説明

屈曲パネル、ドレンカゴ構築用ユニット、ドレンカゴ構築方法およびドレンカゴ

【課題】側網の重複による無駄が生じず、それにより製造コスト・運搬コストの低減を図ることができ、取り扱い性・作業性をより高め、しかも高い強度の得られる、ドレンカゴを提供する。
【解決手段】ドレンカゴ10は、底網と側網、とを備えてなり、側面のうち一方向が側網の設けられていない開放端部であり、開放端部には、本ドレンカゴ10と同一形態である別の本ドレンカゴと連結するための連結構造9が設けられている構成である。なお開放端部に対向する面には、側網が設けられている。底網および側網は溶接金網製またはエキスパンドメタル製とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内部に石を詰めて各種土木作業において使用するドレンカゴに係り、特に強度に優れ、作業性にも優れる、新規なドレンカゴに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレンカゴは、雪解け時の斜面の崩落を防止したい場合等、法面もしくは後背地から発生する湧水による法面土砂の侵食を防止するために使用されているが、その機能・効果は、これが敷設される法面を面的な排水構造にすることである。
【0003】
図6は、従来のドレンカゴの構造および使用態様を示す側面視の説明図である。図示するように従来はたとえば、現場で、シート状の菱形金網を使い、これを折り曲げたり、起こしたりして単独箱状のドレンカゴ610を組み立て、その中に所定の石を投入し、投入後、菱形金網の上蓋61(蓋網)を被せ、メッキ線等で周囲を結束することで、ドレンカゴ610が形成される。
【0004】
なおドレンカゴについては従来、技術的な提案もなされている。たとえば特許文献1に開示されている技術は、ドレンカゴの部品点数を減らして製品コストを削減することを目的として、ドレンカゴの底網と側網の共通骨線に、側網に対して略直角を呈するカール部を設けるというものである。これにより、カール部の外側部分で人力により骨線を容易に曲げることができるため、コイル材を用いるまでもなく、側網を簡単に立ち上げて成形できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3133937号公報「ドレン篭」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献に開示されている技術も含め、従来のドレンカゴには問題があった。すなわち従来のドレンカゴは、四つの側面方向全てに側網が設けられた箱状の形態であって、これを所定個数用いて一列になるよう設置するのであるが、設置する面においては、二つのドレンカゴの側網が重複してしまい、無駄が生じている。これは、製造コスト・運搬コストにも影響する。集積にも場所を多く取り、好ましくない。
【0007】
また、取り扱い性にも影響があり、このことは現場での敷設作業時における作業性にも影響する。さらに、従来のドレンカゴは通常、菱形金網で製作されているが、これは決して十分な強度を備えているとはいえず、敷設作業においても、また法面保護機能の点からも、より高い強度のものとすることが求められている。以上述べた従来の状況・問題点は、上記文献開示技術によっても何ら着目されておらず、当然ながら解決できるものでもない。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、かかる従来技術の問題点を踏まえ、側網の重複による無駄が生じず、ないしは無駄を軽減でき、それにより製造コスト・運搬コストの低減を図ることができ、さほど場所を取らずに集積もしやすく、取り扱い性・作業性をより高め、しかも高い強度の得られる、ドレンカゴおよびこれに関する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明者は上記課題について検討した結果、ドレンカゴを形成するための略L字状や略コの字状の金網製のパネルを用いることによって課題解決が可能であることに想到し、本発明に至った。すなわち、上記課題を解決するための手段として本願で特許請求される発明、もしくは少なくとも開示される発明は、以下の通りである。
【0010】
(1) ドレンカゴを形成するための屈曲パネルであって、該屈曲パネルは長方形の金網に一または二の屈曲部が形成された形態であり、本屈曲パネルを他の金網製部材と組み合わせることによって、側面一方向または二方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを構成することができる、屈曲パネル。
(2) 前記屈曲パネルは、前記屈曲部が一箇所にのみ設けられた略L字状であることを特徴とする、(1)に記載の屈曲パネル。
(3) 前記他の金網製部材は、前記屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能な、長方形の平面パネルであることを特徴とする、(2)に記載の屈曲パネル。
(4) 前記屈曲パネルは、これを形成する一方の平面部の形状が略正方形の正方形平面部であることを特徴とする、(2)に記載の屈曲パネル。
(5) 前記他の金網製部材は、別の本屈曲パネルであり、両屈曲パネルの前記正方形平面部を対向させ、かつそれぞれの他方の平面部同士は隣接するように両屈曲パネルを組み合わせることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能であることを特徴とする、(4)に記載の屈曲パネル。
