屋外用消防ホース格納箱
【課題】 設置場所が不整地や傾斜地であっても、水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、消防用ホース等を格納する格納箱内のスペースを有効利用でき、然も、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにする。
【解決手段】 コンクリート製の据え付け架台1と、当該据え付け架台1の上面側に、据え付け架台1の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板2と、当該水平レベル調整板2を水平レベルに調整して据え付け架台1上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構3と、前記水平レベル調整板2上に載置固定した消防用ホースAの格納箱4とから構成する。
【解決手段】 コンクリート製の据え付け架台1と、当該据え付け架台1の上面側に、据え付け架台1の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板2と、当該水平レベル調整板2を水平レベルに調整して据え付け架台1上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構3と、前記水平レベル調整板2上に載置固定した消防用ホースAの格納箱4とから構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道や道路脇、建物の周囲等に設置されて内部に消火活動に使用される消防用ホースやノズル等を格納した屋外用消防ホース格納箱の改良に係り、特に、設置場所が不整地や傾斜地であっても水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、消防用ホース等を格納する格納箱内のスペースを有効利用できるうえ、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにした屋外用消防ホース格納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歩道や道路脇等の屋外に設置される屋外用消防ホース格納箱は、自然の風雨に曝され易いので、消防用ホースやノズル等を格納する格納箱を適宜の高さを有するコンクリート製の架台の上に載せる構成となっている。
【0003】
コンクリート製の架台を用いた屋外用消防ホース格納箱の従来技術としては、例えば、実用新案登録第2133725号公報(特許文献1)に開示された屋外据付け型消火用ホース格納庫や特許第3069559号公報(特許文献2)に開示された収納箱載置固定基台が知られている。
【0004】
即ち、前者の屋外据付け型消火用ホース格納庫は、図示していないが、コンクリート製の左右の据付け脚柱と、左右の据付け脚柱の上面に固着された防蝕用連繋プレートと、左右の据付け脚柱の上面に植設された複数のスタッドボルトと、スタッドボルトに嵌め込まれる座金と、スタッドボルトに螺着される固定ナットと、左右の据付け脚柱の上面に載置される格納庫本体とから構成されており、格納庫本体の底板に形成したボルト受入れ長孔内にスタッドボルトを挿通し、当該スタッドボルトへ格納庫本体の内方から座金を介して固定ナットを螺着することによって、左右の据付け脚柱と格納庫本体とを組立固定するようにしたものである。
【0005】
この屋外据付け型消火用ホース格納庫は、据付け脚柱の成形時にスタッドボルトの間隔や姿勢を防蝕用連繋プレートにより正しく安定裡に保つことができるうえ、スタッドボルトの上端部や固定ナットが格納庫本体内に位置して風雨に曝されず、風雨による発錆や老化を防止できる等の利点がある。
【0006】
一方、後者の収納箱載置固定基台は、図示していないが、コンクリート製の左右の基台ブロックと、左右の基台ブロックの上面に植設された複数の収納箱載置固定用ボルトと、左右の基台ブロックの上面に架設載置されるゲージ板とから構成されており、左右の基台ブロックの上面に植設した収納箱載置固定用ボルトをゲージ板に形成したボルト挿嵌孔に挿通することによって、左右の基台ブロックの位置決めを行えるようにしたものである。
【0007】
この収納箱載置固定基台は、左右の基台ブロックを設置する際にゲージ板により基台ブロックの位置決めを容易に行えるうえ、収納箱載置固定基台へのホース等の格納箱の設置を容易に行える等の利点がある。
【0008】
ところで、上述した屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、これらを不整地や水はけを良くするための勾配を設けた傾斜地に設置する場合に、コンクリート製の据付け脚柱や基台ブロックを水平に設置しなければならない。
【0009】
何故なら、据付け脚柱や基台ブロックが傾斜した状態で設置されると、据付け脚柱や基台ブロック上に載置固定される消防用ホース等の格納箱が変形等を起こし、開閉扉の開閉に支障を来たすと云う問題が発生するからである。
又、消防用ホース等の格納箱が傾斜して設置されると、内部に浸入した雨水が格納箱内の底部に片寄った状態で溜まり、格納箱の底板に形成した水抜き孔から自然に排出され難くなり、錆びを誘発するからである。
【0010】
しかし、上述した従来の屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、これらを不整地や傾斜地に設置する場合、据付け脚柱及び基台ブロックと設置面との間に石を噛ませ、格納箱が水平になるようにレベル調整しているが、据付け脚柱や基台ブロックの微妙なレベル調整を行い難く、設置に時間がかかると云う問題があった。
【0011】
又、屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内に消防用ホースやノズルの他に地下式消火栓の開閉用キーハンドルやスタンドパイプを追加収納する場合に、これらをただ単に格納箱内に押し込むだけの収納となっており、これらを格納箱内に整然と収納することができなかったり、或いは収納できないこともあった。そのため、火災発生時に格納箱内から消防用ホースや開閉用キーハンドル、ノズル等を取り出し難いと云う問題があった。
【0012】
更に、屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、歩道や道路脇に設置する場合が多く、夜間の照明が不十分であると、夜間に格納箱を確認し難くなる。そのため、夜間に火災が発生した場合には、格納箱の位置確認が遅れ、迅速な消火活動を行えないと云う問題があった。
又、夜間に屋外用消防ホース格納箱を確認し難いと、自転車や自動車との接触事故が起こり易くなり、格納箱が破損したり、或いは傷付いたりすることがある。この場合には、火災発生時に格納箱の開閉扉が開き難くなったり、格納箱の塗装が剥がれて腐食を促進してしまうと云う問題があった。
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第2133725号公報
