説明

屋外補助装置

【課題】シートを取り付けるためのフレームを容易且つ柔軟に構築することができると共に、シートの取り付けにかかる作業者の時間的負担を軽減することができる屋外補助装置を提供する。
【解決手段】物品が管理されている建造物20においてその物品を搬入出する際に補助的に作業場所を確保するために使用する屋外補助装置10は、建造物20に等間隔の列をなして設置される伸縮自在なフレーム12を有し、フレーム12は、地面方向に対して伸長することでフレーム12に取り付けるシートが脱着可能に設けられるように且つシートの取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外補助装置に関し、特に各種電気機器を格納するスイッチギアに適用して有用なものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、スイッチギアの作業時又は点検時などにおいて、雨が降ることにより、内部に雨水が浸入してしまいスイッチギアを構成する各種機器が誤作動したり劣化したりする原因となっていた。このため、スイッチギアの作業時又は点検時などに雨が降った場合には、例えば、作業などを中断して倉庫などの別の場所から雨よけシートを持参して、スイッチギアの内部に雨水が浸入しないような位置に手作業で取り付けて固定していた。
【0003】
上述のような形態で用いられる雨よけシートの取り付けは、作業者側にとって予定外の作業であり且つそれなりの時間も費やすことになるため、本来の作業時間を圧迫する。このような事態が、例えば、停電作業時で生じた場合には、停電時間が長引いてしまうなどの深刻な影響を与える恐れがあった。
【0004】
さらに、雨よけシートの取り付けには、シートが大きいために複数人で行う必要があり、例えば、既設のスイッチギア上部のフックにシートの一端を止めると共に、他端を近傍のフェンスなどに取り付けて固定していた。すなわち、用途が重要なわりには、他端を取り付けるための専用の取り付け部が設けられていなかった。このため、シートの取り付け状態が不安定となり、雨の重みで垂れ下がったり、スイッチギアの扉の開閉に支障が生じたり、雨水がスイッチギア側へ流れてしまうなどの問題があった。
【0005】
一方、一般的なシートを取り付ける技術として、例えば、シートの先端に取り付けた先端棒の両端を支持しているシート張出ポールの回動によりシートが伸展する木製オーニング(特許文献1参照)、雨天時に使用した防水シートの収納時に、筺体内に収納した機器を濡らすことがない屋外用機器収容筺体(特許文献2参照)、及び降雨時に扉を開いて内部の保守、点検をするのに好適な雨除け機能付き配電盤および雨除け・日除け両機能付き配電盤(特許文献3参照)などが提案されている。しかしながら、これらの技術は何れも、シートが高さ、幅、及び傾きという観点において自由に脱着可能なものではなく、また、シート又はシートを取り付けるフレームを建物の設置状況やその他の各種環境などを考慮して柔軟に取り外しできるようなものでもなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2000−303642号公報
【特許文献2】特開2004−128152号公報
【特許文献3】特開平07−115713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような事情に鑑み、シートを取り付けるためのフレームを容易且つ柔軟に構築することができると共に、シートの取り付けにかかる作業者の時間的負担を軽減することができる屋外補助装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の第1の態様は、物品が管理されている建造物において物品を搬入出する際に補助的に作業場所を確保するために使用する屋外補助装置であって、前記建造物に等間隔の列をなして設置される伸縮自在なフレームを有し、そのフレームは、地面方向に対して伸長することでフレームに取り付けるシートが脱着可能に設けられるように且つシートの取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成したことを特徴とする屋外補助装置にある。
【0009】
かかる第1の態様では、フレームが、地面方向に対して伸長することでフレームに取り付けるシートが脱着可能に設けられるように且つシートの取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成される。
【0010】
本発明の第2の態様は、前記フレームは、取付位置に対して水平方向に伸縮するジャバラ構造からなり、伸長時に地面方向に対して緩やかな弧を描くようにして垂れ下がるような角度に引き出せるように形成したことを特徴とする第1の態様に記載の屋外補助装置にある。
【0011】
かかる第2の態様では、フレームが、伸長時に地面方向に対して緩やかな弧を描くようにして垂れ下がるような角度に引き出せるように形成される。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記フレームは、両端に設けられたL形金具を建造物に備わるフックに固定することで保持されることを特徴とする第2の態様に記載の屋外補助装置にある。
