層状化沈殿不織生成物を形成する方法及びその生成物
本明細書は、一般に、強化パーチメント不織生成物と、その製造方法とに関する。強化パーチメント不織生成物は、ソーセージケーシングを形成するのに使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、強化パーチメント不織製品を形成する方法及びその製品に関する。一実施形態において、強化パーチメント材料は、ソーセージのケーシングを形成するのに使用してよい。
【背景技術】
【0002】
ケーシング紙は、一般に、アバカ、サイザル、又は亜麻などの、ステープル長の比較的強力な高靭性天然繊維の、ウェットレイド紙ウェブから製造される。紙ウェブに、希釈ビスコース溶液を飽和させる。次いでビスコース中のセルロースを、このウェブを酸性再生浴に通すことによって再生する。次いでウェブを洗浄して酸を除去し、乾燥して、酸再生セルロースを含浸させた紙ウェブを生成する。次いでこのケーシング紙を、一般にロール状に形成する(「マスターロール」)。加工肉、例えばソーセージを包装するためのケーシングは、ケーシング紙を細片に切断し、次いでチューブが形成されるように折り曲げて縫い合わせることにより、ケーシング紙から製造することができる。チューブに、アルカリ性ビスコース溶液を飽和させる。次いでビスコース中のセルロースを、酸性再生浴で再生する。次いでチューブを洗浄して酸及び塩を除去する。望む場合には、再生されたセルロースのために、可塑剤、例えばグリセリンを含有する水性浴にチューブを通してもよい。チューブを、加熱されたチャンバに通すことによって乾燥し(チューブは膨張状態にある)、その結果、内部にセルロース紙ウェブが埋め込まれているセルロースフィルムチューブ材が得られる。このチューブ材に、典型的には圧力をかけて加工肉製品を詰める。初期の紙ウェブを希釈ビスコース溶液で処理し、その後、再生を行う目的は、ケーシングチューブの形成に使用される高苛性ビスコース溶液での処理に耐え得るように、強度及び構造的一体性を有するウェブを提供することである。しかし、希釈ビスコースでの初期処理にも関わらず、ケーシングチューブの形成に使用される高苛性の、より濃度が高いビスコース溶液を用いた処理は、ある程度のウェブの軟化及び脆弱化を必ず引き起こすことになる。このように、複雑な多段階処理プロセスにも関わらず、望ましいウェブ強度よりも低いことが原因で、ケーシングに詰めている最中に依然として製造上の問題に遭遇する可能性がある。
【0003】
定義
複合繊維−別々の押出し機からポリマー源を押し出し、単繊維が形成されるようにこれらを1つに紡糸することによって形成されている繊維。典型的には、2種の別々のポリマーが押し出されるが、複合繊維は、別々の押出し機からの同じポリマー材料の押出しを包含してもよい。押し出されたポリマーは、実質的に一定に位置決めされた別々のゾーン内に、複合繊維の断面の端から端にわたって配置され、複合繊維の長さに沿って実質的に一定に延びる。複合繊維の構成は、対称にすることができ(例えば、シース:コア又は側面:側面)、又は非対称にすることができる(例えば、シース内のオフセットコア;全体が丸い形状を有する繊維内の三日月形の構成)。2種のポリマー源は、例えば(しかしこれらに限定されない)75/25、50/50、又は25/75の比で存在してよい。
【0004】
2成分繊維−同じ紡糸口金から押し出された、2種以上のポリマーの混合物から形成されている繊維。2成分繊維は、比較的一定に位置決めされた別々のゾーン内に、この繊維の断面領域の端から端まで配置された様々なポリマー成分を有しておらず、これら様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、代わりに、ランダムに開始し終了する微小繊維を形成する。2成分繊維は、時々、多成分繊維とも呼ばれる。
【0005】
カレンダー掛け−対向する面の間で不織材料に加圧することにより、その表面を滑らかにする方法。対向する面には、平板、ローラ、突起を有するローラ、及びこれらの組合せが含まれる。対向する面のどちらか又は両方を、加熱してよい。
【0006】
セルロース繊維−セルロースを実質的に含む繊維。セルロース繊維は、合成源(例えば、再生されたセルロース繊維又はリオセル繊維)、又は木本及び非木本植物からのセルロース繊維若しくはセルロースパルプなどの天然源由来である。木本植物には、例えば、落葉樹及び針葉樹が含まれる。非木本植物には、例えば、綿、亜麻、アフリカハネガヤ、ケナフ、サイザル、アバカ、乳液分泌植物、藁、ジュート、麻、及びバガスが含まれる。
【0007】
セルロース材料−セルロースを実質的に含む材料。材料は、繊維又はフィルムでよい。セルロース材料は、合成源(例えば、再生されたセルロースフィルム又は繊維)、又は木本及び非木本植物からの繊維若しくはパルプなどの天然源由来である。
【0008】
コンジュゲート繊維−別々の押出し機からポリマー源を押し出し、単繊維が形成されるようにこれらを1つに紡糸することによって押し出すことによって形成されている繊維。コンジュゲート繊維は、別々の押出し機によってそれぞれ供給された2種以上の別々のポリマーの使用を包含する。押し出されたポリマーは、実質的に一定に位置決めされた別々のゾーン内に、コンジュゲート繊維の断面領域の端から端まで配置され、コンジュゲート繊維の長さに沿って実質的に連続して引き伸ばされる。コンジュゲート繊維の形状は、意図される最終使用に合わせて製造者に都合の良い任意の形状に、例えば円、三葉、三角形、犬の骨の形、平ら、又は中空にすることができる。
【0009】
幅方向(CD)−流れ方向に直交する方向。
【0010】
デニール−フィラメント9000mの重量(g)によって与えられる、フィラメントの細さを示すのに使用される単位。1デニールのフィラメントは、長さ9000mに関して1gの質量を有する。
【0011】
押し出された繊維−少なくとも1種の熱可塑性ポリマーの、面上への押出しによって形成された繊維。押し出された繊維は、繊維、フィラメント、複合繊維、複合フィラメント、2成分繊維、及び2成分フィラメントの少なくとも1種を含むことができる。押し出されたウェブ材料は、セルロース材料を実質的に含まない。
【0012】
繊維−長さと直径との極めて高い比を特徴とする材料形態。本明細書で使用される、繊維及びフィラメントという用語は、他に特に指示しない限り、同義に使用される。
【0013】
フィラメント−実質的に連続した繊維。本明細書で使用される、繊維及びフィラメントという用語は、他に特に指示しない限り、同義に使用される。
【0014】
流れ方向(MD)−不織ウェブ材料の形成中に繊維が堆積される、形成表面の移動方向。
【0015】
メルトブローン繊維−複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーから高速ガス(例えば、空気)流中に、フィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成された繊維であり、この高速ガス流は、繊維の直径が減じられるように、溶融熱可塑性材料を細くするものである。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流によって運ばれ、収集面上に堆積して、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、一般に連続的である。メルトブローン法は、メルトスプレープロセスを含む。
【0016】
非熱可塑性ポリマー−熱可塑性ポリマーの定義内に包含されない任意のポリマー材料。
【0017】
不織布、シート、又はウェブ−間に挿し込まれ、しかし織布又は編地であると確認されない手法で、個々の繊維の構造を有する材料。不織材料は、例えばメルトブローン、スピンレイ、カーディング、エアレイ、及びウォーターレイプロセスなど、多くのプロセスから形成されている。不織材料の坪量は、通常、単位面積当たりの重量で表され、例えば平方メートル当たりのグラム数(gsm/gm2)又は平方フィート当たりのオンス数(osf)である。本明細書で使用される不織シートは、ウェットレイド紙シートを含む。
【0018】
ポリマー−反復される有機構造単位の長い鎖。一般に、例えばホモポリマーと、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーなどのコポリマーと、ターポリマーなどと、これらのブレンド及び変形例とを含む。さらに、他に特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、全ての可能性ある幾何学的構成を含む。これらの構成には、例えば、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が含まれる。
【0019】
再生セルロース−天然セルロースを化学処理して、可溶性化学誘導体又は中間化合物を形成し、その後、この誘導体を分解してセルロースを再生することによって得られた、合成セルロース。再生セルロースは、スパンレーヨン及びセロファンフィルムを含む。再生セルロース法は、ビスコース法、銅アンモニア法、及び酢酸セルロースの鹸化を含む。
【0020】
スパンレイドフィラメント−複数の微細な、通常は円形の、紡糸口金のキャピラリーから、溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成されたフィラメント。押し出されたフィラメントの直径は、その後、例えば抽出延伸及び/又はその他の周知のスパンボンドメカニズムによって素早く減少させる。スパンレイド繊維は一般に、約0.1から5又はそれ以上の範囲内でデニールが連続している。
【0021】
スパンボンデッド不織ウェブ−複数の微細な、通常は円形の、紡糸口金のキャピラリーから、フィラメントとして、少なくとも1種の溶融熱可塑性材料を押し出すことにより、単一プロセスで(通常は)形成されたウェブ。フィラメントは、一部はクエンチされ、次いで繊維デニールが低下するように且つ繊維内の分子配向が増大するように、引き出される。フィラメントは、一般に連続的であり、繊維状バットとして収集面に堆積される場合、粘着性が無い。次いでスパンレイド繊維状バットを、例えば熱結合、カレンダー掛け、化学結合剤、機械式穿刺、水圧による掛かり合い、又はこれらの組合せによって結合して、不織布を生成する。
【0022】
ステープル繊維−一般に4分の1から8インチ(0.6から20cm)のステープル長に形成され又は切断されている繊維。
【0023】
合成繊維−合成材料、例えばガラス、ポリマー、ポリマーの組合せ、金属、炭素、再生セルロース、リオセルを含む繊維。
【0024】
実質的に連続−不織ウェブのポリマーフィラメントに関して、オリフィスを経た押出しによって形成されたフィラメント又は繊維の大部分は、それらが引き出され次いで収集デバイス上に衝突するので、連続した破壊されていないフィラメントとして残されることを意味する。一部のフィラメントは、細長化又は延伸プロセス中に破壊される可能性があり、フィラメントの実質的に大部分は、連続したままである。
【0025】
tex−フィラメント1000mの重量(g)によって与えられた、フィラメントの細さを示すのに使用される単位。1texのフィラメントは、長さ1000mに関して1gの質量を有する。
【0026】
熱可塑性ポリマー−可融性であり、熱に曝されると軟化し、一般に、室温まで冷却されるとその非軟化状態に戻るポリマー。熱可塑性材料には、例えば、ポリ塩化ビニル、いくつかのポリエステル、ポリアミド、ポリフルオロカーボン、ポリオレフィン、いくつかのポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン及び少なくとも1種のビニルモノマーのコポリマー(例えば、ポリ(エチレンビニルアセテート)、及びアクリル樹脂が含まれる。
【0027】
植物性パーチメント(VP)−セルロースの溶解、加水分解、及び分解を制御するために、ゲル化剤とセルロースとの間の反応時間が限定される条件下で、例えば硫酸を含むゲル化剤でセルロース紙シートを処理することによって作製された紙。次いで処理された紙を、ゲル化剤が除去されるように完全に洗浄し、その後、乾燥する。浴の化学物質は、紙シートのセルロースを部分的に溶解し又はゲル化する。次いで溶解したセルロースは、処理した紙を洗浄することによって浴の化学物質を希釈したときに、沈殿する。パーチメント又はパーチメント化と呼ばれるこのプロセスは、外観が真のパーチメントにいくらか似ている非常に強靭で、堅く、滑らかな紙を形成する。このように処理された紙は、乾燥すると脆弱になり且つ皺になる傾向があるので、可塑剤で、例えばグリセリン、グルコース、又はソルビトールで頻繁に処理される。バルカナイズドファイバーは、例えば塩化亜鉛を含むゲル化剤でセルロース紙シートを処理することによって作製された、関連ある製品である。
【0028】
ウォーターリーフシート−パーチメント化中にゲル化剤を繊維に接触させるのに有利な、多孔性の木材パルプ紙。ウォーターリーフシートは、ゲル化剤による溶解に適切な繊維、例えばユーカリ繊維、カバノキ繊維、又はいくつかの1年生植物繊維を含む。ウォーターリーフシートに使用される添加剤は、望み通りの繊維との接触をもたらすように制御される。
【0029】
一般に、他に明示しない限り、開示された材料及び方法は、本明細書に開示されている任意の適切な成分、部分、又はステップを含むように、又はこれらからなるように、又は本質的にこれらからなるように、代替の手法で構成してよい。開示されている材料及び方法は、さらに又は代替として、従来技術の組成物で使用されており又は通常なら本発明の開示の機能及び/又は目的を達成するのに必ずしも必要ではない、いかなる成分、材料、構成要素、補助剤、部分、種、及びステップも無くなるように又は実質的に無くなるように、構成してよい。
【0030】
「約」という用語を本明細書で使用する場合、変更する量又は条件は、開示内容の機能及び/又は目的が実現される限り、記述される量をいくらか超えて変化することができることを意味する。当業者は、任意の領域の範囲を十分に探索する時間がほとんど無いことを理解し、また開示された結果が、開示された限度の1つ又は複数を少なくともいくらか超えて拡大し得ることを予測する。後に、この開示の利益を有し且つ本明細書に開示された概念及び実施形態を理解することによって、当業者は、本発明の努力無しで、開示された限度を超えて探索することができ、また実施形態が、予期せぬいかなる特徴も無いことがわかった場合には、これらの実施形態は本明細書で使用される約という用語の意味の範囲内にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性フィラメントと、この熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維との第1の不織ウェブを含み、このセルロース繊維がパーチメント処理されている、複合パーチメントシートを開示する。
【0032】
本発明の第2の好ましい実施形態は、外面及び内面を有する沈殿セルロース材料を含む第1の不織層と、実質的に連続した熱可塑性フィラメント及びこの熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維の第2の不織層とを含み、この第2の層が、第1の層に隣接した内面を有し、第2の層からのフィラメントが、少なくとも部分的に第1の層の沈殿セルロースに埋め込まれており、これらの層は、セルロース繊維から得られる沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている、複合パーチメントシートを開示する。セルロース材料も開示されている。
【0033】
本発明の第3の好ましい実施形態は、複数のランダムに配向した、実質的に連続した熱可塑性フィラメントと、この熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維とを含み、このセルロース繊維の一部がパーチメント処理されている、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適した複合パーチメント材料を開示する。
【0034】
本発明の第4の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性フィラメント及びこの熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維の第1の不織層であって、内面を有する第1の層と、外面及び対向する内面を有する沈殿セルロース材料を含む第2の不織層とを含み、フィラメントが第2の層の内面に隣接した沈殿セルロース内に埋め込まれており、これらの層が沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている、食品を包装するためのケーシング材料を作製するのに適した複合材料を開示する。第2の層は、セルロース繊維を含むことができる。第2の層は、セルロースフィルムを含むことができる。第1の層は、内部でセルロース繊維が絡み合っているスパンレイドウェブ、又は内部でセルロース繊維が絡み合っているメルトブローンウェブを含むことができる。
【0035】
本発明の第5の好ましい実施形態は、内面と、この内面に隣接したフィラメントの一部を部分的に取り囲む沈殿材料と、沈殿材料の薄い稠密な層を少なくとも部分的に含む外面とを有する、実質的にランダムに配向した、実質的に連続したフィラメントの不織ウェブを含む、複合強化沈殿生成物を開示する。複合強化沈殿生成物は、第1の層のフィラメント間に介在させたセルロース繊維を含むことができ、この沈殿材料は沈殿セルロースである。複合強化沈殿生成物は、第1の層に対する実質的に連続した面同士の接触によって第2の層を含むことができ、第1及び第2の層は、沈殿材料によってのみ1つに結合されている。
【0036】
本発明の第6の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性ポリマーフィラメントを含む第1の不織ウェブを提供するステップと;セルロース繊維を第1の不織ウェブに絡み合わせることによって結合するステップと;絡み合わせた第1のウェブをゲル化剤に浸漬して、セルロース繊維を部分的にゲル化するステップと;ゲル化セルロースを沈殿させるステップと;第1のウェブを乾燥するステップとを含む、強化パーチメント紙を形成する方法を開示する。
【0037】
本発明の第7の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性ポリマーフィラメントを含む、第1の不織ウェブを提供するステップと;セルロース繊維を第1の不織ウェブに絡み合せるステップと;セルロース材料を含む第2の不織ウェブを提供するステップと;第1及び第2のウェブの少なくとも1つをゲル化剤に浸漬して、セルロース繊維、セルロース材料、又はその両方を少なくとも部分的にゲル化するステップと;第1のウェブを第2のウェブ上に重ねて、複合処理材料を形成するステップと;ゲル化セルロースを沈殿させるステップと;複合処理材料を乾燥させて、複合強化パーチメント紙を形成するステップとを含む、複合強化パーチメント紙を形成する方法であって、この複合強化パーチメント紙が、実質的に連続した熱可塑性フィラメントの層と、セルロース繊維から得られた沈殿セルロースによって1つに結合されたセルロース材料の層とを含んでいる方法を開示する。セルロース材料も開示されている。第2のウェブは、セルロースフィルムにすることができる。
【0038】
本明細書の繊維強化沈殿生成物は、例えば、研磨ディスクの裏当てシート、ベーキングパンライナー、食品ラッピング、及びソーセージのケーシングを含む数多くの適用例で、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、いくつかの図において同様の要素には同様の符号が付されている図面を参照する。
【図1】植物パーチメント(VP)サンプルの上面の、顕微鏡写真である。
【図2】植物パーチメント(VP)サンプルの底面の、顕微鏡写真である。
【図3】一般に入手可能なケーシング材料の外面の、顕微鏡写真である。
【図4】一般に入手可能なケーシング材料の内面の、顕微鏡写真である。
【図5】複合強化パーチメント紙の一実施形態の、上面(スパンボンドベースシート面)の顕微鏡写真である。
【図6】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの上面の、異なる位置での別の顕微鏡写真である。
【図7】複合強化パーチメント紙の実施形態の、上面(スパンボンドベースシート面)の顕微鏡写真である。
【図8】図7のサンプルの上面の、異なる位置での別の顕微鏡写真である。
【図9】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、底面(パーチメントウォーターリーフシート面)の顕微鏡写真である。
【図10】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、底面(パーチメントウォーターリーフシート面)の顕微鏡写真である。
【図11】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図12】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図13】図3のケーシング材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図14】図1の植物パーチメント材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図15】図1の植物パーチメント材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図16】図3のケーシング材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図17】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図18】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図19】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図20】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図21】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図22】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、強化沈殿不織生成物が調製される。沈殿不織生成物は、第1の繊維状不織ベースシートをゲル化剤で処理して、そのシートの材料の一部を部分的に溶解することによって、調製される。処理されたシートの、部分的に溶解した材料は、シートの繊維状構造内に且つシートの表面に、再配置される。溶解した材料は沈殿して、沈殿不織生成物を形成する。
【0041】
ベースシートは、ゲル化剤に対して適切な感受性を有する少なくとも1種の材料を含む、1つ又は複数のタイプの繊維状材料を含んでよい。例えば、感受性のある繊維はセルロースを含んでよく、ゲル化剤は硫酸を含んでよく;感受性のある繊維はキトサンを含んでよく、ゲル化剤は酢酸を含んでよく;感受性のある繊維はナイロンを含んでよく、ゲル化剤はギ酸を含んでよく;感受性のある繊維はポリ乳酸(PLA)を含んでよく、ゲル化剤はPLA溶媒を含んでよい。ベースシートは、繊維材料の組合せを含んでよい。
【0042】
強化沈殿生成物は、典型的には、片面又は両面に、沈殿材料の薄く稠密な層を有してよい。薄く稠密な表面層の間で、前駆体ベースシートの繊維状構造は、繊維の少なくとも一部を部分的に取り囲み結合している実質的に非晶質の沈殿材料のままでよい。表面の沈殿材料は、強化沈殿生成物に、硬質の低多孔率の表面をもたらしてよい。
【0043】
本発明の一変形例において、強化沈殿不織生成物は、強化パーチメント紙を含む。パーチメント紙は、非セルロース繊維及びセルロース繊維を含む不織ベースシートをゲル化剤で処理することによって、作製される。処理したベースシート中の、部分的に溶解したセルロース繊維は、シート内に且つシートの表面上に再配列される。溶解したセルロース繊維は沈殿して、強化パーチメント紙を形成する。
【0044】
非セルロース繊維は、広範な材料、例えばガラス、炭素、ポリエチレンテレフタレート(PET)、同様の又は改質された化学的性質を有するポリエチレンテレフタレートポリマー(例えば、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)変性ポリエチレンテレフタレート)の混合物、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのその他のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド、これらのポリマーのいずれかのコポリマー、これらのポリマーのいずれかの混合物、キトサンから得てもよい。非セルロース繊維は、熱可塑性材料を含むことが有利であり、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含むことが特に有利である。非セルロース繊維は、任意選択で、例えば着色顔料、不透明顔料、親水性薬剤などの機能性添加剤、帯電防止剤、及びこれらの混合物を含む、1種又は複数の独立に選択された加工添加剤を含有してよい。非セルロース繊維は、約0.1から約30の間のデニールを有する。これらの繊維の形状は、典型的には丸いが、意図される最終用途に向けて生成するのに都合の良い任意の形状、例えば円、三葉、三角形、犬の骨の形、平面、又は中空にすることができる。切断された繊維は、用途に応じて、100mm未満の長さ、有利には50mm未満、典型的には約4mmから約25mmの範囲の長さを有することになる。
【0045】
典型的には、熱可塑性ポリマーから作製された非セルロース繊維は、押し出され、例えばスパンレイド又はメルトスパンされて、押出しフィラメントを形成する。押出しフィラメントは、従来の手法で形成される。フィラメントは、収集し切断して、ステープル長の繊維に形成することができる。フィラメントを、移動する形成表面に堆積して、移動(流れ)方向に実質的に連続して伸びるフィラメントのスパンレイドバット形成することが有利である。バットは、後続のプロセスにおいて構造の一体性を維持するのに適した任意の方法を使用して、例えば熱点結合で又は空気結合を通して、結合することができる。結合バットは、押出しウェブ材料を形成する。いくつかの有利な実施形態では、押出しウェブ材料は、約10gsmから約100gsmの坪量のもの、より有利には約20gsmから約50gsmの坪量のものが用いられる。
【0046】
セルロース繊維は、広範な供給源から得てもよく、ゲル化剤中で所望の溶解度を示す繊維を含有する、任意のセルロースを含む。いくつかの適切なセルロース繊維の例には、木材パルプ繊維(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、及びこれらの混合物を含む)、綿や亜麻、サイザル、麻、ジュート、アフリカハネガヤ、バガス、藁、アバカなどの非木材植物パルプ繊維、並びにビスコースやリオセルなどの再生セルロース繊維が含まれる。様々なセルロース繊維の混合物を使用してもよい。使用してもよいセルロースパルプ繊維には、特に約0.7mmから約25mmの繊維長、有利には約1.5mmから約5mmの繊維長を有する、従来の短い製紙繊維が含まれる。従来の製紙繊維は、周知のクラフト法によって生成される従来の製紙木材パルプ繊維を含む。パーチメント処理で使用するのに有利なセルロース繊維には、ユーカリ、カバノキ、アカスギ、アカシア、亜麻、及びリネンが含まれる。これらの繊維は、繊維レベル並びにセルロースポリマーレベルで、ゲル化剤との良好な接触性をもたらす。900未満のセルロースの重合度(DP)が有利と考えられる。
【0047】
