説明

層間強化用のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子

エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子はプリプレグおよび複合体材料の層間強化に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
発明の分野
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は複合体材料の層間強化に有用である。
【背景技術】
【0002】
関連技術の記述
複合体材料の性質を変更するために種々のタイプの粒子が使用されている。特に、架橋結合されていない熱可塑性粒子が熱硬化性樹脂中で使用されているが種々の問題を伴っている。熱可塑性樹脂の濃度が高まるにつれて1つの問題が起きる。適合性または可溶性の熱可塑性粒子の樹脂中の高濃度は樹脂中へのそれらの溶解をもたらし、劣悪な環境耐性をもたらす転相を受け易い組み合わせを生ずる。硬化中に溶解する熱可塑性粒子では他の問題が起き、その理由は生じた複合体がその熱硬化性熱機械的性質を充分保有しないためである。他の不溶性粒子は樹脂材料を粒子に浸透させ得ず、粒子および樹脂の間の結合分離を引き起こし、それは複合体材料に対して充分な強度を与えない。
【発明の概要】
【0003】
ここに記述される樹脂システム中で使用されるエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は従来の粒子のこれらのおよび他の欠点を克服する。
【0004】
発明の要旨
ここに詳述される発見は、複合体層間強化剤としての主要用途を有する熱可塑性粒子を提供する。粒子は硬化時に樹脂システム中に不溶性のままであり、それにより複合体製品の靭性および損傷耐性を高める。そのような粒子を用いて製造される複合体は、熱可塑性重合体の溶解形態を含有する複合体と比べて、25%またはそれより多い損傷耐性における増加を示す。複合体製品中での本発明の熱可塑性粒子の使用により強化される別の特性は、減じられた溶媒感受性、改良された温熱湿潤性質、プリプレグに関する改良された加工性質、および微細割れに対する耐性を包含する。
【0005】
従って、ここに詳細に記述される発明は、一面では、複数のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子および熱硬化性樹脂を含む樹脂システムを提供し、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、そしてエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化時に熱硬化性樹脂中で膨潤可能である。
【0006】
他の面では、本発明は熱可塑性重合体骨格および熱可塑性重合体骨格に架橋結合された架橋結合剤を有するエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を提供し、ここで架橋結合剤は2または2より大きい反応性を有し、ここで架橋結合剤は熱可塑性重合体骨格の官能基と反応性であり、ここで熱可塑性骨格は化学的に架橋結合可能であり、ここでエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、ここでエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化時に熱硬化性樹脂中で膨潤可能であり、そしてエポキシ樹脂はエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である。
【0007】
さらに別の面では、本発明はここに詳細に記述される樹脂システムおよびエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を含むプリプレグ、複合体、および繊維プリフォ
ームを提供する。
【0008】
本発明はまた、熱可塑性重合体および架橋結合剤を適当な溶媒中に溶解し、1種もしくはそれ以上の安定剤の存在下で重合体/溶媒混合物を非相容性溶液と混合することにより乳濁液を製造し、溶媒を乳濁液からストリッピングさせて固体粒子を製造し、そして固体粒子を硬化させてそれにより粒子中で重合体鎖を架橋結合することによるここに記述されるエンジニアリングされた粒子を製造する方法も包含する。
【0009】
本発明のこれらのおよび他の目的、特徴および利点は、本発明の種々の面の以下の詳細な記述から添付された図面および実施例と一緒になって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図面の簡単な記述
【図1】図1aおよび1bはマトリックス単量体が粒子中に拡散した後の粒子の性質の進展を示す。図1aはより高度に架橋結合された粒子のコアに向かってより高い熱可塑性樹脂濃度を示すが、図1bはそれより高度でなく架橋結合された粒子のコア中のより低い熱可塑性樹脂濃度を示す。
【図2】図2は粒子の膨潤因子に対する架橋結合剤濃度を示す。
【図3】図3は粒子により作成されそして維持されている層間空所を示し、それは粒子が周囲にある熱硬化性樹脂により膨潤される時を含めて充分な靭性を維持する。粒子は樹脂に富んだ領域内で見え、それらは炭素繊維に富んだプライを分けている。
【図4】図4aおよび4bは歪み下での溶媒耐性試験後の複合体層間領域を示し、蛍光染料の使用により微細割れが見える。図4aは架橋結合された適合性粒子の運動を示し、そして図4bはPPO改質樹脂のものを示す。割れは従来の熱可塑性樹脂粒子を有する試料でのみ観察される。
【0011】
好ましい態様の詳細な記述
ここに記述される新規な重合体粒子は熱硬化性マトリックス複合体の層間にある樹脂に富んだ領域の中で使用されて例えばCAI、GIC、GIIC、OHCなどの如き機械的性質を改良しうる。幾つかの態様では、粒子は少なくとも2つの異なる基準を満たす熱可塑性重合体を含有する。例えば、熱可塑性重合体は同時に例えばエポキシ樹脂の如き熱硬化性樹脂と熱力学的に適合性であり且つそれらは樹脂中でのそれらの溶解を防止するために化学的に架橋結合される。それらの架橋結合レベルが粒子内への硬化されていない熱硬化性樹脂の拡散に影響する。1つの利点は、周囲にある樹脂マトリックスとの勾配相間を示す粒子発生による粒子および樹脂マトリックスの間の強い結合および良好な応力移行を包含する。架橋結合された粒子の他の利点は、複合体材料中の改良された溶媒に対する耐性および微細割れの付与を包含する。重篤な温熱湿潤および流体敏感性質を与えずに、粒子は増加した靭性(衝撃後圧縮(CAI)、モードIおよびIIにおける破壊靭性または離層耐性(GIC、GIIC))を複合体に付与する。この技術の他の利点は、粒子の性質を特定のエポキシ樹脂調合物に適合させる能力である。粒子、粒子を含んでなる組成物、および関与する方法並びに関連する利点は以下でさらに詳細に論議されるであろう。
【0012】
複合体材料を強化するための粒子に関する早期の研究は例えばカルボキシル末端ゴムの如き官能化されたゴム粒子または例えばポリシロキサン類の如きゴム−タイプ重合体を包含していた。これらのゴム粒子も、できれば一般的に記述されているRIPS(樹脂で誘導される相分離)による「インシトゥ」生成により、架橋結合されていると主張されている。しかしながら、ゴムと樹脂マトリックスの熱力学的非適合性により、ここに記述されている粒子の幾つかの態様とは異なり、ゴム粒子中へのマトリックス樹脂の拡散はない。
【0013】
1991年、1998年におけるその後の開発は、例えば東レ(Toray)からのナ
イロン粒子の如き熱可塑性粒子を包含していた。東レおよびアモコ(Amoco)は例えば東レからのTN粒子またはアモコからの何らかのNylon 12の如きポリアミド上の熱可塑性粒子をしばしば基礎にしていた。多くの熱可塑性樹脂は熱硬化性樹脂中に、そのような樹脂とのそれら固有の非相容性のために、可溶性でない。熱硬化性樹脂中でのコア−シェル粒子およびハイブリッド粒子(無機/有機)の使用は1990年代後半に導入された。
【0014】
ナイロン粒子も複合体の層間領域を強化するために使用されてきた。粒子の直径、層間領域の厚さおよびマトリックス樹脂の延性の影響が研究されてきた。さらに最近では、「強化用粒子」は例えばコア−シェルナノ粒子の如きナノ−粒子を包含しており、それらはここに記述されている態様の粒子とは異なり樹脂との勾配界面を作成することができない。
【0015】
本発明の幾つかの態様は、樹脂中への膨潤を可能にするがその溶解を防止するために架橋結合されている熱力学的に適合性の熱可塑性樹脂を使用することによる粒子および周囲にあるマトリックスの間の勾配および強い界面の設計に基づいている。
【0016】
