説明

屋外照明設備

【課題】簡易な構成で災害備蓄品を収納可能とするとともに、照明部からの照射光によって夜間であっても災害備蓄品を容易に取り出すことができる屋外照明設備を提供する。
【解決手段】支柱部20と該支柱部20に地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体21とを有する照明部2と、該支柱部20が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部3とを具備してなる屋外照明設備1であって、基礎部3には、災害備蓄品5を収納可能な内部中空部40を有する保管部4が形成され、保管部4は、支柱部20の軸中心Cに対して、灯具本体21の突出方向に向けて配設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外照明設備の技術に関し、より詳細には、支柱部と該灯具本体に地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体とを有する照明部と、該支柱部が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部とを具備してなる屋外照明設備に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に示すように、従来、防犯灯や街路灯などを構成する屋外照明設備101は、支柱部120と支柱部120地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体121とを有する照明部102と、該支柱部120が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部103等とで構成されている。この屋外照明設備101は、基礎部103が地中に埋設されることで、照明部102が地表面に対して略垂直に立設されて配設される。
【0003】
ところで近年では、防災に対する関心の高まりから、地震や津波等などの災害時に備えて、非常食、調理器具、テント、及び災害用トイレなどの災害備蓄品を収納しておくための備蓄装置に関する技術が多く提案されている。このような備蓄装置に関しては、例えば、特許文献1又は特許文献2に開示されるように、災害備蓄品を格納する格納室を備え、地中に埋設させた状態で設置する構成が公知である(特許文献1又は特許文献2参照)。
【0004】
上述した備蓄装置においては、災害時には、夜間であっても、備蓄装置の取出口から格納室に格納された災害備蓄品を取り出したり、災害備蓄品の内でもテントや災害用トイレなどを組み立てたりする必要がある。しかし、上述した従来の備蓄装置は、夜間中の災害備蓄品の取り出し作業等のための光源は特に設けられていなかったため、夜間での災害備蓄品の取り出し作業が困難であり、被災地における災害復旧に支障をきたしていた。
【0005】
また、従来の屋外照明設備又は備蓄装置は、それぞれが別体として構成されていたため、備蓄装置からの災害備蓄品の取り出し作業の光源を確保するために、別途配設された屋外照明設備の近傍位置に備蓄装置が配設されていた。しかし、例えば、備蓄装置を新たに設置する場合において、設置場所に屋外照明設備が無いか若しくは不足している場合には、別途、備蓄設備の設置とともに屋外照明設備も設置する必要があった。
【0006】
なお、従来の屋外照明設備として、例えば特許文献3には、ソーラ電池パネルと灯具本体とを備えた支柱部と、支柱部と結合された基礎部とで構成された照明塔の塔柱設置装置(屋外照明設備)において、基礎部を重量のあるコンクリート塊で形成するとともに、基礎部中にソーラ電池パネル等の制御ボックスを格納する格納室を形成した構成が開示されている(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2004−183272号公報
【特許文献2】特開2004−183425号公報
【特許文献3】特開2000−188007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明においては、屋外照明設備に関し、前記従来の課題を解決するもので、簡易な構成で災害備蓄品を収納可能とし、照明部からの照射光によって夜間であっても災害備蓄品を容易に取り出すことができる屋外照明設備を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
