説明

層間物質挿入黒鉛及びその製造方法

【課題】グラフェン間に層間物質が挿入されている、新規な層間物質挿入黒鉛及びその製造方法を提供する。
【解決手段】グラフェン間にジアルキルジチオカルバミン酸塩が挿入されている層間物質挿入黒鉛、並びに黒鉛をジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液中に浸漬し、黒鉛を作用極とし、対極7及び参照極8とを有する三極式セルを用い、参照極8と作用極との間の電位差を−0.6Vから+0.4Vまで高め、次に+0.4Vから−0.6Vまで低下させる工程を1サイクルとした時に、該工程を複数サイクル行うサイクリック・ボルタモグラム処理を行う、層間物質挿入黒鉛の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒鉛のグラフェン間に層間物質が挿入されている層間物質挿入黒鉛及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
黒鉛は、多数のグラフェンが積層されてなる積層体である。黒鉛を剥離し、グラフェンあるいは黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない薄片化黒鉛の導電性材料や熱伝導性材料などへの応用が期待されている。
【0003】
従来、グラフェンや、黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない薄片化黒鉛すなわちグラフェンライクシートを得るために、様々な方法が提案されている。例えば下記の特許文献1には、黒鉛を強酸で処理し、黒鉛のグラフェン間にイオンをドープし、さらに急速加熱処理する方法が開示されている。ここでは、グラフェン間に硝酸イオンなどをドープし急速加熱することにより、元の黒鉛よりもグラフェン積層数が少ない酸化グラフェンや薄片化黒鉛を得ることができるとされている。
【0004】
他方、従来、黒鉛を剥離処理することにより得られた薄片化黒鉛とポリマーとの複合材料が種々検討されている。例えば下記の非特許文献1には、黒鉛を化学的処理により剥離することにより得られた薄片の共存下において、重合開始剤及びスチレンモノマーを混合し、重合する方法が開示されている。この方法によれば、グラフェン表面にスチレンポリマー鎖がグラフトされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US7,658,901
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】第59回 高分子学会年次大会予稿集、3Pb016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来、黒鉛のグラフェン間にイオンをドープしたり、あるいは薄片化黒鉛のグラフェン間においてモノマーを重合してポリマーをグラフトさせる方法などが知られている。すなわち、黒鉛のグラフェン間に他の物質を挿入してなる層間物質挿入黒鉛が種々提案されている。層間物質の種類により、従来の黒鉛では得られない様々な物性を発現させることが期待されている。
【0008】
本発明の目的は、グラフェン間に層間物質が挿入されており、該層間物質の作用により例えばポリマーをグラフェンにグラフトしたり、グラフェン間に存在させることを可能とする新規な層間物質挿入黒鉛及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る層間物質挿入黒鉛は、グラフェン積層体のグラフェン間に層間物質が挿入されている層間物質挿入黒鉛であって、前記層間物質が、ジアルキルジチオカルバミン酸塩である。
【0010】
本願発明者らは、黒鉛のグラフェン間に様々な物質を層間物質として挿入すべく鋭意検討した結果、層間物質として、ジアルキルジチオカルバミン酸塩を挿入してなる層間物質挿入黒鉛を初めて実現するに至り、本発明をなすに至ったものである。
【0011】
上記ジアルキルジチオカルバミン酸塩としては、好ましくは、ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩が用いられる。この場合には、比較的分子量が小さいため、グラフェン間により確実にかつ容易に挿入し得る。
【0012】
上記ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩としては、好ましくは、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムまたはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムが用いられる。
【0013】
本発明の層間物質挿入黒鉛の製造方法は、黒鉛をジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液中に浸漬し、該黒鉛を作用極とし、該作用極と、対極と、参照極とを有する三極式セルを用いる。前記作用極と、前記参照極との間の電位差を−0.6Vから+0.4Vまで高め、次に+0.4Vから−0.6Vまで低下させる工程を1サイクルとしたときに、前記工程を複数サイクル行う。すなわちサイクリック・ボルタモグラム処理を行う。それによって、ジアルキルジチオカルバミン酸塩がグラフェン間に挿入された本発明の層間物質挿入黒鉛を得ることができる。
【0014】
