説明

屋外用照明器具

【課題】LED光源を灯具本体の長手方向に沿って規則正しく配列させて配光のバラつきを防止し、「青色」の照明に対する視認性を向上させた屋外用照明器具を提供する。
【解決手段】LED光源を用いて少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な防犯灯1において、長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体11と、灯具本体11の一の側面11aに短手方向縁部が長手方向に沿って係合されて取り付けられる長尺状の支持部材12と、支持部材12の表面に灯具本体11の長手方向に沿って配列される白色LED13aと白色LED13aに連続して配列される青色LED13bとが設けられる光源部13と、光源部13を覆う領域に配設される外部カバー15と、を具備してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外用照明器具の技術に関し、より詳細には、LED光源を用いて少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な屋外用照明器具の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
市街地の道路・交差点・駐車場・公園などには、街路灯や防犯灯などの屋外用照明器具が配置されている。従来、屋外用照明器具の光源用ランプとしては、白熱電球や水銀灯や蛍光灯などが用いられてきたが、近年では、白熱電球等に替わる光源としてLED(Light Emitting Diodo)を用いた屋外用照明器具が提案されている。
【0003】
また、近年では、安全・安心な街づくりのための環境設計が見直されており、中でも、屋外用照明器具に関して、地域内の屋外用照明器具を「青色」の照明が可能なものに組替えることで、当該地域での犯罪抑止(若しくは防止)を図り、住民のQOL(Quality Of Life)の向上を導くことを目的とした取り組みが注目されている。かかる屋外用照明器具を地域内に配置することで、犯罪抑止等が期待できる理由としては、(1)元来、青色には、人間の副交感神経に作用することによる鎮静効果と、普遍的嗜好性から心理的に冷静にさせる効果があること、(2)青色は、赤色やオレンジ色に比べて「プルキンエ効果」により夜間の視認性が向上するため、犯罪者等において「人目を避けたい」とする心理が働くこと等が考えられている。
【0004】
かかる観点から、従来、歩行者や走行車両用に歩車道の地表面を照らす照明部として白色LEDを設けるとともに、灯具本体やその周辺を「青色」に照らす犯罪抑止用の照明部として青色LEDを設けて、白色と青色の2色の照明光を同時に照射可能とした屋外用照明器具の構成が提案されているところである(特許文献1乃至特許文献3参照)。
【0005】
特許文献1乃至特許文献3に開示される屋外用照明器具は、灯具本体の垂直下方に向けて白色の照明光を照射する第一照明部と、灯具本体の垂直下方よりも外側に向けて青色の照明光を照射する第二照明部とを備え、灯具本体の垂直下方位置を白色に照明するとともに、灯具本体及び/又はその近傍位置を青色に照明するように構成されている。このような構成とすることで、灯具本体の垂直下方が白色に明るく照らされることで灯具本体の下方を通過する歩行者や走行車両の円滑な通行を可能とするとともに、灯具本体及び/又はその近傍位置が遠方からは「青色」に視認されることで犯罪抑止の効果が期待できる。
【0006】
特に、特許文献3では、照明用LED(白色LED)及び視認用LED(青色LED)が設けられるとともに、視認用LEDが照射した光を側方に向けて反射させる反射面を有する隔壁を設けた屋外用照明器具が開示されている。かかる構成とすることで、白色LED及び青色LEDより照射される照射光が混在し、白色LEDによる照明と青色LEDによる照明との境界が不明瞭になって、「青色」の照明に対する視認性が低減してしまうのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4210707号公報
【特許文献2】特許第4226631号公報
【特許文献3】特開2009−16180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、LED光源を用いる照明器具では、LEDに電力を供給可能なLED基板(配線基板)上にLEDが配列された状態で、LED基板が直接又は支持部材を介して灯具本体に取り付けられる。しかしながら、防犯灯のように、長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体を有する構成では、LED基板や支持部材においても同様に長尺状に形成されるため、かかるLED基板や支持部材若しくは灯具本体自体に反りやねじれが生じ、目的とする光学設計に基づいてLEDを灯具本体の長手方向に沿って規則正しく配列させることができないという課題があった。