【0011】
(6) 前記屈曲パネルは、前記屈曲部が二箇所設けられた略コの字状であることを特徴とする、(1)に記載の屈曲パネル。
(7) 前記他の金網製部材は、前記屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能な、長方形の平面パネルであることを特徴とする、(6)に記載の屈曲パネル。
(8) 前記屈曲パネルは溶接金網製、エキスパンドメタル製またはひし形金網製のいずれかであることを特徴とする、(1)ないし(7)のいずれかに記載の屈曲パネル。
【0012】
(9)(2)または(3)に記載の略L字状の屈曲パネルと、該屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に取り付けられた他の金網製部材とからなるドレンカゴ構築用ユニットであって、該他の金網部材は長方形の平面パネルであることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
(10) 二の(4)または(5)に記載の正方形平面部を備えた屈曲パネルが用いられてなるドレンカゴ構築用ユニットであって、両屈曲パネルの該正方形平面部が対向し、かつそれぞれの他方の平面部同士が隣接した状態で両屈曲パネルが組み合わされてなることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
(11) (6)または(7)に記載の略コの字状の屈曲パネルと、該屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に取り付けられた他の金網製部材とからなるドレンカゴ構築用ユニットであって、該他の金網部材は長方形の平面パネルであることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
【0013】
(12) (2)または(3)に記載の略L字状の屈曲パネルを用い、該屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に他の金網製部材を取り付けて二の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの少なくとも一の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
(13) 二の(4)または(5)に記載の正方形平面部を備えた屈曲パネルを用い、両屈曲パネルをその該正方形平面部が対向し、かつそれぞれの他方の平面部同士が隣接した状態で組み合わせて一の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの開放端部方向または該正方形平面部方向の少なくともいずれか一方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
(14) (6)または(7)に記載の略コの字状の屈曲パネルを用い、該屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に他の金網製部材を取り付けて一の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの開放端部方向またはこれに交わる方向の少なくともいずれか一方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
(15) (1)ないし(8)のいずれかに記載の屈曲パネルを用いて構築されている、ドレンカゴ。
【発明の効果】
【0014】
本発明の屈曲パネル、ドレンカゴ構築用ユニット、ドレンカゴ構築方法およびドレンカゴは上述のように構成されるため、これによれば、側網の重複による無駄が生じず、ないしは軽減でき、それにより製造コスト・運搬コストの低減を図ることができる。また、さほど場所を取らないため、集積もしやすい。また、取り扱い性や作業性をより高めることができる。また本発明によれば、高い強度を得ることができる。
【0015】
また、たとえば、複数の屈曲パネルや金網製部材をまとめておきたい際には、従来よりもまとめられる数が多くなり、便利になるなど、取り扱い性が改善される。したがって、現場でのドレンカゴ敷設作業時における作業性も高まる。さらに、溶接金網製の屈曲パネルや金網製部材とすることによって、従来よりも強度を高めることができるため、敷設作業もしやすく、また法面保護機能も高めることができる。
【0016】
また本発明によれば、屋外の、しかも風・雨・雪といった自然条件の影響を直接受ける状況での作業となるドレンカゴの敷設作業の苦労、過酷さを、根本的に解消することができる。またこのことは、上述のとおり作業効率を大いに向上させ、作業性を高めることに直接つながり、工期を短縮させることができ、その後の作業や工程を加速することができ、ひいては工事目的の構造物等における生産・製造活動の開始を、早めることができる。
【0017】
また本発明による作業労力軽減効果の改善は、かかる作業に従事することの多い老年者・高齢者にとっては特に喜ばれることであり、人に優しい、人間性重視の生産活動の一つとしても、大いに意義を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明屈曲パネルの構成の一つを示す斜視の説明図である。
