説明

屋内塵性ダニ類を忌避させる方法

【課題】屋内塵性ダニ類を忌避させる方法の提供。
【課題の解決手段】ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着することにより、前記屋内塵性ダニ類を忌避させる方法であって、
前記ダニ忌避成分は、難揮発性化合物であり、前記噴霧の一ショット当たりの容量は、0.35ないし0.9mLであり、前記原液と前記噴射剤の容量比(原液/噴射剤(v/v))は、20〜50/50〜80であるところの方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着することにより、前記屋内塵性ダニ類を忌避させる方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地球上には極めて多種のダニ類が生息し、例えば植物に寄生するミカンハダニ、ナミハダニ類等は農作物に多大な被害を与えている。これらの植物に寄生するダニの駆除を目的とした殺ダニ剤は古くから開発が進められており、また有望な新規化合物が次々と発見されている。
一方で、近年の居住環境の変化により、屋内にコナダニ、ヒョウヒダニ、ホコリダニ等の屋内塵性ダニ類が発生し、不快感を与えるばかりでなく、アレルギー性喘息や皮疹を惹起する等の問題を生じている。
そこで、カーペットや寝具等に処理するための屋内用殺ダニ剤が求められてきたが、植物に寄生するダニに対して有用な殺ダニ剤が必ずしも屋内塵性ダニ類に対して有効ではないという事情があった。これは、植物に寄生するダニ類が主に前気門類に属するのに対し、屋内に生息する塵性ダニ類は主に無気門類に属するという種属差に起因すると考えられている。また、屋内では直接肌に接触する使用場面が多いためにより安全性の高い薬剤の開発が必要とされる。
【0003】
一方で、屋内塵性ダニ類を殺すのではなく、人や患者にダニを近づけないようにする、所謂ダニ忌避剤に関する技術も幾つか提案されている(例えば、引用文献1ないし4参照。)。
しかし、上記提案のダニ忌避剤に関する技術は、人体に対する安全性と屋内塵性ダニ類に対する忌避効果の両方の要求を十分に満足させ得るものとはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−264504号公報
【特許文献2】特開平06−016515号公報
【特許文献3】特開2001−031508号公報
【特許文献4】特開2006−001864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、少ないダニ忌避成分の使用量においても屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果を奏し得、それにより、人体に対する高い安全性と屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果の両方の要求を十分に満足させ得る屋内塵性ダニ類を忌避させる方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着させて屋内塵性ダニ類を忌避させる際、前記噴霧を、特定の難揮発性化合物を含む溶液の一定量の噴霧とし、一ショット当たりの容量を特定の範囲とし且つ前記原液と噴射剤の
比率を一定の範囲とすることにより、少ないダニ忌避成分の使用量においても屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果を奏し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
従って、本発明は、
(1)ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着することにより、前記屋内塵性ダニ類を忌避させる方法であって、
前記ダニ忌避成分は、難揮発性化合物であり、前記噴霧の一ショット当たりの容量は、0.35ないし0.9mLであり、前記原液と前記噴射剤の容量比(原液/噴射剤(v/v))は、20〜50/50〜80であるところの方法、
(2)前記噴霧は、噴射距離20cmにおける噴射力が4.5ないし8.0g・fである条件でなされる前記(1)記載の方法、
(3)前記噴霧粒子は、粒径10ないし50μmの粒子が全体の60%以上を占める前記(1)又は(2)記載の方法、
(4)前記噴霧粒子全体のうち30ないし80%の噴霧粒子が前記噴霧後1時間以内に前記場所に付着する前記(1)ないし(3)の何れか1つに記載の方法、
(5)前記難揮発性化合物が、二塩基酸エステルである前記(1)ないし(4)の何れか1つに記載の方法、
(6)前記二塩基酸エステルが、セバシン酸ジブチルである前記(5)記載の方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の屋内塵性ダニ類を忌避させる方法によれば、少ないダニ忌避成分の使用量においても屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果を発揮することができ、これにより、人体に対する高い安全性を確保しつつ、屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果を得ることができるため、極めて実用的である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の屋内塵性ダニ類を忌避させる方法は、ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着することにより、前記屋内塵性ダニ類を忌避させる方法であって、