【0009】
すなわち、LEDが配列されるLED基板や支持部材等において反りやねじれが生じると、LEDの有する指向性のために、LEDからの光の照射方向が変化して配光のバラつきが生じる。特に、上述したように白色と青色の2色の照明光を同時に照射可能な屋外用照明器具においては、白色LEDや青色LEDからの光の照射方向が変化して配光のバラつきが生じると、「青色」の照明に対する視認性が低減して青色LEDによる照明効果が発揮されないといった課題があった。
【0010】
そこで、本発明では、屋外用照明器具に関し、前記従来の課題を解決するもので、LEDを灯具本体の長手方向に沿って規則正しく配列させて配光のバラつきを防止し、「青色」の照明に対する視認性を向上させた屋外用照明器具を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
すなわち、請求項1においては、LED光源を用いて少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な屋外用照明器具において、長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体と、前記灯具本体の一の側面に短手方向縁部が長手方向に沿って係合されて取り付けられる長尺状の支持部材と、前記支持部材の表面に前記灯具本体の長手方向に沿って配列される白色LEDと該白色LEDに連続して配列される青色LEDとが設けられる光源部と、前記光源部を覆う領域に配設される外部カバーと、を具備してなるものである。
【0013】
請求項2においては、前記灯具本体は、前記一の側面に形成される開口部に面した内側面に長手方向に沿って被係合部が延設され、前記支持部材は、前記短手方向縁部に長手方向に沿って前記被係合部と係合可能な係合部が延設されるものである。
【0014】
請求項3においては、隣接する白色LEDと青色LEDとの境界に、隣接する白色LED及び青色LEDに対向する反射面を有する反射部材を具備してなるものである。
【0015】
請求項4においては、前記光源部は、前記白色LEDが前記灯具本体の長手方向に沿って配列され、前記青色LEDが前記白色LEDに連続して前記灯具本体の自由端部側位置に配列されるものである。
【0016】
請求項5においては、前記灯具本体は、側面に長手方向に沿って外部カバー取付用の溝部が形成され、前記外部カバーは、該溝部に短手方向縁部が係合されて取り付けられるものである。
【0017】
請求項6においては、少なくとも前記光源部の照射光の照射領域に配設され、前記光源部より照射された照射光を拡散させる拡散カバーを具備してなるものである。
【0018】
請求項7においては、前記拡散カバーは、前記光源部を覆う凸状の湾曲部と、前記湾曲部の短手方向縁部より水平方向に延出される水平部とが設けられるものである。
【0019】
請求項8においては、前記灯具本体は、側面に長手方向に沿って拡散カバー取付用の溝部が形成され、前記拡散カバーは、該溝部に短手方向縁部がねじ部材により螺合されて取り付けられるものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の効果として、LEDを灯具本体の長手方向に沿って規則正しく配列させて配光のバラつきを防止し、「青色」の照明に対する視認性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る防犯灯の全体的な構成を示した側面図。
【図2】防犯灯の一部断面側面図。
【図3】防犯灯の一部断面平面図。
【図4】図3のA−A矢視断面図。
【図5】防犯灯の長手方向断面図。
【図6】反射部材の構成を示した斜視図。
【図7】灯具本体に対する支持部材、拡散カバー及び外部カバーの取付方法を示した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
図1乃至図4に示すように、本実施例の屋外用照明器具は、支柱10に一端が固定された状態で設置される灯具本体11に、LED光源として複数の白色LED13a及び青色LED13bが配設され、少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な防犯灯1として構成されている。具体的には、本実施例の防犯灯1は、長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体11と、灯具本体11の側面11aに短手方向縁部(係合部12b・12c)が長手方向に沿って係合されて取り付けられる長尺状の支持部材12と、灯具本体11の長手方向に沿って配列される白色LED13aと青色LED13bとが設けられる光源部13と、少なくとも光源部13の照射光の照射領域に配設される拡散カバー14と、光源部13及び拡散カバー14を覆う領域に配設される外部カバー15等とで構成されている。
