説明

層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂、並びに感光性樹脂組成物

【課題】優れた表面硬度、付着力及び透過率を提供することができ、産業利用における要求を満たす、層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂、並びに感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の樹脂は、エポキシ構造を含むアクリル系モノマーと、シランを含むアクリル系モノマーと、芳香族環を含むアクリル系モノマーと、前記のアクリル系モノマーとは異なるものから選ばれる不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とを反応させてなる共重合体である。また、本発明の感光性樹脂組成物は、本発明の樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物に関し、特に、層間絶縁膜及びオーバーコートを製造するためのアルカリ可溶性アクリル系樹脂及びその感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、感光性樹脂材料は既にプリント回路板(PCB)、集積回路(IC)、液晶表示パネル(LCD)や微小電気機械システム(MEMS)などの分野に広く応用されており、例えばフォトレジスト及び電子素子におけるオーバーコート層または絶縁層の作製に用いられる。特開2007−156139号公報(特許文献1)には、液晶表示パネルにおけるフォトスペーサの製造に用いられ、優れた弾性特性を提供する感光性樹脂組成物が開示されている。感光性材料とは、光に反応する材料であり、光エネルギーを吸収した後、分子内(Intra-reaction)または分子間(Inter-reaction)の変化を起こすこと(例えば、極性変化、鎖の破断、または鎖の架橋)により、露光領域と非露光領域の現像液に対する溶解速度に差異が生じる。例えば、ネガティブ型感光性材料は、露光した後に架橋反応を生じて現像液に溶解しにくくなるが、逆に、ポジティブ型感光性材料は、露光した後に現像液に溶解しやすくなるため、現像液を使用することにより露光領域にある感光性材料を除去することができる。フォトリソグラフィは、感光性材料の特性を利用し、露光と現像などの工程によって、電子素子における精細なパターンを作製する。フォトリソグラフィ工程において、例えば、紫外光、電子ビームまたはX線などの放射線を利用し、フォトマスクを介して、基材を覆う感光性材料に対して選択的な露光を行った上で、露光領域と非露光領域にある感光性材料の溶解速度の差異を利用して現像を行うことで、フォトマスクのパターン(例えば、配線パターン)を感光性材料に転移させる。
【0003】
微細化と高集積化(Integration)の発展傾向によって、樹脂材料の様々な特性もそれに伴って向上している。従って、高解像度などの要求を満たし樹脂材料の応用の多様化を満たすために、感光性樹脂材料は、製品に優れた性能を与えるとともに、製品の信頼性と収率を向上させるべく、高感光性、高透過率、高表面硬度、高耐熱性、高平坦度、高エッチング耐性、低熱膨脹性、及び基材などに対する高付着力などの特性を有することが必要とされている。特許第3994429号公報(即ち、特開2000−162769号公報、以下、特許文献2と称す)には、液晶表示パネル、集積回路装置、固体撮像装置(solid state image pickup device)における薄膜を形成するための、優れた表面平滑度(surface smoothness)、耐熱性(heat resistance)、透明性(transparency)及び耐薬品性(chemical resistance)を提供することができる樹脂組成物が開示されている。台湾特許第180311号(特許文献3)には、短波長でのイメージング(short wavelength imaging)用の、優れた解像度及び銅基材に対する付着力を提供できるフォトレジストが開示されている。また、台湾特許第I336711号(特許文献4)には、多環構造と高極性単位を樹脂に導入することによりドライエッチング耐性と現像液親和性を向上させたポジティブ型フォトレジストが開示されている。台湾特許第I342467号(特許文献5)には、樹脂と感光性開始剤などの成分の外、非水溶性モノマーと水溶性モノマーとの混合物を組成物に添加することにより現像コントラストを向上させたネガティブ型フォトレジストが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−156139号公報
【特許文献2】特許第3994429号(特開2000−162769号公報)
【特許文献3】台湾特許第180311号
【特許文献4】台湾特許第I336711号
【特許文献5】台湾特許第I342467号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、産業上の要求を満たすためには、高付着力を有し水洗いやエッチングなどに耐えるとともに、高表面硬度と高透過率などの特性を提供することができる樹脂材料が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、産業利用における要求を満たすための、感光性樹脂組成物に用いられる樹脂を提供する。本発明の樹脂は、エポキシ構造を含むアクリル系モノマーと、シランを含むアクリル系モノマーと、芳香族環を含むアクリル系モノマーと、前記のエポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマーとは異なるものから選ばれる不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とを反応させた共重合体である。本発明によれば、前記樹脂はアルカリ可溶性樹脂であり、その重量平均分子量は5000〜30000である。
【0007】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる一つであり、その酸無水物はアクリル酸無水物及びメタクリル酸無水物から選ばれる一つである。
【0008】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、エポキシ構造を含むアクリル系モノマーはエポキシシクロヘキサン環(epoxycyclohexane ring)を含むアクリル系モノマーから選ばれるものである。
【0009】
本発明の一部の態様において、樹脂は不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とアクリル系モノマーとの共重合体であり、該アクリル系モノマーはメタクリル酸系モノマーとメタクリル酸エステル系モノマーとを含む。本発明の一つの具体的な実施例によれば、前記エポキシ構造を含むアクリル系モノマーは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートである。本発明の一つの具体的な実施例によれば、前記シランを含むアクリル系モノマーは3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである。本発明の一つの具体的な実施例によれば、芳香族環を含むアクリル系モノマーはベンジルメタクリレートである。従って、前記エポキシ構造、シラン、芳香族環はエステル基部分に結合されている。
【0010】
さらに、本発明は、本発明の樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含有する感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、前記樹脂の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、10〜30wt%である。
【0012】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有する多官能基化合物であり、前記多官能基化合物は前記樹脂と重合または架橋することができるものである。前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、5〜20wt%である。