【図1−2】図1に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明屈曲パネルの構成の一つについて、別の実施方法を示す斜視の説明図である。
【図2−2】図2に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成を示す斜視図である。
【図3】本発明屈曲パネルの別の構成を示す斜視の説明図である。
【図4】本発明屈曲パネルのまた別の構成について示す斜視の説明図である。
【図4−2】図4に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成を示す斜視図である。
【図4−3】図4−2の平面図である。
【図4−4】図4に示した屈曲パネルについて、別の実施方法を示す斜視の説明図である。
【図5】本発明ドレンカゴ等における結合方法例を示す説明図である。
【図6】従来のドレンカゴの構造および使用態様を示す側面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面により本発明を詳細に説明する。なお、各図面においては、後記各屈曲パネルや他の金網部材はそれぞれ一定の厚さを備えたものとして示すが、これらはいずれも金網製であるところのものを、いわば模式的に示したものである。
図1は、本発明屈曲パネルの構成の一つを示す斜視の説明図である。また、
図1−2は、図1に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成を示す斜視図である。これらに図示するように本屈曲パネル10は、ドレンカゴを形成するための金網製のパネルであって、長方形の金網1に一つの屈曲部2Cが形成されて略L字状の形態であり、これにより金網1には第一網部3と第二網部4が形成されていることを、主たる構成とする。なお第二網部4の形状は長方形であるが、各図では長方形の一例である略正方形の場合を示している。また図においては、第一網部3はドレンカゴの底網、第二網部4は側網の一つを形成することになる。
【0020】
本屈曲パネル10は、これを他の金網製部材9と組み合わせることによって、側面二方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニット20を構成することができる。他の金網製部材9としては、屈曲パネル10の略L字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることによって、ドレンカゴ構築用ユニット20を形成可能な、長方形の平面パネルが用いられる。
【0021】
かかる構成により、本発明屈曲パネル10の略L字状形状が現れる開放端部に他の金網製部材9が取り付けられて、ドレンカゴ構築用ユニット20が形成される。図示するようにドレンカゴ構築用ユニット20は、側面二方向に開放端部が形成された形態となる。
【0022】
屈曲パネル20や他の金網製部材9としては特に、溶接金網またはエキスパンドメタルを用いるものとすることができる。これらの材料によれば、従来の菱形金網製のものを用いる場合と比べて最終的に構築されるドレンカゴ全体が堅固になり、耐久性にも優れ、敷設作業時においても作業性がよく、堅牢なドレンカゴ連結体として敷設することができる。なお、ドレンカゴの蓋網にも溶接金網やエキスパンドメタルを用いることができる。またこれは、以下説明する全ての屈曲パネル、金網製部材およびドレンカゴについても同様である。
【0023】
図1−2に示すように、ドレンカゴ構築用ユニット20を複数用い、ドレンカゴ構築用ユニット20の少なくとも一の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニット20を連結する連結工程を一回以上行うことによって、ドレンカゴやドレンカゴ連結体50を構築していくことができる。このとき、適宜に他の部材を側網として補ってもよい。
【0024】
たとえば、一のドレンカゴ構築用ユニット20の一方の開放端部方向には他のドレンカゴ構築用ユニット20を連結し、他方の開放端部方向には長方形の金網を連結すれば、四枚全ての側網が揃ったドレンカゴが形成される。後はこれに、蓋網を被せ連結すれば一つのドレンカゴは完成する。
【0025】
図示するように、ドレンカゴ構築用ユニット20を連結して伸長していく方向は、両方向でもよいし、またいずれか一方のみでもよい。連結する個数も任意である。いずれにしても、最終的には全てのドレンカゴの上には蓋網が被せられ連結されて、ドレンカゴおよびドレンカゴ連結体50は完成する。
【0026】
本発明によれば、隣接する二つのドレンカゴの間で側網部が重複することがなく、従来のような無駄が生じない。これは、隣接する二つのドレンカゴにおいて側網を共用する構造となるからである。したがって、製造コスト・運搬コストを低減でき、集積もしやすく、取り扱い性や作業性がよい。
【0027】
図2は、本発明屈曲パネルの構成の一つについて、別の実施方法を示す斜視の説明図である。また、