前記ダニ忌避成分は、難揮発性化合物であり、前記噴霧の一ショット当たりの容量は、0.35ないし0.9mLであり、前記原液と前記噴射剤の容量比(原液/噴射剤(v/v))は、20〜50/50〜80であるところの方法に関するものである。
本発明の方法は、ダニ忌避成分を含む噴霧粒子を屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所に付着させることにより生じる忌避効果、即ち、付着した噴霧粒子と屋内塵性ダニ類との接触により生じる忌避効果を利用するものであり、従って、使用されるダニ忌避成分は、残留性を維持するために難揮発性化合物である必要がある。
ここで難揮発性化合物とは、760mmHg(101.325kPa)における沸点が270℃以上となる化合物を意味する。
また、当然のことではあるが、本発明に使用されるダニ忌避成分は人体に対して高い安全性を有する化合物である必要がある。
【0010】
上記観点から好ましいダニ忌避成分としては、二塩基酸エステルが挙げられ、該二塩基酸エステルの具体例としては、例えば、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジプロピル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアミル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル及びこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
好ましい二塩基酸エステルとしては、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
【0011】
本発明に使用される溶剤としては、アルコール系の溶剤が好ましく、特に、炭素原子数2〜3の低級アルコールが好ましい。
炭素原子数2〜3の低級アルコールの具体例としては、エタノール及びイソプロパノール(IPA)等が挙げられるが、かかる低級アルコールは、速乾性で噴霧後速やかに揮発するので噴霧粒子を微細にしやすくする点で好ましい。
【0012】
本発明では、発明の趣旨に支障を来たさない限りにおいて、前記アルコール系の溶剤に加え、例えば、n−パラフィン、イソパラフィンなどの炭化水素系溶剤、炭素数3〜10のグリコールエーテル類、ケトン系溶剤、エステル系溶剤等を適宜添加可能である。
【0013】
本発明に使用される原液は、前記ダニ忌避成分及び溶剤に加え、カビ類、菌類等を対象とした防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤、あるいは、芳香剤、消臭剤、安定化剤、帯電防止剤、消泡剤、賦形剤等を適宜配合することもできる。
防カビ剤、抗菌剤や殺菌剤としては、ヒノキチオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンツイミダゾール、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、トリホリン、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、オルト−フェニルフェノール等を例示できる。
また、芳香剤としては、オレンジ油、レモン油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、シトロネラ油、ライム油、ユズ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油、リモネン、α−ピネン、リナロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート等の芳香成分、「緑の香り」と呼ばれる青葉アルコールや青葉アルデヒド配合の香料成分等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0014】
本発明に使用される原液中のダニ忌避成分の含有量は、一ショット当たりに噴霧される量が少量となるため、1.0〜70w/v%の範囲と、比較的高濃度にしておくのが好ましい。
前記ダニ忌避成分の含有量が1.0w/v%未満であると所望の効果が得られない場合があるため好ましくなく、前記ダニ忌避成分の含有量が70w/v%を超えるとエアゾール内容液の液性安定化の点で困難を伴う場合があるため好ましくない。
【0015】
本発明に使用される噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル、及び窒素ガス、炭酸ガス、亜酸化窒素、圧縮空気等の圧縮ガスが挙げられ、そのうちの一種または二種以上を適宜採用することができるが、通常LPGを主体としたものが使いやすい。