ここで使用される際には用語「熱可塑性樹脂」は当業者に既知であるその一般的意味を有しそしてエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に熱可塑性重合体骨格を含んでなる熱可塑性樹脂を包含する。幾つかの面では、熱可塑性樹脂は骨格および/または末端基を介して化学的に架橋結合可能である。幾つかの態様では、熱可塑性樹脂はポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの共重合体、例えば種々の繰り返し単位比を有するPES/PEES、PESホモ重合体(例えばスミトモ(Sumitomo)からのPES 5003Pもしくはソルベイ・ポリマーズ(Solvay polymers)からのRadel PES)またはPEESホモ重合体の1種もしくはそれ以上でありうる。熱可塑性骨格の一例はサイテック・エンジニアード・マテリアルズ・インコーポレーテッド(Cytec Engineered Materials,Inc.)から製造されるHC99であり、それは独占所有権のあるアミン末端PES/PEES熱可塑性樹脂である。熱可塑性重合体骨格は、アミド、イミド、エステル、エーテル、ビフェニル、スルフィドおよびカーボネート結合を含有するいずれかの芳香族重合体、共重合体またはオリゴマー並びにそれらのいずれかの組み合わせも含んでなりうる。
【0017】
重合体骨格の化学的構造の他に、骨格および/または鎖末端が反応性であるなら、重合体分子量が粒子の全体的な架橋結合密度を調節するための別の方法である。架橋結合が重合体鎖末端を通って起きる場合には、より短い分子はより高い最大架橋結合密度を達成しうるであろう。熱可塑性樹脂は重合体またはプリポリマーでありうる。重合体は鎖の絡み合いを示すのに充分多い数の化学的に結合された単量体単位を含有する分子を含んでなりうるが、同等なプリポリマーは同じ化学的に結合された単量体単位を含んでなりうるが鎖の絡み合いを示すのに充分多い数ではない。幾つかの態様では、熱可塑性樹脂の分子量は約3,000−100,000g/モル、例えば約3,000−40,000g/モルの分子量、より典型的には約3,000−20,000g/モル、である。
【0018】
反応性の懸垂および鎖末端の百分率並びにそれらのタイプ/反応性は、例えば架橋結合密度の如き粒子の最終的性質を調節する別のパラメーターである。幾つかの態様では、反応性のアミン末端基は何らかの架橋結合剤に対して良好な反応性を示すため、それらが使用される。ヒドロキシル、カルボキシル、メチロール、グリシジル、無水物、ビニルおよびジエン基も反応性でありそして種々の架橋結合剤との広範囲の反応性レベルを与える。反応性の基の性質は以下のものであるアミン、ヒドロキシル、無水物、グリシジル、カル
ボン酸、マレイミド、ナジミド(nadimide)、シアン酸エステル、アセチレン、ビニルまたはジエンの1種もしくはそれ以上であることができ、幾つかの場合には重合体鎖上の不飽和が架橋結合点(アクリルおよびメタクリル系並びに何らかの不飽和ゴム類、ビニルエステル類または不飽和ポリエステル類)として作用しうる。
【0019】
幾つかの態様では、反応性基の数は1つの鎖当たり最大1つの反応性基であることができそして、幾つかの態様では、連結された重合体骨格を作成するために必要な最も少ない部分として考えられ、1.5付近またはそれより大きい数が密に架橋結合された重合体を製造するために好ましい。2より大きい官能性を有する重合体は高度に反応したゲルを容易に製造するであろう。ここで使用される際には用語「エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子」は当業者に既知であるその一般的意味を有することができそして例えば架橋結合剤と架橋結合される熱可塑性重合体骨格を包含しうる。幾つかの態様では、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は熱硬化性樹脂と熱力学的に適合性である。別の態様では、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は熱硬化性樹脂の中に実質的に溶解することができない。しかしながら、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化されていない熱硬化性樹脂前駆体の中で膨潤可能である。粒子の性質に特異的である特定の開始温度に達しそしてそれを越えると、熱硬化性樹脂中に存在する粒子は樹脂の単量体およびオリゴマー種の吸収により膨潤し始めるであろう。粒子が例えば粒子および樹脂が配合される温度の如き低い温度において過度に膨潤する場合には、粘度が増加して繊維(例えば炭素繊維)に樹脂/粒子組み合わせが浸透しにくくなりうる。幾つかの態様では、樹脂/粒子の組み合わせを配合温度より高い温度に加熱して粒子中への樹脂の拡散を起こす。吸収された単量体は引き続き粒子内で樹脂の規則的硬化中に反応する。それ故、「実質的に溶解可能でない」または「実質的に不溶性」は粒子が樹脂中での存在時に膨潤する可能性を除外しない。「実質的に溶解する」または「実質的に可溶性」は実質的に均質な組み合わせの生成を包含する。
【0020】
幾つかの態様では、層間強化用の架橋結合された粒子は例えばエポキシ類の如き熱硬化性樹脂との良好な適合性および化学結合によるそのような単量体の中での不溶性を有する。一面では、PES(ポリエーテルスルホン)およびPEES(ポリエーテルエーテルスルホン)繰り返し単位をベースとした共重合体を含んでなる粒子はエポキシシステムとのそして特に例えば4,4’ジアミノジフェニルスルホン(DDS)の如き芳香族アミン類で硬化されるものとの優れた適合性を示す。
【0021】
粒子中の架橋結合度は例えばゾル/ゲル部分の如き試験および以下の実施例2で詳細に論じられているような単量体エポキシ樹脂中の膨潤度の如き試験を使用して測定できる。
【0022】
幾つかの面では、熱可塑性粒子はエラストマーまたはゴムを含んでない。エラストマーまたはゴムは当業者に既知でありそしてガラス移行温度が25℃より低いかまたは室温より低い重合体、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリブチルアクリレート、ポリシロキサン、エチレンプロピレンジエン(EDPM)、ブタジエンアクリロニトリルなどを包含する。幾つかの面では、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は例えばエポキシ樹脂の如き熱硬化性樹脂との調合で勾配界面を形成する。エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は複合体の硬化前に約1〜100μm、典型的には約40μm、の平均粒子寸法を有しうる。それらは実質的に球形である。粒子寸法は最終的なそして硬化した生成物中では粒子の膨潤により増加するであろう。ある種の態様では、最終的なそして硬化した生成物中の平均粒子寸法は約5μm〜約40μmでありうる。ここで使用される際の用語「架橋結合剤」は当業者に既知であるその一般的な意味を有することができそして熱可塑性重合体を架橋結合させ始めうるいずれかの架橋結合剤を包含しており、ここで架橋結合剤は熱可塑性重合体上の基とまたはその骨格上に存在するいくつかの官能基と反応性である。幾つかの態様では、架橋結合剤は2または2より大きい反応
性を有する。他の態様では、架橋結合剤は熱可塑性重合体骨格と相容性である。他の態様では、例えば、反応が熱可塑性重合体および架橋結合剤に対する一般的な溶媒を使用して溶液中で行われる場合には、架橋結合剤は熱可塑性重合体と相容性でない。この出願のための架橋結合を受け易い熱可塑性重合体は、ヒドロキシル末端を有するポリエーテルスルホン類(PES)、ヒドロキシル末端の、アミン末端のもしくは無水物末端のポリエーテルイミド類(PEI)、ヒドロキシル末端を有するポリフェニレンオキシド類(PPOもしくはポリフェニレンエーテルPPE)、フルオロもしくはヒドロキシル末端を有するポリアリールエーテルケトン類(PAEK、PEEK、PEKKを包含する)、または反応性末端基もしくは主鎖官能基を有するいずれかのエンジニアリングされた重合体である。重合体末端基/官能基の化学的性質により、適切な多官能性架橋結合剤を選択できる。そのような架橋結合剤の例は、アルキル化されたメラミン誘導体(例えば、Cymel 303)、酸塩化物(例えば、1,3,5ベンゼントリカルボニルトリクロリド)、多官能性エポキシ類(例えばMY0501、MY721)、カルボン酸類(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸)である。多不飽和熱可塑性重合体は熱、紫外線または他の照射硬化技術を用いるラジカル付加を用いても容易に架橋結合されうる。
【0023】
架橋結合剤の例はコーティング工業において広く使用されているメラミン誘導体、例えば約4.4の複数反応性部位の平均を有するサイテック・インダストリーズ(Cytec
Industries)により製造されるCymel(R)350、高度にメチル化されたメラミン樹脂、例えば約4.9の複数反応性部位の平均を有しそして以下の構造
【0024】
【化1】