【特許文献2】特許第3069559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、設置場所が不整地や傾斜地であっても水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、消防用ホース等を格納する格納箱内のスペースを有効利用でき、然も、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにした屋外用消防ホース格納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、コンクリート製の据え付け架台と、当該据え付け架台の上面側に、据え付け架台の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板と、当該水平レベル調整板を水平レベルに調整して据え付け架台上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構と、前記水平レベル調整板上に載置固定した消防用ホースの格納箱とから構成したことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1の発明に於いて、ホース格納箱内に、ノズルと地下式消火栓の開閉用キーハンドルを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック付のノズル受けを配設したことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、格納箱の外周面に、再帰反射テープを貼り付けたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明に於いて、コンクリート製の据え付け架台を、その底部にアンカー止め用の固定金具を挿入固定するための開口を形成した据え付け架台とし、当該据え付け架台を固定金具とアンカーピン又はアンカーボルトにより設置面へ固定する構成としたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、コンクリート製の据え付け架台と、据え付け架台の上面側に傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板と、水平レベル調整板を水平レベルに調整して据え付け架台上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構と、水平レベル調整板上に載置固定した消防用ホースの格納箱とから構成しているため、不整地や傾斜地への設置時に据え付け架台の水平レベルが出ていなくても、水平レベル調整板をレベル調整固定機構により水平姿勢に保つことによって、格納箱を水平姿勢に簡単且つ容易に設置することが可能となる。
その結果、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地に設置する場合でも、据え付け架台の微妙なレベル調整が不要となり、設置を短時間で簡単且つ容易に行える。
又、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも消防用ホース等を格納する格納箱を水平に設置できるため、格納箱が変形を起こすと云うことがなく、開閉扉の開閉もスムースに行える。
更に、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも格納箱を水平に設置できるため、格納箱内に浸入した雨水が格納箱内に片寄った状態で溜まると云うことがなく、格納箱の底板に形成した水抜き孔から雨水が排水され易くなり、錆びを誘発し難くなる。
そのうえ、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱の底面が水平レベル調整板と接触し、コンクリート製の据え付け架台の上面に直接接触することがないので、従来のように雨水が格納箱の底面と据え付け架台の上面との接触面に浸透して腐蝕を促進すると云うこともなくなる。
【0020】
本発明の請求項2〜請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
【0021】
即ち、本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内に、ノズルと地下式消火栓の開閉用キーハンドルを前後方向に配列して保持するフック付のノズル受けを配設しているため、格納箱内にノズル及び開閉用キーハンドルを整然と収納することができ、収納スペースが広くなって格納箱内のスペースを有効利用することができる。
その結果、本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内にスタンドパイプ等の収納場所を確保することができるうえ、消防用ホースやノズル、開閉用キーハンドル等の取り出しも容易に行える。
【0022】
本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱の外周面に、再帰反射テープを貼り付けているため、夜間の照明が不十分である歩道や道路脇に設置しても、夜間に設置場所を容易に確認することができ、火災発生時に迅速な消火活動を行える。
又、本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、夜間に格納箱の設置場所を容易に確認することができるため、人に対して確実に注意を喚起でき、夜間に格納箱近傍を通過する自転車や自動車との接触事故を防止することができる。
【0023】
本発明の請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、据え付け架台を、その底部にアンカー止め用の固定金具を挿入固定するための開口を形成した据え付け架台とし、当該据え付け架台を固定金具とアンカーピン又はアンカーボルトにより設置面へ固定する構成としているため、不整地や傾斜地であっても、格納箱を設置面へ強固に固定することができ、地震等による格納箱自体の不慮の転倒を確実に防止することができ、安全性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は本発明の実施の形態に係る屋外用消防ホース格納箱を示し、当該屋外用消防ホース格納箱は、歩道や道路脇、建物の周囲等に設置されて火災発生時に消火活動に使用される消防用ホースAやノズルB等を格納するものであり、設置場所が不整地や傾斜地であっても、水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、格納箱4内のスペースを有効利用できるうえ、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにしたものである。
【0025】