【0013】
かかる第3の態様では、フレームが、両端に設けられたL形金具を建造物に備わるフックに固定することで保持される。
【0014】
本発明の第4の態様は、前記フレームは、長さが段階的に伸縮できる構造で構成され、そのフレームの一部を構成するシャフトを回転させるようにすることで前記建造物に取外自在に設けられていることを特徴とする第1の態様に記載の屋外補助装置にある。
【0015】
かかる第4の態様では、フレームの長さが段階的に伸縮できる構造で構成され、そのフレームの一部を構成するシャフトを回転させるようにすることで建造物に取外自在に設けられる。
【0016】
本発明の第5の態様は、前記フレームは、伸長させたフレームの先端を地面に固定することで保持されることを特徴とする第4の態様に記載の屋外補助装置にある。
【0017】
かかる第5の態様では、フレームが、伸長させたフレームの先端を地面に固定することで保持される。
【0018】
本発明の第6の態様は、前記シャフトは、シャフトの軸方向に直交するようにバネ力が加わる突起部を有しており、その突起部にシートの端部を挟み込むことでシートが脱着可能となるようにしたことを特徴とする第4又は5の態様に記載の屋外補助装置にある。
【0019】
かかる第6の態様では、シャフトの軸方向に直交するようにバネ力が加わる突起部にシートの端部を挟み込むことでシートが脱着可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、伸縮自在なフレームを用いてシートを取り付ける際の各種取付条件を自由に設定できるようにしたため、シートを取り付けるためのフレームを容易且つ柔軟に構築することができると共に、シートの取り付けにかかる作業者の時間的負担を軽減することができる屋外補助装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明の構成は以下の説明に限定されない。
【0022】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。なお、本実施形態では、建造物の例示として、内部に配電盤や開閉装置などが配設されているスイッチギアを想定している。また、図1の下側の図面は、建造物の屋根がない状態を図示している。
【0023】
図示するように、本実施形態の屋外補助装置10は、建造物20の屋根に等間隔の列をなして配置する伸縮自在なフレーム12を有しており、そのフレーム12を地面方向に対して伸長させることでシートが取り付けられる。このようなフレーム12は、建造物20の開口部側となる物品の搬入出方向に対して構築できるように設けられている。そして、このように構築されるフレーム12には、シートが脱着可能となるように設けられることになる。
【0024】
具体的には、フレーム12は、取付位置に対して水平方向に伸縮するジャバラ構造からなり、伸縮時には地面方向に対して緩やかな弧を描くようにして垂れ下がるような角度に引き出せるように形成される。そして、フレーム12には、フレーム12本体を建造物20に固定するためのL形金具12aが設けられており、このL形金具12aを建造物20に備わるフック21に固定することでフレーム12本体が保持されるようになっている。これにより、簡単にフレーム12を取り付けることができるため、フレーム12を構築してシートを取り付ける際にかかる作業者の時間的負担を軽減させることができ、例えば、作業中による天候の変化にも容易に対応することができる。
【0025】
また、フレーム12は、シート11の取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成されている。すなわち、フレーム12は、引き出し方の度合いによって地面までの高さ、傾き角度、及び長さが異なってくるため、作業スペースなどの設置環境または天候などの作業環境の変化を考慮して、作業者が自由度のあるフレーム12を構築することができる。
【0026】
ここで、屋外補助装置10の取り付け状態について説明する。図2は、屋外補助装置の取り付け状態の要部を示す側面図及び上面図である。
【0027】
図2(a)及び(b)に示すように、フレーム12は、建造物20側に設置される両端部にL形金具12aを有しており、建造物20から突出しているフック21にL形金具12aを掛けることで、容易にフレーム12を設置することができるようになっている。
【0028】
このような構成により、フレーム12を建造物20に容易に取り付けてシートを取り付けるためのフレーム12を構築できると共に、例えば、既設の建造物20に対してもフレーム12本体を固定するためのフック21を別途取り付けるだけで、容易にシートを取り付けるためのフレーム12を柔軟に構築することができる。また、建造物20に対するフレーム12の取付及び取外を可能としているため、例えば、建造物20の設置状況を考慮して柔軟にフレーム12を構築することができる。
