説明

屋外耐候性光重合性コーティング

【課題】高いベンゾトリアゾール配合レベルにおいてもブルーミングを避けることができるポリマーコーティングを提供すること。
【解決手段】ビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、多量のベンゾトリアゾールと、前記ベンゾトリアゾールを可溶化する共重合性モノマーとを含有する重合性組成物でプラスチック物品をコーティングすることができる。硬化された組成物が、物品を紫外線露光および他の屋外暴露の作用から保護するのを助ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマーコーティング、物品をコーティングするための方法、およびコーティングされた物品に関する。
【背景技術】
【0002】
光重合性コーティング中の紫外線吸収剤(「UVA」)に関する文献には、米国特許第5,318,850号明細書(ピケット(Pickett)ら)、米国特許第5,559,163号明細書(ドーソン(Dawson)ら)、米国特許第5,977,219号明細書(ラビチャンドラン(Ravichandran)らの‘219号)、米国特許第6,187,845号明細書(レンズ(Renz)ら)および米国特許第6,262,151号明細書(ラビチャンドランらの‘151号)、およびPCT出願国際公開第98/34981号パンフレット(イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company))などがある。米国特許第5,294,473号明細書(カワモト(Kawamoto))には、UVAを含有することができるポリエチレン2,6−ジナフタレート(「PEN」)写真支持体が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
十分に強いかまたは十分に長い屋外気象条件に暴露されたとき、ポリマーコーティングは最終的に不良になる。重合されたコーティングの耐用寿命を伸ばすためまたは下にある材料を保護するために、重合の前にUVAをコーティング組成物に添加することができる。しかしながら、UVAの存在は、紫外線(「UV」)硬化が用いられるときに重合を損なう場合がある。また、溶剤も使用されなければ多くのUVAが光重合性コーティング組成物にごく限られた溶解度しか有さない。無溶剤コーティング組成物は、溶剤の使用に伴うことがある起こりうる環境被害および材料コストの増加、および溶剤の乾燥に伴うことがある時間の増加および起こりうる火災または爆発の危険など、様々な理由のために望ましい。また、溶剤を使用して高いUVA配合レベルを達成した場合、UVAは、硬化コーティングに「ブルームする」(表面にはっきりと目にみえる)ことがある。
【0004】
ビニル官能性架橋性フィルム形成剤とベンゾトリアゾールを可溶化する共重合性モノマーとを含有する重合性組成物中に多量のベンゾトリアゾールUVAを溶解することができることが発見された。得られた組成物は溶剤の使用を必要とせず(ただし必要に応じて用いてもよい)、非常に良好な耐紫外線性を有する硬化コーティングを提供することができ、しかも非常に高いベンゾトリアゾール配合レベルにおいてもブルーミングを避けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、1つの態様において、
a)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、
b)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、
c)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーと、を含む均質なコーティング組成物を提供する。
【0006】
別の態様において、本発明は、
a)支持体を用意する工程と、
b)(i)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、(ii)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、(iii)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーとを含む均質な混合物で前記支持体の少なくとも一部をコーティングする工程と、
c)コーティングを重合させる工程と、を含む耐紫外線性コーティングの製造方法を提供する。
【0007】
さらに別の態様において、本発明は、
a)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、
b)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、
c)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーと、を含む均質な混合物の重合反応生成物を含む耐紫外線性コーティングで上塗りされた支持体を含む物品を提供する。
【0008】
本発明のこれらおよび他の態様は、以下の詳細な説明から明白である。しかしながら、上記の概要は、特許請求された主題に対する制限条件と解釈されるべきではなく、この主題は、添付した特許請求の範囲によってのみ規定され、審査手続の間に補正される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】開示されたコーティングされた物品の略断面図である。
【図2】開示されたコーティングされたフィルムの略断面図である。
【図3】開示されたコーティングされた多層光学フィルムの略断面図である。
【図4】境界面を形成する2つのポリマー層の積層体の略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面の様々な図中の同じ参照符号は、同じ要素を示す。図面の要素は縮尺通りではない。
組成物または混合物に対して用語「均質な」を用いることによって、目視検査したときに沈殿物または溶解されない固形分を含有しない単一相を有するようにみえる液体を指す。均質な組成物または混合物は、懸濁液、分散系、エマルションまたは他の微視的に多相の形であることが、より詳細に検査したときに見出されることがある。
【0011】
用語「ポリマー」を用いることによって、ホモポリマーおよびコポリマー、ならびに、例えば、同時押出によるかまたは例えば、エステル交換などの反応によって混和性ブレンドに形成される場合があるホモポリマーまたはコポリマーを指す。用語「コポリマー」には、交互、ランダムおよびブロックコポリマーなどがある。
【0012】
用語「コーティング厚さ」を用いることによって、特に記載しない限り、重合されたあるいは他の方法で硬化された後のコーティングの厚さを指す。
【0013】
用語「フィルム形成剤」を用いることによって、適した支持体上に(例えば、重合する前に約0.05mmの)薄層にコーティングすることができ、重合してほぼ連続したコーティングを形成することができる材料を指す。
【0014】
架橋性フィルム形成剤に対して用語「ビニル官能性」を用いることによって、熱、光、電子線または他の活性化エネルギーの作用によって(そして適した開始剤の存在下である必要がある場合)架橋ポリマーのほぼ連続したコーティングを形成することができるビニル(−CH=CH2)基を有する材料を指す。架橋状態は概して、溶剤への不溶解性を特徴とするが、適切な溶剤の存在下で膨潤性を特徴とすることがある。
【0015】
モノマーに対して用語「共重合性」を用いることによって、ビニル官能性架橋性フィルム形成剤と重合して架橋ポリマーのほぼ連続したコーティングを形成することができるモノマーを指す。
【0016】
用語「ブルーミング」を用いることによって、硬化ポリマーコーティングの表面においての可視的な付着物または不均等な変色の形成を指す。
【0017】
液体に対して用語「可溶化する」を用いることによって、固体を液体に溶解して均質な混合物を形成することを指す。液体モノマーから製造された硬化コーティングに対して用語「可溶化する」を用いることによって、固体を液体モノマーに溶解して均質な混合物を形成することを指し、ブルーミング、内部の曇り、または相分離の他の可視的な徴候を伴わずに硬化コーティング中に固体を保持することを指す。
【0018】
物品またはその要素に対して用語「可視光線透過性」を用いることによって、物品または要素の、スペクトルの可視部分にわたっての平均透過性Tvisが、垂直軸に沿って測定されたときに少なくとも約20%であることを意味する。
【0019】
物品またはその要素に対して用語「光学的に透明」を用いることによって、約1メートル、好ましくは約0.5メートルの距離において裸眼によって認められる目に見える顕著な変形、曇りまたは傷の無いことを指す。
【0020】
本発明の物品の様々な要素の位置のために「上に(atop)」、「上に(on)」、「最上に(uppermost)」などの向きの語句を用いることによって、水平支持体または基準面に対する要素の相対位置を指す。かかる要素または物品が、それらの製造中かまたは後に空間にいずれかの特定の向きを有しなくてはならないことを意図するものではない。
【0021】