強化パーチメント紙の一変形例では、ステープル長の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を混合することができ、スクリーン又はワイヤ上に繊維の希釈分散液を堆積するという知られている湿式製紙法などによって、不織ベースシートがこの混合物から形成される。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維を、熱可塑性繊維及びセルロース繊維の他に使用してもよい。得られるベースシート中の繊維の少なくとも40%がセルロース繊維であることが、有利である。
【0048】
強化パーチメント紙の一変形例では、ステープル長の熱可塑性繊維を含む不織ベースシートが、カーディングなどによって形成される。不織ベースシートは、その他のカード繊維、例えばレーヨン繊維を含んでもよい。
【0049】
セルロース繊維は、ベースシートに付着される。セルロース繊維は、完全に又は実質的に完全に、セルロースパルプ繊維でよく、有利には木材パルプ繊維でよい。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維は、カードシートに付着させてもよい。ベースシート/セルロース繊維複合体中の繊維の少なくとも40%は、セルロース繊維であることが有利である。セルロース繊維は、プリフォームウェブ若しくは組織としてベースシートに付着させてよく、又は既存のベースシート上に、例えばウェットレイ若しくはエアレイ法を用いて形成してよい。セルロース繊維をベースウェブ材料に付着させてよい方法は、そのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5151320号及び第5573841号に、開示されている。セルロース付着法に何を選択するかは、典型的には利用可能なプロセス装置に依存することになる。セルロースは、一般に、約10gsmから約80gsmの量で、有利には約15gsmから約60gsmの量で、典型的には約15gsmから約30gsmの量で付着されることになる。
【0050】
付着されたセルロース繊維は、ベースシートに結合し、その後の取扱いに合わせて、例えばこの複合体を1つに湿式プレスすることによって又はセルロース繊維をベースシートに絡み合わせることによって、ベースシート/セルロース繊維複合体を圧密化する。有利には、ベースシート/セルロース繊維複合体に水流交絡操作を施し、好ましくは低中圧水流交絡操作を施して、不織シートを形成する。水流交絡操作は、その両方の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4883709号及び第5009747号に、記載されている。水流交絡操作は、好ましくは、ある割合のセルロース繊維がベースシートに進入して絡み合うように、十分な力で複合体の上部セルロース繊維含有面に直接衝突する、一連の流体の流れ又は噴流下にベースシート/セルロース繊維複合体を通すことによって、実施される。流体噴流は、水性液体の噴流であることが好ましい。
【0051】
流体噴流によって得られる全エネルギー入力は、下式によって計算することができる。
E=0.125YPG/bS
上式で、Y=マニホールド幅の線形インチ当たりのオリフィス数、P=マニホールド内の液体の圧力(psig)(平方インチゲージ当たりのポンド数)、G=オリフィス当たりの分当たりの立方フィート数で表した流量、S=分当たりのフィート数で表した、流体噴流下の複合シートの速度、及びb=平方ヤード当たりのオンス数で表した、結果的に得られた生成された水流交絡複合シートの坪量。複合シートの処理に費やされるエネルギーの総量Eは、複数のマニホールドがある場合及び/又は複数回通過させる場合は、各マニホールド下をそれぞれ通過する個々のエネルギー値の合計である。一般に、全エネルギー入力は、0.07から4馬力−時/ポンド(HP時/lb)(0.41から2.37MJ/kg)である。しかし好ましくは、全エネルギー入力は、0.1から0.3HP時/lb(0.59から1.78MJ/kg)であり、より好ましくは0.12から0.28HP時/lb(0.71から1.66MJ/kg)である。絡み合ったベースシートは、例えば加熱した乾燥缶上で又は炉内で乾燥する。
【0052】
強化パーチメント紙の1つの有利な変形例では、セルロース繊維を、押出しウェブ材料ベースシートに付着させて、複合ベースシートを形成する。好ましくは、押出しベースシートに付着されたセルロース繊維は、完全に又は実質的に完全に、セルロースパルプ繊維であり、より好ましくは木材パルプ繊維である。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維を、押出しベースシートに付着させてもよい。押し出されたウェブ/セルロース繊維の複合体の繊維の、少なくとも40%がセルロース繊維であることが、有利である。セルロース繊維は、プリフォームウェブ若しくは組織として押出しベースシートに付着させてよく、又は押出しベースシート上に、例えばウェットレイ若しくはエアレイ法を用いて形成してよい。セルロースの付着法に何を選択するかは、典型的には利用可能なプロセス装置に依存することになる。セルロースは、一般に約10gsm(gsm=g/m2)から約80gsmの量で、有利には約15gsmから約60gsmの量で、典型的には約15gsmから約30gsmの量で付着されることになる。
【0053】
付着されたセルロース繊維は、押し出されたベースシートに結合して、その後の取扱いに合わせて材料を圧密化する。例えば、ベースシート/セルロース繊維複合体は、湿式プレスして又は水流交絡して、セルロース繊維を押出しベースシートに結合することができる。有利には、複合体に水流交絡操作を施し、好ましくは低中圧水流交絡操作を施して、不織シートを形成する。水流交絡操作は、ある割合のセルロース繊維がベースシートに進入し絡み合うように、十分な力で実施されることが好ましい。流体噴流は、水性液体の噴流が好ましい。
【0054】
交絡エネルギーは、ベースシートの坪量及び多孔率に依存する。ベースシートの坪量が高くなるほど、セルロース繊維をシート内に進入させるのに必要なエネルギーの量が高くなる。しかし、エネルギー入力は、セルロース繊維をベースシートから吹き飛ばすほど高いものであってはならない。一般に、全エネルギー入力は、0.07から0.4馬力−時/ポンド(HP時/lb)(0.41から2.37MJ/kg)(1HP時/lb=5.9MJ/kg)である。しかし好ましくは、全エネルギー入力は、0.1から0.3HP時/lb(0.59から1.78MJ/kg)、より好ましくは0.12から0.28HP時/lb(0.71から1.66MJ/kg)である。絡み合った複合シートを、例えば加熱した乾燥缶で又は炉内で乾燥する。
【0055】
典型的には、ベースシートは、結合剤及びその他の添加剤を含まなくなる。しかし、添加剤は、特定の所望の結果を実現するのに使用してよい。例えば、Wilmington、Delaware、米国のHercules Incorporatedから入手可能なKYMENEなどの熱硬化性樹脂を添加して、後続のプロセス操作に合わせてベースシートに対する繊維の反応性を変えることができ、例えばゲル化剤又は湿潤強度剤は、破断することなく後続の操作に耐える強度を湿潤ベースシートに与えるのに有利になる可能性があり、又はTiO2などの充填剤は、ベースシートの不透過率を変えるのに添加してよい。
【0056】
得られるベースシートの坪量(grammages;単位g/m2=gsm)は、繊維及び/又はフィラメントの構成と、意図される最終用途とに応じて選択してよい。いくつかの有利な実施形態では、乾燥ベースシートは、約20gsmから約180gsmの坪量を、より有利には約30gsmから約100gsmの坪量を、好ましくは約35gsmから約70gsmの坪量を有することになる。
【0057】
ベースシート又はセルロース結合ベースシートは、ゲル化剤での処理によってパーチメント化される。ゲル化剤としての使用が提案されるいくつかの材料は、苛性ソーダなどのアルカリ;硫酸、リン酸、硝酸、若しくはギ酸などの酸;又は、亜鉛、スズアンチモン、若しくはアルミニウムの酸塩の、水溶液である。好ましくは、硫酸溶液が有利と見なされる。ベースシートは、時間及び温度の所定の条件下で、ゲル化剤を含有する浴に通すことにより、ゲル化剤で処理することができる。ゲル化剤でベースシートを処理するための適切な条件は、当業者により容易に決定される。
【0058】
通常の条件下で、ゲル化剤は、濃度が約55重量%から85重量%の、有利には濃度が約55重量%から約75重量%の、鉱酸の、有利には硫酸の水溶液である。処理の所要時間は、典型的には約5秒から約30秒であり、有利には約10秒から約20秒である。ゲル化剤として使用される硫酸は、典型的には約−10℃から約25℃温度であり、有利には約−5℃から約15℃の温度である。ゲル化剤は、この薬剤に接触するセルロース繊維の一部を部分的に溶解し又はゲル化する働きをする。典型的には、処理したベースシート中のセルロースの約30%以下が、ゲル化剤によって溶解する。
【0059】
処理したベースシートが浴内、浴中、及び浴外へと搬送されるにつれ、このシートは材料取扱いロールの上及び下を通過する。処理したベースシートをロール上に通す操作は、シート表面上及びシートのその他の繊維間に、ゲル化セルロースを塗り付け又は塗り広げるのを助ける。処理したベースシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で圧縮してよい。次いで処理したベースシートを洗浄して、ゲル化剤を除去する。ゲル化セルロースは、洗浄中にゲル化剤が希釈されると沈殿する。洗浄後、処理したベースシートを乾燥することにより、強化パーチメント紙が提供される。
【0060】
強化パーチメント紙は、柔軟性を維持し又は改善するために、可塑剤で処理することが有利である。1つの有利な可塑剤は、10から30%wt/wtの濃度、例えば15から25%wt/wt)の濃度で、水溶液中で使用されるグリセロールである。グルコースやソルビトールなどのその他の可塑剤も役立てることができる。
【0061】
強化パーチメント紙は、典型的には、片面又は両面に沈殿セルロースの薄く稠密な層を有する層状化構造を有することになる。強化パーチメント紙の内部は、前駆体ベースウェブの当初の繊維状構造のほとんどを、保持することになる。ベースウェブからの繊維は、薄く稠密な表面層の一部に、部分的に又は完全に埋め込まれることになる。非晶質の沈殿セルロースは、強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を、部分的に取り囲み結合することになる。表面の沈殿セルロースは、硬質で低多孔率の面を、強化パーチメント紙に提供することができる。
【0062】
一実施形態では、複合強化沈殿生成物を調製することができると考えられる。複合強化沈殿生成物複合体は、第1の不織シートが第2の不織シート上に重なり且つ結合したものを含む。
【0063】
これらの第1及び第2の不織シートは、ゲル化剤に対して適切な感受性を有する任意の繊維状材料を含んでよい。例えば、繊維はセルロースを含んでよく、ゲル化剤は硫酸を含んでよく;繊維はキトサンを含んでよく、ゲル化剤は酢酸を含んでよく;繊維はナイロンを含んでよく、ゲル化剤はギ酸を含んでよく;繊維はポリ乳酸(PLA)を含んでよく、ゲル化剤はPLA溶媒を含んでよい。第1及び/又は第2の不織シートは、繊維材料の組合せを含んでよい。或いは、少なくとも1枚のシートは、やはりゲル化剤に対して適切な感受性を有するナイロンやセロファンなどの非繊維状フィルムにすることができる。第1及び第2という用語は、単に明確にするために使用され、開示を制限するものではないことに留意すべきである。
【0064】
複合強化沈殿生成物は、一方又は両方のシートをゲル化剤で処理して繊維の一部を部分的に処理済みシートに溶解することによって、調製してよい。シートは、ゲル化剤で処理する前、間、又は後に上に重ねてよい。上に重ねたシートは、シートの界面で、実質的に連続した面同士の接触により、ゲル化材料と接触している。重ねたシートを、例えばシート材料を取り扱うのに使用される搬送ロール間で1つに圧縮し、それによって、複合処理材料を形成する。重ねた第1及び第2のシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で、より高度に圧縮してよい。次いで複合処理材料を洗浄してゲル化剤を除去し、ゲル化材料を再生する。洗浄後、複合処理材料を乾燥して、複合強化沈殿材料を形成する。第1及び第2のシートは、先にゲル化され且つ現在沈殿している材料によって、互いに結合される。第1及び第2の不織シートを結合するのに、外来の又は追加の接着剤を必要としない。1枚又は複数の追加のシートを、第1又は第2のシートのどちらか又は両方に重ね且つ取着して、より多くの層の複合強化沈殿生成物を形成することが可能と考えられる。
【0065】
複合強化沈殿生成物は、典型的には、片面又は両面に沈殿材料の薄く稠密な層を備えた層状化構造を有してよい。強化沈殿生成物の内部は、前駆体ベースウェブの当初の繊維状構造のほとんどを、保持することができる。ベースウェブからの繊維は、部分的に又は完全に、薄く稠密な表面層の一部に埋め込まれてよい。溶解した繊維からの非晶質の沈殿生成物は、強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を、部分的に取り囲み結合してよい。その表面の沈殿材料は、複合強化沈殿生成物に、硬質で低多孔率の面を提供することができる。
【0066】
一変形例では、複合強化沈殿生成物は、重なった第1及び第2の不織シートを含む複合強化パーチメント紙を含む。シートは、ゲル化剤で処理する前、間、又は後のいつでも重ねてよい。
【0067】
この第1の不織シートは、上述の非セルロース繊維とセルロース繊維との組合せを含むベースシートにすることができる。有利には、第1のシートは、流れ方向に実質的に連続して伸びるフィラメントを含む、複合ベースシートであり、そこに、セルロース繊維が結合されている。第2の不織シートは、上述のベースシートの場合と同様に、非セルロース繊維及びセルロース繊維も含むことができる。或いは、第2の不織シートは、シートを含むセルロースにすることができる。有利には、第2の不織シートは、実質的に100%のセルロース繊維を含むウォーターリーフシートにすることができる。別の有利な変形例では、第2の不織シートは、セロファンなどの非繊維状のセルロースフィルムを含む。第1及び第2の使用は単に明らかにするためであり、開示を限定するものではないことに、留意されたい。第1又は第2のシートのどちらか又は両方に1枚又は複数のシートを重ね且つ取着して、より多くの層の複合強化パーチメント紙を形成することが可能と考えられる。
【0068】
典型的には、第2のシートは、硫酸などのゲル化剤で処理される。第1のシートは、任意選択で、第1のシートと共に又は第1のシートとは無関係に、組成に応じてゲル化剤で処理することができる。第2のシートが再生される場合、セルロースフィルムは現在のところ、第1のシートをゲル化剤で処理するのに、且つ第2のシートを処理せず又は最小限に抑えて処理するのに有利と見なされる。
【0069】
重ね合わせたシートを、例えばシート材料を取り扱うのに使用される搬送ロール間で、1つに圧縮し、それによって複合処理材料を形成する。重ね合わせた第1及び第2のシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で、より高度に圧縮してよい。次いで複合処理材料を洗浄して、酸又は塩を除去し、ゲル化セルロースを再生する。洗浄後、複合処理材料を乾燥して、複合強化パーチメント紙を形成する。
【0070】
複合強化パーチメント紙は、柔軟性を維持し又は改善するために、可塑剤で処理することが有利である。1つの有利な可塑剤は、10から30%wt/wtの濃度で、例えば15から25%wt/wt)の濃度で水溶液中で使用されるグリセロールである。グルコースやソルビトールなどのその他の可塑剤も、役立てることができる。
【0071】
複合強化パーチメント紙は、典型的には、片面又は両面に沈殿セルロースの薄く稠密な層を備えた層状化構造を有することになる。複合強化パーチメント紙の内部は、前駆体ベースウェブ及び結合したセルロース繊維の当初の繊維状構造のほとんどを、保持することになる。一部のベースウェブ繊維は、部分的に又は完全に、薄く稠密な表面層の一部に埋め込まれることになる。溶解した繊維からの非晶質の沈殿セルロースは、複合強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を部分的に取り囲み結合することができる。表面の沈殿セルロースは、複合強化パーチメント紙に、硬質で低多孔率の面を与えることができる。第1及び第2のシートは、先にゲル化され且つ現在沈殿しているセルロースによって、互いに結合される。第1及び第2の不織シートを結合するのに、外来の又は追加の接着剤を必要としない。
【0072】
一実施形態では、例えば上述のようなシートはチューブに形成され、縁部が接合される。チューブは、硫酸などのゲル化剤で処理されて、チューブ内のセルロースの一部がゲル化される。処理されたチューブを、引き続き洗浄してゲル化セルロースを再生し、チューブ状態にある間に乾燥することにより、食品、例えばソーセージの包装に適したチューブ状製品が得られる。
【0073】
一実施形態では、上述のパーチメント紙を使用して、食品、例えばソーセージの包装に使用されるチューブ状ケーシングを作製する。パーチメント紙を細片に切断し、次いでこれらを折り畳んでチューブを形成する。チューブを形成する細片の辺は、結合又は縫合又は折畳み及び圧着を行って継ぎ目を形成するなどして、しっかり結び付ける。ケーシングに、加圧下で食品を詰め、ケーシング内に詰めた食品が密封されるように端部を閉じる。
【0074】
様々な補助処理を、所望の最終製品に応じて、上述の製品のいずれかに実施してよい。シートの柔軟性を改善するための、グリセロールなどによるパーチメントシートの処理については、既に述べてきた。シートに対する食品の接着性を変えるために、シートを処理することも可能であり、例えば、シートに対する肉製品の接着性を改善する処理、又はシートに対するベークド製品の剥離性を改善するための処理である。シートから作製されたケーシングの外側は、例えば印刷物の接着性を改善するために処理してよい。シート又はそこから作製されたケーシングの表面は、化学的グラフト化によって改質してよい。そのような処理は、当技術分野で概ね知られている。
【0075】
ゲル化剤処理ステップは、一連の可能性あるステップ、即ち不織繊維状ウェブの製造から開始して、ウェブをゲル化剤で処理し、ウェブに化学処理を施し、ウェブをマスターロールに形成し、マスターロールを切断して複数の個々のロールを形成し、これらのロールをチューブに形成し、各チューブの横方向の(重なる)縁部を封止し、チューブに印刷をし、チューブをコーティングし、チューブに食品を、例えば加工肉製品を詰めるステップの、一部である。ステップ順序の付加、削除、及び変更が可能である。さらに、様々なステップは、即座に次々と実施する必要がない。追加の層を使用して、所望の性質を有する複合沈殿生成物を提供してもよい。
【実施例】
【0076】
本発明について概略的に述べてきたが、本発明をより容易に理解できるように、且つ他に特に指示しない限り本発明の範囲を如何様にも限定しないように、下記の実施例を、例示を目的として含める。
【0077】
(実施例1)
強化パーチメント紙
熱可塑性ポリマー不織ウェブに絡み合ったセルロース材料を含む、不織シートからのいくつかのサンプルを、調製した。交絡エネルギーは、0.1から0.2HP時/lbの範囲であった。これらのサンプルの組成を、表1に例示する。
【表1】
1 このウェブ材料は、ステープル長の熱可塑性繊維のカード不織ウェブを含んでいた。
2 これらのウェブ材料は、実質的に連続した熱可塑性繊維のスパンボンドウェブを含んでいた。
3 アカスギパルプ及びモミパルプの混合物。
4 これらのウェブ材料は、ステープル長の熱可塑性繊維の不織ウェブを含んでいた。
【0078】
ある分量のサンプル1、2、及び3を、12℃の温度で20秒間、68%硫酸に曝すことによって、実験室条件下でパーチメント処理した。各分量を水道水で洗浄し、105℃でプレート乾燥した。各分量は、パーチメント処理前は、長さ295mm及び幅209mmを有していた。パーチメント処理後のこれらの分量の収縮を、表2に示す。
【表2】
【0079】
追加の分量のサンプル2及び3を、別々にパーチメント処理した。これらの分量を、0℃で、2つの異なるドウェル時間、即ち15秒及び45秒にわたり、68%硫酸中でパーチメント処理した。パーチメント処理したサンプルは、主観的に、当初のシート材料よりも剛性で脆い形態のように感じた。前駆体押出しウェブ材料のダイヤモンド形状の熱点結合パターンは、パーチメント処理後に十分満たされなかった。明らかな収縮は記されなかった。サンプル2の坪量は、パーチメント処理前の80gsmからパーチメント処理後の86gsmになった。サンプル3の坪量は、パーチメント処理前の52gsmからパーチメント処理後の約54gsmになった。坪量の増加は、サンプルの若干の収縮に起因する可能性がある。
【0080】
シート1からの追加の分量を、別々にパーチメント処理した。これらの分量を、−2℃の68%硫酸中で、2つの異なるドウェル時間、即ち15秒(サンプル1〜4)及び45秒(サンプル5〜8)にわたりパーチメント処理した。サンプルの外観は、ごく僅かな微細なピンホールだけで良好であった。このサンプルの坪量は、パーチメント処理前の68gsmからパーチメント処理後の約73gsmになった。坪量の増加は、サンプルの若干の収縮に起因する可能性がある。サンプルの物理的性質について、試験をし、表3から6にまとめる。
【表3】
1これは、パーチメント処理をしていない、シート1のサンプルに関する試験結果を表す。
【0081】
(実施例2)
複合強化パーチメント紙
複合強化パーチメント紙を、重ね合わせた第1のシート及び第2のシートから生成した。サンプル9から16では、第1のシートはそれぞれ、30%のアカスギパルプ及び70%のユーカリパルプを含む針葉樹パルプ混合物と水圧によって絡み合ったスパンボンド(スパンレイド及びカレンダーボンド)ウェブである。水流交絡は、下記の条件下で行った。
プロファイルNo.1 200/300/500+800/800/800/500;交絡エネルギー0.19HP時/lb。
プロファイルNo.2 200/300/500/800;交絡エネルギー0.06HP時/lb。
プロファイルNo.3 200/300/500+300/500/500/500;交絡エネルギー0.18HP時/lb。
【0082】
これらの実施例で使用される水流交絡装置は、4バンクのノズルに限定され、したがってプロファイル1及び3は、サンプルを水流交絡装置に2回通すことによって実現した。数値、例えば「200/300/500」は、水流交絡装置のマニホールド内の液体圧力P(単位:psig)(1psig=0.0689バール)を反映しており、即ち、第1のマニホールドが200psigの圧力を有し、その次が300psigであり、次いで500psigである。複数回通過させるのとは対照的に、1回の通過でウェブ材料を水流交絡するに際し、有益な又は有害な作用は無いと考えられる。
【0083】
サンプル17では、第1のシートは、カード合成ステープル長繊維及び結合したセルロース繊維から形成された、不織ウェブである。サンプル17は、追加のセルロース繊維に水流交絡しなかった。
【0084】
使用されるトップシートは、セロファン(再生セルロース)フィルム、35gsmウォーターリーフシート(SS)、45gsmウォーターリーフシート(SS)、及び異なる45gsmウォーターリーフシート(B)である。
【表4】
1 30%のアカスギ木材パルプ及び70%のユーカリ木材パルプを含む混合物。
【0085】
パーチメント処理前の個々のベース及びトップシートの物理的性質
パーチメント処理前の交絡セルロースを含む個々のベースシートの物理的性質を、以下の表に列挙する。
【表5】
1 PPSは、Tappi 555pm−94によって測定された多孔率又は透過率を指す。
2 Textestは、吸収体構造が空気を循環/交換する能力を評価するのに利用する、透気度試験を指す。この試験の基本原理は、空気の通過に対する吸収体物品の抵抗性を評価することである。この試験では、標準条件(23℃/50%RH)下で所与の寸法の物品内を流通する空気の体積(又は量)を、測定する。この試験で利用される機器は:TexTest AG スイス製のAir Permeabilimeter FX 3300である。
【0086】
パーチメント処理前の、個々のトップシートの物理的性質を、以下の表に列挙する。
【表6】
【0087】
ベースシート及びトップシートSS及びBをパーチメント処理し、単一操作で積層した。各ベースシート及び各トップシートを、11℃の72%硫酸濃度のゲル化浴に5秒間通し、5秒間水切りし、10秒間重ね合わせて結合した。ベース及びトップシートは、含浸(セルロースの溶解が開始した時)から洗浄(セルロースの溶解が停止した時)までが約20秒の、全ゲル化剤接触時間を有していた。
【0088】
セロファンは、パーチメント浴に浸漬された場合、酸の分解に対して感受性がある。したがって、セロファンフィルムは、ベースシートと共に浴に浸漬されない。むしろベースシートがパーチメント浴に浸漬され、セルロースフィルムは、ベースシートが浴から取り出された後に、その含浸済みベースシートに積層される。酸積層の順序は、ベースシートを11℃の72%硫酸濃度のゲル化浴に8秒間通し、ベースシートを4秒間水切りし、セロファンフィルムを濡れたベースシート状に重ね、8秒間結合する。セロファンフィルムとベースシートとの密接な接触は、これらのシートを、洗浄前にローラで1つに押圧することによって高めることができる。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、流れる水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で、110℃で10分間乾燥した。
【表7】
1 DLは、生成物のグリース障壁特性を指す。グリース障壁レベルを示す試験表について論じられている、段落[0097]を参照されたい。
【0089】
パーチメント処理後の複合強化パーチメント紙の物理的性質。
【表8】
【表9−1】
【表9−2】
【0090】
試験サンプルに関し、表面は、複合材料の「障壁面」又はセルロースウォーターリーフシートが配置されているセルロースに富む面である。裏面は表面に対向し、複合材料の第1のシート面である。表面に関し、DL試験により試験をするときは、溶媒が、複合材料の表面に付着され又はセルロース面に沈殿することを意味する。
【0091】
参照のため、詰めた肉の貼り付きを低下させる処理を行った、76.2gsmの市販されている繊維状ケーシング材料に関するいくつかの結果を、以下に列挙する。ケーシング材料に望まれる性質は、その材料の最終用途に応じて変わることを、理解すべきである。このように、下記の性質は、特定の適用例に望ましい従来のケーシング材料の1つのタイプに関する、参照点である。
【表10】
【0092】
グリース障壁特性
様々な複合強化パーチメント紙のサンプルを試験して(DL試験)、グリース浸透に対する各組合せの抵抗性を決定した。DL試験は、着色溶媒の適用を使用して、不織ウェブのグリース障壁特性の定量を可能にする。DL試験では、レポート用紙(Ahlstromから入手可能な115gsmの片面コーティング紙)を不織ウェブサンプル下に置く。不織ウェブサンプルベルソ面を、レポート用紙のレクト面に隣接させる。過剰な溶媒(10gの赤色Organol、10gのCaCl2、及び980gのテレピンを含む「red Organol BS」の1%溶液)を、不織ウェブサンプルに付着させ、不織ウェブサンプル上に3分間そのままにする。溶媒を不織ウェブサンプルから拭き取る。不織ウェブサンプルのベルソ面及びレポート用紙のレクト面を、観察する。結果を、以下のDL試験表に従って表す。
【表11】
1 ベルソ面は、スポットがレポート用紙上に観察されたら、もはやモニタしない。
