屋根材及び簡易屋根
【課題】簡易屋根などに用いられる合成樹脂製の屋根材を、強風を受けて屋根材が撓んだり反ったりしても、端部が支持材から外れることなく、当初の取り付け位置に安定的に保持しておけるように構成する。
【解決手段】所定間隔を開けて並設した支持材5に架設され、支持材5と押え材6の間に弾性体7を挟んで端部が挟持固定される合成樹脂製の屋根材1において、屋根材1の弾性体7が接する端部の上面又は下面に、凹凸部3などの、弾性体7との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理部3Aを設ける。
【解決手段】所定間隔を開けて並設した支持材5に架設され、支持材5と押え材6の間に弾性体7を挟んで端部が挟持固定される合成樹脂製の屋根材1において、屋根材1の弾性体7が接する端部の上面又は下面に、凹凸部3などの、弾性体7との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理部3Aを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートやテラスなどの簡易屋根その他の建物や構造物の屋根に使用される合成樹脂製の屋根材とこれを用いて構成される簡易屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
図13はカーポートとして用いられる簡易屋根の一例を示している。この簡易屋根は、基礎面に立設させた支柱10、10の上部に縦横格子状に配した支持材5を設置するとともに、所定の間隔を開けて並設された各支持材5、5間に屋根材1を架設し、屋根材1の端部を支持材5とその上部に設けた押え材6とで挟持固定して構成されている(後述の図14及び図15参照)。
このような簡易屋根の屋根材1としては、耐候性を有する透明な合成樹脂板、例えばポリ塩化ビニルやアクリル、ポリカーボネートなどで成形された波板、平板、折板などが使用されているが、簡易屋根の設置場所や取り付ける屋根材1の大きさなどによっては、台風などの強風発生時の風圧で屋根材1が煽られ、屋根材1が撓んだり反ったりして、屋根材1の端部を支持材5と押え材6の間から引き抜く方向の力が働き、場合によっては屋根材1が支持材5から外れたり破損して飛散したりする虞があった。
【0003】
かかる問題を解決するための屋根材1の取り付け構造として、図14に示されるように、屋根材1の端部に突部11を形成し、前記屋根材1を引き抜く方向の力が作用したときに、支持材5と押え材6に突部11が係合することで屋根材1が支持材5から外れることを防止する構造や、図15に示されるように、屋根材1の端部の上面又は下面に適宜な幅の凹部12を形成し、この凹部12内に支持材5と押え材6とで押圧するパッキン71を圧入させることによって屋根材1を外れ難くした構造が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85035号公報
【特許文献2】特開2007−204955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記図示した従来の屋根材1の取り付け構造のうち、前者のものは、突部11を設けて屋根材1の端部のみの肉厚を大きくしたのでは屋根材1の成形コストが嵩んで実用的でなく、また、強風時に屋根材1を引き抜く方向に大きな力が作用した際に突部11が支持材5と押え材6にぶつかって屋根材1の端部が破損し易いという問題がある。
後者のものは、屋根材1の端部の凹部12内にパッキン71が圧入している状態で屋根材1を取り付け位置に安定的に保持できるものの、強風を受けて屋根材1が撓んだり反ったりしたときに屋根材1の位置がずれ、その際にパッキン71が凹部12内から少しでも外れると屋根材1を保持する力が弱まり、凹部12がパッキン71を乗り越えて屋根材1の端部が支持材5と押え材6の間から外れてしまい易いという問題がある。このものは、凹部12とパッキン71の幅を揃え、凹部12内にパッキン71がぴったりと隙間なく圧入されていなければ、却って屋根材1の端部が抜け易くなってしまう。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、簡易屋根などに用いられる合成樹脂製の屋根材において、強風を受けて屋根材が撓んだり反ったりしても、端部が支持材から外れることなく、当初の取り付け位置である支持材間に安定的に固定し保持しておくことができ、また、従来の屋根材と同様の簡易な作業で取り付けることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、所定間隔を開けて並設した支持材に架設される屋根材であって支持材と支持材の上部に設けた押え材の間に弾性体を挟んで差し入れた端部が前記両部材で挟持固定されて取り付けられる合成樹脂製の屋根材において、屋根材の前記弾性体が接する端部の上面又は下面に、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の屋根材は、並設された支持材間に架け渡し、その両端部の上下両面を、それぞれ弾性体を介して支持材と押え材とで挟み持ち、端部表面に弾性体が圧接するように両部材を挟持位置に固定することにより取り付けられる。
弾性体が接する屋根材の端部には、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されているので、強風を受けて屋根材の端部を支持材と押え材との挟持位置から引き抜く方向の力が働くと、屋根材の端部が変位せんとする方向とは逆向きに摩擦力が働き、この摩擦力が抵抗となって端部を取り付け位置に押し止め、屋根材を当初の取り付け位置に固定し保持するように機能して、屋根材の撓みによる引き抜けの可能性を減少させ、屋根材の支持材からの脱落や飛散を防止する効果を向上させることができる。
また、従来の屋根材の取り付け構造を採用する屋根に取り付けることができるので、構造の煩雑化及びコストの増大を招くことなく、従来の合成樹脂製の屋根材と同様の簡単な取り付け作業で屋根を施工することができ、また、既設の屋根材に代えて取り付けることも可能である。
【0009】
屋根材の表面に施す摩擦抵抗増加処理は、図1(A)に示されるように、少なくとも弾性体を挟んで支持材と押え材とで挟持されて、弾性体が接合する屋根材1の端部の上面又は下面に設けられ、より好ましく上面又は下面の端部縁部に亘って設けることができる。同図(B)に示されるように、摩擦抵抗増加処理部3Aを屋根材1の上面全体又は下面全体に設けてもよい。同図(C)に示されるように、屋根材1の全周辺に摩擦抵抗処理部3Aを設けてもよい。なお、屋根材1の形状は、正方形や矩形、その他の多角形など、その取り付け態様に応じて適宜に設定される。
【0010】
摩擦抵抗増加処理は、屋根材の端部の変位に対し、屋根材の表面に圧接する弾性体と協働して大きな摩擦力が働くように屋根材の表面を加工する処理であり、例えば図2に示されるように、屋根材1の表面に凹凸部3を形成することが挙げられる。凹凸部3を形成することで弾性体との接触面積が大きくなって、大きな摩擦抵抗が得られる。この凹凸部3は、支持材の長手方向と平行に屋根材1の両端に沿って連続して延び、且つ前記支持材の長手方向と直交する方向に凹凸が連続するように形成することが好ましい。
また、弾性体に対する摩擦抵抗が大きなゴム製や合成樹脂製その他の素材からなるシートやフィルムを屋根材1の表面に剥離不能に固着してもよい。屋根材1の表面全体に、凹凸部3を設けたり摩擦抵抗増加用のシートやフィルムを貼ったりする摩擦抵抗増加処理を施せば、屋根材1の剛性が増して撓みや反りが生じ難くなって好ましい。
さらに、屋根材1は、摩擦抵抗増加処理に加えて、その表面に紫外線吸収層を設けて構成することができる。
【0011】