【0025】
を有するサイテック・インダストリーズにより製造されるCymel(R)303、高度にアルキル化されたグリコルリル樹脂、例えば約2.9の複数反応性部位の平均を有しそして以下の構造
【0026】
【化2】

【0027】
を有するサイテック・インダストリーズにより製造されるCymel(R)1170、テト
ラキス(メトキシメチル)グリコルリルを含有する樹脂、例えば化学名イミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5(1H,3H)−ジオンテトラヒドロ−1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)を有する約3.25の複数反応性部位の平均を有するPowderlink(R)1174樹脂、を包含する。この態様では、架橋結合剤対熱可塑性骨格の割合は、調合物の重量により、約2〜約15%、例えば約4〜約13%、でありうる。架橋結合剤の典型的な量は調合物の組み合わせ重量の約6−8%である。架橋結合剤対熱可塑性骨格の割合は他のタイプの架橋結合剤に関しては異なることがあり、そして当業者により日常的な実験だけを必要とする方法を用いて決めることができる。
【0028】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は架橋結合反応用の触媒を用いて製造することができる。ここで使用される際には用語「触媒」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして酸触媒、例えばp−トルエンスルホン酸、または強スルホン酸触媒、例えばサイテック・インダストリーズにより製造されるCycat(R)500、を包含しうる。
【0029】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子の製造方法も意図される。幾つかの態様では、この方法は熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒の乳濁液を乾燥しそして乾燥した粉末を硬化させることを含んでなる。この方法は熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒を水と非相容性でありうる溶媒の中に水を用いて乳濁液にできる非イオン性界面活性剤の存在下で溶解させることも含んでなる。反応条件並びに架橋結合剤のタイプおよびレベルが粒子の最終的性質を決めるであろう。例えば温度の如き反応条件はより大きい架橋結合をもたらす。より大きい官能性を有する架橋結合剤は熱可塑性粒子の架橋結合度に影響を与えるであろう。比較的低い官能性を有する他の架橋結合剤はより少ない程度に架橋結合するであろう。架橋結合剤濃度も架橋結合度に正比例するであろう。
【0030】
ここで使用される際には用語「マトリックス」、「樹脂」、および「マトリックス樹脂」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして熱硬化性物質を含んでなる1種もしくはそれ以上の化合物を包含しうる。エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を複合体材料の製造において有用である例えばエポキシ樹脂の如き熱硬化性樹脂と組み合わせることができる。ここで使用される際には用語「熱硬化性樹脂」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそしてエポキシ類、イミド類(例えば、ポリイミド類(PMR15)、ビスマレイミド(BMI))、シアン酸エステル類、ベンゾキサジン類、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ−アクリレートおよびエポキシ−メタクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、それらの組み合わせ、並びにそれらの前駆体を包含しうる。幾つかの態様では、熱硬化性樹脂は単量体および/または低分子量液体を含んでなり、樹脂が加熱されそしてその粘度が低い時には樹脂は膨潤するエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子により吸収される。幾つかの態様では、樹脂は粒子中で硬化する。幾つかの態様では、樹脂は粒子中で硬化する。幾つかの態様では、樹脂はエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子の膨張を引き起こしうる。
【0031】
ここで使用される際には用語「硬化する」、および「硬化」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして重合および/または架橋結合工程を包含しうる。硬化は加熱、紫外線への露呈、および照射線への露呈を包含するが、それらに限定されない。硬化前に、マトリックスはほぼ室温において液体、半固体、結晶性固体、およびそれらの組み合わせである1種もしくはそれ以上の化合物をさらに含んでなりうる。別の態様では、選択される粘着性もしくはタックおよび/または流動性質を示すためにプリプレグ内のマトリックスを部分的に硬化させうる。
【0032】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子および樹脂の組成物はプリプレグ
の製造において有用である。さらに、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は例えば射出成型の如き液体成型工程においても使用できる。ここで使用される際には用語「プリプレグ」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそしてそれ故マトリックス材料が少なくとも容量の一部内に浸透している繊維のシートまたは層を包含する。マトリックスは部分的に硬化した状態で存在しうる。
【0033】
ここで使用される際には用語「繊維」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして複合体の強化に適する1種もしくはそれ以上の繊維質材料を包含しうる。繊維は粒子、薄片、ウィスカー、短繊維、連続繊維、シート、プライ、およびそれらの組み合わせのいずれかの形態をとりうる。連続繊維は単一方向、多次元(例えば二もしくは三元)、不織、織り、編み、縫い、巻き、および組み構造、並びにスワールマット、フェルトマット、および細断マット構造のいずれかをさらにとりうる。織り繊維構造は、約1000より少ないフィラメント、約3000より少ないフィラメント、約6000より少ないフィラメント、約12000より少ないフィラメント、約24000より少ないフィラメント、約48000より少ないフィラメント、約56000より少ないフィラメント、約125000より少ないフィラメント、および約125000より多いフィラメントを有する複数の織りトウを含んでなりうる。別の態様では、トウがクロス−トウステッチ、横糸挿入編みステッチ、または少量の例えばサイジングの如き樹脂により定位置に保たれうる。
【0034】
繊維の組成物は必要に応じて変動させうる。繊維組成物の態様はガラス、炭素、アラミド、石英、玄武岩、ポリエチレン、ポリエステル、ポリ−p−フェニレン−ベンゾビスオキサゾール(PBO)、ホウ素、炭化珪素、ポリアミド、炭素、およびグラファイト、並びにそれらの組み合わせを包含するが、それらに限定されない。1つの態様では、繊維は炭素、ガラス繊維、アラミド、または他の熱可塑性材料である。強化用繊維は有機性または無機性でありうる。さらに、繊維は形態が連続性もしくは非連続性のいずれかであるものを包含する織物構造を包含しうる。
【0035】
