説明

屋内監視センサ・ネットワークシステム

【課題】 個人住宅等の屋内に安価にかつ簡易な構成で配備でき、かつ検知・監視された緊急の異常情報を屋内の各所の連絡先または任意の外部の連絡先に連絡を行うことができる屋内監視センサ・ネットワークシステムを提供する。
【解決手段】 この屋内監視センサ・ネットワークシステムは、屋内の複数の電源コンセント13や照明器具用電源コネクタ24に接続して配備された複数の監視センサ11,11A,21,21A〜21Cのそれぞれに狭域無線通信用の通信部34を設け、複数の監視センサにおける隣合う監視センサ同士でそれぞれの通信部を介してそれぞれの監視情報に係る無線通信を行い、監視情報を所定の連絡先に連絡するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋内監視センサ・ネットワークシステムに関し、特に、一般住居等の屋内に配置された複数の監視センサを無線ネットワークで通信可能に接続し、所要の連絡先に検知・監視データを送信するのに好適な屋内監視センサ・ネットワークシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅・家屋における火災発生の増加、一般の個人住宅等の屋内での犯罪の増加等に伴って屋内での住人の生活の安全性に対する対策の重要性が高まっている。そこで、例えば火災を防止するための監視センサとしては、従来、屋内の壁部に設けられた多数の電源コンセントや天井部に設けられた照明器具用電源コネクタに簡単に接続して利用できる火災報知器(特許文献1)が提案されている。
【0003】
しかしながら、個人住宅等の屋内において同種または各種の多数の監視センサが配備されることになると、監視センサが検出した異常状態の報知先や連絡先等の問題、または監視センサが検出する状況に係る情報の管理の問題等が提起される。報知先の問題としては、例えば、当該屋内の火災発生の現場に近い場所に住人が居るときには火災監視センサの警報によって出火等に関する異常状態を本人自身が知ることになるが、住人が不在であるとき、あるいは離れた場所に居るときには、かかる緊急の異常状態をどこに連絡するかが大きな問題となる。
【0004】
上記の問題の観点で、関連する従来技術としてさらに個人住宅等における情報ネットワークシステムが提案されている(特許文献2)。この情報ネットワークシステムは、個人住宅等の照明給電コンセントを利用して屋内に配線を行うように構成した単なる有線ネットワークシステムの提案にすぎない。
【特許文献1】実開平7−43532号公報
【特許文献2】特開2003−17194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、個人住宅等の屋内には、火災発生の検知・監視、侵入者の検知・監視、温度および湿度の状態検知、介護対象の状況の検知・監視等、各種の監視(検知)のためのセンサが多数配置される可能性が高くなってくる。このような監視センサによる監視体制ができると、監視センサで得られる情報またはデータの管理、あるいは緊急の異常状態が発生したときの警報データの報知先等のシステム的な体制の完備が問題となる。従って本発明の課題は、無線通信を利用して屋内における多数の監視センサ等の報知先等に係る実用的なLANシステムを実現するものである。
【0006】
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、個人住宅等の屋内に安価にかつ簡易な構成で配備でき、かつ検知・監視された緊急の異常情報を屋内の各所の連絡先または任意の外部の連絡先に連絡を行うことができる屋内監視センサ・ネットワークシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る屋内監視センサ・ネットワークシステムは、上記目的を達成するために、次のように構成される。
【0008】
第1の屋内監視センサ・ネットワークシステム(請求項1に対応)は、屋内の複数の電源接続部(電源コンセントや照明器具用電源コネクタ)に接続して配備された複数の監視センサのそれぞれに狭域無線通信用の通信部を設け、複数の監視センサにおける隣合う監視センサ同士でそれぞれの通信部を介してそれぞれの監視情報に係る無線通信を行い、監視情報を所定の連絡先に連絡するようにしたことで特徴づけられる。
【0009】
上記の屋内監視センサ・ネットワークシステムによれば、屋内の電源コンセント等を利用して配置された各種の多数の監視センサに狭域無線通信用の通信部を内蔵させ、これらにより隣接する監視センサ間での検知情報や監視情報等のデータ通信を無線で可能にし、さらに隣接する監視センサ間の狭域無線通信をリレー方式で順次に継続することにより、屋内または屋外の所望の連絡先に対して警報情報や監視情報等に係る内容等を連絡することが可能となる。
【0010】
第2の屋内監視センサ・ネットワークシステム(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、上記電源接続部は照明器具用電源コネクタを含むことで特徴づけられる。
【0011】