【0024】
支柱部10は、電柱やステンレス鋼製の直立形の柱であって、その中途部に灯具本体11が取り付けられる。支柱部10は、車道や歩道における路肩近傍位置に、灯具本体11を突出させた姿勢で立設される。
【0025】
灯具本体11は、アルミダイキャスト製の長尺状の筐体として構成されており、一の側面11aに開口部16が形成された断面略コ字状に形成されている。灯具本体11は、側面11aが平面視矩形の水平面状に形成されており、側面11aの短手方向中央部に長手方向に沿って開口部16が開口されている。灯具本体11の側面11aに支持部材12が取り付けられることで、灯具本体11の長手方向に沿って白色LED13a及び青色LED13bが配列される。また、灯具本体11の側面11aには、後述する拡散カバー14及び外部カバー15が取り付けられる。
【0026】
灯具本体11は、開口部16を介して外部空間に開放された内部空間が形成されており、この内部空間に後述する電源装置29及び点灯装置30が収納される。灯具本体11の内部空間は、開口部16に支持部材12が取り付けられ、灯具本体11の長手方向の両端面に閉止部材17・18が着脱可能に取り付けられることで封止され、外部空間と遮断される。このように本実施例の防犯灯1では、支持部材12等により封止された灯具本体11の内部空間に電源装置29及び点灯装置30が収容されるため、例えば、メンテナンス作業などの際に拡散カバー14や外部カバー15が取り外されても、電源装置29及び点灯装置30が外部空間に露出されることがない。
【0027】
灯具本体11において、開口部16に面する内側面11bには、長手方向に沿って被係合部19・20が延設されており、被係合部19・20が、後述する支持部材12の係合部12b・12cと係合される。被係合部19は、内側面11bにおいて開口部16の縁部近傍位置に形成され、灯具本体11の内部方向に向けて突出され、側面11aに対して平行に灯具本体11の長手方向に連続して延出される。被係合部20は、内側面11bにおいて被係合部19よりも灯具本体11の内部側位置に形成され、同じく灯具本体11の内部方向に向けて突出され、側面11a及び被係合部19に対して平行に灯具本体11の長手方向に連続して延出される。
【0028】
また、本実施例の灯具本体11の側面11a及び側面11cには、長手方向に沿って複数の溝部21・22・23が形成されている。具体的には、灯具本体11の側面11aには、長手方向に沿って拡散カバー取付用の溝部21・21が形成されている。溝部21は、側面11aの開口部16を挟んで対向する位置に凹設され、それぞれが平行となるように長手方向に連続して延出されている。溝部21には、後述する拡散カバー14の短手方向縁部(水平部14b)を介してねじ部材24が所定位置に螺合される。
【0029】
灯具本体11の側面11aと連続した対向位置にある側面11cには、長手方向に沿って外部カバー取付用の溝部22・22と、同じく長手方向に沿って固定部材取付用の溝部23・23がそれぞれ形成されている。溝部22は、側面11cにおいて側面11aの縁部近傍位置に凹設され、それぞれが対向する側面11cと平行となるように長手方向に連続して延出される。溝部22には、後述する外部カバー15の短手方向縁部(係合部15a)が係合される。また、溝部23は、側面11cにおいて溝部22よりも側面11aの縁部遠方位置に凹設され、それぞれが対向する側面11cにて平行となるように長手方向に連続して延出される。溝部23には、後述する固定部材26を介してねじ部材25が所定位置に螺合される。
【0030】
灯具本体11は、長手方向の一の端部(固定端部)に支柱10へ固定するための固定部材26が取り付けられている。固定部材26は、アルミダイキャスト等の金属素材より形成され、相互に対向する一対の片部26a・26aが形成されており、灯具本体11の側面11cの溝部23に片部26a・26aが当接された状態で、溝部23にねじ部材25が螺合されることで、灯具本体11に取り付けられる。
【0031】
本実施例の防犯灯1は、支柱10の取付金具27に固定部材26が取り付けられることで、支柱10の地表面から所定距離だけ離間した所定位置に灯具本体11が支持固定される。かかる状態で、灯具本体11は、開口部16を下向きにして長手方向の他方の端部(自由端部)をやや上方に向けた姿勢で固定される(図1参照)。