即ち、前記屋外用消防ホース格納箱は、図1〜図5に示す如く、コンクリート製の左右の据え付け架台1と、据え付け架台1の上面側に、据え付け架台1の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板2と、水平レベル調整板2を水平レベルに調整して据え付け架台1上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構3と、水平レベル調整板2上に載置固定した消防用ホースAの格納箱4と、格納箱4の外周面に貼り付けた再帰反射テープ5とから構成されており、格納箱4内に消防用ホースA、ノズルB、地下式消火栓の開閉用キーハンドルC、地下式消火栓に接続されるスタンドパイプDを夫々収納したものである。
【0026】
具体的には、前記左右の据え付け架台1は、図6に示す如く、コンクリートによりブロック状に形成されており、その底部中央位置には、アンカー止め用の固定金具6を挿入固定するための開口1aが形成されている。尚、固定金具6には、断面形状がL字形の鋼材が使用されている。
又、左右の据え付け架台1の開口1aには、耐食性を有する金属板(この例では、ステンレス鋼板)により形成された四角筒状の補強部材7が固着されている。この補強部材7は、据え付け架台1の開口1aに挿入された固定金具6の両端部が開口1aから抜け落ちるのを防止すると共に、据え付け架台1を固定金具6及びアンカーピン8(又はアンカーボルト9)を用いて設置面へ押圧固定できるようにするものである。
更に、左右の据え付け架台1の上面には、後述するレベル調整固定機構3の固定用ボルト3aが前後方向に一定の間隔をあけた状態で且つ据え付け架台1の上面から上方へ突出する状態で植設されている。
【0027】
前記水平レベル調整板2は、図6に示す如く、ステンレス鋼板や鋼板の表面に耐食性に優れた材料を被覆した表面処理鋼板等の金属板により格納箱4の底面よりも若干小さめの長方形状に形成されており、左右の据え付け架台1上に、後述するレベル調整固定機構3により据え付け架台1の上面との間に隙間を設けた状態で且つ水平姿勢で固定されるようになっている。
この水平レベル調整板2の四隅には、レベル調整固定機構3の固定用ボルト3aが遊嵌状態で挿通されるボルト挿通孔2aが夫々形成されていると共に、水平レベル調整板2の中央位置には、水平レベル調整板2の長手方向に沿って水抜き孔2bが一定の間隔で形成されている。
【0028】
前記レベル調整固定機構3は、図3、図4及び図6に示す如く、下端部側が据え付け架台1の上面側に埋設され、上端部側が据え付け架台1の上面から一定高さだけ突出して水平レベル調整板2のボルト挿通孔2aに挿通される四本の固定用ボルト3aと、各固定用ボルト3aに二つずつ螺着されるナット3bと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される小さめの平座金3cと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される大きめの平座金3dと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される勾配吸収用の環状のゴムパッキン3eとから構成されており、不整地や傾斜地の勾配をゴムパッキン3eで吸収して水平レベル調整板2を据え付け架台1上で水平レベルに調整できると共に、水平調整した水平レベル調整板2を格納箱4と一緒に据え付け架台1上に固定できるようにしたものである。
【0029】
前記格納箱4は、図1〜図5に示す如く、左右の側板4a、背板4b、屋根板4c及び底板4dから成る前面が開放された表面処理鋼板製のボックス本体4′と、ボックス本体4′に回転軸(図示省略)を介して回動自在に取り付けられ、ボックス本体4′の前面側開口を開閉する止め金付きのハンドル4eを備えた表面処理鋼板製の開閉扉4″とから構成されている。
又、格納箱4の底板4dは、上げ底構造になっており、その上面が開閉扉4″の下端と同一の高さに設定されている。この底板4dには、水平レベル調整板2のボルト挿通孔2aに合致してレベル調整固定機構3の固定用ボルト3aを受け入れる四つのボルト受入れ孔(図示省略)と、水平レベル調整板2の水抜き孔2bに合致する複数の水抜き孔4d′とが夫々形成されている。
更に、格納箱4の左右の側板4a及び背板4b等の下端部は、内方へ直角に折り曲げられており、側面の強度の向上と腐食に対して一番弱い鋼板の切断面を雨水から保護するようになっている。
【0030】
そして、格納箱4内には、ノズルBと地下式消火栓の開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック10a付のノズル受け10と、消防用ホースAを保持するホース受け11とが配設されている。
【0031】
即ち、ノズル受け10は、図3、図4、図5及び図7に示す如く、鋼板材により二股状に形成されて二股部分の前側部分でノズルBを鉛直姿勢で保持できるようになっており、ボックス本体4′内の背板4bに水平姿勢で固定されている。この二股状のノズル受け10の奥部には、開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で保持するフック10aが一体的に形成されている。これにより、ノズル受け10は、ノズルBと開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持することができる。
又、ホース受け11は、ボックス本体4′の底板4d上面に片寄った状態で設けられている。
【0032】
前記再帰反射テープ5は、図1及び図2に示す如く、格納箱4体の屋根板4cの前端部及び両側端部に貼り付けられており、衝突防止用や緊急時の位置確認用として使用されるものである。この再帰反射テープ5は、裏面に接着層を設けた樹脂製の基層上にアルミニウム、銀又は銅等の金属を蒸着又は塗装によって反射膜を形成し、この反射膜上に無数のガラスピースを樹脂によって接着したテープである。
【0033】
次に、上述した屋外用消防ホース格納箱を不整地や傾斜地に設置する場合について説明する。
【0034】
先ず、左右の据え付け架台1を不整地や傾斜地に設置すると共に、左右の据え付け架台1の開口1aに固定金具6の両端部を夫々挿入し、固定金具6をアンカーピン8で設置面へ固定する(図8及び図9参照)。このとき、左右の据え付け架台1が沈み込む危険性のある場合には、据え付け架台1を設置する前に不整地の地盤や傾斜地の地盤を固める。
【0035】
次に、左右の据え付け架台1の上面に植設したレベル調整固定機構3の各固定用ボルト3aにナット3b、小さめの平座金3c、大きめの平座金3d、ゴムパッキン3eを順次通し、その上から水平レベル調整板2を載せて水平レベル調整板2の各ボルト挿通孔2aに固定用ボルト3aを夫々挿通する。
【0036】
その後、水平レベル調整板2の上面に水準器(図示省略)を載せ、当該水準器を使用して水平レベル調整板2が水平姿勢になるように各固定用ボルト3aに螺着したナット3bを調整すると共に、水平レベル調整板2の高さがホース格納箱4を設置する高さになるように水平レベル調整板2の高さを調整する(図10参照)。
【0037】
水平レベル調整板2の水平レベル及び高さが調整されたら、水平レベル調整板2の上に格納箱4を載せ、格納箱4の底板4dに形成した各ボルト受入れ孔(図示省略)に固定用ボルト3aを夫々挿通する。
【0038】