【0013】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、前記光重合開始剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、0.5〜5wt%である。
【0014】
本発明の一部の態様において、感光性樹脂組成物は溶剤を含む。溶剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、50〜80wt%である。
【発明の効果】
【0015】
本発明で提供された樹脂及びその感光性樹脂組成物は、高表面硬度と高透過率とを提供するとともに、付着力を向上させ、優れた水洗い耐性やエッチング耐性などの特性を示し、産業上の要求を満たしている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、特定の具体的な実施例により、本発明を実施するための形態を説明する。本技術分野に習熟した者は、本明細書に開示された内容によって簡単に本発明の他の利点や効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施例によって施行又は応用することもでき、本明細書における各項の詳しい内容も、異なる観点と応用に基づいて、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、いろいろな修正と変更を施すことができる。
【0017】
特に別途説明しない限り、本願の明細書と特許請求の範囲において使用された単数用語「一つの」と「前記」は、複数の場合を含む。
【0018】
特に別途説明しない限り、本願の明細書と特許請求の範囲において使用された用語「または」は、通常「及び/または」の意味を含む。
【0019】
本願で使用された用語「重量平均分子量」は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を利用し、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤として、測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)の値である。
【0020】
本願で使用された用語「アクリル系」はアクリル系とメタクリル系を含む。本願で使用された用語「(メタ)アクリル酸…」はかっこ内の文字を含むか含まないかを示す。例えば、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸及びメタクリル酸を含み、「(メタ)アクリル酸無水物」はアクリル酸無水物及びメタクリル酸無水物を含み、以下、これに準ずる。
【0021】
本発明は、エポキシ構造を含むアクリル系モノマーと、シランを含むアクリル系モノマーと、芳香族環を含むアクリル系モノマーと、前記のエポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマーとは異なるものから選ばれる不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とを反応させた共重合体である樹脂を提供する。
【0022】
本発明によれば、前記樹脂は感光性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂である。本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂の重量平均分子量は5000〜30000である。
【0023】
本発明の樹脂に用いられる不飽和カルボン酸としては、特に制限されていない。不飽和カルボン酸の実例には、(メタ)アクリル酸、クロトン酸(crotonic acid)、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸(citraconic acid)、メサコン酸、イタコン酸(itaconic acid)、ヘキセン二酸及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。本発明の樹脂に用いられる不飽和カルボン酸無水物としては、特に制限されていない。不飽和カルボン酸無水物の実例には上記の不飽和カルボン酸の無水物及びその組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0024】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂は少なくとも一種の不飽和カルボン酸またはその無水物を含む。本発明の一つの具体的な実施例によれば、不飽和カルボン酸は(メタ)アクリル酸であることが好ましい。本発明の一つの具体的な実施例によれば、不飽和カルボン酸無水物は(メタ)アクリル酸無水物であることが好ましい。これらの具体的な実施例の一部の態様において、本発明の樹脂は、不飽和カルボン酸と、前記のエポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマーとの共重合体である。
【0025】
本発明によれば、不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と、前記のエポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマー(以下、アクリル系モノマーとも称す)とから、共重合体を形成する。一つの具体的な実施例において、共重合体を形成するとき、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物の使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とアクリル系モノマーとの総量を基準として、10〜40モル%である。
【0026】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂は不飽和カルボン酸とアクリル系モノマーとの共重合体であり、該アクリル系モノマーには、エポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマーが含まれる。
【0027】
本発明の樹脂に用いられるエポキシ構造を含むアクリル系モノマーとしては、特に制限がなく、エポキシ基を含み、不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と共重合できるものであればよい。エポキシ構造を含むアクリル系モノマーは、エポキシ構造を含む重合性不飽和カルボン酸エステル(polymerizable unsaturated carboxylic acid ester)、例えば、エポキシ基を含む(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体、その類似物など及びその組み合わせから選ばれるものであってもよいが、それらに限定されない。
【0028】
エポキシ基を含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体などの実例には、オキシラン環(oxirane ring)を含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、例えば、オキシラニル(メタ)アクリレート(oxiranyl (meth)acrylate)、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、2−オキシラニルエチル(メタ)アクリレート、2−グリシジルオキシエチル(メタ)アクリレート(2-glycidyloxyethyl (meth)acrylate)、3−グリシジルオキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジルオキシフェニル(メタ)アクリレート(glycidyloxyphenyl (meth)acrylate)など及びそれらの組み合わせ;エポキシシクロヘキサン環(epoxycyclohexane ring)を含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシ)エチル(メタ)アクリレート、3−(3,4−エポキシシクロヘキシルメトキシ)プロピル(メタ)アクリレートなど及びそれらの組み合わせ;5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環(5,6-epoxy-2-bicyclo[2.2.1]heptane ring)を含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、例えば、5,6−エポキシ−2−ビシクロ[2.2.1]ヘプチル(メタ)アクリレートなど;3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカンを含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体;エポキシ基を含むビニルエーテル及びその誘導体;エポキシ基を含むアリルエーテル及びその誘導体;それらの類似物など;及びそれらの組み合わせ;が含まれるが、それらに限定されない。