また、本発明の簡易屋根は、図13に示した従来の簡易屋根と同様に、支柱と、支柱の上部に所定間隔を開けて並設させた支持材と、支持材の上方に当該支持材との間隔を調整可能に設けた押え材と、支持材の上面及び押え材の下面にそれぞれ固定された弾性材と、前記構成の屋根材とを有して構成することができる。
詳しくは、図2はかかる簡易屋根の支持材と押え材とで屋根材を支持する部分の拡大断面を示している。支持材5は、その上面両側に凹溝51、51がそれぞれ形成され、両凹溝51内に弾性体7、7の端部を固定してある。押え材6は、支持材5の上面に重なる長尺材であり、その下面両側に凹溝61、61がそれぞれ形成され、両凹溝61内に弾性体7、7の端部を固定してある。弾性体7は、天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂材などの弾性材からなるパッキンであり、前記の通り支持材5と押え材6に設けた凹溝51、61に端部を嵌合させて両部材の表面に一体に固定してある。支持材5と押え材6は、支持材5の上面に押え材6を被せ、押え材6の頂面からボルト8を支持材5に螺合した状態で、支持材5の上面に固定した弾性体7と押え材6の下面に固定した弾性体7との間に屋根材1の端部が嵌入可能な幅の溝である保持部9を構成し、ボルト8を締め付けて両部材の間隙を狭めることにより、屋根材1の端部を弾性体7で押圧して、当該端部を挟持固定するように設けてある。
本発明の簡易屋根によれば、保持部9内に屋根材1の端部を挟持固定させた状態で、図3に示されるように、屋根材1の端部表面に設けた摩擦抵抗増加処理部3Aである凹凸部3の凹凸に弾性体7が入り込み且つ密着して接合するため、強風を受けて屋根材1の端部を保持部9から引き抜く方向の力が働いても、屋根材1の端部と弾性体7の表面間に大きな摩擦力が作用して端部を保持部9内に押し止め、端部が保持部9から引き抜かれることを防止することができる。図示されているように、凹凸部3は屋根材1の端部縁部に亘って形成してあるので、端部の変位に対して摩擦抵抗力を持続的に作用せしめ、屋根材1の端部が保持部9から完全に抜け切るまで摩擦抵抗力が作用し、屋根材1の端部の保持部9からの脱落防止に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)、(B)、(C)はそれぞれ本発明の合成樹脂製屋根材の一例の構成を示した平面図である。
【図2】本発明の簡易屋根における屋根材を支持した支持部の要部断面図である。
【図3】図2の屋根材の端部の挟持固定部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の合成樹脂製屋根材の一例の構成の要部側面拡大図である。
【図5】図4の屋根材の拡大破断斜視図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図7】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図8】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図9】(A)、(B)、(C)はそれぞれ本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図10】(A)、(B)はそれぞれ本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図11】本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図12】(A)は実施例1のシートを示した断面図、(B)は比較例1のシートを示した断面図、(C)は比較例2のシートを示した断面図である。
【図13】従来の簡易屋根の一例の構成を示す斜視図である。
【図14】従来の簡易屋根における屋根材の取り付け構造の一例を示した図である。
【図15】同じく他の屋根材の取り付け構造の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施形態に基づいて本発明を説明する。但し、以下に説明する実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明の範囲が以下の実施形態に制限されるものではない。
【0014】
<本屋根材の構成>
本実施形態の屋根材(「本屋根材」という)1は、図4及び図5に示すように、合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に、摩擦抵抗増加処理部3Aである凹凸部3を備え、合成樹脂板2の上面側に紫外線吸収層4を備えた板体乃至シート体である。但し、紫外線吸収層4は必ずしも備えてなくてもよい。また、紫外線吸収層4は合成樹脂板2の下面、又は両面に備えてもよい。
【0015】
(合成樹脂板2)
合成樹脂板2の材料については、特に制限はない。一般に外装建材として使用されている合成樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂材料を使用することができる。これらを1又は2種以上混合してもよい。これらの樹脂の中で、透明性、耐熱性、耐衝撃性などの点で、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0016】
ポリカーボネート系樹脂とは、主鎖中に炭酸エステル結合を含む線状高分子であり、例えば種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとをホスゲン法により反応させたり、ジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとをエステル交換法で反応させたりして得ることができる重合体などである。具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂を挙げることができるが、これに限るものではない。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限するものではない。通常の押出成形によりシート成形可能な粘度平均分子量が1.5万〜3万程度のものが好ましい。
【0017】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0018】
メタクリル系樹脂としては、メタクリル酸の各種エステルからなる重合体又は他の単量体との共重合体等が挙げられる。例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の各種メタクリル酸エステルの単独重合体、及びこれらのメタクリル酸エステルと各種アクリル酸エステル、アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン等との共重合体等が挙げられる。
【0019】
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体からなる重合体又はスチレン系単量体と共重合可能な単量体を用いた共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン核の水素原子がハロゲン原子や炭素数1〜2のアルキル基で置換されたスチレン誘導体等があり、具体的には、スチレン、o−クロルスチレン、p−クロルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、t−ブチルスチレン等がある。また、共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のアクリロニトリル系単量体や、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルブチル、(メタ)アクリル酸−β−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸や、これらの各種エステル類又は酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイミド等が挙げられる。