最後に、格納箱4の内部に突き出た各固定用ボルト3aにゴムパッキン3e、大きめの平座金3d、小さめの平座金3c、ナット3bを順次通し、格納箱4内のナット3bを締め付けることによって、水平レベル調整板2ごと格納箱4を水平姿勢に固定する(図11及び図12参照)。
【0039】
このように、屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地への設置時に据え付け架台1の水平レベルが出ていなくても、水平レベル調整板2を固定機構3により水平姿勢に角度調整することによって、格納箱4を水平姿勢に簡単且つ容易に設置することが可能になると共に、据え付け架台1の微妙なレベル調整が不要となって格納箱4の設置を短時間で行える。
又、屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも格納箱4を水平に設置できるため、格納箱4が変形を起こすと云うことがなく、開閉扉4″の開閉も容易に行えるうえ、格納箱4内に浸入した雨水が格納箱4内に片寄った状態で溜まると云うことがなく、格納箱4及び水平レベル調整板2に形成した水抜き孔4d′,2bから雨水が排水され易くなり、錆びを誘発し難くなる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底面(底板4dの下面)が水平レベル調整板2と接触しているため、従来のように雨水が格納箱の底面とコンクリート架台の上面との接触面に浸透して腐蝕を促進すると云うこともなくなる。
そのうえ、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底板4dが上げ底構造になっているため、格納箱4の両側面や背面を伝わる雨水が直接水平レベル調整板2にかかると云うことがなく、又、格納箱4の両側板4a及び背板4bを内方へ折り曲げているため、側面の強度の向上と腐食に対して一番弱い鋼板の切断面を雨水から保護することができる。
加えて、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底板4dが上げ底構造になっており、底板4dの上面が開閉扉4″の下端と同一になっているため、格納箱4内の清掃も行い易くなる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4内に配設したノズル受け10が開閉用キーハンドルCを保持するフック10aを備えているため、格納箱4内にノズルB及び開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列した状態で整然と格納することができ、収納スペースが広くなって格納箱4内のスペースを有効利用することができる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の屋根板4cの前面及び両側面に、再帰反射テープ5を貼り付けているため、夜間の照明が不十分である歩道や道路脇に設置しても、夜間に格納箱4近傍を通過する自転車や自動車との接触事故を防止することができると共に、夜間に格納箱4の場所を容易に確認することができ、火災発生時に迅速な消火活動を行える。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、左右の据え付け架台1を固定金具6及びアンカーピン8により設置面へ固定しているため、不整地や傾斜地であっても、設置面へ強固に固定することができ、地震等による格納箱4自体の不慮の転倒を確実に確実に防止することができ、安全性に優れたものとなる。
【0040】
尚、上記の実施の形態に於いては、固定金具6及びアンカーピン8を用いて左右の据え付け架台1を設置面に固定し、固定した左右の据え付け架台1上に水平レベル調整板2及びレベル調整固定機構3を用いて格納箱4を水平姿勢に固定するようにしたが、アンカーボルト9を使用できる場合には、図13に示す如く、左右の据え付け架台1と設置面との間にスペーサ12を入れ、据え付け架台1のガタツキを無くした後、固定した左右の据え付け架台1上に水平レベル調整板2及びレベル調整固定機構3を用いて格納箱4を水平姿勢に固定するようにしても良い。
【0041】
又、上記の実施の形態に於いては、レベル調整固定機構3をナット3b、小さめの平座金3c、大きめの平座金3d、ゴムパッキン3eから構成し、不整地や傾斜地の勾配をゴムパッキン3eで吸収するようにしたが、他の実施の形態に於いては、ゴムパッキン3e
及び平座金3c,3dに替えて球面座金(図示省略)を使用しても良く、或いはゴムパッキン3eと球面座金を併用して使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る屋外用消防ホース格納箱の正面図である。
【図2】屋外用消防ホース格納箱の側面図である。
【図3】格納箱の一部を破断した屋外用消防ホース格納箱の拡大正面図である。
【図4】格納箱の一部を破断した屋外用消防ホース格納箱の拡大側面図である。
【図5】屋外用消防ホース格納箱の拡大横断面図である。
【図6】据え付け架台及びレベル調整固定機構の分解斜視図である。
【図7】ノズル受けの斜視図である。
【図8】不整地の地盤を固めた状態の地盤の縦断面図である。
【図9】据え付け架台を固定金具及びアンカーピンにより不整地へ固定した状態の正面図である。
【図10】据え付け架台上に水平レベル調整板を水平姿勢で取り付けた状態の正面図である。
【図11】水平レベル調整板上に格納箱を取り付け固定した状態の一部切欠部分正面図である。
【図12】水平レベル調整板上に格納箱を取り付け固定した状態の拡大縦断側面図である。
【図13】据え付け架台を固定金具及びアンカーボルトで設置面へ固定した状態を示し、(A)は据え付け架台の正面図、(B)は据え付け架台の側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1は据え付け架台、1aは据え付け架台の開口、2は水平レベル調整板、3はレベル調整固定機構、4は格納箱、5は再帰反射テープ、6は固定金具、8はアンカーピン、9はアンカーボルト、10はノズル受け、10aはノズル受けのフック、Aは消防用ホース、Bはノズル、Cは開閉用キーハンドル。
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩道や道路脇、建物の周囲等に設置されて内部に消火活動に使用される消防用ホースやノズル等を格納した屋外用消防ホース格納箱の改良に係り、特に、設置場所が不整地や傾斜地であっても水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、消防用ホース等を格納する格納箱内のスペースを有効利用できるうえ、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにした屋外用消防ホース格納箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、歩道や道路脇等の屋外に設置される屋外用消防ホース格納箱は、自然の風雨に曝され易いので、消防用ホースやノズル等を格納する格納箱を適宜の高さを有するコンクリート製の架台の上に載せる構成となっている。
【0003】