【0093】
比較として、従来の標準的な繊維状強化ケーシングは、DL試験で5をもたらすが、その他のタイプのケーシング材料は、より高く又はより低い障壁特性を有する可能性がある。
【0094】
45gsm繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙は、適切なベースシートと共に、DLグリース障壁レベル5を提供することができる。セロファンフィルムトップシートを含むサンプルは、グリース浸透に対して、45gsm繊維状トップシートを含むサンプルと同等の又はより良好な抵抗性をもたらすように見えるが、より低い坪量(45の代わりに30gsm)を有する。セロファントップシートを含むサンプルは、表面及び裏面の両方で不透過性をもたらした。セロファンフィルムトップシートを含む複合強化パーチメント紙は、ケーシング材料として使用するのに許容される障壁性能をもたらす。特に45gsm重量のゲル化繊維状トップシートも、セロファンの使用が望ましくない場合には、ケーシング材料として使用するのに許容される障壁性能をもたらすことができる。
【0095】
伸び特性
様々な複合強化パーチメント紙(ベースシート及び重ねられたトップシート)のサンプルを試験して、破断点伸び及び破損点伸びを決定した。破断点伸びは、サンプルが裂ける前の最大変形を、%で表したものである。破損点伸びは、最上層が破壊したときに測定される。両方の試験において、張力は、サンプルの一端に10mm/分の速度で生じ、サンプルの他端は固定されている。サンプル幅は15mmであり、サンプル長は100mmである。伸び試験は、ISO規格1924−2−1994に基づき、動力計を使用して測定する。全ての試験に関し、浸漬結果は、試験前に室温に維持した水浴に10分間サンプルを浸漬したこと以外、同じ試験条件を使用した試験を指している。
【0096】
一般に、乾燥及び浸漬後の両方の破損点伸びの値は、最上層の坪量が増加するにつれて減少する。このように、繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙の場合、有利な伸びの値は、より低い坪量のトップシートを必要とする傾向の可能性があるのに対し、有利な障壁特性は、より高い坪量のトップシートを必要とする傾向の可能性がある。45gsmトップシートを含む複合強化パーチメント紙では、ベースウェブのグレードが何であれ、破損点伸びが、約10から15%に非常に近くなるようである。セロファンフィルムトップシートを含む、複合強化パーチメント紙サンプルに関する結果は、繊維状トップシートの場合とは異なる。セロファンフィルムトップシートを含むサンプルは、非常に良好な伸び特性を有しており、湿潤破損点伸びは、30%の伸び付近に近付く(サンプル9)。
【0097】
引張り強さ特性
様々な複合強化パーチメント紙のサンプル(ベースシート及び重ねられたトップシート)を試験して、引張り強さを決定した。引張り強さは、裂けるまで張力が加えられる不織ウェブサンプルの、制限負荷である。張力は、サンプルの一端に10mm/分の速度で加え、サンプルの他端は固定されている。サンプル幅は15mmであり、サンプル長は100mmである。引張り試験は、ISO規格1924−2−1994に基づき、結果をkN/m又はN/mで表す。全ての試験に関し、浸漬結果は、試験前に室温に維持された水浴中にサンプルを10分間浸漬すること以外、同じ試験条件を使用した試験を指す。
【0098】
複合強化パーチメント紙は、ケーシング材料で使用するのに有利な強度特性を有することができる。繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙では、乾燥引張り強さが、最上層の坪量の増加と共に増大するようである。セロファンフィルムトップシート(30gsm)を含む複合強化パーチメント紙は、30gsm繊維状トップシート紙を含む複合強化パーチメント紙と同様の強度特性を有する。トップシートの坪量は、乾燥引張り強さよりも複合紙の湿潤引張り強さに対して、それほど影響を及ぼさない。
【0099】
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
モジュラス特性、伸び特性、及び引張り強さ特性は、ケーシングに詰める肉のタイプと、詰め/硬化し/乾燥し/剥離する段階のどのポイントでその特性が望ましいかに応じて、異なる許容可能範囲を有することができることに、留意すべきである。
【0100】
様々な複合強化パーチメント紙(ベースシート及び45gsmトップシート)に関するいくつかの物理的性質を、図19で比較する。図19は、全ての曲線が、VP曲線付近に又はVP曲線よりもさらに低く位置付けられていることを示す。目標ウィンドウは、低レベルの応力に対する材料の応答を強調している。図19は、商用ソーセージ詰め物操作中の、これら材料の応答の例示とすることができる。一般に、サンプル9から16の全ては、比較として使用された従来の肉ケーシングよりも硬い。
【0101】
図20から22は、様々なベースシート/トップシートの組合せを含む複合強化パーチメント紙の、材料の挙動を示す。伸び及び強度特性は、図20に強調されるように坪量に依存する。図21に示されるように、サンプル12、13、及び14は硬い。図22に示されるように、サンプル15及び16は、良好な適合を示し、特にサンプル15は、軽い35gsm最上層を有する。
【0102】
(実施例3)
複合強化パーチメント紙
別の複合強化パーチメント紙(サンプル18)を、セロファンフィルムトップシートと組み合わせたベースシートADを使用して、作製した。ベースシートは、実質的に連続したポリプロピレンフィラメントからスパンボンドし、約25gsmの坪量を有していた。木材パルプ約20gsmを、プロファイルNo.3(200/300/500+300/500/500/500)に従ってベースシートに水流交絡し;交絡エネルギーは0.18HP時/lbであった。トップシートは、30gsmセロファンフィルムであった。
【0103】
先に論じたように、セロファンは、パーチメント処理浴に浸漬した場合、酸の分解に対して感受性がある。したがって、セロファンフィルムは、この実施例ではベースシートと共に浴中に浸漬しない。むしろ、ベースシートをパーチメント処理浴に浸漬し、セルロースフィルムは、ベースシートを浴から取り出した後にこの含浸済みベースシートに積層される。酸積層の順序は、ベースシート浸漬を8秒間、ベースシートの水切りを4秒間、浸漬したベースシート及びセロファンフィルムを重ねて8秒間結合する。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で、110℃で10分間乾燥する。
【0104】
セロファンフィルムは、酸積層手順中に部分的にゲル化される。洗浄及び乾燥の後、沈殿セルロースは、セルロースフィルムとベースシートとを結合する。この複合強化パーチメント紙サンプルに関する物理的性質を、以下の表に示す。
【表12】
【0105】
伸び:
全ての試験をしたベースウェブに関する概略的な結果として、セロファンフィルムを最上層として付加することにより、破損前の浸漬CDの伸びに増加がもたらされる。この改善は、サンプル18の場合に特に顕著であり、従来の繊維状肉ケーシングの伸びの値に達するか又はその値を37%よりも大きく超過する。
【0106】
(実施例4)
複合強化パーチメント紙
他の複合強化パーチメント紙サンプルを作製した。サンプル19は、アカスギをベースにした木材パルプ30gsmと交絡した40gsm低伸長スパンボンドウェブ(LS2787としてDon&Lowから入手可能)を含むベースウェブを含んでいた。パルプは、中圧及び交絡プロファイル25、36、45、45、50、50、50、50、40、40を使用して交絡され;交絡エネルギーは0.12HP時/lbであった。これらの圧力を、バールで表す。サンプル19のトップウェブは、ユーカリ繊維を含む45gsmウォーターリーフであった。
【0107】
サンプル20はサンプル11と同様であり、ベースシートABを含んでいた。サンプル20のトップウェブは、ユーカリ繊維を含む45gsmウォーターリーフであった。
【0108】
両方のサンプルでは、ウォーターリーフウェブを硫酸ゲル化剤に浸漬し、ベースウェブを、ウォーターリーフウェブの最上部のゲル化剤に導入した。プレスロールを、ゲル化剤タンクの出口で使用して、ウェブ間に捕捉された全ての空気を排除し、これらの層を圧密化するのを助けた。プレスロールは、複合強化パーチメント紙の全厚も減少させた。これらの複合強化パーチメント紙の物理的性質を、以下の表に示す。サンプルの層剥離は困難であった。
【表13】
1 グリース障壁値3は、サンプル中のピンホールに起因した。この複合強化パーチメント紙のデクルの中心にある、滑らかな部分から採取された第2のサンプルは、グリース障壁値5を有していた。
【0109】
(実施例5)
複合強化パーチメント紙
追加の複合強化パーチメント紙サンプルを、実験室で作製した。ベースウェブ、交絡セルロース材料;交絡条件及びトップウェブを、以下の表に示す。
【表14】
【0110】
サンプルを、11℃の72%硫酸に20秒間浸漬し、その後、水で洗浄し、10%グリセリン浴中で軟化し、プレート乾燥することによって、パーチメント処理した。これらの複合強化パーチメント紙サンプルの物理的性質を、以下の表に示す。
【表15】
1 この試験は、複合構造が破損する前の、パーチメント層の乾燥CD破損点伸びに関する。
2 この試験は、複合構造が破損する前の、パーチメント層の湿潤CD破損点伸びに関する。
【0111】
乾燥CD引張り強さ
乾燥CD引張り強さの結果は、調査がなされた範囲においてほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した46gsmベースウェブは、最終的な複合強化パーチメント紙において2000N/mの乾燥CD引張り強さを有することが、予測されると考えられる。この乾燥CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシング材料で見出された乾燥CD引張り強さに近い。40gsmのトップウェブに交絡した50gsm PPウェブを基にした構造に関して、予測された乾燥CD引張り強さは、最終の複合強化パーチメント紙において2200N/mと考えられる。この乾燥CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシングに見出された乾燥CD引張り強さに一致する可能性がある。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、1960N/mの乾燥CD引張り強さを示したが、これはPPウェブに関して予測されたレベルよりも低いものであった。
【0112】
湿潤CD引張り強さ
サンプルを水中に30分間浸漬した後の、CD引張り強さの結果は、調査がなされた範囲にわたってほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した53gsmベースウェブは、最終の複合強化パーチメント紙において、2000N/mの湿潤CD引張り強さを有すると予測することができる。この湿潤CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシングで見出された湿潤CD引張り強さに近い。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、PPウェブに関して予測された性能ラインよりも低い1650N/mの湿潤CD引張り強さを示した。
【0113】
乾燥CD破損点伸び
乾燥CD破損点伸びの結果(パーチメント層のものであり、構造全体が破断する前のもの)の結果は、調査がなされた範囲においてほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した50gsmベースウェブは、31%の乾燥破損点伸びを有すると予測される。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、PPウェブに関して予測された性能ラインよりも十分に低い18%の乾燥CD破損点伸びを示した。
【0114】
湿潤破損点伸び
パーチメントサンプルを水中に30分間浸漬した後の、CD破損点伸びの結果(パーチメント層のものであって、構造全体が破断する前のもの)と、ベースウェブの坪量との間に、明らかな関係は見られない。サンプル26に関する結果(50gsm PETスパンボンドベースウェブに基づく)も考慮する場合、プロットは水平と見なすことができ、即ち、湿潤CD破損点伸びは、坪量に応答しない。サンプルの値は、最小値に対して、またいくつかの従来の肉ケーシングに見出される典型的な値に対して考慮される場合(最小20%、典型的には30〜40%)、非常に好ましい。
【0115】
ベースウェブを含む、ポリエステル対ポリプロピレン
2対の比較が利用可能である。サンプル21(PPベースシート)及び26(PETベースシート)を、2回のパスを使用して、即ち1回のパスは500、500、650、800、であり、2回のパスは800、500であり、ベースウェブを40gsm組織ウェブに水流交絡することによって、同じ装置で作製した。サンプル21及び26のいくつかの性質を、以下の表に記述する。
【表16】
【0116】
ベースウェブ坪量の10gsmの差は、パーチメント構造にまで持ち込まれる。両方のサンプルは、乾燥状態から湿潤状態に移行する際、強度を失う。サンプル26は、乾燥及び湿潤状態の両方において、乾燥引張り強さに関して21(PP)に優るいくつかの利点をもたらす。サンプル26は、乾燥状態での破損点伸びがサンプル21よりも少ないが、湿潤状態では僅かに伸びが大きくなる。
【0117】
サンプル24(PPベースシート)及び25(PETベースシート)は、サンプル21及び26とそれぞれ同じベースウェブを使用する。しかし、サンプル24及び25のベースウェブは、2つの組織ウェブに水流交絡している。第1の組織ウェブは、500、500、650のプロファイルを使用して、40gsm組織の水流交絡がなされている。その後、300、400、400、300という第2のプロファイルを使用して、ベースウェブ−第1組織の複合体に20gsm組織を水流交絡した。サンプル24及び25のいくつかの性質を、以下の表に記述する。
【表17】
【0118】
ベースウェブ坪量の10gsmの差は、パーチメント構造にまで持ち込まれる。サンプル25は、乾燥状態から湿潤状態に移行する際に強度を失うが、サンプル24は、強度を得るように見える。これは、乾燥状態のサンプル24で測定された値が過小評価であることを示唆している。サンプル24及び25の湿潤引張り強さは、ほぼ均等である。サンプル24と25の間には、乾燥破損点伸びに有意な差はない。サンプル24は、湿潤状態で、サンプル25よりも大きい伸びをもたらす。
【0119】
水流交絡プロファイル
2つの比較、21対24(共にPPベースウェブ)と26対25(共にPETベースウェブ)が、利用可能である。サンプル21、24、26、及び25の全ては、40gsm組織ウェブに水流交絡している。サンプル24及び25は、第2の20gsm組織ウェブに引き続き交絡される。
【0120】
サンプル24及びサンプル25の両方において、より重い重量の複合強化パーチメント紙は、乾燥又は浸漬引張り強さで優位にあることを全く示すことができない。これとは対照的に、より重い坪量サンプル(サンプル24及び25)は、一般に、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも弱い。また、より重い坪量サンプル(24及び25)は、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも、破損時の伸長が少ない。このように第2の組織層の付加は、得られる複合強化パーチメント紙の強度又は伸長に寄与しないようであり、グリース障壁結果を−3から+1に高めない。
【0121】
圧密化は、より重い坪量のサンプル(サンプル24及び25)において、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも大きい。これは、より重い坪量のパーチメントサンプル24及び25にも関わらず、厚さがほぼ均等であることに示される。これは、わずか20gsmの追加の組織ウェブがサンプル24及び25のベースウェブに交絡するが、パーチメント後のこれらサンプルの坪量がその量の約2倍に増加することを考えることにより、さらに明らかである。PETベースのサンプル(25及び26)の圧密化は、PPベースのサンプル(21〜24)の場合よりも高い。
【0122】
(実施例6)
複合強化パーチメント紙を、重ねられた第1のシート及び第2のシートから生成した。以下の表は、サンプル27、28、及び29の組成を例示する。押し出されたウェブ材料へのセルロースへの水流交絡は、適度な条件下で行った。
【表18】
1 30%アカスギ木材パルプ及び70%ユーカリ木材パルプを含む混合物。
【0123】
ベースシート及びトップシートを、下記の通り単一操作でパーチメント処理し積層した。2枚のシートを、同時に、通常のゲル化濃度及び温度の硫酸浴に8秒間浸漬し、4秒間水切りし、次いで重ね合わせてロールで8秒間加圧する。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、流れる水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に、室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で110℃で10分間乾燥した。
【0124】
パーチメント処理後の複合強化パーチメント紙の物理的性質。
【表19】
【0125】
(実施例7)
紙ベースシートを、アバカ繊維及び木材パルプ繊維の混合物から形成した。繊維を、Kymene 557Hで処理した後、製紙スクリーン上にウェットレイドした。紙を乾燥した後、12℃の70%硫酸水溶液の浴に、20秒間浸漬し、その後、水で洗浄した。次いで得られたシートをグリセロール(約20%wt/wt水溶液)で処理し、乾燥した。
【0126】
得られた強化パーチメント紙(サンプル30)に、いくつかの標準的な試験を行い、その結果を以下の表に表す。この表は、比較のために、市販の繊維状ケーシングで及び従来のパーチメント紙で得られた結果も示す。
【表20】
【0127】
(実施例8)
複合強化パーチメント紙の形態
サンプル31は、サンプル19と同じ材料及び加工を含む、複合強化パーチメント材料である。サンプル32は、ベースウェブが形成されるよう、中圧下でアカスギパルプ30gsmに水流交絡した、40gsmポリプロピレンフィラメントスパンビンドウェブを含んでいた。45gsmのユーカリ繊維ウォーターシートを、通常の条件下でベースウェブに酸積層した。植物パーチメント(VP)サンプルは、40gsmのパーチメント材料が得られるように、通常の条件下で、ゲル化剤として硫酸を使用してパーチメント処理が施されている、100%ユーカリ繊維ウォーターリーフシート材料である。商用の繊維状強化セルロースケーシングも試験をした。
【0128】
各サンプルの上面、底面、及び断面を、走査型電子顕微鏡を使用して、各サンプルごとに検査した。
【0129】
VP材料対ケーシング材料
市販のチューブ状ケーシングサンプルは、60×で、外面(図3)と内面(図4)との間でかなりの相違を示す。ケーシングは、液体ビスコースの厚いコーティングをチューブ状の繊維状不織ウェブに付着させ、その後、そのコーティングを元のセルロースに再生することによって構成される。コーティングのほとんどは、外側に付着される。繊維は、チューブの内面の薄いセルロースコーティングを通して、図4で明らかに見ることができる。チューブの外面の不透明なコーティングを通して、図3で繊維を見ることは、非常に困難である。
【0130】
60×でのVPサンプルの上面(図1)と底面(図2)との間には、差がほとんど無いようである。VPサンプルのこれらの面は共に、ケーシングの2つの面の間に存在する外観を有している。これは、VPサンプルが両面から処理されるという事実を反映しているが、VPサンプル中に再沈殿するセルロースの量は、最大で約30%であるのに対し、ケーシング中に再沈殿するセルロースは80%までである。
【0131】
上面−複合強化パーチメント紙
図5及び6は、60×でのサンプル31の、上面(スパンボンドベースウェブ面)の2つの異なる外観を示す。図5には、点結合領域が見られる。これは、カレンダー操作中のエンボスロールによってポリプロピレン繊維が1つに融合している、ダイヤモンド形状の領域である。図6は、異なる繊維を明瞭に見ることができる、点結合間の領域を示す。図6の一部の繊維の間には、ウェブ状構造であることのいくらかの証拠が示されている。ウェブ状構造は、パーチメントプロセスから再沈殿したセルロースと考えられる。サンプル31の上面は、VPサンプル又はケーシングサンプルに比べて非常に開放され多孔質である。図7及び8は、60×で、サンプル32に関して均等な上面(スパンボンドベースウェブ面)を示す。サンプル32は、サンプル31に類似した上面特徴を有する。
【0132】
底面−複合強化パーチメント紙
図9は、60×での、サンプル31の底面(パーチメントウォーターリーフシート面)を示す。図10は、60×での、サンプル32の底面(パーチメントウォーターリーフ面)を示す。サンプル31及び32の底面は、その外観がVPサンプルの表面に類似している。サンプル31及び32の繊維状構造は、ケーシングの内面に比べてそれほど異なっていない。サンプル31及び32の底面は、当初はウォーターリーフシートであり、酸によってパーチメント処理されたVPに類似した面を生成する。
【0133】
縁部断面−複合強化パーチメント紙
図11は、倍率60×での、サンプル31の縁部断面を示す。図11は、VPと同等な、パーチメントウォーターリーフシートによって形成された、圧縮され再沈殿した外側スキン(図の右側)を明瞭に示す。外側スキンの下には、沈殿し水流交絡した木材パルプからの、パーチメントセルロースの非晶質断面がある。ベースウェブの片面からのポリプロピレン繊維は、パーチメントセルロースの一部に部分的に埋め込まれている。複合強化パーチメント紙の繊維状の面でもある、ベースウェブの反対の面は、実質的に繊維状であり、少量のパーチメントセルロースを有する。
【0134】
図12は、倍率60×での、サンプル32の縁部断面を示す。32サンプルは、31サンプルと同様の形態を示すが、32サンプルで使用されるサンプル角は、31サンプルで使用される角とは異なる。ダイヤモンド形状の点結合領域を含む、32サンプルの上面の一部を見ることができる。上面からループを描いて出て行く多くの繊維がある。これらの突出する繊維は、サンプル調製の結果である可能性がある。
【0135】
図13は、ケーシング材料の縁部を示し、図14は、同じ倍率でVP材料の縁部を示す。図13のケーシング縁部は、顕微鏡写真の中央付近で光る面の右側に接する、ちょうど薄い灰色領域である。写真中央を垂直に下る非常に濃い帯域は、ケーシングサンプルと支持スタブとの間の空隙領域である。図14のVP材料縁部は、この画像のちょうど中央のすぐ左側にある、薄い灰色領域である。
【0136】
図15は、倍率500×でのVP材料縁部を示す。VP材料縁部は、断面を通して内部繊維状構造を示さない。縁部は非晶質であり、脆弱でひび割れた外観を有する。ひび割れは、サンプル調製の結果、人為的に生じた可能性がある。ケーシング材料及びVP材料は、共に、図17及び18に示される複合強化パーチメント紙サンプルよりも2から3倍、非常に薄い。
【0137】
図16は、倍率500×でのケーシング材料縁部を示す。ケーシング縁部は、やはり内面の繊維状構造を示す。繊維状構造には、スキンの最上層に至るまで、大部分が非晶質である層が重なっている。画像の中心を下る白線があるが、これは繊維状強化材が埋め込まれた面と考えられる。外部に付着された、再生セルロース層は、VP材料の場合のようにひび割れしないようであることに留意されたい。この相違は、ケーシング材料におけるセルロース再生とVP材料におけるセルロース沈殿という、異なる加工を反映している可能性がある。この相違は、異なる量のグリセロール軟化剤を用いた2つの材料の処理を反映しているとも考えられる。
【0138】
図18は、倍率500×での、サンプル32の複合強化パーチメント材料の縁部を示す。図18は、画像の右側に、パーチメントウォーターリーフシート面を示す。この面は、全く特徴が無いが、図15に見られるものと同様のひび割れを示している。1本のポリプロピレン繊維が、パーチメント層に平行に走っており、且つパーチメント層に半分埋もれ又は部分的に埋め込まれていることがわかる。その他のポリプロピレン繊維の断面は、上述の繊維と角度をなして走っていることがわかる。サンプル32の複合強化パーチメント材料の繊維面は、図18に見られない。
【0139】
図17は、倍率500×での、サンプル31の複合強化パーチメント材料の縁部を示す。図17は、図18のRhino画像に対して、そのサンプルの厚みに沿ってさらに調べたものである。図17の画像の右側には、いくらかひび割れたパーチメントウォーターリーフ層が見える。図17のパーチメントウォーターリーフ層には、その断面に、2本の繊維が見え、1本は完全に埋め込まれており、1本は部分的に埋め込まれている。このパーチメントウォーターリーフ層の左側には、いくらかの薄い薄片状の沈殿セルロースが内部に埋め込まれた状態の、スパンボンドポリプロピレンシートが見える。
【0140】
(実施例9)
ナイロンベースウェブを有する複合強化パーチメント紙
複合強化パーチメント紙の追加の例を、重ねられた第1のシート及び第2のシートから生成した。サンプル33の場合、第1のシートは、30%アカスギパルプ及び70%ユーカリパルプを含む木材パルプ混合物30gsmに水流交絡した、ナイロンスパンボンド(Cerex Advanced Fabrics Inc.から入手可能なSpectramax 1.0osy(31gsm))ウェブである。水流交絡は、下記の条件下で行った。
プロファイル200/500/800/800/200;交絡エネルギー0.14HP時/lb(0.826MJ/kg)。
使用されたトップシートは、45gsmウォーターリーフシート(SS)である。
【0141】
ナイロンは、パーチメント浴に浸漬した場合、酸分解に感受性がある。したがって、交絡ナイロンシートは、トップシートと共に浴に浸漬しない。むしろ、トップシートをパーチメント浴に浸漬し、交絡ナイロンウェブは、トップシートを浴から取り出した後に、含浸済みのトップシートに積層する。交絡ナイロンウェブを、その組織面を一番上にした状態で、面上に配置する。次いでウォーターリーフを酸浴(72%硫酸及び11℃)に5秒間浸漬し、その後、交絡ナイロンサンプル上に置く。これらの2枚のシートを、ロール(4.05kg)で加圧(1回通過)して、空気を排除する。次いで複合体を、水道水で10分間濯ぐ。
【0142】
複合体を中和する場合、室温の10%グリセリン浴に20秒間浸漬することによって、軟化する。最後に、プレート乾燥器上で、110℃で10秒間乾燥する。
【0143】
以下の表は、水流交絡ナイロン第1シート及びパーチメント複合材料、サンプル33の、物理的性質を列挙する。
【表21】
【0144】
伸び
ナイロンスパンボンドウェブをベースにしたサンプル33は、乾燥及び浸漬状態で測定された破損点及び破断点伸びが、同じであることに留意すべきである。サンプル33は、強度、伸び、及びグリース障壁に関し、ポリプロピレンをベースにしたパーチメント複合体と同様の物理的性質を有していたが、サンプル33の最上層は、他のポリプロピレンをベースにしたパーチメント複合サンプルのような破損が無かった。
【0145】
ナイロンをベースにした複合体でのこの現象は、複合構造全体を通したより良好な結合に起因すると考えられる。サンプル33中の全ての成分は、酸の影響を受け易い。
【0146】
(実施例10)
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
