説明

屋外用組立式遊具

【課題】遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具を容易に組立てることができるとともに、その組立から施工までの一連の作業の省力化を提供する。
【解決手段】総合遊具の支柱2および踊り場3は、複数の鉄製金具が連接された骨組み構成をなす。すなわち、連結支柱10の雄ネジ12が、床基部20の脚部40の雌ネジに螺合される。地際金具50の雄ネジ52が、当該連結支柱10の雌ネジに羅合される。また、連結支柱10の雌ネジが、床基部20の脚部40の雄ネジ42に螺合される。キャップ金具60の雌ネジが、当該連結支柱10の雄ネジ12に羅合される。各鉄製金具の連結部には、ジョイント金具70が適宜介装される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支柱や床材などを使用して組み立てられる遊具に関し、より詳細には、屋外に設置される大型遊具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具として、ジャングルジム,丸太登り,アーチネット,滑り台などや、これらを複合した総合遊具などが知られている。これらの大型遊具は、安全性や耐久性などの仕様条件を満たすように、支柱や床材などの基礎構造は鉄やステンレスなどの金属部材によって設計および製造されるのが通常である。また、大型遊具が屋外に設置されるのを鑑みて、腐食や劣化の進みやすい地中への埋込部や各部材の接合部などには錆止め塗装を施している。
【0003】
このような大型遊具は、その設置条件や組合せ遊具の種類などに応じて、例えば作業者が鉄製の支柱や床材などを溶接したり遊具類を連結したりして、工場内で一品ずつ組み立てられる。そして、工場内での組立が完了すると大型トラックに荷積みして設置場所まで運搬し、大型遊具を設置場所に立設することで施工が完了する。そして、この大型遊具の組立から施工までの一連の作業では、作業者が多大な労力および時間を費やしていた。
【0004】
そこで、従来より、大型遊具のような構造物の組立や施工などを容易化するための技術が各種提案されている。例えば、パイプの着脱を弱い力で簡単に行うことができる継手構造を有するジャングルジム(例えば、特許文献1参照)や、組立用部材に形成されたレール溝に沿ったランダムな位置で、施工し易い部分から、他の組立用部材との締結作業をランダムに行なうことが可能な固定具(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−345949号公報
【特許文献2】特開平11−141511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、樹脂製のパイプを樹脂成形された継手を介して連結しているので組立および解体が容易であるが、屋外に設置する大型遊具としては、安全性および耐久性の観点から、このような樹脂製部材による構造体を採用することはできない。特に、大型遊具の自重や利用者の体重などの荷重が大きい部材連結部に、上記のような継手を採用すると、その荷重に耐えかねて継手が破損しまい大型遊具が崩壊するおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載の発明では、頭部のレール溝方向の移動を制限するような脚部を有するボルトのみで、部材相互の連結を行なっている。これによれば、施工ミスのやり直しが容易で成功時間の短縮が図ることができる一方で、かかる技術を大型遊具に採用すると、特許文献1に記載の発明と同様に、ボルトが荷重に耐えかねて破損しまい大型遊具が崩壊するおそれがある。
【0008】
このように、従来では、大型遊具の搬入から施工までの一連の作業を省力化するための有効な技術が存在しなかった。特に、大型遊具を一体に組み立てられた状態で工場から設置場所まで運搬しなければならず、その運搬作業に多大な労力および時間を労するのみならず、当該大型遊具を傷つけないように細心の注意を払う必要があった。さらに、巨大で多品種に亘る大型遊具を在庫として保持することは非効率であるため、大型遊具を受注に応じて一品ずつ生産しなければならず施工完了までに多大な時間を要するという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具を容易に組立てることができるとともに、その搬入から施工までの一連の作業を省力化することができる屋外用組立式遊具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための本発明は、一の端縁部における内周面に雌ネジが形成されるとともに、他の端縁部における外周面に雄ネジが形成された金属製の円筒体である複数の連結支柱と、平面形状を有する金属製の板体である床部、および、前記連結支柱と略一致する断面をなす金属製の円筒体である複数の脚部、を有しており、当該床部の平面に対して当該複数の脚部の軸線がそれぞれ略直交するように設けられた一以上の床基部と、前記連結支柱と略一致する断面をなす金属製の円筒体であって、一の端縁部が閉口された複数のベース柱と、前記連結支柱および前記床基部の少なくとも一方に着脱自在に構成された一以上の遊具部材と、を少なくとも備えており、前記複数の連結支柱は、一の前記連結支柱に形成された前記雌ネジに他の前記連結支柱に形成された雄ネジを羅合させることによって連接自在に構成されるとともに、前記複数の脚部の各々は、一の端縁部における内周面に、前記連結支柱に形成された前記雄ネジを羅合可能な雌ネジが形成されるとともに、他の端縁部における外周面に、前記連結支柱に形成された前記雌ネジに羅合可能な雄ネジが形成される一方、前記複数のベース柱は、前記一の端縁部とは異なる他の端縁部における外周面に、前記連結支柱に形成された前記雌ネジに羅合可能な雄ネジが形成されることを特徴とする。
【0011】
本発明の屋外用組立式遊具は、複数の連結支柱,一以上の床基部,複数のベース柱,一以上の遊具部材が一体に組み立てられる構造をなし、少なくとも連結支柱、床基部およびベース柱は金属製である。「金属製」としたのは、屋外に設置される大型遊具として耐えうる安全性および耐久性を実現するためであり、好適には鉄やステンレスが挙げられる。
【0012】
複数の「連結支柱」は、その両端縁部に雌ネジおよび雄ネジが形成された金属製円筒体である。雌ネジおよび雄ネジは、それぞれ端縁部の内周面および外周面に形成されているため、一の連結支柱に形成された雌ネジに他の連結支柱に形成された雄ネジを羅合させると、これらの連結支柱の各外周面が略面一となるように連結される。なお、複数の連結支柱は、全て同一の全長を有していてもよいし、複数パターンの全長を有していてもよい。
【0013】