好ましくは、前記電位差を変化させるに際し、電位差を変化させる速度を、1〜5mVs−1の範囲内とする。それによって、ジアルキルジチオカルバミン酸塩をグラフェン間により一層確実に挿入することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ジアルキルジチオカルバミン酸塩が層間物質としてグラフェン間に挿入されている層間物質挿入黒鉛を提供することができる。ジアルキルジチオカルバミン酸塩は、ジチオカルバメート系光開始剤として用い得ることが知られている。従って、本発明の層間物質挿入黒鉛によれば、スチレンなどのモノマーを上記ジアルキルジチオカルバミン酸塩の作用により容易に重合させることができ、それによってスチレンなどのモノマーを重合してなるポリマーをグラフェンにグラフトしたり、グラフェン間に挿入したりしてなる複合材料を容易に提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、実施例1において用意した作用極の構造を説明するための分解斜視図であり、(b)は、実施例1において層間物質挿入黒鉛を製造するための装置の概略構成図である。
【図2】実施例1において、行ったサイクリック・ボルタモグラムを説明するための図である。
【図3】実施例1で得た層間物質挿入黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。
【図4】実施例2において、行ったサイクリック・ボルタモグラムを説明するための図である。
【図5】実施例2で得た層間物質挿入黒鉛のXRDスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の詳細を説明する。
【0018】
本発明に係る層間物質挿入黒鉛は、グラフェン積層体である黒鉛のグラフェン間に層間物質が挿入されているものであり、該層間物質が、ジアルキルジチオカルバミン酸塩である。
【0019】
上記ジアルキルジチオカルバミン酸塩としては、ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩が好適に用いられる。ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩は分子量が比較的小さいため、グラフェン間に容易に挿入することができる。もっとも、メチルエチルジチオカルバミン酸やアルキル基の炭素数が3以上のジアルキルジチオカルバミン酸塩を用いてもよい。このようなアルキル基が3以上のジアルキルジチオカルバミン酸塩としては、ジプロピルジチオカルバミン酸塩などを挙げることができる。
【0020】
より好ましくは、下記の構造式(a)に示すジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムまたは下記の構造式(b)で示すジエチルジチオカルバミン酸カリウムが好適に用いられる。このような場合には、グラフェンの層間にこれらを容易に挿入することができる。
【0021】
【化1】

【0022】
【化2】

【0023】
もっとも、ジメチルジチオカルバミン酸カリウム、ジエチルジチオカルバミン酸カリウムなどのNa塩以外の他の塩を用いてもよい。
【0024】
本発明に係る層間物質挿入黒鉛の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、以下の電気化学的処理方法を好適に用いることができる。
【0025】
すなわち、ジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液中に、作用極、対極及び参照極を浸漬してなる三極式セルを用いる。黒鉛を上記作用極として用いる。対極としては、Pt、Ni、Cu、ステンレスなどからなる金属を用いることができる。
【0026】
上記ジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液の濃度は、特に限定されないが、5〜50重量%の範囲とすることが望ましい。この範囲内であれば、ジアルキルジチオカルバミン酸塩をグラフェン間に確実に挿入することができる。より好ましくは、10〜45重量%の範囲である。
【0027】
本製造方法では、上記三極式セルを用い、サイクリック・ボルタモグラム処理(CV処理)により作用極と参照極との間に電位差を与える。より具体的には、上記電位差を−0.6Vから+0.4Vまで高め、次に、+0.4Vから−0.6Vまで低下させる工程を1サイクルとしたときに、該工程を複数サイクル行う。
【0028】
このサイクル数は、特に限定されるわけではないが、ジアルキルジチオカルバミン酸塩をグラフェン間に確実に挿入するには、5以上であることが望ましい。また、サイクル数が多くなりすぎると生産性が低下するため、サイクル数は20以下であることが望ましい。
【0029】
上記のように電位差を変化させるに際しては、電位差を変化させる速度を、1〜5mVs−1の範囲とすることが望ましい。電位差を変化させる速度が低すぎると、インターカレーションが生じないことがあり、高すぎると、挿入に追いつかずインターカレーションが充分に生じないこととなることがある。
【0030】
上記CV処理により、作用極として用いた黒鉛の層間に、ジアルキルジチオカルバミン酸塩が挿入される。
【0031】
上記のようにしてジアルキルジチオカルバミン酸塩が層間物質として挿入された層間物質挿入黒鉛を得ることができる。このような層間物質挿入黒鉛において、ジアルキルジチオカルバミン酸塩がインターカレートされているか否かは、例えば、XRDスペクトルにより確認することができる。すなわち、黒鉛由来の回折線以外に、複数の回折線が表われ、この複数の回折線の間隔から、インターカレートされていることを確認することができる。
【0032】
本発明の層間物質挿入黒鉛では、ジアルキルジチオカルバミン酸塩がグラフェン間に挿入されている。前述したように、ジアルキルジチオカルバミン酸塩は、ジチオカルバメート系光開始剤として用い得ることが知られている。ジチオカルバメート系光開始剤は光の照射によりチイルラジカルを発生し、開始剤として機能する。