図2−2は、図2に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成を示す斜視図である。これらに図示するように本屈曲パネル210は、図1等に示した実施方法とは異なり屈曲パネル210の第一網部23および第二網部24がいずれも側網になるように立てて用い、他の金網製部材29が底網になるようにして両者を組み合わせ、連結して、ドレンカゴ構築用ユニット220とすることができる。なお第二網部24の形状は長方形であるが、各図では長方形の一例である正方形の場合を示している。
【0028】
図2−2に示すように、ドレンカゴ構築用ユニット220を複数用い、ドレンカゴ構築用ユニット220の少なくとも一の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニット220を連結する連結工程を一回以上行うことによって、ドレンカゴやドレンカゴ連結体250を構築していくことができる。このとき、適宜に他の部材を側網として補ってもよい。
【0029】
たとえば、一のドレンカゴ構築用ユニット220の一方の開放端部方向には他のドレンカゴ構築用ユニット220を連結し、他方の開放端部方向には長方形の金網を連結すれば、四枚全ての側網が揃ったドレンカゴが形成される。後はこれに、蓋網を被せ連結すれば一つのドレンカゴは完成する。
【0030】
図示するように、ドレンカゴ構築用ユニット220を連結して伸長していく方向は、両方向でもよいし、またいずれか一方のみでもよい。連結する個数も任意である。いずれにしても、最終的には全てのドレンカゴの上には蓋網が被せられ連結されて、ドレンカゴおよびドレンカゴ連結体250は完成する。
【0031】
本発明によれば、隣接する二つのドレンカゴの間で側網部が重複することがなく、従来のような無駄が生じない。これは、隣接する二つのドレンカゴにおいて側網を共用する構造となるからである。したがって、製造コスト・運搬コストを低減でき、集積もしやすく、取り扱い性や作業性がよい。
【0032】
図3は、本発明屈曲パネルの別の構成を示す斜視の説明図である。図示するように本屈曲パネル310a(または310b)は、これを形成する第一網部33a(33b)と第二網部34a(34b)のうちの第一網部33a(33b)の形状が、略正方形の正方形平面部であることを、特徴的な構成とする。
【0033】
本屈曲パネル310aに、他の金網製部材として別の本屈曲パネル310bを組み合わせ、連結することで、ドレンカゴ構築用ユニット320を形成することができる。すなわち、両屈曲パネル310a、310bの正方形平面部(第一網部33a、33b)を対向させ、かつそれぞれの他方の平面部(第二網部34a、34b)同士は隣接するように両屈曲パネル310aおよび310bを組み合わせることによって、ドレンカゴ構築用ユニット320が形成される。
【0034】
なお、全く同一の屈曲パネル310aを二つ用いて本図に示す実施方法にてドレンカゴ構築用ユニット320を形成しようとすると、厳密には寸分違わぬ組み合わせにはならないが、実際のドレンカゴ設置作業においては、特に支障なく、実用性十分なドレンカゴ構築用ユニット320を形成することができる。一方また、本図の実施方法によるドレンカゴ構築用ユニット形成を厳密に寸法の合ったものにするために、屈曲パネル310aと310bを異なるサイズのものとして構成することとしてもよい。
【0035】
ドレンカゴ構築用ユニット320を複数用い、ドレンカゴ構築用ユニット220の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニット320を連結する連結工程を一回以上行うことによって、ドレンカゴやドレンカゴ連結体を構築していくことができる。なおまた、側網が一部重複することにはなるが、正方形平面部(第一網部33a、33b)方向へ連結させつつ、開放端部には別途他の部材(金網)を補って側網として、さらに最終的には蓋網による被覆も行って、ドレンカゴの形成やドレンカゴ連結体を構築することもできる。
【0036】
本例の屈曲パネル310a等によれば、図1、2等で先に示した例の屈曲パネル10、210の場合と違って、ドレンカゴ構築用ユニット320を形成する際に別途他の金網製部材を用いる必要がない。したがって、厳密に寸法を合わせる必要がない限り、一種類の部材(屈曲パネル310a等)のみを用意するだけで、ドレンカゴ構築用ユニット320を形成することができ、部品点数を軽減できる。
【0037】
図4は、本発明屈曲パネルのまた別の構成について示す斜視の説明図である。また、
図4−2は、図4に示す屈曲パネルを用いて構築されるドレンカゴの基本構成およびその連結体の基本構成を示す斜視図、そして、
図4−3は、図4−2のドレンカゴおよびドレンカゴ連結体の基本構成の平面図である。これらに図示するように本屈曲パネル410は、ドレンカゴを形成するための金網製のパネルであって、長方形の金網41に二つの屈曲部42Cおよび45Cが形成された略コの字状の形態であり、これにより金網41には第一網部43、第二網部44および第三網部46が形成されていることを、主たる構成とする。
【0038】
なお第二網部44および第三網部46の形状はいずれも長方形であるが、各図では長方形の一例である略正方形の場合を示している。また図においては、第一網部43はドレンカゴの底網、第二網部44および第三網部46は対向する側網を形成することになる。また、屈曲パネル420や他の金網製部材49としては特に、溶接金網またはエキスパンドメタルを好適に使用できることについては、上述のとおりである。
【0039】