一以上の「床基部」は、平面形状を有する金属製の板体である床部の平面に対して複数の脚部の軸線がそれぞれ略直交するように、当該床部に対して各脚部が溶接,接着,ネジ止めなどで予め一体に固定されている。ここで、床部には利用者が乗り降りするため、この床部と各脚部との接合部には大きな荷重が加えられることから、安全性および耐久性を考慮すると、床部および各脚部が予め溶接固定されていることが好適である。
【0014】
ここで、複数の「脚部」は、連結支柱とほぼ同一の形状をなす金属製円筒であるが、一の床部に取り付けられるもので一組をなし、一組の脚部は全長がそれぞれ等しい(所定長である)ことが好適である。そして、脚部に形成された雌ネジに連結支柱に形成された雄ネジを羅合させると、当該脚部および当該連結支柱の各外周面が略面一となるように連結される。また、連結支柱に形成された雌ネジに脚部に形成された雄ネジを羅合させると、当該脚部および当該連結支柱の各外周面が略面一となるように連結される。なお、各脚部は、長尺の連結支柱とは異なり、少なくとも連結支柱の雄ネジを内挿可能な程度の全長を有していればよい。
【0015】
複数の「ベース柱」は、連結支柱とほぼ同一の形状をなす金属製円筒であるが、一の端縁部が閉口されている点で連結支柱とは異なる。また、各ベース柱には、他の端縁部における外周面に雌ネジが形成されており、この雄ネジを連結支柱に形成された雌ネジに羅合させると、当該ベース柱および当該連結支柱の各外周面が略面一となるように連結される。また、各ベース柱の閉口された他の端縁部には、地表への立設状態を強固にするために、その外周側に突出するスタンドベース(足部)が形成されていることが好ましい。
【0016】
一以上の「遊具部材」は、連結支柱および床基部の少なくとも一方に着脱自在に構成された遊具類であり、各種滑り台,半割り丸太登り,アーチネット登りなどが例示される。遊具部材は、連結支柱および床基部の少なくとも一方に着脱自在であれば、その種別、形状および大きさは限定さない。また、遊具部材は、連結支柱や床基部に対して溶接,接着,ネジ止めなどで取り付けられればよいが、着脱を容易にするために他の取付具を介して固定する態様(例えば、ネジ止め)であることが好適である。
【0017】
なお、連結支柱、床基部の脚部およびベース柱は、屋外用組立式遊具を地上に立設させた場合における各部材の下端縁部を「一の端縁部」とするため、屋外用組立式遊具を地上に立設させると各雌ネジは下向きに位置する。また、連結支柱、床基部の脚部およびベース柱は、屋外用組立式遊具を地上に立設させた場合における各部材の上端縁部を「他の端縁部」とするため、屋外用組立式遊具を地上に立設させると各雄ネジは上向きに位置する。
【0018】
上記解決手段に係る屋外用組立式遊具によれば、床基部の脚部の両端側に一の連結支柱(あるいは、二以上が連接された連結支柱)をそれぞれ繋ぎ合わせて、さらに各脚部からみて一端側(つまり、屋外用組立式遊具が立設された場合における下方側)に位置する連結支柱の一端側にベース柱をそれぞれ繋ぎ合わせることで、屋外用組立式遊具の骨組み構造が完成する。そして、この骨組み構造をベース柱が接地するように立設して、当該骨組み構造における連結支柱や床部の適宜位置に遊具部材を取り付けることで、屋外用組立式遊具の組立および設置が完了する。
【0019】
このように、屋外用組立式遊具は、連結支柱、床基部の脚部およびベース柱を互いの雄ネジおよび雌ネジで羅合させるだけで骨組み構造が完成し、この骨組み構造の適宜位置に遊具部材を取り付ければよいため、屋外用組立式遊具を容易かつ迅速に組み立てることができる。また、屋外用組立式遊具を分割構成する各部材を、その設置場所まで運搬したうえで組み立てればよいため、屋外用組立式遊具の運搬時における作業者の手間や負担が軽減される。しかも、汎用性のある遊具部材を、屋外用組立式遊具の適宜位置に取り付けることができるので、設置条件や利用者ニーズに応じた自由度の高い大型遊具を実現できる。このように、本発明の屋外用組立式遊具によれば、遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具を容易に組立てることができるとともに、その組立から施工までの一連の作業を省力化することができる
【0020】
また、屋外用組立式遊具では、連結支柱、床基部の脚部およびベース柱を互いの雄ネジおよび雌ネジを連結させて繋ぎ合わせるだけで(特に、二以上の連結支柱を連接するだけで)、任意の全長をなす一体の支柱を形成することができ、屋外用組立式遊具の高さを任意に設定することができる。そして、屋外用組立式遊具を立設した際には、床基部の床部が地上からみた最適な高さに位置決めされるようにすることができ、利用者の利用頻度が高い床部の高さの調整も容易である。さらに、二以上の床基部に対してそれぞれ連結支柱およびベース柱を組み付けた各ユニットを平面方向に連設することで、屋外用組立式遊具の平面方向の大きさ(広さ)も任意に設定可能である。
【0021】
しかも、屋外用組立式遊具では、その骨組み構造を形成する各部材(連結支柱、床基部の脚部およびベース柱)を金属製の円筒体とし、その立設状態において下方の雄ネジが上方の雌ネジに内挿されるねじ込み構造を採用するとともに、利用者の荷重が大きい床部が各脚部に予め一体化された床基部を用いたため、屋外用組立式遊具を大型化しても安定性および耐久性に確保することができる。
【0022】
また、本発明に係る屋外用組立式遊具において、前記複数のベース柱は、少なくとも地表に当接する前記他の端縁部およびその近傍が、少なくとも防水性を有する樹脂層によって表面保護されていることが好ましい。従来より、支柱が立設される下端部(接地部)は、雨水などによって錆が発生しやすく腐食劣化のおそれが高い。そのため、大型遊具を組み立てたのちに、支柱の他部位を養生しつつ地表への接地部のみに対して錆止塗装などを施して、接地部での錆発生を防止していた。
【0023】
上記解決手段によれば、ベース柱は少なくとも接地される他の端縁部およびその近傍(ベース柱の全面を含む。)が防水性の樹脂層によって表面保護されているため、錆の発生が発生し難く腐食劣化が抑制されて耐久性が向上する。また、ベース柱は予め防水性の樹脂層で表面保護されているので、屋外用組立式遊具を組み立てたのちに錆止塗装などを施す必要がない。さらに、ベース柱の表面に樹脂層を形成する場合にも、支柱の他部位を養生する必要がないため、作業者の負担が軽減される。なお、「少なくとも防水性を有する樹脂層」としては、例えば、ウレタン系塗料を塗装して形成された塗膜が例示される。
【0024】
