説明

屋上点検口

【課題】屋上に配置され、かつ、屋上において所定の場所に配置されやすいことに起因する、落雷の影響による損傷を防止することができる屋上点検口の提供を目的とする。すなわち、屋上点検口を金属で製造すると、避雷針や棟上げ導体などが落雷を受ける際などにその電気エネルギーが伝わってしまう可能性がある。また、屋上点検口は、集合住宅などの複数の区画に分かれて構成される建物においては、通常、区画間を繋ぐ部分に配置されるが、この部分は建物外周部に位置するのが一般的で、したがってパラペットに沿って屋上の外周部に配置される棟上げ導体などに近接してしまう。
【解決手段】屋上開口1に固定される金属枠体2にヒンジ部3を介して金属蓋体4を回動自在に連結して形成され、かつ、屋上5に敷設されるアース線6を着脱自在に接続するアース線接続部7を備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋上点検口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
屋上の出入口を構成するものとして、従来、例えば特許文献1に記載された屋上出入口用ハッチが知られている。この従来例において、屋上出入口用ハッチは、ハッチベースに蓋を枢着して形成される。上記ハッチベースは、屋上の床に形成された開口に対応する方形状をなし、下方に開放されるとともに、上部には人出入口用開口部が形成される。この人出入口用開口部は、上述した蓋により開閉可能にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-303519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、屋上は日光や雨などを強く受ける。このため、屋上点検口は、その耐久性等を考慮すれば、金属により製造することが望ましい。しかしながら、このように金属で製造することにより、以下の問題が生じてしまう。
【0005】
すなわち、屋上は、高所であるために落雷を受けやすいことから、避雷針や棟上げ導体などが設置されることがある。この場合において、上述したように金属からなる屋上点検口を配置していると、避雷針等が落雷を受ける際などに、その電気エネルギーの一部が屋上点検口に伝わってしまう可能性があり、これによって屋上点検口が損傷してしまうおそれがある。
【0006】
また、以上の損傷のおそれは、屋上点検口が屋上において所定の場所に配置されやすいことにより高められる。すなわち、屋上点検口は、例えば集合住宅などの複数の区画に分かれて構成される建物においては、その使い勝手等を考慮して、通常、区画間を繋ぐ部分、上述した集合住宅においては廊下等の共有スペースに配置される。上述したように建物内に複数の区画を設ける場合には、複数の区画を直線状に並べて配置し、各区画の端縁に沿って配置した廊下等によって区画間を繋ぐ構造が一般的であり、これによれば、上述の区画間を繋ぐ部分、すなわちこの部分に配置される屋上点検口は、建物外周部に位置しやすい。一方、上述した棟上げ導体などは、パラペットに沿って屋上の外周部に配置されることが一般的であり、したがって上述したように建物外周部に位置する屋上点検口に近接してしまうために、落雷を受ける際などに電気エネルギーを屋上点検口に伝えやすくなってしまう。
【0007】
本発明は、以上に問題を解消すべくなされたもので、屋上に配置され、かつ、屋上において所定の場所に配置されやすいことに起因する、落雷の影響による損傷を防止することができる屋上点検口の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、上述した目的は、
屋上開口1に固定される金属枠体2にヒンジ部3を介して金属蓋体4を回動自在に連結して形成され、かつ、屋上5に敷設されるアース線6を着脱自在に接続するアース線接続部7を備える屋上点検口を提供することにより達成される。
【0009】
本発明によれば、屋上点検口はアース線接続部7を備え、アース線6を接続することにより電気エネルギーを外部に逃がすことができる。したがって屋上点検口の屋上5への設置時にアース線6を屋上5に敷設し、アース線接続部7に接続すれば、落雷時に避雷針等を介して電気エネルギーが屋上点検口に伝えられても損傷してしまうことはない。
【0010】
上記アース線接続部7はアース線6を着脱自在に形成される。このため屋上点検口は、アース線接続部7に一端部を接続したアース線6を含めるなどして構成することも可能であるが、アース線6を含まずに、すなわちアース線6を接続していないアース線接続部7のみを備えて、これにより配送作業効率を高めて構成することができる。この場合、屋上点検口の屋上5への設置に際してアース線6を別途用意しておき、設置作業の一環としてその一端部をアース線接続部7に、他端部を適宜の接地極に接続すれば足りる。この作業も、上述したように屋上点検口がアース線接続部7を備えることにより、容易に進めることができる。