【0029】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂には少なくとも一種のエポキシ構造を含むアクリル系モノマーが含まれる。本発明の一つの具体的な実施例によれば、エポキシ構造を含むアクリル系モノマーは、エポキシシクロヘキサン環を含む(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体、その類似物など及びその組み合わせから選ばれるものであり、好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート及びそれらの組み合わせから選ばれるものであり、より好ましくは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートである。
【0030】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、共重合体を形成するとき、前記エポキシ構造を含むアクリル系モノマーの使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、10〜50モル%である。
【0031】
本発明の樹脂に用いられるシランを含むアクリル系モノマーとしては、特に制限がなく、シランを含み、不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と共重合できるものであればよい。シランを含むアクリル系モノマーは、シランを含む重合性不飽和カルボン酸エステル、例えば、シランを含む(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体、その類似物など及びその組み合わせから選ばれるものであってもよいが、それらに限定されない。
【0032】
シランを含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体などの実例には、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(3-(trimethoxysilyl)propyl methacrylate)、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、2−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、トリメトキシシリルメチルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、2−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、トリエトキシシリルメチルメタクリレート、メタクリロキシプロピルトリ(メトキシエトキシ)シラン(methacryloxypropyltri(methoxyethoxy)silane)、3−(メタクリロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(アクリロキシ)プロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタクリロキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−(アクリロキシ)プロピルジメチルエトキシシラン、3−[トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル]プロピルメタクリレート、3−[トリス(ジメチルビニルシリルオキシ)]プロピルメタクリレート、3−(トリクロロシリル)プロピルメタクリレート、N−3−(メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、それらの誘導体、それらの類似物など及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、2−(トリメトキシシリル)エチルメタクリレート、トリメトキシシリルメチルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート、2−(トリエトキシシリル)エチルメタクリレート、それらの誘導体、それらの類似物など及びそれらの組み合わせである。
【0033】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂には、シランを含むアクリル系モノマーが少なくとも一種含まれる。本発明の一つの具体的な実施例によれば、シランを含むアクリル系モノマーは、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリレート及びそれらの組み合わせから選ばれるものである。好ましくは、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、3−(トリメトキシシリル)プロピルアクリレート及びそれらの組み合わせから選ばれるものであり、より好ましくは3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである。
【0034】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、共重合体を形成するとき、前記シランを含むアクリル系モノマーの使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、10〜30モル%である。
【0035】
本発明の樹脂に用いられる芳香族環を含むアクリル系モノマーとしては、特に制限がなく、芳香族環を含み、不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と共重合できるものであればよい。芳香族環を含むアクリル系モノマーは、芳香族環を含む重合性不飽和カルボン酸エステル、例えば、芳香族環を含む(メタ)アクリル酸エステル、その誘導体、その類似物など及びその組み合わせから選ばれるものであってもよいが、それらに限定されない。その中、前記芳香族環の炭素数は6〜10個の炭素原子である。
【0036】
芳香族環を含む(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体などの実例には、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、トリルアクリレート、トリルメタクリレート、2−ニトロフェニルアクリレート(2-nitrophenyl acrylate)、2−ニトロフェニルメタクリレート、4−ニトロフェニルアクリレート、4−ニトロフェニルメタクリレート、2−ニトロベンジルメタクリレート(2-nitrobenzyl methacrylate)、4−ニトロベンジルメタクリレート、2−クロロフェニルアクリレート(2-chloroophenyl acrylate)、2−クロロフェニルメタクリレート、4−クロロフェニルアクリレート、4−クロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルアクリレート、2,4,6−トリクロロフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、クロロベンジルアクリレート、クロロベンジルメタクリレート、1−フェニルエチルアクリレート、1−フェニルエチルメタクリレート、2−フェニルエチルアクリレート、2−フェニルエチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、3−フェニルプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ジフェニルメチルメタクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、2−フェノキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールアクリレート、フェノキシテトラエチレングリコールメタクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールアクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコールメタクリレート、それらの誘導体、それらの類似物など及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0037】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、樹脂には、芳香族環を含むアクリル系モノマーが少なくとも一種含まれる。