本発明では、噴霧粒子の付着の対象となる床面や壁への粒子の付着率や存在密度等及びそれによる忌避効果の増減を考慮して、噴霧の一ショット当たりの容量を、0.35ないし0.9mLとし、原液/噴射剤比率(原液/噴射剤(v/v))を20〜50/50〜80とするものである。
前記一ショット当たりの容量が0.35mL未満では、十分な忌避効果が得られず、また、0.9mLを超える場合は、それ以上の忌避効果の向上が得られ難くなるため好ましくない。
また、原液/噴射剤比率(原液/噴射剤(v/v))が20/80より小さい、即ち、噴射剤の比率が多すぎると、原液と噴射剤からなる剤を一定量空間噴霧した際、噴霧粒子が必要以上に微細となり、床や壁への付着量が不足することになり好ましくなく、また、前記比率が50/50を超えると、噴霧粒子が大きくなり過ぎ、粒子の拡散性の点で幾分不利となり、結果として、屋内塵性ダニ類に対する忌避効果が不十分となるため好ましくない。
【0016】
原液と噴射剤からなる剤を噴霧する際の噴射力は、床や壁に付着する噴霧粒子が十分な量となるよう、噴射距離20cmにおける噴射力を4.5〜8.0g・fに設計するのが好ましい。
また、前記噴霧を行った際の、噴霧粒子は、粒子径10〜50μmの噴霧粒子が全体のうち60%以上を占めるようにするのが好ましく、また、全体の噴霧粒子のうちの30〜80%が噴霧1時間後までに床面や壁面に付着するようにするのが好ましい。
【0017】
本発明の方法は、ダニ忌避成分を含む剤の少量の噴霧で屋内塵性ダニ類に対して十分な忌避効果を奏し得るので、敢えて火気に対する危険性に留意する必要はないが、できる限り危険性を低減させる観点から水性化処方を採用することもできる。
この場合、水の量はエアゾール原液中、20〜70v/v%程度が適当であり、噴霧粒子の噴霧パターンに影響を与えない範囲で、可溶化助剤として若干量の非イオン系界面活性剤を添加してもよい。
前記非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル類などのエーテル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類などの脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンスチレン化フェノール、脂肪酸のポリアルカロールアミド等が挙げられ、なかでも、エーテル類が適している。
【0018】
本発明の方法において、一定量の噴霧を行うために使用され得る噴霧装置としては、定量噴霧用エアゾールバルブを備えたエアゾール等が挙げられる。
尚、上記定量噴霧用エアゾールバルブとしては、一定量の噴霧を可能とするバルブであれば特に限定されるものではなく、既知の種々のバルブを採用することができる。
また、上記噴霧装置における噴口、ノズル、容器等の形状についても、その用途、使用目的等に応じて適宜選択することができる。
上記噴霧装置としては、例えば、上から押して噴霧するボタンと斜め上方向きのノズルを備えた卓上タイプとしたり、小型容器の携帯用として設計することができる。
【0019】
本発明の屋内塵性ダニ類を忌避させる方法は、上記のようにして得られた噴霧装置により、屋内で一定量、即ち、一ショット当たり空中に向けて0.35〜0.9mLを、1回もしくは複数回噴霧させるが、気中に噴霧されるダニ忌避成分量は、0.5〜50mg/m3程度が適当である。
本発明の屋内塵性ダニ類を忌避させる方法における、噴霧処理の頻度としては、基本的に1〜2日に1度施用すれば、屋内塵性ダニ類に対して数日間忌避効果を確保できるものである。
【0020】
本発明の忌避方法の対象となる屋内塵性ダニ類としては、ケナガコナダニ、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、ツメダニ等が挙げられるが、これらのダニ類に限定されるものではない。
【実施例】
【0021】
つぎに具体的実施例ならびに試験例に基づいて、本発明の害虫、ダニ防除方法を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
エタノールにセバシン酸ジブチルを溶解して、セバシン酸ジブチルの含有量が67w/vとなるエアゾール原液を調製した。このエアゾール原液9mLと液化プロパンガス(LPG)21mL[エアゾール原液/噴射剤比率:30/70(容量比)]を定量噴霧用エ
アゾールバルブ付きエアゾール容器に加圧充填して、本発明で用いるダニ忌避用エアゾールを得た。
このエアゾールの噴射距離20cmにおける噴射力は6.4g・fで、10〜50μmの噴霧粒子が全体の80%を占めた。
ほぼ密閉した6畳の部屋中央で、前記エアゾールを1ショット当り0.4mLずつ、やや斜め上方4隅に向けて4ショット噴霧した。このエアゾールは、全体の噴霧粒子のうちの65%が噴霧処理1時間後までに床面もしくは壁面に付着し、数日間、屋内塵性ダニ類を寄せ付けず、非常に実用性の高いものであった。なお、このエアゾールは、一度に1.6mL(0.4mL×4)使用するとして、約20回分有効であった。
【0022】
