたままであった。シャッター1(S1)を開放した。虹彩絞り(I2)を1mm未満の直径まで閉じた。これにより、回転角(Ω)の全てにおいて、光線は、先に書き込まれたホログラムに常に完全に存在することが確実になった。コンピューター制御の下、回転台は、0.02°の角度ステップ幅でΩ=−32°からΩ=32°までの角度範囲をカバーした。各々の角度Ωに達した時点で、検出器D1を用いて、ゼロ次透過された光線の出力を測定し、検出器D2を用いて、一次回折された光線の出力を測定した。各々の角度Wに達した時点で、回折効率を、下記式の商として得た。
【数1】

【0152】
Ωに対する回折効率をプロットすると、再構成されたホログラムが、この線図のピークとして再生された。i番目のホログラムの最大回折効率(即ちそのピーク値)をεとした。このようにして、ダイナミックレンジM#を下記式から見出した。
【数2】

【0153】
有効なM#にとっての以下の更なる条件が満足されるように、個々のホログラムの書き込み時間tを、逐次最適化によって選択しなければならない。εの全ては0.1未満でなければならず、ホログラム1、2〜jの書き込み時間tに対してプロットされた部分和M#=(ε0.5+(ε0.5・・・(ε0.5は、jが61に近づくにつれ、飽和値に近づかなければならない。そして、この飽和値は、前記式(1)に従った有効なM#であった。
【0154】
61個のホログラムを用いたところ、与えられた境界条件下で、19.28の最大M#が測定された。媒体のダイナミックレンジが大きくなるならば、ホログラムの数を増やすことができる。同時に、2つの逐次的に書き込まれるホログラムの間の角度増分を、1°から相応により小さい値に低下させなければならない。
【0155】
M#は、媒体厚さに直線的に比例する。前記実施例における媒体厚さは、媒体製造時に使用したスペーサーに起因して250μmであった。別の厚さdを有する媒体との同等性を確実にするため、下記式によりM#を200μmの媒体厚さまで減じた。
【数3】

【0156】
媒体が非常に薄い場合は、61個のホログラムを互いに独立して書き込んだり読み取ったりすることができないので、ホログラムの数は少なくなり得た。同時に、2つの逐次的に書き込まれるホログラムの間の角度増分を、1°から相応により大きい値に上昇させなければならなかった。
【0157】
M#/200μmに対して、以下の測定値を得た。
【表2】

【0158】
ダイナミックレンジとして見出された値から、比較媒体に使用され1.5未満の屈折率を有するウレタンアクリレートは、ホログラフィック媒体への使用にはとうてい適さないが、1.5超の屈折率を有する、媒体1〜3におけるウレタンアクリレートは、ホログラフィック媒体への使用に非常に適していることがわかる。
【符号の説明】
【0159】
AP=歪像プリズム対
D1=半導体検出器
D2=半導体検出器
DT=回転台
I1=虹彩絞り
I2=虹彩絞り
I3=虹彩絞り
I4=虹彩絞り
L=コリメーターレンズ
L1=GaN半導体レーザー
M1=ミラー1
M2=ミラー2
M3=ミラー3
M4=ミラー4
M5=ミラー5
M6=ミラー6
P1=偏光感受型ビームスプリッター
P2=偏光感受型ビームスプリッター
R=空間フィルター
S1=シャッター1
S2=シャッター2
W=回転台の回転角
W1=λ/2プレート
W2=λ/2プレート
Ω=回転角
θ=半角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
λ=532nmで1.5以上の屈折率を有するオレフィン性不飽和芳香族ウレタンから製造されたホログラフィック媒体。
【請求項2】
オレフィン性不飽和芳香族ウレタンがウレタンアクリレートおよび/またはウレタンメタクリレートであることを特徴とする、請求項1に記載のホログラフィック媒体。
【請求項3】
A)1種以上の芳香族ポリイソシアネートと
B)1種以上の、少なくとも1つの放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有するイソシアネート反応性化合物、
C)任意に1種以上の、放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有しないイソシアネート反応性化合物、
D)任意に1種以上のナノ粒子充填材および
E)任意に1種以上の安定剤
とを反応させる工程を含む、オレフィン性不飽和芳香族ウレタンの製造方法であって、オレフィン性不飽和芳香族ウレタンがλ=532nmで1.5以上の屈折率を有する方法。
【請求項4】
成分A)として、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−および/または2,6−トルイレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートおよびトリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェート、並びにウレタン、ウレア、カルボジイミド、アシルウレア、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、オキサジアジントリオン、ウレトジオンまたはイミノオキサジアジンジオン構造を有する、前記単量体イソシアネートの1種以上の二次生成物、および前記化合物の混合物からなる群から選択される1種以上の化合物を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
成分B)として、一分子当たり少なくとも1つのイソシアネート反応性基を含有する、アクリレート、メタクリレート、マレイネート、フマレート、マレイミド、アクリルアミド、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、アリルエーテル、およびジシクロペンタジエニル単位含有化合物からなる群からの1種以上の化合物を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
成分B)として、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ポリ(ε−カプロラクトン)モノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリチルトリアクリレート、およびアクリル酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物からなる群からの1種以上の化合物を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
成分C)として、9−(2−ヒドロキシエチル)−9H−カルバゾール、ヒドロキシメチルナフタレン、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、2−フェニルエタノール、(p−クロロ)フェニルエタノール、2−(p−クロロフェニル)エタノール、トリフェニルメタノールおよび/またはナフタレンチオメタノールから選択される1種以上の化合物を使用する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれかに従って得られるオレフィン性不飽和芳香族ウレタン。
【請求項9】
式:
【化1】

および
【化2】

[式中、Xは、酸素、アミノまたはイオウであり、
Rは、少なくとも30mol%の、任意にヘテロ原子を含有していてよいオレフィン性不飽和炭化水素基、および70mol%以下の、オレフィン性不飽和基を含有せず任意にヘテロ原子を含有していてよい炭化水素基を含んでなる。]
で示される少なくとも1つの構造単位を含んでなるウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項10】
任意にヘテロ原子を含有していてよいオレフィン性不飽和炭化水素基が、エチルアクリレート基、プロピルアクリレート基および/またはブチルアクリレート基であり、オレフィン性不飽和基を含有せず任意にヘテロ原子を含有していてよい炭化水素基が、9H−カルバゾール基、9−エチル−9H−カルバゾール基、ナフタレン基、メチルナフタレン基、N−エチルフタルイミド基、ベンゼン基、エチルベンゼン基、(p−クロロ)エチルベンゼン基および/またはトリフェニルメタン基である、請求項9に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項11】
トリス(p−イソシアナトフェニル)チオホスフェートおよび/またはトリフェニルメタン4,4’,4’’−トリイソシアネートと、少なくとも1つの放射線硬化性オレフィン性不飽和二重結合を含有するイソシアネート反応性化合物との反応によって調製された、請求項9に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項12】
a)請求項8に記載のオレフィン性不飽和ウレタンまたは請求項9に記載のウレタン(メタ)アクリレート、b)イソシアネート成分、c)イソシアネート反応性成分およびd)光開始剤から製造された、ホログラフィック媒体。

【図1】
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【公表番号】特表2010−524036(P2010−524036A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502436(P2010−502436)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/002464
【国際公開番号】WO2008/125199
【国際公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【出願人】(501182197)インフェイズ テクノロジーズ インコーポレイテッド (28)
【Fターム(参考)】