ここで使用される際には用語「レイアップ」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして互いに関して隣接して置かれる1つもしくはそれ以上のプリプレグを包含しうる。ある種の態様では、レイアップ内のプリプレグは互いに関して選択された方向に配置できる。別の態様では、プリプレグは選択された方向からのそれらの相対的移動を阻止するために場合により糸材料と一緒に縫うことができる。他の態様では、「レイアップ」は完全浸透プリプレグ、部分的浸透プリプレグ、およびここで論じられているような穴あきプリプレグのいずれかの組み合わせを含んでなりうる。レイアップは手動レイアップ、自動化テープレイアップ(ATL)、先端繊維配置(AFP)、およびフィラメント巻き取りを包含しうるがそれらに限定されない技術により製造することができる。
【0036】
幾つかの液体成型態様では、粒子を繊維含有プリフォームの中に樹脂なしで予備分散させうる。ここで使用される際には用語「プリフォーム」または「繊維プリフォーム」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして樹脂の受容が容易である例えば単一方向繊維および織り布の如き繊維の組み立て品を包含する。
【0037】
適切な熱可塑性重合体の選択が、粒子が樹脂中に溶解する危険性なしに、周囲にある熱硬化性マトリックスとの化学的適合性(すなわち、熱力学的適合性)を確実にする。熱可塑性粒子とマトリックスの化学的適合性が粒子中への調節された量の液体樹脂の拡散を促進して粒子と樹脂の結合を有意に増加させる。化学的適合性の利点は、以下でさらに詳細に論じられているように、粒子の架橋結合された性質による樹脂中への熱可塑性樹脂の溶解または浸出を犠牲にして達成されるものではない。幾つかの態様では、樹脂は粒子中に拡散できそしてこれに反することなく粒子は樹脂の配合および硬化工程中にそれらの機械
的一体性を保つであろう。プリプレグの混合、取扱いおよび硬化の全体中のそれらの初期強度の一部の保有がプライ間での樹脂に富んだ領域の作成を可能にし、それは硬化した複合体に対して改良された離層耐性を与えることが知られている。包接(粒子)およびマトリックスの間の強い界面を与える化学的適合性なしでは、結合分離および粒子離層がしばしば観察される。適合性の欠如は粒子およびマトリックスの間の界面において始まる早期の微細割れをしばしばもたらす。
【0038】
適合性は重合体および樹脂のハンセンまたはヒルデブランド溶解度パラメーターを測定または計算することにより決めうるが、これらの計算または測定はめんどうである。従って、熱段階顕微鏡法を使用しうる。この方法では、粒子を種々のタイプの樹脂と混合しそして次に顕微鏡下で加熱して粒子が樹脂と相互作用するかまたは膨潤するかを測定する。幾つかの態様では、樹脂を一般的にはその最少粘度点付近になるように120℃に加熱する。さらに、アレニウス基準では拡散速度は温度により増加する。これは試験時間を短縮することだけでなく硬化工程中の実際条件をより良好に摸することも意図する。
【0039】
本発明の態様の他の利点は、転相システムを得る危険性に直面せずに層間領域中で熱可塑性樹脂の局部的に高い濃度を得る能力である。層間領域中の熱可塑性樹脂含有量は材料の靭性を増加させることが知られている。しかしながら、大量の線状適合性熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂と配合される時には、配合物は反応誘発性相分離としても知られるように樹脂の硬化中に相分離して熱硬化性重合体と包接する熱可塑性連続相をもたらすことが知られている。この転相は、それがまた、主として温度耐性および溶媒耐性に関する複合体の性質にとって非常に不利である。エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子の態様は転相を引き起こさない。従って、材料の温度または溶媒耐性を弱めずに高い熱可塑性樹脂含有量が得られうる。
【0040】
複合体では、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子は硬化されていない熱力学的に適合性の同等物よりはるかに高い局部的濃度を得ることができる。例えば、層間領域においてエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子の局部的濃度は樹脂組成物の約10−50重量パーセントでありうる。「局部的濃度」は量的用語でありそして層間領域内の各成分の重量または容量分数をさす。層間領域は、例えば炭素繊維の如き繊維の層の間に複合体の樹脂に富んだ領域を含んでなる複合体材料の部分である。局部的濃度は転相なしにまたは熱硬化性包接体を有する熱可塑性樹脂を生成せずに得られる。幾つかの態様では、複合体構造は熱可塑性包接体を有する熱硬化性樹脂である。
【0041】
幾つかの態様では、複合体材料の温度耐性は約80−350℃である。簡便には、温度上昇に伴うモジュラスを(例えば力学的機械的熱分析(Dynamic Mechanical Thermal Analysis)すなわちDMTAを用いて)測定するかまたは示差走査熱量計法(Differential Scanning Calorimetry)により材料のガラス移行温度を測定する方法により温度耐性が測定される。他の態様では、複合体材料の溶媒耐性は約0−15%である。簡便には、溶媒重量吸収を時間に対して測定する方法により溶媒耐性が測定される。
【0042】
ここで使用される際には用語「勾配界面」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして各粒子および周囲にある樹脂マトリックスの間の漸次のそして強い界面に関連する。樹脂と熱力学的に適合性であるエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を使用することにより勾配界面が得られる。図1aおよび1bに示されているように、樹脂を含有する熱可塑性粒子のコアの中の熱可塑性樹脂の濃度は中心において最大でありそしてマトリックスが外表面から入りそしてコアに向かって移動するにつれて粒子の外表面に向かって徐々に減少する。熱可塑性粒子のコアから外表面への熱可塑性樹脂濃度におけるこの漸次減少が熱可塑性粒子および周囲にある樹脂の間の勾配界面を形成する
。それ故、熱硬化性樹脂および熱可塑性粒子の間には鋭い移行はない。鋭い移行が存在するなら、複合体材料中の熱可塑性および熱硬化性樹脂の間の界面は勾配界面を含有する複合体材料と比べてはるかに弱いであろう。
【0043】
他の態様では、粒子は完全に膨潤しておりそしてその結果として粒子内部/全体にわたる性質の勾配は0に近くなり始める。粒子はもはや熱可塑性または熱硬化性でないかもしれない。この結果はゆるく架橋結合されている粒子で、または低粘度を有し且つ熱力学的に重合体に近い樹脂の中で、起きうる。熱硬化性樹脂の硬化中に、低分子量樹脂の急速拡散により、粒子は完全膨潤し始める時間を有するであろう。
【0044】
他の態様では、粒子は例えばコア−シェル構造の如くであるがそれらに限定されない「層状にされた粒子」を包含しており、そこでは各層の膨潤可能性は粒子の製造中に独立して調節される。幾つかの面では、各層は近くにある層と比べて異なる程度まで膨潤しうる。樹脂中への溶解を防止するために架橋結合されるが樹脂中で膨潤する熱可塑性樹脂を用いることにより「熱力学的適合性」が得られうる。熱可塑性樹脂はそれが複合体材料の製造中に完全に均質化され始めるなら樹脂中に可溶性である。それ故、幾つかの態様では、熱可塑性粒子は複合体材料の製造中に完全には均質化されない。熱可塑性粒子が樹脂と適合性であるかまたはないような何らかの環境の中で予測することはできるが、熱可塑性粒子が樹脂と熱力学的に適合性であるかどうかを試験するための1つの方法は粒子を樹脂と組み合わせて粒子を溶解させずに樹脂が粒子を膨潤させるかどうかを測定しそして硬化した材料を製造して粒子がそれら自体を硬化後に個別粒子として保持するかどうかを測定することである。エポキシ樹脂と熱力学的に適合性である熱可塑性粒子の例はポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンを包含する。