チューブ状ソーセージケーシングを、先に作製した複合強化パーチメント紙のサンプルから作製した。サンプル24からの材料を、180mm幅に切って整えた後、縫い合わせた。
【0147】
サンプル34及び35を、サンプル24の一部から作製した。サンプル34及び35を酸シームし、セルロース面が1つになって外側の放射状シームが生成されるようにした。酸シームは、約8mm幅であった。スパンボンドベースウェブは、ケーシングの外側に面していた。酸シームは、下記の通り形成した。サンプルを、適切な長さ(通常は550mm)に切断した。対向する縁部(1つは上面、1つは下面)から6mmの所に線をマークした。切断されたサンプルを、型にクランプ留めし、マークを付けた縁部が垂れ下がるようにした。68%硫酸を、ブラシで、マークを付した縁部に塗った。約1分後、これら2つの縁部を乾燥させた。68%硫酸を、2回目として各縁部に塗布した。約3分後、酸性化した縁部を重ね合わせ、一緒に約10分間クランプ留めした。約10分後、クランプを除去し、チューブを型から滑り落とし、冷水をシーム領域上に流した。チューブをシンク内に置き、水を10から15分間流した。次に、チューブを約1時間、水浴に移した。最後に、チューブを、ブロッタとケーシング紙との間で、加圧下で一晩乾燥した。
【0148】
サンプル36及び37も、サンプル24の一部から作製した。縫い付けられたシームは、約6mm幅であった。スパンボンドベースウェブは、ケーシングの外面に面していた。上面は、詰めるのに使用されるチューブ材の外側に作製した。上面は、スパンボンド面又は大部分がポリマーの面である。標準的な市販のケーシングについても、試験をした。
【0149】
全てのサンプルのチューブ状ケーシングを、使用前に、温水に約25分間浸漬した。水は、触るのが不快なほど熱かった。従来のチューブ状ケーシングは、温水に全体として約40分間浸漬した。4つのサンプルのチューブ状ケーシング(それぞれ、34、35、36、及び37のもの)に、1つの従来のチューブ状ケーシングと同様に詰めた。詰める材料は、ソーセージ肉のフィリングであった。詰める作業は、典型的な商用条件を使用して、商用の充填装置で行った。チューブ状ケーシングの一端を手で縛り、肉混合物をケーシング中に押し出し、適切な時にチューブ状ケーシングの自由端を手で縛る。
【0150】
サンプルのチューブ状ケーシング34及び35(酸シーム)は、充填中にシームに沿って裂けた。サンプルのチューブ状ケーシング36及び37(縫い付けたシーム)は、従来のケーシングのように充填に耐えた。
【0151】
直径寸法変化
限られた量のデータに基づけば、標準のチューブ材は、0%から−1.7%の乾燥−湿潤の伸び(即ち、収縮)を示した。充填すると、推測される直径の伸び(湿潤時の平らな幅から計算された理論上の直径に対して)は、6.2%から12.2%であった。これらの数字は、新たに詰めた軟らかいソーセージに関して、直径を正確に測定することがいかに難しいかを示す。冷却すると、ソーセージは、その直径が約1.4%収縮する。
【0152】
サンプルのチューブ状ケーシング36及び37は、従来のチューブ状ケーシングよりも高い伸びの数字を示し、乾燥から湿潤まで(12〜13.4%)、及び湿潤から充填まで(10.2〜11.9%)であった。したがって、乾燥から充填までの全体的な変化は、22.2%〜25.3%である。冷却時の収縮の数字は、3.3〜4.3%である。
【0153】
(実施例11)
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
チューブ状ソーセージケーシングを、サンプル19として先に作製した複合強化パーチメント紙のサンプルから作製した。複合強化パーチメント紙の特徴は、強化要素(即ち、スパンボンドベースウェブ)が、セルロースを攻撃する酵素の影響を受け難いことである。これらの酵素は、セルロースをベースにしたケーシング上で成長し、ケーシング構造を弱め、詰めた製品を乾燥するのに吊り下げている間にケーシングが裂け、充填製品から剥がすときに無傷でケーシングを除去することが難しくなる。
【0154】
長さの短いチューブ状ソーセージケーシングサンプルは、縫い付けることによってシーム形成した。2つのタイプのシームを作製した。1つは外部シームであり;もう1つは平らなシームであった。外部シームでは、2つの縁部を1つに合わせ、縫い付けて、チューブの周辺から放射状に突出するひれ状部分を形成する。平らなシームでは、1つの縁部を他方に重ねる。2つの縁部を1つに縫い付けて、チューブ材の周辺の一部を形成する。各シームタイプごとに、チューブ状ケーシングサンプルを作製したが、このとき、スパンボンドベースウェブが内側に向くように、またスパンボンドベースウェブが外側に向くようにした。
【0155】
充填は、典型的な商用条件を使用して、商用充填装置で行った。ソーセージ室の装置は、ミキサ及び充填器からなる。ボイラは、別の部屋にある。充填器は、プログラムに合わせて設定することができ、設定重量を、再現可能に設定された圧力レジームで、自動的に送出することになる。通常の繊維状ケーシングでは、この結果、3 lb(約1.4kg)のソーセージが長さ約280mm及び直径約80mmとなる。この一連の試みに、通常の充填条件を使用した。充填材料は、ソーセージ肉のフィリング(Haggis)であった。
【0156】
サンプルのチューブ状ケーシングを、使用前に約10分間、生ぬるい湯に浸漬した。各サンプルのケーシング変形例、外部シーム、ベースウェブが内側に向いているもの;外部シーム、ベースウェブが外側に向いているもの;平らなシーム、ベースウェブが内側に向いているもの;平らなシーム、ベースウェブが外側に向いているものの1つに、充填した。全てのサンプルケーシングは、充填に耐えたが、1つのサンプルは、不均一に縫い付けられた平らなシームを有しており、これが充填中に引き裂かれ始めた。このシームは、破損を引き起こさず、その後の沸騰に耐えた。充填したケーシングの4つ全ては、充填直後に、縫い目にグリース浸透を示した。充填したケーシングの全てを沸騰させた。外部シームを有する別のサンプルは、沸騰中にシームに隣接してほとんどが裂けた。
【0157】
ボイラから充填済みケーシング(ソーセージ)を回収した後、充填した肉に隣接するスパンボンドベースウェブを有する充填済みケーシングは、グリースを過度に漏らしたことが非常に目に付いた。充填済みケーシングを繰り返し拭ったが、グリースは再び非常に速く流出する可能性があった。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース面を有する充填済みケーシングは、触るのにそれほど油っぽくなかった。充填済みケーシングを冷却し、拭い、その後、清浄なケーシング紙片上に10分間置いた。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース相を有する充填済みケーシングは、10分後に紙上に油の跡を残さず、一方、充填した肉に隣接してスパンボンドベースウェブを有する充填済みケーシングは、10分後に紙上に油の跡を残した。これらのグリーススポットは、充填済みケーシングのどちらかの端部にある傾向がある。
【0158】
充填済みケーシングのグリース流出試験は、一晩行った。次いで充填済みケーシングを計量し、予め量ったケーシング紙片に包み、さらにポリエチレンバッグに包んだ。バッグに入れられた充填済みケーシングを、冷蔵庫内に置いた。18時間後、包んだ紙を除去し、再度計量した。ほとんどの包み紙は、重量増加を示したが、この増加のほとんどは、水分によるものであった。包み紙を、ドラフト内で、空気流中に1時間吊るして水分を乾燥させ、その後、再び計量した。結果を、包み紙の重量%の増加で、また18時間でのグリース流出のppm(mg/kg)で報告する。これは、空気乾燥後の包み紙の重量増加を、充填済みケーシングの初期重量で割ることによって行う。
【0159】
充填した肉に隣接してスパンボンドベースウェブを有する2つの充填済みケーシングに関して測定したグリース流出は、334mg/kg及び509mg/kgである。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース相を有する2つの充填済みケーシングに関して測定したグリース流出は、95及び161mg/kgである。これは、パーチメントセルロース面が肉に接触したときに、最良のグリース障壁が得られることの証拠である。全ての場合において、グリース流出の大部分は、シーム部で生じた。これは、試験で使用した包み紙の、残留グリースの染みを見ることによってわかった。平らなシームは、外部シームよりも品質が不十分なものであった。これは、平らなシームを有する充填済みケーシングの、より高い流出値に反映されている。
【0160】
従来の繊維状ケーシングを含むソーセージは、80.2mg/kgのグリース流出を有することがわかった。パーチメントセルロースの内面及び外側に縫い付けられたシームを有するサンプルのチューブ状ケーシングは、伝統的な繊維状ケーシングから得られるものと同等のグリース流出値を示す(95対80mg/kg)。複合強化パーチメントケーシングのシームを、グリースに対してより耐密に作製することができる場合、そのグリース流出性能は、従来の繊維状ケーシング材料に、より良く一致させることができる。
【0161】
直径寸法変化
この試験には、従来のケーシング材料を含めなかった。その他の試験では、従来の繊維状ケーシングは、0%から−1.7%の乾燥−湿潤での伸び(即ち、収縮)を示した。充填すると、推測される直径の伸び(湿潤時の平らな幅から計算された理論上の直径に対して)は、6.2%から12.2%であった。これらの数字は、新たに詰めた軟らかいソーセージに関して、直径を正確に測定することがいかに難しいかを示す。冷却すると、ソーセージは、その直径が約1.4%収縮する。
【0162】
複合強化パーチメント紙から形成された、サンプルのチューブ状ケーシングは、全て、乾燥から湿潤まで、6.0から7.5%の間の伸びの値を示し、これは、標準の繊維状ケーシングによって示される0%から−1.7%よりも高い。湿潤から充填に至るまで、複合強化ケーシングは、10.9から13.0%伸びる。これは、従来の繊維状ケーシングで見られる伸びの上端に向かうものであった。冷却すると、サンプルのチューブ状ケーシングは、収縮が1.4から1.6%の従来の繊維状ケーシングに比べ、+0.8から−1.1%の僅かな伸び又は収縮値を有していた。
【0163】
外観
ポリマーベースシート面が内側にあるか又は外側にあるかは、ソーセージの外観に劇的な影響を及ぼす。肉に隣接してパーチメントセルロースを有しており、且つスパンボンドベースシートが外側に向いているサンプルでは、スパンボンドベースシートのダイヤモンドカレンダーパターンが実に強力に見え、その外観は全く織物のようである。これは、より良好なグリース障壁をもたらす可能性のある配向である。肉に隣接したスパンボンドベースウェブ及び外側に向いたパーチメントセルロースを有するサンプルでは、ダイヤモンドカレンダーパターンはそれほど重くなく、最終的なソーセージはより透明に見え、即ち伝統的な繊維状ケーシング又は透明なプラスチックケーシングにより類似している。
【0164】
スパンボンドベースウェブ用に異なる結合パターンを選択することによって、複合強化パーチメント紙に異なる表面外観を生成することが可能である。表面外観のさらなる相違は、アパーチャ付き水流交絡ワイヤを使用することによって得ることができる。複合強化パーチメント紙の着色も、可能である。
【0165】
前述の発明の好ましい実施形態について、例示を目的に述べてきたが、前述の説明は、本明細書に発明を限定するものと見なすべきではない。したがって、様々な修正例、適応例、及び代替例を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者なら思い浮かべることができる。
【技術分野】
【0001】
本明細書は、一般に、強化パーチメント不織製品を形成する方法及びその製品に関する。一実施形態において、強化パーチメント材料は、ソーセージのケーシングを形成するのに使用してよい。
【背景技術】
【0002】
ケーシング紙は、一般に、アバカ、サイザル、又は亜麻などの、ステープル長の比較的強力な高靭性天然繊維の、ウェットレイド紙ウェブから製造される。紙ウェブに、希釈ビスコース溶液を飽和させる。次いでビスコース中のセルロースを、このウェブを酸性再生浴に通すことによって再生する。次いでウェブを洗浄して酸を除去し、乾燥して、酸再生セルロースを含浸させた紙ウェブを生成する。次いでこのケーシング紙を、一般にロール状に形成する(「マスターロール」)。加工肉、例えばソーセージを包装するためのケーシングは、ケーシング紙を細片に切断し、次いでチューブが形成されるように折り曲げて縫い合わせることにより、ケーシング紙から製造することができる。チューブに、アルカリ性ビスコース溶液を飽和させる。次いでビスコース中のセルロースを、酸性再生浴で再生する。次いでチューブを洗浄して酸及び塩を除去する。望む場合には、再生されたセルロースのために、可塑剤、例えばグリセリンを含有する水性浴にチューブを通してもよい。チューブを、加熱されたチャンバに通すことによって乾燥し(チューブは膨張状態にある)、その結果、内部にセルロース紙ウェブが埋め込まれているセルロースフィルムチューブ材が得られる。このチューブ材に、典型的には圧力をかけて加工肉製品を詰める。初期の紙ウェブを希釈ビスコース溶液で処理し、その後、再生を行う目的は、ケーシングチューブの形成に使用される高苛性ビスコース溶液での処理に耐え得るように、強度及び構造的一体性を有するウェブを提供することである。しかし、希釈ビスコースでの初期処理にも関わらず、ケーシングチューブの形成に使用される高苛性の、より濃度が高いビスコース溶液を用いた処理は、ある程度のウェブの軟化及び脆弱化を必ず引き起こすことになる。このように、複雑な多段階処理プロセスにも関わらず、望ましいウェブ強度よりも低いことが原因で、ケーシングに詰めている最中に依然として製造上の問題に遭遇する可能性がある。
【0003】
定義
複合繊維−別々の押出し機からポリマー源を押し出し、単繊維が形成されるようにこれらを1つに紡糸することによって形成されている繊維。典型的には、2種の別々のポリマーが押し出されるが、複合繊維は、別々の押出し機からの同じポリマー材料の押出しを包含してもよい。押し出されたポリマーは、実質的に一定に位置決めされた別々のゾーン内に、複合繊維の断面の端から端にわたって配置され、複合繊維の長さに沿って実質的に一定に延びる。複合繊維の構成は、対称にすることができ(例えば、シース:コア又は側面:側面)、又は非対称にすることができる(例えば、シース内のオフセットコア;全体が丸い形状を有する繊維内の三日月形の構成)。2種のポリマー源は、例えば(しかしこれらに限定されない)75/25、50/50、又は25/75の比で存在してよい。
【0004】
2成分繊維−同じ紡糸口金から押し出された、2種以上のポリマーの混合物から形成されている繊維。2成分繊維は、比較的一定に位置決めされた別々のゾーン内に、この繊維の断面領域の端から端まで配置された様々なポリマー成分を有しておらず、これら様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、代わりに、ランダムに開始し終了する微小繊維を形成する。2成分繊維は、時々、多成分繊維とも呼ばれる。
【0005】
カレンダー掛け−対向する面の間で不織材料に加圧することにより、その表面を滑らかにする方法。対向する面には、平板、ローラ、突起を有するローラ、及びこれらの組合せが含まれる。対向する面のどちらか又は両方を、加熱してよい。
【0006】
セルロース繊維−セルロースを実質的に含む繊維。セルロース繊維は、合成源(例えば、再生されたセルロース繊維又はリオセル繊維)、又は木本及び非木本植物からのセルロース繊維若しくはセルロースパルプなどの天然源由来である。木本植物には、例えば、落葉樹及び針葉樹が含まれる。非木本植物には、例えば、綿、亜麻、アフリカハネガヤ、ケナフ、サイザル、アバカ、乳液分泌植物、藁、ジュート、麻、及びバガスが含まれる。
【0007】
セルロース材料−セルロースを実質的に含む材料。材料は、繊維又はフィルムでよい。セルロース材料は、合成源(例えば、再生されたセルロースフィルム又は繊維)、又は木本及び非木本植物からの繊維若しくはパルプなどの天然源由来である。
【0008】
コンジュゲート繊維−別々の押出し機からポリマー源を押し出し、単繊維が形成されるようにこれらを1つに紡糸することによって押し出すことによって形成されている繊維。コンジュゲート繊維は、別々の押出し機によってそれぞれ供給された2種以上の別々のポリマーの使用を包含する。押し出されたポリマーは、実質的に一定に位置決めされた別々のゾーン内に、コンジュゲート繊維の断面領域の端から端まで配置され、コンジュゲート繊維の長さに沿って実質的に連続して引き伸ばされる。コンジュゲート繊維の形状は、意図される最終使用に合わせて製造者に都合の良い任意の形状に、例えば円、三葉、三角形、犬の骨の形、平ら、又は中空にすることができる。
【0009】
幅方向(CD)−流れ方向に直交する方向。
【0010】
デニール−フィラメント9000mの重量(g)によって与えられる、フィラメントの細さを示すのに使用される単位。1デニールのフィラメントは、長さ9000mに関して1gの質量を有する。
【0011】
押し出された繊維−少なくとも1種の熱可塑性ポリマーの、面上への押出しによって形成された繊維。押し出された繊維は、繊維、フィラメント、複合繊維、複合フィラメント、2成分繊維、及び2成分フィラメントの少なくとも1種を含むことができる。押し出されたウェブ材料は、セルロース材料を実質的に含まない。
【0012】
繊維−長さと直径との極めて高い比を特徴とする材料形態。本明細書で使用される、繊維及びフィラメントという用語は、他に特に指示しない限り、同義に使用される。
【0013】
フィラメント−実質的に連続した繊維。本明細書で使用される、繊維及びフィラメントという用語は、他に特に指示しない限り、同義に使用される。
【0014】
流れ方向(MD)−不織ウェブ材料の形成中に繊維が堆積される、形成表面の移動方向。
【0015】
メルトブローン繊維−複数の微細な、通常は円形のダイキャピラリーから高速ガス(例えば、空気)流中に、フィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成された繊維であり、この高速ガス流は、繊維の直径が減じられるように、溶融熱可塑性材料を細くするものである。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流によって運ばれ、収集面上に堆積して、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、一般に連続的である。メルトブローン法は、メルトスプレープロセスを含む。
【0016】
非熱可塑性ポリマー−熱可塑性ポリマーの定義内に包含されない任意のポリマー材料。
【0017】
不織布、シート、又はウェブ−間に挿し込まれ、しかし織布又は編地であると確認されない手法で、個々の繊維の構造を有する材料。不織材料は、例えばメルトブローン、スピンレイ、カーディング、エアレイ、及びウォーターレイプロセスなど、多くのプロセスから形成されている。不織材料の坪量は、通常、単位面積当たりの重量で表され、例えば平方メートル当たりのグラム数(gsm/gm2)又は平方フィート当たりのオンス数(osf)である。本明細書で使用される不織シートは、ウェットレイド紙シートを含む。
【0018】
ポリマー−反復される有機構造単位の長い鎖。一般に、例えばホモポリマーと、例えばブロック、グラフト、ランダム、及び交互コポリマーなどのコポリマーと、ターポリマーなどと、これらのブレンド及び変形例とを含む。さらに、他に特に限定しない限り、「ポリマー」という用語は、全ての可能性ある幾何学的構成を含む。これらの構成には、例えば、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称が含まれる。
【0019】
再生セルロース−天然セルロースを化学処理して、可溶性化学誘導体又は中間化合物を形成し、その後、この誘導体を分解してセルロースを再生することによって得られた、合成セルロース。再生セルロースは、スパンレーヨン及びセロファンフィルムを含む。再生セルロース法は、ビスコース法、銅アンモニア法、及び酢酸セルロースの鹸化を含む。
【0020】
スパンレイドフィラメント−複数の微細な、通常は円形の、紡糸口金のキャピラリーから、溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成されたフィラメント。押し出されたフィラメントの直径は、その後、例えば抽出延伸及び/又はその他の周知のスパンボンドメカニズムによって素早く減少させる。スパンレイド繊維は一般に、約0.1から5又はそれ以上の範囲内でデニールが連続している。
【0021】
スパンボンデッド不織ウェブ−複数の微細な、通常は円形の、紡糸口金のキャピラリーから、フィラメントとして、少なくとも1種の溶融熱可塑性材料を押し出すことにより、単一プロセスで(通常は)形成されたウェブ。フィラメントは、一部はクエンチされ、次いで繊維デニールが低下するように且つ繊維内の分子配向が増大するように、引き出される。フィラメントは、一般に連続的であり、繊維状バットとして収集面に堆積される場合、粘着性が無い。次いでスパンレイド繊維状バットを、例えば熱結合、カレンダー掛け、化学結合剤、機械式穿刺、水圧による掛かり合い、又はこれらの組合せによって結合して、不織布を生成する。
【0022】
ステープル繊維−一般に4分の1から8インチ(0.6から20cm)のステープル長に形成され又は切断されている繊維。
【0023】
合成繊維−合成材料、例えばガラス、ポリマー、ポリマーの組合せ、金属、炭素、再生セルロース、リオセルを含む繊維。
【0024】
実質的に連続−不織ウェブのポリマーフィラメントに関して、オリフィスを経た押出しによって形成されたフィラメント又は繊維の大部分は、それらが引き出され次いで収集デバイス上に衝突するので、連続した破壊されていないフィラメントとして残されることを意味する。一部のフィラメントは、細長化又は延伸プロセス中に破壊される可能性があり、フィラメントの実質的に大部分は、連続したままである。
【0025】
tex−フィラメント1000mの重量(g)によって与えられた、フィラメントの細さを示すのに使用される単位。1texのフィラメントは、長さ1000mに関して1gの質量を有する。
【0026】
熱可塑性ポリマー−可融性であり、熱に曝されると軟化し、一般に、室温まで冷却されるとその非軟化状態に戻るポリマー。熱可塑性材料には、例えば、ポリ塩化ビニル、いくつかのポリエステル、ポリアミド、ポリフルオロカーボン、ポリオレフィン、いくつかのポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、エチレン及び少なくとも1種のビニルモノマーのコポリマー(例えば、ポリ(エチレンビニルアセテート)、及びアクリル樹脂が含まれる。
【0027】
植物性パーチメント(VP)−セルロースの溶解、加水分解、及び分解を制御するために、ゲル化剤とセルロースとの間の反応時間が限定される条件下で、例えば硫酸を含むゲル化剤でセルロース紙シートを処理することによって作製された紙。次いで処理された紙を、ゲル化剤が除去されるように完全に洗浄し、その後、乾燥する。浴の化学物質は、紙シートのセルロースを部分的に溶解し又はゲル化する。次いで溶解したセルロースは、処理した紙を洗浄することによって浴の化学物質を希釈したときに、沈殿する。パーチメント又はパーチメント化と呼ばれるこのプロセスは、外観が真のパーチメントにいくらか似ている非常に強靭で、堅く、滑らかな紙を形成する。このように処理された紙は、乾燥すると脆弱になり且つ皺になる傾向があるので、可塑剤で、例えばグリセリン、グルコース、又はソルビトールで頻繁に処理される。バルカナイズドファイバーは、例えば塩化亜鉛を含むゲル化剤でセルロース紙シートを処理することによって作製された、関連ある製品である。
【0028】
ウォーターリーフシート−パーチメント化中にゲル化剤を繊維に接触させるのに有利な、多孔性の木材パルプ紙。ウォーターリーフシートは、ゲル化剤による溶解に適切な繊維、例えばユーカリ繊維、カバノキ繊維、又はいくつかの1年生植物繊維を含む。ウォーターリーフシートに使用される添加剤は、望み通りの繊維との接触をもたらすように制御される。
【0029】
一般に、他に明示しない限り、開示された材料及び方法は、本明細書に開示されている任意の適切な成分、部分、又はステップを含むように、又はこれらからなるように、又は本質的にこれらからなるように、代替の手法で構成してよい。開示されている材料及び方法は、さらに又は代替として、従来技術の組成物で使用されており又は通常なら本発明の開示の機能及び/又は目的を達成するのに必ずしも必要ではない、いかなる成分、材料、構成要素、補助剤、部分、種、及びステップも無くなるように又は実質的に無くなるように、構成してよい。
【0030】
「約」という用語を本明細書で使用する場合、変更する量又は条件は、開示内容の機能及び/又は目的が実現される限り、記述される量をいくらか超えて変化することができることを意味する。当業者は、任意の領域の範囲を十分に探索する時間がほとんど無いことを理解し、また開示された結果が、開示された限度の1つ又は複数を少なくともいくらか超えて拡大し得ることを予測する。後に、この開示の利益を有し且つ本明細書に開示された概念及び実施形態を理解することによって、当業者は、本発明の努力無しで、開示された限度を超えて探索することができ、また実施形態が、予期せぬいかなる特徴も無いことがわかった場合には、これらの実施形態は本明細書で使用される約という用語の意味の範囲内にある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性フィラメントと、この熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維との第1の不織ウェブを含み、このセルロース繊維がパーチメント処理されている、複合パーチメントシートを開示する。
【0032】
本発明の第2の好ましい実施形態は、外面及び内面を有する沈殿セルロース材料を含む第1の不織層と、実質的に連続した熱可塑性フィラメント及びこの熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維の第2の不織層とを含み、この第2の層が、第1の層に隣接した内面を有し、第2の層からのフィラメントが、少なくとも部分的に第1の層の沈殿セルロースに埋め込まれており、これらの層は、セルロース繊維から得られる沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている、複合パーチメントシートを開示する。セルロース材料も開示されている。
【0033】
本発明の第3の好ましい実施形態は、複数のランダムに配向した、実質的に連続した熱可塑性フィラメントと、この熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維とを含み、このセルロース繊維の一部がパーチメント処理されている、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適した複合パーチメント材料を開示する。
【0034】
本発明の第4の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性フィラメント及びこの熱可塑性フィラメントに絡み合うセルロース繊維の第1の不織層であって、内面を有する第1の層と、外面及び対向する内面を有する沈殿セルロース材料を含む第2の不織層とを含み、フィラメントが第2の層の内面に隣接した沈殿セルロース内に埋め込まれており、これらの層が沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている、食品を包装するためのケーシング材料を作製するのに適した複合材料を開示する。第2の層は、セルロース繊維を含むことができる。第2の層は、セルロースフィルムを含むことができる。第1の層は、内部でセルロース繊維が絡み合っているスパンレイドウェブ、又は内部でセルロース繊維が絡み合っているメルトブローンウェブを含むことができる。