【0032】
支持部材12は、灯具本体11の側面11aに取り付けられる長尺状の部材であって、表面に光源部13が配設される薄板状の水平部12aと、水平部12aの短手方向縁部に沿って形成される係合部12b・12c等とで構成されている。水平部12aは、水平面状の表面に光源部13が配設され、長手方向に沿って白色LED13a及び青色LED13bが所定の配列となるように固定される。
【0033】
係合部12b・12cは、上述した灯具本体11に形成される被係合部19・20とそれぞれが係合可能に形成されており、具体的には、係合部12bは、水平部12aの短手方向縁部より水平方向に突出され、水平部12aの長手方向に連続して延出されている。係合部12cは、水平部12aの短手方向縁部より裏面(光源部13が配設される面とは反対側の面)に鉛直方向に突出された片部12dの端部に、水平部12a及び係合部12bと平行となるように形成され、水平部12aの長手方向に連続して延出されている。
【0034】
本実施例の支持部材12は、灯具本体11の内部空間内に係合部12c及び片部12dが収容された状態で、水平部12a及び係合部12bにより開口部16を塞ぐようにして、灯具本体11に取り付けられる。かかる状態では、支持部材12は、係合部12bが灯具本体11の被係合部19に開口部16の外側方向から係合されるとともに、係合部12cが灯具本体11の被係合部20に開口部16の内側方向から係合される。また、水平部12a及び係合部12bにより、灯具本体11の側面11aに面一の水平面が形成される(図4参照)。
【0035】
光源部13は、支持部材12(の水平部12a)の表面に配設され、灯具本体11の長手方向に沿って配列される白色LED13aと、白色LED13aに連続して配列される青色LED13b等とが設けられている。光源部13は、支柱10に灯具本体11が固定された状態で、灯具本体11の下方に向けて白色系の照明光を照射するとともに、灯具本体11の自由端部側位置にて周囲に青色系の照明光を照射する光源として作用する(図1参照)。
【0036】
なお、ここでいう「白色系」とは純白色から淡灰色までの色調を含む色のことをいい、また、「青色系」とは純色の青色の他に、藍色や青紫色等を含む色のことをいう。
【0037】
白色LED13aは、長板状に形成された周知の配線基板としてのLED基板13cに固定され、LED基板13cの同一平面上に所定のピッチとなるように略等間隔に直列に配設される。LED基板13cには、白色LED13aの接続端子と電気的に接続される取付孔(図略)が所定の配列で設けられており、この取付孔の所定位置に白色LED13aが所定位置にはんだ等によって装着される。
【0038】
青色LED13bは、長板状に形成された周知の配線基板としてのLED基板13dに固定され、LED基板13dの同一平面上に所定のピッチとなるように略等間隔に直列に配設される。LED基板13dには、青色LED13bの接続端子と電気的に接続される取付孔(図略)が所定の配列で設けられており、この取付孔の所定位置に青色LED13bがはんだ等によって装着される。
【0039】
白色LED13a及び青色LED13bは、それぞれLED基板13c・13dに装着された状態で、LED基板13c・13dが支持部材12の表面にねじ部材28により固定される。本実施例の防犯灯1では、灯具本体11の側面11aの短手方向の略中央部に、複数(本実施例では10個)の白色LED13aが長手方向に沿って直列に配列され、複数(本実施例では4個)の青色LED13bが白色LED13aに連続して灯具本体11の自由端部側位置に直列に配列される(図2及び図3参照)。
【0040】
白色LED13a及び青色LED13bには、LED基板13c・13dを介してLED用の電源装置29により電力が供給される。電源装置29は、別途設けられる点灯装置30に接続されており、点灯装置30にて周囲が暗くなったことが検知されると、点灯装置30からの検知信号に基づいて、電源装置29により自動的に白色LED13a及び青色LED13bに電力が供給される。
【0041】
白色LED13aとしては、高輝度で発光特性に優れたLEDが好ましく用いられる。すなわち、後述するように、白色LED13aは、主に歩行者や走行車両用に地表面を照らす道路照明としての光源であるため、高輝度のLEDを用いることで、地表面での充分な明るさ照度を確保することができる。一方、青色LED13bは、主に犯罪抑止用の照明としての光源であるため、汎用のLEDであっても、十分に灯具本体11の周辺を「青色」に照らし出すことが可能である。
【0042】