【0045】
ここで使用される際には用語「個別粒子」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして層間領域中で認識可能でありそして示差走査電子顕微鏡(SEM)、光学顕微鏡、示差干渉対比顕微鏡(DIC)を使用することにより測定しうる粒子を包含する。
【0046】
この強化された勾配界面の別の利点は応力が粒子および周囲にあるマトリックスの間で効果的に移行する能力である。応力移行能力は粒子の最大の強化性質に関連する。多くの複雑な機構が過去に同定されており、それらの多くは材料中に加えられる応力が粒子中に移行されてプラスチック変形および他のエネルギー消費機構が効果的に起きうるという仮定に基づいている。さらに、無効な応力移行はマトリックスの減じられた剛性および強度ももたらし、それらはマトリックスの減じられた弾性率と解釈されるであろう。
【0047】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を含む複合体材料は粒子および周囲にある樹脂マトリックスの間に応力を有効に移行させる能力を有する。応力移行能力は光弾性により測定できる。
【0048】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子の別の利点は、異なる粒子を有するかまたはエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を有していない同じ複合体材料と比べて複合体材料の改良された寿命性能である。高濃度の熱可塑性樹脂と配合された従来の樹脂は繰り返される熱的または機械的サイクル後にクレージングまたは微細割れをこうむるであろうが、架橋結合された粒子で改質された樹脂は粒子の架橋結合された性質および粒子内の熱硬化性樹脂の存在により有利なことに定期試験にさらにしっかりと耐えられる。
【0049】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を加えた複合体材料は改良された機械的性質、例えば衝撃後の圧縮(CAIまたはCSAI)、モードIおよびIIにおけ
る破壊靭性または離層耐性(それぞれGICおよびGIIC)、OHC(開放穴圧縮)、を有する。CAI(またはCSAI)は積層/複合体材料が損傷に耐える能力を測定する。この方法によると、試験しようとする積層は圧縮で負荷がかけられる前に一定のエネルギーの衝撃を受ける。弾性不安定性が起きないことを確実にするために、積層は試験中に拘束されている。層の強度が記録される。層間強化用粒子の利点は、破壊に関与する材料の性質、例えば以下の実施例3−4に例示されているようなCAI、GICおよびGIIC、KICおよびKIIC、において主として見られる。KおよびGは破壊靭性を表わし、それは割れを含む材料が破壊に耐える能力を記述する性質である。Kは応力強度因子の表示であり、Gは破壊エネルギーである。
【0050】
幾つかの態様では、高いTg複合体材料(例えば、少なくとも180℃のTg)が作成されて層間領域中の未希釈樹脂材料が少なくとも約0.8〜約3MPa.m0.5(典型的には0.9および1.1の間)のKIC、および少なくとも約200〜約500J/m(典型的には約250J/m)のGICを有しうる。
【0051】
さらに、プリフォーム粒子強化の概念は強化が必要な他の領域に活用することができ、これは接着剤調合物、一元および二元構造熱硬化性調合物を包含するが、それらに限定されない。
【0052】
硬化した樹脂のKICおよびGICは実施例3にさらに詳細に記述されているようなLEFM(線状弾性破壊機構)により測定することができる。
【0053】
一面では、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子で改質された樹脂は定期試験に耐える。そのような試験は、改質された樹脂を含んでなる複合体材料を繰り返される熱的または機械的サイクルにかけそして次にクレージングまたは微細割れの存在を測定することを含んでなる。微細割れの存在および程度は一般的には、単位長さ当たりの観察可能な微細割れの数を報告するSEM分析により行われる。
【0054】
架橋結合された粒子の他の利点は、例えば架橋結合剤濃度をそしてその結果として粒子中の架橋結合度を変更してそれらの架橋結合密度を調節することによりそれらの性質を適合させる能力であり、それが粒子の膨潤因子を適合させることも可能にする。この適合能力は、熱可塑性粒子と異なるように相互作用しうる単量体の配合物よりなる多くの樹脂変種を考慮する時に、有意である。粒子の性質を容易に適合させる能力の保有は樹脂調合業者にとって有効な手段を提供しそして強化用粒子が完全活用されることも確実にする。例えば、粒子の膨潤が増加するにつれて、複合体材料に付与される熱可塑性質が減少する。
【0055】
それ故、粒子の性質を適合させて性質を得る方法および特定のエポキシ樹脂調合物も意図される。粒子の性質を適合させる方法は、特定の樹脂調合物の拡散の速度および程度を測定しそしてその後に適切な粒子架橋結合密度を評価して調合物に具体的に合わせる段階を包含しうる。
【0056】
ここで使用される際には用語「概略」、「約」、および「実質的に」は当業者に既知である一般的な意味を有することができそして所望する機能を依然として行うかまたは所望する結果を得るための言及された量に近い量を表わす。例えば、用語「概略」、「約」、および「実質的に」は、言及された量の10%より少ない、5%より少ない、1%より少ない、0.1%より少ない、そして0.01%より少ない量をさす。用語「少なくとも一部」は全体を包含しうる全体量を含んでなる全体の中のある量を表わす。例えば、用語「少なくとも一部」は全体の0.01%より多く、0.1%より多く、1%より多く、10%より多く、20%より多く、30%より多く、40%より多く、50%より多く、60%より多く、70%より多く、80%より多く、90%より多く、95%より多く、99
%より多く、そして100%である。
【0057】
他の態様
1.複数のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子、
熱硬化性樹脂
を含んでなる樹脂システムであって、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、そして
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中で膨潤可能である、樹脂システム。
2.熱硬化性樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である
態様1の樹脂システム。
3.複数のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に樹脂と勾配界面を形成する
態様1または2の樹脂システム。
4.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中の熱硬化性樹脂が硬化時に反応可能である
態様1−3のいずれかの樹脂システム。
5.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に個別粒子である
態様1−4のいずれかの樹脂システム。
6.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に転相なしで複合体の層間領域中の架橋結合されていない熱可塑性粒子より高い濃度を達成しうる
態様1−5のいずれかの樹脂システム。
7.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性重合体が架橋結合されたポリエーテルスルホン(PES)、架橋結合されたポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、架橋結合されたポリエーテルイミド(PEI)、架橋結合されたポリフェニレンオキシド(PPO)、または架橋結合されたそれらの共重合体を含んでなる