用語「上塗りされた」を用いて本発明の物品中の支持体または他の要素(例えば、下にある層)に対する層の位置を記述することによって、支持体または他の要素の上にあるが支持体または他の要素に必ずしも接触していない説明された層を指す。用語「によって隔てられた」を用いて2つの他の要素に対する第1の要素の位置を記述することによって、他の要素の間にあるがどちらの他の要素にも必ずしも接触していない第1の要素を指す。
【0022】
用語「屋外暴露」を用いることによって、太陽、雨、空気によって運ばれた汚染物質および熱などの模擬または実際の屋外気候条件への長期暴露、高強度バルブ、屋内照明等の模擬または実際の屋内照明条件への長期暴露の作用を指す。硬化ポリマーコーティングまたはポリマー基板については、一般的な屋外暴露の不良モードには、黄変、割れ、剥離、層間剥離または曇りなどがある。
【0023】
図1を参照すると、本発明の物品は概して10に示される。物品10は、屋外暴露されたときに劣化しやすいプラスチックまたは他の材料から作製された支持体12を備える。支持体12は、プライマー層13および耐紫外線性コーティング層14で上塗りされている。コーティング14は、紫外線露光などの屋外暴露から支持体12を保護するのを助けるベンゾトリアゾール紫外線吸収剤(図1に示されない)を高いパーセンテージで含有する。
【0024】
図2は、プライマー層23、25および耐紫外線性コーティング層24、26をその上面および下面の上に上塗りされた軟質フィルム支持体22を有する本発明のフィルム物品20を示す。コーティング26は、損傷または磨耗から物品20の下面を保護するのを助けるサブミクロンの無機粒子28を含有するハードコート層である。
【0025】
図3は、第1のポリマーの層34、38、42、46および50および第2のポリマーの層36、40、44および48などの多数の(例えば、10、100、1000またはそれ以上の)薄層から作製された軟質フィルム支持体32を有する本発明の多層光学フィルム物品30を示す。これらの層の全てが図3に示されるわけではない。欠けている層は、省略記号を用いて示される。外側スキン層60がプライマー層58の上にあり、物品30の、下にある層を損傷から保護する。
【0026】
図4を参照すると、2つの隣接した層36および38が斜視図において示される。層36(および図4に示されない、層40、44および48などの同じ第2のポリマーの他の層)が、xおよびy軸(面内)方向の面内屈折率n1xおよびn1yおよびz軸(面外)方向の屈折率n1zを有する。層38(および図4に示されない、層34、38、42、46および50などの同じ第1のポリマーの他の層)が、xおよびy軸方向の面内屈折率n2xおよびn2yおよびz−軸方向の屈折率n2zを有する。入射光線75は、層36を通過するときに屈折され、境界面77において反射され、層76を再び通過するときに屈折され、次いで反射光線79として層76を出る。多層光学フィルム物品の反射率の特性は、支持体内の層の各屈折率によって決定される。特に、反射能は、x、y、およびz方向の各層材料の屈折率の間の関係に依存する。図3の物品30などの多層光学フィルム物品は、第3の屈折率(典型的にz軸に沿う、またはnz)とは異なっている、ほぼ等しい2つの屈折率(典型的にxおよびy軸に沿う、またはnxおよびny)を有する少なくとも1つの一軸複屈折性ポリマー材料を用いて形成されるときに特に有用な光学的性質を有することがある。全ての光学層がそれらの屈折率において等方性である多層光学フィルムもまた、使用することができる。
【0027】
様々な支持体を本発明において使用することができる。代表的な支持体には、セルロース系材料(例えば、セルローストリアセテートすなわち「TAC」)、低密度ポリエチレン(「LDPE」)、線状低密度ポリエチレン(「LLDPE」)、高密度ポリエチレン(「HDPE」)、ポリプロピレン(「PP」)および環状オレフィンコポリマー(例えば、メタロセンで触媒された環状オレフィンコポリマーすなわち「COC」)などのポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)、エチレンエチルアクリレート(「EEA」)、エチレンメチルアクリレート(「EMA」)およびエチレンビニルアクリレート(「EVA」)などのアクリレートおよびメタクリレート、ポリスチレン(「PS」)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(「ABS」)、スチレン−アクリロニトリル(「SAN」)、スチレン/マレイン無水物(「SMA」)およびポリα−メチルスチレンなどのスチレンポリマー、ナイロン6(「PA6」)などのポリアミド、ポリ塩化ビニル(「PVC」)、ポリオキシメチレン(「POM」)、ポリビニルナフタレン(「PVN」)、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)、ポリアリールエーテルケトン(「PAEK」)、フルオロポリマー(例えば、ダイネオン(DYNEON)(登録商標)HTE ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、およびエチレンのターポリマー)、ビスフェノールAのポリカーボネート(「PC」)などのポリカーボネート、ポリアリーレート(「PAR」)、ポリスルホン(「PSul」)、ポリフェニレンオキシド(「PPO」)、ポリエーテルイミド(「PEI」)、ポリアリールスルホン(「PAS」)、ポリエーテルスルホン(「PES」)、ポリアミドイミド(「PAI」)、ポリイミドおよびポリフタルアミドなどがある。支持体のさらに好ましいクラスには、熱安定化PET(「HSPET」)、ポリエチレンテレフタレート(「PET」)およびテレフタレートコポリエステル(「coPET」)などのテレフタレートポリエステルおよびコポリエステル、およびポリエチレンナフタレート(「PEN」)、ナフタレートコポリエステル(「coPEN」)およびポリブチレン2,6−ナフタレート(「PBN」)などのナフタレートポリエステルおよびコポリエステルがある。好ましいcoPENは、90モル%のジメチルナフタレンジカルボキシレートおよび10モル%のジメチルテレフタレートから誘導されたカルボキシレートサブユニットと100モル%のエチレングリコールサブユニットから誘導されたグリコールサブユニットとを使用し、0.48dL/gの固有粘度(IV)を有するポリマーを提供し、屈折率が約1.63である。
【0028】
光学性能が重要である適用については、硬化コーティングの、可視光線の透過性が550nmにおいて少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%であるのが好ましい。ヒートセット、引張応力下でのアニール、または支持体が拘束されないときに少なくとも熱安定化温度まで収縮をさせない他の技術を用いて、必要に応じて、支持体を一軸延伸、二軸延伸または熱安定化させることができる。支持体は、どんな所望の厚さも有することができる。ロールツーロール処理装置を用いて製造またはコーティングされる軟質フィルム支持体を必要とする適用については、支持体は好ましくは、厚さが約0.005〜約1mm、より好ましくは約0.025〜約0.25mmである。スキン層および他の任意選択の非光学層が、第1および第2のポリマー層を含有する多層光学フィルム中で使用される場合、スキン層および非光学層は、第1および第2のポリマー層より厚い、薄い、または同じ厚さであってもよい。スキン層および非光学層の厚さは概して、単一の第1および第2のポリマー層の少なくとも1つの厚さの少なくとも4倍、典型的に少なくとも10倍であり、少なくとも100倍であってもよい。
【0029】
様々なビニル官能性架橋性フィルム形成剤(ときどき、以下に「フィルム形成剤」と称される)を本発明において使用することができる。代表的なフィルム形成剤は典型的に、アルキル2官能性、3官能性、またはより高官能性のアクリレートおよびメタクリレートなどの2またはより多くのビニル官能基を有するモノマーまたはオリゴマー、およびアリル、フマル酸またはクロトン酸不飽和を有するモノマーおよびオリゴマーである。好ましいフィルム形成剤(およびいくつかの場合、それらのガラス転移温度すなわち「Tg」値)には、ステアリルアクリレート(例えば、サートマー・カンパニー(Sartomer