コンクリート製の架台を用いた屋外用消防ホース格納箱の従来技術としては、例えば、実用新案登録第2133725号公報(特許文献1)に開示された屋外据付け型消火用ホース格納庫や特許第3069559号公報(特許文献2)に開示された収納箱載置固定基台が知られている。
【0004】
即ち、前者の屋外据付け型消火用ホース格納庫は、図示していないが、コンクリート製の左右の据付け脚柱と、左右の据付け脚柱の上面に固着された防蝕用連繋プレートと、左右の据付け脚柱の上面に植設された複数のスタッドボルトと、スタッドボルトに嵌め込まれる座金と、スタッドボルトに螺着される固定ナットと、左右の据付け脚柱の上面に載置される格納庫本体とから構成されており、格納庫本体の底板に形成したボルト受入れ長孔内にスタッドボルトを挿通し、当該スタッドボルトへ格納庫本体の内方から座金を介して固定ナットを螺着することによって、左右の据付け脚柱と格納庫本体とを組立固定するようにしたものである。
【0005】
この屋外据付け型消火用ホース格納庫は、据付け脚柱の成形時にスタッドボルトの間隔や姿勢を防蝕用連繋プレートにより正しく安定裡に保つことができるうえ、スタッドボルトの上端部や固定ナットが格納庫本体内に位置して風雨に曝されず、風雨による発錆や老化を防止できる等の利点がある。
【0006】
一方、後者の収納箱載置固定基台は、図示していないが、コンクリート製の左右の基台ブロックと、左右の基台ブロックの上面に植設された複数の収納箱載置固定用ボルトと、左右の基台ブロックの上面に架設載置されるゲージ板とから構成されており、左右の基台ブロックの上面に植設した収納箱載置固定用ボルトをゲージ板に形成したボルト挿嵌孔に挿通することによって、左右の基台ブロックの位置決めを行えるようにしたものである。
【0007】
この収納箱載置固定基台は、左右の基台ブロックを設置する際にゲージ板により基台ブロックの位置決めを容易に行えるうえ、収納箱載置固定基台へのホース等の格納箱の設置を容易に行える等の利点がある。
【0008】
ところで、上述した屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、これらを不整地や水はけを良くするための勾配を設けた傾斜地に設置する場合に、コンクリート製の据付け脚柱や基台ブロックを水平に設置しなければならない。
【0009】
何故なら、据付け脚柱や基台ブロックが傾斜した状態で設置されると、据付け脚柱や基台ブロック上に載置固定される消防用ホース等の格納箱が変形等を起こし、開閉扉の開閉に支障を来たすと云う問題が発生するからである。
又、消防用ホース等の格納箱が傾斜して設置されると、内部に浸入した雨水が格納箱内の底部に片寄った状態で溜まり、格納箱の底板に形成した水抜き孔から自然に排出され難くなり、錆びを誘発するからである。
【0010】
しかし、上述した従来の屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、これらを不整地や傾斜地に設置する場合、据付け脚柱及び基台ブロックと設置面との間に石を噛ませ、格納箱が水平になるようにレベル調整しているが、据付け脚柱や基台ブロックの微妙なレベル調整を行い難く、設置に時間がかかると云う問題があった。
【0011】
又、屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内に消防用ホースやノズルの他に地下式消火栓の開閉用キーハンドルやスタンドパイプを追加収納する場合に、これらをただ単に格納箱内に押し込むだけの収納となっており、これらを格納箱内に整然と収納することができなかったり、或いは収納できないこともあった。そのため、火災発生時に格納箱内から消防用ホースや開閉用キーハンドル、ノズル等を取り出し難いと云う問題があった。
【0012】
更に、屋外据付け型消火用ホース格納庫や収納箱載置固定基台を用いた屋外用消防ホース格納箱は、歩道や道路脇に設置する場合が多く、夜間の照明が不十分であると、夜間に格納箱を確認し難くなる。そのため、夜間に火災が発生した場合には、格納箱の位置確認が遅れ、迅速な消火活動を行えないと云う問題があった。
又、夜間に屋外用消防ホース格納箱を確認し難いと、自転車や自動車との接触事故が起こり易くなり、格納箱が破損したり、或いは傷付いたりすることがある。この場合には、火災発生時に格納箱の開閉扉が開き難くなったり、格納箱の塗装が剥がれて腐食を促進してしまうと云う問題があった。
【0013】
【特許文献1】実用新案登録第2133725号公報
【特許文献2】特許第3069559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、設置場所が不整地や傾斜地であっても水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、消防用ホース等を格納する格納箱内のスペースを有効利用でき、然も、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにした屋外用消防ホース格納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、コンクリート製の据え付け架台と、当該据え付け架台の上面側に、据え付け架台の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板と、当該水平レベル調整板を水平レベルに調整して据え付け架台上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構と、前記水平レベル調整板上に載置固定した消防用ホースの格納箱とから構成したことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1の発明に於いて、ホース格納箱内に、ノズルと地下式消火栓の開閉用キーハンドルを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック付のノズル受けを配設したことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1又は請求項2の発明に於いて、格納箱の外周面に、再帰反射テープを貼り付けたことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、請求項1、請求項2又は請求項3の発明に於いて、コンクリート製の据え付け架台を、その底部にアンカー止め用の固定金具を挿入固定するための開口を形成した据え付け架台とし、当該据え付け架台を固定金具とアンカーピン又はアンカーボルトにより設置面へ固定する構成としたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、コンクリート製の据え付け架台と、据え付け架台の上面側に傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板と、水平レベル調整板を水平レベルに調整して据え付け架台上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構と、水平レベル調整板上に載置固定した消防用ホースの格納箱とから構成しているため、不整地や傾斜地への設置時に据え付け架台の水平レベルが出ていなくても、水平レベル調整板をレベル調整固定機構により水平姿勢に保つことによって、格納箱を水平姿勢に簡単且つ容易に設置することが可能となる。
