説明

屈曲する打撃工具

【課題】 ガスや水道の湾曲が可能な引き込み管などの、短距離での敷き設において、水路等の障害物があり、周囲に構造物があるなど開削が困難な場所でも、人力で簡単に最少限の開削工で配管スペースを確保し、引き込みが可能となる工具を提供する事である。
【解決手段】 打撃部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた打撃棒400と、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に誘導部を設けた誘導棒200の間に、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた屈曲棒300を、同一方向に屈曲できるよう配置嵌合し、連結ピン500で結合した屈曲する打撃工具100であり、屈曲始点まで仮棒を打撃し打ち込み下穴を確保した後に、到達地点へ向くように屈曲する打撃工具100を配置挿入し、さらに打撃し打ち込む事で、屈曲しながら進行し目的の到達地点へ達し配管スペースを確保でき、引き込みが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスや水道の湾曲が可能な引き込み管などの、短距離での敷設を最少限の開削で行う為に用いる工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスや水道の本管から各家庭に引き込まれる湾曲が可能な引き込み管の敷設において、水路や擁壁等の下越し推進は可能であるが、短距離での引き込み管敷き設に対し、高価で大がかりな設備による推進機はほとんど使用されない。
【0003】
一般的な方法は、真直ぐな仮棒を打撃し打ち込むことにより配管スペースを確保し、引き込み管の敷き設を行っていた。しかし、仮棒推進側と到達側の少なくとも2箇所の開削が必要である。また、開削スペースがない時や仮棒の打ち込みスペースがない時は、障害物の下まで開削が必要となり、敷き設不能となることもあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガスや水道の湾曲が可能な引き込み管などの、短距離での敷き設において、水路等の障害物があり、周囲に構造物があるなど開削が困難な場所でも、人力で簡単に最少限の開削工で配管スペースを確保し、引き込みが可能となる工具を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、屈曲部を設けた打撃工具であり、丸棒の中心軸線A上に、丸棒の3分の2程度の外径で摺動面となる半球状を設け、その基準点Gを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線B上に延長して延びる円柱を形成し、曲面にて丸棒に至り、さらに連結用のピン穴を設けた凸屈曲部と、丸棒の中心軸線A上の基準点Hを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線C上に、前記凸屈曲部が嵌合し、且つ基準点Hを中心に、逃げ角度Pより反対方向へ、屈曲角度Qにて偏位した中心軸線D上まで屈曲できる摺動面となる凹型半球状を設け、且つ楕円テーパー状の凹穴を形成し、さらに屈曲に対応し且つ各棒を連結し回り止めとなる円弧状のピン穴を設け、切り欠きを形成した凹屈曲部とを備えた屈曲する打撃工具である。
【0006】
又、打撃部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた打撃棒と、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に誘導部を設けた誘導棒の間に、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた屈曲棒を、同一方向に屈曲できるよう配置嵌合し、連結ピンで結合した屈曲する打撃工具である。
【0007】
さらに前記、誘導棒と屈曲棒において、丸棒が屈曲方向へ僅かに湾曲した形状とし、屈曲棒の凸屈曲部と凹屈曲部における中心軸線Aは、直線である屈曲する打撃工具である。
【0008】
本発明の屈曲する打撃工具は、屈曲始点まで仮棒を打撃し打ち込み下穴を確保した後に、到達地点へ向くように屈曲する打撃工具を配置挿入し、さらに打撃し打ち込む事で、屈曲しながら進行し目的の到達地点へ達し配管スペースを確保でき、引き込みが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の屈曲する打撃工具は、凸屈曲部また凹屈曲部が屈曲角度Qまで摺動可動し屈曲するものであり、必要に応じた屈曲角度や長さの屈曲棒を、必要な個数組み替える事ができる為、今までは敷き設不能であった狭い場所でも施工が可能になった。さらに、今まででは不可能であった急円弧状の下穴確保が可能となった。
【0010】
又、本発明の屈曲する打撃工具を打撃し打ち込む時において、逃げ角度P偏位した凸屈曲部と凹屈曲部を設ける事により、打撃し打ち込む時の衝撃で地中到達前の屈曲棒が、屈曲方向へ折れ曲がることを防止でき、はつり機による打ち込みも可能である。
【0011】
本発明の屈曲する打撃工具を使用する事により、転圧しにくい民地側の開削工が不要となり、陥没の恐れがなくなった。又、湧き水の心配が不要となった。
【0012】
本発明は、引き抜くに従い、屈曲した屈曲部分が打ち込み前の棒状となるように摺動可動する為、引き抜くときの土圧による負荷が軽減され、引き抜きやすくなり、本工具の損傷防止につながるものでもある。
【0013】
本発明工具は、動力源を必要とせず、人力で使用できる為、場所を選ばずどこへでも持ち運びでき、動力源の乏しい災害復旧現場でも使用可能である。
【0014】
本発明を使用する事により、開削工や材料さらに使用機材等が削減できる為、工期の短縮や費用の削減につながり、環境保護にもつながる工具である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明は、打撃打ち込みにより使用される為、打撃力を伝達できる硬くねばり強い材質を使用する。構成については図2に示すように、打撃部40を設けた丸棒13の先端に凸屈曲部20を設けた打撃棒400と、凹屈曲部30を設けた丸棒11の先端に誘導部10を設けた誘導棒200の間に、凹屈曲部30を設けた丸棒12の先端に凸屈曲部20を設けた屈曲棒300を、必要に応じた個数にて同一方向に屈曲できるよう配置嵌合し、連結ピン500で結合した屈曲する打撃工具100である。