【0020】
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、少量のコモノマーを共重合させた塩化ビニル系共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。これらと塩化ビニリデン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン等とのポリマーブレンドでもよい。
【0021】
ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィンの単独重合体又はα−オレフィンと他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。このうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル含量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が透明性及び耐候性に優れている。なかでも、酢酸ビニルの含量が5重量%〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体は透明性、柔軟性及び耐候性が特に優れている。
【0022】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロン−46等が挙げられる。
【0023】
合成樹脂板2は、近赤外線を吸収する物質、例えばイオウ、硫黄系化合物、銅系化合物およびその他の近赤外線吸収物質のうちの1種又は2種以上を含有してもよい。但し、含有しなくてもよい。
この際、イオウは、市販のイオウ粉末などを使用できる。例えば、鶴見化学(株)製(JIS2級相当品)のイオウ粉末などが挙げられる。
硫黄系化合物としては、硫化鉛、チオ尿素誘導体等が挙げられる。
銅系化合物としては、ステアリン酸銅、硫化銅、フタロシアニル銅等が挙げられる。
他の近赤外線吸収物質としては、六塩化タングステン、塩化スズ、クロム、コバルト錯塩、アントラキノン誘導体等が挙げられる。
このような近赤外線吸収物質の含有量は特に制限されるものではないが、合成樹脂100重量部に0.01〜6重量部を含有させるのが好ましい。含有量が0.01〜6重量部、好ましくは0.01〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部であれば、近赤外線領域の光線吸収性能に優れ、可視光線の透過率が高いものとなる。
【0024】
また、合成樹脂板は、本発明の効果を損なわない限度において、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光増白剤、離型剤、アンチブロッキング剤(シリカ、架橋ポリスチレンビーズ等)、軟化材、帯電防止剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0025】
(凹凸部3)
凹凸部3は、図4及び図5に示すように、合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に設けられ、断面三角状で長尺な三角柱状の凹凸3aが、支持材5と押え材6で挟持される辺の両端部に亘って連続して伸び、且つ支持材5及び押え材6の長手方向と直交する方向に凹凸3aが連続する構成を備えている。
【0026】
凹凸3aは、その長さ方向と直交する断面にみて、断面二等辺三角形状を呈するものが好ましく、頂部は、図6(A)に示すように、丸みを帯びていてもよい。
【0027】
図6(B)、図7(A)〜(D)及び図8(A)〜(D)は、各々合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に設けられる凹凸部3の凹凸3aの変形例を示す拡大断面図である。
【0028】
図9は本屋根材1の変形例を示す断面図である。
本屋根材1としては、図9(A)に示すように支持材5及び押え材6で支持される合成樹脂板2の対向両辺に亘り、その上下両面に全体に凹凸部3を設けてもよく、或いは同図(B)に示すように支持材5及び押え材6で支持される両端部の下面のみ、同図(C)に示すように両端部の上面のみに凹凸部3を設けてもよい。
また、図10(A)に示すように合成樹脂板2の下面全体と上面の両端部や、同図(B)に示すように上面全体と下面の両端部に凹凸部3を設けてもよい。
さらに、図11に示すように、合成樹脂板2の、支持材5及び押え材6で支持される部分の端部の上下両面に肉厚が合成樹脂板2の内方から端辺側に亘り漸次太くなるテーパ部を形成し、その表面に凹凸部3を設けてもよい。
何れの場合も、凹凸部3は、支持材5及び押え材6で支持され、弾性体7が接合する部分から端部縁部に亘って設けることが、引き抜き力に対する摩擦抵抗力を持続する上で好ましい。
【0029】
(紫外線吸収層4)
紫外線吸収層4は、合成樹脂に紫外線吸収物質を混合して形成することができる。
【0030】
この際、合成樹脂としては、合成樹脂板2の材料として挙げた合成樹脂を使用することができる。中でも、接着性や界面での光散乱などを考慮すると、合成樹脂板2と同じ樹脂を使用するのが好ましい。
【0031】
また、紫外線吸収物質としては、紫外線吸収性能を有すれば特に制限はなく、例えばベンゾトリアゾールやトリアジンなどを好適に使用できる。但し、これらに限定するものではない。
【0032】
(層構成)
合成樹脂板2および紫外線吸収層4の各層の厚みは、表面硬度、成形性に問題が無ければ制限するものではなく、厚み比も同様である。一般的には、合成樹脂板2の厚みは1.0mm〜12.0mm、特に1.5mm〜8.0mm、中でも特に1.5mm〜5.0mmであるのが好ましく、紫外線吸収層4の厚みは10μm〜100μm、特に20μm〜70μm、中でも特に20μm〜40μmであるのが好ましい。
【0033】
なお、本屋根材1は、上述のように合成樹脂板2及び紫外線吸収層4を備えていれば、他の層を備えていてもよい。例えば、近赤外線吸収層を備えていてもよく、この場合、合成樹脂板2の材料として挙げた合成樹脂に、前述の紫外線吸収物質を混合して形成することができる。
また、シート体の一面側に凹凸部3を備えた凹凸状シートを合成樹脂板2とは別体として形成し、この凹凸状シートを合成樹脂板2に積層するようにしてもよい。
【0034】
<製造方法>
合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層方法としては、予め凹凸部3を賦形してなる合成樹脂板2に、紫外線吸収層4を備えたシートを積層するようにしてもよいし、また、合成樹脂板2を構成する樹脂(「合成樹脂板構成樹脂」という)と紫外線吸収層4を構成する樹脂(「紫外線吸収層構成樹脂」という)とを共押出しして積層した後、凹凸部3を賦形するようにしてもよい。
【0035】
合成樹脂板構成樹脂と紫外線吸収層構成樹脂とを共押出する場合は、例えば、合成樹脂板構成樹脂を押出すメイン押出機と、紫外線吸収層構成樹脂を押出すサブ押出機(通常はメイン押出機より小型)とを使用するのが好ましい。
この際、合成樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、メイン押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましく、サブ押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましい。