その結果、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地に設置する場合でも、据え付け架台の微妙なレベル調整が不要となり、設置を短時間で簡単且つ容易に行える。
又、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも消防用ホース等を格納する格納箱を水平に設置できるため、格納箱が変形を起こすと云うことがなく、開閉扉の開閉もスムースに行える。
更に、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも格納箱を水平に設置できるため、格納箱内に浸入した雨水が格納箱内に片寄った状態で溜まると云うことがなく、格納箱の底板に形成した水抜き孔から雨水が排水され易くなり、錆びを誘発し難くなる。
そのうえ、本発明の請求項1の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱の底面が水平レベル調整板と接触し、コンクリート製の据え付け架台の上面に直接接触することがないので、従来のように雨水が格納箱の底面と据え付け架台の上面との接触面に浸透して腐蝕を促進すると云うこともなくなる。
【0020】
本発明の請求項2〜請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、上記効果に加えて更に次のような優れた効果を奏することができる。
【0021】
即ち、本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内に、ノズルと地下式消火栓の開閉用キーハンドルを前後方向に配列して保持するフック付のノズル受けを配設しているため、格納箱内にノズル及び開閉用キーハンドルを整然と収納することができ、収納スペースが広くなって格納箱内のスペースを有効利用することができる。
その結果、本発明の請求項2の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱内にスタンドパイプ等の収納場所を確保することができるうえ、消防用ホースやノズル、開閉用キーハンドル等の取り出しも容易に行える。
【0022】
本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、格納箱の外周面に、再帰反射テープを貼り付けているため、夜間の照明が不十分である歩道や道路脇に設置しても、夜間に設置場所を容易に確認することができ、火災発生時に迅速な消火活動を行える。
又、本発明の請求項3の屋外用消防ホース格納箱は、夜間に格納箱の設置場所を容易に確認することができるため、人に対して確実に注意を喚起でき、夜間に格納箱近傍を通過する自転車や自動車との接触事故を防止することができる。
【0023】
本発明の請求項4の屋外用消防ホース格納箱は、据え付け架台を、その底部にアンカー止め用の固定金具を挿入固定するための開口を形成した据え付け架台とし、当該据え付け架台を固定金具とアンカーピン又はアンカーボルトにより設置面へ固定する構成としているため、不整地や傾斜地であっても、格納箱を設置面へ強固に固定することができ、地震等による格納箱自体の不慮の転倒を確実に防止することができ、安全性に優れたものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図5は本発明の実施の形態に係る屋外用消防ホース格納箱を示し、当該屋外用消防ホース格納箱は、歩道や道路脇、建物の周囲等に設置されて火災発生時に消火活動に使用される消防用ホースAやノズルB等を格納するものであり、設置場所が不整地や傾斜地であっても、水平姿勢に簡単且つ容易に設置できると共に、格納箱4内のスペースを有効利用できるうえ、夜間や暗がりでも設置場所を容易に確認できるようにしたものである。
【0025】
即ち、前記屋外用消防ホース格納箱は、図1〜図5に示す如く、コンクリート製の左右の据え付け架台1と、据え付け架台1の上面側に、据え付け架台1の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板2と、水平レベル調整板2を水平レベルに調整して据え付け架台1上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構3と、水平レベル調整板2上に載置固定した消防用ホースAの格納箱4と、格納箱4の外周面に貼り付けた再帰反射テープ5とから構成されており、格納箱4内に消防用ホースA、ノズルB、地下式消火栓の開閉用キーハンドルC、地下式消火栓に接続されるスタンドパイプDを夫々収納したものである。
【0026】
具体的には、前記左右の据え付け架台1は、図6に示す如く、コンクリートによりブロック状に形成されており、その底部中央位置には、アンカー止め用の固定金具6を挿入固定するための開口1aが形成されている。尚、固定金具6には、断面形状がL字形の鋼材が使用されている。
又、左右の据え付け架台1の開口1aには、耐食性を有する金属板(この例では、ステンレス鋼板)により形成された四角筒状の補強部材7が固着されている。この補強部材7は、据え付け架台1の開口1aに挿入された固定金具6の両端部が開口1aから抜け落ちるのを防止すると共に、据え付け架台1を固定金具6及びアンカーピン8(又はアンカーボルト9)を用いて設置面へ押圧固定できるようにするものである。
更に、左右の据え付け架台1の上面には、後述するレベル調整固定機構3の固定用ボルト3aが前後方向に一定の間隔をあけた状態で且つ据え付け架台1の上面から上方へ突出する状態で植設されている。
【0027】
前記水平レベル調整板2は、図6に示す如く、ステンレス鋼板や鋼板の表面に耐食性に優れた材料を被覆した表面処理鋼板等の金属板により格納箱4の底面よりも若干小さめの長方形状に形成されており、左右の据え付け架台1上に、後述するレベル調整固定機構3により据え付け架台1の上面との間に隙間を設けた状態で且つ水平姿勢で固定されるようになっている。
この水平レベル調整板2の四隅には、レベル調整固定機構3の固定用ボルト3aが遊嵌状態で挿通されるボルト挿通孔2aが夫々形成されていると共に、水平レベル調整板2の中央位置には、水平レベル調整板2の長手方向に沿って水抜き孔2bが一定の間隔で形成されている。
【0028】
前記レベル調整固定機構3は、図3、図4及び図6に示す如く、下端部側が据え付け架台1の上面側に埋設され、上端部側が据え付け架台1の上面から一定高さだけ突出して水平レベル調整板2のボルト挿通孔2aに挿通される四本の固定用ボルト3aと、各固定用ボルト3aに二つずつ螺着されるナット3bと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される小さめの平座金3cと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される大きめの平座金3dと、各固定用ボルト3aに二枚ずつ挿着される勾配吸収用の環状のゴムパッキン3eとから構成されており、不整地や傾斜地の勾配をゴムパッキン3eで吸収して水平レベル調整板2を据え付け架台1上で水平レベルに調整できると共に、水平調整した水平レベル調整板2を格納箱4と一緒に据え付け架台1上に固定できるようにしたものである。