Company)から市販されているSR−257、Tg=約35℃)、ステアリルメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−324、Tg=約38℃)、グリシジルメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−379、Tg=約41℃)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−238、Tg=約43℃)、ウレタンメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているCN−1963、Tg=約45℃)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−213、Tg=約45℃)、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート(例えば、SR−9209、Tg=約48℃、サートマー・カンパニーから市販されている)、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているCD−582、Tg=約49℃)、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート(例えば、全てサートマー・カンパニーから市販されているCD−541、Tg=約54℃、SR−601、Tg=約60℃およびCD−450、Tg=約108℃)、2−フェノキシエチルメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−340、Tg=約54℃)、エポキシアクリレート(例えば、全てサートマー・カンパニーから市販されているCN−120、Tg=約60℃、CN−124、Tg=約64℃およびCN−104、Tg=約67℃)、トリプロピレングリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−306、Tg=約62℃)、トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、SR−351、Tg=約62℃、サートマー・カンパニーから市販されている)、ジエチレングリコールジメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−231、Tg=約66℃)、エポキシメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているCN−151、Tg=約68℃)、トリエチレングリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−272、Tg=約70℃)、ウレタンアクリレート(例えば、共にサートマー・カンパニーから市販されているCN−968、Tg=約84℃およびCN−983、Tg=約90℃、全てコグニス・コーポレーション(Cognis Corporation)から市販されているフォトマー(PHOTOMER)(登録商標)6210、フォトマー6010およびフォトマー6230、全てUCBラドキュア(UCB Radcure)から市販されているエベクリル(EBECRYL)(登録商標)8402、エベクリル8807およびエベクリル4883、および共にBASFから市販されているラロマー(LAROMER)(登録商標)LR8739およびラロマーLR8987)、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−399、Tg=約90℃)、スチレンとブレンドされたエポキシアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているCN−120S80、Tg=約95℃)、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−355、Tg=約98℃)、ジエチレングリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−230、Tg=約100℃)、1,3−ブチレングリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−212、Tg=約101℃)、ペンタアクリレートエステル(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−9041、Tg=約102℃)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−295、Tg=約103℃)、ペンタエリトリトールトリアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−444、Tg=約103℃)、エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−454、Tg=約103℃)、アルコキシル化三官能性アクリレートエステル(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−9008、Tg=約103℃)、ジプロピレングリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−508、Tg=約104℃)、ネオペンチルグリコールジアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−247、Tg=約107℃)、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているCD−406、Tg=約110℃)、環状ジアクリレート(例えば、UCBケミカルズ(UCB Chemicals)から市販されているIRR−214、Tg=約208℃)、ポリエステルアクリレート(例えば、共にサートマー・カンパニーから市販されているCN2200、Tg=約−20℃、およびCN2256)およびトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−368、Tg=約272℃)、前述のメタクリレートのアクリレートおよび前述のアクリレートのメタクリレートなどがあるがそれらに限定されない。ヘキサンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート(「PETA」)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(「TMPTA」)および脂肪族または脂環式ウレタンアクリレートオリゴマーが特に好ましいフィルム形成剤である。ウレタン官能基を含有するフィルム形成剤の使用により、硬化コーティングの靭性に寄与することがある。オリゴマーフィルム形成剤を使用することにより収縮、カール、および残留応力を低減させることができるが、硬度を損なうことがある。フィルム形成剤の混合物を使用することができる。当該組成物は、所望の厚さおよび耐久性を有する硬化コーティングを提供するために十分なフィルム形成剤を含有するのがよい。好ましくは、当該組成物は、組成物中の固形分の全重量を基準にして約10〜約90重量パーセントのフィルム形成剤を含有する。より好ましくは、組成物は、約20〜約80重量パーセントのフィルム形成剤、最も好ましくは約25〜約60重量パーセントのフィルム形成剤を含有する。
【0030】
様々なベンゾトリアゾールを本発明において使用することができる。代表的なベンゾトリアゾールには、米国特許第3,004,896号明細書(ヘラー(Heller)らの‘896号)、米国特許第3,055,896号明細書(ボイル(Boyle)ら)、米国特許第3,072,585号明細書(ミリオニス(Milionis)ら)、米国特許第3,074,910号明細書(ディクソン・ジュニア(Dickson,Jr.))、米国特許第3,189,615号明細書(ヘラーらの‘615号)、米国特許第3,230,194号明細書(ボイル)、米国特許第4,127,586号明細書(ロディ(Rody)らの‘586号)、米国特許第4,226,763号明細書(デクスター(Dexter)らの‘763)、米国特許第4,275,004号明細書(ウィンター(Winter)らの‘004号)、米国特許第4,315,848号明細書(デクスターらの‘848号)、米国特許第4,347,180号明細書(ウィンターらの‘180号)、米国特許第4,383,863号明細書(デクスターらの‘863号)、米国特許第4,675,352号明細書(ウィンターらの‘352号)、米国特許第4,681,905号明細書(クボタ(Kubota)ら)、米国特許第4,853,471号明細書(ロディらの‘471号)、米国特許第5,436,349号明細書(ウィンターらの‘349号)、米国特許第5,516,914号明細書(ウィンターらの‘914号)、米国特許第5,607,987号明細書(ウィンターらの‘987号)、米国特許第5,977,219号明細書(ラビチャンドランらの‘219号)、米国特許第6,187,845号明細書(レンズら)および米国特許第6,262,151号明細書(ラビチャンドランらの‘151号)に記載されたベンゾトリアゾールなどがあるがそれらに限定されない。必要に応じて重合性ベンゾトリアゾールを使用することができる。最も好ましくはベンゾトリアゾールは、米国特許第5,278,314号明細書(ウィンターらの‘314号)、米国特許第5,280,124号明細書(ウィンターらの‘124号)、ウィンターらの‘349号およびウィンターらの‘914号に記載されたベンゾトリアゾールなど、ベンゾ環の5位でチオエーテル、アルキルスルホニルまたはフェニルスルホニル部分によって置換されるか、またはラビチャンドランらの‘219号に記載されたベンゾトリアゾールなど、ベンゾ環の5位で電子吸引基によって置換される。また、さらに好ましいベンゾトリアゾールには、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−α−クミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(共にチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)から市販されているチヌビン(TINUVIN)(登録商標)234またはチヌビン900)、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているチヌビン326)、5−クロロ−2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているチヌビン327)、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているチヌビン328)、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているチヌビン928)および5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているCGL−139)などがある。ベンゾトリアゾールの混合物を使用することができる。チヌビン328、チヌビン928およびCGL−139が、イソボルニルアクリレートなどのモノマーへのそれらの高い溶解度のために、特に好ましいベンゾトリアゾールである。その比較的低いコストのために、チヌビン928が、PETおよびHSPET支持体上で使用するために特に好ましい選択である。その性能のために、CGL−139が、特定の波長において特別な紫外線保護を必要とするナフタレートポリエステル支持体上で使用するために特に好ましい選択である。