態様1−6のいずれかの樹脂システム。
8.繊維をさらに含んでなり、
粒子が硬化時に繊維の層の間の層間空所を維持する
態様1−7のいずれかの樹脂システム。
9.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が
熱可塑性重合体骨格、
熱可塑性重合体骨格に架橋結合された架橋結合剤
を含んでなり、
架橋結合剤が2または2より大きい反応性を有し、そして
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格の官能基と反応性である
態様1−8のいずれかの樹脂システム。
10.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時にエポキシ樹脂と熱力学的に適合性であり、そして
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が化学的に架橋結合可能であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が熱硬化性樹脂と勾配界面を形成可能であり、そして
熱硬化性樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である態様9の樹脂システム。
11.架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格と相容性であり、そして
熱可塑性重合体骨格がポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの共重合体よりなる群から選択される
態様1−10のいずれかの樹脂システム。
12.態様1−11のいずれかの樹脂システムを含んでなるプリプレグ。
13.態様1−11のいずれかの樹脂システムを含んでなる複合体。
14.熱可塑性重合体骨格、
熱可塑性重合体骨格に架橋結合された架橋結合剤
を含んでなるエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子であって、そして
架橋結合剤が2または2より大きい反応性を有し、
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格の官能基と反応性であり、
熱可塑性骨格が化学的に架橋結合可能であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に膨潤可能であり、そしてエポキシ樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
15.熱可塑性重合体骨格がポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの共重合体よりなる群から選択される、態様14に記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
16.架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格と相容性である、態様14または15に記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
17.エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が熱硬化性樹脂と勾配界面を形成可能である、態様14−16のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
18.触媒をさらに含んでなる態様14−17のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
19.架橋結合された熱可塑性粒子が2つまたは2つより多い層を含有する、
態様14−18のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
20.熱可塑性重合体骨格の重合体分子量が約3,000−50,000g/モルである態様14−19のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
21.熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒の乳濁液を乾燥しそして硬化させてエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を製造する
ことを含んでなる態様14−20のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を製造する方法。
22.熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒を溶媒の中に溶解させる
ことをさらに含んでなり、
溶媒が水と非相容性であり、そして
乳濁液が水中で製造される
態様21の方法。
23.溶解した熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒の乳濁液を水を用いて非イオン性界面活性剤の存在下で製造する
ことをさらに含んでなる態様21または22の方法。
24.1種もしくはそれ以上の熱可塑性重合体またはプリポリマー、
1種もしくはそれ以上の架橋結合剤、および
乳濁液−形成用試薬
を含んでなるキット。
25.複数の態様14−20のいずれかのエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子、および
繊維プリフォーム
を含んでなる処理されたプリフォームであって、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が繊維プリフォームの中に分散されている、処理されたプリフォーム。
【実施例】
【0058】
以下の実施例は当業者が本発明のある種の態様をさらに理解するのを助けるために提供される。これらの実施例は説明目的だけを意図しておりそして本発明の特許請求の範囲を限定するつもりはない。
【0059】
実施例1 − 粒子の製造方法
架橋結合されたエンジニアリングされた熱可塑性粒子は乳濁液方法で、重合体、架橋結合剤、触媒を水と非相容性である普遍的溶媒の中に溶解させることにより、製造される。乳濁液は次に水中で非イオン性界面活性剤を使用することにより作成される。
【0060】
乳濁された粒子を引き続き乾燥しそして硬化させて重合体鎖が化学的に架橋結合しそしてその結果として不溶性になり、化学的3D網目構造を形成する。
【0061】
反応条件並びに架橋結合剤のタイプおよびレベルが上記粒子の最終的性質を決めるであろう。
【0062】
熱硬化樹脂中に配合される時には、樹脂温度が特定の開始温度(これは粒子の性質にとって特異的である)を越えると、粒子は単量体種の吸収により膨潤し始める。吸収された単量体は引き続き樹脂の規則的硬化中に粒子内で反応する。
【0063】
この方法が界面において勾配組成特徴を示す熱可塑性樹脂に富んだ粒子をもたらす。エンジニアリングされた界面は改良された界面結合性質を示す。図1aおよび1bはマトリックス単量体が粒子中に拡散した後の粒子性質の進展を示す。高度に架橋結合された粒子(図1a)およびそれよりゆるく架橋結合された粒子(図1b)が比較される。x軸はコア粒子からの距離を表わしそしてy軸は熱可塑性樹脂濃度を表わす。それ故、図1aはより高度に架橋結合された粒子のコアに向かってより高い熱可塑性樹脂濃度を示すが、図1bはそれより高度でなく架橋結合された粒子のコア内のより低い熱可塑性樹脂濃度を示す。
【0064】
そのような粒子を作成するための典型的な処方は以下の表1に示される。
【0065】
【表1】