【0029】
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。なお、本実施形態でも同様に、建造物の例示として、内部に配電盤や開閉装置などが配設されているスイッチギアを想定している。
【0030】
図3に示すように、実施形態2は、屋外補助装置10Aを建造物20Aの内部に収容できるようにし且つ伸長させたフレーム12Aの先端を地面に固定して保持させている点が上述した実施形態1と異なっている。すなわち、屋外補助装置10Aを建造物20Aの内部に組み込んで一体化することで、必要に応じたフレーム12Aの構築を可能としていると共に、地面に固定させることでフレーム12A全体の安定化を図っている。
【0031】
具体的に、図3(b)に示すように、建造物20Aの内部には、フレーム12Aが収容できるスペースを有する収容路22が形成されおり、フレーム12Aが自由に出し入れできるようになっている。ここで、フレーム12Aは、長さが段階的に伸縮できる構造で構成されており、地面まで伸長されて構築されたフレーム12A上に脱着可能なシート11が取り付けられている。本実施形態のフレーム12Aは、地面方向に対して緩やかな弧を描くように伸長される1つのフレーム12Aが、建造物20Aに等間隔の列をなして複数にわたり設置されることで構築される。
【0032】
また、フレーム12Aは、シート11の取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成されている。すなわち、フレーム12Aは、安定化という観点からは地面に固定することが最適であるが、例えば、柔軟性という観点においては必ずしも地面に固定せず又建造物20Aの扉側を部分的に覆うようにすることが最適な場合がある。すなわち、作業スペースなどの設置環境または天候などの作業環境の変化を考慮すると、必ずしも地面に固定する必要もなく又必ずしも建造物20Aの扉側全体を覆うようにする必要もなく、むしろシート11の取付高さ、幅、及び傾きなどの各種取付条件が自由に設定できるようなある程度自由度を持たせて構築できる骨組が要求される。
【0033】
なお、フレーム12Aは、長さが段階的に伸縮するものであってもよいが、例えば、収容路22に収容できるような形状のものであってもよい。
【0034】
(実施形態3)
図4は、本発明の実施形態3に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。なお、本実施形態でも同様に、建造物の例示として、内部に配電盤や開閉装置などが配設されているスイッチギアを想定している。
【0035】
図4に示すように、実施形態3は、屋外補助装置10Bを建造物20Bに取外自在に設けるようにし且つ伸長させたフレーム12Bの先端を地面に固定して保持させている点が上述した実施形態1と異なっていると共に、屋外補助装置10Bが建造物20Bの外部に取付及び取外できるように形成されている点が上述した実施形態2と異なっている。
【0036】
具体的には、フレーム12Bは、フレーム12Bの一部を構成するシャフトを回転させるようにすることで建造物20Bに脱着自在に設けられている。そして、上述した実施形態2と同様に、フレーム12Bは、長さが段階的に伸縮できる構造で構成されており、地面まで伸長されて構築されたフレーム12B上に脱着可能なシート11が取り付けられている。そして、地面方向に対して緩やかな弧を描くように伸長される1つのフレーム12Bが、建造物20Bに等間隔の列をなして複数にわたり設置されることで構築される。
【0037】
さらに、図4(b)及び(c)に示すように、本実施形態では、フレーム12Bの先端を固定するための固定部材13が地面に配設されており、確実にフレーム12Bが固定されるようになっている。そして、上述した実施形態2と同様に、シート11の取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるようにフレーム12Bが形成されている。これも実施形態2と同様の趣旨であり、同様の効果が期待できる。
【0038】
ここで、屋外補助装置10Bの具体的な構成について説明する。図5は、屋外補助装置の取り付け状態の要部を示す側面図及び断面図である。
【0039】
図5(a)に示すように、建造物20Bには扉方向に突出したシャフト固定部200が設けられている。このシャフト固定部200は、軸方向にシャフト121を勘合するための円錐形状からなる凸部200aが突出して設けられていると共に、シャフト121の先端部121aをB方向から固定するようにM字形状からなる押圧部200bが設けられている。このような構成において、例えば、図5(b)に示すように、シャフト121を左右の何れかに90度回転させると圧接部121bがシャフト固定部200の空間部200cに移動するため、シャフト軸が取外自在な状態となる。一方、シャフト軸を取外自在な状態からさらに90度回転させた場合には、圧接部121bがシャフト固定部200の接触面200dと一定の圧力で当接するため、シャフト軸がシャフト固定部200に固定された状態となる。