【0031】
前記組成物は、ベンゾトリアゾール15重量パーセント超を含有する。ベンゾトリアゾールの上限量は、一つには、組成物中の選択されたベンゾトリアゾール、モノマーおよび他の成分に依存する。上限量は概して、ブルーミング、曇りまたは相分離が観察されるレベルに相応する。ブルーミングは、硬化した後までおよび若干の老化が生じるまで観察されないことがある。熱または溶剤(例えば、酢酸エチル、トルエン、アセトンまたはヘキサン)を用いてコーティング組成物中へのベンゾトリアゾールの急速な溶解を促進することができる。好ましくは、前記組成物は、組成物中の固形分の全重量を基準にしてコーティング組成物中に約16〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含有する。より好ましくは、前記組成物は、約20〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾール、最も好ましくは約21〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含有する。
【0032】
本発明において紫外線吸収剤を可溶化する様々な共重合性モノマー(ときどき以下に「可溶化モノマー」と称される)を使用することができる。通常、可溶化モノマーは一官能性であり、適切な紫外線光開始剤を単独で配合され、紫外光で適切に照射されるときに通常は硬化またはゲル化するが、架橋ポリマーのほぼ連続したコーティングを容易に形成しない。しかしながら、好適に低い粘度および紫外線吸収剤のための適した可溶化力を有するいくつかの二官能性モノマー(例えば、ブタンジオールジアクリレート)が、本発明において、ビニル官能性架橋性フィルム形成剤および可溶化モノマーの両方として使用されてもよい。しかしながら、たいていの場合、ビニル官能性架橋性フィルム形成剤および可溶化モノマーは異なった化学種である。可溶化モノマーは、本発明の組成物が均質な混合物を形成するようにベンゾトリアゾールの十分な量を可溶化することができるのがよい。溶剤と異なり、可溶化モノマーは一般に、コーティング組成物を支持体に適用して適した乾燥条件に暴露した後にコーティング組成物中に残留し、一般に、硬化した組成物中に混和される。代表的な可溶化モノマーには、一官能性モノマー、例えばイソオクチルアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−440、Tg=約−45〜−54℃)、2−エチルヘキシルアクリレート(Tg=約−50℃)、シクロヘキシルアクリレート(Tg=約19℃)、t−ブチルアクリレート(Tg=約41℃)、n−オクチルデシルアクリレート(Tg=約42℃)、グリシジルメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−379、Tg=約41〜74℃)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(例えば、SR−213)、ベンジルメタクリレート(Tg=約54℃)、イソボルニルアクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−506、Tg=約88〜94℃)、イソボルニルメタクリレート(例えば、サートマー・カンパニーから市販されているSR−423、Tg=約110℃)、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートおよびn−ビニルカプロラクタムなどがあるがそれらに限定されない。より硬質の硬化コーティングが望ましい場合、より高いTgの可溶化モノマーが好ましい。急速な反応性が望ましい場合、アクリレートがメタクリレートよりも好ましい。より軟質の硬化コーティングが望ましい場合、より低いTgの可溶化モノマーが好ましいことがあり、より遅い反応性が望ましい場合、メタクリレートが好ましいことがあることを当業者は理解するであろう。イソボルニルアクリレートおよびt−ブチルシクロヘキシルアクリレートが特に好ましい可溶化モノマーである。可溶化モノマーの混合物を使用することができる。当該組成物は、組成物中にベンゾトリアゾールを可溶化し、硬化した後にブルーミングを示さない均質な混合物を形成するために十分な可溶化モノマーを含有するのがよい。好ましくは、当該組成物は、組成物中の固形分の全重量を基準にして約5〜約95重量パーセントの可溶化モノマーを含有する。より好ましくは、組成物が、約10〜約80重量パーセントの可溶化モノマー、最も好ましくは約15〜約60重量パーセントの可溶化モノマーを含有する。
【0033】
好ましくは本発明の組成物は光重合性である。光開始剤が使用されないとき、電子線照射などの硬化技術を用いて光硬化を起こすことができる。より好ましくは、前記組成物は、光開始剤、例えば、UVまたは可視光線によって活性化され得る紫外線光開始剤または光開始剤(「UV/Vis」光開始剤)を含有し、光重合性である。様々な光開始剤を使用して光重合を促進することができる。コーティングが光重合性であると共に硬化した後に紫外線保護性であるように光開始剤の選択に注意を払わなければならない。例示的な光開始剤には、1−フェニル−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパノン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2メチル−1−[4−(メチルビニル)フェニル]プロパノン}、2−ヒドロキシ2−メチル1−フェニルプロパン−1オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているダロキュア(DAROCURE)(登録商標)1173)、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4(メチルチオ)−2−モルホリノプロパン]−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシ)フェニル−2−ヒドロキシ−2−(メチルプロピル)ケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾフェノン、安息香酸、(n−5,2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[1,2,3,4,5,6−n)−(1−メチルエチル)ベンゼン]−鉄(+)ヘキサフルオロホスフェート、4−(ジメチルアミノ)−エチルエーテル、およびそれらの混合物などがあるがそれらに限定されない。市販の光開始剤には、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているアーガキュア(IRGACURE)(登録商標)184)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとベンゾフェノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているアーガキュア500)との50:50重量基準の混合物、ビス(n,5,2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル]チタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているアーガキュア784DC)、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているイルガキュア369)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているイルガキュア651)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(イルガキュア819)、およびエサキュア(ESACURE)(登録商標)光開始剤のEB3、KB1、TZT、KIP100F、ITX、EDB、X15およびKT37シリーズ(サートマー・カンパニーから市販されている)。光開始剤の混合物が使用されてもよく、バルク硬化のために長い波長において十分な吸収を得ると共に表面硬化のために短い波長において十分な吸収を得るために特に有用であることがある。硬化する間に酸素が約400ppmを超えるレベルにおいて存在するとき、約360nmより短い波長において吸収する第2の光開始剤を使用することが好ましいことがある。適した第2の光開始剤には、イルガキュア184、ダロキュア1173、ヒドロキシ−アルキルフェニルケトン光開始剤およびベンゾフェノンなどがある。光開始剤が当該組成物中で使用されるとき、貯蔵安定性を不当に損なうことなく光硬化の所望の速度、度合および深さを達成するために十分な光開始剤が存在するのがよい。好ましくは、当該組成物は、組成物中の固形分の全重量を基準にして約0.1〜約8重量パーセントの光開始剤を含有する。より好ましくは、当該組成物は、約0.5〜約5重量パーセントの光開始剤、最も好ましくは約1〜約4重量パーセントの光開始剤を含有する。