本発明の一つの具体的な実施例によれば、芳香族環を含むアクリル系モノマーは、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、トリルアクリレート、トリルメタクリレート、それらの誘導体、それらの類似物など及びそれらの組み合わせから選ばれるものである。好ましくは、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、トリルアクリレート、トリルメタクリレート及びそれらの組み合わせから選ばれるものであり、より好ましくはベンジルメタクリレートである。
【0038】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、共重合体を形成するとき、前記芳香族環を含むアクリル系モノマーの使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、10〜20モル%である。
【0039】
また、本発明の一つの態様によれば、必要に応じて活性モノマーを添加して樹脂の特性、例えば、表面硬度、可撓性、付着力、粘度などを調整してもよいが、それらの特性に限定されない。本発明の一つの具体的な実施例によれば、必要に応じて活性モノマーと不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とを添加し共重合して樹脂を製造してもよい。これらの具体的な実施例の一部の態様において、活性モノマーはエチレン性不飽和モノマーから選ばれるものである。一つの具体的な実施例において、活性モノマーは必要に応じて単官能基モノマー及び多官能基モノマーから選ばれるものである。これらの具体的な実施例の一部の態様において、活性モノマーは多官能基のエチレン性不飽和モノマーである。
【0040】
エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸エステル、芳香族不飽和モノマー、アミド基を含むモノマー、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルなど及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0041】
エチレン性不飽和モノマーの実例には、(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート(tricyclodecanyl (meth)acrylate)、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレート(oxetanyl (meth)acrylate)、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート((3-methyl-3-oxetanyl)methyl (meth)acrylate)、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]エチル(メタ)アクリレート(2-[(3-methyl-3-oxetanyl)methoxy]ethyl (meth)acrylate)、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシ)エチル(メタ)アクリレート(2-(tricyclo[5.2.1.02,6]decyloxy)ethyl (meth)acrylate)など及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0042】
他の実例としては、スチレン、ビニルトルエン(例えば、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン)、α−メチルスチレン、クロロスチレンなど及びそれらの組み合わせ;アクリルアミド誘導体、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメタクリルアミド、N−エトキシメタクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミド、アクリロニトリルなど及びそれらの組み合わせ;マレイミド誘導体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなど及びそれらの組み合わせ;イソブチレン;及びそれらの組み合わせ;が挙げられる。
【0043】
樹脂に添加される活性モノマーとしては、市販の多官能基化合物を使用してもよく、例えば、Nikalac MX-302(三和ケミカル社製)、Aronix M-400、M-402、M-403、M-404、M-408、M-450、M-305、M-309、M-310、M-313、M-315、M-320、M-325、M-326、M-327、M-350、M-360、M-208、M-210、M-215、M-220、M-225、M-233、M-240、M-245、M-260、M-270、M-1100、M-1200、M-1210、M-1310、M-1600、M-221、M-203、TO-924、TO-1270、TO-1231、TO-595、TO-756、TO-1343、TO-1382、TO-902、TO-904、TO-905、TO-1330(東亞合成社製)、Kayarad D-310、D-330、DPHA、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、DN-0075、DN-2475、SR-295、SR-355、SR-399E、SR-494、SR-9041、SR-368、R-415、SR-444、SR-454、SR-492、SR-499、SR-502、SR-9020、SR-9035、SR-111、SR-212、SR-213、SR-230、SR-259、SR-268、SR-272、SR-344、SR-349、SR-368、SR-601、SR-602、SR-610、SR-9003、PET-30、T-1420、GPO-303、TC-120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX-220、HX-620、R-551、R-712、R-167、R-526、R-551、R-712、R-604、R-684、TMPTA、THE-330、TPA-320、TPA-330、KS-HDDA、KS-TPGDA、KS-TMPTA(日本化薬社製)、Light Acrylate PE-4A、DPE-6A、DTMP-4A(共栄社化学社製)及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、活性モノマーは(メタ)アクリル酸エステル及びその誘導体であることが好ましい。この実施例の一部の態様において、樹脂は不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とアクリル系モノマーとの共重合体であり、該アクリル系モノマーには、エポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー、芳香族環を含むアクリル系モノマー及び活性モノマーが含まれる。
【0045】