【0011】
また、屋上点検口は、金属枠体2にヒンジ部3を介して金属蓋体4を回動自在に連結して形成され、このように金属を用いることにより耐久性等が高められる。具体的には、金属枠体2は屋上開口1に固定、例えば屋上開口1を縁取るように固定され、その内方に形成される点検用の開口を金属蓋体4で開閉自在にされる。金属蓋体4は金属枠体2の点検用の開口と同じ程度の大きさにして金属枠体2内に収容可能にしても、あるいは、後述する実施の形態に示すように、金属枠体2よりも一回り大きく形成して金属枠体2の上面側に点検用の開口を含めて覆い被さるようにすることも可能である。このように金属蓋体4で点検用の開口を覆うようにすれば、雨の点検用の開口内への進入を確実に防止することができる。
【0012】
上述したアース線接続部7は、このような金属枠体2と金属蓋体4の構造に応じて、これらのいずれか一方に設ければ足りる。この場合において、屋外側からアース線6接続操作可能に形成すれば、設置時にアース線6を接続する際の接続作業性を高めることができる。また、金属蓋体4に設ける場合には、ヒンジ部3を金属蓋体4の一端縁部に形成し、この一端縁部側、すなわちヒンジ部3側に配置すれば、開閉時にアース線6が大きく引っ張られてしまうことを防止できる。一方、アース線接続部7を金属枠体2に形成すれば、可動部である金属蓋体4に形成した場合に比して、その不動性を活用して接続状態を良好に維持することも簡単になる。
【0013】
以上のアース線接続部7は、例えば屋外に敷設されるアースボンド線(アース線6)に一般的に採用されるO型の端子を接続しやすいように、例えば金属枠体2に立てたボルトにナットを組み付けて構成することもできるし、使用するアース線6の端子の種類に応じて例えばコネクタ等の種々の態様で構成することが可能である。
【0014】
また、上述したように金属蓋体4を金属枠体2に覆い被さるように構成する場合において、金属枠体2の外周側に垂下する垂下壁9を金属蓋体4に設ければ、屋上5での雨の跳ね返りを含め、風雨の点検用の開口内への進入を効果的に防止することができる。この場合において、上述したように不動部である金属枠体2にアース線接続部7を形成するためには、例えば金属枠体2に金属蓋体4の垂下壁9の下端よりも下方まで垂下されて外部に露出する垂下部を設け、この垂下部の先端部をアース線接続部7の配置スペースとして利用したり、あるいは、上記垂下壁9にアース線接続部7を屋外側に露出させる切欠部10を設けたりすれば足り、このようにすることで接続作業性を高めることができる。また、金属枠体2においてヒンジ部側3にアース線接続部7を形成すれば、上述した切欠部10によってアース線6の非干渉領域を確保する、すなわち金属蓋体4の回転時にアース線6を逃げるようにすることが可能で、アース線6の金属枠体2への接続状態を良好に維持することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、屋上に配置され、かつ、屋上において所定の場所に配置されやすいことに起因する、落雷の影響による損傷を防止することができる屋上点検口を提供することができ、建物環境を良好に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る屋上点検口の設置状態を示す斜視図で、(a)は閉塞状態を示す図、(b)は開放状態を示す図である。
【図2】図1(a)の2A-2A線断面図である。
【図3】アース線接続部を示す図で、(a)は外観の斜視図、(b)は分解した状態を示す縦断面図である。
【図4】他の実施の形態を示す図で、図2に対応する図である。
【図5】アース線接続部を示す図で、(a)は外観の斜視図、(b)は金属蓋体の一部を破断した分解斜視図である。
【図6】さらに他の実施の形態を示す図で、屋上点検口の開放状態におけるアース線接続部を示す斜視図である。
【図7】さらに他の実施の形態を示す図で、図2に対応する図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1ないし図3に本発明の実施の形態を示す。この実施の形態において屋上点検口Aが設置される建物20は、例えば高さが20mを超える中層以上の建築物であり、図1に示すように、その屋上5の周囲にはパラペット20aが設けられる。パラペット20aの上面には棟上げ導体21が設置され、この棟上げ導体21は、受雷部として、さらには同様に屋上5に設置される図外の避雷針の避雷導線としても機能する。この実施の形態において、上記棟上げ導体21はパラペット笠木からなり、図外のアース線が接続されてアース処理される。
