説明

屋内通信試験システム

【課題】屋内にて短時間で通信試験を実施することが可能な屋内通信試験システムを提供する。
【解決手段】複数の車両1の各々に搭載された情報処理装置3の通信試験を建造物2内で行うための屋内通信試験システムにおいて、複数の情報処理装置3を互いに通信可能に接続する複数のケーブル4と、複数のケーブル4を介して複数の情報処理装置3に接続され、複数のケーブル4間の接続を切り替え可能な交換機5と、建造物2の床面21の下に設けられ、複数のケーブル4が配置されている床下ピット6と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害発生時に主に使用される特殊車両間に構築される通信インフラストラクチャーを試験するための屋内通信試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害(例えば地震、火災)が発生したときの救助を目的としたシステムの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたシステムは、給水車両、治療設備に電源を供給する電源用車両、電源用車両に給油する給油用車両などで構成されている。このシステムによれば、大規模な災害により多数の負傷者が出た場合、被災地で各患者の症状に応じた総合的な診療、治療が可能となるので、患者に対する適切な処置を早期に実施することが可能となる。
【0003】
また、数多くの特殊車両で構成され、災害が発生したときの救助を目的としたシステムの他の一例として、被災地で即席の通信インフラストラクチャーを構築可能なシステムがある。このシステムでは、通信機能を備えた複数の情報処理装置が各車両にそれぞれ搭載され、各情報処理装置はケーブルで接続されている。このようなシステムを製造する時には、情報処理装置間における通信が正しく行われているか確認するための通信試験が必要になる。この通信試験は、一般的に、車両を屋外に並べて行われる。また、試験内容に応じて各車両に搭載された情報処理装置間の接続を変更する場合、ケーブルの組み替えを手作業で行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−142211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した通信試験を屋外で行う場合には、外来電波や天候の影響により試験環境が安定しない問題や、納入前の車両に汚れが付着するという問題などがある。そのため、これらの問題が発生しない屋内で通信試験を行うことが望ましい。しかし、屋内で通信試験を行う場合、屋外と同じ広さの敷地(フロア)を確保することは費用の面で実現が困難である。その結果、屋外で試験を行う場合に比べ、車両間隔を詰める必要が生じる。すると、ケーブルの配線スペースやケーブルの組み替え作業に必要なスペースを確保できない場合がある。そのため、試験内容に応じて情報処理装置間の接続を変更するとき、車両を移動させる作業が必要となる場合がある。この場合、試験に要する時間が屋外で行う場合に比べ長くなるという問題が起こりうる。
【0006】
そこで、本発明は、屋内にて短時間で通信試験を行うことが可能な屋内通信試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の屋内通信試験システムは、複数の車両の各々に搭載された情報処理装置の通信試験を建造物内で行うための屋内通信試験システムにおいて、複数の前記情報処理装置を互いに通信可能に接続する複数のケーブルと、前記複数のケーブルを介して複数の前記情報処理装置に接続され、前記複数のケーブル間の接続を切り替え可能な交換機と、前記建造物の床面の下に設けられ、前記複数のケーブルが配置されている床下ピットと、を有することを特徴とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の他の屋内通信試験システムは、複数の車両と、前記複数の車両の各々に搭載された情報処理装置と、複数の前記情報処理装置を互いに通信可能に接続する複数のケーブルと、前記複数のケーブルを介して複数の前記情報処理装置に接続され、前記複数のケーブル間の接続を切り替え可能な交換機と、前記複数の車両が配置されている床面を備えた建造物と、前記床面の下に設けられ、前記複数のケーブルが配置されている床下ピットと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数のケーブルと複数の車両とが、別々の場所に配置されている。そのため、車両間隔が狭くなってもケーブルの配置スペースを確保できる。また、本発明によれば、交換機で各ケーブル間の接続の切り替えを自動的に行える。そのため、試験内容に応じて情報処理装置の接続の変更が必要な場合、車両間にケーブルの組み替え作業用のスペースを確保する必要がなくなる。
【0010】
上記の通り、屋内で通信試験を行う場合に、ケーブルの配置スペースを確保できるとともにケーブルの組み替え作業用のスペースが不要になるので、試験の途中で車両を移動させる作業が不要になる。これにより、屋内にて短時間で通信試験を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の屋内通信試験システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明の屋内通信試験システムを構成する床下ピットのレイアウトを示す平面図である。
【図3】本発明の屋内通信試験システムを構成する交換機の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の屋内通信試験システムの一実施形態を示す概略図である。
【0013】