【0066】
以下に示されるCymel 350は、縮合機構を介してヒドロキシルおよびアミン官能基と反応するメラミン誘導体である。この分子の特異性は、それが架橋結合された網目構造を作成するために必要な複数(4.4の平均数)の反応性部位を有することである。この構造はメトキシ基の隣にある炭素上の第一級アミン官能基の求核攻撃により縮合も示す。
【0067】
【化3】

【0068】
反応は例えばp−トルエンスルホン酸の如き酸触媒の導入によりさらに触媒作用を受ける。同様な反応機構は以下に示される。
【0069】
【化4】

【0070】
上記式の数種の変法が成功裡に試験されてきている。それらは別の架橋結合剤並びに他の触媒の使用を包含する。
【0071】
【表2】

【0072】
【表3】

【0073】
【表4】

【0074】
実施例2 − 粒子の同定方法
架橋結合された粒子は2つの主要試験であるゾル/ゲル部分および単量体エポキシ樹脂中の膨潤度により同定されうる。
【0075】
第一の試験は、粒子中の化学的に架橋結合された重合体の量の推定値を与える簡単な工程である。既知量の粒子を適当な溶媒、すなわちPILT−100粒子の場合にはジクロロメタン、の中に混入し、そして濾過して粒子のゲル部分を測定する。典型値は約70%であることが見出されている。一般的に、粒子は50−99%の範囲内に見られる。
【0076】
第二の試験は、粒子が例えばエポキシ単量体の如き単量体樹脂を吸収する能力を測定する。標準的工程は、約10個の粒子の組の膨潤性能を観察し、例えばMY0510の如き低粘度エポキシ樹脂の中に樹脂を高温に加熱しながら配合することよりなる。単量体により完全に膨潤する時の粒子の直径を元の粒子直径と比較しそして膨潤因子を計算する。実際的な理由のために、「相反膨潤」、すなわちDi/Df、がしばしば報告される。
【0077】
粒子中の架橋結合剤濃度をそしてその結果として架橋結合度を変えることにより、粒子の膨潤因子を適合させることが可能である。これは図2のグラフに示される。
【0078】
実施例3 − 破壊耐性(強化)と弾性率の比較
勾配相間を有する粒子の使用の利点は未希釈樹脂中で線状弾性破壊機構(Linear
Elastic Fracture Mechanics)(ESIS committee,“Fracture Mechanics Testing Methods for Polymers Adhesives and Composites,”D.R.Moore,A.Paven,J.G.Williams,ESIS publicateion 28,2001,pp11−26により推奨される工程に従う)を用いて破壊耐性を評価することにより示される。未希釈樹脂試料(繊維なし)は従来の熱混合技術により製造されそして硬化用に型の中に流し込まれる。KICおよびGICがLEFMを用いて未希釈樹脂上で測定され、弾性率がコンプライアンス測定により決められる。
【0079】
評価された樹脂は以下に詳述される。
【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
【表7】

【0083】
MY 0510はチバ・ガイギー・コーポレーション(Ciba Geigy Corporation)、ハウトーン、ニューヨーク州から入手可能なトリグリシジルp−アミノフェノールTGAP(Araldite MY 0510)である。PY306はチバ・ガイギー(ジャパン)・リミテッド(Ciba Geigy(Japan)Limited)から入手可能なビスフェノールF−ベースのエポキシ樹脂(Araldite PY306)である。44DDSは4,4’−ジアミノジフェニルスルホンである。HC99は独占所有権のあるPES共重合体である。PILT−100は本発明に記述されている処方に従い製造される架橋結合された粒子の名称である。
【0084】
【表8】

【0085】
以上の表8は、粒子が樹脂の弾性率を犠牲にせずにマトリックスを強化することを示す。
【0086】
実施例4 − 粒子剛性
粒子の架橋結合のレベルも、粒子がそれらが周囲にある熱硬化性樹脂により膨潤される時を含んで充分な剛性を維持するためにそれらが層間空所を作成しそして維持しうることも確認している。この行動は図3に示される。粒子は樹脂に富んだ領域で見られ、それらは炭素繊維に富んだプライを分けている。
【0087】
実施例5 − 衝撃後圧縮(CAI)および破壊靭性(GIIC)測定
典型的な複合体調合物が以下に示される。以下の実施例は2種の調合物中での架橋結合された粒子PILT−100、標準的PPO(ポリフェニレンオキシド)粒子、およびゴム状DP5045粒子の間の行動における差異を示す。
【0088】
【表9】