本屈曲パネル410は、これを他の金網製部材49と組み合わせることによって、側面一方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニット420を構成することができる。他の金網製部材49としては、屈曲パネル410の略コの字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることによって、ドレンカゴ構築用ユニッ420トを形成可能な、長方形の平面パネルが用いられる。
【0040】
かかる構成により、本発明屈曲パネル410の略コの字状形状が現れる開放端部に他の金網製部材49が取り付けられて、ドレンカゴ構築用ユニット420が形成される。図示するようにドレンカゴ構築用ユニット420は、側面一方向に開放端部が形成された形態となる。
【0041】
図4−2、図4−3に示すように、ドレンカゴ構築用ユニット420を複数用い、ドレンカゴ構築用ユニット420の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニット420を連結する連結工程を一回以上行うことによって、ドレンカゴやドレンカゴ連結体450を構築していくことができる。本屈曲パネル410を用いる場合は既に述べたL字状形状の屈曲パネル10等と比べて、他の部材を側網として補うことはさほど要請されず、ドレンカゴ構築用ユニット420を連続的に連結することで、四枚全ての側網が揃ったドレンカゴが形成されていく。後はこれに、蓋網を被せ連結すればドレンカゴとしての形態は完成する。
【0042】
図示するように、ドレンカゴ構築用ユニット420を連結して伸長していく方向は、両方向でもよいし、またいずれか一方のみでもよい。連結する個数も任意である。いずれにしても、最終的には全てのドレンカゴの上には蓋網が被せられ連結されて、ドレンカゴおよびドレンカゴ連結体450は完成する。
【0043】
本発明によれば、隣接する二つのドレンカゴの間で側網部が一部重複するが、それでも従来のドレンカゴと比較すれば重複は少なくとどめることができる。したがって、製造コスト・運搬コストを低減でき、集積もしやすく、取り扱い性や作業性がよい。
【0044】
図4−4は、図4に示した屈曲パネルについて、別の実施方法を示す斜視の説明図である。図示するように本屈曲パネル510は、図4に示した実施方法とは異なり屈曲パネル410の第一網部53、第二網部54および第三網部56がいずれも側網になるように立てて用い、他の金網製部材59が底網になるようにして両者を組み合わせ、連結して、ドレンカゴ構築用ユニット520とすることができる。なお第二網部54および第三網部56の形状はいずれも長方形であるが、上述の他の例と同様、図では長方形の一例である正方形の場合を示している。また、本屈曲パネル510を用いたドレンカゴ構築用ユニット520によって、図4−2等に示したようなドレンカゴを形成し、およびドレンカゴ連結体を構築することができる。
【0045】
図5は、本発明ドレンカゴ等における結合方法例を示す説明図である。結合方法はここに図示する方法に限定されないが、このように側網の端部をL字状、あるいはU字状に曲げて底網に差し込むようにすることで、容易に両者を結合させることができる。なお、側網−側網間、側網−底網間、側網−蓋網間の結合は、コイル・クリップ・結束線等、適宜の方法を用いて行うものとすることができる。
【0046】
なおまた、蓋網の結合については、ドレンカゴ連結体の上面全部を被覆できる蓋網を被せ取り付ける方法、単体のドレンカゴごとに蓋網を取り付ける方法、、単体のドレンカゴ二個以上に亘ってその上面を被覆できる蓋網を取り付ける方法、いずれでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の屈曲パネル、ドレンカゴ構築用ユニット、ドレンカゴ構築方法およびドレンカゴによれば、側網の重複による無駄が生じず、ないしは軽減でき、それにより製造コスト・運搬コストの低減を図ることができ、集積もしやすく、取り扱い性や作業性をより高められ、さらに高い強度を得ることができる。また自然条件の影響を直接受ける状況での作業となるドレンカゴの敷設作業の苦労、過酷さを、根本的に解消し、作業性を高め、工期を短縮することができる。したがって、関連する全ての産業分野において産業上利用性が高い発明である。
【符号の説明】
【0048】
1、21、31a、31b、41、51…長方形の金網
2C、22C、32Ca、32Cb、42C、45C、52C、55C…屈曲部
3、23、33a、33b、43、53…第一網部
4、24、34a、34b、44、54…第二網部
46、56…第三網部
9、29、49、59…他の金網製部材
10、210、310a、310b、410、510…屈曲パネル
20、220、320、420、520…ドレンカゴ構築用ユニット
50、250、450…ドレンカゴ連結体




















【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレンカゴを形成するための屈曲パネルであって、該屈曲パネルは長方形の金網に一または二の屈曲部が形成された形態であり、本屈曲パネルを他の金網製部材と組み合わせることによって、側面一方向または二方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを構成することができる、屈曲パネル。