実施例2
実施例1に準じて表1に示す種々のダニ忌避用エアゾールを調製し、噴射距離20cmにおける噴射力を6.1g・fとして下記に示す試験を行って、屋内塵性ダニ類に対する忌避効果を評価した。試験結果を纏めて表2に示す。
(1)屋内塵性ダニ類に対する忌避効果
直径9cm、高さ6cmの腰高シャーレを閉めきった25m3の部屋の隅に設置し、腰
高シャーレ内に直径約4cmの綿布を置き、部屋の中央で、供試エアゾールを0.4mLずつ、やや斜め上方4隅に向けて4ショット噴霧した。
供試エアゾール噴霧24時間後にこの綿布を取り出した。これを直径4cmのシャーレにはめ込み、その中央部に誘引用培地50mgを置いた。別に、直径9cmのシャーレに供試コナヒョウヒダニ、又はケナガコナダニを培地とともに約10000匹放ち、この中央部に先に用意した直径4cmのシャーレを置いた。
同様に、処理しない綿布を用いて無処理区とした。24時間後に綿布上に侵入したダニ数を計数し、次式に従って忌避率を算出した。

忌避率(%)=[無処理区の侵入ダニ数−処理区の侵入ダニ数]/無処理区の侵入ダニ数×100

(2)噴霧粒子の床面及び壁面付着量
25m3の部屋の床面及び壁面の数ケ所に20×20cmのガラス板を置き、噴霧1時
間後に全てのガラス板を取り出し、付着した害虫防除成分をアセトンで洗い出してガスクロマトグラフィーにより分析した。得られた分析値を基に、噴霧1時間後までに床面もしくは壁面に付着したダニ忌避成分の、理論上の噴霧全体量に対する比率を求めた。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
結果
ダニ忌避効果を有する難揮発性化合物を用い、エアゾールの噴霧における一ショット当たりの容量を、0.35ないし0.9mLとし、前記エアゾールにおける原液と噴射剤の容量比(原液/噴射剤(v/v))を、20〜50/50〜80とする、実施例1ないし10においては、何れも、ヒョウヒダニ及びケナガコナダニのような屋内塵性ダニ類に対して高い忌避活性を示した。
これに対し、比較例1のように、一ショット当たりの噴霧の容量を0.35mL未満の0.3mLとすると、ダニ忌避効果が不足し、また、比較例2のように、一ショット当たりの噴霧の容量を0.9mLを超える1.0mLとしても、ダニ忌避効果が低下したが、これは、噴霧粒子が大きくなり過ぎ、粒子の拡散性の点で幾分不利となり、結果として、屋内塵性ダニ類に対する忌避効果が不十分となったものと考えられる。
また、噴射剤の比率が20/80を超える10/90とする比較例3でもダニ忌避効果が低くなったが、これは、噴霧粒子が小さくなり過ぎ、綿布への付着量が不足したためと考えられ、また、噴射剤の比率が50/50未満の60/40とする比較例4も、ダニ忌避効果が低下したが、これは、比較例2と同様に、噴霧粒子が大きくなり過ぎたために、忌避効果が不十分となったものと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の屋内塵性ダニ類を忌避させる方法は、人体に対する高い安全性を確保しつつ、屋内塵性ダニ類に対する高い忌避効果を得ることができるため、極めて実用的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダニ忌避成分と溶剤とを含む原液並びに噴射剤を、それらの充填容器より屋内塵性ダニ類の棲息する又は棲息するおそれがある場所の上方の空間に向けて噴霧し、そして該噴霧粒子が沈降し前記場所に付着することにより、前記屋内塵性ダニ類を忌避させる方法であって、
前記ダニ忌避成分は、難揮発性化合物であり、前記噴霧の一ショット当たりの容量は、0.35ないし0.9mLであり、前記原液と前記噴射剤の容量比(原液/噴射剤(v/v))は、20〜50/50〜80であるところの方法。
【請求項2】
前記噴霧は、噴射距離20cmにおける噴射力が4.5ないし8.0g・fである条件でなされる請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記噴霧粒子は、粒径10ないし50μmの粒子が全体の60%以上を占める請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記噴霧粒子全体のうち30ないし80%の噴霧粒子が前記噴霧後1時間以内に前記場所に付着する請求項1ないし3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記難揮発性化合物が、二塩基酸エステルである請求項1ないし4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記二塩基酸エステルが、セバシン酸ジブチルである請求項5記載の方法。

【公開番号】特開2011−132196(P2011−132196A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294676(P2009−294676)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000207584)大日本除蟲菊株式会社 (184)
【Fターム(参考)】