本実施形態では、情報処理装置3がそれぞれ搭載された複数の車両1が建造物2の床面21に配置される。床面21の下には、人が移動可能な広さの床下ピット6が設けられている。また、本実施形態では、床面21から床下ピット6に人間一人が出入りできる程の大きさのマンホール22が形成されている。なお、本実施形態では、床面21が建造物2の1階の床面となっているが、2階の床面であってもよい。
【0014】
図2は、床下ピット6のレイアウトを示す平面図である。なお、図2では、床面21のレイアウトに対応付けて床下ピット6のレイアウトを示している。
【0015】
床面21には、各車両1の駐車スペース211と、各車両1の移動スペース212がある。複数の車両1は、図2に示す駐車スペース211に間隔を詰めて配置される。複数の車両1の各々には、図1に示すように、複数の情報処理装置3が搭載されている。
【0016】
情報処理装置3は、例えば、画像処理機能、衛星通信機能などを備えている。各情報処理装置3は、複数のケーブル4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0017】
複数のケーブル4は、床下ピット6に配置されている。複数のケーブル4の各々は、その一端が、分電盤23(図2参照)を介して情報処理装置3に接続される。一方、複数のケーブル4の他端は、床面21に設置された交換機5に接続されている。
【0018】
図3は、交換機5の構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
図3に示すように、各ケーブル4の他端は、スイッチ53に接続されている。このスイッチ53にて、各ケーブル4の接続の切り替えが行われる。図3では、スイッチ53は、4本のケーブル4a、4b、4c、4dを介して4台の情報処理装置3と接続されている。
【0020】
例えば、ケーブル4aとケーブル4bとが接続し、ケーブル4cとケーブル4dとが接続している状態からケーブル4aとケーブル4dとを接続させ、ケーブル4cとケーブル4bとを接続させる状態に変更する場合、まず、操作部51で変更の操作が受け付けられる。すると、操作部51は、その旨を示す制御信号を制御部52に送信する。制御部52は、制御信号が入力されると、その制御信号に従って、スイッチ53の動作を制御する。これにより、各ケーブル4の接続切り替えを自動的に行うことが可能となる。そのため、試験内容に応じて情報処理装置3間の接続の変更が必要な場合、ケーブル4の組み替え作業が不要になる。
【0021】
上述したように、本実施形態では、複数の車両1は建造物2の床面21に配置され、複数のケーブル4は、床下ピット6に配置されている。すなわち、複数の車両1と、複数のケーブル4とは、別々の場所に配置されている。そのため、複数の車両1を、間隔を詰めて配置してもケーブル4の配置スペースを確保できる。また、本実施形態では、交換機5で各ケーブル4間の接続の切り替えを自動的に行える。そのため、試験内容に応じて情報処理装置3の接続の変更が必要な場合、車両間にケーブル4の組み替え作業用のスペースを確保する必要がなくなる。
【0022】
上記の通り、屋内で通信試験を行う場合に、ケーブル4の配置スペースを確保できるとともにケーブル4の組み替え作業用のスペースが不要になるので、試験の途中で車両1を移動させる作業が不要になる。これにより、屋内にて短時間で試験を行うことが可能となる。
【0023】
また、本実施形態では、床面21から床下ピット6へ出入り可能なマンホール22が形成されている。そのため、試験の途中でケーブル4に不具合が発生したときに、直ちにマンホール22から床下ピット6に入室できるので、迅速に対処することが可能となる。
【0024】
また、本実施形態では、各情報処理装置3と複数のケーブル4とは、分電盤23を介して接続されている。そのため、例えば、試験中に情報処理装置3のいずれかが故障(ショート)したときに、故障した情報処理装置3とケーブル4との電気的な接続を分電盤23で直ちに切り離すことができる。そのため、故障の影響が他の情報処理装置3に及ばないようにできるので安全性が向上する。
【符号の説明】
【0025】
1 車両
2 建造物
3 情報処理装置
4 ケーブル
5 交換機
6 床下ピット
21 床面
22 マンホール
23 分電盤
51 操作部
52 制御部
53 スイッチ
211 駐車スペース
212 移動スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両の各々に搭載された情報処理装置の通信試験を建造物内で行うための屋内通信試験システムにおいて、
複数の前記情報処理装置を互いに通信可能に接続する複数のケーブルと、
前記複数のケーブルを介して複数の前記情報処理装置に接続され、前記複数のケーブル間の接続を切り替え可能な交換機と、
前記建造物の床面の下に設けられ、前記複数のケーブルが配置されている床下ピットと、
を有することを特徴とする屋内通信試験システム。
【請求項2】
複数の車両と、
前記複数の車両の各々に搭載された情報処理装置と、
複数の前記情報処理装置を互いに通信可能に接続する複数のケーブルと、
前記複数のケーブルを介して複数の前記情報処理装置に接続され、前記複数のケーブル間の接続を切り替え可能な交換機と、
前記複数の車両が配置されている床面を備えた建造物と、
前記床面の下に設けられ、前記複数のケーブルが配置されている床下ピットと、
を有する屋内通信試験システム。
【請求項3】
前記床面から前記床下ピットに出入り可能なマンホールが形成されている、請求項1または2に記載の屋内通信試験システム。
【請求項4】
複数の前記情報処理装置と前記複数のケーブルとは、分電盤を介して接続されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載の屋内通信試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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