なお、光源部13における白色LED13a、青色LED13b、LED基板13c・13d及び電源装置29等は、シリコーン樹脂等によりコーティングされており、防水性を保持するように構成されている。
【0043】
図4乃至図6に示すように、本実施例の防犯灯1は、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界に、隣接する白色LED13a及び青色LED13bに対向する反射面31aを有する反射部材31が設けられている。反射部材31は、アルミダイキャスト製等の平面視薄板状に形成され、その表裏面に反射面31aが形成されている。
【0044】
反射面31aは、白色LED13a及び青色LED13bにより照射された照射光のうち、対向する他方の白色LED13a及び青色LED13b側に向かう光を、それとは逆の方向に反射させるように形成される。本実施例の反射部材31は、反射面31aが、隣接する白色LED13a及び青色LED13bに対向する水平面であって、灯具本体11の側面11aと反射面31aとのなす角が略直角となるように形成されている。
【0045】
反射部材31は、灯具本体11の短手方向に沿って光源部13のLED基板13c上に配設され、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界に配設される。好ましくは、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの中間位置よりも、白色LED13a及び青色LED13bのいずれか一方に近接する位置に配設され、本実施例では白色LED13aに近接する位置に配設されている。
【0046】
また、反射部材31は、LED基板13cからの高さ方向長さが、各LED基板13c・13dに装着された白色LED13a及び青色LED13bの突出長さよりも大きくなるように形成されている。ただし、反射部材31の高さ方向長さは、灯具本体11に取り付けられる拡散カバー14と接触しないように決定される。
【0047】
図2乃至図4に戻って、拡散カバー14は、平面視略矩形に形成され、光源部13の白色LED13a及び青色LED13bより照射された照射光を垂直方向だけでなく斜め方向から入射した光でも表面であらゆる方向に均一に放射することができるように形成される。具体的には、本実施例の拡散カバー14は、光源部13の白色LED13a及び青色LED13bを覆う凸状の湾曲部14aと、湾曲部14aの短手方向縁部より水平方向に延出される水平部14bとが設けられている。
【0048】
拡散カバー14は、通称「乳半」と呼ばれる乳白色タイプのアクリル樹脂や、透明色タイプのPET樹脂やポリカーボネート樹脂などの素材を用いて形成される。特に、拡散カバー14としては、全光線透過率が70%〜90%であって、拡散率が20%〜50%のものが好ましく用いられる。また、拡散カバー14は、斜め方向から入射した光でも指向性のない光として放射できるように少なくとも厚さが約3mmとなるように形成される。
【0049】
拡散カバー14は、灯具本体11の側面11aにおいて、光源部13の照射光の照射領域、すなわち光源部13の白色LED13a及び青色LED13bの直上および直上の周囲を含む領域に湾曲部14aが位置するように配設され、灯具本体11の側面11aに形成された溝部21に水平部14bがねじ部材24により螺合されることで取り付けられる。このように配設されることで、光源部13の白色LED13a及び青色LED13bより照射された照射光は、拡散カバー14の一部に輝度が偏らないように拡散されて外周方向に向けて透過される。
【0050】
また、本実施例の拡散カバー14は、灯具本体11の側面11aに取り付けられた状態では、灯具本体11の側面11a、水平部12a及び係合部12bに水平部14bが当接されている。そのため、支持部材12の水平部12a及び係合部12bが水平部14bにより灯具本体11の被係合部19方向に押圧されて、支持部材12が灯具本体11に安定して固定される。また、灯具本体11の側面11aの表面が隙間なく拡散カバー14により覆われるため、拡散カバー14を通過して拡散されない光が直接外部に照射されることがなく、障害光による眩しさ(グレア)を低減させることができる。
【0051】
外部カバー15は、透明なアクリル樹脂等の合成樹脂製の長尺状の筐体として、断面略コ字状に形成されている。外部カバー15は、短手方向縁部に長手方向に沿って灯具本体11に形成された溝部22と係合可能な係合部15aが延設されており、灯具本体11の側面11aにおいて、光源部13を覆う領域であって、側面11aに取り付けられた拡散カバー13を覆う領域に配設され、灯具本体11の側面11a形成された溝部22に係合部15aが係合されて取り付けられる。