【請求項2】
前記屈曲パネルは、前記屈曲部が一箇所にのみ設けられた略L字状であることを特徴とする、請求項1に記載の屈曲パネル。
【請求項3】
前記他の金網製部材は、前記屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能な、長方形の平面パネルであることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲パネル。
【請求項4】
前記屈曲パネルは、これを形成する一方の平面部の形状が略正方形の正方形平面部であることを特徴とする、請求項2に記載の屈曲パネル。
【請求項5】
前記他の金網製部材は、別の本屈曲パネルであり、両屈曲パネルの前記正方形平面部を対向させ、かつそれぞれの他方の平面部同士は隣接するように両屈曲パネルを組み合わせることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能であることを特徴とする、請求項4に記載の屈曲パネル。
【請求項6】
前記屈曲パネルは、前記屈曲部が二箇所設けられた略コの字状であることを特徴とする、請求項1に記載の屈曲パネル。
【請求項7】
前記他の金網製部材は、前記屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に取り付けられることにより前記ドレンカゴ構築用ユニットを形成可能な、長方形の平面パネルであることを特徴とする、請求項6に記載の屈曲パネル。
【請求項8】
前記屈曲パネルは溶接金網製、エキスパンドメタル製またはひし形金網製のいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の屈曲パネル。
【請求項9】
請求項2または3に記載の略L字状の屈曲パネルと、該屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に取り付けられた他の金網製部材とからなるドレンカゴ構築用ユニットであって、該他の金網部材は長方形の平面パネルであることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
【請求項10】
二の請求項4または5に記載の正方形平面部を備えた屈曲パネルが用いられてなるドレンカゴ構築用ユニットであって、両屈曲パネルの該正方形平面部が対向し、かつそれぞれの他方の平面部同士が隣接した状態で両屈曲パネルが組み合わされてなることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
【請求項11】
請求項6または7に記載の略コの字状の屈曲パネルと、該屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に取り付けられた他の金網製部材とからなるドレンカゴ構築用ユニットであって、該他の金網部材は長方形の平面パネルであることを特徴とする、ドレンカゴ構築用ユニット。
【請求項12】
請求項2または3に記載の略L字状の屈曲パネルを用い、該屈曲パネルの略L字状の形状が現れる開放端部に他の金網製部材を取り付けて二の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの少なくとも一の開放端部方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
【請求項13】
二の請求項4または5に記載の正方形平面部を備えた屈曲パネルを用い、両屈曲パネルをその該正方形平面部が対向し、かつそれぞれの他方の平面部同士が隣接した状態で組み合わせて一の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの開放端部方向または該正方形平面部方向の少なくともいずれか一方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
【請求項14】
請求項6または7に記載の略コの字状の屈曲パネルを用い、該屈曲パネルの略コの字状の形状が現れる開放端部に他の金網製部材を取り付けて一の側面方向に開放端部が形成されたドレンカゴ構築用ユニットを組み立て、該ドレンカゴ構築用ユニットの開放端部方向またはこれに交わる方向の少なくともいずれか一方向に別のドレンカゴ構築用ユニットを連結する連結工程を一回以上含む、ドレンカゴ構築方法。
【請求項15】
請求項1ないし8のいずれかに記載の屈曲パネルを用いて構築されている、ドレンカゴ。





【図1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図4−4】
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【図6】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−14945(P2013−14945A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148722(P2011−148722)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(501297996)青森昭和産業 株式会社 (4)
【Fターム(参考)】