また、本発明に係る屋外用組立式遊具において、前記一以上の床基部は、前記床部が有する矩形状平面における複数の隅部に対して、前記複数の脚部がその側面位置にて各々溶接されるとともに、当該溶接された部位を含めて前記床部の全面が弾性および防水性を有する樹脂層によって表面保護されていることが好ましい。従来より、大型遊具の床部は、利用者が乗り降りする際に頭部をぶつけたり転んだりするおそれがある。そのため、大型遊具を組み立てたのちに、支柱を養生しつつ床部のみに対して弾性塗装などを施して、床部の表面に塗膜による弾性をもたせていた。なお、あらかじめ床部のみに弾性塗装を施しておくことが考えられるが、床部を支柱に溶接固定しなければならない関係上、予め床部に弾性塗装を施すと溶接時に塗膜が剥がれる問題がある。
【0025】
上記解決手段によれば、床基部は、床部が有する矩形状平面における複数の隅部(例えば、平面視で正方形面の四隅)に対して、各脚部がその側面位置(好適には、各脚部の軸線方向長さの略中間位置)にて各々溶接される。そして、この溶接された部位を含めて床部の全面が予め弾性を有する樹脂層によって表面保護されているため、利用者が頭部をぶつけたり転んだりしても怪我の発生が抑制されて安全性が向上する。また、床部の全面は予め樹脂層で表面保護されているので、屋外用組立式遊具を組み立てたのちに弾性塗装などを施す必要がない。さらに、床部の表面に樹脂層を形成する場合にも、各脚部のみを養生すれば足りるため、支柱全体を養生する必要がなく作業者の負担が軽減される。
【0026】
さらに、床基部における床部および各脚部の溶接部は、床部を乗り降りする利用者や取り付けられる遊具部材の荷重が大きいところ、床部に溜まった雨水などの影響で錆が発生しやすく、当該溶接部の腐食劣化が屋外用組立式遊具の耐久性に影響を及ぼすおそれがある。その点、各脚部との溶接部を含めて床部の全面が予め防水性を有する樹脂層によって表面保護されているため(言い換えると、一の樹脂層が防水機能および弾性機能を兼備するため)、床部(特に、各脚部との溶接部)における錆の発生が発生し難く腐食劣化が抑制されて耐久性が向上する。なお、「弾性および防水性を有する樹脂層」としては、例えば、ウレタン系塗料を塗装して形成された塗膜が例示される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具を容易に組立てることができるとともに、その組立から施工までの一連の作業を省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】総合遊具1の平面図である。
【図2】総合遊具1の正面図である。
【図3】総合遊具1の側面図である。
【図4】支柱2および踊り場3を中心とした部品展開斜視図である。
【図5】連結支柱10の正面図である。
【図6】床基部20の正面図である。
【図7】地際金具50の正面図である。
【図8】キャップ金具60の正面図である。
【図9】ジョイント金具70の平面図および正面図である。
【図10】総合遊具1の骨組み構造に各種遊具を取り付ける態様を説明するための部分拡大図である。
【図11】総合遊具1の骨組み構造に各種遊具を取り付ける態様を説明するための他の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る屋外用組立式遊具を実施するための最良の形態について、図面を用いて具体的に説明する。本実施形態においては、屋外用組立式遊具として組立式の総合遊具1を例示して説明する。
【0030】
まず、図1〜図3を参照して、総合遊具1の概要について説明する。図1は、総合遊具1の平面図である。図2は、総合遊具1の正面図である。図3は、総合遊具1の側面図である。なお、以下では、図1における上下方向(つまり、図3の左右方向)が、総合遊具1の前後方向に相当し、図1における左右方向(つまり、図2の左右方向)が、総合遊具1の左右方向に相当するものとして説明する。
【0031】
図1に示すように、総合遊具1は、各種滑り台,半割丸太登り,アーチネット登りなどの複数種類の遊具が組み合わされた組立式の大型複合遊具である。総合遊具1は、地表に対して垂直に立設された複数の支柱2を有しており、これらの支柱2における適当な高さ位置に複数の踊り場3が適宜取り付けられ、さらに支柱2や踊り場3に各種遊具が適宜取り付けられている。つまり、総合遊具1は、複数の支柱2および複数の踊り場3が組み合わされた骨組み構造を有しており、この骨組み構造を基礎として各種遊具が取り付けられている。
【0032】
本実施形態の総合遊具1は、12本の支柱2a〜2lと4つの踊り場3a〜3dとにより骨組み構造が構成されている。各支柱2は、長尺筒状をなす鉄製円筒であって、複数の円筒体が一体に連接された構造をなす。ここでは、12本の支柱2a〜2lが2パターンの全長を有しており、支柱2a,2b,2c,2d,2g,2h,2i,2jが全長略3400mmの長手支柱であり、支柱2e,2f,2k,2lが全長略2300mmの短手支柱である。また、各踊り場3は、平面視で正方形をなす薄手の鉄板(床板)によって形成され、この踊り場3を形成する床板がその四隅で円筒体と接合された構造をなす。ここでは、4つの踊り場3a〜3dが同一の形状および大きさを有しており、その両幅は890mmである。
【0033】
複数の支柱2は、各踊り場3に対して取り付けられる4本で一組をなすとともに、当該踊り場3は、それぞれ一組の支柱2に架設された状態で適宜の高さ位置に支持される。具体的には、踊り場3aは、その四隅に取り付けられる一組の支柱2a,2b,2c,2dにより略1600mmの高さ位置にて支持される。踊り場3bは、その四隅に取り付けられる一組の支柱2c,2d,2e,2fにより略800mmの高さ位置にて支持される。踊り場3cは、その四隅に取り付けられる一組の支柱2g,2h,2i,2jにより略1600mmの高さ位置にて支持される。踊り場3dは、その四隅に取り付けられる一組の支柱2i,2j,2k,2lにより略1200mmの高さ位置にて支持される。
【0034】
この総合遊具1では、平面視で一組の支柱2がそれぞれ同一形状の正方形の四隅を形成するように立設配置される。なお、支柱2c,2dは踊り場3a,3bにそれぞれ共用されるため(つまり、踊り場3a,3bが前後方向に並ぶため)、6本の支柱2a〜2fは平面視で1辺が共有された2つの正方形の隅部を形成するように立設配置される。また、支柱2i,2jは踊り場3c,3dにそれぞれ共用されるため(つまり、踊り場3c,3dが前後方向に並ぶため)、6本の支柱2g〜2lは平面視で1辺が共有された2つの正方形の隅部を形成するように立設配置される。そして、踊り場3a,3bおよび踊り場3c,3dが、平面視で左右方向に所定間隔(ここでは、1680mm)を挟んで上下方向に並列配置される。
【0035】
そして、本実施形態の総合遊具1には、スベリ台201、パイプスライダー202、半割丸太登り203、アーチネット登り204、ネットブリッジ205、ハーフトンネル206、グリップ登り207および階段208が、遊具類として設けられている。また、その他の装飾具として、屋根209、装飾パネル210,211,212、開口パネル213,214,215、段差付パネル216および安全フード217、が設けられている。さらに、利用者が踊り場3を乗り降りする把持可能な補助具として、タラップ301や手摺用パイプ302も設けられている。なお、本実施形態では、上記のような、遊具類、装飾具および補助具を含めて「各種遊具」と証する。