【0034】
本発明の組成物はまた、シリカまたはアルミナ粒子などのサブミクロンの無機粒子を含有することができる。かかる粒子を含有することにより、硬化コーティングの硬度、耐引掻き性または耐磨耗性を変えることができ、ときどき耐紫外線性の減少を伴う。好ましくは無機粒子は、約100nmより小さい平均粒径を有するサブミクロンの粒子である。最も好ましくは無機粒子は、官能化されるかまたは適したカップリング剤(例えば、シラノール)で処理されて有効な配合レベルを増加させるかまたは硬化コーティング中の粒子の保持を改良する。代表的な無機粒子は、米国特許第5,104,929号明細書(ビカディ(Bilkadi))およびピケットら、に記載されており、エーロジル(AEROSIL)(登録商標)OX−50シリカ(デグッサ・ヒュルスAG(Degussa−Huels AG)から市販されている)およびキャボシル(CABOSIL)(登録商標)M5シリカ(キャボト・コーポレーション(Cabot Corp.)から市販されている)などのヒュームドシリカ、コロイドシリカゾルのナルコ(NALCO)(登録商標)シリーズ(ナルコ・ケミカル・カンパニー(Nalco Chemical Company)から市販されている)、シリカゾルのルドックス(LUDOX)(登録商標)シリーズ(デュポン・シリカ・プロダクツ(DuPont Silica Products)から市販されている)およびコロイドシリカゾルのクレボゾル(KLEBOSOL)(登録商標)およびハイリンク(HIGHLINK)(登録商標)シリーズ(クラリアント・コーポレーション(Clariant Corporation)から市販されている)などのシリカヒドロゾルがあるがそれらに限定されない。代表的なアルミナには、酸化アルミニウムC(デグッサ・ヒュルスAGから市販されている)およびクレボゾル30CAL25アルミナ改質コロイドシリカ(クラリアント・コーポレーションから市販されている)などがあるがそれらに限定されない。ヒドロゾルが使用されるとき、無機粒子の分散を維持し、望ましくない副反応または不注意な硬化を防ぐためにpHの適した制御または調節が望ましいことがある。使用されるとき、所望の度合の硬度および耐引掻き性または耐磨耗性を提供するために組成物が十分な無機粒子を含有するのがよい。シリカがサブミクロンの粒子として用いられるとき、組成物は好ましくは、組成物中の固形分の全重量を基準にして約1〜約65重量パーセントの無機粒子、より好ましくは約15〜約60重量パーセントの無機粒子、最も好ましくは約25〜約50重量パーセントの無機粒子を含有する。硬度および耐引掻き性または耐磨耗性はしばしば、粒子重量分率よりも粒子体積分率に依存し、従ってこれらの値は好ましくは、シリカの密度とはかなり異なった密度を有する無機粒子が使用されるときに適切であるように調節される。
【0035】
本発明の組成物は、支持体に適用する前または後に組成物の挙動または性能を変えるために様々な補助剤を含有することができる。好ましい補助剤には、充填剤(例えば、約1〜約10マイクロメートルの平均粒径の粒子)があり、硬化コーティングの曇ったまたは散漫な外観を与えることができる。他の好ましい補助剤には、顔料、染料、光学光沢剤、レベリング剤、流れ剤および他の表面活性剤、脱泡剤、コーティングを助け、乾燥速度を促進または遅らせるための溶剤、ワックス、指示薬、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン光安定剤すなわち「HALS」)および酸化防止剤などがある。かかる補助剤のタイプおよび量は、当業者には明白であろう。
【0036】
コーティング組成物の平滑度、連続性、屋外暴露の特性または下にある支持体に対する接着性は好ましくは、プライマー処理、タイ層の適用または他の適切な予備処理によって増強されてもよい。好ましい予備処理には、ポリ二塩化ビニリデンの低固形分溶液、ポリエステル樹脂とアジリジン架橋剤との溶剤型混合物、溶剤型または水性ポリオール樹脂とアジリジンまたはメラミンなどの任意選択の架橋剤、適した反応性または非反応性雰囲気の存在下での電気放電(例えば、プラズマ、グロー放電、コロナ放電、誘電バリア放電または大気圧放電)、化学予備処理および火炎予備処理などがある。これらの予備処理は、支持体を硬化コーティング組成物に対して、より受理性にするのを助ける。タイ層が使用されるとき、それは数nm(例えば、1または2nm)〜約500nmの厚さを有してもよく、必要に応じてもっと厚くてもよい。本発明のコーティング組成物は、ロールコーティング(例えば、グラビアロールコーティング)、スピンコーティング、吹付けコーティング(例えば、通常のかまたは静電吹付けコーティング)、パジングまたは当業者に公知である他の技術などの通常のコーティング方法を用いて適用されてもよい。好ましくはコーティングは、約0.1mmより小さい、より好ましくは約0.05mmより小さい、好ましくは約0.01mm〜約0.025mmの硬化コーティング厚さを生じる速度において適用される。片側にコーティングされた薄い支持体の上に、約0.05mmより大きいコーティング厚さが使用されるときに過度のカールが観察されることがある。高レベルの無機粒子がコーティング組成物中に混入されるとき、完全な硬化を達成するために、より薄いコーティング厚さが望ましいことがある。
【0037】
コーティング組成物が溶剤を含有する場合、適用されたコーティングを空気、熱または他の通常の技術を用いて乾燥させることができる。任意の適切な方法を用いて適用されたコーティングを架橋することができる。紫外線放射線を用いて架橋するとき、約360〜440nmの波長を有する光が好ましく、約395〜440nmの波長を有する光が最も好ましい。様々な紫外光源を使用することができる。代表的な供給源には、フュージョン(FUSION)(登録商標)H−バルブ高強度水銀ランプ(254、313、365nmを中心とする3つの帯域を放射し、フュージョン・UV・システムズ・インコーポレーテッド(Fusion UV Systems,Inc.)から市販されている)、フュージョンD−バルブ鉄ドープト水銀ランプ(380〜400nmにおいて放射を増すがより低い波長において放射が少なくなることがあり、フュージョン・UV・システムズ・インコーポレーテッドから市販されている)およびフュージョンV−バルブガリウムドープト水銀ランプ(404〜415nmにおいて放射を増すがより低い波長において放射が少なくなることがあり、フュージョン・UV・システムズ・インコーポレーテッドから市販されている)などがあるがそれらに限定されない。概して、波長が低くなると表面硬化を促進し、波長が高くなるとバルク硬化を促進する。フュージョンD−バルブは概して、望ましい全体的な妥協条件を示す。硬化は、適した雰囲気、例えば、窒素雰囲気で行なわれ、不活性化硬化をもたらすことができる。
【0038】
硬化コーティングは好ましくは、可視光線透過性であり、より好ましくは光学透明である。硬化コーティングは好ましくは、紫外線露光に対してだけでなく概して屋外暴露に対しても著しい保護を与える。コーティング中のベンゾトリアゾール成分は、ポリマー網目構造の耐久性を示したまま、およびブルーミングがないまま、適切に高い濃度において使用されるときに400nmを超える波長において有用な吸光度を提供することができる。最も好ましくは硬化コーティングは、45°の南向き暴露角度でフロリダ州、マイアミ(Miami,Florida)において屋外暴露された場合に、下にある支持体が少なくとも5年、最も好ましくは少なくとも10年の有用な耐用寿命を有することを可能にする。このような評価における有用な耐用寿命の終わりは、過度の黄色度が生じる時間としてみなし得る(D65光源、反射モードおよびCIE L***色空間を用いて得られるb*値の4以上の増加によって示される場合)、または著しい割れ、剥離または層間剥離によるか、または裸眼に不快である十分に強い曇りによる。また、耐候性は、同じ評価基準およびASTM G155に記載されたサイクルまたは同等物などの適した促進屋外暴露試験サイクルを用いて評価することができる。このように評価されるとき、硬化コーティングは好ましくは、340nmにおいて17,000kJ/m2の輻射線量によって許容範囲の外観を維持し(フロリダ州、マイアミにおいての45°南向き暴露の約5年に等しいと考えられる)、より好ましくは340nmにおいて34,000kJ/m2の輻射線量によって許容範囲の外観を維持する(フロリダ州、マイアミにおいての45°南向き暴露の約10年に等しいと考えられる)。許容範囲でない外観は、4単位以上のb*値の増加、または著しい割れ、剥離、層間剥離または曇りの開始点であるとみなされる。対照的に、保護されないナフタレートポリエステルフィルムは、45°の南向き暴露角度でフロリダ州、マイアミにおいて屋外暴露された場合に約6〜12ヶ月しか有用な耐用寿命を有さず、促進屋外暴露試験サイクルを用いて評価された場合に340nmにおいて約2,340kJ/m2の輻射線量によって許容範囲の外観を維持する。