【0018】
上記パラペット笠木21は、断面L字状のステンレス材からなり、谷部をパラペット20aの内方側の端縁部に被せるようにして設置される。なお、以上の棟上げ導体21に代えて、金属からなる手すりやフェンスなどを受雷部等として構成することも可能であり、また、上記パラペット笠木21は箱状などの密閉型のものでも足りる。上述した屋上5には、図2に示すように周囲に立ち上がり部20bを設けて開口(屋上開口1)が開設され、この開口1に屋上点検口Aが設置される。
【0019】
上記屋上点検口Aは、少なくともその一部が上述の受雷部等、すなわち棟上げ導体21から1.5m以内に設置される。この屋上点検口Aは、図1ないし図3に示すように、金属枠体2に金属蓋体4を垂直回転自在に連結して形成される。
【0020】
上記金属枠体2は、金属材料からなる枠材22、22、・・を矩形に枠組みして形成される。この実施の形態において上記枠材22にはステンレスからなる山形鋼が用いられ、溶接等により枠組みされてその谷部を開口1の端縁部に被せるようにして開口1に設置される。開口1への固定は、山形鋼の垂直片2aの開口1内面側にボルト23で固定されるアンカー固定金具24を垂直片2aよりも下方に延設させ、その下端部を、開口1内壁面に打ち込まれるアンカーボルト25で止めることによりなされる。固定状態において山形鋼の水平片2bは立ち上がり部20bの上面に載置され、金属枠体2は、開口1内方に開口1よりも一回り小さい点検開口26を形成する。
【0021】
また、上記金属蓋体4は、上述した金属枠体2よりも一回り大きいサイズの矩形の蓋部8の周縁から垂下壁9を垂下して形成される。上記蓋部8の大きさは、具体的には上述した立ち上がり部20bの平面視よりもやや大きいサイズにされる。この金属蓋体4はステンレスの板材を折り曲げ、適宜溶接して製せられ、垂下壁9の下端では板材に折り返し9aが設けられ、垂下壁9の存在と相まって全体の剛性が高められるとともに、板材端縁による怪我が防止される。また、上記垂下壁9は、後述する屋上5での雨の跳ね返りを有効に防止できる垂直方向長さに形成される。
【0022】
以上の金属枠体2と金属蓋体4は、ヒンジ部3によりそれぞれの一端縁部で垂直回転自在に連結される。ヒンジ部3は、図3(b)に示すように、軸部3a回りに回転自在な連結片3bの一対を有し、その一方が金属蓋体4の垂下壁9の内壁面に対してボルト27、ナット28により固定される。なお、垂下壁9にはこのボルト27を貫通させるために図示省略したボルト穴が予め形成されており、該ボルト穴には防錆処理が施される。また、図3において29は、ヒンジ部3との連結箇所において金属蓋体4の垂直壁を補強するための補強材であり、例えばステンレスの板材により形成される。これに対し、金属枠体2への固定は、金属枠体2に形成されるヒンジ固定金具30を介してなされる。
【0023】
ヒンジ固定金具30は、ステンレス板材を断面L字形状に折曲して形成され、水平板部30aと垂直板部30bとを備える。このヒンジ固定金具30は、水平板部30aを上述した立ち上がり部20bの上面に、垂直板部30bを立ち上がり部20bの外周面に沿わせるようにして立ち上がり部20bの外側の端縁部に被せられる。水平板部30aの先端部は上述した金属枠体2の水平片2bの上面に溶接固定され、上記垂下壁9に沿うように配置される垂直板部30bがヒンジ部3の他方の連結片3bに対して溶接固定される。また、上述したヒンジ部3による金属蓋体4の垂下壁9の回転スペースを確保するために、水平板部30aの基端は、立ち上がり部20bの外周面よりも所定寸法外側に突出する位置をとり、当該位置において垂直板部30b、すなわちこの垂直板部30bに固定されるヒンジ部3の軸部3aを保持する。
【0024】
さらに、上述したヒンジ部3による金属蓋体4の開閉操作を補助するために、金属蓋体4と金属枠体2にはガススプリング31が架設され、また、金属蓋体4の蓋部8の裏面には、ヒンジ部3から離れた位置に偏倚して把手32が形成される。加えて、妄りに開閉できないように、金属蓋体4と金属枠体2には閉塞状態で重合する係止孔33aを備えた錠受け33がそれぞれ設けられ、屋上点検口Aは、この錠受け33に取り付けられる南京錠34を備える。また、閉塞状態において金属枠体2の水平片2bに対向する金属蓋体4の蓋部8の裏面には、ゴムにより形成される間隔保持材35が固定される。
【0025】