共重合体を形成するとき、前記活性モノマーの使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、40〜90モル%である。
【0046】
樹脂の製造は重合反応により行うことができ、重合反応は、通常、ラジカル開始剤の存在下で行われる。ラジカル開始剤としては、特に制限がなく、この技術分野において一般的に用いられるラジカル開始剤を使用できる。一種または二種以上のラジカル開始剤を使用できる。二種またはそれ以上のラジカル開始剤の混合物を使用する場合、混合割合は特に制限されていない。ラジカル開始剤の使用量は、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、好ましくは1〜10wt%である。重合温度は通常50〜80℃であり、好ましくは、60〜70℃である。
【0047】
重合反応は、通常、溶剤の存在下で行われ、好ましくは、樹脂における各成分、ラジカル開始剤及び製造された樹脂を溶解する溶剤を使用する。溶剤としては、特に制限がなく、この技術分野において一般的に用いられる溶剤を使用できる。一種または二種以上の溶剤を使用できる。二種またはそれ以上の溶剤の混合物を使用する場合、混合割合は特に制限されていない。溶剤の使用量は、特に制限されていないが、前記不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物と全てのアクリル系モノマーとの総量を基準として、好ましくは50〜80wt%である。
【0048】
本発明の樹脂は、感光性樹脂組成物に用いられるアルカリ可溶性樹脂である。
【0049】
さらに、本発明は感光性樹脂組成物を提供する。本発明の一つの具体的な実施例によれば、感光性樹脂組成物は、本発明の樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、光重合開始剤とを含有する。
【0050】
前記樹脂の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、10〜30wt%であり、好ましくは、15〜25wt%である。本発明の一つの具体的な実施例によれば、製造された樹脂を、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物及び光重合開始剤と混合することにより、感光性樹脂組成物を得る。
【0051】
本発明に用いられる感光性樹脂組成物において、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、光エネルギーを吸収した後に樹脂と重合・架橋することができる。本発明に用いられるエチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、特に制限がなく、光エネルギーを吸収した後に樹脂と重合・架橋することができるものであればよい。本発明の一つの具体的な実施例によれば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を有するモノマー及び/またはオリゴマーから選ばれるものである。本発明の一つの具体的な実施例によれば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、必要に応じて、単官能基を有するもの及び/または多官能基を有するもの(本願で使用される「多官能基」という用語には慣用的な意味があり、1個を超える官能基を有することを指す)から選ばれるものである。これらの具体的な実施例の一部の態様において、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物は、多官能基の重合性化合物から選ばれるものである。
【0052】
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の実例には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、オキセタニル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、3−エチル−3−オキセタニル(メタ)アクリレート、(3−メチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、2−(3−メチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−(3−エチル−3−オキセタニル)エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]エチル(メタ)アクリレート、2−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]エチル(メタ)アクリレート、3−[(3−メチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル(メタ)アクリレート、3−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]プロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシ)エチル(メタ)アクリレートなど及びそれらの組み合わせ;スチレン、ビニルトルエン(例えば、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビニルトルエン)、α−メチルスチレン、クロロスチレンなど及びそれらの組み合わせ;アクリルアミド誘導体、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N−メトキシメタクリルアミド、N−エトキシメタクリルアミド、N−ブトキシメタクリルアミド、アクリロニトリルなど及びそれらの組み合わせ;マレイミド誘導体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルなど及びそれらの組み合わせ;イソブチレン;及びそれらの組み合わせ;が含まれるが、それらに限定されない。
【0053】
エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物としては、市販の多官能基化合物を使用してもよく、例えば、Nikalac MX-302(三和ケミカル社製)、Aronix M-400、M-402、M-403、M-404、M-408、M-450、M-305、M-309、M-310、M-313、M-315、M-320、M-325、M-326、M-327、M-350、M-360、M-208、M-210、M-215、M-220、M-225、M-233、M-240、M-245、M-260、M-270、M-1100、M-1200、M-1210、M-1310、M-1600、M-221、M-203、TO-924、TO-1270、TO-1231、TO-595、TO-756、TO-1343、TO-1382、TO-902、TO-904、TO-905、TO-1330(東亞合成社製)、Kayarad D-310、D-330、DPHA、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120、DN-0075、DN-2475、SR-295、SR-355、SR-399E、SR-494、SR-9041、SR-368、R-415、SR-444、SR-454、SR-492、SR-499、SR-502、SR-9020、SR-9035、SR-111、SR-212、SR-213、SR-230、SR-259、SR-268、SR-272、SR-344、SR-349、SR-368、SR-601、SR-602、SR-610、SR-9003、PET-30、T-1420、GPO-303、TC-120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX-220、HX-620、R-551、R-712、R-167、R-526、R-551、R-712、R-604、R-684、TMPTA、THE-330、TPA-320、TPA-330、KS-HDDA、KS-TPGDA、KS-TMPTA(日本化薬社製)、Light Acrylate PE-4A、DPE-6A、DTMP-4A(共栄社化学社製)及びそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0054】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、5〜20wt%であり、好ましくは、10〜15wt%である。