【0016】
図1に示すように、凸屈曲部20は、丸棒12又は13の中心軸線A上に、丸棒の3分の2程度の外径で摺動面となる半球状1を設け、その基準点Gを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線B上に延長して延びる円柱2を形成し、曲面3にて丸棒12又は13に至り、さらに連結用のピン穴4を設けたものである。凹屈曲部30は、丸棒11又は12の中心軸線A上の基準点Hを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線C上に、前記凸屈曲部20が嵌合し、且つ基準点Hを中心に、逃げ角度Pより反対方向へ、屈曲角度Qにて偏位した中心軸線D上まで屈曲できる摺動面となる凹型半球状6を設け、且つ楕円テーパー状の凹穴7を形成し、さらに屈曲に対応し且つ各棒を連結し回り止めとなる円弧状のピン穴8を設け、切り欠き9を形成したものである。
【0017】
前記の凸屈曲部20と凹屈曲部30を配置嵌合し、連結ピン500で結合する構造とした事で、打撃力を伝達しながら摺動可動し、屈曲が可能になる。又、連結ピン500に直接打撃力が及ばない為、連結ピン500又はピン穴4、8の損傷防止になるものである。
【0018】
又、誘導棒200と屈曲棒300において、丸棒11と丸棒12が屈曲方向へ僅かに湾曲した形状とし、図3に示すように、湾曲した丸棒12aを形成した凸屈曲部20と凹屈曲部30における中心軸線Aは直線であり、凸屈曲部20と凹屈曲部30は前記記載のものである湾曲した屈曲棒300aである。湾曲した誘導棒についての図は省略する。
【0019】
屈曲棒300又は300aが屈曲した状況を図4図5に示すように、凸屈曲部20また凹屈曲部30が屈曲角度Qまで摺動可動し屈曲するものであり、必要に応じた屈曲角度や長さの屈曲棒を、必要な個数組み替える事ができる、屈曲する打撃工具100である。
【0020】
図5に示すように、本発明の屈曲する打撃工具100を使用する事により、水路31や構造物32のある狭い場所でも施工が可能であり、屈曲始点まで仮棒を打撃し打ち込み下穴を確保した後に、屈曲する打撃工具100の誘導棒200が到達地点へ向くように配置挿入し、さらに打撃し打ち込みを続ける事により、凸屈曲部20また凹屈曲部30が屈曲角度Qまで摺動可動し、円弧状に屈曲しながら進行し目的の到達地点まで達し、引き込み管を連結した後、引き抜きと同時に引き込み管の敷き設が可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の凸屈曲部と凹屈曲部を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す側面図である。
【図3】本発明の湾曲した屈曲棒を示す側面図である。
【図4】本発明の屈曲棒が屈曲した一実施形態を示す側面図である。
【図5】本発明の一実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0022】
A 中心軸線
B 中心軸線
C 中心軸線
D 中心軸線
G 基準点
H 基準点
P 逃げ角度
Q 屈曲角度
1 摺動面となる半球状
2 円柱
3 曲面
4 ピン穴
6 摺動面となる凹型半球状
7 凹穴
8 ピン穴
9 切り欠き
10 誘導部
11 丸棒
12 丸棒
12a 湾曲した丸棒
13 丸棒
20 凸屈曲部
30 凹屈曲部
31 水路
32 構造物
33 ガス又は水道本管
34 開削工
40 打撃部
100 屈曲する打撃工具
200 誘導棒
300 屈曲棒
300a 湾曲した屈曲棒
400 打撃棒
500 連結ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒の中心軸線A上に、丸棒の3分の2程度の外径で摺動面となる半球状を設け、その基準点Gを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線B上に延長して延びる円柱を形成し、曲面にて丸棒に至り、さらに連結用のピン穴を設けた凸屈曲部と、丸棒の中心軸線A上の基準点Hを中心に、逃げ角度Pにて偏位した中心軸線C上に、前記凸屈曲部が嵌合し、且つ基準点Hを中心に、逃げ角度Pより反対方向へ、屈曲角度Qにて偏位した中心軸線D上まで屈曲できる摺動面となる凹型半球状を設け、且つ楕円テーパー状の凹穴を形成し、さらに屈曲に対応し且つ各棒を連結し回り止めとなる円弧状のピン穴を設け、切り欠きを形成した凹屈曲部とを特徴とする屈曲する打撃工具。
【請求項2】
打撃部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた打撃棒と、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に誘導部を設けた誘導棒の間に、凹屈曲部を設けた丸棒の先端に凸屈曲部を設けた屈曲棒を、同一方向に屈曲できるよう配置嵌合し、連結ピンで結合したことを特徴とし、各屈曲部は請求項1記載の凸屈曲部又は凹屈曲部である屈曲する打撃工具。
【請求項3】
前記、誘導棒と屈曲棒において、丸棒が屈曲方向へ僅かに湾曲した形状とし、屈曲棒の凸屈曲部と凹屈曲部における中心軸線Aは、直線であることを特徴とした請求項1請求項2記載の屈曲する打撃工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−91879(P2009−91879A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−286707(P2007−286707)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(507364676)
【Fターム(参考)】