すなわち、請求項1においては、支柱部と該支柱部に地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体とを有する照明部と、該支柱部が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部とを具備してなる屋外照明設備であって、前記基礎部には、災害備蓄品を収納可能な内部中空部を有する保管部が形成され、該保管部は、前記支柱部の軸中心に対して、前記灯具本体の突出方向に向けて配設されるものである。
【0010】
請求項2においては、前記保管部は、上部平面に内部中空部と連通される開口部が穿設されるものである。
【0011】
請求項3においては、前記照明部は、太陽電池を用いた自動蓄電手段を具備してなり、該自動蓄電手段より前記灯具本体に電力が供給されるものである。
【0012】
請求項4においては、前記灯具本体は、光源としてLEDが用いられるものである。
【0013】
請求項5においては、前記災害備蓄品の内、前記保管部の上部平面に災害用トイレが組み立てられ、前記内部中空部がトイレ槽を兼ねるものである。
【0014】
請求項6においては、前記内部中空部には、トイレ使用時に汚物回収具が配設されるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0016】
請求項1に示す構成としたので、簡易な構成で災害備蓄品を収納でき、照明部からの照射光によって夜間であっても災害備蓄品を容易に取り出すことができる。
【0017】
請求項2に示す構成としたので、保管部が地中に埋設された状態で、上部平面から内部中空部に収納された災害備蓄品を容易に取り出すことができる。
【0018】
請求項3に示す構成としたので、夜間照明用の電力を太陽光により賄うことができるため、省電力に寄与することができる。また、配電線等の敷設が不要となり、設置場所を選ばず、街路やその周辺環境の設計が容易となる。
【0019】
請求項4に示す構成としたので、蛍光ランプ等を用いた場合と比較して、その消費電力を抑えることができるとともに、長寿命化によるメンテナンスコストも大幅に低減できる。
【0020】
請求項5に示す構成としたので、平常時には通常の照明設備として使用しつつ、災害時には災害用トイレを上方から照射可能な照明設備としても使用することができる。
【0021】
請求項6に示す構成としたので、汚物回収具を交換することで、トイレ槽として用いられる内部中空部を連続して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の一実施例に係る屋外照明設備の全体的な構成を示した側面図、図2は同じく図1の正面図、図3は灯具本体の平面図、図4は保管部に対する支持プレート及び蓋部材の取付状態を示した平面図、図5は災害用トイレが組み立てられた状態の屋外照明設備の側面図、図6は同じく図5の正面図、図7は従来の屋外照明設備の側面図である。
【0023】
図1乃至図4に示すように、本実施例の屋外照明設備1は、公園や広場等の災害避難場所に街路灯や防犯灯などとして設置される照明設備であって、支柱部20と、支柱部に取り付けられる灯具本体21とを有する照明部2と、支柱部20が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部3と、内部中空部40を有し基礎部3に一体形成された保管部4等を具備してなるものである。なお、本実施例の屋外照明設備1は、災害時には、保管部4の上部平面に災害用トイレ50が組み立てられることで、災害用トイレ50を上方から照射可能な照明設備として使用することができるように構成されているが、詳細は後述する(図5及び図6参照)。
【0024】
図1及び図2に示すように、照明部2は、支柱部20と、灯具本体21と、自動蓄電手段としての太陽電池がモジュール化して敷設された太陽電池パネル22と、太陽電池パネル22で発電された電力を蓄電する蓄電装置23等とで構成されている。
【0025】
支柱部20は、断面円柱及び四角柱の柱状筐体が連結されて形成されており、後述する基礎部3に連結支持されることで、地表面に対して略垂直に立設される。支柱部20の上部には、上述した太陽電池パネル22が取り付けられるとともに、下部には蓄電装置23を収納する収納空間が形成されている。また、支柱部20の下端部20aは、後述するように基礎部3(の上部平面30)に図示せぬボルト等によって締結されている。
