説明

屋外照明装置

【課題】耐候性に優れ、広い面積を均等な光で照射可能な屋外照明装置を提供する。
【解決手段】ベース円板12上に設けられた電力制御基板15と、この電力制御基板15を囲むように、ベース円板12に保持された有機ELパネル20からなる発光部11と、発光部11の周囲を覆う透明な樹脂カバー13と、樹脂カバー13の上面を覆う天蓋16とを備えた。暗くなると、発光部の有機ELパネル20が電力制御基板15からの供給電力により面発光し、樹脂カバー13を介して側面周囲に均一光を発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋外照明装置に係り、より詳しくは庭園灯など庭園の一角に据えられ、庭園内を柔らかで均等な光線で照らすことできる屋外照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、庭園灯などの屋外照明装置では、円筒形状の光源部内の中央位置に設けられた基板に複数個の高輝度LEDを配設し、LED発光をプラスチック製の導光レンズで拡散させて、庭園灯の周囲を照らす工夫がなされている。これらの装置では、照明内に収容する部品のコンパクト化のために、LEDが配設された基板が下方を向いている構造が多い。この場合、下方向に向けて発光するLED光の光軸を水平方向成分が多くなるように拡散させて、円筒形状をなす照明装置の外部の側方に向けて導光させる必要がある。このため、光量が低下するという不具合がある。この不具合を解決するために、LEDの発光方向を円筒形状器具の周囲側方の四方向に向けて配置した構造の庭園灯もある。この場合、光源部内に複数枚のLED実装基板を収容する必要がある。また、各基板を電気的に接続する必要もあり、光源部内の配線が複雑になる。また、LEDが限られた方向を向いているので、方向によって光量にムラが生じ、均等な光で庭等を照らすことができない。
【0003】
また、光源として、コンパクト蛍光灯を用いることもある。蛍光灯器具の場合、冬期など外気温が低い環境では、点灯開始時にランプ照度を十分に得ることができないという問題がある。
【0004】
ところで、近年、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)を面光源として利用した照明装置、光源装置が開発されている(特許文献1〜3)。
【0005】
特許文献1に開示された照明は、有機ELを円柱状に加工し、複数本を並列させて、全体で面発光させる電飾看板に用いられるものである。特許文献2には、色再現範囲を広く設定可能にするために、有機ELを多層の円環状に丸めて積層した発光体が開示されている。特許文献3には、発光輝度の均一性を高めることができる長尺筒状の光源装置が開示されている。
【0006】
これら各特許文献に開示された発明では、有機ELが有する均一光を面状に発する発光材としての機能性と、シート状材料として適宜切断、曲げ加工できるという加工性に着目して、所定の円筒形形状の光源を有する光源装置、照明装置として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−72274号公報
【特許文献2】特開2009−59100号公報
【特許文献3】特開2009−76269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示された電飾看板では、円柱状に丸めた複数本の有機ELを用いるため、列状に並んだ有機ELの背後に反射板を位置させて、光源からの直接光および反射板からの拡散光を利用することで、電飾看板の表示パネル全体の照度の均一化を果たしている。そのため、円柱状有機EL単独では均一な光源として機能しない。特許文献2の発光体では、支持棒の回りに発光体を多層に巻き付ける構造になっている。特許文献3では、細筒状とした発光体の両端に給電部を設けることで、筒状に丸められた光源装置を利用するようになっている。
【0009】
これに対して、庭園灯などでは、有機ELを丸めて光源とする場合でも、耐候性に富み、比較的広い面積で周囲を照射できる光源とする必要がある。そのため、有機ELを曲げ加工して用い、防水性を有する構造体内に収容された、所定の円筒形状の光源とすることが好ましい。
【0010】
また、庭園灯のような屋外照明装置として用いる場合、夜間のみに点灯するようにすることも要請されている。そこで、本発明の目的は上述した従来の技術が有する問題点を解消し、庭園灯など、耐候性に優れ、広い面積を均等な光で照射可能な屋外照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係る屋外照明装置は、ベース部に設けられた電力制御部と、この電力制御部を囲むように、前記ベース部に保持された有機ELパネルからなる発光部と、該発光部の周囲を覆う光透過カバーと、該光透過カバーの上面を覆う天蓋とを備え、前記有機ELパネルが電力制御部からの供給電力により面発光し、前記光透過カバーを介して、側面周囲に均一光を発することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
