説明

屋形テント用庇テント

【課題】 この発明は、雨や日除け用に屋型テント設営時、屋根下スペース拡大のための庇取り付けに関する。
【解決手段】 この発明の庇は、従来の屋型テントのフレームに伸縮する庇フレームを取り付け、地面と平行にフレームを伸ばした上にシートを張ることによって、柱を使うことなく屋根下スペースを拡大する庇を張ることができる。また、角度調整ができることで晴天、雨天に対応して使い分けができる。
晴天時は庇中央部の角度を上げることにより日陰部分を確保すると共に、通気性を良くする。雨天時は雨の吹込みを防止することは勿論、シート上に雨溜まりがしないよう効率的に雨水を庇前面の決まった位置からのみ落下排出することができる。
上記のようなシートの形状を研究開発した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特注品を除いて現在市販され使用されている屋形テントに取り付けることのできる庇テントに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで屋形テント専用に取り付ける庇テントは市販されていなかった。その理由として各メーカーによって仕様が若干異なる事や、その必要性に関して常設のものではなくあくまで仮設のものという認識で使用されている事が考えられる。しかし、ここ最近の傾向を見ると建物の増設などにも法律上の制限が生じる等の理由から、いつでも簡単に撤去できるという性質を利用して常設で活用している例を目にする事が多い。設置、撤去が簡単で単純な構造の割に強固に作られ、高さも人が屈まずに歩ける使い勝手からイベント等に多く使われる。
【0003】
穏やかな天候の場合には使い勝手がよいと言われる反面、その高さや広い間口が日差しや風雨の吹き込みの原因となっている。朝晩の日差しが傾く時間帯には日陰が屋根下には殆どできず、屋根下にいても直射日光を浴びてしまう。若干の風を伴う雨天の場合には、その屋根下スペースの3分の1近くは吹き込む雨によって使用できず、置いてある物が濡れてしまう。それを防ぐために三方幕等が市販されている訳だが、1ヶ所だけは間口を確保する必要があるので塞いでしまうことはできない。多少奥に後退すれば風雨は避けられるものの、活用できる屋根下スペースが大幅に減少してしまう。
【0004】
そこで屋型テントに庇を取り付けてスペースを確保する訳であるが、ハトメ付きシートにロープを通してテント本体に固定し、張り出し部分は柱を立ててロープで引っ張りながら、ロープを杭で地面に固定するのが一般的に考案されている方法である。庇を取り付けてスペースを広げるためには、ハトメ付きシート、柱、ロープ、杭等の部品が新たに必要となり、さらにそれらを利用して庇を設置するとなると著しく場所が限定される。例えば杭の打てない場所には固定するための錘等がまた新たに必要になる。また、庇に使われるロープや柱それ自体が足元の障害になり得る可能性もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したように、屋型テントに庇部分を拡張しようとすると、どうしてもロープや杭等足元の障害になる物が生じてくる。よく見て歩けば足を引っ掛ける事も回避できるが、身体の前で物を持って足元が見えずらい状況や、よそ見をしていると日中でも足を引っ掛けて転倒するか、反対に柱を倒してしまう可能性がある。夜の暗い状況になれば尚のこと足元が見にくくなる為に事故につながる可能性が大きくなる。
【0006】
また、柱を立ててシートを張ると構造上テント側と柱側の両端がどうしても高くなり、シート中央部は弛みが生じる。そのため雨天の場合には皿状になったシートの上に雨水が溜まりやすく、定期的に下から持ち上げて流してやらなければ、重みに耐え切れずにシートが破損することや杭が抜けて柱が倒れる可能性が考えられる。
【0007】
本発明は地面と平行にフレームを取り付け、庇の角度を調整することによりこれらの問題点を効果的に解決し、屋根下有効スペースを広げて安全かつ快適に屋型テントを使用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
屋型テント本体フレームに伸縮する金属のフレームを2箇所で締め付ける方法で取り付け、固定した鞘管からフレーム本体を地面と平行に伸縮させる事によりフレームの前垂れを防いでいる。これを桁として直接シートを取り付け、縦方向ではなく横方向に張ることで足元には一切障害物のない状況で庇を作ることをフレームの特徴としている。両端で引くために重力の関係上シート中央部が弛むのを防ぐために中央部にも桁を取り付け、さらに中央部の桁の張り出し角度を上下に調整することにより、雨天、晴天の状況に対応する。