【0035】
本発明の第5の好ましい実施形態は、内面と、この内面に隣接したフィラメントの一部を部分的に取り囲む沈殿材料と、沈殿材料の薄い稠密な層を少なくとも部分的に含む外面とを有する、実質的にランダムに配向した、実質的に連続したフィラメントの不織ウェブを含む、複合強化沈殿生成物を開示する。複合強化沈殿生成物は、第1の層のフィラメント間に介在させたセルロース繊維を含むことができ、この沈殿材料は沈殿セルロースである。複合強化沈殿生成物は、第1の層に対する実質的に連続した面同士の接触によって第2の層を含むことができ、第1及び第2の層は、沈殿材料によってのみ1つに結合されている。
【0036】
本発明の第6の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性ポリマーフィラメントを含む第1の不織ウェブを提供するステップと;セルロース繊維を第1の不織ウェブに絡み合わせることによって結合するステップと;絡み合わせた第1のウェブをゲル化剤に浸漬して、セルロース繊維を部分的にゲル化するステップと;ゲル化セルロースを沈殿させるステップと;第1のウェブを乾燥するステップとを含む、強化パーチメント紙を形成する方法を開示する。
【0037】
本発明の第7の好ましい実施形態は、実質的に連続した熱可塑性ポリマーフィラメントを含む、第1の不織ウェブを提供するステップと;セルロース繊維を第1の不織ウェブに絡み合せるステップと;セルロース材料を含む第2の不織ウェブを提供するステップと;第1及び第2のウェブの少なくとも1つをゲル化剤に浸漬して、セルロース繊維、セルロース材料、又はその両方を少なくとも部分的にゲル化するステップと;第1のウェブを第2のウェブ上に重ねて、複合処理材料を形成するステップと;ゲル化セルロースを沈殿させるステップと;複合処理材料を乾燥させて、複合強化パーチメント紙を形成するステップとを含む、複合強化パーチメント紙を形成する方法であって、この複合強化パーチメント紙が、実質的に連続した熱可塑性フィラメントの層と、セルロース繊維から得られた沈殿セルロースによって1つに結合されたセルロース材料の層とを含んでいる方法を開示する。セルロース材料も開示されている。第2のウェブは、セルロースフィルムにすることができる。
【0038】
本明細書の繊維強化沈殿生成物は、例えば、研磨ディスクの裏当てシート、ベーキングパンライナー、食品ラッピング、及びソーセージのケーシングを含む数多くの適用例で、使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
次に、いくつかの図において同様の要素には同様の符号が付されている図面を参照する。
【図1】植物パーチメント(VP)サンプルの上面の、顕微鏡写真である。
【図2】植物パーチメント(VP)サンプルの底面の、顕微鏡写真である。
【図3】一般に入手可能なケーシング材料の外面の、顕微鏡写真である。
【図4】一般に入手可能なケーシング材料の内面の、顕微鏡写真である。
【図5】複合強化パーチメント紙の一実施形態の、上面(スパンボンドベースシート面)の顕微鏡写真である。
【図6】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの上面の、異なる位置での別の顕微鏡写真である。
【図7】複合強化パーチメント紙の実施形態の、上面(スパンボンドベースシート面)の顕微鏡写真である。
【図8】図7のサンプルの上面の、異なる位置での別の顕微鏡写真である。
【図9】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、底面(パーチメントウォーターリーフシート面)の顕微鏡写真である。
【図10】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、底面(パーチメントウォーターリーフシート面)の顕微鏡写真である。
【図11】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図12】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図13】図3のケーシング材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図14】図1の植物パーチメント材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図15】図1の植物パーチメント材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図16】図3のケーシング材料の、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図17】図5の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図18】図7の複合強化パーチメント紙サンプルの、縁部断面の顕微鏡写真である。
【図19】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図20】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図21】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【図22】いくつかの開示されたサンプル及びいくつかの比較生成物に関する、伸び対引張り強さのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の好ましい実施形態では、強化沈殿不織生成物が調製される。沈殿不織生成物は、第1の繊維状不織ベースシートをゲル化剤で処理して、そのシートの材料の一部を部分的に溶解することによって、調製される。処理されたシートの、部分的に溶解した材料は、シートの繊維状構造内に且つシートの表面に、再配置される。溶解した材料は沈殿して、沈殿不織生成物を形成する。
【0041】
ベースシートは、ゲル化剤に対して適切な感受性を有する少なくとも1種の材料を含む、1つ又は複数のタイプの繊維状材料を含んでよい。例えば、感受性のある繊維はセルロースを含んでよく、ゲル化剤は硫酸を含んでよく;感受性のある繊維はキトサンを含んでよく、ゲル化剤は酢酸を含んでよく;感受性のある繊維はナイロンを含んでよく、ゲル化剤はギ酸を含んでよく;感受性のある繊維はポリ乳酸(PLA)を含んでよく、ゲル化剤はPLA溶媒を含んでよい。ベースシートは、繊維材料の組合せを含んでよい。
【0042】
強化沈殿生成物は、典型的には、片面又は両面に、沈殿材料の薄く稠密な層を有してよい。薄く稠密な表面層の間で、前駆体ベースシートの繊維状構造は、繊維の少なくとも一部を部分的に取り囲み結合している実質的に非晶質の沈殿材料のままでよい。表面の沈殿材料は、強化沈殿生成物に、硬質の低多孔率の表面をもたらしてよい。
【0043】
本発明の一変形例において、強化沈殿不織生成物は、強化パーチメント紙を含む。パーチメント紙は、非セルロース繊維及びセルロース繊維を含む不織ベースシートをゲル化剤で処理することによって、作製される。処理したベースシート中の、部分的に溶解したセルロース繊維は、シート内に且つシートの表面上に再配列される。溶解したセルロース繊維は沈殿して、強化パーチメント紙を形成する。
【0044】
非セルロース繊維は、広範な材料、例えばガラス、炭素、ポリエチレンテレフタレート(PET)、同様の又は改質された化学的性質を有するポリエチレンテレフタレートポリマー(例えば、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)変性ポリエチレンテレフタレート)の混合物、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのその他のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド、これらのポリマーのいずれかのコポリマー、これらのポリマーのいずれかの混合物、キトサンから得てもよい。非セルロース繊維は、熱可塑性材料を含むことが有利であり、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含むことが特に有利である。非セルロース繊維は、任意選択で、例えば着色顔料、不透明顔料、親水性薬剤などの機能性添加剤、帯電防止剤、及びこれらの混合物を含む、1種又は複数の独立に選択された加工添加剤を含有してよい。非セルロース繊維は、約0.1から約30の間のデニールを有する。これらの繊維の形状は、典型的には丸いが、意図される最終用途に向けて生成するのに都合の良い任意の形状、例えば円、三葉、三角形、犬の骨の形、平面、又は中空にすることができる。切断された繊維は、用途に応じて、100mm未満の長さ、有利には50mm未満、典型的には約4mmから約25mmの範囲の長さを有することになる。
【0045】
典型的には、熱可塑性ポリマーから作製された非セルロース繊維は、押し出され、例えばスパンレイド又はメルトスパンされて、押出しフィラメントを形成する。押出しフィラメントは、従来の手法で形成される。フィラメントは、収集し切断して、ステープル長の繊維に形成することができる。フィラメントを、移動する形成表面に堆積して、移動(流れ)方向に実質的に連続して伸びるフィラメントのスパンレイドバット形成することが有利である。バットは、後続のプロセスにおいて構造の一体性を維持するのに適した任意の方法を使用して、例えば熱点結合で又は空気結合を通して、結合することができる。結合バットは、押出しウェブ材料を形成する。いくつかの有利な実施形態では、押出しウェブ材料は、約10gsmから約100gsmの坪量のもの、より有利には約20gsmから約50gsmの坪量のものが用いられる。
【0046】
セルロース繊維は、広範な供給源から得てもよく、ゲル化剤中で所望の溶解度を示す繊維を含有する、任意のセルロースを含む。いくつかの適切なセルロース繊維の例には、木材パルプ繊維(広葉樹パルプ、針葉樹パルプ、及びこれらの混合物を含む)、綿や亜麻、サイザル、麻、ジュート、アフリカハネガヤ、バガス、藁、アバカなどの非木材植物パルプ繊維、並びにビスコースやリオセルなどの再生セルロース繊維が含まれる。様々なセルロース繊維の混合物を使用してもよい。使用してもよいセルロースパルプ繊維には、特に約0.7mmから約25mmの繊維長、有利には約1.5mmから約5mmの繊維長を有する、従来の短い製紙繊維が含まれる。従来の製紙繊維は、周知のクラフト法によって生成される従来の製紙木材パルプ繊維を含む。パーチメント処理で使用するのに有利なセルロース繊維には、ユーカリ、カバノキ、アカスギ、アカシア、亜麻、及びリネンが含まれる。これらの繊維は、繊維レベル並びにセルロースポリマーレベルで、ゲル化剤との良好な接触性をもたらす。900未満のセルロースの重合度(DP)が有利と考えられる。
【0047】
強化パーチメント紙の一変形例では、ステープル長の熱可塑性繊維及びセルロース繊維を混合することができ、スクリーン又はワイヤ上に繊維の希釈分散液を堆積するという知られている湿式製紙法などによって、不織ベースシートがこの混合物から形成される。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維を、熱可塑性繊維及びセルロース繊維の他に使用してもよい。得られるベースシート中の繊維の少なくとも40%がセルロース繊維であることが、有利である。
【0048】
強化パーチメント紙の一変形例では、ステープル長の熱可塑性繊維を含む不織ベースシートが、カーディングなどによって形成される。不織ベースシートは、その他のカード繊維、例えばレーヨン繊維を含んでもよい。
【0049】
セルロース繊維は、ベースシートに付着される。セルロース繊維は、完全に又は実質的に完全に、セルロースパルプ繊維でよく、有利には木材パルプ繊維でよい。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維は、カードシートに付着させてもよい。ベースシート/セルロース繊維複合体中の繊維の少なくとも40%は、セルロース繊維であることが有利である。セルロース繊維は、プリフォームウェブ若しくは組織としてベースシートに付着させてよく、又は既存のベースシート上に、例えばウェットレイ若しくはエアレイ法を用いて形成してよい。セルロース繊維をベースウェブ材料に付着させてよい方法は、そのそれぞれの内容が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5151320号及び第5573841号に、開示されている。セルロース付着法に何を選択するかは、典型的には利用可能なプロセス装置に依存することになる。セルロースは、一般に、約10gsmから約80gsmの量で、有利には約15gsmから約60gsmの量で、典型的には約15gsmから約30gsmの量で付着されることになる。
【0050】
付着されたセルロース繊維は、ベースシートに結合し、その後の取扱いに合わせて、例えばこの複合体を1つに湿式プレスすることによって又はセルロース繊維をベースシートに絡み合わせることによって、ベースシート/セルロース繊維複合体を圧密化する。有利には、ベースシート/セルロース繊維複合体に水流交絡操作を施し、好ましくは低中圧水流交絡操作を施して、不織シートを形成する。水流交絡操作は、その両方の開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4883709号及び第5009747号に、記載されている。水流交絡操作は、好ましくは、ある割合のセルロース繊維がベースシートに進入して絡み合うように、十分な力で複合体の上部セルロース繊維含有面に直接衝突する、一連の流体の流れ又は噴流下にベースシート/セルロース繊維複合体を通すことによって、実施される。流体噴流は、水性液体の噴流であることが好ましい。
【0051】
流体噴流によって得られる全エネルギー入力は、下式によって計算することができる。
E=0.125YPG/bS
上式で、Y=マニホールド幅の線形インチ当たりのオリフィス数、P=マニホールド内の液体の圧力(psig)(平方インチゲージ当たりのポンド数)、G=オリフィス当たりの分当たりの立方フィート数で表した流量、S=分当たりのフィート数で表した、流体噴流下の複合シートの速度、及びb=平方ヤード当たりのオンス数で表した、結果的に得られた生成された水流交絡複合シートの坪量。複合シートの処理に費やされるエネルギーの総量Eは、複数のマニホールドがある場合及び/又は複数回通過させる場合は、各マニホールド下をそれぞれ通過する個々のエネルギー値の合計である。一般に、全エネルギー入力は、0.07から4馬力−時/ポンド(HP時/lb)(0.41から2.37MJ/kg)である。しかし好ましくは、全エネルギー入力は、0.1から0.3HP時/lb(0.59から1.78MJ/kg)であり、より好ましくは0.12から0.28HP時/lb(0.71から1.66MJ/kg)である。絡み合ったベースシートは、例えば加熱した乾燥缶上で又は炉内で乾燥する。
【0052】
強化パーチメント紙の1つの有利な変形例では、セルロース繊維を、押出しウェブ材料ベースシートに付着させて、複合ベースシートを形成する。好ましくは、押出しベースシートに付着されたセルロース繊維は、完全に又は実質的に完全に、セルロースパルプ繊維であり、より好ましくは木材パルプ繊維である。その他の材料、例えばレーヨンを含む繊維を、押出しベースシートに付着させてもよい。押し出されたウェブ/セルロース繊維の複合体の繊維の、少なくとも40%がセルロース繊維であることが、有利である。セルロース繊維は、プリフォームウェブ若しくは組織として押出しベースシートに付着させてよく、又は押出しベースシート上に、例えばウェットレイ若しくはエアレイ法を用いて形成してよい。セルロースの付着法に何を選択するかは、典型的には利用可能なプロセス装置に依存することになる。セルロースは、一般に約10gsm(gsm=g/m2)から約80gsmの量で、有利には約15gsmから約60gsmの量で、典型的には約15gsmから約30gsmの量で付着されることになる。
【0053】
付着されたセルロース繊維は、押し出されたベースシートに結合して、その後の取扱いに合わせて材料を圧密化する。例えば、ベースシート/セルロース繊維複合体は、湿式プレスして又は水流交絡して、セルロース繊維を押出しベースシートに結合することができる。有利には、複合体に水流交絡操作を施し、好ましくは低中圧水流交絡操作を施して、不織シートを形成する。水流交絡操作は、ある割合のセルロース繊維がベースシートに進入し絡み合うように、十分な力で実施されることが好ましい。流体噴流は、水性液体の噴流が好ましい。
【0054】
交絡エネルギーは、ベースシートの坪量及び多孔率に依存する。ベースシートの坪量が高くなるほど、セルロース繊維をシート内に進入させるのに必要なエネルギーの量が高くなる。しかし、エネルギー入力は、セルロース繊維をベースシートから吹き飛ばすほど高いものであってはならない。一般に、全エネルギー入力は、0.07から0.4馬力−時/ポンド(HP時/lb)(0.41から2.37MJ/kg)(1HP時/lb=5.9MJ/kg)である。しかし好ましくは、全エネルギー入力は、0.1から0.3HP時/lb(0.59から1.78MJ/kg)、より好ましくは0.12から0.28HP時/lb(0.71から1.66MJ/kg)である。絡み合った複合シートを、例えば加熱した乾燥缶で又は炉内で乾燥する。
【0055】
典型的には、ベースシートは、結合剤及びその他の添加剤を含まなくなる。しかし、添加剤は、特定の所望の結果を実現するのに使用してよい。例えば、Wilmington、Delaware、米国のHercules Incorporatedから入手可能なKYMENEなどの熱硬化性樹脂を添加して、後続のプロセス操作に合わせてベースシートに対する繊維の反応性を変えることができ、例えばゲル化剤又は湿潤強度剤は、破断することなく後続の操作に耐える強度を湿潤ベースシートに与えるのに有利になる可能性があり、又はTiO2などの充填剤は、ベースシートの不透過率を変えるのに添加してよい。
【0056】
得られるベースシートの坪量(grammages;単位g/m2=gsm)は、繊維及び/又はフィラメントの構成と、意図される最終用途とに応じて選択してよい。いくつかの有利な実施形態では、乾燥ベースシートは、約20gsmから約180gsmの坪量を、より有利には約30gsmから約100gsmの坪量を、好ましくは約35gsmから約70gsmの坪量を有することになる。
【0057】
ベースシート又はセルロース結合ベースシートは、ゲル化剤での処理によってパーチメント化される。ゲル化剤としての使用が提案されるいくつかの材料は、苛性ソーダなどのアルカリ;硫酸、リン酸、硝酸、若しくはギ酸などの酸;又は、亜鉛、スズアンチモン、若しくはアルミニウムの酸塩の、水溶液である。好ましくは、硫酸溶液が有利と見なされる。ベースシートは、時間及び温度の所定の条件下で、ゲル化剤を含有する浴に通すことにより、ゲル化剤で処理することができる。ゲル化剤でベースシートを処理するための適切な条件は、当業者により容易に決定される。
【0058】
通常の条件下で、ゲル化剤は、濃度が約55重量%から85重量%の、有利には濃度が約55重量%から約75重量%の、鉱酸の、有利には硫酸の水溶液である。処理の所要時間は、典型的には約5秒から約30秒であり、有利には約10秒から約20秒である。ゲル化剤として使用される硫酸は、典型的には約−10℃から約25℃温度であり、有利には約−5℃から約15℃の温度である。ゲル化剤は、この薬剤に接触するセルロース繊維の一部を部分的に溶解し又はゲル化する働きをする。典型的には、処理したベースシート中のセルロースの約30%以下が、ゲル化剤によって溶解する。
【0059】
処理したベースシートが浴内、浴中、及び浴外へと搬送されるにつれ、このシートは材料取扱いロールの上及び下を通過する。処理したベースシートをロール上に通す操作は、シート表面上及びシートのその他の繊維間に、ゲル化セルロースを塗り付け又は塗り広げるのを助ける。処理したベースシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で圧縮してよい。次いで処理したベースシートを洗浄して、ゲル化剤を除去する。ゲル化セルロースは、洗浄中にゲル化剤が希釈されると沈殿する。洗浄後、処理したベースシートを乾燥することにより、強化パーチメント紙が提供される。
【0060】
強化パーチメント紙は、柔軟性を維持し又は改善するために、可塑剤で処理することが有利である。1つの有利な可塑剤は、10から30%wt/wtの濃度、例えば15から25%wt/wt)の濃度で、水溶液中で使用されるグリセロールである。グルコースやソルビトールなどのその他の可塑剤も役立てることができる。
【0061】
強化パーチメント紙は、典型的には、片面又は両面に沈殿セルロースの薄く稠密な層を有する層状化構造を有することになる。強化パーチメント紙の内部は、前駆体ベースウェブの当初の繊維状構造のほとんどを、保持することになる。ベースウェブからの繊維は、薄く稠密な表面層の一部に、部分的に又は完全に埋め込まれることになる。非晶質の沈殿セルロースは、強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を、部分的に取り囲み結合することになる。表面の沈殿セルロースは、硬質で低多孔率の面を、強化パーチメント紙に提供することができる。
【0062】
一実施形態では、複合強化沈殿生成物を調製することができると考えられる。複合強化沈殿生成物複合体は、第1の不織シートが第2の不織シート上に重なり且つ結合したものを含む。
【0063】
これらの第1及び第2の不織シートは、ゲル化剤に対して適切な感受性を有する任意の繊維状材料を含んでよい。例えば、繊維はセルロースを含んでよく、ゲル化剤は硫酸を含んでよく;繊維はキトサンを含んでよく、ゲル化剤は酢酸を含んでよく;繊維はナイロンを含んでよく、ゲル化剤はギ酸を含んでよく;繊維はポリ乳酸(PLA)を含んでよく、ゲル化剤はPLA溶媒を含んでよい。第1及び/又は第2の不織シートは、繊維材料の組合せを含んでよい。或いは、少なくとも1枚のシートは、やはりゲル化剤に対して適切な感受性を有するナイロンやセロファンなどの非繊維状フィルムにすることができる。第1及び第2という用語は、単に明確にするために使用され、開示を制限するものではないことに留意すべきである。
【0064】
複合強化沈殿生成物は、一方又は両方のシートをゲル化剤で処理して繊維の一部を部分的に処理済みシートに溶解することによって、調製してよい。シートは、ゲル化剤で処理する前、間、又は後に上に重ねてよい。上に重ねたシートは、シートの界面で、実質的に連続した面同士の接触により、ゲル化材料と接触している。重ねたシートを、例えばシート材料を取り扱うのに使用される搬送ロール間で1つに圧縮し、それによって、複合処理材料を形成する。重ねた第1及び第2のシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で、より高度に圧縮してよい。次いで複合処理材料を洗浄してゲル化剤を除去し、ゲル化材料を再生する。洗浄後、複合処理材料を乾燥して、複合強化沈殿材料を形成する。第1及び第2のシートは、先にゲル化され且つ現在沈殿している材料によって、互いに結合される。第1及び第2の不織シートを結合するのに、外来の又は追加の接着剤を必要としない。1枚又は複数の追加のシートを、第1又は第2のシートのどちらか又は両方に重ね且つ取着して、より多くの層の複合強化沈殿生成物を形成することが可能と考えられる。
【0065】
複合強化沈殿生成物は、典型的には、片面又は両面に沈殿材料の薄く稠密な層を備えた層状化構造を有してよい。強化沈殿生成物の内部は、前駆体ベースウェブの当初の繊維状構造のほとんどを、保持することができる。ベースウェブからの繊維は、部分的に又は完全に、薄く稠密な表面層の一部に埋め込まれてよい。溶解した繊維からの非晶質の沈殿生成物は、強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を、部分的に取り囲み結合してよい。その表面の沈殿材料は、複合強化沈殿生成物に、硬質で低多孔率の面を提供することができる。
【0066】
一変形例では、複合強化沈殿生成物は、重なった第1及び第2の不織シートを含む複合強化パーチメント紙を含む。シートは、ゲル化剤で処理する前、間、又は後のいつでも重ねてよい。
【0067】
この第1の不織シートは、上述の非セルロース繊維とセルロース繊維との組合せを含むベースシートにすることができる。有利には、第1のシートは、流れ方向に実質的に連続して伸びるフィラメントを含む、複合ベースシートであり、そこに、セルロース繊維が結合されている。第2の不織シートは、上述のベースシートの場合と同様に、非セルロース繊維及びセルロース繊維も含むことができる。或いは、第2の不織シートは、シートを含むセルロースにすることができる。有利には、第2の不織シートは、実質的に100%のセルロース繊維を含むウォーターリーフシートにすることができる。別の有利な変形例では、第2の不織シートは、セロファンなどの非繊維状のセルロースフィルムを含む。第1及び第2の使用は単に明らかにするためであり、開示を限定するものではないことに、留意されたい。第1又は第2のシートのどちらか又は両方に1枚又は複数のシートを重ね且つ取着して、より多くの層の複合強化パーチメント紙を形成することが可能と考えられる。
【0068】
典型的には、第2のシートは、硫酸などのゲル化剤で処理される。第1のシートは、任意選択で、第1のシートと共に又は第1のシートとは無関係に、組成に応じてゲル化剤で処理することができる。第2のシートが再生される場合、セルロースフィルムは現在のところ、第1のシートをゲル化剤で処理するのに、且つ第2のシートを処理せず又は最小限に抑えて処理するのに有利と見なされる。
【0069】
重ね合わせたシートを、例えばシート材料を取り扱うのに使用される搬送ロール間で、1つに圧縮し、それによって複合処理材料を形成する。重ね合わせた第1及び第2のシートは、任意選択で、望む場合には例えばカレンダーロール間で、より高度に圧縮してよい。次いで複合処理材料を洗浄して、酸又は塩を除去し、ゲル化セルロースを再生する。洗浄後、複合処理材料を乾燥して、複合強化パーチメント紙を形成する。
【0070】
複合強化パーチメント紙は、柔軟性を維持し又は改善するために、可塑剤で処理することが有利である。1つの有利な可塑剤は、10から30%wt/wtの濃度で、例えば15から25%wt/wt)の濃度で水溶液中で使用されるグリセロールである。グルコースやソルビトールなどのその他の可塑剤も、役立てることができる。
【0071】
複合強化パーチメント紙は、典型的には、片面又は両面に沈殿セルロースの薄く稠密な層を備えた層状化構造を有することになる。複合強化パーチメント紙の内部は、前駆体ベースウェブ及び結合したセルロース繊維の当初の繊維状構造のほとんどを、保持することになる。一部のベースウェブ繊維は、部分的に又は完全に、薄く稠密な表面層の一部に埋め込まれることになる。溶解した繊維からの非晶質の沈殿セルロースは、複合強化パーチメント紙の内部繊維の少なくとも一部を部分的に取り囲み結合することができる。表面の沈殿セルロースは、複合強化パーチメント紙に、硬質で低多孔率の面を与えることができる。第1及び第2のシートは、先にゲル化され且つ現在沈殿しているセルロースによって、互いに結合される。第1及び第2の不織シートを結合するのに、外来の又は追加の接着剤を必要としない。
【0072】
一実施形態では、例えば上述のようなシートはチューブに形成され、縁部が接合される。チューブは、硫酸などのゲル化剤で処理されて、チューブ内のセルロースの一部がゲル化される。処理されたチューブを、引き続き洗浄してゲル化セルロースを再生し、チューブ状態にある間に乾燥することにより、食品、例えばソーセージの包装に適したチューブ状製品が得られる。