【0026】
灯具本体21は、前後方向軸をやや上方に向けた基本姿勢で、支柱部20に取り付けられ、支柱部20の軸中心Cから半径方向に沿って放射状となるように所定方向に突出して配置される。また、灯具本体21は、地表面から所定距離だけ離間するように位置されており、灯具本体21の略垂直下方領域から支柱部20の軸中心Cからの突出方向に向けて拡径方向領域が照射可能領域とされている。なお、この所定距離は、屋外照明設備1の設置場所や、光源の照度及び輝度等に応じて適宜設定され、本実施例では、灯具本体21が地表面から約2m〜4m垂直上方に位置される。
【0027】
図3に示すように、本実施例の灯具本体21は、光源として、白色LED21a及び青色LED21bが用いられている、具体的には、灯具本体21の光源は、白色LED21aが中央部に、青色LED21bが短手方向の両側に位置するように配設されるとともに、灯具本体21の長手方向に沿って各白色LED21a及び青色LED21bが、同一平面(基板)上に所定のピッチとなるように、略等間隔に、千鳥格子状若しくは碁盤升目状等の行列に配設される。
【0028】
このように、灯具本体21は、光源としてLED(白色LED21a及び青色LED21b)が用いられることで、蛍光ランプ等を用いた場合と比較して、その消費電力を10%〜15%に抑えることができるとともに、長寿命化によるメンテナンスコストも大幅に低減できる。また、本実施例のように、灯具本体21の光源に、白色LED21aと青色LED21bとを所定のレイアウトで配置することで、白色系と青色系の2色の照射光を同時に照射することができる。そして、灯具本体21の光源から青色系の照射光が照射されることで、平時は、青色光による犯罪抑止(若しくは防止)の効果が期待できるとともに、災害時には、青色光による鎮静作用の効果によって被災者のストレスを和らげることができる。
【0029】
蓄電装置23は、上述したように支柱部20の下部に配設され、バッテリー(その個数は問わない)やコントローラ等とで構成されている。蓄電装置23に蓄電された電力は、灯具本体21の光源部への電力として供給される。このように、本実施例の照明部2に自動蓄電手段としての太陽電池パネル22及び蓄電装置23が設けられることで、屋外照明設備1としては、夜間照明用の電力を太陽光により賄うことができるため、省電力に寄与することができる。
また、蓄電装置23として独立電源を備えているため、配電線等の敷設が不要となり、設置場所を選ばず、街路やその周辺環境の設計が容易となる。特に、災害時にライフラインが切断された場合であっても、照明手段を確保することができるため、保管部4からの災害備蓄品5の取り出し作業等を容易に行うことができる。
【0030】
図1及び図2に示すように、基礎部3は、素材としてコンクリート、モルタル、繊維強化プラスチック(FRP)等を用いて、全体として断面略矩形の直方体に形成されており、上部平面30に支柱部20の下端部20aが図示せぬボルト等によって締結される。この基礎部3の上部平面30は、地中に埋設された状態では地表面に表出しないように埋設される。なお、本実施例の基礎部3は、後述するように保管部4と一体形成されて構成されている。
【0031】
図1、図2及び図4に示すように、保管部4は、素材としてコンクリート、モルタル、繊維強化プラスチック(FRP)等を用いて、断面略矩形の箱型状に形成され、基礎部3の一側面に当接するような形で一体的に形成されている。この保管部4には、後述する災害備蓄品5を収納する内部中空部40が穿設されており、内部中空部40は、保管部4の上部平面41に開口された開口部41aを介して外部空間と連通されている。内部中空部40に収納された災害備蓄品5は、この開口部41aを介して保管部4の上方より取り出し可能とされる。
【0032】
保管部4において、一の外壁には内部中空部40と外部空間を貫通するようにして耐震パイプ42が貫設されている。耐震パイプ42は、後述するように、内部中空部40内に溜まった液分を内部中空部40から外部空間に排出させるものである。本実施例の耐震パイプ42の外部空間側端部はフリーな状態とされており、保管部4が地中に埋設された状態では、耐震パイプ42から液分は地中に直接排出される。耐震パイプ42の構成としては、特に限定されないが、好ましくはゴムやプラスチックなどの可撓性のある素材により形成される。このように、耐震パイプ42が可撓性のある素材により形成されることで、耐震パイプ42の耐震性を向上させることができる。