第3の屋内監視センサ・ネットワークシステム(請求項3に対応)は、上記の構成において、好ましくは、上記監視センサは、火災センサ、侵入者センサ、ガス漏れセンサ、温度センサ、湿度センサ、介護対象の状態センサの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする。なお上記監視センサの例は代表的なものにすぎず、監視センサについては、上記の各種の監視センサに限定されるものではなく、様々な監視センサ、検知センサ、あるいは監視カメラ等を概念的に含むものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、個人住宅等の屋内の各部屋に通常の電気コンセントおよび照明器具専用の電気コネクタを利用して各種の監視センサを設け、さらに各監視センサに狭域無線通信用の通信部を設けるようにしたため、安価にかつ簡易な構成で配備でき、かつ検知・監視された緊急の異常情報を屋内の各所の連絡先または任意の外部の連絡先に迅速に連絡することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明で使用される監視センサの取付け状態の第1例を示し、図2は監視センサの取付け状態の第2例を示している。図1に示した監視センサ11は、住宅の各部屋の壁部12に設けられた電源コンセント13に取り付けられている。また図2に示した監視センサ21は、各部屋の天井部22に設けられた照明器具23のための電源コネクタ24に取り付けられている。
【0015】
図1において、監視センサ11は、一方の面部に上記電源コンセント13に差し込まれるコンセントプラグ14を備え、他方の面部に別の電源コンセント等の電源コネクタ部15を備えている。電源コンセント等の電源コネクタ部15には、他の電気製品(または電気機器)が接続されるという構成になっている。
【0016】
図3に監視センサ11の内部構造を示す。上記コンセントプラグ14にはAC(交流)電源部31の入力端が接続され、AC電源部31の第1の出力端31aは電力線30を介して上記の電源コネクタ部15に接続されている。AC電源部31は、コンセントプラグ14を経て取り込まれる商用交流電流を電源コネクタ部15に通電すると共に、当該商用交流電流に基づいて下記の電子装置駆動用の動作電流を生成する機能を有している。AC電源部31の第2の出力端31bは、監視センサ11内に組み込まれた各種の電子装置を動作させるための動作電流を取出すための出力部である。
【0017】
AC電源部31の出力端31bから取り出された動作電流はAC−DCコンバータ32で、交流電流(AC)から所要レベルの直流電流(DC)に変換される。AC−DCコンバータ32から出力される直流電流は制御部33に入力され、この駆動用直流電流はさらに制御部33を介して通信部34、センサ部35に供給される。また制御部33はマイコンで構成され、当該制御部33からは、制御部33の信号処理機能で生成された通信信号または制御信号等が通信部34とセンサ部35に供給される。通信部34にはアンテナ36が装備される。当該通信部34は、ブルートゥース通信等の狭域無線通信を行える機能を有している。ここで狭域無線通信とは、例えば半径10m程度の範囲における通信を想定している。通信部34が通信する相手は、同様な通信部を有する同様な他の監視センサであり、好ましくは最も近くにあって隣接する監視センサの同様な通信部である。
【0018】
制御部33とセンサ部35および通信部34との間では相互に信号(またはデータ)の送受を行うように構成されている。センサ部35からは検知または監視で得られた信号が制御部33に供給される。制御部33はセンサ部による検知または監視の状態を例えば定期的にチェックする。通信部34には、制御部33で得られた信号が伝送される。また他の監視センサの通信部から無線で送られてきた信号はアンテナ36および通信部34を経由して制御部33に供給される。
【0019】
なお図3では、破線ブロックによってLED等の発光部37とブザー等の発音部38が示されている。発光部37または発音部38は警報装置を構成する。監視センサ11は、それ自身がセンサ部35等による検知または監視によって得られた情報に基づき警報や報知を行う場合には、発光部37や発音部38を設けるように構成される。発光部37の発光報知動作および発音部38の発音警報動作は制御部33から与えられる駆動電流によって実行される。監視センサ11が発光部37または発音部38を備えることは必須ではなく、発光部37または発音部38は必要に応じて備えられる。
【0020】
図3に示された構成において、監視センサ11の監視対象はセンサ部の機能に応じて決まる。センサ部35の例としては各種のものが考えられ、代表的には火災検知センサ、侵入者検知センサ、ガス漏れ検知センサ、温度センサ、湿度センサ、介護対象の状態検知センサ、音検知センサ等である。火災検知センサには、具体的に、赤外線温度センサや煙センサ等が使用される。また侵入者検知センサには具体的に赤外線動向センサが使用される。介護対象の状態検知センサは、介護を要する人が居るベッドの近くの電気コンセントを利用して監視センサが配置されることが好ましい。
【0021】
制御部33は、センサ部35が得た検知対象または監視対象に関する検出値が警報範囲(異常範囲)内のものであれば、警報信号を生成し、通信部34を介して警報装置(発光部または発音部等)へ無線通信し、警報信号の転送を行う。なお前述のごとく監視センサ11自体が警報装置を有する一体構造であれば、当該警報装置を駆動させる。
【0022】