【0036】
スベリ台201は、アルミ型押し成型された一対の長尺側板の間に特殊樹脂製の滑降面を配置した構成をなす。パイプスライダー202は、FRP製の大型円筒体が複数連接された一体の長尺円筒状をなし、その内部が連通して利用者が滑り降りることが可能な連続的な滑降面が形成される。半割丸太登り203は、半割丸太を模した樹脂成型品が側面視で略90度円弧を描くように連続配置された遊具であって、その昇降用に棒状手摺やビニロンロープなども備えている。アーチネット登り204は、所定幅で格子状をなすビニロンネットが側面視で略90度円弧を描く一対の側柱に架設された遊具であって、その昇降用に棒状手摺を備えている。ネットブリッジ205は、所定幅で格子状をなすビニロンネットが緩やかに勾配するように一対の側柱に架設された遊具であって、所定高さの柵状手摺を有している。ハーフトンネル206は、FRP製の大型円筒体が水平に複数連接された一体の長尺円筒状をなし、その内部が連通して利用者が通行可能なトンネルが形成される。グリップ登り207は、側面視で略45度傾斜した板状体の適宜位置に岩石を模したゴムグリップが適宜配置された遊具であり、その昇降用に棒状手摺を備えている。階段208は、ポリエチレン製の成型品で複数の段差を形成するとともに、所定高さの柵状手摺を有している。
【0037】
屋根209は、略四角錐状の外観を有する部材であって、支柱2g,2h,2i,2jの上端部に取り付けられて、踊り場3cの天井を形成する。装飾パネル210,211,212は、それぞれ2本の支柱2a,2b、支柱2c,2dおよび支柱2g,2hに亘って、踊り場3aまたは3cから上方に向けて垂直配置された意匠性の高い樹脂板である。開口パネル213,214,215は、それぞれ2本の支柱2j,2l、支柱2b,2dおよび支柱2g,2iに亘って、踊り場3a,3c,3dから上方に向けて垂直配置された樹脂板である。これらの開口パネル213,214,215は、その中央部にパイプスライダー202またはハーフトンネル206に連通する開口部が形成されている。段差付パネル216は、地表からの高さ位置が異なる2つの踊り場3c,3dの間隙を塞ぐ樹脂板に、平面視で略半月状の踏み板が形成された樹脂成型品である。安全フード217は、支柱2a,2cに亘って踊り場3aから上方に向けて配置されるとともにアーチ状の開口が形成された樹脂板である。タラップ301は、アーチ状に湾曲加工された小径長尺の鉄製パイプであって、支柱2e,2fに亘って踊り場3bから上方に向けて垂直配置される。手摺パイプ302は、直線状をなす小径長尺の樹脂製パイプ(ゴムライニングパイプ)であって、2本の支柱2c,2e、支柱2h,2jおよび支柱2k,2lに亘って、踊り場3cから上方に向けて垂直配置される。
【0038】
ここで、図4〜図11を参照して、総合遊具1の組立構造について説明する。図4は、支柱2および踊り場3を中心とした部品展開斜視図である。図5は、連結支柱10の正面図である。図6は、床基部20の正面図である。図7は、地際金具50の正面図である。図8は、キャップ金具60の正面図である。図9は、ジョイント金具70の平面図および正面図である。図10および図11は、総合遊具1の骨組み構造に各種遊具を取り付ける態様を説明するための部分拡大図である。なお、本実施形態では、総合遊具1の骨組み構造を構成する各部材において、総合遊具1の立設した場合にその下端に向かう方向を「一端側」とし、総合遊具1の立設した場合にその上端に向かう方向を「他端側」とする。
【0039】
図4に示すように、総合遊具1の支柱2および踊り場3からなる骨組み構造は、複数の連結支柱10、一以上の床基部20(床部30および脚部40)、複数の地際金具50、複数のキャップ金具60および複数のジョイント金具70が、一体に組み立てられる。これらの骨組み構造を構成する各部品は、屋外に設置される大型遊具として耐えうる安全性および耐久性を満たすべく、全て鉄製の金具類である。
【0040】
なお、本実施形態では、後述する支柱2を構成する連結支柱10、脚部40、地際金具50、キャップ金具60およびジョイント金具70がそれぞれ有する本体円筒の断面が一致しており、具体的には各本体円筒の外径が101.6mmおよび肉厚が4mmであるものとする。つまり、支柱2を分割構成する各部品は、全て均等な径長および肉厚を有している。
【0041】
図4および図5に示すように、複数の連結支柱10は、長尺状または短尺状の鉄製円筒であって、支柱2の主たる構成部品をなす。連結支柱10の本体円筒11は、その軸線方向の一端縁部(ここでは、図4における下端縁部)の内周面に雌ネジ13が形成される一方、その軸線方向の他端縁部(ここでは、図4における上端縁部)の外周面に雄ネジ12が形成されている。雄ネジ12および雌ネジ13は羅合可能に対応しており、互いのネジ径およびピッチが略等しい。そのため、複数の連結支柱10は、一の連結支柱10の雄ネジ12を他の連結支柱10の雌ネジ13に羅合させて一体に繋ぎ合わせることができる(つまり、2以上の連結支柱10を連接することができる)。本実施形態の連結支柱10は、雄ネジ12のネジ部長さL1が75mm、および、雌ネジ13のネジ部長さL2が35mmである。また、複数の連結支柱10は、全て同一の全長を有していてもよいが、ここでは凡そ200mm〜1600mmの複数パターンの全長を有している。
【0042】
図4および図6に示すように、一以上の床基部20は、平面形状を有する鉄板である床部30と、当該床部30の隅部に各々取り付けられる短尺状の鉄製円筒である複数の脚部40と、で構成される。床部30は、平面視で正方形状をなす板体である床面31と、床面31の側縁が全周に亘って下方に曲げ形成されたフランジ32と、フランジ32の適宜位置に複数穿設されたボルト孔33と、を有している。また、床面31の四隅には、脚部40の外周面をそれぞれ当接可能な略円弧状の切欠き43が形成されている。なお、本実施形態の床部30は、床面31の両辺がそれぞれ890mmであり、フランジ32の幅長(図6における上下方向の長さ)が50mmである。なお、床部30の床面31が、総合遊具1において利用者が乗り降り可能な踊り場3として機能する。
【0043】