【0055】
本発明の感光性樹脂組成物に用いられる光重合開始剤としては、特に制限がなく、光エネルギーを吸収した後にラジカル重合反応を開始させる光重合開始剤を使用できる。
【0056】
光重合開始剤の実例には、ベンゾイン及びそのアルキルエーテル、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル(benzoin phenyl ether)、アセチルベンゾイン;アセトフェノン、例えば、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン;アミノアセトフェノン、例えば、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン;アントラキノン、例えば、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン(2-amylanthraquinone);チオキサントン(thioxanthone)及びキサントン(xanthone)、例えば、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン;ケタール、例えば、アセトフェノンジメチルアセタール、ベンジルジメチルケトン;ベンゾフェノン、例えば、ベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(4,4’-bis(N,N’-dimethylamino)benzophenone)、4,4’−ビス(N,N’−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン;アクリジン誘導体(acridine derivative);フェナジン誘導体(phenazine derivative);キノキサリン誘導体(quinoxaline derivative);トリフェニルホスフィン;ホスフィンオキシド、例えば、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド((2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4,4-trimethylpentyl phosphine oxide)、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phenyl phosphine oxide)、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethylbenzoyl-diphenyl phosphine oxide)、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイル−フェニルホスフィンオキシド(ethyl-2,4,6-trimethylbenzoyl-phenyl phosphine oxide);1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム(1-phenyl-1,2-propanedione-2-O-benzoyl oxime);4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−プロピル)−ケトン(4-(2-hydroxyethoxy)phenyl-(2-propyl)ketone);1−アミノフェニルケトン(1-aminophenylketone)及び1−ヒドロキシフェニルケトン(1-hydroxyphenylketone)、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシイソプロピルフェニルケトン、フェニル−1−ヒドロキシイソプロピルケトン(phenyl-1-hydroxyisopropyl ketone)、4−イソプロピルフェニル−1−ヒドロキシイソプロピルケトン(4-isopropylphenyl-1-hydroxyisopropyl ketone);各種の過酸化物(peroxide);及びそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0057】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、光重合開始剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、0.5〜5wt%であり、好ましくは、1〜3wt%である。
【0058】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、感光性樹脂組成物は必要に応じて溶剤を含んでもよい。感光性樹脂組成物に用いられる溶剤としては、特に制限がなく、感光性樹脂組成物の成分を分散または溶解することができ、それらの成分と反応することなく、適度な揮発性と適切な乾燥速度を有し、揮発した後に均一かつ平滑な塗膜を提供するものであればよい。この技術分野において一般的に使用される溶剤を使用できる。
【0059】
溶剤の実例には、エーテル系、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル及びテトラヒドロフランなど;ケトン類、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及び3−ヘプタノンなど;エステル系、例えば、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシエチルプロピオネート、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸メチル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸n−ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n−ブチル、酪酸エチル、酪酸n−プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n−ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n−プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル及び2−ヒドロキシ酪酸エチルなど;芳香族系、例えば、トルエン及びキシレンなど;アミド系、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド及びN,N−ジメチルアセトアミドなど、が含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、シクロヘキサノン、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及び3−エトキシエチルプロピオネートである。一種または二種以上の溶剤を使用できる。二種またはそれ以上の溶剤の混合物を使用する場合、混合割合は特に制限されていない。
【0060】
また、上記溶剤は、ベンジルエチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、アセトニトリル、アセトン、イソホロン、ヘキサン酸、ヘプチル酸、1−オクチルアルコール、1−ナフチルアルコール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテートなどの溶剤と併せて使用してもよい。
【0061】
一つの具体的な実施例において、溶剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、50〜80wt%であり、好ましくは、55〜75wt%である。
【0062】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、感光性樹脂組成物は必要に応じて添加剤を含んでもよい。添加剤の実例には、変性剤(modifier)、強靭化剤(toughener)、安定剤(stabilizer)、消泡剤、分散剤(dispersant)、レベリング剤(leveling agent)、増粘剤(thickening agent)、補強剤(reinforcing agent)、カップリング剤(coupling agent)、可撓性付与剤(flexibility-imparting agent)、可塑剤(plasticizer)、増感剤(sensitizer)、水、難燃剤、酸化防止剤、静電防止剤、熱硬化剤、界面活性剤、顔料、染料、充填材、沈降防止剤及びそれらの類似物など、並びにそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0063】