【0033】
内部中空部40の底面40aは、上述した耐震パイプ42が貫設された一の外壁に向けて対抗する外壁側から徐々に下方に傾斜していくように形成されている。内部中空部40において、このように底面40aが傾斜して形成されることで、内部中空部40に溜まった液分が底面40aの傾斜に沿って最下方位置に偏在させることができ、これらの液分を耐震パイプ42によって内部中空部40から外部空間に効率よく排出することができる。
【0034】
内部中空部40には、底面40aの上方であって、底面40aより離間を有するようにしてグレーチング44が配設されている。グレーチング44は、内部中空部40の水平面に渡って少なくとも対向する内壁に当接した状態で固定される。グレーチング44としては、格子状、ハニカム状、または所定箇所に貫通孔が穿設された板状部材により形成され、金属や合成樹脂などにより成形される。
【0035】
本実施例では、内部中空部40に収納された災害備蓄品5は、グレーチング44の上面に載置された状態で保管される。このように、グレーチング44が設けられることで、収納された災害備蓄品5に対して通気性をよくして湿気によるカビの発生などを防止できるとともに、耐震パイプ42から内部中空部40に進入したねずみや害虫などから災害備蓄品5を保護ことができる。また、剛性の高いグレーチング44が用いられることで、載置される災害備蓄品5の容量を増やすこともできる。
【0036】
なお、内部中空部40の内壁面には、上下昇降用のスロープ47と、後述する汚物回収具52を掛止するための掛止突起48・48が配設されている。スロープ47が設けられることで、内部中空部40から災害備蓄品5を容易に取り出すことができる。また、掛止突起48の配置個数等は特に限定されず、例えば、内部中空部40の各内壁面にそれぞれ取り付けられて、四方より汚物回収具52が掛止可能となるように配設されるのが好ましい。なお、この汚物回収具52についての詳細は、後述する(図5乃至図6参照)。
【0037】
図4に示したように、保管部4の上部平面41には、開口部41aを覆うように形成された支持プレート45が上部平面41の直上に載置され、支持プレート45をさらに覆うように形成された蓋部材46が支持プレート45の上方に取り付けられている。支持プレート45及び蓋部材46は、鉄・アルミ等の金属部材や、繊維強化プラスチック(FRP)などにより形成される。
【0038】
支持プレート45は、複数の長板状のプレートより形成されており、各部材が並列に整列された状態で開口部41aが閉止される。支持プレート45は、保管部4の上部平面41の外周に沿って形成された縁部41bによって位置決めされて着脱可能に固定される。開口部41aを開放する際には、支持プレート45の内、一又は数枚が取り外される。
また、後述するように、本実施例の屋外照明設備1が災害用トイレ装置として使用される場合には、支持プレート45は、災害用トイレ50をトイレ使用可能な状態で載置することができるように構成されている(図5及び図6参照)。支持プレート45には保管部4の内部中空部40に向けて貫通された貫通孔(図略)が穿設されており、支持プレート45に設置された災害用トイレ50から排出されるトイレ使用時の汚物がかかる貫通孔を介して保管部4の内部中空部40内に回収される。
【0039】
蓋部材46は、開口部41aを閉止した支持プレート45の上方に、保管部4の上部平面41及び支持プレート45を覆うようにして着脱可能に取り付けられる。蓋部材46の固定方法は特に限定されないが、例えば、上部平面41の縁部41bにボルトによって締結されてもよく、公知のロック機構によって固定されてもよい。蓋部材46は、保管部4が地中に埋設された状態であっても地表面に露出されることで、上述したボルトやロック機構などによる着脱操作を行うことができる。また、蓋部材46は、開口部41aに閉蜜的に密着され、保管部4の内部中空部40内に雨水や埃などが混入するのが防止されている。
【0040】
ここで、本実施例の屋外照明設備1は、上述した保管部4が、基礎部3に対して支柱部20の軸中心Cに対する灯具本体21の突出方向(図1において矢印方向)に向けて配設され、灯具本体21の下方に位置されている。すなわち、照明部2は、支柱部20が基礎部3の上部平面30に固定されるが、このとき、照明部2の灯具本体21と基礎部3に連設された保管部4とが支柱部20の軸中心Cに対して同一方向に向くように構成されている。換言すると、屋外照明設備1は、平面視で、照明部2の支柱部20の軸中心Cに対して、灯具本体21の突出方向と保管部4の配置方向とが略一致するように構成されている。