【0009】
晴天時は角度を上に向け、日陰スペースを作りながら間口を確保すると共に通気性を良くする。雨天時には若干角度を下に向ける事で雨の吹込みを防止する。前述した通り、シート上に雨水が溜まる状況に対しては、全く雨水が溜まらない状況ではないが、一定の量になると雨水が一定の場所から落下し、シート上に大量の雨水が溜まることはない。左右の桁がシートより短くなる事で、シートの両端が前垂れを起こす事を利用してそこから定量的に雨水を限られた部分からのみ落下させる事をシートの特徴としている。反対に中央部分はシートの先端まで桁があるため前垂れを起こすことなく部分的にシートの先端がめくり上がるために水をそこで塞き止めるので、一定の部分からのみ雨水を落下させることが可能になる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の庇テントフレームに関して、従来は既存テントにハトメ付きのシートを取り付け、それを張るための柱を立てて地面に杭を打ち、柱の先端と杭をロープで引っ張って固定する。この作業をスムーズに行うには少なくとも2人以上複数の人員が必要になる。一方、収縮するフレームを使用した場合の特徴として、既存テントにクランプを使って固定し、付けたまま収納することができる。あらかじめフレームを固定しておけば、収縮フレームの鞘管から先端を引き出し、シートのポケットにフレームの先端を差し込んで紐で固定するだけで庇の取り付けが1人でも簡単にできる。そのため取り付け時間の短縮や、作業にかかる人員の負担を軽減できる。また、収縮フレームを地面と平行に引き出してシートを縦方向に引っ張りながらシート自体は横に引っ張るため、シートを広げるベクトルを90度反転させる事により柱を立てる必要がなくなった。そのことによって庇下スペースに障害となるものがなくなることで、同時に安全面の向上も図ることができる。
【0011】
センターフレーム4に関して、ブラケット5とフレーム4を2分割構造にして、センターフレーム4をL字型にする事によって上下の角度調整と共に左右の角度調整が可能となった。(図5、図6参照)上下の調整は天候に応じて庇の角度を変えるためであり、左右の調整は既存テントと庇テントの芯を合わせるために使用する。仮設として使用する場合には必ずしも平坦な場所に立てるわけではなく、6本の柱の高さが異なる場合には屋型テント本体の桁にズレが生じてくる。このブラケット5の形状は6、7梁、柱の縦軸と8、9左右二本の桁を横軸として4つの方向でテントフレームに干渉するため、4つのうち2つの軸にさえ合致していれば生じたズレに対しても縦軸の柱に沿った取り付けが可能である。仮に柱に沿っていない状態でセンターフレーム4を取り付ければテントと庇の中心が合わなくなり、シートの左右の弛みが変わってくる。しかし、センターフレーム4が5−Aの鞘管に差し込む仕組みになっていて左右に調整することができるため、ズレが生じたまま角度の調整をしたとしても必ずテントと庇の先端の芯は直線状にあり、左右の弛みを均等にする事ができる。
【0012】
上下の角度調整はブラケット正面に位置する角度調整ネジによって行う。(図6参照)ブラケットにはナットが取り付けられており、そこに座金付きボルト5−Cを差し込んである。先端には蝶ナットを取り付け、道具を用いなくても手で回すことが可能である。座金ボルトは既存テントの柱に接し、完全に緩めた状態においてセンターフレーム4は水平より若干下を向いている。ボルトを締め込むことによって7、9の桁を軸としてブラケットと柱の間に隙間ができるのでセンターフレーム4は上方を向く構造になっている。晴天時には角度調整ネジ5−Cを締め込んでフレームの角度を上げることによって日陰スペースを保ったままより広い正面開口部を確保できる事と、開口する事によってテント内の通気性を良くすることができる。雨天時には角度調整ネジ5−Cを緩めてフレームの角度を下げることによって雨の吹込みを防止する。
【0013】
二次効果としてこのセンターのフレーム構造を利用し、一時的にテントを設置したまま使用を中止する折には、左右、中央の紐をはずしてサイドフレーム2を格納し、センターフレームを左右どちらかにテントの桁に平行に折りたたむ事によって前面開口部をシートによって塞ぐことができる。三方幕を併用してテント内四方を囲うことで防犯効果が期待できる。また、安全対策としてテントフレームに干渉する部分にはそれぞれボルト先端部が輪状になったマルカンボルト(図6参照)が取り付けられており、人の手の力程度で締め付けることができる。シートにフレームを紐で固定しているため、通常の場合はマルカンボルトを締めなくてもシートが破れない限り脱落する危険はないが、これを締めていることによってネジが切れるほどの力が加わらなければブラケットが外れて脱落することはない。さらに、3本それぞれのフレームを1枚のシートに全て固定する事で、風に煽られても庇が上に持ち上がらない。当然ブラケット5についても一定の角度以上は上がらないストッパー構造になっているのでより安全に使用できる。