一つの具体的な実施例において、添加剤の含有量は、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、通常、5wt%を超えていない。
【0064】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、感光性樹脂組成物をフォトレジスト、特にネガティブ型フォトレジストの製造に使用することができ、これらの具体的な実施例の一部の態様において、感光性樹脂組成物を基材に施用した後、乾燥、露光、現像することにより、パターニングする。これらの具体的な実施例の一部の態様において、基材に施用された感光性樹脂組成物をパターニングした後、さらに基材にエッチングまたはメッキを施してもよい。
【0065】
感光性樹脂組成物は様々な基材(無機材料、有機材料またはそれらの混合物を含む)に施用することができ、例えば、ガラス基板、シリコン基板(例えば、シリコン、シリカ、ドープされたシリカ、窒化ケイ素、ポリシリコンなど)、Al基板、GaAs基板、タンタル基板、銅基板、セラミックス基板、アルミニウム・銅混合物基板、ポリカーボネート基板、ポリエステル基板、ポリアミド基板、ポリアミドイミド基板、ポリイミド基板、酢酸セルロース基板、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂など及びそれらの類似物が挙げられるが、それらに限定されない。それらの基板には、薬品(例えば、有機シランカップリング剤など)処理、プラズマ処理、スパッタリング処理、イオンプレーティング処理、気相反応処理、真空蒸着処理などの前処理を行ってもよい。基板がシリコン基板である場合、その表面に電荷結合素子(Charge Coupled Device、即ちCCD)、薄膜トランジスタ(thin film transistor、即ちTFT)などが形成されていてもよい。
【0066】
感光性樹脂組成物は、基材に施用した後、加熱することによりプリベークを行ってもよい。次に、適切なフォトマスクを利用して、感光性樹脂組成物が塗布された基材に対し適切な光源で選択的に露光することにより、所要のパターンを得る。露光終了後、非露光領域のフォトレジスト層が完全にまたはほとんど溶解されるまで、基材をアルカリ性現像液に浸漬させる。その後、基材を取り出し、熱処理(ポストベーク)を行う。
【0067】
本発明の一つの具体的な実施例によれば、感光性樹脂組成物は、電子素子におけるオーバーコート層または絶縁層の作製に用いられる。
【0068】
本発明の感光性樹脂組成物は、適切な現像能力と高い透過率を提供することができるとともに、表面硬度と付着力を向上させ、優れた水洗い耐性やエッチング耐性などの特性を示し、製品の信頼性と収率を向上させることができる。
【実施例】
【0069】
本発明を実施例によりさらに説明するが、それらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。なお、特に指定しない限り、下記実施例及び比較実施例において、いずれの成分の含有量及びいずれの物質の量を示す「部」及び「%」も重量基準である。
【0070】
[樹脂の製造]
(樹脂1)
攪拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素導入管を備えた内容積6Lのフラスコに、MEDG(Methyl Ethyl Di Glycol、即ちジエチレングリコールメチルエチルエーテル)270gを仕込み、攪拌し、65℃まで昇温し恒温保持した。また、フラスコに、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(重合開始剤)14.2g、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(連鎖移動剤)4g、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート33.5g(A−174、モル比=18%)、2−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルオキシ)エチルアクリレート31.7g(TCDMA、モル比=19%)、メタクリル酸12.3g(MAA、モル比=19%)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート40.0g(M−100、モル比=26%)、ベンジルメタクリレート25.3g(BzMA、モル比=18%)を添加し、攪拌して溶解させた後、75℃まで昇温し、2.5時間恒温保持して、固形分含有率が31.2重量%であり平均分子量(Mw)が8000である樹脂共重合体溶液を得た。
【0071】
(樹脂2〜6)
樹脂2〜6は、上記樹脂1と同様に調製した。また、樹脂4〜6は比較例に応用した。それらの樹脂の組成は下記表1に示される。
【0072】
【表1】

【0073】
A-174:3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート
STYRENE:スチレン
TCDMA:トリシクロデカニルメタクリレート
MAA:メタクリル酸
M-100:3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート
THFMA:テトラヒドロフルフリルメタクリレート
BzMA:ベンジルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
【0074】
固形分含有率:一定重量の秤量瓶において、1gのサンプル(樹脂共重合体溶液)を取り、105℃の恒温乾燥機で12時間乾燥し、冷却した後、重さを測り、固形分含有率を計算する。一般的には、この固形分含有率から重合の達成率を推定する。重合されていないモノマーは液体として存在し、重合体は固体として存在する。
【0075】
[層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂組成物の製造]
(実施例1)
樹脂1(樹脂に換算された固形分含有量:15.60g)の溶液50g、CGI 242(光重合開始剤、BASF社製)2g、ジペンタエリスリトールアクリレート(Aronix M 400、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物)15g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)33gを均一に混合し、樹脂組成物100gに配合して、0.2μmのフィルターでこの溶液をろ過することにより、樹脂組成物を得た。
【0076】
(実施例2、実施例3)
実施例1における樹脂1の代わりにそれぞれ樹脂2及び樹脂3を使用し、実施例1の工程に基づいて、実施例2、実施例3の樹脂組成物をそれぞれ製造した。
【0077】
(比較例1〜3)
実施例1における樹脂1の代わりにそれぞれ樹脂4、樹脂5、樹脂6を使用し、実施例1の工程に基づいて、比較例1〜3の樹脂組成物をそれぞれ製造した。
【0078】
[測定]
次いで、以下の方法により、上記で得られた組成物について、付着力(adhesion)、表面硬度(surface hardness)、透過率(transmittance)及び現像能力などの測定を行った。
【0079】
上記で得られた樹脂組成物を、スピンコート(回転数1000rpm、7秒)で、ITO(酸化インジウムスズ)付きの導電性ガラス基材にそれぞれ均一に塗布した。オーブンにて100℃で10分間プリベーク(Pre-bake)を行った。フォトマスクを介して、150mJ/cmの露光エネルギーで樹脂組成物に露光(Exposure)を行った。流れる脱イオン水で30秒間リンス(Rinse)した後、オーブンにて230℃で30分間ポストベーク(Post-bake)を行った。以下の方法により、基材に形成された樹脂組成物薄膜について測定を行って、樹脂組成物の特性を評価した。
【0080】