【0041】
屋外照明設備1において、灯具本体21と保管部4とが上述したように配置されることで、保管部4は灯具本体21の下方に位置される。この灯具本体21の下方の領域は、灯具本体21の照射可能領域であるため、灯具本体21の光源により照射された照射光が、保管部4の上部平面41に取り付けられた蓋部材46の表面に確実に照射されて、夜間であっても保管部4の蓋部材46の着脱作業を容易に行うことができるのである。また、後述するように、屋外照明設備1に災害用トイレ50が組み立てられることで、設置された災害用トイレ50の上方より照射光を照射することができ、夜間でのトイレ使用が可能とされている。
【0042】
災害備蓄品5としては、災害時に必要となる備品群であって、例えば、組立式かまど、三脚、グローブ、大鍋、お玉、フライ返し、まな板、包丁、はさみ、ステンレスボール、スプーン、マッチ、ライター、ポリタンク、非常食、携帯ラジオ、懐中電灯、飲料水などが含まれる。なお、これらの災害備蓄品5は、真空パックで梱包されており、カビ発生が防止されている。
【0043】
特に、本実施例の災害備蓄品5には、災害用トイレ50、テント51、汚物回収具52などが含まれる。災害時には、災害用トイレ50、テント51、及び汚物回収具52などが保管部4の内部中空部40より取り出されて、保管部4の上部(保管部4の上部平面41及び支持プレート45上)に組み立てられる(図5乃至図6参照)。
【0044】
次に、屋外照明設備1に災害用トイレ50等が組み立てられる場合について、以下に説明する。
屋外照明設備1は、上述したように内部中空部40を有する保管部4を備えているため、かかる内部中空部40に災害備蓄品5を収納しておくことで、災害時には、災害備蓄品5を内部中空部40より取り出して使用することができる。このとき、本実施例の屋外照明設備1は、災害時には、災害備蓄品5に含まれる災害用トイレ50、テント51、及び汚物回収具52などが保管部4に組み立てられる。このように、本実施例の屋外照明設備1は、保管部4の上部平面に災害用トイレ50が組み立てられ、保管部4の内部中空部40がトイレ槽を兼ねるとともに、災害用トイレ50を上方から照射可能な照明設備として使用することができるように構成されている。
【0045】
図1及び図2に示したように、平常時は、屋外照明設備1は、保管部4に災害備蓄品5を収納した状態で、照明部2によって防犯灯や街路灯などの照明設備として使用される。かかる状態では、保管部4は、開口部41aが支持プレート45及び蓋部材46によって閉止された状態で地中に埋設されているため、照明効果を阻害することはなく、また付近の通行人の邪魔になることはない。
【0046】
図5及び図6に示すように、災害時は、保管部4において支持プレート45及び蓋部材46が取り外されて開口部41aが開放されることにより、内部中空部40から災害備蓄品5が取り出される。そして、災害備蓄品5の内、災害用トイレ50、テント51、及び汚物回収具52がそれぞれ保管部4に組み付けられる。
【0047】
災害用トイレ50は、後述するように内部中空部40に汚物回収具52が収容された状態で、保管部4の上部平面41に取り付けられた支持プレート45の上面に組み立てられる。本実施例では、災害用トイレ50は、洋式便器として構成されており、支持プレート45の上面に設けられた図示せぬ位置決め突起に係合され、図示せぬボルト等によって固定される。災害用トイレ50が組み付けられた状態で、トイレ使用時の汚物が下方に排出される排出穴(図略)と支持プレート45の貫通孔(図略)とが連結される。
【0048】
テント51は、保管部4の上部平面41に取り付けられた支持プレート45の上面に、災害用トイレ50の四方及び上方を囲繞するようにして壁状に組み立てられる。本実施例では、テント51の各支柱51a・51a・・・は、保管部4の上部平面41に穿設された支持孔41c・41c・・・(図4参照)にそれぞれ挿入されて位置決めされる。また、本実施例では、テント51の上方部は透明のシート素材より構成される窓部51bが設けられている。かかる構成とすることで、本実施例の災害用トイレ装置が組み立てられた際に、照明部2(の灯具本体21)からの照射光を窓部51bよりテント51内部に採光することができる。そのため、屋外照明設備1に災害用トイレ50等が組み立てられた場合に、被災者(特に、子供や年寄り)が夜間でも照射光の下でトイレをすることができる安心感があり、災害時のストレスを緩和することができる。