【0073】
一実施形態では、上述のパーチメント紙を使用して、食品、例えばソーセージの包装に使用されるチューブ状ケーシングを作製する。パーチメント紙を細片に切断し、次いでこれらを折り畳んでチューブを形成する。チューブを形成する細片の辺は、結合又は縫合又は折畳み及び圧着を行って継ぎ目を形成するなどして、しっかり結び付ける。ケーシングに、加圧下で食品を詰め、ケーシング内に詰めた食品が密封されるように端部を閉じる。
【0074】
様々な補助処理を、所望の最終製品に応じて、上述の製品のいずれかに実施してよい。シートの柔軟性を改善するための、グリセロールなどによるパーチメントシートの処理については、既に述べてきた。シートに対する食品の接着性を変えるために、シートを処理することも可能であり、例えば、シートに対する肉製品の接着性を改善する処理、又はシートに対するベークド製品の剥離性を改善するための処理である。シートから作製されたケーシングの外側は、例えば印刷物の接着性を改善するために処理してよい。シート又はそこから作製されたケーシングの表面は、化学的グラフト化によって改質してよい。そのような処理は、当技術分野で概ね知られている。
【0075】
ゲル化剤処理ステップは、一連の可能性あるステップ、即ち不織繊維状ウェブの製造から開始して、ウェブをゲル化剤で処理し、ウェブに化学処理を施し、ウェブをマスターロールに形成し、マスターロールを切断して複数の個々のロールを形成し、これらのロールをチューブに形成し、各チューブの横方向の(重なる)縁部を封止し、チューブに印刷をし、チューブをコーティングし、チューブに食品を、例えば加工肉製品を詰めるステップの、一部である。ステップ順序の付加、削除、及び変更が可能である。さらに、様々なステップは、即座に次々と実施する必要がない。追加の層を使用して、所望の性質を有する複合沈殿生成物を提供してもよい。
【実施例】
【0076】
本発明について概略的に述べてきたが、本発明をより容易に理解できるように、且つ他に特に指示しない限り本発明の範囲を如何様にも限定しないように、下記の実施例を、例示を目的として含める。
【0077】
(実施例1)
強化パーチメント紙
熱可塑性ポリマー不織ウェブに絡み合ったセルロース材料を含む、不織シートからのいくつかのサンプルを、調製した。交絡エネルギーは、0.1から0.2HP時/lbの範囲であった。これらのサンプルの組成を、表1に例示する。
【表1】
1 このウェブ材料は、ステープル長の熱可塑性繊維のカード不織ウェブを含んでいた。
2 これらのウェブ材料は、実質的に連続した熱可塑性繊維のスパンボンドウェブを含んでいた。
3 アカスギパルプ及びモミパルプの混合物。
4 これらのウェブ材料は、ステープル長の熱可塑性繊維の不織ウェブを含んでいた。
【0078】
ある分量のサンプル1、2、及び3を、12℃の温度で20秒間、68%硫酸に曝すことによって、実験室条件下でパーチメント処理した。各分量を水道水で洗浄し、105℃でプレート乾燥した。各分量は、パーチメント処理前は、長さ295mm及び幅209mmを有していた。パーチメント処理後のこれらの分量の収縮を、表2に示す。
【表2】
【0079】
追加の分量のサンプル2及び3を、別々にパーチメント処理した。これらの分量を、0℃で、2つの異なるドウェル時間、即ち15秒及び45秒にわたり、68%硫酸中でパーチメント処理した。パーチメント処理したサンプルは、主観的に、当初のシート材料よりも剛性で脆い形態のように感じた。前駆体押出しウェブ材料のダイヤモンド形状の熱点結合パターンは、パーチメント処理後に十分満たされなかった。明らかな収縮は記されなかった。サンプル2の坪量は、パーチメント処理前の80gsmからパーチメント処理後の86gsmになった。サンプル3の坪量は、パーチメント処理前の52gsmからパーチメント処理後の約54gsmになった。坪量の増加は、サンプルの若干の収縮に起因する可能性がある。
【0080】
シート1からの追加の分量を、別々にパーチメント処理した。これらの分量を、−2℃の68%硫酸中で、2つの異なるドウェル時間、即ち15秒(サンプル1〜4)及び45秒(サンプル5〜8)にわたりパーチメント処理した。サンプルの外観は、ごく僅かな微細なピンホールだけで良好であった。このサンプルの坪量は、パーチメント処理前の68gsmからパーチメント処理後の約73gsmになった。坪量の増加は、サンプルの若干の収縮に起因する可能性がある。サンプルの物理的性質について、試験をし、表3から6にまとめる。
【表3】
1これは、パーチメント処理をしていない、シート1のサンプルに関する試験結果を表す。
【0081】
(実施例2)
複合強化パーチメント紙
複合強化パーチメント紙を、重ね合わせた第1のシート及び第2のシートから生成した。サンプル9から16では、第1のシートはそれぞれ、30%のアカスギパルプ及び70%のユーカリパルプを含む針葉樹パルプ混合物と水圧によって絡み合ったスパンボンド(スパンレイド及びカレンダーボンド)ウェブである。水流交絡は、下記の条件下で行った。
プロファイルNo.1 200/300/500+800/800/800/500;交絡エネルギー0.19HP時/lb。
プロファイルNo.2 200/300/500/800;交絡エネルギー0.06HP時/lb。
プロファイルNo.3 200/300/500+300/500/500/500;交絡エネルギー0.18HP時/lb。
【0082】
これらの実施例で使用される水流交絡装置は、4バンクのノズルに限定され、したがってプロファイル1及び3は、サンプルを水流交絡装置に2回通すことによって実現した。数値、例えば「200/300/500」は、水流交絡装置のマニホールド内の液体圧力P(単位:psig)(1psig=0.0689バール)を反映しており、即ち、第1のマニホールドが200psigの圧力を有し、その次が300psigであり、次いで500psigである。複数回通過させるのとは対照的に、1回の通過でウェブ材料を水流交絡するに際し、有益な又は有害な作用は無いと考えられる。
【0083】
サンプル17では、第1のシートは、カード合成ステープル長繊維及び結合したセルロース繊維から形成された、不織ウェブである。サンプル17は、追加のセルロース繊維に水流交絡しなかった。
【0084】
使用されるトップシートは、セロファン(再生セルロース)フィルム、35gsmウォーターリーフシート(SS)、45gsmウォーターリーフシート(SS)、及び異なる45gsmウォーターリーフシート(B)である。
【表4】
1 30%のアカスギ木材パルプ及び70%のユーカリ木材パルプを含む混合物。
【0085】
パーチメント処理前の個々のベース及びトップシートの物理的性質
パーチメント処理前の交絡セルロースを含む個々のベースシートの物理的性質を、以下の表に列挙する。
【表5】
1 PPSは、Tappi 555pm−94によって測定された多孔率又は透過率を指す。
2 Textestは、吸収体構造が空気を循環/交換する能力を評価するのに利用する、透気度試験を指す。この試験の基本原理は、空気の通過に対する吸収体物品の抵抗性を評価することである。この試験では、標準条件(23℃/50%RH)下で所与の寸法の物品内を流通する空気の体積(又は量)を、測定する。この試験で利用される機器は:TexTest AG スイス製のAir Permeabilimeter FX 3300である。
【0086】
パーチメント処理前の、個々のトップシートの物理的性質を、以下の表に列挙する。
【表6】
【0087】
ベースシート及びトップシートSS及びBをパーチメント処理し、単一操作で積層した。各ベースシート及び各トップシートを、11℃の72%硫酸濃度のゲル化浴に5秒間通し、5秒間水切りし、10秒間重ね合わせて結合した。ベース及びトップシートは、含浸(セルロースの溶解が開始した時)から洗浄(セルロースの溶解が停止した時)までが約20秒の、全ゲル化剤接触時間を有していた。
【0088】
セロファンは、パーチメント浴に浸漬された場合、酸の分解に対して感受性がある。したがって、セロファンフィルムは、ベースシートと共に浴に浸漬されない。むしろベースシートがパーチメント浴に浸漬され、セルロースフィルムは、ベースシートが浴から取り出された後に、その含浸済みベースシートに積層される。酸積層の順序は、ベースシートを11℃の72%硫酸濃度のゲル化浴に8秒間通し、ベースシートを4秒間水切りし、セロファンフィルムを濡れたベースシート状に重ね、8秒間結合する。セロファンフィルムとベースシートとの密接な接触は、これらのシートを、洗浄前にローラで1つに押圧することによって高めることができる。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、流れる水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で、110℃で10分間乾燥した。
【表7】
1 DLは、生成物のグリース障壁特性を指す。グリース障壁レベルを示す試験表について論じられている、段落[0097]を参照されたい。
【0089】
パーチメント処理後の複合強化パーチメント紙の物理的性質。
【表8】
【表9−1】
【表9−2】
【0090】
試験サンプルに関し、表面は、複合材料の「障壁面」又はセルロースウォーターリーフシートが配置されているセルロースに富む面である。裏面は表面に対向し、複合材料の第1のシート面である。表面に関し、DL試験により試験をするときは、溶媒が、複合材料の表面に付着され又はセルロース面に沈殿することを意味する。
【0091】
参照のため、詰めた肉の貼り付きを低下させる処理を行った、76.2gsmの市販されている繊維状ケーシング材料に関するいくつかの結果を、以下に列挙する。ケーシング材料に望まれる性質は、その材料の最終用途に応じて変わることを、理解すべきである。このように、下記の性質は、特定の適用例に望ましい従来のケーシング材料の1つのタイプに関する、参照点である。
【表10】
【0092】
グリース障壁特性
様々な複合強化パーチメント紙のサンプルを試験して(DL試験)、グリース浸透に対する各組合せの抵抗性を決定した。DL試験は、着色溶媒の適用を使用して、不織ウェブのグリース障壁特性の定量を可能にする。DL試験では、レポート用紙(Ahlstromから入手可能な115gsmの片面コーティング紙)を不織ウェブサンプル下に置く。不織ウェブサンプルベルソ面を、レポート用紙のレクト面に隣接させる。過剰な溶媒(10gの赤色Organol、10gのCaCl2、及び980gのテレピンを含む「red Organol BS」の1%溶液)を、不織ウェブサンプルに付着させ、不織ウェブサンプル上に3分間そのままにする。溶媒を不織ウェブサンプルから拭き取る。不織ウェブサンプルのベルソ面及びレポート用紙のレクト面を、観察する。結果を、以下のDL試験表に従って表す。
【表11】
1 ベルソ面は、スポットがレポート用紙上に観察されたら、もはやモニタしない。
【0093】
比較として、従来の標準的な繊維状強化ケーシングは、DL試験で5をもたらすが、その他のタイプのケーシング材料は、より高く又はより低い障壁特性を有する可能性がある。
【0094】
45gsm繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙は、適切なベースシートと共に、DLグリース障壁レベル5を提供することができる。セロファンフィルムトップシートを含むサンプルは、グリース浸透に対して、45gsm繊維状トップシートを含むサンプルと同等の又はより良好な抵抗性をもたらすように見えるが、より低い坪量(45の代わりに30gsm)を有する。セロファントップシートを含むサンプルは、表面及び裏面の両方で不透過性をもたらした。セロファンフィルムトップシートを含む複合強化パーチメント紙は、ケーシング材料として使用するのに許容される障壁性能をもたらす。特に45gsm重量のゲル化繊維状トップシートも、セロファンの使用が望ましくない場合には、ケーシング材料として使用するのに許容される障壁性能をもたらすことができる。
【0095】
伸び特性
様々な複合強化パーチメント紙(ベースシート及び重ねられたトップシート)のサンプルを試験して、破断点伸び及び破損点伸びを決定した。破断点伸びは、サンプルが裂ける前の最大変形を、%で表したものである。破損点伸びは、最上層が破壊したときに測定される。両方の試験において、張力は、サンプルの一端に10mm/分の速度で生じ、サンプルの他端は固定されている。サンプル幅は15mmであり、サンプル長は100mmである。伸び試験は、ISO規格1924−2−1994に基づき、動力計を使用して測定する。全ての試験に関し、浸漬結果は、試験前に室温に維持した水浴に10分間サンプルを浸漬したこと以外、同じ試験条件を使用した試験を指している。
【0096】
一般に、乾燥及び浸漬後の両方の破損点伸びの値は、最上層の坪量が増加するにつれて減少する。このように、繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙の場合、有利な伸びの値は、より低い坪量のトップシートを必要とする傾向の可能性があるのに対し、有利な障壁特性は、より高い坪量のトップシートを必要とする傾向の可能性がある。45gsmトップシートを含む複合強化パーチメント紙では、ベースウェブのグレードが何であれ、破損点伸びが、約10から15%に非常に近くなるようである。セロファンフィルムトップシートを含む、複合強化パーチメント紙サンプルに関する結果は、繊維状トップシートの場合とは異なる。セロファンフィルムトップシートを含むサンプルは、非常に良好な伸び特性を有しており、湿潤破損点伸びは、30%の伸び付近に近付く(サンプル9)。
【0097】
引張り強さ特性
様々な複合強化パーチメント紙のサンプル(ベースシート及び重ねられたトップシート)を試験して、引張り強さを決定した。引張り強さは、裂けるまで張力が加えられる不織ウェブサンプルの、制限負荷である。張力は、サンプルの一端に10mm/分の速度で加え、サンプルの他端は固定されている。サンプル幅は15mmであり、サンプル長は100mmである。引張り試験は、ISO規格1924−2−1994に基づき、結果をkN/m又はN/mで表す。全ての試験に関し、浸漬結果は、試験前に室温に維持された水浴中にサンプルを10分間浸漬すること以外、同じ試験条件を使用した試験を指す。
【0098】
複合強化パーチメント紙は、ケーシング材料で使用するのに有利な強度特性を有することができる。繊維状トップシートを含む複合強化パーチメント紙では、乾燥引張り強さが、最上層の坪量の増加と共に増大するようである。セロファンフィルムトップシート(30gsm)を含む複合強化パーチメント紙は、30gsm繊維状トップシート紙を含む複合強化パーチメント紙と同様の強度特性を有する。トップシートの坪量は、乾燥引張り強さよりも複合紙の湿潤引張り強さに対して、それほど影響を及ぼさない。
【0099】
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
モジュラス特性、伸び特性、及び引張り強さ特性は、ケーシングに詰める肉のタイプと、詰め/硬化し/乾燥し/剥離する段階のどのポイントでその特性が望ましいかに応じて、異なる許容可能範囲を有することができることに、留意すべきである。
【0100】
様々な複合強化パーチメント紙(ベースシート及び45gsmトップシート)に関するいくつかの物理的性質を、図19で比較する。図19は、全ての曲線が、VP曲線付近に又はVP曲線よりもさらに低く位置付けられていることを示す。目標ウィンドウは、低レベルの応力に対する材料の応答を強調している。図19は、商用ソーセージ詰め物操作中の、これら材料の応答の例示とすることができる。一般に、サンプル9から16の全ては、比較として使用された従来の肉ケーシングよりも硬い。
【0101】
図20から22は、様々なベースシート/トップシートの組合せを含む複合強化パーチメント紙の、材料の挙動を示す。伸び及び強度特性は、図20に強調されるように坪量に依存する。図21に示されるように、サンプル12、13、及び14は硬い。図22に示されるように、サンプル15及び16は、良好な適合を示し、特にサンプル15は、軽い35gsm最上層を有する。
【0102】
(実施例3)
複合強化パーチメント紙
別の複合強化パーチメント紙(サンプル18)を、セロファンフィルムトップシートと組み合わせたベースシートADを使用して、作製した。ベースシートは、実質的に連続したポリプロピレンフィラメントからスパンボンドし、約25gsmの坪量を有していた。木材パルプ約20gsmを、プロファイルNo.3(200/300/500+300/500/500/500)に従ってベースシートに水流交絡し;交絡エネルギーは0.18HP時/lbであった。トップシートは、30gsmセロファンフィルムであった。
【0103】
先に論じたように、セロファンは、パーチメント処理浴に浸漬した場合、酸の分解に対して感受性がある。したがって、セロファンフィルムは、この実施例ではベースシートと共に浴中に浸漬しない。むしろ、ベースシートをパーチメント処理浴に浸漬し、セルロースフィルムは、ベースシートを浴から取り出した後にこの含浸済みベースシートに積層される。酸積層の順序は、ベースシート浸漬を8秒間、ベースシートの水切りを4秒間、浸漬したベースシート及びセロファンフィルムを重ねて8秒間結合する。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で、110℃で10分間乾燥する。
【0104】
セロファンフィルムは、酸積層手順中に部分的にゲル化される。洗浄及び乾燥の後、沈殿セルロースは、セルロースフィルムとベースシートとを結合する。この複合強化パーチメント紙サンプルに関する物理的性質を、以下の表に示す。
【表12】
【0105】
伸び:
全ての試験をしたベースウェブに関する概略的な結果として、セロファンフィルムを最上層として付加することにより、破損前の浸漬CDの伸びに増加がもたらされる。この改善は、サンプル18の場合に特に顕著であり、従来の繊維状肉ケーシングの伸びの値に達するか又はその値を37%よりも大きく超過する。
【0106】
(実施例4)
複合強化パーチメント紙
他の複合強化パーチメント紙サンプルを作製した。サンプル19は、アカスギをベースにした木材パルプ30gsmと交絡した40gsm低伸長スパンボンドウェブ(LS2787としてDon&Lowから入手可能)を含むベースウェブを含んでいた。パルプは、中圧及び交絡プロファイル25、36、45、45、50、50、50、50、40、40を使用して交絡され;交絡エネルギーは0.12HP時/lbであった。これらの圧力を、バールで表す。サンプル19のトップウェブは、ユーカリ繊維を含む45gsmウォーターリーフであった。
【0107】
サンプル20はサンプル11と同様であり、ベースシートABを含んでいた。サンプル20のトップウェブは、ユーカリ繊維を含む45gsmウォーターリーフであった。
【0108】
両方のサンプルでは、ウォーターリーフウェブを硫酸ゲル化剤に浸漬し、ベースウェブを、ウォーターリーフウェブの最上部のゲル化剤に導入した。プレスロールを、ゲル化剤タンクの出口で使用して、ウェブ間に捕捉された全ての空気を排除し、これらの層を圧密化するのを助けた。プレスロールは、複合強化パーチメント紙の全厚も減少させた。これらの複合強化パーチメント紙の物理的性質を、以下の表に示す。サンプルの層剥離は困難であった。
【表13】
1 グリース障壁値3は、サンプル中のピンホールに起因した。この複合強化パーチメント紙のデクルの中心にある、滑らかな部分から採取された第2のサンプルは、グリース障壁値5を有していた。
【0109】
(実施例5)
複合強化パーチメント紙
追加の複合強化パーチメント紙サンプルを、実験室で作製した。ベースウェブ、交絡セルロース材料;交絡条件及びトップウェブを、以下の表に示す。
【表14】
【0110】
サンプルを、11℃の72%硫酸に20秒間浸漬し、その後、水で洗浄し、10%グリセリン浴中で軟化し、プレート乾燥することによって、パーチメント処理した。これらの複合強化パーチメント紙サンプルの物理的性質を、以下の表に示す。
【表15】
1 この試験は、複合構造が破損する前の、パーチメント層の乾燥CD破損点伸びに関する。
2 この試験は、複合構造が破損する前の、パーチメント層の湿潤CD破損点伸びに関する。
【0111】
乾燥CD引張り強さ
乾燥CD引張り強さの結果は、調査がなされた範囲においてほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した46gsmベースウェブは、最終的な複合強化パーチメント紙において2000N/mの乾燥CD引張り強さを有することが、予測されると考えられる。この乾燥CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシング材料で見出された乾燥CD引張り強さに近い。40gsmのトップウェブに交絡した50gsm PPウェブを基にした構造に関して、予測された乾燥CD引張り強さは、最終の複合強化パーチメント紙において2200N/mと考えられる。この乾燥CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシングに見出された乾燥CD引張り強さに一致する可能性がある。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、1960N/mの乾燥CD引張り強さを示したが、これはPPウェブに関して予測されたレベルよりも低いものであった。
【0112】
湿潤CD引張り強さ
サンプルを水中に30分間浸漬した後の、CD引張り強さの結果は、調査がなされた範囲にわたってほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した53gsmベースウェブは、最終の複合強化パーチメント紙において、2000N/mの湿潤CD引張り強さを有すると予測することができる。この湿潤CD引張り強さは、いくつかの従来のケーシングで見出された湿潤CD引張り強さに近い。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、PPウェブに関して予測された性能ラインよりも低い1650N/mの湿潤CD引張り強さを示した。
【0113】
乾燥CD破損点伸び
乾燥CD破損点伸びの結果(パーチメント層のものであり、構造全体が破断する前のもの)の結果は、調査がなされた範囲においてほぼ線形である。これらの結果に基づけば、40gsmのトップウェブに交絡した50gsmベースウェブは、31%の乾燥破損点伸びを有すると予測される。参考のため、50gsm PETスパンボンドウェブを基にしたサンプル26は、PPウェブに関して予測された性能ラインよりも十分に低い18%の乾燥CD破損点伸びを示した。
【0114】
湿潤破損点伸び
パーチメントサンプルを水中に30分間浸漬した後の、CD破損点伸びの結果(パーチメント層のものであって、構造全体が破断する前のもの)と、ベースウェブの坪量との間に、明らかな関係は見られない。サンプル26に関する結果(50gsm PETスパンボンドベースウェブに基づく)も考慮する場合、プロットは水平と見なすことができ、即ち、湿潤CD破損点伸びは、坪量に応答しない。サンプルの値は、最小値に対して、またいくつかの従来の肉ケーシングに見出される典型的な値に対して考慮される場合(最小20%、典型的には30〜40%)、非常に好ましい。
【0115】
ベースウェブを含む、ポリエステル対ポリプロピレン
2対の比較が利用可能である。サンプル21(PPベースシート)及び26(PETベースシート)を、2回のパスを使用して、即ち1回のパスは500、500、650、800、であり、2回のパスは800、500であり、ベースウェブを40gsm組織ウェブに水流交絡することによって、同じ装置で作製した。サンプル21及び26のいくつかの性質を、以下の表に記述する。
【表16】
【0116】
ベースウェブ坪量の10gsmの差は、パーチメント構造にまで持ち込まれる。両方のサンプルは、乾燥状態から湿潤状態に移行する際、強度を失う。サンプル26は、乾燥及び湿潤状態の両方において、乾燥引張り強さに関して21(PP)に優るいくつかの利点をもたらす。サンプル26は、乾燥状態での破損点伸びがサンプル21よりも少ないが、湿潤状態では僅かに伸びが大きくなる。
【0117】
サンプル24(PPベースシート)及び25(PETベースシート)は、サンプル21及び26とそれぞれ同じベースウェブを使用する。しかし、サンプル24及び25のベースウェブは、2つの組織ウェブに水流交絡している。第1の組織ウェブは、500、500、650のプロファイルを使用して、40gsm組織の水流交絡がなされている。その後、300、400、400、300という第2のプロファイルを使用して、ベースウェブ−第1組織の複合体に20gsm組織を水流交絡した。サンプル24及び25のいくつかの性質を、以下の表に記述する。
【表17】
【0118】
ベースウェブ坪量の10gsmの差は、パーチメント構造にまで持ち込まれる。サンプル25は、乾燥状態から湿潤状態に移行する際に強度を失うが、サンプル24は、強度を得るように見える。これは、乾燥状態のサンプル24で測定された値が過小評価であることを示唆している。サンプル24及び25の湿潤引張り強さは、ほぼ均等である。サンプル24と25の間には、乾燥破損点伸びに有意な差はない。サンプル24は、湿潤状態で、サンプル25よりも大きい伸びをもたらす。
【0119】
水流交絡プロファイル
2つの比較、21対24(共にPPベースウェブ)と26対25(共にPETベースウェブ)が、利用可能である。サンプル21、24、26、及び25の全ては、40gsm組織ウェブに水流交絡している。サンプル24及び25は、第2の20gsm組織ウェブに引き続き交絡される。
【0120】
サンプル24及びサンプル25の両方において、より重い重量の複合強化パーチメント紙は、乾燥又は浸漬引張り強さで優位にあることを全く示すことができない。これとは対照的に、より重い坪量サンプル(サンプル24及び25)は、一般に、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも弱い。また、より重い坪量サンプル(24及び25)は、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも、破損時の伸長が少ない。このように第2の組織層の付加は、得られる複合強化パーチメント紙の強度又は伸長に寄与しないようであり、グリース障壁結果を−3から+1に高めない。
【0121】
圧密化は、より重い坪量のサンプル(サンプル24及び25)において、それらのより軽い坪量の対応サンプル(それぞれ、サンプル21及び26)よりも大きい。これは、より重い坪量のパーチメントサンプル24及び25にも関わらず、厚さがほぼ均等であることに示される。これは、わずか20gsmの追加の組織ウェブがサンプル24及び25のベースウェブに交絡するが、パーチメント後のこれらサンプルの坪量がその量の約2倍に増加することを考えることにより、さらに明らかである。PETベースのサンプル(25及び26)の圧密化は、PPベースのサンプル(21〜24)の場合よりも高い。
【0122】
(実施例6)
複合強化パーチメント紙を、重ねられた第1のシート及び第2のシートから生成した。以下の表は、サンプル27、28、及び29の組成を例示する。押し出されたウェブ材料へのセルロースへの水流交絡は、適度な条件下で行った。
【表18】
1 30%アカスギ木材パルプ及び70%ユーカリ木材パルプを含む混合物。
【0123】
ベースシート及びトップシートを、下記の通り単一操作でパーチメント処理し積層した。2枚のシートを、同時に、通常のゲル化濃度及び温度の硫酸浴に8秒間浸漬し、4秒間水切りし、次いで重ね合わせてロールで8秒間加圧する。複合強化パーチメント紙サンプルの全てを、流れる水道水で10から15分間洗浄し、水性10%グリセリン浴に、室温で20秒間浸漬し、プレート乾燥器で110℃で10分間乾燥した。
【0124】
パーチメント処理後の複合強化パーチメント紙の物理的性質。
【表19】
【0125】
(実施例7)