【0029】
前記格納箱4は、図1〜図5に示す如く、左右の側板4a、背板4b、屋根板4c及び底板4dから成る前面が開放された表面処理鋼板製のボックス本体4′と、ボックス本体4′に回転軸(図示省略)を介して回動自在に取り付けられ、ボックス本体4′の前面側開口を開閉する止め金付きのハンドル4eを備えた表面処理鋼板製の開閉扉4″とから構成されている。
又、格納箱4の底板4dは、上げ底構造になっており、その上面が開閉扉4″の下端と同一の高さに設定されている。この底板4dには、水平レベル調整板2のボルト挿通孔2aに合致してレベル調整固定機構3の固定用ボルト3aを受け入れる四つのボルト受入れ孔(図示省略)と、水平レベル調整板2の水抜き孔2bに合致する複数の水抜き孔4d′とが夫々形成されている。
更に、格納箱4の左右の側板4a及び背板4b等の下端部は、内方へ直角に折り曲げられており、側面の強度の向上と腐食に対して一番弱い鋼板の切断面を雨水から保護するようになっている。
【0030】
そして、格納箱4内には、ノズルBと地下式消火栓の開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック10a付のノズル受け10と、消防用ホースAを保持するホース受け11とが配設されている。
【0031】
即ち、ノズル受け10は、図3、図4、図5及び図7に示す如く、鋼板材により二股状に形成されて二股部分の前側部分でノズルBを鉛直姿勢で保持できるようになっており、ボックス本体4′内の背板4bに水平姿勢で固定されている。この二股状のノズル受け10の奥部には、開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で保持するフック10aが一体的に形成されている。これにより、ノズル受け10は、ノズルBと開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列して保持することができる。
又、ホース受け11は、ボックス本体4′の底板4d上面に片寄った状態で設けられている。
【0032】
前記再帰反射テープ5は、図1及び図2に示す如く、格納箱4体の屋根板4cの前端部及び両側端部に貼り付けられており、衝突防止用や緊急時の位置確認用として使用されるものである。この再帰反射テープ5は、裏面に接着層を設けた樹脂製の基層上にアルミニウム、銀又は銅等の金属を蒸着又は塗装によって反射膜を形成し、この反射膜上に無数のガラスピースを樹脂によって接着したテープである。
【0033】
次に、上述した屋外用消防ホース格納箱を不整地や傾斜地に設置する場合について説明する。
【0034】
先ず、左右の据え付け架台1を不整地や傾斜地に設置すると共に、左右の据え付け架台1の開口1aに固定金具6の両端部を夫々挿入し、固定金具6をアンカーピン8で設置面へ固定する(図8及び図9参照)。このとき、左右の据え付け架台1が沈み込む危険性のある場合には、据え付け架台1を設置する前に不整地の地盤や傾斜地の地盤を固める。
【0035】
次に、左右の据え付け架台1の上面に植設したレベル調整固定機構3の各固定用ボルト3aにナット3b、小さめの平座金3c、大きめの平座金3d、ゴムパッキン3eを順次通し、その上から水平レベル調整板2を載せて水平レベル調整板2の各ボルト挿通孔2aに固定用ボルト3aを夫々挿通する。
【0036】
その後、水平レベル調整板2の上面に水準器(図示省略)を載せ、当該水準器を使用して水平レベル調整板2が水平姿勢になるように各固定用ボルト3aに螺着したナット3bを調整すると共に、水平レベル調整板2の高さがホース格納箱4を設置する高さになるように水平レベル調整板2の高さを調整する(図10参照)。
【0037】
水平レベル調整板2の水平レベル及び高さが調整されたら、水平レベル調整板2の上に格納箱4を載せ、格納箱4の底板4dに形成した各ボルト受入れ孔(図示省略)に固定用ボルト3aを夫々挿通する。
【0038】
最後に、格納箱4の内部に突き出た各固定用ボルト3aにゴムパッキン3e、大きめの平座金3d、小さめの平座金3c、ナット3bを順次通し、格納箱4内のナット3bを締め付けることによって、水平レベル調整板2ごと格納箱4を水平姿勢に固定する(図11及び図12参照)。
【0039】
このように、屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地への設置時に据え付け架台1の水平レベルが出ていなくても、水平レベル調整板2を固定機構3により水平姿勢に角度調整することによって、格納箱4を水平姿勢に簡単且つ容易に設置することが可能になると共に、据え付け架台1の微妙なレベル調整が不要となって格納箱4の設置を短時間で行える。
又、屋外用消防ホース格納箱は、不整地や傾斜地でも格納箱4を水平に設置できるため、格納箱4が変形を起こすと云うことがなく、開閉扉4″の開閉も容易に行えるうえ、格納箱4内に浸入した雨水が格納箱4内に片寄った状態で溜まると云うことがなく、格納箱4及び水平レベル調整板2に形成した水抜き孔4d′,2bから雨水が排水され易くなり、錆びを誘発し難くなる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底面(底板4dの下面)が水平レベル調整板2と接触しているため、従来のように雨水が格納箱の底面とコンクリート架台の上面との接触面に浸透して腐蝕を促進すると云うこともなくなる。
そのうえ、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底板4dが上げ底構造になっているため、格納箱4の両側面や背面を伝わる雨水が直接水平レベル調整板2にかかると云うことがなく、又、格納箱4の両側板4a及び背板4bを内方へ折り曲げているため、側面の強度の向上と腐食に対して一番弱い鋼板の切断面を雨水から保護することができる。
加えて、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の底板4dが上げ底構造になっており、底板4dの上面が開閉扉4″の下端と同一になっているため、格納箱4内の清掃も行い易くなる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4内に配設したノズル受け10が開閉用キーハンドルCを保持するフック10aを備えているため、格納箱4内にノズルB及び開閉用キーハンドルCを鉛直姿勢で前後方向に配列した状態で整然と格納することができ、収納スペースが広くなって格納箱4内のスペースを有効利用することができる。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、格納箱4の屋根板4cの前面及び両側面に、再帰反射テープ5を貼り付けているため、夜間の照明が不十分である歩道や道路脇に設置しても、夜間に格納箱4近傍を通過する自転車や自動車との接触事故を防止することができると共に、夜間に格納箱4の場所を容易に確認することができ、火災発生時に迅速な消火活動を行える。