【0049】
汚物回収具52は、一端に開口部52aを有する袋状に形成されており、保管部4に災害用トイレ50が組み立てられた状態で、災害用トイレ50より排出されたトイレ使用時の汚物を開口部52aより収容するとともに、収容したトイレ使用時の汚物の内、液分のみをろ過して内部中空部40の下方に排出し、固分のみを回収するように構成されている。
【0050】
汚物回収具52の構成は、特に限定されないが、一端に開口部52aを有する袋状に形成されるとともに、開口部52a近傍には掛止具52bが設けられており、この掛止具52bが上述した掛止突起48に掛止される。開口部52aには、閉止可能な閉止手段としての口紐が設けられてもよい。また、汚物回収具52を形成する素材としては、ろ過機能(透水性及びフィルタ性)、耐久性、及び強度が確保される素材が好ましく用いられる。また、汚物回収具52の容量(容積)として、1袋当たり200人〜250人分の屎尿(固分)を3日間程度、連続して処理可能な容量であるのが好ましい。
【0051】
汚物回収具52は、災害用トイレ50が組み立てられた状態では、開口部52aが、保管部4の開口部41aに向けて開口された状態で内部中空部40内に垂設される。具体的には、保管部4の上部平面41に支持プレート45が取り付けられた状態で、支持プレート45に開口された貫通孔(図略)と開口部52aとが略同一軸心上に位置するようにして位置決めされ、内部中空部40の略垂直方向に沿うようにして配設される。
【0052】
汚物回収具52によってろ過されたトイレ使用時の汚物に含まれる液分は、内部中空部40においてグレーチング44を介して底面40aに到達し、底面40aの傾斜に沿って一方に集められて、耐震パイプ42より内部中空部40から外部空間(地中)に排出される。一方で、汚物回収具52にて回収されたトイレ使用時の汚物に含まれる固分は、汚物回収具52ごと保管部4(内部中空部40)より取り出されて回収される。
【0053】
このように、汚物回収具52によって災害用トイレ50より排出されたトイレ使用時の汚物の内、液分のみをろ過して内部中空部40の下方に排出し、固分のみを回収することで、簡易な構成でトイレ使用時の汚物を効率よく回収でき、災害時において、災害用トイレ50の清潔、長期、かつ多人数の使用が可能となる。換言すると、汚物回収具52を交換することで、トイレ槽として用いられる内部中空部40を連続して繰り返して使用することができるのである。
【0054】
以上のように、本実施例の屋外照明設備1は、支柱部20と該支柱部20に地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体21とを有する照明部2と、該支柱部20が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部3とを具備してなる屋外照明設備1であって、基礎部3には、災害備蓄品5を収納可能な内部中空部40を有する保管部4が形成され、保管部4は、支柱部20の軸中心Cに対して、灯具本体21の突出方向に向けて配設されるため、簡易な構成で災害備蓄品5を収納でき、照明部2からの照射光によって夜間であっても災害備蓄品5を容易に取り出すことができる。
【0055】
すなわち、本実施例の屋外照明設備1は、照明部2を支持固定する基礎部3に、内部中空部40を有する保管部4が形成されるため、簡易な構成で災害備蓄品5を収納しておくことができる。
また、屋外照明設備1の移動及び設置作業が容易であるとともに、保管部4が地中に埋設されることで耐震性も担保することができる。特に、保管部4に災害備蓄品5を収納した状態で現場に納入すれば、後は基礎部3に照明部2を組み付けるだけ屋外照明設備1を設置できるため、屋外照明設備1の設置作業が容易であり、少なくとも一回の作業機会(例えば、1日間)で設置することができる。
さらに、例えば、新規に公園や避難場所に街灯や保管装置を設置する場合には、本実施例の屋外照明装置1が照明設備と保管設備とを兼ねるため、設置作業を容易とし、設置場所も自在に選定することができる。
【0056】