図2に示した前述の監視センサ21の内部構成も上記監視センサ11と基本的に同じである。監視センサ21の特徴的構成は、天井部22に設けられた照明器具23用の電源コネクタ24を利用して取り付け、さらにその電源コネクタ24には照明器具23が接続されるようにしたことである。監視センサ21に接続される電気機器が照明器具23である点に特徴がある。なお25は照明器具側のコネクタである。
【0023】
監視センサ21は、部屋全体を見渡せる天井部22の位置に設置されるものであるから、各種の機能を有したセンサ部を一括的に持たせることが可能であり、そのように構成されることが好ましい。
【0024】
次に、図4に本発明に係る屋内監視センサ・ネットワークシステムの全体的構成を示す。この図では、個人住宅41の各部屋に監視センサを配備している。個人住宅41の屋内には一例として3つの部屋42,43,43が示されている。部屋42には、監視センサ11A,21Aが配置されている。監視センサ11Aは電源コンセントに取り付けられ、例えばガス漏れ検知のセンサ部と侵入者検知のセンサ部を備えている。この図示例の場合、侵入者検知のセンサ部に関しては、窓45の縁部分に接触センサ部46が付設された構造となっている。監視センサ21Aは照明器具23A用の電源コネクタ24Aに接続され、例えばガス漏れ検知のセンサ部と火災検知のセンサ部を内蔵している。部屋43では、監視センサ21Bは照明器具23B用の電源コネクタ24Bに接続され、例えば温度(熱)を検知するセンサ部と、音を検知するセンサ部とが内蔵されている。部屋44では、監視センサ21Cは照明器具23C用の電源コネクタ24Cに接続され、各種のセンサ部を内蔵している。
【0025】
上記の各部屋に配置された監視センサ11A,21A,21B,21Cのそれぞれには前述のごとく狭域無線通信用の通信部34を内蔵しており、隣接する監視センサ同士の間で相互に無線47で通信を行い、必要な検知信号等を送受するように構成されている。
【0026】
上記の狭域無線通信機能を有する通信部34に基づく無線通信によって監視センサ11A,21A,21B,21Cの間においてリレー的に通信を行い、検知信号や警報信号等を例えば部屋44内に設けた監視ターミナル48まで伝送して、この監視ターミナルで総括的に各種の警報を発するように構成することが可能である。なお監視ターミナル48も同様に通信部34とアンテナ36を備え、狭域無線通信の機能を備えている。監視ターミナル48は、さらに、屋内における警報信号等を外部の連絡先に電話線やネットワーク49を経由して送信することも可能である。
【0027】
上記の実施形態では屋内監視センサの例で説明したが、図4に示すごとく屋外に設けた監視センサ50に適用することも可能である。屋外の監視センサとしては、防犯ライト機能を有する監視センサ、雨降りセンサ、防犯カメラ等を使用することができる。
【0028】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、個人住宅等の屋内の各所に配備した各種の監視センサを無線ネットワークで接続して各監視センサで得た異常状態を屋内各所の連絡先または任意の外部の連絡先に報知するのに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る屋内監視センサ・ネットワークシステムに利用される監視センサの第1の例を示す図である。
【図2】本発明に係る屋内監視センサ・ネットワークシステムに利用される監視センサの第2の例を示す図である。
【図3】監視センサの内部構造を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る屋内監視センサ・ネットワークシステムの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
11 監視センサ
12 壁
13 電源コンセント
15 電源コネクタ部
21 監視センサ
22 天井部
23 照明器具
24 電源コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋内の複数の電源接続部のそれぞれに接続して配備された複数の監視センサのそれぞれに狭域無線通信用の通信部を設け、前記複数の監視センサにおける隣合う監視センサ同士でそれぞれの前記通信部を介してそれぞれの監視情報に係る無線通信を行い、前記監視情報を所定の連絡先に連絡するようにしたことを特徴とする屋内監視センサ・ネットワークシステム。
【請求項2】
前記電源接続部は照明器具用電源コネクタを含むことを特徴とする請求項1記載の屋内監視センサ・ネットワークシステム。
【請求項3】
前記監視センサは、火災センサ、侵入者センサ、ガス漏れセンサ、温度センサ、湿度センサ、介護対象の状態センサの少なくともいずれか1つを含むことを特徴とする請求項1または2記載の屋内監視センサ・ネットワークシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−101399(P2006−101399A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−287469(P2004−287469)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(503184234)株式会社インターエナジー (20)
【Fターム(参考)】