【0089】
【表10】

【0090】
【表11】

【0091】
【表12】

【0092】
【表13】

【0093】
【表14】

【0094】
【表15】

【0095】
【表16】

【0096】
【表17】

【0097】
MY721はチバ・ガイギー・コーポレーション、ハウトーン、ニューヨーク州から入手可能なテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンTGDDM(Araldite MY721)である。MY0610はチバ・ガイギー・コーポレーション、ハウトーン、ニューヨーク州から入手可能な3−グリシジルオキシ−N,N−ジグリシジルアニリンまたはおよびトリグリシジルm−アミノフェノール(Araldite MY0610)である。33DDSは3,3’−ジアミノジフェニルスルホンである。PES 5003Pはスミトモ・ケミカル・カンパニー・リミテッド(Sumitomo Chemical Co.Ltd.)(大阪、日本)から入手可能なフェノール−末端PES(5003P)である。PPOはサビック・イノバティブ・プラスティックス(Sabic Innovative Plastics)から入手可能なポリフェニレンオキシドである。
【0098】
破壊性質(CAIおよびGIIC)は、複合体中の割れの開始および伝搬の調節における適合性の架橋結合された粒子の値を示す。
【0099】
より重要なことに、エンジニアリングされた粒子の化学的および機械的耐性は現存する熱可塑性樹脂より明らかに性能が優れている。この結果は歪み下の溶媒感受性に関して試験される検体上では悪化する。図4における顕微鏡写真は純粋なPPO粒子および勾配相間を進展させる粒子の行動を示す。それは、規則的なPPO熱可塑性粒子は微細割れを開始させるが架橋結合された適合性粒子は微細割れに対するはるかに高い耐性を示すことを明らかに示している。
【0100】
粒子とマトリックスの適合性が粒子およびマトリックスの間の界面において勾配応力増加を確実にし、それが粒子の界面における応力濃度を調節する。従来の材料中で見られる急峻な界面はしばしば粒子の早期の結合分離をもたらし、それはその後に材料の微細割れおよび早期の破壊に進展しうる。さらに、粒子を製造しつつある重合体の架橋結合性質はそれらの靭性並びに微細割れおよびクレージングに対するそれらの耐性を有意に高める。
【0101】
実施例6および7 − 架橋結合を行うための異なる官能基を使用する熱可塑性重合体の直接的架橋結合による層間粒子の製造。
【0102】
実施例6および7は実施例1で概略記述されたものと同じ一般的方法を使用する。粒子組成および結果は表18にまとめられている。架橋結合された粒子が複合体に有意に高い靭性を与えることが明らかに示されている。
【0103】
【表18】

【0104】
種々の特許および/または科学文献がこの出願全体にわたり引用されてきた。これらの文献の開示は、そのような開示が本発明と矛盾しない程度までそして引用によるそのような導入が認められる全ての権利に関して、全て引用することにより本発明の内容となる。以上の記述および実施例に鑑みて、当業者は特許請求された開示を過度の実験作業なしに実施することができるであろう。
【0105】
以上の記述はこの教示の基本的な新規な特徴を示し、記述し、そして指摘してきたが、示されている機器の詳細な形態における種々の省略、置換、および変更、並びにそれらの使用は、この教示の範囲から逸脱することなく、当業者により実施しうることは理解されよう。従って、この教示の範囲は以上の論議に限定されるべきでなく、添付された特許請求の範囲により規定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子、
熱硬化性樹脂
を含んでなる樹脂システムであって、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、そして
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中で膨潤可能である、樹脂システム。
【請求項2】
熱硬化性樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である
請求項1の樹脂システム。
【請求項3】
複数のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に樹脂と勾配界面を形成する
請求項1または2の樹脂システム。
【請求項4】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中の熱硬化性樹脂が硬化時に反応可能である
請求項1−3のいずれかの樹脂システム。
【請求項5】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に個別粒子である
請求項1−4のいずれかの樹脂システム。
【請求項6】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に転相なしで複合体の層間領域中での架橋結合されていない熱可塑性粒子より高い濃度を達成しうる
請求項1−5のいずれかの樹脂システム。
【請求項7】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性重合体が架橋結合されたポリエーテルスルホン(PES)、架橋結合されたポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、架橋結合されたポリエーテルイミド(PEI)、架橋結合されたポリフェニレンオキシド(PPO)、または架橋結合されたそれらの共重合体を含んでなる
請求項1−6のいずれかの樹脂システム。
【請求項8】
繊維をさらに含んでなり、
粒子が硬化時に繊維の層の間の層間空所を維持する
請求項1−7のいずれかの樹脂システム。
【請求項9】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が
熱可塑性重合体骨格、
熱可塑性重合体骨格に架橋結合された架橋結合剤
を含んでなり、
架橋結合剤が2または2より大きい反応性を有し、そして
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格の官能基と反応性である
請求項1−8のいずれかの樹脂システム。
【請求項10】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時にエポキシ樹脂と熱力学的に適合性であり、そして
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が化学的に架橋結合可能であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が熱硬化性樹脂と勾配界面を形成可能であり、そして
熱硬化性樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である請求項9の樹脂システム。
【請求項11】
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格と相容性であり、そして
熱可塑性重合体骨格がポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの共重合体よりなる群から選択される
請求項1−10のいずれかの樹脂システム。
【請求項12】
請求項1−11のいずれかの樹脂システムを含んでなるプリプレグ。
【請求項13】
請求項1−11のいずれかの樹脂システムを含んでなる複合体。
【請求項14】
熱可塑性重合体骨格、
熱可塑性重合体骨格に架橋結合された架橋結合剤
を含んでなるエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子であって、そして
架橋結合剤が2または2より大きい反応性を有し、
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格の官能基と反応性であり、
熱可塑性骨格が化学的に架橋結合可能であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に熱硬化性樹脂中に実質的に不溶性であり、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が硬化時に膨潤可能であり、そしてエポキシ樹脂がエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子中に拡散可能である、エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項15】
熱可塑性重合体骨格がポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルエーテルスルホン(PEES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、またはそれらの共重合体よりなる群から選択される
請求項14に記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項16】
架橋結合剤が熱可塑性重合体骨格と相容性である、
請求項14または15に記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項17】
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が熱硬化性樹脂と勾配界面を形成可能である、
請求項14−16のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項18】
触媒をさらに含んでなる請求項14−17のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項19】
架橋結合された熱可塑性粒子が2つまたは2つより多い層を含有する、
請求項14−18のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項20】
熱可塑性重合体骨格の重合体分子量が約3,000−50,000g/モルである
請求項14−19のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子。
【請求項21】
熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒の乳濁液を乾燥しそして硬化させてエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を製造する
ことを含んでなる請求項14−20のいずれかに記載のエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子を製造する方法。
【請求項22】
熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒を溶媒の中に溶解させる
ことをさらに含んでなり、
溶媒が水と非相容性であり、そして
乳濁液が水中で製造される
請求項21の方法。
【請求項23】
溶解した熱可塑性重合体、架橋結合剤、および触媒の乳濁液を水を用いて非イオン性界面活性剤の存在下で製造する
ことをさらに含んでなる請求項21または22の方法。
【請求項24】
1種もしくはそれ以上の熱可塑性重合体またはプリポリマー、
1種もしくはそれ以上の架橋結合剤、および
乳濁液−形成用試薬
を含んでなるキット。
【請求項25】
複数の請求項14−20のいずれかのエンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子、および
繊維プリフォーム
を含んでなる処理されたプリフォームであって、
エンジニアリングされた架橋結合された熱可塑性粒子が繊維プリフォームの中に分散されている、処理されたプリフォーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−528224(P2012−528224A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−512449(P2012−512449)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001062
【国際公開番号】WO2010/136772
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(594060532)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (36)
【Fターム(参考)】