【0014】
庇用シート1には台形に近い6角形構造の形状を取り入れている。(図3参照)左右の先端と中央先端部分に幅の異なるポケット構造1−A、1−Dを設け、ここにフレームの先端を挿入することによってシートの脱落を防ぎ、またこの構造と3本のフレーム構造の性質を合わせることによって雨水を大量にシート上に溜めることなく定量的に排出する構造を実現した。
【0015】
図3の通り、ポケット1−A、1−Dの位置はシート先端に向かって前後している。1−Aは若干シート先端より内側にあるのに対して1−Dは先端まで延びている。この違いは左右できるだけ端から水を排出するための重要な構造である。図3写真断面図の通り、シート先端の形状をこのように保つために両端と中央で張り出しを変えている。周囲に補強用ロープが縫い込まれているシートの性質上、フレーム先端部を奥まで入れればシートが縦方向に張られて補強部分がめくり上がり、反対にゆるく張ってあれば重力で自然に角度はほぼ水平またはそれ以下になる。加えて両端をフレームに巻き込みながらシートを横方向に引っ張るため、一枚ではやわらかいシートでも折り返して使用することで強度を持ち水平を保ち易い。
【0016】
よく見るとシートの幅はテントに固定する側と庇先端部分では寸法が異なる。(図3参照)テント本体側に比べて先端部分の方が左右それぞれ10cmずつ短くなっている。これはフレームのしなりを計算したもので、このことによってシートに皺を寄せずに、かつ左右均等な力で張ることができる。また、シート中央に位置する包みペケット1−Cはセンターフレームをシートに固定すると共にシートの芯位置を出すために重要な働きをしている。シート取り付け時の最初に3つのポケットにそれぞれのフレームの先端を全て挿入した時点で、庇シートの芯位置とテント本体の芯位置が既に合っている構造なのである。あとは左右両端の通しペケット1−Bに対してほぼ平行にフレームを巻き込みながら両端のハトメとを紐を使って張ることで左右の弛み具合が統一され、さらにシートの角部分を削った事により誰もが美しく張れる構造になっている。
【0017】
次にシートとフレームによって雨水を自然排出する構造についてであるが、取り付けた状態は左右のフレームは水平に伸ばしているのに対してセンターフレームは逆勾配をとっているため、全体が尾根状の形をしている。この尾根状の形がこの構造を作り出した。逆勾配とはいっても水平に近い形で極端なものではない。シートの上に降った雨は逆勾配の尾根部分を伝ってテント本体の方向に流れるが、シートが尾根状の形をしているために左右に分かれてシート上に溜まり始める。水が溜まるとその重さはより張る力の弱いほうへと流れ出す。テントに固定している方は何箇所もフレームに結ばれており、当然庇先端に近い部分に水が集まる。また、センターフレームは逆勾配のため両サイドより高い位置にあり、水が集まる位置はシート中央とサイドフレームの中間やや外側になる。前述したようにサイドフレームはしなりながら張られているため、水の重みで下に向かうベクトルに対して反発する力を生じる。その力が水の重みと釣り合った時にシートの両端より約900mmの部分から自然に流れ落ちる仕組みになっている。
【0018】
雨量が多くなれば流れ落ちる量も増え、シート上には一定量以上は溜まらない。その要因は張り出し幅にも起因している。フレームに1.6mmの鉄パイプを使う事で軽量化を図ったため、2,000mmまでは出幅を取ることは可能と思われる。しかしながら、テントのバランスは勿論シートの弛みや雨溜まりの状況がまちまちで、様々な環境下の実験の結果として安定していた最長の数値が1,500mmとなった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態図
【図2】屋型テント庇フレーム装着時フレーム構造図
【図3】庇シート図
【図4】庇サイドフレーム図
【図5】庇センターフレーム図
【図6】庇センターフレームブラケット図
【図7】晴天時開口間口
【図8】雨天時の水の排出経路
【図9】装着時庇シート生地断面部分説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0021】