樹脂中の異物を除去するために、押出機のTダイより上流側にポリマーフィルターを設置することが好ましい。
【0036】
また、2種の溶融樹脂を共押出により積層する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を用いることができる。
フィードブロック方式の場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂を、Tダイなどのシート成形ダイに導き、シート状に成形し後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリシングロール)に流入させてバンクを形成すると共に成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却を行い、積層体を形成することができる。
他方、マルチマニホールド方式の場合には、マルチマニホールドダイ内で積層された溶融樹脂を、上記同様にダイ内部でシート状に成形し後、成形ロールにて表面仕上げ及び冷却を行い、積層体を形成することができる。
ダイの温度としては、合成樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、通常230〜290℃、好ましくは250〜280℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロールまたは、横型ロールを適宜使用することができる。
【0037】
凹凸部3を賦形する方法としては、例えば、合成樹脂板2を押出成形する際に、或いは、合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層シートを共押出成形する際に、所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属ロールを、押し出された合成樹脂板2に押し当て冷却することにより凹凸部3を賦形することができる。
その他、所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板と平坦な金属板、或いは所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板と所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板とで、合成樹脂板2或いは合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層シートを夾持してプレスすることにより凹凸部3を賦形することができる。また、射出成形により凹凸部3を賦形してもよい。
【0038】
<用途>
本屋根材1は、上記のように強風による屋根材の外れ、飛散の防止に優れているのでテラスやカーポートなどの簡易屋根のほか、サンルーム、庇などの屋根材やその他の採光材として好適に利用することができる。
【0039】
<用語の説明>
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
【0040】
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【実施例】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明について説明するが、これらの実施例に本発明が限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーに投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出しした後、紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側を鏡面金属ロール側とし、反対面を二等辺三角形の凹凸形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面に凹凸部を付与して冷却固化した。
【0043】
得られたシート1は、全厚さが2.5mm、紫外線吸収層/合成樹脂層の厚さ比が40/2460である2種2層構成であった。
また、図12(A)に示すように形成された凹凸部3は、断面二等辺三角形からなる三角柱状の凹凸がその幅方向左右両端部までに連続して並設され、且つ長手方向に連続して設けられており、いずれの凹凸の頂部も丸みを帯びていた。
【0044】
<比較例1>
上記実施例1において、図12(B)に示すように凹凸形状を付与しないシート1を作製した。
すなわち、紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーにそれぞれ投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出した後、2つの鏡面金属ロール間に通して冷却固化してシートを得た。
【0045】
<比較例2>
上記実施例1において、図12(C)に示すように紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側と反対面の左右両端部から内側に6mm程度入り込んだ位置に断面二等辺三角形からなる三角柱状の凹凸部が幅8mm程度形成され、且つ長手方向に沿って連続して設けられたシート1を作製した。
すなわち、紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーにそれぞれ投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出した後、2つの鏡面金属ロール間に通して冷却固化してシートを得た後、紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側と反対面の左右両端部から上記の位置に凹凸部3を切削加工により設けた。
【0046】
<耐荷重試験>
上記実施例1及び比較例1〜2で得られたシート1について、幅745mm、長さ1950mmに切断し、幅785mm、長さ2000mmのアルミニウム合金製枠に嵌め込み試験体を作製した。シート1の両端部の上下面には幅8mm、高さ7mmのゴム製のパッキンを圧接させてシート1を枠に保持した。
そして、試験体のシート1の中央部に荷重を加え、シート1を強制的に撓ませていき、シート1がアルミニウム合金製枠の保持部から外れる荷重を測定した。その結果を下記の表1に示す。
シートがアルミニウム合金製枠の保持部から外れない荷重を○、シートがアルミニウム合金製枠の保持部から外れる荷重を×とした。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、本発明の実施例1における屋根材は、優れた耐荷重性を有しており、強風時の屋根材の飛散を防止する効果を向上させることが確認できた。
【0049】
一方、比較例1〜2においては、耐荷重性が低く、強風時の屋根材の飛散を防止する効果に劣ることがわかった。
【符号の説明】
【0050】
1 屋根材(シート)、2 合成樹脂板、3A 摩擦抵抗増加処理部、3 凹凸部、3a 凹凸、4 紫外線吸収層、5 支持材、6 押え材、7 弾性体、8 ボルト、9 保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーポートやテラスなどの簡易屋根その他の建物や構造物の屋根に使用される合成樹脂製の屋根材とこれを用いて構成される簡易屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