円筒形状に曲げ加工した有機ELを構造体の一部に収容させるようにして光源としたので、耐候性を有するとともに、均等な光で周囲を照射できる。また、有機ELの円筒形状の設定により、照明装置の円柱径を自由に設定でき、各種サイズの照明装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の屋外照明装置の主要部の外観構成を示した部分斜視図。
【図2】図1に示した屋外照明装置を分解して示した分解斜視図。
【図3】屋外照明装置の組立構造を模式的に示した断面図。
【図4】天蓋にソーラーパネルを配置し、装置内に蓄電池を装備した例を示した部分斜視図。
【図5】支柱の一部に、点灯感知用のセンサーを備えた例を示した部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の屋外照明装置の実施するための形態として、以下の実施例について添付図面を参照して説明する。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明の一実施例としての屋外照明装置10の支柱1の上部と発光部11とを示している。図2は、図1に示した屋外照明装置10の分解斜視図である。本実施例の屋外照明装置10は、図1に示したように、鋼製支柱1の上端1aに固定されたベース円板12と、このベース円板12の外周に沿って下端が防水を施された状態で固定された、円筒形状の合成樹脂製からなる、光透過カバーとしての透明な樹脂カバー13とベース円板12上に形成された円周溝14(図2参照)内に下端が収容された円筒形状に丸められた有機ELパネル20と、その円周溝14で囲まれたベース円板12上面に設置された電力制御基板15と、樹脂カバー13の上端を覆う天蓋16とで組み立てられている。
【0016】
本実施例の屋外照明装置10への供給電源は、図1に示したように、外部の交流電源8であり、電力制御部としての電力制御基板15により、AC−DC変換された直流電流によって有機ELパネル20を点灯させる。電力制御基板15がDC−DC変換を行うコンバータ回路の場合、外部直流電源を利用することも出来る。この場合、後述するように、たとえば支柱1内に蓄電池3(図4参照)を収納しておき、独立した電源を備えても良い。
【0017】
上述した屋外照明装置10の構成部品について、簡単に説明する。
支柱1は、耐候性を有する鋼管からなり、図示しない下端は庭園の地盤などに差し込み可能な形状となっている。また、剣状の先端部に代えて、図示しない脚部あるいは台座を有し、庭園の平坦な場所に脚部を広げた状態、あるいは台座の安定を図って据え付けてもよい。
【0018】
ベース円板12は支柱1上端に固定された樹脂製成形部品で、樹脂カバー13、天蓋16との接続部には、シール部材(図示せず)が介装され、風雨等によって内部空間が浸水しないようになっている。その内部空間内に有機ELが収容されている。ベース円板12の外周縁部には樹脂カバー13の下端を支持可能な切欠が設けられ、図示しないシール材を介して樹脂カバー13と水密可能に連結されている。また、支柱1内に配線された電力線の端部がベース円板12の中央部に設置された電力制御基板15に接続されている(図2参照)。本実施例では、図2に示したように、ベース円板12の上面に円周溝14が形成され、円筒状に丸められた有機ELパネル20の下端がこの円周溝14に収容され、有機ELパネル20の円筒形状が保持される。なお、シール箇所はOリング等のシール部材を用いることなく、粘性シール剤を連結部に塗布してもよい。
【0019】
有機ELパネル20は、公知の有機ELパネルの構成と同様で、図示しないITO等の透明電極上に、正孔注入層、発光層、電子注入層等を積層して構成され、その上に金属を積層し陰極とした構造からなる。この有機ELパネル20は、有機発光物を蒸着させる基板に外力で簡単に曲がる薄い樹脂材料を用いた場合、発光面を自由に曲げることができる。図2に示したように、円筒形状に丸めた際に、下端をベース円板12の円周溝14内に収容させることで、円筒形状が保持される。また、パネルに給電するための電極(図示せず)はリード線22を介して電力制御基板15に接続されている。なお、本実施例では、高さ100mmで所定直径の円筒形となるだけの円周長(幅)を有する帯状の有機ELパネル20(厚さ1mm)を丸めて円筒形を形成している。
【0020】
ここで、有機ELパネル20の組込構造について、図3各図を参照して説明する。図3(a)は、上述したように、有機ELパネル20の下端をベース円板12に形成された円周溝14に収容させて円筒形状を保持した例である。使用する有機ELパネル20が薄い場合、円筒の歪みの発生を防止する必要がある。その場合には図3(b)に示したように、支持筒18をベース円板12上に取り付け、その支持筒18の外周部分に円筒形状の有機ELパネル20を被せるようにすることで有機ELパネル20自体を自立させない方策も好ましい。
【0021】