【0052】
ここで、図7を参照しながら、灯具本体11に対する支持部材12、拡散カバー14及び外部カバー15の取付方法について、以下に説明する。
【0053】
支持部材12は、まず、予め表面に、白色LED13aが長手方向に沿って直列に配列され、青色LED13bが白色LED13aに連続して直列に配列される。そして、開口部16が開口された状態の灯具本体11に対して(図7(a))、係合部12bを灯具本体11の被係合部19に開口部16の外側方向から係合させ、かつ係合部12cを灯具本体11の被係合部20に開口部16の内側方向から係合させた状態で、灯具本体11の一方の長手方向端部側(自由端部側)から長手方向に摺動させて取り付けられる(図7(b))。なお、支持部材12が取り付けられた状態では、青色LED13bが灯具本体11の自由端部側位置に配列されている。
【0054】
拡散カバー14は、支持部材12が取り付けられた灯具本体11に対して(図7(b))、灯具本体11の側面11aに水平部14bを当接させて、光源部13の照射光の照射領域に湾曲部14aを配設させ、かかる状態で、灯具本体11の溝部21に水平部14bがねじ部材24により螺合されることで取り付けられる(図7(c))。
【0055】
外部カバー15は、支持部材12及び外部カバー14が取り付けられた灯具本体11に対して(図7(c))、係合部15bを灯具本体11の溝部22に係合させた状態で、灯具本体11の一方の長手方向端部側(自由端部側)から長手方向に摺動させて取り付けられる(図7(d))。灯具本体11に外部カバー15が取り付けられると、灯具本体11の自由端部に閉止部材18が取り付けられる。
【0056】
なお、灯具本体11から支持部材12、拡散カバー14及び外部カバー15を取り外す際には、上述した取付方法とは逆の順序にて作業が行われる。
【0057】
次に、本実施例の防犯灯1の照明効果について、以下に説明する。
【0058】
本実施例の防犯灯1は、道路の歩道側に設置された支柱10に取付けて使用される場合には、灯具本体11の開口部16を下向きにして長手方向の他方の端部(自由端部)をやや上方に向けた姿勢で、灯具本体11の長手方向が道路の横断方向に沿って位置するように支持される(図1参照)。かかる状態では、白色LED13a及び青色LED13bは、光軸が灯具本体11の下方に向けられるとともに、青色LED13bは、光軸が白色LED13aの光軸と重ならないように自由端部側に位置されている。
【0059】
支柱10に灯具本体11が支持された状態で、白色LED13a及び青色LED13bが点灯されると、白色LED13a及び青色LED13bから照射された光(直接光)や、LED基板13c・13d、支持部材12及び反射部材31の反射面31a等にて反射された光(間接光)などが拡散カバー14より拡散されながら透過して放射される。そして、拡散カバー14より拡散された光は、外部カバー15を透過して照明光として灯具本体11の下方及び外周方向(道路の進行方向)に向けて照射される。
【0060】
本実施例では、白色LED13aにより灯具本体11の下方に向けて白色の照明光が照射されて、灯具本体の下方位置が白色に照明されるとともに、青色LED13bにより灯具本体11の自由端部の周辺が青色に照明される。そのため、灯具本体11の下方位置が白色に明るく照らされることで灯具本体11の下方を通過する歩行者や走行車両の円滑な通行が可能となるとともに、灯具本体11の自由端部の周辺が遠方からは「青色」に視認されることで犯罪抑止の効果が期待できるのである。
【0061】
以上説明したように、本実施例の防犯灯1は、LED光源を用いて少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な屋外用照明器具において、長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体11と、灯具本体11の一の側面11aに短手方向縁部が長手方向に沿って係合されて取り付けられる長尺状の支持部材12と、支持部材12の表面に灯具本体11の長手方向に沿って配列される白色LED13aと白色LED13aに連続して配列される青色LED13bとが設けられる光源部13と、光源部13を覆う領域に配設される外部カバー15とを具備してなるため、白色LED13a及び青色LED13bを灯具本体11の長手方向に沿って規則正しく配列させて配光のバラつきを防止し、「青色」の照明に対する視認性を向上させることができる。
【0062】