脚部40は、連結支柱10と同径をなす短尺状の鉄製円筒であって、支柱2の一部を構成する部品である。脚部40の本体円筒41は、本体円筒11と同様に、その軸線方向の一端縁部(ここでは、図4における下端縁部)の内周面に雌ネジ43が形成される一方、その軸線方向の他端縁部(ここでは、図4における上端縁部)の外周面に雄ネジ42が形成されている。雄ネジ42および雌ネジ43は羅合可能に対応しており、互いのネジ径、ピッチおよびネジ部長さが略等しい。さらに、この雄ネジ42は連結支柱10の雌ネジ13と羅合可能に対応し、かつ、この雌ネジ43は連結支柱10の雄ネジ12と羅合可能に対応している。本実施形態の脚部40は、雄ネジ42のネジ部長さL3および雌ネジ43のネジ部長さL4がそれぞれ75mmである。また、複数の脚部40は、全て同一の全長(ここでは、全長300mm)を有している。
【0044】
そして、床部30の四隅に形成された切欠き43には、一組(ここでは、4本)の脚部40の外周面が密接された状態で溶接固定されている。そして、各脚部40は、その本体円筒41の軸線方向が床面31の平面方向に対してそれぞれ略直交するとともに、当該脚部40の軸線方向長さ(つまり、全長)の略中間位置(より詳細には、脚部40の雄ネジ42を除いた外周面での全長における中間位置)で床面31を支持するように、床部30に固定されている。このように、床基部20は、先述の支柱2が複数の鉄製円筒で分割構成されるのに対して、床部30に一組の脚部40が予め固定された一体の構成部品である。
【0045】
ところで、総合遊具1の骨組み構造において、踊り場3を乗り降りする利用者や、踊り場3に連結される各種遊具によって、特に床部30および脚部40の連結部位に大きな荷重が加えられることになる。そのため、床部30および脚部40の連結部位が、この骨組み構造における最も脆弱な部位となりうるが、床基部20では床部30および脚部40があらかじめ一体に溶接固定されているため、大きな荷重に耐えうる安全性および耐久性に優れた構造となっている。
【0046】
さらに、床基部20は、床部30に一組の脚部40が溶接固定されたのちに、当該脚部40をシートまたはテープなどで養生(マスキング)したうえで、床部30および脚部40の溶接箇所を含めて床部30の全面に表面保護加工が施されている。この表面保護加工としては、床部30の全面に超速硬化ウレタン系樹脂を吹き付けて完全被膜するような特殊コーティング加工が例示される。
【0047】
ところで、踊り場3はその平面に雨水などが溜まりやすく、錆の発生による腐食劣化のおそれが高い。特に、床部30および脚部40の溶接部が腐食劣化すると、総合遊具1の耐久性に影響を及ぼすことがある。また、踊り場3を乗り降りする利用者が、その昇降時に床面31に頭をぶつけたり、床面31上で転倒したりするおそれもある。本実施形態の床部30は特殊コーティング加工が予め施されているため、ウレタン塗膜が床部30(脚部40との溶接部を含む。)の腐食劣化を抑制して耐久性の向上に寄与する。さらに、このウレタン塗膜は所定の弾性(あるいは、可撓性)を有しているため、利用者が床面31にて頭部をぶつけたり転倒したりしても、ウレタン塗膜が利用者への衝撃を緩和して安全性の向上に寄与する。
【0048】
図4および図7に示すように、複数の地際金具50は、連結支柱10と同径をなす短尺状の鉄製円筒であって、支柱2の一部を構成する部品である。地際金具50の本体円筒51は、その軸線方向の一端縁部(ここでは、図4における下端縁部)が閉口されるとともに、当該一端縁部にて外周側に突出する平面視円形のスタンドベース53が設けられている。また、本体円筒51の軸線方向の他端縁部(ここでは、図4における上端縁部)の外周面に雄ネジ52が形成されている。この雄ネジ52は連結支柱10の雌ネジ13と羅合可能に対応しているが、連結支柱10の雄ネジ12よりもネジ部長さが小さい。本実施形態の地際金具50は、雄ネジ52のネジ部長さL5が35mmであり、スタンドベース53が直径200mmおよび厚み12mmである。また、複数の地際金具50は、全て同一の全長(ここでは、全長245mm)を有している。
【0049】
地際金具50は、総合遊具1が立設された際に、スタンドベース53が地表に面接触して支柱2の下端部を構成するため、降雨などで地表に溜まる雨水によって錆が発生しやすい。この地際金具50には、総合遊具1全体の荷重が加えられるため、その腐食劣化は総合遊具1の耐久性に大きな影響を与えるおそれがある。そのため、地際金具50にも、その全面に表面保護加工(例えば、先述の超速硬化ウレタン系樹脂を吹き付けて完全被膜するような特殊コーティング加工)が予め施されている。これにより、地際金具50に表面に形成されたウレタン塗膜が、地際金具50の腐食劣化を抑制して耐久性を向上させる。
【0050】
図4および図8に示すように、複数のキャップ金具60は、連結支柱10と同径をなす短尺状の鉄製円筒であって、支柱2の一部を構成する部品である。キャップ金具60の本体円筒61は、その軸線方向の一端縁部(ここでは、図4における下端縁部)の内周面に、連結支柱10の雄ネジ12と羅合可能に対応する雌ネジ63が形成されている。また、本体円筒61の軸線方向の他端縁部(ここでは、図4における上端縁部)が、半球状のキャップ体62で封止されるように閉口されている。本実施形態のキャップ金具60は、キャップ体62が50.8mmの高さ(図7における上下方向長さ)を有し、雌ネジ63のネジ部長さL6が35mmである。また、複数のキャップ金具60は、全て同一の全長(ここでは、全長240.8mm)を有している。
【0051】
図4および図9に示すように、複数のジョイント金具70は、連結支柱10と同径をなす鉄製環状体(リング体)である。本実施形態では、3種類のジョイント金具70a〜70cが用意されており、いずれも本体円筒71が全て同一の全長L7(ここでは、全長40mm)を有しているが、連結腕部72の有無またはその数量が異なる。連結腕部72は、本体円筒71から外周側に突出するように連成されるとともに、その突出方向(本体円筒71の軸線と略直交する方向)を長手として平面が垂直をなす略長方形状の板状突起である。この連結腕部72には、その平面を厚み方向に貫通するボルト孔73が穿設されている。
【0052】
図9(a)に示すジョイント金具70aは、平面視で軸線からみて90度異なる外周方向に突出した2つの連結腕部72が設けられている。図9(b)に示すジョイント金具70bは、1つの連結腕部72が設けられている。図9(c)に示すジョイント金具70cは、連結腕部72が設けられていない。これらのジョイント金具70a〜70cは、当該ジョイント金具70が取り付けられる位置や、当該ジョイント金具70に連結される各種遊具に応じて適宜使い分けされるが、詳細は後述する。
【0053】
図4に戻り、作業者が総合遊具1を組み立てる場合には、床基部20が有する各脚部40の両端部に、連結支柱10をそれぞれ繋ぎ合わせる。すなわち、連結支柱10の雄ネジ12を、各脚部40の雌ネジ43にそれぞれ螺合させる。このとき、雄ネジ12のネジ部長さL1(ここでは、75mm)と雌ネジ43のネジ部長さL4(ここでは、75mm)とは等しいため、両ネジ12、43を緊密に羅合させると、連結支柱10および脚部40は互いに隙間無く且つ略面一となるように連結する。