樹脂カバー13は、円筒形状に成形され、光透過性が高い耐候性を有する透明合成樹脂材である。据え付け時には、その内部に収容された有機ELパネル20の面発光状態を効率よく周囲に透過させることができる。なお、屋外照明装置10としての効果を考慮し、板表面に曇り加工を施したり、光を散乱拡散させるような細かい凹凸を有する模様を施すこともできる。
【0022】
天蓋16は、樹脂カバー13の上部に、水密性を保持して取り付けられる蓋状体である。本実施例では、天端頂部には明暗センサーとして機能する光電スイッチ25が取り付けられている。この光電スイッチ25は、図2に示したように、電力制御基板15に信号線23を介して接続されている。スイッチの動作としては、日没後等、照明装置の周囲が所定の暗さ以下になった状態で、点灯(ON)となるように設定されている。
【0023】
図4は、天蓋16の上面にソーラーパネル(太陽電池パネル)26を配設し、夜間に点灯させるための電力を、昼間に内蔵した蓄電池3に充電するようにした実施例を示している。蓄電池3は、支柱1内に設置しておくことが好ましい。この実施例では、夕暮れになり、照明装置の周囲が暗くなると、ソーラー電圧がしきい値以下に低下したことが検出され、蓄電池3によって有機ELパネル20が点灯する。
【0024】
以上に述べたように、水密性、耐光性を有する空間内に、光源として円筒形状をなした有機ELを使用しているので、屋外照明装置10として、低電力で、光源の側方周囲に対して均一な面発光を照射することができる。また、屋外装置なので、外気の影響を受けるが、外気温が低い場合でも、照明の光量低下がなく、発光の応答速度の低下もない。そこで、この作用を利用して、図5に示したように、支柱1に複数個の赤外線センサー27を設置し、センサーの検知範囲28における周囲の状態を検知するようにしても良い。たとえば、庭園内の通路を散策する人などの動体の移動を順次感知し、その行く先の照明を点灯させるようにすることもできる。なお、以上の説明では、「円筒形状」の用語として、平断面形状がほぼ真円の筒状体を例に図を用いて説明したが、その断面形状は、長円形、楕円形、卵形、規則的あるいは不規則な凹凸部を有する円形であっても、照明装置としての面発光機能を有効に発揮する形状であればよい。
【0025】
その他の効果として、有機ELからは紫外線が出ないので、夜間の連続点灯を行うような照明装置に用いても虫が寄り付かない。また、有機ELの非発光時の表面が鏡面状になることを活かした外光反射の照明装置としての設計も可能である。
【0026】
このように、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、各請求項に示した範囲内での種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も、本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0027】
1 支柱
10 屋外照明装置
11 発光部
12 ベース円板
13 樹脂カバー
14 円周溝
15 電力制御基板
16 天蓋
20 有機ELパネル
25 光電スイッチ
26 太陽電池パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部に設けられた電力制御部と、この電力制御部を囲むように、前記ベース部に保持された有機ELパネルからなる発光部と、該発光部の周囲を覆う光透過カバーと、該光透過カバーの上面を覆う天蓋とを備え、前記有機ELパネルが電力制御部からの供給電力により面発光し、前記光透過カバーを介して、側面周囲に均一光を発することを特徴とする屋外照明装置。
【請求項2】
前記有機ELパネルは、前記ベース部の板上に形成された円周溝に沿って円筒形状に立設された請求項1に記載の屋外照明装置。
【請求項3】
前記有機ELパネルは、前記ベース部の板上に立設された支持筒の外周面に沿って取り付けられた請求項1に記載の屋外照明装置。
【請求項4】
前記ベース部と、前記光透過カバーと、前記天蓋とが水密性を保持して組み立てられ、その内部に前記有機ELパネルが収容された請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の屋外照明装置。
【請求項5】
前記電力制御部は、ベース部の板上に載置され、その周囲を前記有機ELパネルが囲むように設置されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の屋外照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−28890(P2011−28890A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171063(P2009−171063)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(300022353)NECライティング株式会社 (483)
【Fターム(参考)】