すなわち、本実施例の防犯灯1は、予め支持部材12に白色LED13a及び青色LED13bを配列させ、かかる支持部材12の短手方向縁部を支持部材11の長手方向に沿って係合させることで、支持部材12を灯具本体11に取り付ける構成であるため、灯具本体11及び支持部材12の係合箇所の剛性が高められる結果、灯具本体11又は支持部材12の反りやねじれが防止されて、目的とする光学設計に基づいて白色LED13a及び青色LED13bを灯具本体11の長手方向に沿って規則正しく配列させることが可能となる。
【0063】
そして、本実施例のように、光源部13に白色LED13a及び青色LED13bを用いて、白色と青色の2色の照明光を同時に照射可能とした防犯灯1においては、白色LED13a及び青色LED13bを灯具本体11の長手方向に沿って規則正しく配列させることで、配光のバラつきを防止することができる。さらに、目的とする光学設計に基づいて所望の配光を効率的に得ることが可能となるため、「青色」の照明に対する視認性を向上させることができるのである。
【0064】
また、本実施例の防犯灯1は、灯具本体11において、一の側面11aに形成される開口部16に面した内側面11bに長手方向に沿って被係合部19・20が延設され、支持部材13は、短手方向縁部に被係合部19・20と係合可能な係合部12b・12cが延設されるため、灯具本体11及び支持部材12の係合箇所の剛性がより高められている。
【0065】
また、本実施例の防犯灯1は、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界に、隣接する白色LED13a及び青色LED13bに対向する反射面31aを有する反射部材31を具備してなるため、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界近辺にて、白色LED13a又は青色LED13bにより照射された照射光のうち、対向する他方の白色LED13a及び青色LED13b側に向かう光を低減できる。そのため、光源部13において、対向する他方の白色LED13a及び青色LED13b側に向かう光による照明光の混在を低減して、「青色」の照明に対する視認性を向上できる。
【0066】
特に、通常は、青色LED13bよりも白色LED13aの方が高輝度のものが用いられることから、白色LED13aにより照射された照射光のうち、対向する他方の青色LED13b側に向かう光をそれとは逆の方向に反射させることで、青色LED13bによる照明効果の低減を効果的に防止できる。また、白色LED13a及び青色LED13bから側方に漏れる光を反射させ光を有効に活用することができるので、一層広範囲の配光をもった照明も可能となる。
【0067】
また、本実施例の防犯灯1は、少なくとも光源部13の照射光の照射領域に配設され、光源部13より照射された照射光を拡散させる拡散カバー14が設けられるため、広範囲の配光をもった照明が可能となる。さらに、拡散カバー14により白色LED13aと青色LED13bより照射された光を拡散して平均化することで、眩しさ(グレア)を軽減させることができ、屋外の空間照明を良好にし、かつ光源部13をのぞき見た場合であっても眩しさを低減させることができる。
【0068】
また、本実施例の防犯灯1では、灯具本体11にて側面11aに長手方向に沿って拡散カバー取付用の溝部21が形成され、拡散カバー14は、溝部21に短手方向縁部がねじ部材24により螺合されて取り付けられ、また、灯具本体11にて側面11aに長手方向に沿って外部カバー取付用の溝部22が形成され、外部カバー15は、溝部22に短手方向縁部が係合されて取り付けられるように構成されるため、灯具本体11自体の剛性がより高められ、灯具本体11の反りやねじれを防止できる。
【0069】
なお、屋外用照明器具の構成としては、上述した実施例に限定されず、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0070】
すなわち、上述した実施例では、支持部材12の係合部12b・12cが灯具本体11に形成された被係合部19・20に係合されることで、支持部材12が灯具本体11に取り付けられるが、かかる支持部材12の取付構造についてはこれに限定されない。すなわち、支持部材12は、短手方向縁部が灯具本体11の長手方向に沿って係合される構成であれば、支持部材12の係合部及び灯具本体11の被係合部の形状や個数等は、適宜変更することができる。
【0071】
また、拡散カバー14や外部カバー15などの取付構造についても支持部材12と同様に、上述した実施例に限定されない。例えば、拡散カバー14が灯具本体11の側面11aに形成される被係合部と係合されて取り付けられてもよく、また外部カバー15がねじ部材により螺合されて取り付けられてもよい。
【0072】