【0039】
様々な機能性層または他の追加的なコーティングを硬化コーティング組成物に適用して硬化コーティング組成物の物理的または化学的性質を変化または改良することができる。かかる追加的なコーティングには、反射防止コーティング、防曇コーティング、帯電防止コーティング、難燃剤、付加的な耐磨耗またはハードコート層、(例えば、インジウムスズ酸化物の)可視光線−透過導電性層または電極、磁気または磁気光学コーティングまたはドメイン、写真乳剤または画像、プリズムコーティング、ホログラフィックコーティングまたは画像、感圧接着剤またはホットメルト接着剤などの接着剤、隣接した層によって接着性を促進するためのプライマー、およびコーティングされた支持体が接着剤ロールの形で使用されなければならないときに使用するための低接着性バックサイズ材料などが挙げられるがそれらに限定されない。
【0040】
本発明のコーティングは、例えば、インクまたは、ディスプレイ製品識別、方位情報、広告、警告、装飾、あるいは他の情報を示すために用いられた表示などの他の印刷表示で処理されてもよい。スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷、凸版印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スティプル印刷、レーザー印刷等があるがそれらに限定されない様々な技術を用いて、かかる物品上に印刷することができる。一成分および二成分インク、酸化乾燥および紫外線乾燥インク、溶解されたインク、分散されたインク、および100%のインク系などの様々なインクを使用することができる。
【0041】
本発明のコーティングを様々な用途のために用いることができる。代表的な用途には、ミラー、ライトチューブ、ランプおよびバルブ空洞反射体、太陽光集熱器、鏡面仕上げおよびイミテーションクロムにおいて使用されるような多層可視ミラーフィルム上のコーティング、車両または建築用ガラス、温室パネルおよびセンサーなどの多層赤外(「IR」)ミラーの用途の他、太陽電池、記号、グラフィックアートフィルム、店頭ディスプレイ、装飾フィルム、携帯電話本体のための絵付成形、服飾品(例えば、運動靴)および家電製品などがあるがそれらに限定されない。
【0042】
本発明は、以下の非限定的な実施例に対して記載され、特に記載しない限り、全ての部およびパーセンテージは重量に基づいている。
【実施例】
【0043】
実施例1〜12および比較例1〜5
様々な可溶化モノマーへのベンゾトリアゾール2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−t−オクチルフェニル)−5−トリフルオロメチルベンゾトリアゾール(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから実験的に入手可能なCGL−139)の溶解度を定量した。ベンゾトリアゾールを5%の増分で用いて混合物を製造した。試験されるベンゾトリアゾールおよび可溶化モノマーを、溶解されるまで水槽中で70℃にゆるやかに加熱しながら混合し、次いで48時間室温において静置した。48時間後に、各々の混合物をベンゾトリアゾールの沈殿について検査した。溶解度は、沈殿がない試験された最も高い濃度および沈殿が生じる最も低い濃度を記録することによって5%以内で定量された。結果を以下の表1に示す。文献に記録される場合、試験された可溶化モノマーから完全に製造されたポリマーのTgもまた与えられる。
【0044】
【表1】

【0045】
表1に示されるように、アクリレートは、メタクリレートよりも良いベンゾトリアゾールの可溶化をもたらす傾向があり、一官能性モノマーは、2官能性およびより高官能性のモノマーの場合よりも、沈殿を伴わずにより高レベルにおいてベンゾトリアゾールを可溶化した。しかしながら、二官能性モノマーブタンジオールジアクリレートもまた、非常に高レベルにおいてベンゾトリアゾールを可溶化した。
【0046】
実施例13〜20
実施例1の方法を用いて、イソボルニルアクリレートへの様々なベンゾトリアゾールの溶解度を定量した。試験されたベンゾトリアゾールの各々の式を上に示す。また、これらのベンゾトリアゾールは、一般構造2−(2−ヒドロキシ−3−R2−5−R3−フェニル)−5−R1−ベンゾトリアゾールを用いて表すことができる。CGL−139については、R1=トリフルオロメチル、R2=α−クミル、およびR3=t−オクチル。チヌビン928については、R1=H、R2=α−クミル、およびR3=t−オクチル。チヌビン328については、R1=H、R2=t−アミル、およびR3=t−アミル。チヌビン327については、R1=クロロ、R2=t−ブチル、およびR3=t−ブチル。チヌビン326については、R1=クロロ、R2=t−ブチル、およびR3=メチル。チヌビン234およびチヌビン900の両方については、R1=H、R2=α−クミル、およびR3=α−クミル。結果を以下の表2に示す。
【0047】
【表2】

【0048】
表2に示されるように、特に、ベンゾトリアゾールチヌビン928およびCGL−139を用いるときに、非常に高い溶解度を得ることができる。
【0049】
実施例21〜27および比較例6〜17
様々なコーティング組成物を調製するために、様々な量のCGL−139ベンゾトリアゾールを、イソボルニルアクリレート(サートマー・カンパニーからSR−506として得られた「IBOA」)と、ヘキサンジオールジアクリレート(サートマー・カンパニーからSR−238として得られた「HDODA」)と、ペンタエリトリトールテトラアクリレート(サートマー・カンパニーからSR−295として得られた「PETA」)と、ウレタンアクリレートオリゴマー(85%のウレタンアクリレートオリゴマーと15%のHDODAとを含有すると考えられるブレンドとして、サートマー・カンパニーからCN966B85として得られた「UA」)または任意選択のシラン処理コロイドシリカヒドロゾルとを含有する混合物に添加した。
【0050】
シラン処理コロイドシリカヒドロゾルは、1−メトキシ−2−プロパノール(ダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Co.)から市販されている)の存在下でナルコ(登録商標)2327シリカヒドロゾル全含水(オンデオ・ナルコ・カンパニー(Ondeo Nalco Co.)から市販されている)と3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(シグマ・アルドリッチ・カンパニー(Sigma−Aldrich Co.)からA174として得られた)との反応生成物として調製された。ヒドロゾル400部を反応容器に入れた。1−メトキシ−2−プロパノール450部および3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート25.22部を一緒に混合し、撹拌しながら容器に添加した。容器を密閉し、16.5時間、80℃において加熱した。この生成物に、SR295/SR238/SR506の40/40/20混合物228部を配合し、水およびアルコールを回転蒸発によって除去した。得られたシラン処理コロイドシリカヒドロゾルは、熱重量分析によって測定したときに38.5%のSiO2を含有した。ガスクロマトグラフィーを用いる分析は、アルコールがヒドロゾル中に残留しないことを裏づけた。
【0051】
また、コーティング組成物は、ヒンダードアミン光安定剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているチヌビン123)1%、光開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズから市販されているイルガキュア819)1%およびコーティングレベリング助剤(デグッサ・コーポレーション(Degussa Corporation)のテゴ(Tego)事業部から市販されているテゴ(TEGO)(登録商標)RAD2100)0.15〜0.2%を含有した。コーティングレベリング助剤0.2%を、シラン処理コロイドシリカヒドロゾルを含有する組成物中で用いた。コーティングレベリング助剤0.15%を残りの組成物中で用いた。コーティング組成物をPEN層およびPVdCプライマー処理を有する開発多層可視ミラー光学フィルム(3Mから市販されている輻射ミラーフィルムVM2000に似ている)に適用するために、コーティング組成物を酢酸エチルに溶解して40%の酢酸エチルおよび60%のコーティング固形分を含有するコーティング溶液を形成した。コーティングを標準コータを用いて適用し、100ppmより低い酸素濃度を有する不活性雰囲気内で6〜35マイクロメートルの範囲のコーティング厚さにおいて12m/分の線速度を用いてインラインで乾燥および硬化した。236ジュール/sec−cm入力パワーを供給される高強度フュージョンD−バルブを用いて紫外線光硬化エネルギーを供給した。それらの条件下で、D−バルブは、以下の表3に示された様々な紫外線波長領域の線量および強度を与えた。