(1)水洗い後の付着力
樹脂組成物薄膜が形成された基材を脱イオン水に浸漬させ、80℃で1時間保持した。次に、クロスハッチカッター及び3Mテープで樹脂組成物の基材に対する付着力を測定(ASTM D3359測定法)することにより、エッチング後の薄膜の基材に対する付着力を評価した。評価の点数において、5Bの付着力が最も好ましく、4Bがそれに次ぎ、0Bが最も劣る。
【0081】
(2)エッチング後の付着力
樹脂組成物薄膜が形成された基材を塩化鉄の酸性エッチング液(HCl:215ml、37wt%。HO:69.2ml。FeCL:16.8ml、15wt%)に浸漬させ、40℃で3分間保持した。次に、クロスハッチカッター及び3Mテープで樹脂組成物の基材に対する付着力を測定(ASTM D3359測定法)することにより、エッチング後の薄膜の基材に対する付着力を評価した。評価の点数において、5Bの付着力が最も好ましく、4Bがそれに次ぎ、0Bが最も劣る。
結果を下記表2に示す。表2から、本発明の実施例の樹脂で製造された感光性樹脂組成物は、エッチング液に対して優れた耐性を有し、エッチングした後に基材に対して優れた付着力を示すことがわかる。
【0082】
(3)表面硬度
樹脂組成物から形成された薄膜に、鉛筆引っかき試験(Pencil Scratch Hardness Test)を行うことにより、薄膜の表面硬度を評価した。結果を下記表2に示す。その中、6Bは硬度が最も劣ることを示し、6Hは硬度が最も好ましいことを示す。例えば、H鉛筆を使用しても表面に引っかき傷ができず、2H鉛筆を使用しても表面に引っかき傷ができないが、3H鉛筆を使用すると表面に引っかき傷ができる場合は、試験膜の硬度は2Hであると判定する。
表2から、本発明の実施例の樹脂で製造された感光性樹脂組成物は、優れた表面硬度を提供することがわかる。
【0083】
(4)230℃透過率
樹脂組成物を前記のようにそれぞれ塗布し、プリベークを行って、230℃で30分間ポストベーク(Post-bake)を行った後、顕微分光光度計(MX−50、オリンパス社製)を利用し、400nmの波長で、樹脂組成物により形成された薄膜の光透過率を測定した。
結果を下記表2に示す。表2から、本発明の実施例の樹脂で製造された感光性樹脂組成物は、優れた付着力と表面硬度を提供するとともに、高い透過率を維持することができることがわかる。
【0084】
(5)現像能力
樹脂組成物をそれぞれ前記のように塗布しプリベークし、30μmの孔を開けたパターンを有するフォトマスクで露光した。さらに、KOH 0.04%を使用して25℃で60秒間現像し、流れる脱イオン水で30秒間リンス(Rinse)し、ポストベークを行った後、顕微鏡で開孔値を計測した。結果を下記表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
本発明の実施例の樹脂で製造された感光性樹脂組成物は、適度な現像能力と透過率を提供するとともに、表面硬度と付着力を向上させ、優れた水洗い耐性やエッチング耐性などの特性を示し、製品の信頼性と収率を向上させ、産業上の要求を満たすことができる。
【0087】
上記の実施例は例示的に本発明の組成物とその製造方法を述べるものに過ぎず、本発明を限定するものではない。本技術分野に習熟した者は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱しない限り、上記の実施例に各種修正と変更を施すことができる。従って、本発明の主張する権利範囲は特許請求の範囲に記載される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ構造を含むアクリル系モノマーと、シランを含むアクリル系モノマーと、芳香族環を含むアクリル系モノマーと、前記のエポキシ構造を含むアクリル系モノマー、シランを含むアクリル系モノマー及び芳香族環を含むアクリル系モノマーとは異なるものから選ばれる不飽和カルボン酸及び/またはその酸無水物とを反応させた共重合体であることを特徴とする層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項2】
前記不飽和カルボン酸がアクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる一つであり、前記酸無水物がアクリル酸無水物及びメタクリル酸無水物から選ばれる一つである請求項1に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項3】
前記不飽和カルボン酸がメタクリル酸である請求項2に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項4】
前記エポキシ構造を含むアクリル系モノマーが、エポキシシクロヘキサン環を含むアクリル系モノマーから選ばれるものである請求項1に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項5】
前記エポキシ構造を含むアクリル系モノマーが、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレートまたは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレートである請求項4に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項6】
前記シランを含むアクリル系モノマーが、3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである請求項1に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項7】
前記芳香族環を含むアクリル系モノマーが、ベンジルメタクリレートである請求項1に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項8】
重量平均分子量が5000〜30000である請求項1に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の樹脂と、エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物と、光重合開始剤と、溶剤とを含むことを特徴とする層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記樹脂の含有量が、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、10〜30wt%である請求項9に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物の含有量が、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、5〜20wt%である請求項9に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。
【請求項12】
前記光重合開始剤の含有量が、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、0.5〜5wt%である請求項9に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。
【請求項13】
前記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物がエチレン性不飽和結合を有する多官能基化合物であり、前記多官能基化合物が前記樹脂と重合または架橋することができるものである請求項9に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記溶剤の含有量が、前記感光性樹脂組成物の総重量を基準として、50〜80wt%である請求項9に記載の層間絶縁膜用及びオーバーコート用の感光性樹脂組成物。

【公開番号】特開2013−53312(P2013−53312A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−191730(P2012−191730)
【出願日】平成24年8月31日(2012.8.31)
【出願人】(512227421)臺湾永光化▲学▼工業股▲フン▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】