また、屋外照明設備1は、支柱部20の軸中心Cに対して灯具本体21の突出方向に向けて保管部4が配設されることで、灯具本体21の略垂直下方に保管部4が位置されるため、灯具本体21の光源により照射された照射光を保管部4の上部平面41(に取り付けられた蓋部材46の表面)に確実に照射させることができる。そのため、夜間であっても保管部4の蓋部材46の着脱作業を容易に行うことができ、照明部2からの照射光によって災害備蓄品5を容易に取り出すことができる。
特に、屋外照明設備1に災害用トイレ50等が組み立てられる場合には、設置された災害用トイレ50の上方より照射光が照射されて、夜間でのトイレ使用が可能となる。
【0057】
特に、本実施例では、保管部4は、上部平面41に内部中空部40と連通される開口部41aが穿設されるため、保管部4が地中に埋設された状態で、上部平面41から内部中空部40に収納された災害備蓄品5を容易に取り出すことができ、保管部4によって照明効果が阻害されることがなく、また付近の通行人の邪魔になることはない。
【0058】
また、本実施例の屋外照明設備1は、災害備蓄品5の内、保管部4の上部平面41に災害用トイレ50が組み立てられ、内部中空部40がトイレ槽を兼ねるため、災害時には災害用トイレを上方から照射可能な照明設備として使用することができる。すなわち、災害時には、災害備蓄品5として保管部4の内部中空部40に収納される災害用トイレ50及び汚物回収具52を内部中空部40より取り出して保管部4に組み立てることができるため、被災地のライフラインが切断されても、災害備蓄品5の搬出や災害用トイレ装置が不足することがない。また、内部中空部40に汚物回収具52が配設されるため、トイレ使用時の汚物の回収が容易であり、汚物回収具52を交換することで、トイレ槽として用いられる内部中空部40を連続して使用することができる。
【0059】
なお、本実施例の屋外照明設備1の構成は、上述した実施例に限定されない。
【0060】
すなわち、上述した実施例では、屋外照明設備1が災害用トイレ装置として用いた場合について説明したが、必ずしもこのような使用方法に限定されるものではない。本実施例の屋外照明設備1は、内部中空部40を有する保管部4を備え、保管部4が支柱部20の軸中心Cに対して、灯具本体21の突出方向に向けて配設されるのであれば、その使用方法は特に限定されない。
【0061】
また、上述した実施例の屋外照明設備1では、基礎部3と保管部4とが同一部材により形成されるが、例えば、基礎部3をコンクリートによって形成するとともに、保管部4をFRPによって形成し、基礎部3に保管部4を一体的に組み付けるように構成してもよい。なお、保管部4をFRPにより形成する場合には、予め所定形状に成形したものや、所定形状となるように組立可能に成形されたものなどが用いられる。
【0062】
また、本実施例の屋外照明設備1は、基礎部3及び保管部4が地中の所定深さに埋設された状態で使用されるが、この埋設深さは、既設の下水管の深度に合わせて調整可能とされる。特に、保管部4の内部容積である内部中空部40の大きさや形状は、これらの埋設深さや下水管の深度等によって適宜調整・変更が可能とされる。
【0063】
照明部2の支柱部20の構成は、上述した実施例に限定されず、例えば、支柱部20の上端部に風向きを検出するための風向計などが設けられてもよく、太陽電池パネル22のパネル面を向ける方位を示す方位表示が設けられてもよい。また、上述した自動蓄電手段を設けることなく、別途、支柱部20に取り付けられた電力供給用の配電線が敷設されてもよい。かかる場合には、電力供給部材(電線)は、配電線若しくは電源装置に接続される。さらに、支柱部20や灯具本体21に、全体として統一された意匠性が付与されることで、全体として美観を有し、市街地におけるモニュメントとしても使用することができる。
【0064】
上述した実施例では、照明部2の灯具本体21の光源として、白色LED21a及び青色LED2bを用いた構成を示したが、光源の種類や構成は特に限定されない。例えば、LED以外には蛍光灯やガス灯などを用いてもよく、また光源としてLEDを用いた場合には白色等の単一色のLEDを用いてもよい。ただし、好ましくは、光源としては、白色LED21a及び青色LED2bを用いて構成される。
【0065】