図13はカーポートとして用いられる簡易屋根の一例を示している。この簡易屋根は、基礎面に立設させた支柱10、10の上部に縦横格子状に配した支持材5を設置するとともに、所定の間隔を開けて並設された各支持材5、5間に屋根材1を架設し、屋根材1の端部を支持材5とその上部に設けた押え材6とで挟持固定して構成されている(後述の図14及び図15参照)。
このような簡易屋根の屋根材1としては、耐候性を有する透明な合成樹脂板、例えばポリ塩化ビニルやアクリル、ポリカーボネートなどで成形された波板、平板、折板などが使用されているが、簡易屋根の設置場所や取り付ける屋根材1の大きさなどによっては、台風などの強風発生時の風圧で屋根材1が煽られ、屋根材1が撓んだり反ったりして、屋根材1の端部を支持材5と押え材6の間から引き抜く方向の力が働き、場合によっては屋根材1が支持材5から外れたり破損して飛散したりする虞があった。
【0003】
かかる問題を解決するための屋根材1の取り付け構造として、図14に示されるように、屋根材1の端部に突部11を形成し、前記屋根材1を引き抜く方向の力が作用したときに、支持材5と押え材6に突部11が係合することで屋根材1が支持材5から外れることを防止する構造や、図15に示されるように、屋根材1の端部の上面又は下面に適宜な幅の凹部12を形成し、この凹部12内に支持材5と押え材6とで押圧するパッキン71を圧入させることによって屋根材1を外れ難くした構造が知られている(例えば特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−85035号公報
【特許文献2】特開2007−204955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記図示した従来の屋根材1の取り付け構造のうち、前者のものは、突部11を設けて屋根材1の端部のみの肉厚を大きくしたのでは屋根材1の成形コストが嵩んで実用的でなく、また、強風時に屋根材1を引き抜く方向に大きな力が作用した際に突部11が支持材5と押え材6にぶつかって屋根材1の端部が破損し易いという問題がある。
後者のものは、屋根材1の端部の凹部12内にパッキン71が圧入している状態で屋根材1を取り付け位置に安定的に保持できるものの、強風を受けて屋根材1が撓んだり反ったりしたときに屋根材1の位置がずれ、その際にパッキン71が凹部12内から少しでも外れると屋根材1を保持する力が弱まり、凹部12がパッキン71を乗り越えて屋根材1の端部が支持材5と押え材6の間から外れてしまい易いという問題がある。このものは、凹部12とパッキン71の幅を揃え、凹部12内にパッキン71がぴったりと隙間なく圧入されていなければ、却って屋根材1の端部が抜け易くなってしまう。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、簡易屋根などに用いられる合成樹脂製の屋根材において、強風を受けて屋根材が撓んだり反ったりしても、端部が支持材から外れることなく、当初の取り付け位置である支持材間に安定的に固定し保持しておくことができ、また、従来の屋根材と同様の簡易な作業で取り付けることができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、所定間隔を開けて並設した支持材に架設される屋根材であって支持材と支持材の上部に設けた押え材の間に弾性体を挟んで差し入れた端部が前記両部材で挟持固定されて取り付けられる合成樹脂製の屋根材において、屋根材の前記弾性体が接する端部の上面又は下面に、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されてなることを特徴とする。
【0008】
本発明の屋根材は、並設された支持材間に架け渡し、その両端部の上下両面を、それぞれ弾性体を介して支持材と押え材とで挟み持ち、端部表面に弾性体が圧接するように両部材を挟持位置に固定することにより取り付けられる。
弾性体が接する屋根材の端部には、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されているので、強風を受けて屋根材の端部を支持材と押え材との挟持位置から引き抜く方向の力が働くと、屋根材の端部が変位せんとする方向とは逆向きに摩擦力が働き、この摩擦力が抵抗となって端部を取り付け位置に押し止め、屋根材を当初の取り付け位置に固定し保持するように機能して、屋根材の撓みによる引き抜けの可能性を減少させ、屋根材の支持材からの脱落や飛散を防止する効果を向上させることができる。
また、従来の屋根材の取り付け構造を採用する屋根に取り付けることができるので、構造の煩雑化及びコストの増大を招くことなく、従来の合成樹脂製の屋根材と同様の簡単な取り付け作業で屋根を施工することができ、また、既設の屋根材に代えて取り付けることも可能である。
【0009】
屋根材の表面に施す摩擦抵抗増加処理は、図1(A)に示されるように、少なくとも弾性体を挟んで支持材と押え材とで挟持されて、弾性体が接合する屋根材1の端部の上面又は下面に設けられ、より好ましく上面又は下面の端部縁部に亘って設けることができる。同図(B)に示されるように、摩擦抵抗増加処理部3Aを屋根材1の上面全体又は下面全体に設けてもよい。同図(C)に示されるように、屋根材1の全周辺に摩擦抵抗処理部3Aを設けてもよい。なお、屋根材1の形状は、正方形や矩形、その他の多角形など、その取り付け態様に応じて適宜に設定される。
【0010】
摩擦抵抗増加処理は、屋根材の端部の変位に対し、屋根材の表面に圧接する弾性体と協働して大きな摩擦力が働くように屋根材の表面を加工する処理であり、例えば図2に示されるように、屋根材1の表面に凹凸部3を形成することが挙げられる。凹凸部3を形成することで弾性体との接触面積が大きくなって、大きな摩擦抵抗が得られる。この凹凸部3は、支持材の長手方向と平行に屋根材1の両端に沿って連続して延び、且つ前記支持材の長手方向と直交する方向に凹凸が連続するように形成することが好ましい。
また、弾性体に対する摩擦抵抗が大きなゴム製や合成樹脂製その他の素材からなるシートやフィルムを屋根材1の表面に剥離不能に固着してもよい。屋根材1の表面全体に、凹凸部3を設けたり摩擦抵抗増加用のシートやフィルムを貼ったりする摩擦抵抗増加処理を施せば、屋根材1の剛性が増して撓みや反りが生じ難くなって好ましい。
さらに、屋根材1は、摩擦抵抗増加処理に加えて、その表面に紫外線吸収層を設けて構成することができる。
【0011】
また、本発明の簡易屋根は、図13に示した従来の簡易屋根と同様に、支柱と、支柱の上部に所定間隔を開けて並設させた支持材と、支持材の上方に当該支持材との間隔を調整可能に設けた押え材と、支持材の上面及び押え材の下面にそれぞれ固定された弾性材と、前記構成の屋根材とを有して構成することができる。
詳しくは、図2はかかる簡易屋根の支持材と押え材とで屋根材を支持する部分の拡大断面を示している。支持材5は、その上面両側に凹溝51、51がそれぞれ形成され、両凹溝51内に弾性体7、7の端部を固定してある。押え材6は、支持材5の上面に重なる長尺材であり、その下面両側に凹溝61、61がそれぞれ形成され、両凹溝61内に弾性体7、7の端部を固定してある。弾性体7は、天然ゴムや合成ゴム、合成樹脂材などの弾性材からなるパッキンであり、前記の通り支持材5と押え材6に設けた凹溝51、61に端部を嵌合させて両部材の表面に一体に固定してある。支持材5と押え材6は、支持材5の上面に押え材6を被せ、押え材6の頂面からボルト8を支持材5に螺合した状態で、支持材5の上面に固定した弾性体7と押え材6の下面に固定した弾性体7との間に屋根材1の端部が嵌入可能な幅の溝である保持部9を構成し、ボルト8を締め付けて両部材の間隙を狭めることにより、屋根材1の端部を弾性体7で押圧して、当該端部を挟持固定するように設けてある。