サイドフレーム2の取り付け。(図2、図4参照)サイドフレーム2は2つのクランプで取り付ける構造となっており、蝶ボルト2−Eが下向きになるよう左右を間違えないようにしてドライバーなどの工具を使ってクランプのボルトを締め付け、左右のフレームを完全に固定する。
【0022】
センターフレームブラケット5(以下ブラケット5)及びセンターフレーム4の取り付け。(図2、図5、図6参照)ブラケット5に付いているマルカンボルトを全て取り外す。屋型テント本体中央のジョイント部にブラケット5を上から引っ掛けるように取り付け、マルカンボルトをそれぞれの穴に差し込む。ブラケット中央部の鞘管5−Aにセンターフレームを差し込む。(この時はまだ固定用蝶ボルト5−Bは締め付けない)
【0023】
庇シート1の取り付け。(図3、図4、図5、図6参照)庇シート1を広げてセンターポケット1−Dにセンターフレームの先端4−Bを差し込む。通しペケット1−Cのテント側にある中央のハトメ部分をテント本体梁8に紐で結びつける。ストッパー4−Cを緩めてセンターポケット1−Dにセンターフレーム先端4−Bを差し込んだままシートが張るまでセンターフレーム4−Bを伸ばす。伸ばしきった所で4−Cを締め付け、センターフレーム4−Bを固定する。
【0024】
サイドフレーム2−B引き出し。(図3、図4参照)庇シート1のテント固定用紐の両端を7、9それぞれに固定する。ストッパー2−Eを緩めてサイドポケット1−Aにサイドフレーム2−B先端差し込み2−Bを伸ばす。伸ばしきった所で2−Eを締め付けて2−Bを固定する。
【0025】
庇シート1の固定(図2、図3参照)庇シート1をテントフレーム7、9に紐で結びテントに庇シート1を固定する。
【0026】
庇シート1両端、中央の巻き込み固定。(図2、図3、図4参照)庇シートの両端をサイドフレーム2−Bの外側から巻き込んで、ハトメに付いている紐をテント側から先端に向かって通しペケット1−Bのハトメに通し、張りながら固定する。最後に中央の包みペケット1−Cでセンターフレーム4を包むように紐で固定する。
【0027】
5−Cを締め込むことで5が上を向くので、晴天時は(図7参照)間口が最大に見える所まで角度を調整する。また、雨天時は5−Cを緩め4の先端を若干下降させて雨の吹込みを防止する。張り終わった段階で左右の弛みが均等になっているかどうかを確認する。(図7参照)
【0028】
以上のような実施形態によって屋型テントに庇テントが取り付けられ、前述した効果を得られる。
【実施例】
【0029】
別紙添付資料参照
【産業上の利用可能性】
【0030】
尚、本実施形態は屋型テントが2間×3間サイズの仕様を原則として説明したが、本発明の庇テントの長さはサイズを問わず使用することが可能である。また、庇の出幅は伸縮するフレームの構造上900mm〜1500mmまで対応が可能である。さらに、シートは屋型テント本体に固定したまま庇フレームのみを収納することで、屋型テントの正面を覆うことができる。このことによって屋型テントの壁面として使用することが可能になる。
【符号の説明】
【0031】
1 庇シート生地
2 庇サイドフレーム
3 テント本体側面桁
4 庇中央フレーム
7 テント正面桁(1)
8 テント屋根桟
9 テント正面桁(2)
1−A シートサイドポケット
1−B 通しペケット
1−C 包みペケット
1−D センターポケット
2−A サイドフレーム鞘管
2−C 固定用クランプ
2−D サイドフレームキャップ
2−E サイドフレーム固定用蝶ボルト
4−A センターフレーム鞘管
4−B センターフレーム
4−C センターフレーム固定用蝶ボルト
4−D センターフレームキャップ
5−A センターフレーム差込用鞘管
5−B 差込固定用蝶ボルト
5−C 角度調整用ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋型テント専用、柱、杭、ロープを使用せずに桁、梁のみで庇を張ることのできる伸縮式の左右両サイド庇テントフレームとブラケット、フレームによる2分割構造により上下左右に角度調整が可能な中央部のフレーム構造。
その二つの構造を利用して雨天時でも雨水を大量に溜めることなく、効率的に決まったところから雨水を排出できる形状を有する屋型テント用庇テント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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