紙ベースシートを、アバカ繊維及び木材パルプ繊維の混合物から形成した。繊維を、Kymene 557Hで処理した後、製紙スクリーン上にウェットレイドした。紙を乾燥した後、12℃の70%硫酸水溶液の浴に、20秒間浸漬し、その後、水で洗浄した。次いで得られたシートをグリセロール(約20%wt/wt水溶液)で処理し、乾燥した。
【0126】
得られた強化パーチメント紙(サンプル30)に、いくつかの標準的な試験を行い、その結果を以下の表に表す。この表は、比較のために、市販の繊維状ケーシングで及び従来のパーチメント紙で得られた結果も示す。
【表20】
【0127】
(実施例8)
複合強化パーチメント紙の形態
サンプル31は、サンプル19と同じ材料及び加工を含む、複合強化パーチメント材料である。サンプル32は、ベースウェブが形成されるよう、中圧下でアカスギパルプ30gsmに水流交絡した、40gsmポリプロピレンフィラメントスパンビンドウェブを含んでいた。45gsmのユーカリ繊維ウォーターシートを、通常の条件下でベースウェブに酸積層した。植物パーチメント(VP)サンプルは、40gsmのパーチメント材料が得られるように、通常の条件下で、ゲル化剤として硫酸を使用してパーチメント処理が施されている、100%ユーカリ繊維ウォーターリーフシート材料である。商用の繊維状強化セルロースケーシングも試験をした。
【0128】
各サンプルの上面、底面、及び断面を、走査型電子顕微鏡を使用して、各サンプルごとに検査した。
【0129】
VP材料対ケーシング材料
市販のチューブ状ケーシングサンプルは、60×で、外面(図3)と内面(図4)との間でかなりの相違を示す。ケーシングは、液体ビスコースの厚いコーティングをチューブ状の繊維状不織ウェブに付着させ、その後、そのコーティングを元のセルロースに再生することによって構成される。コーティングのほとんどは、外側に付着される。繊維は、チューブの内面の薄いセルロースコーティングを通して、図4で明らかに見ることができる。チューブの外面の不透明なコーティングを通して、図3で繊維を見ることは、非常に困難である。
【0130】
60×でのVPサンプルの上面(図1)と底面(図2)との間には、差がほとんど無いようである。VPサンプルのこれらの面は共に、ケーシングの2つの面の間に存在する外観を有している。これは、VPサンプルが両面から処理されるという事実を反映しているが、VPサンプル中に再沈殿するセルロースの量は、最大で約30%であるのに対し、ケーシング中に再沈殿するセルロースは80%までである。
【0131】
上面−複合強化パーチメント紙
図5及び6は、60×でのサンプル31の、上面(スパンボンドベースウェブ面)の2つの異なる外観を示す。図5には、点結合領域が見られる。これは、カレンダー操作中のエンボスロールによってポリプロピレン繊維が1つに融合している、ダイヤモンド形状の領域である。図6は、異なる繊維を明瞭に見ることができる、点結合間の領域を示す。図6の一部の繊維の間には、ウェブ状構造であることのいくらかの証拠が示されている。ウェブ状構造は、パーチメントプロセスから再沈殿したセルロースと考えられる。サンプル31の上面は、VPサンプル又はケーシングサンプルに比べて非常に開放され多孔質である。図7及び8は、60×で、サンプル32に関して均等な上面(スパンボンドベースウェブ面)を示す。サンプル32は、サンプル31に類似した上面特徴を有する。
【0132】
底面−複合強化パーチメント紙
図9は、60×での、サンプル31の底面(パーチメントウォーターリーフシート面)を示す。図10は、60×での、サンプル32の底面(パーチメントウォーターリーフ面)を示す。サンプル31及び32の底面は、その外観がVPサンプルの表面に類似している。サンプル31及び32の繊維状構造は、ケーシングの内面に比べてそれほど異なっていない。サンプル31及び32の底面は、当初はウォーターリーフシートであり、酸によってパーチメント処理されたVPに類似した面を生成する。
【0133】
縁部断面−複合強化パーチメント紙
図11は、倍率60×での、サンプル31の縁部断面を示す。図11は、VPと同等な、パーチメントウォーターリーフシートによって形成された、圧縮され再沈殿した外側スキン(図の右側)を明瞭に示す。外側スキンの下には、沈殿し水流交絡した木材パルプからの、パーチメントセルロースの非晶質断面がある。ベースウェブの片面からのポリプロピレン繊維は、パーチメントセルロースの一部に部分的に埋め込まれている。複合強化パーチメント紙の繊維状の面でもある、ベースウェブの反対の面は、実質的に繊維状であり、少量のパーチメントセルロースを有する。
【0134】
図12は、倍率60×での、サンプル32の縁部断面を示す。32サンプルは、31サンプルと同様の形態を示すが、32サンプルで使用されるサンプル角は、31サンプルで使用される角とは異なる。ダイヤモンド形状の点結合領域を含む、32サンプルの上面の一部を見ることができる。上面からループを描いて出て行く多くの繊維がある。これらの突出する繊維は、サンプル調製の結果である可能性がある。
【0135】
図13は、ケーシング材料の縁部を示し、図14は、同じ倍率でVP材料の縁部を示す。図13のケーシング縁部は、顕微鏡写真の中央付近で光る面の右側に接する、ちょうど薄い灰色領域である。写真中央を垂直に下る非常に濃い帯域は、ケーシングサンプルと支持スタブとの間の空隙領域である。図14のVP材料縁部は、この画像のちょうど中央のすぐ左側にある、薄い灰色領域である。
【0136】
図15は、倍率500×でのVP材料縁部を示す。VP材料縁部は、断面を通して内部繊維状構造を示さない。縁部は非晶質であり、脆弱でひび割れた外観を有する。ひび割れは、サンプル調製の結果、人為的に生じた可能性がある。ケーシング材料及びVP材料は、共に、図17及び18に示される複合強化パーチメント紙サンプルよりも2から3倍、非常に薄い。
【0137】
図16は、倍率500×でのケーシング材料縁部を示す。ケーシング縁部は、やはり内面の繊維状構造を示す。繊維状構造には、スキンの最上層に至るまで、大部分が非晶質である層が重なっている。画像の中心を下る白線があるが、これは繊維状強化材が埋め込まれた面と考えられる。外部に付着された、再生セルロース層は、VP材料の場合のようにひび割れしないようであることに留意されたい。この相違は、ケーシング材料におけるセルロース再生とVP材料におけるセルロース沈殿という、異なる加工を反映している可能性がある。この相違は、異なる量のグリセロール軟化剤を用いた2つの材料の処理を反映しているとも考えられる。
【0138】
図18は、倍率500×での、サンプル32の複合強化パーチメント材料の縁部を示す。図18は、画像の右側に、パーチメントウォーターリーフシート面を示す。この面は、全く特徴が無いが、図15に見られるものと同様のひび割れを示している。1本のポリプロピレン繊維が、パーチメント層に平行に走っており、且つパーチメント層に半分埋もれ又は部分的に埋め込まれていることがわかる。その他のポリプロピレン繊維の断面は、上述の繊維と角度をなして走っていることがわかる。サンプル32の複合強化パーチメント材料の繊維面は、図18に見られない。
【0139】
図17は、倍率500×での、サンプル31の複合強化パーチメント材料の縁部を示す。図17は、図18のRhino画像に対して、そのサンプルの厚みに沿ってさらに調べたものである。図17の画像の右側には、いくらかひび割れたパーチメントウォーターリーフ層が見える。図17のパーチメントウォーターリーフ層には、その断面に、2本の繊維が見え、1本は完全に埋め込まれており、1本は部分的に埋め込まれている。このパーチメントウォーターリーフ層の左側には、いくらかの薄い薄片状の沈殿セルロースが内部に埋め込まれた状態の、スパンボンドポリプロピレンシートが見える。
【0140】
(実施例9)
ナイロンベースウェブを有する複合強化パーチメント紙
複合強化パーチメント紙の追加の例を、重ねられた第1のシート及び第2のシートから生成した。サンプル33の場合、第1のシートは、30%アカスギパルプ及び70%ユーカリパルプを含む木材パルプ混合物30gsmに水流交絡した、ナイロンスパンボンド(Cerex Advanced Fabrics Inc.から入手可能なSpectramax 1.0osy(31gsm))ウェブである。水流交絡は、下記の条件下で行った。
プロファイル200/500/800/800/200;交絡エネルギー0.14HP時/lb(0.826MJ/kg)。
使用されたトップシートは、45gsmウォーターリーフシート(SS)である。
【0141】
ナイロンは、パーチメント浴に浸漬した場合、酸分解に感受性がある。したがって、交絡ナイロンシートは、トップシートと共に浴に浸漬しない。むしろ、トップシートをパーチメント浴に浸漬し、交絡ナイロンウェブは、トップシートを浴から取り出した後に、含浸済みのトップシートに積層する。交絡ナイロンウェブを、その組織面を一番上にした状態で、面上に配置する。次いでウォーターリーフを酸浴(72%硫酸及び11℃)に5秒間浸漬し、その後、交絡ナイロンサンプル上に置く。これらの2枚のシートを、ロール(4.05kg)で加圧(1回通過)して、空気を排除する。次いで複合体を、水道水で10分間濯ぐ。
【0142】
複合体を中和する場合、室温の10%グリセリン浴に20秒間浸漬することによって、軟化する。最後に、プレート乾燥器上で、110℃で10秒間乾燥する。
【0143】
以下の表は、水流交絡ナイロン第1シート及びパーチメント複合材料、サンプル33の、物理的性質を列挙する。
【表21】
【0144】
伸び
ナイロンスパンボンドウェブをベースにしたサンプル33は、乾燥及び浸漬状態で測定された破損点及び破断点伸びが、同じであることに留意すべきである。サンプル33は、強度、伸び、及びグリース障壁に関し、ポリプロピレンをベースにしたパーチメント複合体と同様の物理的性質を有していたが、サンプル33の最上層は、他のポリプロピレンをベースにしたパーチメント複合サンプルのような破損が無かった。
【0145】
ナイロンをベースにした複合体でのこの現象は、複合構造全体を通したより良好な結合に起因すると考えられる。サンプル33中の全ての成分は、酸の影響を受け易い。
【0146】
(実施例10)
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
チューブ状ソーセージケーシングを、先に作製した複合強化パーチメント紙のサンプルから作製した。サンプル24からの材料を、180mm幅に切って整えた後、縫い合わせた。
【0147】
サンプル34及び35を、サンプル24の一部から作製した。サンプル34及び35を酸シームし、セルロース面が1つになって外側の放射状シームが生成されるようにした。酸シームは、約8mm幅であった。スパンボンドベースウェブは、ケーシングの外側に面していた。酸シームは、下記の通り形成した。サンプルを、適切な長さ(通常は550mm)に切断した。対向する縁部(1つは上面、1つは下面)から6mmの所に線をマークした。切断されたサンプルを、型にクランプ留めし、マークを付けた縁部が垂れ下がるようにした。68%硫酸を、ブラシで、マークを付した縁部に塗った。約1分後、これら2つの縁部を乾燥させた。68%硫酸を、2回目として各縁部に塗布した。約3分後、酸性化した縁部を重ね合わせ、一緒に約10分間クランプ留めした。約10分後、クランプを除去し、チューブを型から滑り落とし、冷水をシーム領域上に流した。チューブをシンク内に置き、水を10から15分間流した。次に、チューブを約1時間、水浴に移した。最後に、チューブを、ブロッタとケーシング紙との間で、加圧下で一晩乾燥した。
【0148】
サンプル36及び37も、サンプル24の一部から作製した。縫い付けられたシームは、約6mm幅であった。スパンボンドベースウェブは、ケーシングの外面に面していた。上面は、詰めるのに使用されるチューブ材の外側に作製した。上面は、スパンボンド面又は大部分がポリマーの面である。標準的な市販のケーシングについても、試験をした。
【0149】
全てのサンプルのチューブ状ケーシングを、使用前に、温水に約25分間浸漬した。水は、触るのが不快なほど熱かった。従来のチューブ状ケーシングは、温水に全体として約40分間浸漬した。4つのサンプルのチューブ状ケーシング(それぞれ、34、35、36、及び37のもの)に、1つの従来のチューブ状ケーシングと同様に詰めた。詰める材料は、ソーセージ肉のフィリングであった。詰める作業は、典型的な商用条件を使用して、商用の充填装置で行った。チューブ状ケーシングの一端を手で縛り、肉混合物をケーシング中に押し出し、適切な時にチューブ状ケーシングの自由端を手で縛る。
【0150】
サンプルのチューブ状ケーシング34及び35(酸シーム)は、充填中にシームに沿って裂けた。サンプルのチューブ状ケーシング36及び37(縫い付けたシーム)は、従来のケーシングのように充填に耐えた。
【0151】
直径寸法変化
限られた量のデータに基づけば、標準のチューブ材は、0%から−1.7%の乾燥−湿潤の伸び(即ち、収縮)を示した。充填すると、推測される直径の伸び(湿潤時の平らな幅から計算された理論上の直径に対して)は、6.2%から12.2%であった。これらの数字は、新たに詰めた軟らかいソーセージに関して、直径を正確に測定することがいかに難しいかを示す。冷却すると、ソーセージは、その直径が約1.4%収縮する。
【0152】
サンプルのチューブ状ケーシング36及び37は、従来のチューブ状ケーシングよりも高い伸びの数字を示し、乾燥から湿潤まで(12〜13.4%)、及び湿潤から充填まで(10.2〜11.9%)であった。したがって、乾燥から充填までの全体的な変化は、22.2%〜25.3%である。冷却時の収縮の数字は、3.3〜4.3%である。
【0153】
(実施例11)
ケーシング材料としての複合強化パーチメント紙の使用
チューブ状ソーセージケーシングを、サンプル19として先に作製した複合強化パーチメント紙のサンプルから作製した。複合強化パーチメント紙の特徴は、強化要素(即ち、スパンボンドベースウェブ)が、セルロースを攻撃する酵素の影響を受け難いことである。これらの酵素は、セルロースをベースにしたケーシング上で成長し、ケーシング構造を弱め、詰めた製品を乾燥するのに吊り下げている間にケーシングが裂け、充填製品から剥がすときに無傷でケーシングを除去することが難しくなる。
【0154】
長さの短いチューブ状ソーセージケーシングサンプルは、縫い付けることによってシーム形成した。2つのタイプのシームを作製した。1つは外部シームであり;もう1つは平らなシームであった。外部シームでは、2つの縁部を1つに合わせ、縫い付けて、チューブの周辺から放射状に突出するひれ状部分を形成する。平らなシームでは、1つの縁部を他方に重ねる。2つの縁部を1つに縫い付けて、チューブ材の周辺の一部を形成する。各シームタイプごとに、チューブ状ケーシングサンプルを作製したが、このとき、スパンボンドベースウェブが内側に向くように、またスパンボンドベースウェブが外側に向くようにした。
【0155】
充填は、典型的な商用条件を使用して、商用充填装置で行った。ソーセージ室の装置は、ミキサ及び充填器からなる。ボイラは、別の部屋にある。充填器は、プログラムに合わせて設定することができ、設定重量を、再現可能に設定された圧力レジームで、自動的に送出することになる。通常の繊維状ケーシングでは、この結果、3 lb(約1.4kg)のソーセージが長さ約280mm及び直径約80mmとなる。この一連の試みに、通常の充填条件を使用した。充填材料は、ソーセージ肉のフィリング(Haggis)であった。
【0156】
サンプルのチューブ状ケーシングを、使用前に約10分間、生ぬるい湯に浸漬した。各サンプルのケーシング変形例、外部シーム、ベースウェブが内側に向いているもの;外部シーム、ベースウェブが外側に向いているもの;平らなシーム、ベースウェブが内側に向いているもの;平らなシーム、ベースウェブが外側に向いているものの1つに、充填した。全てのサンプルケーシングは、充填に耐えたが、1つのサンプルは、不均一に縫い付けられた平らなシームを有しており、これが充填中に引き裂かれ始めた。このシームは、破損を引き起こさず、その後の沸騰に耐えた。充填したケーシングの4つ全ては、充填直後に、縫い目にグリース浸透を示した。充填したケーシングの全てを沸騰させた。外部シームを有する別のサンプルは、沸騰中にシームに隣接してほとんどが裂けた。
【0157】
ボイラから充填済みケーシング(ソーセージ)を回収した後、充填した肉に隣接するスパンボンドベースウェブを有する充填済みケーシングは、グリースを過度に漏らしたことが非常に目に付いた。充填済みケーシングを繰り返し拭ったが、グリースは再び非常に速く流出する可能性があった。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース面を有する充填済みケーシングは、触るのにそれほど油っぽくなかった。充填済みケーシングを冷却し、拭い、その後、清浄なケーシング紙片上に10分間置いた。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース相を有する充填済みケーシングは、10分後に紙上に油の跡を残さず、一方、充填した肉に隣接してスパンボンドベースウェブを有する充填済みケーシングは、10分後に紙上に油の跡を残した。これらのグリーススポットは、充填済みケーシングのどちらかの端部にある傾向がある。
【0158】
充填済みケーシングのグリース流出試験は、一晩行った。次いで充填済みケーシングを計量し、予め量ったケーシング紙片に包み、さらにポリエチレンバッグに包んだ。バッグに入れられた充填済みケーシングを、冷蔵庫内に置いた。18時間後、包んだ紙を除去し、再度計量した。ほとんどの包み紙は、重量増加を示したが、この増加のほとんどは、水分によるものであった。包み紙を、ドラフト内で、空気流中に1時間吊るして水分を乾燥させ、その後、再び計量した。結果を、包み紙の重量%の増加で、また18時間でのグリース流出のppm(mg/kg)で報告する。これは、空気乾燥後の包み紙の重量増加を、充填済みケーシングの初期重量で割ることによって行う。
【0159】
充填した肉に隣接してスパンボンドベースウェブを有する2つの充填済みケーシングに関して測定したグリース流出は、334mg/kg及び509mg/kgである。充填した肉に隣接してパーチメントセルロース相を有する2つの充填済みケーシングに関して測定したグリース流出は、95及び161mg/kgである。これは、パーチメントセルロース面が肉に接触したときに、最良のグリース障壁が得られることの証拠である。全ての場合において、グリース流出の大部分は、シーム部で生じた。これは、試験で使用した包み紙の、残留グリースの染みを見ることによってわかった。平らなシームは、外部シームよりも品質が不十分なものであった。これは、平らなシームを有する充填済みケーシングの、より高い流出値に反映されている。
【0160】
従来の繊維状ケーシングを含むソーセージは、80.2mg/kgのグリース流出を有することがわかった。パーチメントセルロースの内面及び外側に縫い付けられたシームを有するサンプルのチューブ状ケーシングは、伝統的な繊維状ケーシングから得られるものと同等のグリース流出値を示す(95対80mg/kg)。複合強化パーチメントケーシングのシームを、グリースに対してより耐密に作製することができる場合、そのグリース流出性能は、従来の繊維状ケーシング材料に、より良く一致させることができる。
【0161】
直径寸法変化
この試験には、従来のケーシング材料を含めなかった。その他の試験では、従来の繊維状ケーシングは、0%から−1.7%の乾燥−湿潤での伸び(即ち、収縮)を示した。充填すると、推測される直径の伸び(湿潤時の平らな幅から計算された理論上の直径に対して)は、6.2%から12.2%であった。これらの数字は、新たに詰めた軟らかいソーセージに関して、直径を正確に測定することがいかに難しいかを示す。冷却すると、ソーセージは、その直径が約1.4%収縮する。
【0162】
複合強化パーチメント紙から形成された、サンプルのチューブ状ケーシングは、全て、乾燥から湿潤まで、6.0から7.5%の間の伸びの値を示し、これは、標準の繊維状ケーシングによって示される0%から−1.7%よりも高い。湿潤から充填に至るまで、複合強化ケーシングは、10.9から13.0%伸びる。これは、従来の繊維状ケーシングで見られる伸びの上端に向かうものであった。冷却すると、サンプルのチューブ状ケーシングは、収縮が1.4から1.6%の従来の繊維状ケーシングに比べ、+0.8から−1.1%の僅かな伸び又は収縮値を有していた。
【0163】
外観
ポリマーベースシート面が内側にあるか又は外側にあるかは、ソーセージの外観に劇的な影響を及ぼす。肉に隣接してパーチメントセルロースを有しており、且つスパンボンドベースシートが外側に向いているサンプルでは、スパンボンドベースシートのダイヤモンドカレンダーパターンが実に強力に見え、その外観は全く織物のようである。これは、より良好なグリース障壁をもたらす可能性のある配向である。肉に隣接したスパンボンドベースウェブ及び外側に向いたパーチメントセルロースを有するサンプルでは、ダイヤモンドカレンダーパターンはそれほど重くなく、最終的なソーセージはより透明に見え、即ち伝統的な繊維状ケーシング又は透明なプラスチックケーシングにより類似している。
【0164】
スパンボンドベースウェブ用に異なる結合パターンを選択することによって、複合強化パーチメント紙に異なる表面外観を生成することが可能である。表面外観のさらなる相違は、アパーチャ付き水流交絡ワイヤを使用することによって得ることができる。複合強化パーチメント紙の着色も、可能である。
【0165】
前述の発明の好ましい実施形態について、例示を目的に述べてきたが、前述の説明は、本明細書に発明を限定するものと見なすべきではない。したがって、様々な修正例、適応例、及び代替例を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者なら思い浮かべることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)不織ベースシートを形成するステップと、
b)ベースシートに、ゲル化剤に感受性のある材料を与えるステップと、
c)ベースシートをゲル化剤で処理して、ゲル化剤に感受性のある材料の一部を部分的に溶解するステップと、
d)ベースシートを洗浄して、ゲル化剤を除去し、ステップc)で溶解/ゲル化した材料を再生し沈殿させるステップと、
f)生成物を乾燥するステップと
を含む、強化パーチメント不織生成物を形成する方法。
【請求項2】
ゲル化剤に感受性のある材料が繊維状材料であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゲル化剤に感受性のある繊維状材料が、セルロース、キトサン、ナイロン、ポリ乳酸(PLA)の1種又は複数であり、ゲル化剤が、それぞれ、硫酸、酢酸、ギ酸、及びPLA溶媒の1種又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベースシートの繊維の少なくとも一部を結合するために、溶解した材料を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
不織ベースシートが、セルロース及び非セルロース繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ガラス、炭素、ポリエチレンテレフタレート(PET)、同様の又は改質された化学的性質を有するポリエチレンテレフタレートポリマー(例えば、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)変性ポリエチレンテレフタレート)の混合物、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのその他のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド、これらのポリマーのいずれかのコポリマー、これらのポリマーのいずれかの混合物、及びキトサンの少なくとも1種から、非セルロース繊維を得ることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
非セルロース繊維が熱可塑性ポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
非セルロース繊維がポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非セルロース繊維が、1種又は複数の独立に選択された、着色顔料、不透明顔料を含む加工添加剤、親水性薬剤、帯電防止剤などの機能性添加剤、及びこれらの混合物を含有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
非セルロース繊維が、約0.1から約30の間のデニールを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
非セルロース繊維の形状が、円、三葉、三角形、犬の骨の形、平ら、及び中空の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
非セルロース繊維が、100mm未満、有利には50mm未満、典型的には約4mmから約25mmの範囲の長さを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーから作製された非セルロース繊維が、押し出され、例えばスパンレイド又はメルトスパンされて、押出しフィラメントを形成することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
移動する形成面上にフィラメントを堆積して、フィラメントのスパンレイドバットを形成し、このように堆積されたフィラメントを、熱点結合によって又は空気結合を通して結合することにより、ベースシートを形成することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
セルロース繊維が、木材パルプ繊維、非木材植物パルプ繊維、及び再生セルロース繊維の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
木材パルプ繊維が、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、及びこれらの混合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非木材植物パルプ繊維が、綿、亜麻、サイザル、麻、ジュート、アフリカハネガヤ、バガス、藁、及びアバカ繊維の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
再生セルロース繊維が、ビスコース及びリオセル繊維の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
セルロース繊維が、約0.7mmから約25mm、有利には約1.5mmから約5mmの繊維長を有することを特徴とする、請求項5、15、16、17、又は18に記載の方法。
【請求項20】
パーチメント処理に使用されるセルロース繊維が、ユーカリ、カバの木、アカスギ、アカシア、亜麻、及びリネン繊維を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項21】
セルロース繊維が、900未満のセルロース重合度(DP)を有することを特徴とする、請求項5、15、16、17、18、19、又は20に記載の方法。
【請求項22】
連続し又はステープル長の熱可塑性繊維及びセルロース繊維のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
カーディングによって、連続し又はステープル長の熱可塑性繊維のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