したがって屋上点検口Aは、閉塞状態において金属蓋体4により屋上5の立ち上がり部20bやヒンジ部3、金属枠体2を内部に飲み込むようにして覆い、屋上5での雨の跳ね返りを含めた点検開口26内等への雨水の進入を防止する。また、間隔保持材35により金属枠体2と金属蓋体4との間に所定間隔の隙間が確保され、強風時の風切り音が抑制される。開放する際には、南京錠34を外した上で、把手32を握って金属蓋体4を持ち上げればよく、ヒンジ部3の軸部3aが立ち上がり部20bの外周面から所定寸法離れていることで図2に示すように回転時に金属蓋体4の垂下壁9が立ち上がり部20bに干渉してしまうこともなく、また、把手32がヒンジ部3から離れた位置に偏倚していることであまり力を要することもない。一方、閉じる際にもガススプリング31によってあまり力を要することはない。
【0026】
なお、図2において36は、屋上点検口Aを介して屋上5に出入りするための梯子、37は開口1内に形成される梯子支持部である。この梯子支持部37は金属の棒材によりコ字形状に形成され、開放端を閉塞するようにして開口1内壁に取り付けられ、例えば梯子36の横桟36aの両端部などを支持して梯子36を所定の位置に保持する。
【0027】
また、以上の屋上点検口Aは上述したように棟上げ導体21に近接しており、これによって落雷時に棟上げ導体21から電気エネルギーが伝わってしまうことを防止するために、棟上げ導体21とアースボンド線(アース線6)で接続され、また、この接続を容易にするために、アース線接続部7が形成される。アースボンド線6はケーブル6aの両端にO型の端子6bを備えたもので、その一端が棟上げ導体21に形成される接地側接続部21aに接続される。接地側接続部21aは、棟上げ導体21のパラペット20a上面の板部から立設されるボルト38と、このボルト38に締結されるナット39とを備え、ボルト38にO型端子6bの一方を通してナット39で締結することによりアースボンド線6に接続される。
【0028】
このアースボンド線6の他端のO型端子6bと接続されるアース線接続部7は、この実施の形態において、金属蓋体4に形成される。このアース線接続部7は、ヒンジ部3が連結される金属蓋体4の一端縁部の垂下壁9に取り付けられるボルト43、ナット44により構成され、金属蓋体4には図示省略したボルト穴が形成されて上記ボルト43が貫通し、このボルト43にナット44が締結される。上記ボルト43は、図3(a)に示すように、垂下壁9において上述したボルト27と水平方向に並ぶように配置される。なお、上記ボルト穴には、上述したボルト27を通すボルト穴同様、防錆処理が施される。また、図2および図3(b)においては、図示の都合上、上記ナット44が垂下壁9の外表面側でのみボルト43に締結される様子が示されるが、このボルト43の垂下壁9の内面側にも図外のナットが締結され、これによりボルト43が垂下壁9に取り付けられる。
【0029】
以上のアース線接続部7へのアースボンド線6の接続は、図3に示すように、垂下壁9の外側に突出するボルト43にO型端子6bを通し、ナット44によりO型端子6bを垂下壁9の外壁面との間で挟持してなされる。また、このように金属蓋体4にアースボンド線6を接続することに伴い、アースボンド線6には、金属蓋体4の回転変位量を吸収可能な余長が設定される。以上の屋上点検口Aは、アース線接続部7にアース線6を接続しない状態、すなわちアース線接続部7をヒンジ部3と金属蓋体4との連結部としてのみ機能させる状態で工場から設置現場に出荷される。
【0030】
したがってこの実施の形態において、屋上点検口Aは、例えば金属枠体2と金属蓋体4をヒンジ部3で連結した状態で現場に搬入され、現場においてアンカーボルト25により開口1に固定される。また、現場においては、別途用意したアースボンド線6の一端を棟上げ導体21に接続するとともに、設置状態の屋上点検口Aにおいて屋外側に露出しているナット44を外し、アースボンド線6の他端をボルト43に通してから再度ナット44を締結することにより接地工事がなされ、これにより設置作業が完了する。
【0031】
この後の屋上点検口Aの運用時において、棟上げ導体21等に落雷時の電気エネルギーが伝わり、さらに、この電気エネルギーが放電によって空気中を屋上点検口Aまで伝わってしまっても、アースボンド線6を介して屋上点検口Aから棟上げ導体21等に逃げることから、屋上点検口Aが損傷してしまうことはない。また、図2に実線と2点鎖線とで示すように、金属蓋体4を回転させた際には、アースボンド線6の余長が金属蓋体4の変位を吸収し、アースボンド線6の良好な接続状態が維持される。
【0032】
なお、この実施の形態においては、アース線接続部7として、アース線接続専用のボルト43、ナット44を設ける場合を示したが、ヒンジ部3を垂下壁9に連結するボルト27、ナット28を流用してアース線接続部7を構成することも可能である。
【0033】