【0033】
よって、本発明に係る層間物質挿入黒鉛と、液状のモノマーとを混合し、光を照射し、該モノマーを重合することにより、複合材料を提供することができる。上記モノマーとして、例えばスチレンを用いた場合、ポリスチレンをグラフェン間に介在させたり、グラフェンにポリスチレンをグラフトすることが可能となる。従って、ポリスチレンと黒鉛との単なる混合物に比べて優れた物性を発現するポリスチレン−黒鉛複合材料を提供することができる。
【0034】
上記モノマーとしては、スチレンに限定されず、スチレン以外の芳香族ビニルモノマー、オレフィン系モノマー、ジエン、(メタ)アクリルモノマーなどであってもよい。また、上記モノマーはジフルオロビニリデンまたは塩化ビニルであってもよい。芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、オルト−ビニルトルエン、パラ−ビニルトルエン、オルト−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン等のビニル基がアルキル基で置換されたスチレン、2,4−ジクロロスチレン等の環がハロゲンで置換されたスチレン、ビニルアントラセン、クロロメチルスチレン、またはパラ−アセトオキシスチレン等が挙げられる。
【0035】
ジエンとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ピペリレン、またはクロロプレン等の炭素数4〜8の共役ジエン等が挙げられる。メタクリルモノマーの例としては、置換基がメチル、エチル、2,2,2−トリフルオロエチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert. ブチル、n−アミル、i−アミル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、シクロヘキシル、オクチル、i−オクチル、ノニル、デシル、ラウリル、ステアリル、フェニル、ベンジル、β−ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルまたはヒドロキシブチルであるメタクリレート等を挙げることができる。好ましいメタクリルモノマーはメチルメタクリレートである。アクリルモノマーの例としては、置換基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert.ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、イソオクチル、3,3,5−トリメチルヘキシル、ノニル、イソデシル、ラウリル、オクタデシル、シクロヘキシル、フェニル、メトキシメチル、メトキシエチル、エトキシメチルおよびエトキシエチルであるアクリレートを挙げることができる。
【0036】
本発明に従って、上記様々なモノマーを重合してなる様々なポリマーがグラフェン間に存在する複合材料あるいはグラフェンに様々なポリマーがグラフトされている複合材料を提供することができる。よって、本発明の層間物質挿入黒鉛を用いることにより、従来得られなかった物性を発現し得る樹脂−黒鉛複合材料を提供することが可能となる。
【0037】
次に、具体的な実施例及び比較例を挙げることにより、本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(実施例1)
まず、図1(a)に示すように、Ptメッシュ1,2間に黒鉛シート3を挟み込んだ。Ptメッシュ1,2としては、2mm×1mm×厚み0.1mmのものを用いた。黒鉛シート3としては、エアウォーター社製、品番:PF105R2を用いた。この黒鉛シート3を2.5mm×2.5mm×1.2mmの寸法に切断し、上記Ptメッシュ1,2間に挟み込んだ。しかる後、図1(b)に示すフッ素樹脂テープ6a,6bを黒鉛シート3が挟み込まれている部分の外側で巻回した。それによって、Ptメッシュ1,2間に黒鉛シート3を固定した。このようにして、黒鉛シート3を有する作用極を形成した。
【0039】
電解質水溶液容器4内に、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液5を収容した。ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液5としては、三新化学工業社製、ジチオカルバミン酸ナトリウムの40重量%水溶液を用いた。
【0040】
上記ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液5中に、黒鉛シート3を有する作用極と、Ptからなる対極7と、水銀−酸化水銀電極(He/HgO)からなる参照極8とを浸漬し、三極式セルを構成した。図1(b)に示すように、ポテンシオガルバノスタット(北斗電工株式会社製、品番:VMP3)9を電源として用い、電位差変化速度1mVs−1、電位差変化範囲−0.6V〜+0.4Vの条件でCV処理を行った。より具体的には、参照極と作用極との間の電位差を−0.6Vから+0.4Vまで高め、次に+0.4Vから−0.6Vまで低下させる工程を1サイクルとし、サイクル数5回としてCV処理を行った。図2は、この処理における1サイクル目から5サイクル目における電位差と電流との関係を示す図である。図2において、A1〜A5は、1サイクル目〜5サイクル目の電位差−電流の関係を示す。
【0041】
なお、図2中の矢印は、代表例として1サイクル目A1における変化方向を示す。図2から明らかなように、1サイクル目A1において、0.2V付近で不可逆的な還元電流が観測された。2サイクル目A2では、0V及び0.1V付近においてわずかな還元電流が観測された。さらに、3サイクル目A3〜5サイクル目A5では、0Vにおいてわずかな還元電流が観測された。このとき、1サイクル目A1〜3サイクル目A3では、対極のPtから気泡が発生していた。また、CV処理後の作用極には、Pt表面及び黒鉛の表面に灰色の付着物が見られた。