また、上述した実施例では、白色LED13a及び青色LED13bが長手方向に沿って一列に連続して配列される構成について説明したが、白色LED13a及び青色LED13bの個数や配置構成についてはこれに限定されず、例えば、白色LED13a及び青色LED13bが長手方向に沿って複数に連続して配列されてもよい。
【0073】
また、上述した実施例では、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界に、隣接する白色LED13a及び青色LED13bに対向する水平面であって、灯具本体11の側面11aと反射面31aとのなす角が略直角となるように形成された反射面31aを有する反射部材31を設けた構成について説明したが、かかる反射部材31の形状や配置等についてはこれに限定されない。例えば、隣接する白色LED13aと青色LED13bとの境界に、反射部材31が複数設けられてもよく、また反射面31aが湾曲面状やテーパ面状に形成されてもよい。
【0074】
また、上述した実施例では、拡散カバー14が設けられる構成について説明したが、かかる拡散カバー14は必ずしも設けられる必要はない。拡散カバー14を用いない場合には、内周面に光源部13の白色LED13a及び青色LED13bより照射された照射光をあらゆる方向に均一に放射することができるプリズムが形成された外部カバー15が好ましく用いられる。
【符号の説明】
【0075】
1 防犯灯(屋外用照明器具)
11 灯具本体
11a 側面
11b 内側面
11c 側面
12 支持部材
12a 水平部
12b 係合部
13 光源部
13a 白色LED
13b 青色LED
14 拡散カバー
15 外部カバー
16 開口部
19、20 被係合部
21、22、23 溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源を用いて少なくとも2色の照明光を同時に照射可能な屋外用照明器具において、
長手方向の端部が固定される長尺状の灯具本体と、
前記灯具本体の一の側面に短手方向縁部が長手方向に沿って係合されて取り付けられる長尺状の支持部材と、
前記支持部材の表面に前記灯具本体の長手方向に沿って配列される白色LEDと該白色LEDに連続して配列される青色LEDとが設けられる光源部と、
前記光源部を覆う領域に配設される外部カバーと、
を具備してなることを特徴とする屋外用照明器具。
【請求項2】
前記灯具本体は、前記一の側面に形成される開口部に面した内側面に長手方向に沿って被係合部が延設され、
前記支持部材は、前記短手方向縁部に長手方向に沿って前記被係合部と係合可能な係合部が延設される請求項1に記載の屋外用照明器具。
【請求項3】
隣接する白色LEDと青色LEDとの境界に、隣接する白色LED及び青色LEDに対向する反射面を有する反射部材を具備してなる請求項1又は請求項2に記載の屋外用照明器具。
【請求項4】
前記光源部は、前記白色LEDが前記灯具本体の長手方向に沿って配列され、前記青色LEDが前記白色LEDに連続して前記灯具本体の自由端部側位置に配列される請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の屋外用照明器具。
【請求項5】
前記灯具本体は、側面に長手方向に沿って外部カバー取付用の溝部が形成され、前記外部カバーは、該溝部に短手方向縁部が係合されて取り付けられる請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の屋外用照明器具。
【請求項6】
少なくとも前記光源部の照射光の照射領域に配設され、前記光源部より照射された照射光を拡散させる拡散カバーを具備してなる請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の屋外用照明器具。
【請求項7】
前記拡散カバーは、前記光源部を覆う凸状の湾曲部と、前記湾曲部の短手方向縁部より水平方向に延出される水平部とが設けられる請求項6に記載の屋外用照明器具。
【請求項8】
前記灯具本体は、側面に長手方向に沿って拡散カバー取付用の溝部が形成され、前記拡散カバーは、該溝部に短手方向縁部がねじ部材により螺合されて取り付けられる請求項6又は請求項7に記載の屋外用照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−38504(P2012−38504A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176278(P2010−176278)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000167820)広島化成株式会社 (65)
【Fターム(参考)】