図4および図5に本発明の他の実施の形態を示す。なお、この実施の形態および後述するその他の実施の形態において、上述した実施の形態と同一の構成要素は図中に同一の符号を付して説明を省略する。この実施の形態において、アース線接続部7は金属枠体2に形成される。金属枠体2のヒンジ固定金具30は上述した実施の形態に比して幅広に形成され、これにより垂直板部30bは、ヒンジ部3、補強材29に対して幅方向に重合しない拡幅部40を備える。この拡幅部40にはボルト穴が穿孔されてボルト41が挿通され、その垂直板部30b表裏側にナット42が締結される。
【0034】
また、金属蓋体4の垂下壁9には、上述したボルト41と、垂直板部30b表面側のナット42とを外部に露出させる切欠部10が形成される。この切欠部10は、垂下壁9の下端から上部近傍まで延設され、その幅寸法は、上述したアースボンド線6の直径よりもやや大きい程度にされる。また、切欠部10は、金属蓋体4が回転姿勢をとるときにアースボンド線6に干渉しないように、少なくともアースボンド線6の直径よりも大きい、所定の長さ寸法以上に形成される。
【0035】
したがってこの実施の形態においては、屋上点検口Aを開口1に固定した後、切欠部10を介して屋外側に露出するナット42をボルト41から外し、ボルト41にアースボンド線6のO型端子6bを挿入して再度ナット42を締結することにより接地工事が完了する。固定状態でアースボンド線6はボルト41から下方に垂れ下がり、金属蓋体4を開放させた際には、切欠部10内に進入するために垂下壁9と干渉してしまうことはない。また、この実施の形態においては、アースボンド線6が金属蓋体4の開閉動作によって移動することがなく、金属枠体2との接続状態が安定する上に、アースボンド線6には上述した実施の形態におけるような余長を要しない。
【0036】
図6および図7に本発明のさらに他の実施の形態を示す。この実施の形態において、アース線接続部7は、ヒンジ部3が連結される金属蓋体4の一端縁部に隣接する他端縁部に配置され、該他端縁部の垂下壁9に取り付けられるボルト45、ナット46により構成される。上述した実施の形態同様、上記垂下壁9に形成されてボルト45が貫通するボルト穴には防錆処理が施され、アースボンド線6には、金属蓋体4の回転変位量を吸収可能な余長が設定される。
【0037】
したがってこの実施の形態においては、設置状態の屋上点検口Aにおいて屋外側に露出しているナット46を外し、アースボンド線6の他端をボルト45に通してから再度ナット46を締結して接地工事がなされる。また、屋上点検口Aを開閉する運用時において、アースボンド線6は、金属蓋体4の回転に伴い、立ち上がり部20bが形成されない屋上点検口Aの側方のスペースを利用して金属蓋体4に追随することにより、上述した実施の形態に比べて安定した接続状態をより容易に維持することができる。
【0038】
なお、上述した実施の形態においては、屋上点検口Aが、高さ20mを超える中層以上の建築物において受雷部等から1.5m以内に設置される場合を示したが、低層などの適宜高さの建築物において受雷部等から1.5mより離れた位置に設置しても落雷への耐性を高めることができる。また、上述した実施の形態においては、垂下壁9とヒンジ部3とを連結するボルト27、ナット28を金属蓋体2から屋外側に露出させずに屋上点検口Aを構成しても接地工事を良好に進めることが可能であり、このように構成した場合には、金属蓋体4内部の点検開口28等への雨水の進入をより確実に防止することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 屋上開口
2 金属枠体
3 ヒンジ部
4 金属蓋体
5 屋上
6 アース線
7 アース線接続部
8 蓋部
9 垂下壁
10 切欠部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋上開口に固定される金属枠体にヒンジ部を介して金属蓋体を回動自在に連結して形成され、かつ、屋上に敷設されるアース線を着脱自在に接続するアース線接続部を備える屋上点検口。
【請求項2】
前記アース線接続部は、屋外側からアース線接続操作可能に形成される請求項1記載の屋上点検口。
【請求項3】
前記アース線接続部が金属枠体に形成される請求項1または2記載の屋上点検口。
【請求項4】
前記金属蓋体は、金属枠体の上面側に覆い被さる蓋部の周縁部から金属枠体の外周側に垂下する垂下壁を延設して形成されるとともに、
該垂下壁には、アース線接続部を屋外側に露出する切欠部が形成される請求項3記載の屋上点検口。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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