【0054】
また、連結支柱10の雌ネジ13を、各脚部40の雄ネジ42にジョイント金具70aを介装させた状態でそれぞれ螺合させる。雌ネジ13のネジ部長さL2(ここでは、35mm)は雄ネジ42のネジ部長さL3(ここでは、75mm)よりも小さいが、雌ネジ13のネジ部長さL2にジョイント金具70の全長L7(ここでは、40mm)を加えると雄ネジ42のネジ部長さL3に等しい。そのため、両ネジ13、42を緊密に羅合させると、連結支柱10および脚部40はジョイント金具70を介して互いに隙間無く且つ略面一となるように連結する。
【0055】
なお、各脚部40の一端側に連接された一の連結支柱10の雌ネジ13に、他の連結支柱10の雄ネジ12をさらに羅合させることで、各脚部40の一端側に2以上の連結支柱10を連接してもよい。また、各脚部40の他端側に連接された一の連結支柱10の雄ネジ12に、さらに他の連結支柱10の雌ネジ13を羅合させることで、各脚部40の他端側に2以上の連結支柱10を連接してもよい。雌ネジ13のネジ部長さL2(ここでは、35mm)は雄ネジ12のネジ部長さL1(ここでは、75mm)よりも小さいため、2の連結支柱10の連接させる場合にはジョイント金具70を介装させる。これにより、両ネジ13、12を緊密に羅合させると、2の連結支柱10はジョイント金具70を介して互いに隙間無く且つ略面一となるように連結する。
【0056】
そして、各脚部40の一端側に連接された連結支柱10の一端部(つまり、総合遊具1が立設された場合における下端部)に、作業者が地際金具50をそれぞれ繋ぎ合わせる。すなわち、地際金具50の雄ネジ52を、当該連結支柱10の雌ネジ13(2以上の連結支柱10が連接されている場合は最下端側の連結支柱10の雌ネジ13)にそれぞれ螺合させる。このとき、雄ネジ52のネジ部長さL5(ここでは、35mm)と雌ネジ13のネジ部長さL2(ここでは、35mm)とは等しいため、両ネジ52、13を緊密に羅合させると、地際金具50および連結支柱10は互いに隙間無く且つ略面一となるように連結する。
【0057】
さらに、各脚部40の他端側に連接された連結支柱10の他端部(つまり、総合遊具1が立設された場合における上端部)に、作業者がキャップ金具60をそれぞれ繋ぎ合わせる。すなわち、キャップ金具60の雌ネジ63を、当該連結支柱10の雄ネジ12(2以上の連結支柱10が連接されている場合は最下端側の連結支柱10の雄ネジ12)にそれぞれ螺合させる。雌ネジ63のネジ部長さL6(ここでは、35mm)は雄ネジ12のネジ部長さL1(ここでは、75mm)よりも小さいが、雌ネジ63のネジ部長さL6にジョイント金具70の全長L7(ここでは、40mm)を加えると雄ネジ12のネジ部長さL1に等しい。そのため、両ネジ63、12を緊密に羅合させると、キャップ金具60および連結支柱10はジョイント金具70を介して互いに隙間無く且つ略面一となるように連結する。
【0058】
このように、本実施形態の総合遊具1では、床基部20の各脚部40の一端側に連結支柱10および地際金具50が順に繋ぎ合わされる一方、床基部20の各脚部40の他端側に連結支柱10およびキャップ金具60が順に繋ぎ合わされる。雌ネジおよび雄ネジの各ネジ部長さが異なる連結部(ここでは、両ネジ12,13、両ネジ42,13および両ネジ12,63の連結部)には、ジョイント金具70が介装される。そして、床部30の床面31が踊り場3を形成するとともに、一体に繋ぎ合わされた連結支柱10、脚部40、地際金具50、キャップ金具60およびジョイント金具70が略面一をなす長尺の支柱2を形成して、総合遊具1の骨組み構造が完成する。
【0059】
図4では、総合遊具1の骨組み構造の最も基本的な態様を例示しているが、上記の構成部品を適宜組み合わせることにより、図1〜3の総合遊具1に示すような多様な骨組み構造を実現できる。例えば、支柱2の全長を調整したい場合は、当該支柱2の一部を構成する連結支柱10の全長や連接本数を最適なものとすればよい。特に、脚部40と地際金具50とを連結する連結支柱10の全長や連接本数を変化させることで、総合遊具1を立設した場合における床部30(つまり、踊り場3)の高さ位置を調整することができる。
【0060】
また、一組の支柱2に連結される床基部20の数量は1つに限定されず、各支柱2における異なる高さ位置に複数の床基部20が取り付けられた構造であってもよい。例えば、総合遊具1の上方から順に、キャップ金具60,連結支柱10,床基部20の脚部40,連結支柱10,床基部20の脚部40,連結支柱10,地際金具50となるように一組の支柱2を構成すれば、当該支柱2における異なる高さ位置に2つの床部30(つまり、踊り場3)が架設されるようになる。
【0061】
なお、図1〜3に示す総合遊具1では、支柱2c,2dには異なる高さ位置に2つの床基部20(つまり、踊り場3a,3b)が取り付けられ、上側の床基部20(つまり、踊り場3a)がさらに支柱2a,2bに取り付けられるとともに、下側の床基部20(つまり、踊り場3b)がさらに支柱2e,2fに取り付けられる。また、支柱2i,2jには異なる高さ位置に2つの床基部20(つまり、踊り場3c,3d)が取り付けられ、上側の床基部20(つまり、踊り場3c)がさらに支柱2g,2hに取り付けられるとともに、下側の床基部20(つまり、踊り場3d)がさらに支柱2k,2lに取り付けられる。
【0062】
また、総合遊具1の骨組み構造において、床基部20のフランジ32およびジョイント金具70の連結腕部72に対して各種遊具が取り付けられる。そのため、各種遊具の取付位置は、床基部20およびジョイント金具70の取付位置により規定されることになるが、床基部20およびジョイント金具70の高さ位置も、連結支柱10の全長や連接本数によって調整することが可能である。さらに、ジョイント金具70の数量を増減させる場合にも、連結支柱10の連接本数(つまり、ジョイント金具70が介装される両ネジ12,13の連結部)を増減させればよい。
【0063】
また、先述したように、ジョイント金具70には3パターン用意されており、ジョイント金具70が取り付けられる部位(つまり、両ネジ12,13、両ネジ42,13および両ネジ12,63の各連結部)に対する各種遊具の取り付けがない場合は、連結腕部72を有しないジョイント金具70cが介装される。ジョイント金具70が取り付けられる部位に1つの各種遊具が取り付けられる場合は、1の連結腕部72を有するジョイント金具70bが介装される。ジョイント金具70が取り付けられる部位に2つの各種遊具が取り付けられる場合は、2の連結腕部72を有するジョイント金具70aが介装される。
【0064】