【0040】
また、シャフト121は、シャフト121の軸方向に直交するようにバネ力が加わる突起部121eを有しており、その突起部121eにシート11の端部を挟み込むことでシート11が脱着可能となるように形成されている。このような構成により、建造物20Bに対してフレーム12Bを脱着自在に設けるようにできるため、シート11を取り付けるためのフレーム12Bを容易に設置できるようになっている。また、既設の建造物20Bに対してもフレーム12B本体を固定するための固定部材(シャフト固定部200)を別途取り付けるだけで、容易にシート11を取り付けるためのフレーム12Bを構築することができるため、作業者の作業時間を削減にも寄与することができる。
【0041】
(他の実施形態)
上述した実施形態1〜3では、屋外補助装置10、10A、及び10Bをスイッチギア用として例示しているが、特にこれに限定されず、例えば、自動販売機などの作業用として適用してもよい。すなわち、作業中に屋根を必要とするような屋外の作業環境に設置して補助的に作業場所を確保することが可能であり、幅広い用途に適用することができる。
【0042】
また、屋外補助装置10、10A、及び10Bは、例えば、建造物20、20A、及び20Bに収容されている装置を修理等する際の作業用として適用してもよい。すなわち、修理または改造するために装置を分解するような場合において、シート11を取り付けることで必要な作業環境を確保するように活用してもよい。これにより、例えば、作業中の装置に対するゴミや埃の混入を防止することができる。このようにして、作業スペースのなどの設置環境または天候の変化などの作業環境に応じて適宜シート11を取り付けるためのフレーム12、12A、及び12Bを容易且つ柔軟に構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態1に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る屋外補助装置の取り付け状態の要部を示す側面図及び上面図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る屋外補助装置を適用した建造物の概略構成図である。
【図5】本発明の実施形態3に係る屋外補助装置の取り付け状態の要部を示す側面図及び断面図である。
【符号の説明】
【0044】
10、10A、10B 屋外補助装置
11 シート
12、12A、12B フレーム
12a L形金具
13 固定部材
20、20A、20B 建造物
21 フック
22 収容路
121 シャフト
121a 先端部
121b 圧接部
200 シャフト固定部
200a 凸部
200b 押圧部
200c 空間部
200d 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が管理されている建造物において物品を搬入出する際に補助的に作業場所を確保するために使用する屋外補助装置であって、
前記建造物に等間隔の列をなして設置される伸縮自在なフレームを有し、そのフレームは、地面方向に対して伸長することでフレームに取り付けるシートが脱着可能に設けられるように且つシートの取付高さ、幅、及び傾きが自由に設定できるように形成したことを特徴とする屋外補助装置。
【請求項2】
前記フレームは、取付位置に対して水平方向に伸縮するジャバラ構造からなり、伸長時に地面方向に対して緩やかな弧を描くようにして垂れ下がるような角度に引き出せるように形成したことを特徴とする請求項1に記載の屋外補助装置。
【請求項3】
前記フレームは、両端に設けられたL形金具を建造物に備わるフックに固定することで保持されることを特徴とする請求項2に記載の屋外補助装置。
【請求項4】
前記フレームは、長さが段階的に伸縮できる構造で構成され、そのフレームの一部を構成するシャフトを回転させるようにすることで前記建造物に取外自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の屋外補助装置。
【請求項5】
前記フレームは、伸長させたフレームの先端を地面に固定することで保持されることを特徴とする請求項4に記載の屋外補助装置。
【請求項6】
前記シャフトは、シャフトの軸方向に直交するようにバネ力が加わる突起部を有しており、その突起部にシートの端部を挟み込むことでシートが脱着可能となるようにしたことを特徴とする請求項4又は5に記載の屋外補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−240330(P2008−240330A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81438(P2007−81438)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【出願人】(596133119)中電プラント株式会社 (101)
【Fターム(参考)】