上述した実施例では、保管部4において、耐震パイプ42の外部空間側の端部は、フリーな状態で埋設されるが、耐震パイプ42の構成はこれに限定されず、例えば、耐震パイプ42の外部空間側の端部をマンホール(下水管)にまで導出して接続してもよい。このような構成とすることで、屋外照明装置1を災害用トイレ装置として用いた場合であっても、トイレ使用時の汚物に含まれる液分を地中に直接排出することがなくマンホールに回収することができるため、周囲の環境を汚染することなく清潔な状態を維持することができる。
【0066】
上述した実施例の蓋部材46においては、その地表面に露出する側の表面に蛍光プレートを貼付して、夜間でも容易に場所を特定できるように構成してもよい。また、支持プレート45及び蓋部材46によって開口部41aを閉止するように構成されているが、保管部4の上部平面41には、いずれか一方の部材により閉止するように構成してもよい。
【0067】
上述した実施例では、災害用トイレ50が洋式便器として構成されているが、その構造は特に限定されず、例えば、座着部を構成しない和式便器として構成されてもよい。また、保管部4の開口部41aに支持プレート45を介することなく、直接に災害用トイレ50が組み立てられてもよい。また、災害用トイレ50を構成する部材としては、便器だけでなく、例えば、手すりやトイレットペーパー収納具なども含有され、これらの部材も支持プレート45に同時に設置することができる。
【0068】
テント51の構造としては、本実施例では地表面に直接立設される立設型に構成されているが、例えば、補助具に吊り下げられる吊下型などで構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施例に係る屋外照明設備の全体的な構成を示した側面図。
【図2】同じく図1の正面図。
【図3】灯具本体の平面図。
【図4】保管部に対する支持プレート及び蓋部材の取付状態を示した平面図。
【図5】災害用トイレが組み立てられた状態の屋外照明設備の側面図。
【図6】同じく図5の正面図。
【図7】従来の屋外照明設備の側面図。
【符号の説明】
【0070】
1 屋外照明設備
2 照明部
3 基礎部
4 保管部
20 支柱部
21 灯具本体
40 内部中空部
C 軸中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱部と該支柱部に地表面から所定高さに位置するように取り付けられる灯具本体とを有する照明部と、該支柱部が連結支持された状態で地中に埋設される基礎部とを具備してなる屋外照明設備であって、
前記基礎部には、災害備蓄品を収納可能な内部中空部を有する保管部が形成され、該保管部は、前記支柱部の軸中心に対して、前記灯具本体の突出方向に向けて配設されることを特徴とする屋外照明設備。
【請求項2】
前記保管部は、上部平面に内部中空部と連通される開口部が穿設されることを特徴とする請求項1に記載の屋外照明設備。
【請求項3】
前記照明部は、太陽電池を用いた自動蓄電手段を具備してなり、該自動蓄電手段より前記灯具本体に電力が供給されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋外照明設備。
【請求項4】
前記灯具本体は、光源としてLEDが用いられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の屋外照明設備。
【請求項5】
前記災害備蓄品の内、前記保管部の上部平面に災害用トイレが組み立てられ、前記内部中空部がトイレ槽を兼ねることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の屋外照明設備。
【請求項6】
前記内部中空部には、トイレ使用時に汚物回収具が配設されることを特徴とする請求項5に記載の屋外照明設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−37877(P2009−37877A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201365(P2007−201365)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【出願人】(507259349)株式会社フロンティアサンワ (1)
【出願人】(507259936)景環システム株式会社 (3)
【出願人】(000133294)株式会社ダイクレ (65)
【出願人】(000164885)栗本化成工業株式会社 (32)
【出願人】(000138336)株式会社スノーピーク (19)
【Fターム(参考)】