本発明の簡易屋根によれば、保持部9内に屋根材1の端部を挟持固定させた状態で、図3に示されるように、屋根材1の端部表面に設けた摩擦抵抗増加処理部3Aである凹凸部3の凹凸に弾性体7が入り込み且つ密着して接合するため、強風を受けて屋根材1の端部を保持部9から引き抜く方向の力が働いても、屋根材1の端部と弾性体7の表面間に大きな摩擦力が作用して端部を保持部9内に押し止め、端部が保持部9から引き抜かれることを防止することができる。図示されているように、凹凸部3は屋根材1の端部縁部に亘って形成してあるので、端部の変位に対して摩擦抵抗力を持続的に作用せしめ、屋根材1の端部が保持部9から完全に抜け切るまで摩擦抵抗力が作用し、屋根材1の端部の保持部9からの脱落防止に極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)、(B)、(C)はそれぞれ本発明の合成樹脂製屋根材の一例の構成を示した平面図である。
【図2】本発明の簡易屋根における屋根材を支持した支持部の要部断面図である。
【図3】図2の屋根材の端部の挟持固定部分の拡大断面図である。
【図4】本発明の合成樹脂製屋根材の一例の構成の要部側面拡大図である。
【図5】図4の屋根材の拡大破断斜視図である。
【図6】(A)、(B)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図7】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図8】(A)、(B)、(C)、(D)はそれぞれ本発明の屋根材の凹凸の変形例を拡大して示した断面図である。
【図9】(A)、(B)、(C)はそれぞれ本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図10】(A)、(B)はそれぞれ本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図11】本発明の屋根材の変形例を示した断面図である。
【図12】(A)は実施例1のシートを示した断面図、(B)は比較例1のシートを示した断面図、(C)は比較例2のシートを示した断面図である。
【図13】従来の簡易屋根の一例の構成を示す斜視図である。
【図14】従来の簡易屋根における屋根材の取り付け構造の一例を示した図である。
【図15】同じく他の屋根材の取り付け構造の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、実施形態に基づいて本発明を説明する。但し、以下に説明する実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明の範囲が以下の実施形態に制限されるものではない。
【0014】
<本屋根材の構成>
本実施形態の屋根材(「本屋根材」という)1は、図4及び図5に示すように、合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に、摩擦抵抗増加処理部3Aである凹凸部3を備え、合成樹脂板2の上面側に紫外線吸収層4を備えた板体乃至シート体である。但し、紫外線吸収層4は必ずしも備えてなくてもよい。また、紫外線吸収層4は合成樹脂板2の下面、又は両面に備えてもよい。
【0015】
(合成樹脂板2)
合成樹脂板2の材料については、特に制限はない。一般に外装建材として使用されている合成樹脂を使用することができる。例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、メタクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂等の樹脂材料を使用することができる。これらを1又は2種以上混合してもよい。これらの樹脂の中で、透明性、耐熱性、耐衝撃性などの点で、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0016】
ポリカーボネート系樹脂とは、主鎖中に炭酸エステル結合を含む線状高分子であり、例えば種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとをホスゲン法により反応させたり、ジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとをエステル交換法で反応させたりして得ることができる重合体などである。具体的には、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂を挙げることができるが、これに限るものではない。
ポリカーボネート系樹脂の分子量は特に制限するものではない。通常の押出成形によりシート成形可能な粘度平均分子量が1.5万〜3万程度のものが好ましい。
【0017】
ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0018】
メタクリル系樹脂としては、メタクリル酸の各種エステルからなる重合体又は他の単量体との共重合体等が挙げられる。例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等の各種メタクリル酸エステルの単独重合体、及びこれらのメタクリル酸エステルと各種アクリル酸エステル、アクリル酸、スチレン、α−メチルスチレン等との共重合体等が挙げられる。
【0019】
スチレン系樹脂としては、スチレン系単量体からなる重合体又はスチレン系単量体と共重合可能な単量体を用いた共重合体等が挙げられる。スチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンゼン核の水素原子がハロゲン原子や炭素数1〜2のアルキル基で置換されたスチレン誘導体等があり、具体的には、スチレン、o−クロルスチレン、p−クロルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、t−ブチルスチレン等がある。また、共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデン等のアクリロニトリル系単量体や、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシルブチル、(メタ)アクリル酸−β−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸や、これらの各種エステル類又は酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸、無水イタコン酸、マレイミド等が挙げられる。
【0020】
ポリ塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニルの単独重合体、少量のコモノマーを共重合させた塩化ビニル系共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。これらと塩化ビニリデン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン等とのポリマーブレンドでもよい。
【0021】
ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィンの単独重合体又はα−オレフィンと他の共重合可能な単量体との共重合体等が挙げられる。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等が挙げられる。このうち、密度が0.910〜0.935の低密度ポリエチレンやエチレン−α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル含量が30重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体が透明性及び耐候性に優れている。なかでも、酢酸ビニルの含量が5重量%〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体は透明性、柔軟性及び耐候性が特に優れている。