【0042】
図3は、上記CV処理後の作用極から取り出した黒鉛のXRDスペクトルを示す。図3から明らかなように、黒鉛の■002のピークよりも低角度側に、複数の回折線○001,○003,○004,○005,○006が表われている。この複数の回折線の間隔が等間隔であるため、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムがグラフェン間に挿入されている層間物質挿入黒鉛(NaMDC−GIC)であると考えられる。なお、図3では、○002の回折線は明確には表われていないが、解像度を高めれば、○001と○003のピークの間に○002由来のピークを表われていると考えられる。
【0043】
上記のように、複数の回折線の間隔が等しいため、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムがグラフェン間に挿入されていると考えられる。上記CV処理では、1サイクル目A1の電圧0.2Vにおいてインターカレーションが進行し、2サイクル目A2からは異なる電位差でインターカレーションが進行したものと考えられる。なお、XRDスペクトルから求めた回折線の繰り返し距離Icは2.259nmであった。
【0044】
(実施例2)
電解質水溶液として、1モルdm−3、すなわち14重量%の濃度のジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を用いたことを除いては、実施例1と同様にしてCV処理を行った。
【0045】
図4は、実施例2におけるサイクリック・ボルタモグラムを示す。図4における記号B1〜B5は、1サイクル目から5サイクル目の電流値の変化を示す。また、図4中の矢印は、代表例として1サイクル目において電位差を変化させた方向を示す。
【0046】
図4から明らかなように、実施例2では、1サイクル目B1において、電位差0.3〜0.4V付近に不可逆な還元電流が観測された。2サイクル目B2では、電位差0.1Vと0.3V付近にわずかな還元電流が観測された。3サイクル目B3〜5サイクル目B5では、還元電流によるピークはほとんど観測されなかった。
【0047】
図5は、CV処理後の黒鉛のXRDスペクトルを示す。黒鉛由来の■002のピークよりも低角度側に、複数の回折線が表われていた。この複数の回折線▽003、▽004、▽005、▽006間の間隔が等しいため、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムがグラフェン間にインターカレートされた層間物質挿入黒鉛(NaEDC−GIC)と考えられる。また、図4に示したサイクリック・ボルタモグラムから、実施例2では、1サイクル目B1において0.3〜0.4V付近でインターカレートが起こり、2サイクル目B2において0.1V及び0.3V付近でさらにインターカレートが進行し、3サイクル目以降ではインターカレートはわずかにしか進行していないものと考えられる。
【0048】
実施例2で得たジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムが挿入された黒鉛におけるXRDスペクトルから求めた繰り返し距離Icは4.125nmであった。
【符号の説明】
【0049】
1,2…Ptメッシュ
3…黒鉛シート
4…電解質水溶液容器
5…ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液
6a,6b…フッ素樹脂テープ
7…対極
8…参照極
9…ポテンシオガルバノスタット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン積層体のグラフェン間に層間物質が挿入されている層間物質挿入黒鉛であって、
前記層間物質が、ジアルキルジチオカルバミン酸塩である、層間物質挿入黒鉛。
【請求項2】
前記ジアルキルジチオカルバミン酸塩が、ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩である、請求項1に記載の層間物質挿入黒鉛。
【請求項3】
前記ジメチルジチオカルバミン酸塩またはジエチルジチオカルバミン酸塩が、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムまたはジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムである、請求項2に記載の層間物質挿入黒鉛。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の層間物質挿入黒鉛の製造方法であって、黒鉛をジアルキルジチオカルバミン酸塩水溶液中に浸漬し、該黒鉛を作用極とし、該作用極と、対極と、参照極とを有する三極式セルを用い、前記作用極と、前記参照極との間の電位差を−0.6Vから+0.4Vまで高め、次に+0.4Vから−0.6Vまで低下させる工程を1サイクルとしたときに、前記工程を複数サイクル行うサイクリック・ボルタモグラム処理を行う、層間物質挿入黒鉛の製造方法。
【請求項5】
前記電位差を変化させるに際し、電位差を変化させる速度を、1〜5mVs−1の範囲内とする、請求項4に記載の層間物質挿入黒鉛の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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