作業者は、総合遊具1の骨組み構造を完成させると、当該骨組み構造を地表に立設させたうえで各種遊具の取り付けを行なう。本実施形態では、総合遊具1の骨組み構造への各種遊具の取り付けは、床基部20のフランジ32に形成されたボルト孔33やジョイント金具70の連結腕部72に形成されたボルト孔73に、各種遊具に予め形成されたボルト孔を連通させて、当該連通された両ボルト孔にボルトを挿入してナットに締結することで、床基部20またはジョイント金具70に各種遊具を連結固定する。
【0065】
具体的には、図1〜図3に示す総合遊具1では、スベリ台201は、その上端が踊り場3aの支柱2a,2c間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端へ向けて滑降面が下方傾斜するように設置される。半割丸太登り203は、その上端が踊り場3bの支柱2c,2e間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端へ向けて昇降面が円弧状に湾曲傾斜するように設置される。アーチネット登り204は、その上端が踊り場3cの支柱2h,2j間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端へ向けて昇降面が円弧状に湾曲傾斜するように設置される。ネットブリッジ205は、その上端が踊り場3dの支柱2i,2k間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端が踊り場3bの支柱2d,2f間のフランジ32に連結固定される。グリップ登り207は、その上端が踊り場3dの支柱2k,2l間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端へ向けて昇降面が下方傾斜するように設置される。階段208は、その上端が踊り場3bの支柱2e,2f間のフランジ32に連結固定されるとともに、その下端へ向けて複数の段差が設置される。
【0066】
ここで、図10に示すように、支柱2cには、キャップ金具60および脚部40と連結された連結支柱10の両端側にジョイント金具70bが介装され、支柱2eには、キャップ金具60および脚部40と連結された連結支柱10の両端側にジョイント金具70aが介装されている。そして、これらのジョイント金具70a,70bの連結腕部72が、平面視で床基部20のフランジ32と略一致するように本体円筒71から延びている。上方側で一対をなすジョイント金具70a,70bの各連結腕部72には、先述の手摺用パイプ302が当該連結腕部72のボルト孔73にて略水平に連結固定される。下方側で一対をなすジョイント金具70a,70bの各連結腕部72には、小径をなす長尺筒状の鉄パイプである手摺部80が、その曲げ加工された下端縁を各連結腕部72に面接触させつつボルト孔73にて略垂直に連結固定される。なお、各手摺部80の上端縁は、手摺用パイプ302内に挿入されるようになっている。これにより、各手摺部80は、踊り場3bに取り付けられた半割丸太登り203への昇降時に利用者が把持可能であるともに、その上端縁が外部に露出しないように被覆されるため利用者が手などを怪我するおそれがない。なお、グリップ登り207が取り付けられる踊り場3dの縁部上方、および、アーチネット登り204が取り付けられる踊り場3cの縁部上方にも、図10と同様に手摺用パイプ302および一対の手摺部80が設けられている。
【0067】
また、図11に示すように、支柱2e,2fには、キャップ金具60および脚部40と連結された連結支柱10の両端側にジョイント金具70aがそれぞれ介装される。そして、これらのジョイント金具70aの連結腕部72が、平面視で床基部20のフランジ32と略一致するように本体円筒71から延びている。上方側および下方側でそれぞれ一対をなすジョイント金具70a,70aの各連結腕部72には、先述のタラップ301が当該連結腕部72のボルト孔73にて略垂直に連結固定される。これにより、タラップ301は、踊り場3bに取り付けられた階段208への昇降時に、利用者がその内側を潜ることが可能となるように配置される。
【0068】
なお、図10および図11に例示したように、2本の支柱2間に対向するジョイント金具70の各連結腕部72と当該2本の支柱2に架設されるフランジ32とが平面視で略一致した部位は、踊り場3bのみならず、他の踊り場3a,3c,3dについても同様に形成される。そして、各踊り場3の縁部から上方に向けて、装飾パネル210,211,212や開口パネル213,214,215などが、各連結腕部72およびフランジ32にそれぞれ形成されたボルト孔73,33にて連結固定される。そして、パイプスライダー202は、踊り場3dの右側縁部上方に固定された開口パネル213に、その上端が当該開口パネル213の開口と連通するように固定されるとともに、その下端へ向けて滑降面が下方に蛇行傾斜するように設置される。また、ハーフトンネル206は、踊り場3aの右側縁部上方に固定された開口パネル214、および、踊り場3cの左側縁部上方に固定された開口パネル215に、その内部が各開口パネル214,215の開口と連通するように略水平に固定される。
【0069】
このように、作業者は、総合遊具1の骨組み構造において、床基部20のフランジ32に形成されたボルト孔33やジョイント金具70の各連結腕部72に形成されたボルト孔73を利用して、任意の各種遊具などを任意の位置に取り付けて総合遊具1の組み立てが完成する。なお、各種遊具の適宜位置において、当該遊具を下方から支持する遊具支柱220を地表に立設(または、その下端側を地中に埋設)しておくことで、総合遊具1の耐久性および安全性が向上する。
【0070】
以上、本実施形態に係る総合遊具1によれば、連結支柱10、床基部20、地際金具50、キャップ金具60およびジョイント金具70を互いの雄ネジおよび雌ネジで羅合させるだけで骨組み構造が完成し、この骨組み構造の適宜位置に各種遊具を取り付ければよいため、総合遊具1を容易かつ迅速に組み立てることができる。また、総合遊具1を分割構成する各部材を、その設置場所まで運搬したうえで組み立てればよいため、総合遊具1の運搬時における作業者の手間や負担が軽減される。しかも、汎用性のある各種遊具を、総合遊具1の適宜位置に取り付けることができるので、設置条件や利用者ニーズに応じた自由度の高い大型遊具を実現できる。このように、総合遊具1では、遊園地や公園などの屋外に設置される大型遊具を容易に組立てることができるとともに、その組立から施工までの一連の作業を省力化することができる
【0071】
また、連結支柱10、床基部20、地際金具50、キャップ金具60およびジョイント金具70を互いの雄ネジおよび雌ネジを連結させて繋ぎ合わせるだけで(特に、二以上の連結支柱10を連接するだけで)、任意の全長をなす一体の支柱2を形成することができ、総合遊具1の高さを任意に設定することができる。そして、総合遊具1を立設した際には、床基部20の床部30(つまり、踊り場3)が地上からみた最適な高さに位置決めされるようにすることができ、利用者の利用頻度が高い踊り場3の高さ調整も容易である。さらに、1組の支柱2および踊り場3で構成される各ユニットを平面方向に連設することで、総合遊具1の平面方向の大きさ(広さ)も任意に設定可能である。