【0022】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−12、ナイロン−46等が挙げられる。
【0023】
合成樹脂板2は、近赤外線を吸収する物質、例えばイオウ、硫黄系化合物、銅系化合物およびその他の近赤外線吸収物質のうちの1種又は2種以上を含有してもよい。但し、含有しなくてもよい。
この際、イオウは、市販のイオウ粉末などを使用できる。例えば、鶴見化学(株)製(JIS2級相当品)のイオウ粉末などが挙げられる。
硫黄系化合物としては、硫化鉛、チオ尿素誘導体等が挙げられる。
銅系化合物としては、ステアリン酸銅、硫化銅、フタロシアニル銅等が挙げられる。
他の近赤外線吸収物質としては、六塩化タングステン、塩化スズ、クロム、コバルト錯塩、アントラキノン誘導体等が挙げられる。
このような近赤外線吸収物質の含有量は特に制限されるものではないが、合成樹脂100重量部に0.01〜6重量部を含有させるのが好ましい。含有量が0.01〜6重量部、好ましくは0.01〜2重量部、特に好ましくは0.01〜1重量部であれば、近赤外線領域の光線吸収性能に優れ、可視光線の透過率が高いものとなる。
【0024】
また、合成樹脂板は、本発明の効果を損なわない限度において、熱安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光増白剤、離型剤、アンチブロッキング剤(シリカ、架橋ポリスチレンビーズ等)、軟化材、帯電防止剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0025】
(凹凸部3)
凹凸部3は、図4及び図5に示すように、合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に設けられ、断面三角状で長尺な三角柱状の凹凸3aが、支持材5と押え材6で挟持される辺の両端部に亘って連続して伸び、且つ支持材5及び押え材6の長手方向と直交する方向に凹凸3aが連続する構成を備えている。
【0026】
凹凸3aは、その長さ方向と直交する断面にみて、断面二等辺三角形状を呈するものが好ましく、頂部は、図6(A)に示すように、丸みを帯びていてもよい。
【0027】
図6(B)、図7(A)〜(D)及び図8(A)〜(D)は、各々合成樹脂板2の上下少なくとも一方の面に設けられる凹凸部3の凹凸3aの変形例を示す拡大断面図である。
【0028】
図9は本屋根材1の変形例を示す断面図である。
本屋根材1としては、図9(A)に示すように支持材5及び押え材6で支持される合成樹脂板2の対向両辺に亘り、その上下両面に全体に凹凸部3を設けてもよく、或いは同図(B)に示すように支持材5及び押え材6で支持される両端部の下面のみ、同図(C)に示すように両端部の上面のみに凹凸部3を設けてもよい。
また、図10(A)に示すように合成樹脂板2の下面全体と上面の両端部や、同図(B)に示すように上面全体と下面の両端部に凹凸部3を設けてもよい。
さらに、図11に示すように、合成樹脂板2の、支持材5及び押え材6で支持される部分の端部の上下両面に肉厚が合成樹脂板2の内方から端辺側に亘り漸次太くなるテーパ部を形成し、その表面に凹凸部3を設けてもよい。
何れの場合も、凹凸部3は、支持材5及び押え材6で支持され、弾性体7が接合する部分から端部縁部に亘って設けることが、引き抜き力に対する摩擦抵抗力を持続する上で好ましい。
【0029】
(紫外線吸収層4)
紫外線吸収層4は、合成樹脂に紫外線吸収物質を混合して形成することができる。
【0030】
この際、合成樹脂としては、合成樹脂板2の材料として挙げた合成樹脂を使用することができる。中でも、接着性や界面での光散乱などを考慮すると、合成樹脂板2と同じ樹脂を使用するのが好ましい。
【0031】
また、紫外線吸収物質としては、紫外線吸収性能を有すれば特に制限はなく、例えばベンゾトリアゾールやトリアジンなどを好適に使用できる。但し、これらに限定するものではない。
【0032】
(層構成)
合成樹脂板2および紫外線吸収層4の各層の厚みは、表面硬度、成形性に問題が無ければ制限するものではなく、厚み比も同様である。一般的には、合成樹脂板2の厚みは1.0mm〜12.0mm、特に1.5mm〜8.0mm、中でも特に1.5mm〜5.0mmであるのが好ましく、紫外線吸収層4の厚みは10μm〜100μm、特に20μm〜70μm、中でも特に20μm〜40μmであるのが好ましい。
【0033】
なお、本屋根材1は、上述のように合成樹脂板2及び紫外線吸収層4を備えていれば、他の層を備えていてもよい。例えば、近赤外線吸収層を備えていてもよく、この場合、合成樹脂板2の材料として挙げた合成樹脂に、前述の紫外線吸収物質を混合して形成することができる。
また、シート体の一面側に凹凸部3を備えた凹凸状シートを合成樹脂板2とは別体として形成し、この凹凸状シートを合成樹脂板2に積層するようにしてもよい。
【0034】
<製造方法>
合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層方法としては、予め凹凸部3を賦形してなる合成樹脂板2に、紫外線吸収層4を備えたシートを積層するようにしてもよいし、また、合成樹脂板2を構成する樹脂(「合成樹脂板構成樹脂」という)と紫外線吸収層4を構成する樹脂(「紫外線吸収層構成樹脂」という)とを共押出しして積層した後、凹凸部3を賦形するようにしてもよい。
【0035】
合成樹脂板構成樹脂と紫外線吸収層構成樹脂とを共押出する場合は、例えば、合成樹脂板構成樹脂を押出すメイン押出機と、紫外線吸収層構成樹脂を押出すサブ押出機(通常はメイン押出機より小型)とを使用するのが好ましい。
この際、合成樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、メイン押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましく、サブ押出機の温度条件は、通常250〜290℃、特に260〜280℃とするのが好ましい。
樹脂中の異物を除去するために、押出機のTダイより上流側にポリマーフィルターを設置することが好ましい。
【0036】
また、2種の溶融樹脂を共押出により積層する方法としては、フィードブロック方式、マルチマニホールド方式などの公知の方法を用いることができる。
フィードブロック方式の場合、フィードブロックで積層された溶融樹脂を、Tダイなどのシート成形ダイに導き、シート状に成形し後、表面を鏡面処理された成形ロール(ポリシングロール)に流入させてバンクを形成すると共に成形ロール通過中に鏡面仕上げと冷却を行い、積層体を形成することができる。
他方、マルチマニホールド方式の場合には、マルチマニホールドダイ内で積層された溶融樹脂を、上記同様にダイ内部でシート状に成形し後、成形ロールにて表面仕上げ及び冷却を行い、積層体を形成することができる。
ダイの温度としては、合成樹脂板構成樹脂並びに紫外線吸収層構成樹脂の主成分樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用する場合であれば、通常230〜290℃、好ましくは250〜280℃であり、成形ロール温度としては、通常100〜190℃、好ましくは110〜180℃である。ロールは縦型ロールまたは、横型ロールを適宜使用することができる。
【0037】
凹凸部3を賦形する方法としては、例えば、合成樹脂板2を押出成形する際に、或いは、合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層シートを共押出成形する際に、所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属ロールを、押し出された合成樹脂板2に押し当て冷却することにより凹凸部3を賦形することができる。