【0052】
【表3】

【0053】
光だけのサイクルの間、70℃のブラックパネル温度を用いる改良サイクル1を使用して、コーティングされた物品をASTM G155の手順と同様な促進屋外暴露試験に暴露し、次いで340nmにおいて9,400、18,700、および30,500kJ/m2の紫外線線量レベルに相応する間隔をあけて評価した。これらの線量は、フロリダ州、マイアミにおいての45°の南向き暴露角度での屋外暴露の、それぞれ、2.5年超、5年超、および8.25年超と同等であると考えられる。b*値の変化をBYKガードナー(Gardner)TCSII比色計を用い、D65光源を用い、大面積反射モードを用い、鏡面反射を含め、CIE L***色空間を用いて各間隔をあけて測定した。以下の表4に、実施例または比較例番号、ベンゾトリアゾールの量、IBOA/HDODA/PETA/UA/SiO2の相対量、および各々の屋外暴露の間隔をあけてb*値の変化の測定値を示す。符号「R」は、試料が著しい割れ、剥離、層間剥離または曇りのために廃棄されたことを示す。
【0054】
【表4】

【0055】
表4に示されるように、より多くのベンゾトリアゾールを含有するコーティングおよびより厚いコーティングを有する物品は、より良好な屋外暴露性能をもたらす傾向があった。実施例21および22の物品(20パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、10μmのコーティング厚さを有した)は23,400kJ/m2の線量まで4単位のb*の増加となるかまたは超えることはなかったが、比較例6および7の物品(10パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、10μmのコーティング厚さを有した)はそれぞれ、9,400および14,000kJ/m2の線量の後、4単位の変化を超えた。実施例23の物品(22パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、20μmのコーティング厚さを有した)は28,100kJ/m2の線量まで4単位のb*の増加となるかまたは超えることはなかったが、比較例8の物品(8パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、20μmのコーティング厚さを有した)は23,400kJ/m2の線量の後に4単位の変化を超えた。比較例9の物品(15パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、20μmのコーティング厚さを有した)は28,100kJ/m2の線量の後に4単位の変化を超え、従って実施例23の物品とほぼ同等の性能をもたらすように思われた。しかしながら、より高いIBOAレベルを用いて行なわれたさらに別の比較において、実施例24の物品(実施例23の物品と同様、22パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、20μmのコーティング厚さを有した)は28,100kJ/m2の線量の後にまだ4単位のb*の増加を超えていなかったが、比較例10および11の物品(それぞれ、8および15パーセントのベンゾトリアゾールを含有し、20μmのコーティング厚さを有した)はそれぞれ、23,400および28,100kJ/m2の線量の後に4単位の変化に達するかまたは超えた。また、実施例23および24ならびにそれらのそれぞれの比較例8〜11について行なわれた比較と同様な比較が、実施例25および26ならびにそれらのそれぞれの比較例12および13について行なうことができ、同等の屋外暴露性能が、より低いIBOAレベルを含有する物品(すなわち、実施例25および比較例12の物品)について観察され、より良好な屋外暴露性能が、より高いベンゾトリアゾールのレベルおよびより高いIBOAレベルの両方を含有する物品(すなわち、比較例の物品13に対して実施例26の物品)について観察された。
【0056】
シリカ含有物品もまた、高いUVAレベルにおいて改良された耐候性を示した。実施例27の物品(16.6パーセントのUVAを含有し、11μmのコーティング厚さを有した)は23,400kJ/m2の線量までそのb*値において4単位の変化を超えなかったが、比較例14〜17の物品(それぞれ、5.8、11.1、15および15パーセントのUVAを含有し、11、11、8または15μmのコーティング厚さを有した)は9,400〜18,700kJ/m2の線量の後に4単位の変化を超えるか、または割れ、剥離、層間剥離または曇りのために回収された。
【0057】
実施例28
ブタンジオールジアクリレートがビニル官能性架橋性フィルム形成剤としておよび可溶化モノマーとして役立つコーティング溶液を調製した。13.58部のSR−213(1,4−ブタンジオールジアクリレート)、2.72部のCGL−139(UVA)、0.17部のチヌビン123(HALS)、0.17部のイルガキュア819および0.34部のイルガキュア184(光開始剤)、0.02部のテゴ・ラッド(TEGO RAD)2100(レベリング剤)、および3部の酢酸エチル(溶剤)を配合し、固形分が溶解されるまでブレンドした。これは、全コーティング固形分16.0%のCGL−139添加量に相応した。この溶液をPVdCプライマー処理VM2000フィルム(3Mから市販されている)上にコーティングした。溶剤を70℃においてフラッシュした。フュージョンD−バルブを用いて窒素下でコーティングを硬化した。コーティングされた物品の1つの試料を1週間、室内条件に置いた。試料は、この時間の間にブルーミングを示さなかった。コーティングされた物品の2つのさらに別の試料を1週間、約100℃において炉処理した。一方の試料を炉内に自由に掛けておき、他方の試料を2つのガラス板の間に水平に置き、1枚の無地のポリエステルフィルムを上方ガラス板と試料のコーティング面との間に入れた。どちらの試料も、ブルーミングの徴候を示さなかった。
【0058】
本発明から逸脱せずに本発明の様々な改良および変更を行なえることは当業者には明らかであろう。本発明は、例示目的のためにだけ本明細書において示された実施例に限定されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、
b)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、
c)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーと、を含む均質なコーティング組成物。
【請求項2】
前記フィルム形成剤が2官能性、3官能性、またはより高官能性のアクリレートまたはメタクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記フィルム形成剤がブタンジオールジアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記フィルム形成剤がヘキサンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記フィルム形成剤がウレタン官能基を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ベンゾトリアゾールが、ベンゾ環の5位でチオエーテル、アルキルスルホニルまたはフェニルスルホニル部分によって置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記ベンゾトリアゾールが、ベンゾ環の5位で電子吸引基によって置換されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記ベンゾトリアゾールが2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミル−フェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記ベンゾトリアゾールが2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ベンゾトリアゾールが5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記モノマーが、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルデシルアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートまたはn−ビニルカプロラクタムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記モノマーがイソボルニルアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記モノマーがt−ブチルシクロヘキシルアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記フィルム形成剤とモノマーとが化学的に異なった種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記フィルム形成剤とモノマーとが同じ種である、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