更に、屋外用消防ホース格納箱は、左右の据え付け架台1を固定金具6及びアンカーピン8により設置面へ固定しているため、不整地や傾斜地であっても、設置面へ強固に固定することができ、地震等による格納箱4自体の不慮の転倒を確実に確実に防止することができ、安全性に優れたものとなる。
【0040】
尚、上記の実施の形態に於いては、固定金具6及びアンカーピン8を用いて左右の据え付け架台1を設置面に固定し、固定した左右の据え付け架台1上に水平レベル調整板2及びレベル調整固定機構3を用いて格納箱4を水平姿勢に固定するようにしたが、アンカーボルト9を使用できる場合には、図13に示す如く、左右の据え付け架台1と設置面との間にスペーサ12を入れ、据え付け架台1のガタツキを無くした後、固定した左右の据え付け架台1上に水平レベル調整板2及びレベル調整固定機構3を用いて格納箱4を水平姿勢に固定するようにしても良い。
【0041】
又、上記の実施の形態に於いては、レベル調整固定機構3をナット3b、小さめの平座金3c、大きめの平座金3d、ゴムパッキン3eから構成し、不整地や傾斜地の勾配をゴムパッキン3eで吸収するようにしたが、他の実施の形態に於いては、ゴムパッキン3e
及び平座金3c,3dに替えて球面座金(図示省略)を使用しても良く、或いはゴムパッキン3eと球面座金を併用して使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態に係る屋外用消防ホース格納箱の正面図である。
【図2】屋外用消防ホース格納箱の側面図である。
【図3】格納箱の一部を破断した屋外用消防ホース格納箱の拡大正面図である。
【図4】格納箱の一部を破断した屋外用消防ホース格納箱の拡大側面図である。
【図5】屋外用消防ホース格納箱の拡大横断面図である。
【図6】据え付け架台及びレベル調整固定機構の分解斜視図である。
【図7】ノズル受けの斜視図である。
【図8】不整地の地盤を固めた状態の地盤の縦断面図である。
【図9】据え付け架台を固定金具及びアンカーピンにより不整地へ固定した状態の正面図である。
【図10】据え付け架台上に水平レベル調整板を水平姿勢で取り付けた状態の正面図である。
【図11】水平レベル調整板上に格納箱を取り付け固定した状態の一部切欠部分正面図である。
【図12】水平レベル調整板上に格納箱を取り付け固定した状態の拡大縦断側面図である。
【図13】据え付け架台を固定金具及びアンカーボルトで設置面へ固定した状態を示し、(A)は据え付け架台の正面図、(B)は据え付け架台の側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1は据え付け架台、1aは据え付け架台の開口、2は水平レベル調整板、3はレベル調整固定機構、4は格納箱、5は再帰反射テープ、6は固定金具、8はアンカーピン、9はアンカーボルト、10はノズル受け、10aはノズル受けのフック、Aは消防用ホース、Bはノズル、Cは開閉用キーハンドル。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート製の据え付け架台(1)と、当該据え付け架台(1)の上面側に、据え付け架台(1)の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板(2)と、当該水平レベル調整板(2)を水平レベルに調整して据え付け架台(1)上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構(3)と、前記水平レベル調整板(2)上に載置固定した消防用ホース(A)の格納箱(4)とから構成したことを特徴とする屋外用消防ホース格納箱。
【請求項2】
ホース格納箱(4)内に、ノズル(B)と地下式消火栓の開閉用キーハンドル(C)を鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック(10a)付のノズル受け(10)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【請求項3】
格納箱(4)の外周面に、再帰反射テープ(5)を貼り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【請求項4】
コンクリート製の据え付け架台(1)を、その底部にアンカー止め用の固定金具(6)を挿入固定するための開口(1a)を形成した据え付け架台(1)とし、当該据え付け架台(1)を固定金具(6)とアンカーピン(8)又はアンカーボルト(9)により設置面へ固定する構成としたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【請求項1】
コンクリート製の据え付け架台(1)と、当該据え付け架台(1)の上面側に、据え付け架台(1)の上面に対する傾斜角度を調整自在に固定される水平レベル調整板(2)と、当該水平レベル調整板(2)を水平レベルに調整して据え付け架台(1)上に水平姿勢で固定するレベル調整固定機構(3)と、前記水平レベル調整板(2)上に載置固定した消防用ホース(A)の格納箱(4)とから構成したことを特徴とする屋外用消防ホース格納箱。
【請求項2】
ホース格納箱(4)内に、ノズル(B)と地下式消火栓の開閉用キーハンドル(C)を鉛直姿勢で前後方向に配列して保持するフック(10a)付のノズル受け(10)を配設したことを特徴とする請求項1に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【請求項3】
格納箱(4)の外周面に、再帰反射テープ(5)を貼り付けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【請求項4】
コンクリート製の据え付け架台(1)を、その底部にアンカー止め用の固定金具(6)を挿入固定するための開口(1a)を形成した据え付け架台(1)とし、当該据え付け架台(1)を固定金具(6)とアンカーピン(8)又はアンカーボルト(9)により設置面へ固定する構成としたことを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の屋外用消防ホース格納箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−94202(P2010−94202A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265915(P2008−265915)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(390031554)株式会社横井製作所 (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(390031554)株式会社横井製作所 (9)
【Fターム(参考)】
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