その他、所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板と平坦な金属板、或いは所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板と所定の凹凸部3を刻印できるように彫刻された金属板とで、合成樹脂板2或いは合成樹脂板2と紫外線吸収層4の積層シートを夾持してプレスすることにより凹凸部3を賦形することができる。また、射出成形により凹凸部3を賦形してもよい。
【0038】
<用途>
本屋根材1は、上記のように強風による屋根材の外れ、飛散の防止に優れているのでテラスやカーポートなどの簡易屋根のほか、サンルーム、庇などの屋根材やその他の採光材として好適に利用することができる。
【0039】
<用語の説明>
本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
【0040】
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
【実施例】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明について説明するが、これらの実施例に本発明が限定されるものではない。
【0042】
<実施例1>
紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーに投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出しした後、紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側を鏡面金属ロール側とし、反対面を二等辺三角形の凹凸形状に彫刻された金属ロールに接触させて、当該反対面に凹凸部を付与して冷却固化した。
【0043】
得られたシート1は、全厚さが2.5mm、紫外線吸収層/合成樹脂層の厚さ比が40/2460である2種2層構成であった。
また、図12(A)に示すように形成された凹凸部3は、断面二等辺三角形からなる三角柱状の凹凸がその幅方向左右両端部までに連続して並設され、且つ長手方向に連続して設けられており、いずれの凹凸の頂部も丸みを帯びていた。
【0044】
<比較例1>
上記実施例1において、図12(B)に示すように凹凸形状を付与しないシート1を作製した。
すなわち、紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーにそれぞれ投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出した後、2つの鏡面金属ロール間に通して冷却固化してシートを得た。
【0045】
<比較例2>
上記実施例1において、図12(C)に示すように紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側と反対面の左右両端部から内側に6mm程度入り込んだ位置に断面二等辺三角形からなる三角柱状の凹凸部が幅8mm程度形成され、且つ長手方向に沿って連続して設けられたシート1を作製した。
すなわち、紫外線吸収層構成樹脂としての紫外線吸収剤含有ポリカーボネート樹脂(帝人化成社製「パンライトL−5250ZS」)と、合成樹脂板構成樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7027U」)を、それぞれ別々の押出機のホッパーにそれぞれ投入し、いずれも温度280℃で溶融し、次いで、フィードブロック式のTダイを用いて共押出した後、2つの鏡面金属ロール間に通して冷却固化してシートを得た後、紫外線吸収層のポリカーボネート樹脂の側と反対面の左右両端部から上記の位置に凹凸部3を切削加工により設けた。
【0046】
<耐荷重試験>
上記実施例1及び比較例1〜2で得られたシート1について、幅745mm、長さ1950mmに切断し、幅785mm、長さ2000mmのアルミニウム合金製枠に嵌め込み試験体を作製した。シート1の両端部の上下面には幅8mm、高さ7mmのゴム製のパッキンを圧接させてシート1を枠に保持した。
そして、試験体のシート1の中央部に荷重を加え、シート1を強制的に撓ませていき、シート1がアルミニウム合金製枠の保持部から外れる荷重を測定した。その結果を下記の表1に示す。
シートがアルミニウム合金製枠の保持部から外れない荷重を○、シートがアルミニウム合金製枠の保持部から外れる荷重を×とした。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、本発明の実施例1における屋根材は、優れた耐荷重性を有しており、強風時の屋根材の飛散を防止する効果を向上させることが確認できた。
【0049】
一方、比較例1〜2においては、耐荷重性が低く、強風時の屋根材の飛散を防止する効果に劣ることがわかった。
【符号の説明】
【0050】
1 屋根材(シート)、2 合成樹脂板、3A 摩擦抵抗増加処理部、3 凹凸部、3a 凹凸、4 紫外線吸収層、5 支持材、6 押え材、7 弾性体、8 ボルト、9 保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を開けて並設した支持材に架設される屋根材であって支持材と支持材の上部に設けた押え材の間に弾性体を挟んで差し入れた端部が前記両部材で挟持固定されて取り付けられる合成樹脂製の屋根材において、
屋根材の前記弾性体が接する端部の上面又は下面に、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されてなることを特徴とする屋根材。
【請求項2】
摩擦抵抗増加処理は、屋根材の表面に形成された凹凸部であることを特徴とする請求項1に記載の屋根材。
【請求項3】
屋根材の表面に紫外線吸収層が設けられてなる請求項1又は2に記載の屋根材。
【請求項4】
支柱と、支柱の上部に所定間隔を開けて並設させた支持材と、支持材の上方に当該支持材との間隔を調整可能に設けた押え材と、支持材上面及び押え材下面にそれぞれ固定された弾性材と、請求項1〜3の何れかに記載の屋根材とを有して構成されたことを特徴とする簡易屋根。
【請求項1】
所定間隔を開けて並設した支持材に架設される屋根材であって支持材と支持材の上部に設けた押え材の間に弾性体を挟んで差し入れた端部が前記両部材で挟持固定されて取り付けられる合成樹脂製の屋根材において、
屋根材の前記弾性体が接する端部の上面又は下面に、弾性体との間に生じる摩擦抵抗を増加させるための摩擦抵抗増加処理が施されてなることを特徴とする屋根材。
【請求項2】
摩擦抵抗増加処理は、屋根材の表面に形成された凹凸部であることを特徴とする請求項1に記載の屋根材。
【請求項3】
屋根材の表面に紫外線吸収層が設けられてなる請求項1又は2に記載の屋根材。
【請求項4】
支柱と、支柱の上部に所定間隔を開けて並設させた支持材と、支持材の上方に当該支持材との間隔を調整可能に設けた押え材と、支持材上面及び押え材下面にそれぞれ固定された弾性材と、請求項1〜3の何れかに記載の屋根材とを有して構成されたことを特徴とする簡易屋根。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−270492(P2010−270492A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122821(P2009−122821)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]