押し出されたウェブ材料のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ベースシートがレーヨン繊維を含むことを特徴とする、請求項1から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
セルロース繊維をベースシートに付着させることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
強化不織複合生成物を形成するために、プリフォームウェブ若しくは組織として、又はウェットレイ若しくはエアレイプロセスを用いて、ベースシートにセルロース繊維を付着させることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
強化不織複合生成物を形成するために、湿式加圧によって又は交絡によって、前記セルロース繊維をベースシートに結合することを特徴とする、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記セルロース繊維がセルロースパルプ繊維、好ましくは木材パルプ繊維であることを特徴とする、請求項26、27、又は28に記載の方法。
【請求項30】
ベースシートに、熱硬化性樹脂、湿潤強化剤、及び充填剤の少なくとも1種を与えることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ベースシート又はベースシート複合体を、ゲル化剤としてアルカリ、酸、及び酸塩の水溶液の1種で処理することを特徴とする、請求項1から30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アルカリが苛性ソーダであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸が、硫酸、リン酸、硝酸、又はギ酸の1種であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記塩が、亜鉛、スズ、アンチモン、及びアルミニウム塩の1種であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
複合生成物を作製するために、少なくとも2種の不織シートを1つに結合して、シートの少なくとも1つがゲル化剤に対して感受性を有するように且つゲル化剤で処理されるようにすることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
流れ方向に実質的に連続して伸びるフィラメントで少なくとも部分的にシートの少なくとも1種を形成することを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
フィラメントが、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ガラス、又は金属から選択された材料を含むことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1枚のシートにおいて、ゲル化剤に感受性のある材料が、非繊維状フィルムであることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
非繊維状フィルムが、セルロースフィルム又はナイロンフィルム、好ましくはセロファンフィルムであることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ゲル化剤で処理する前、間、又は後に、1枚のシートを別のシート上に位置決めすることを特徴とする、請求項35から39までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ゲル化剤による前記処理c)が、ベースシート又はベースシート複合体をゲル化剤が入っている浴に通すことによって行われることを特徴とする、請求項1から40までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ステップd)でシートを洗浄する前に、ベースシート又はベースシート複合体を、シートの面上及び繊維間にゲル化材料を塗り広げるために、ゲル化浴の後に材料取扱いロール上又は間に通すことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
複合強化沈殿生成物を形成するために、ゲル化及び沈殿材料によってシートを互いに結合することを特徴とする、請求項35から42までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ベースシート又はベースシート複合体を可塑剤で処理することを特徴とする、請求項1から43までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
可塑剤が、グリセロール、グルコース、及びソルビトールの1種であることを特徴とする、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ゲル化ステップc)で、セルロースの30%未満を溶解することを特徴とする、請求項1から45までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
強化不織生成物の繊維の少なくとも40%がセルロース繊維であることを特徴とする、請求項1から46までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
べースシートが100%セルロース繊維を含むことを特徴とする、請求項1から47までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
追加のシートを少なくとも1枚のシートに重ねて、より層状化された複合強化沈殿生成物を形成することを特徴とする、請求項1から48までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ベースシートをチューブに形成し、その縁部を接合し、チューブをゲル化剤で処理し、チューブを洗浄し、チューブを乾燥して、チューブ状生成物を提供することを特徴とする、請求項1から49までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
強化ゲル化/沈殿不織生成物を、細片に切断し、細片を折り曲げてチューブを形成し、細片の両面を固定してシームを形成することを特徴とする、請求項1から50までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
熱可塑性繊維の不織ウェブで形成され、セルロース繊維が熱可塑性繊維ウェブに交絡し、セルロース繊維が少なくとも部分的にパーチメント処理されていることを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法より生成された、強化パーチメントシート。
【請求項53】
外面及び内面を有する沈殿セルロース材料を含む第1の不織層と、
実質的に連続した熱可塑性フィラメント、及び熱可塑性フィラメントに交絡したセルロース繊維との、第2の不織層であって、第1の層に隣接して内面を有し、内面からのフィラメントは沈殿セルロースに少なくとも部分的に埋め込まれている第2の層と、
セルロース繊維、セルロース材料、又はその両方から得られた沈殿セルロースによって1つに結合されている、第1及び第2の層と
を特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成された、強化複合パーチメントシート。
【請求項54】
複数のランダムに配向した熱可塑性繊維及び熱可塑性繊維に交絡したセルロース繊維であって、セルロース繊維の一部がパーチメント処理されていることを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成され、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適切な、複合パーチメント材料。
【請求項55】
実質的に連続したフィラメント及びフィラメントに交絡したセルロース繊維の、第1の不織層であって、内面を有する第1の層と、
外面及び対向する内面を有する沈殿セルロース材料を含む、第2の不織層と、
第2の層の内面に隣接する沈殿セルロース内に埋め込まれた、いくらかのフィラメントと、
沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている層と
を特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成され、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適切な、複合材料。
【請求項56】
第2の層が、セルロース繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項57】
第2の層が、セルロースフィルムをさらに含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項58】
第1の層が、セルロース繊維が内部に交絡しているスパンレイドウェブ、又はセルロース繊維が内部に交絡しているメルトブローンウェブを含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項59】
内面と、内面に隣接したフィラメントの一部を部分的に取り囲む沈殿材料と、沈殿材料の薄く稠密な層を少なくとも部分的に含む外表面とを有する、実質的にランダムに配向した実質的に連続したフィラメントの不織ウェブを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成された、複合強化沈殿生成物。
【請求項60】
セルロース繊維が第1の層のフィラメント間に介在し、沈殿材料が沈殿セルロースであることを特徴とする、請求項59に記載の複合強化沈殿生成物。
【請求項61】
第2の層が、第1の層に対して実質的に連続して面間接触しており、第1及び第2の層が、沈殿材料によってのみ1つに結合されていることを特徴とする、請求項59に記載の複合強化沈殿生成物。
【請求項1】
a)不織ベースシートを形成するステップと、
b)ベースシートに、ゲル化剤に感受性のある材料を与えるステップと、
c)ベースシートをゲル化剤で処理して、ゲル化剤に感受性のある材料の一部を部分的に溶解するステップと、
d)ベースシートを洗浄して、ゲル化剤を除去し、ステップc)で溶解/ゲル化した材料を再生し沈殿させるステップと、
f)生成物を乾燥するステップと
を含む、強化パーチメント不織生成物を形成する方法。
【請求項2】
ゲル化剤に感受性のある材料が繊維状材料であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゲル化剤に感受性のある繊維状材料が、セルロース、キトサン、ナイロン、ポリ乳酸(PLA)の1種又は複数であり、ゲル化剤が、それぞれ、硫酸、酢酸、ギ酸、及びPLA溶媒の1種又は複数であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ベースシートの繊維の少なくとも一部を結合するために、溶解した材料を使用することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
不織ベースシートが、セルロース及び非セルロース繊維を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ガラス、炭素、ポリエチレンテレフタレート(PET)、同様の又は改質された化学的性質を有するポリエチレンテレフタレートポリマー(例えば、CHDM(1,4−シクロヘキサンジメタノール)変性ポリエチレンテレフタレート)の混合物、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)やポリトリメチレンテレフタレート(PTT)などのその他のポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド、これらのポリマーのいずれかのコポリマー、これらのポリマーのいずれかの混合物、及びキトサンの少なくとも1種から、非セルロース繊維を得ることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
非セルロース繊維が熱可塑性ポリマー材料を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
非セルロース繊維がポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートを含むことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
非セルロース繊維が、1種又は複数の独立に選択された、着色顔料、不透明顔料を含む加工添加剤、親水性薬剤、帯電防止剤などの機能性添加剤、及びこれらの混合物を含有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
非セルロース繊維が、約0.1から約30の間のデニールを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
非セルロース繊維の形状が、円、三葉、三角形、犬の骨の形、平ら、及び中空の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
非セルロース繊維が、100mm未満、有利には50mm未満、典型的には約4mmから約25mmの範囲の長さを有することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
熱可塑性ポリマーから作製された非セルロース繊維が、押し出され、例えばスパンレイド又はメルトスパンされて、押出しフィラメントを形成することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
移動する形成面上にフィラメントを堆積して、フィラメントのスパンレイドバットを形成し、このように堆積されたフィラメントを、熱点結合によって又は空気結合を通して結合することにより、ベースシートを形成することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
セルロース繊維が、木材パルプ繊維、非木材植物パルプ繊維、及び再生セルロース繊維の少なくとも1種であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項16】
木材パルプ繊維が、広葉樹パルプ繊維、針葉樹パルプ繊維、及びこれらの混合物の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
非木材植物パルプ繊維が、綿、亜麻、サイザル、麻、ジュート、アフリカハネガヤ、バガス、藁、及びアバカ繊維の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
再生セルロース繊維が、ビスコース及びリオセル繊維の少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
セルロース繊維が、約0.7mmから約25mm、有利には約1.5mmから約5mmの繊維長を有することを特徴とする、請求項5、15、16、17、又は18に記載の方法。
【請求項20】
パーチメント処理に使用されるセルロース繊維が、ユーカリ、カバの木、アカスギ、アカシア、亜麻、及びリネン繊維を含むことを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項21】
セルロース繊維が、900未満のセルロース重合度(DP)を有することを特徴とする、請求項5、15、16、17、18、19、又は20に記載の方法。
【請求項22】
連続し又はステープル長の熱可塑性繊維及びセルロース繊維のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から21までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
カーディングによって、連続し又はステープル長の熱可塑性繊維のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から22までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
押し出されたウェブ材料のベースシートを形成することを特徴とする、請求項1から23までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
ベースシートがレーヨン繊維を含むことを特徴とする、請求項1から24までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
セルロース繊維をベースシートに付着させることを特徴とする、請求項1から25までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
強化不織複合生成物を形成するために、プリフォームウェブ若しくは組織として、又はウェットレイ若しくはエアレイプロセスを用いて、ベースシートにセルロース繊維を付着させることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
強化不織複合生成物を形成するために、湿式加圧によって又は交絡によって、前記セルロース繊維をベースシートに結合することを特徴とする、請求項26又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記セルロース繊維がセルロースパルプ繊維、好ましくは木材パルプ繊維であることを特徴とする、請求項26、27、又は28に記載の方法。
【請求項30】
ベースシートに、熱硬化性樹脂、湿潤強化剤、及び充填剤の少なくとも1種を与えることを特徴とする、請求項1から29までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ベースシート又はベースシート複合体を、ゲル化剤としてアルカリ、酸、及び酸塩の水溶液の1種で処理することを特徴とする、請求項1から30までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記アルカリが苛性ソーダであることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸が、硫酸、リン酸、硝酸、又はギ酸の1種であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記塩が、亜鉛、スズ、アンチモン、及びアルミニウム塩の1種であることを特徴とする、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
複合生成物を作製するために、少なくとも2種の不織シートを1つに結合して、シートの少なくとも1つがゲル化剤に対して感受性を有するように且つゲル化剤で処理されるようにすることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
流れ方向に実質的に連続して伸びるフィラメントで少なくとも部分的にシートの少なくとも1種を形成することを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
フィラメントが、ポリマー、熱可塑性ポリマー、ガラス、又は金属から選択された材料を含むことを特徴とする、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
少なくとも1枚のシートにおいて、ゲル化剤に感受性のある材料が、非繊維状フィルムであることを特徴とする、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
非繊維状フィルムが、セルロースフィルム又はナイロンフィルム、好ましくはセロファンフィルムであることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ゲル化剤で処理する前、間、又は後に、1枚のシートを別のシート上に位置決めすることを特徴とする、請求項35から39までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ゲル化剤による前記処理c)が、ベースシート又はベースシート複合体をゲル化剤が入っている浴に通すことによって行われることを特徴とする、請求項1から40までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ステップd)でシートを洗浄する前に、ベースシート又はベースシート複合体を、シートの面上及び繊維間にゲル化材料を塗り広げるために、ゲル化浴の後に材料取扱いロール上又は間に通すことを特徴とする、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
複合強化沈殿生成物を形成するために、ゲル化及び沈殿材料によってシートを互いに結合することを特徴とする、請求項35から42までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
ベースシート又はベースシート複合体を可塑剤で処理することを特徴とする、請求項1から43までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
可塑剤が、グリセロール、グルコース、及びソルビトールの1種であることを特徴とする、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ゲル化ステップc)で、セルロースの30%未満を溶解することを特徴とする、請求項1から45までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
強化不織生成物の繊維の少なくとも40%がセルロース繊維であることを特徴とする、請求項1から46までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
べースシートが100%セルロース繊維を含むことを特徴とする、請求項1から47までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
追加のシートを少なくとも1枚のシートに重ねて、より層状化された複合強化沈殿生成物を形成することを特徴とする、請求項1から48までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ベースシートをチューブに形成し、その縁部を接合し、チューブをゲル化剤で処理し、チューブを洗浄し、チューブを乾燥して、チューブ状生成物を提供することを特徴とする、請求項1から49までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
強化ゲル化/沈殿不織生成物を、細片に切断し、細片を折り曲げてチューブを形成し、細片の両面を固定してシームを形成することを特徴とする、請求項1から50までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
熱可塑性繊維の不織ウェブで形成され、セルロース繊維が熱可塑性繊維ウェブに交絡し、セルロース繊維が少なくとも部分的にパーチメント処理されていることを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法より生成された、強化パーチメントシート。
【請求項53】
外面及び内面を有する沈殿セルロース材料を含む第1の不織層と、
実質的に連続した熱可塑性フィラメント、及び熱可塑性フィラメントに交絡したセルロース繊維との、第2の不織層であって、第1の層に隣接して内面を有し、内面からのフィラメントは沈殿セルロースに少なくとも部分的に埋め込まれている第2の層と、
セルロース繊維、セルロース材料、又はその両方から得られた沈殿セルロースによって1つに結合されている、第1及び第2の層と
を特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成された、強化複合パーチメントシート。
【請求項54】
複数のランダムに配向した熱可塑性繊維及び熱可塑性繊維に交絡したセルロース繊維であって、セルロース繊維の一部がパーチメント処理されていることを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成され、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適切な、複合パーチメント材料。
【請求項55】
実質的に連続したフィラメント及びフィラメントに交絡したセルロース繊維の、第1の不織層であって、内面を有する第1の層と、
外面及び対向する内面を有する沈殿セルロース材料を含む、第2の不織層と、
第2の層の内面に隣接する沈殿セルロース内に埋め込まれた、いくらかのフィラメントと、
沈殿セルロースによってのみ1つに結合されている層と
を特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成され、食品を包装するためのケーシング材料の作製に適切な、複合材料。
【請求項56】
第2の層が、セルロース繊維をさらに含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項57】
第2の層が、セルロースフィルムをさらに含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項58】
第1の層が、セルロース繊維が内部に交絡しているスパンレイドウェブ、又はセルロース繊維が内部に交絡しているメルトブローンウェブを含むことを特徴とする、請求項55に記載の複合材料。
【請求項59】
内面と、内面に隣接したフィラメントの一部を部分的に取り囲む沈殿材料と、沈殿材料の薄く稠密な層を少なくとも部分的に含む外表面とを有する、実質的にランダムに配向した実質的に連続したフィラメントの不織ウェブを特徴とする、請求項1から51までのいずれか一項に記載の方法により生成された、複合強化沈殿生成物。
【請求項60】
セルロース繊維が第1の層のフィラメント間に介在し、沈殿材料が沈殿セルロースであることを特徴とする、請求項59に記載の複合強化沈殿生成物。
【請求項61】
第2の層が、第1の層に対して実質的に連続して面間接触しており、第1及び第2の層が、沈殿材料によってのみ1つに結合されていることを特徴とする、請求項59に記載の複合強化沈殿生成物。
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図20】
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【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2010−515834(P2010−515834A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545206(P2009−545206)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050005
【国際公開番号】WO2008/084139
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際出願番号】PCT/FI2008/050005
【国際公開番号】WO2008/084139
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(504029499)アールストロム コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】
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