【0072】
しかも、総合遊具1の骨組み構造を形成する各部材(連結支柱10、床基部20、地際金具50、キャップ金具60およびジョイント金具70)を全て鉄製の金具類とするのみならず、その立設状態において下方の雄ネジが上方の雌ネジに内挿されるねじ込み構造を採用するとともに、利用者の荷重が大きい床部30が各脚部40に予め一体化された床基部20を用いたため、総合遊具1を大型化しても安定性および耐久性に確保することができる。さらに、地際金具50および床基部20の床部30は、特殊コーティング加工が予め施されているため、総合遊具1の安定性および耐久性をより確実にすることができる。
【0073】
ところで、本実施形態において、総合遊具1が本発明の「屋外用組立式遊具」に相当する。連結支柱10が、本発明の「連結支柱」に相当する。床基部20が、本発明の「床基部」に相当する。地際金具50が、本発明の「ベース柱」に相当する。スベリ台201、パイプスライダー202、半割丸太登り203、アーチネット登り204、ネットブリッジ205、ハーフトンネル206、グリップ登り207、階段208、装飾パネル210,211,212、開口パネル213,214,215、タラップ301および手摺用パイプ302が、本発明の「遊具部材」に相当する。
【0074】
なお、本発明は、上記の好ましい実施形態に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が可能である。
【0075】
例えば、本実施形態の総合遊具1では、支柱2が複数の金属性円筒(連結支柱10や脚部40など)で長尺直線状である場合を例示したが、各金属性円筒を連接可能であれば、長手方向に湾曲した複数の金属性円筒を連接することで、支柱2を長尺湾曲状に構成してもよい。また、踊り場3の平面形状を略正方形である場合を例示したが、床部30の床面31の形状を適宜変更することで、踊り場3の平面形状を円形や他の矩形状にしてもよい。つまり、総合遊具1の支柱2や踊り場3は、その設置条件や利用者ニーズに応じて任意に構成することができる。
【0076】
また、各種遊具を支柱2(つまり、ジョイント金具70の連結腕部72)や踊り場3(つまり、床基部20のフランジ32)にボルトおよびナットで連結固定する場合を例示したが、各種遊具の取り付けはかかる態様に限定されない。各種遊具が支柱2や踊り場3に溶着または接着される態様であってり、各種遊具が支柱2や踊り場3に形成される切欠や突起に係合される態様であってもよい。なお、総合遊具1の組立および設置が完了した後に、当該総合遊具1に取り付けられた各種遊具が交換される場合などを考慮すると、各種遊具の着脱が容易な取り付け態様がより好適である。
【0077】
また、総合遊具1の骨組み構造を分割構成する各種部材(連結支柱10や脚部40など)は鉄製の金具類である場合を例示したが、総合遊具1に要求される安全性および耐久性を満たすものであれば、他の金属製(例えば、ステンレスなど)であってもよい。また、地際金具50および床基部20の床部30は、特殊コーティング加工によるウレタン塗膜を形成した場合を例示したが、防水性および弾性の要求を満たすのであれば他の樹脂層(例えば、シリコン塗膜など)であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 総合遊具
2 支柱
3 踊り場
10 連結支柱
12 雄ネジ
13 雌ネジ
20 床基部
30 床部
31 床面
32 フランジ
33 ボルト孔
40 脚部
42 雄ネジ
43 雌ネジ
50 地際金具
52 雄ネジ
53 スタンドベース
60 キャップ金具
62 キャップ体
63 雌ネジ
70 ジョイント金具
72 連結腕部
73 ボルト孔
201 スベリ台
202 パイプスライダー
203 半割丸太登り
204 アーチネット登り
205 ネットブリッジ
206 ハーフトンネル
207 グリップ登り
208 階段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一の端縁部における内周面に雌ネジが形成されるとともに、他の端縁部における外周面に雄ネジが形成された金属製の円筒体である複数の連結支柱と、
平面形状を有する金属製の板体である床部、および、前記連結支柱と略一致する断面をなす金属製の円筒体である複数の脚部、を有しており、当該床部の平面に対して当該複数の脚部の軸線がそれぞれ略直交するように設けられた一以上の床基部と、
前記連結支柱と略一致する断面をなす金属製の円筒体であって、一の端縁部が閉口された複数のベース柱と、
前記連結支柱および前記床基部の少なくとも一方に着脱自在に構成された一以上の遊具部材と、
を少なくとも備えており、
前記複数の連結支柱は、一の前記連結支柱に形成された前記雌ネジに他の前記連結支柱に形成された雄ネジを羅合させることによって連接自在に構成されるとともに、
前記複数の脚部の各々は、一の端縁部における内周面に、前記連結支柱に形成された前記雄ネジを羅合可能な雌ネジが形成されるとともに、他の端縁部における外周面に、前記連結支柱に形成された前記雌ネジに羅合可能な雄ネジが形成される一方、
前記複数のベース柱は、前記一の端縁部とは異なる他の端縁部における外周面に、前記連結支柱に形成された前記雌ネジに羅合可能な雄ネジが形成される
ことを特徴とする屋外用組立式遊具。
【請求項2】
前記複数のベース柱は、少なくとも地表に当接する前記他の端縁部およびその近傍が、少なくとも防水性を有する樹脂層によって表面保護されていることを特徴とする請求項1に記載の屋外用組立式遊具。
【請求項3】
前記一以上の床基部は、前記床部が有する矩形状平面における複数の隅部に対して、前記複数の脚部がその側面位置にて各々溶接されるとともに、当該溶接された部位を含めて前記床部の全面が弾性および防水性を有する樹脂層によって表面保護されていることを特徴とする請求項1または2に記載の屋外用組立式遊具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−193968(P2010−193968A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39660(P2009−39660)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【特許番号】特許第4392053号(P4392053)
【特許公報発行日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(500535378)株式会社ジャクエツ環境事業 (6)