組成物中の固形分の全重量を基準にして約16〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
組成物中の固形分の全重量を基準にして約20〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
組成物中の固形分の全重量を基準にして約21〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
サブミクロンの無機粒子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
a)支持体を用意する工程と、
b)(i)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、(ii)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、(iii)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーと、を含む均質な混合物で前記支持体の少なくとも一部をコーティングする工程と、
c)コーティングを重合させる工程と、を含む、耐紫外線性コーティングの製造方法。
【請求項21】
前記支持体が、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリルポリマー、スチレンポリマー、ポリオレフィン、またはセルロースポリマーを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記支持体が、テレフタレートポリエステルもしくはコポリエステル、ナフタレートポリエステルもしくはコポリエステル、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはセルローストリアセテートを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記支持体が多層光学フィルムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記フィルム形成剤が2官能性、3官能性、またはより高官能性のアクリレートまたはメタクリレートを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記フィルム形成剤が、ヘキサンジオールジアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールテトラアクリレートまたはトリメチロールプロパントリアクリレートを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ベンゾトリアゾールが、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールまたは5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記モノマーが、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルデシルアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートまたはn−ビニルカプロラクタムを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
前記モノマーが、イソボルニルアクリレートまたはt−ブチルシクロヘキシルアクリレートを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記フィルム形成剤とモノマーとが化学的に異なった種である、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記フィルム形成剤とモノマーとが同じ種である、請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記混合物が光開始剤であり、光重合性である、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記混合物が約16〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含み、重合されたコーティングがブルーミングを示さない、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記混合物がサブミクロンの無機粒子をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項34】
a)少なくとも1つのビニル官能性架橋性フィルム形成剤と、
b)15重量パーセントより多いベンゾトリアゾール紫外線吸収剤と、
c)前記ベンゾトリアゾールを可溶化する少なくとも1つの共重合性モノマーと、を含む、均質な混合物の重合反応生成物を含む耐紫外線性コーティングで上塗りされた支持体を含む物品。
【請求項35】
前記支持体がポリエチレンテレフタレートを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記支持体がナフタレートポリエステルまたはコポリエステルを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項37】
前記支持体が多層光学フィルムを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項38】
前記ベンゾトリアゾールが、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールまたは5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−α−クミル−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾールを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項39】
前記モノマーが、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、t−ブチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルデシルアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、1−アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートまたはn−ビニルカプロラクタムを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項40】
前記モノマーが、イソボルニルアクリレートまたはt−ブチルシクロヘキシルアクリレートを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項41】
前記フィルム形成剤とモノマーとが化学的に異なった種である、請求項34に記載の物品。
【請求項42】
前記フィルム形成剤とモノマーとが同じ種である、請求項34に記載の物品。
【請求項43】
前記混合物が約16〜約35重量パーセントのベンゾトリアゾールを含み、前記コーティングがブルーミングを示さない、請求項34に記載の物品。
【請求項44】
前記混合物がサブミクロンの無機粒子をさらに含む、請求項34に記載の物品。
【請求項45】
前記コーティングが、ASTM G155に記載された屋外暴露サイクルおよび反射モードにおいて作動されたD65光源を用いて評価された場合に、CIE L***色空間を用いて得られるb*値が4以上増加するまでに、または著しい割れ、剥離、層間剥離または曇りを生じるまでに、340nmにおいて少なくとも18,700kJ/m2の暴露に耐えることができる、請求項34に記載の物品。
【請求項46】
ライトチューブ、ランプ反射体、バルブ空洞反射体、太陽光集光器または太陽光集熱器を含む、請求項34に記載の物品。
【請求項47】
ミラーまたはイミテーションクロムを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項48】
車両ガラス、建築用ガラスまたは温室パネルを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項49】
センサー、太陽電池、標識、グラフィックアートフィルム、店頭ディスプレイ、装飾フィルム、携帯電話本体、服飾品または家電製品を含む、請求項34に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−99109(P2011−99109A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−476(P2011−476)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【分割の表示】特願2006−510048(P2006−510048)の分割
【原出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】