説明

履帯式作業機械のトラックチェイン用カートリッジアセンブリおよび同アセンブリを用いる作業機械

【課題】履帯式作業機械のトラックチェイン用のカートリッジ軸受けアセンブリを提供する。
【解決手段】このカートリッジ軸受けアセンブリ30は、ピン34の回りに配置されて軸方向/半径方向荷重を支持する挿入部材36a、36bと、その挿入部材間に配置される回転ブッシュ42とを含む。クラウン加工されたスリーブ軸受け40が、挿入部材36a、36bおよびピン34の間、並びに、ピン34および回転ブッシュ42の間に配備される。ピン34の両端部にはカラー44a、44bが配備され、ピン34に固定連結される。カラー44a、44bは、カートリッジアセンブリ30の他の構成部品をその間に閉じ込める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には履帯式作業機械に関し、特に、履帯式作業機械のトラックチェイン用回転ブッシュ式カートリッジアセンブリに関する。このカートリッジアセンブリは、カートリッジピンの回りに配置される環状の荷重伝達用タブを具備する第1および第2挿入部材を有する。
【背景技術】
【0002】
履帯式の作業機械は、建設現場、鉱山、石油・ガス田、森林および他の粗大な作業環境において一般的に用いられる。この種の作業機械は、車輪よりもむしろ履帯を使用しており、この履帯は、作業機械本体の両側にそれぞれ1つ配備され、一般的に駆動スプロケットおよび1つ以上のアイドラの回りに張られる連結リンクのチェインから構成される。履帯または「トラックチェイン」は地面に係合し、作業機械が比較的粗雑な地表面上を動き回れるようにする。
【0003】
トラックチェイン自体は、一般的に、一緒に連結された可動な金属リンクを含む。トラックチェインの可動部品間の摩擦を低減するために軸受けおよび潤滑油を使用している場合でも、長期の運転時間を経過すると、可動部品の恒常的な金属対金属接触によって顕著な摩耗が生じる可能性がある。焼き付きおよび他の摩耗関連の問題は、特に比較的大型の履帯式作業機械に出現する傾向がある。大型の作業機械においては、トラックチェインの構成部品が相応の高荷重に曝される場合が多いからである。いくつかの例では、高荷重によってトラックチェイン軸受けを支持するピンに実際に撓みが生じ得、これが、軸受けアセンブリの離れた領域に不釣り合いな荷重を加えることによって摩耗問題を促進し、これによって急速な摩耗を惹起する。軸受けアセンブリのピンまたはトラックの一部分を作業機械の走行方向に対して横方向に押しやろうとする荷重は、当分野において、側方荷重として知られており、従来、特に対処が困難であった。側方荷重は、実際に、トラックのリンクの隣接部分を一緒に摩損させる可能性がある。
【0004】
トラックチェインにおける特定の種類の摩耗を抑制することを目指した1つの継ぎ手部の設計が(特許文献1)から知られる。(特許文献1)は、ピンの回りに配置されかつ中心のブッシュと相互作用するスリーブ軸受けを採用している。このスリーブ軸受けは、特定の荷重をその中心に向けて導くのを補助するようにクラウン加工されており、それによって不釣り合い荷重を低減する。(特許文献1)は、少なくとも特定の種類の荷重に対する1つの成功例を示しているものの、いずれにしても改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,485,116号明細書
【特許文献2】米国特許第6,382,742号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、上記の1つ以上の問題点もしくは欠点の解決を目指す。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、1つの態様において、履帯式作業機械のトラックチェイン用のスリーブ軸受けアセンブリを提供する。このアセンブリは、軸を規定するピンと、そのピンの回りに配置される回転ブッシュとを含む。さらに、第1および第2挿入部材が装着され、それぞれ回転ブッシュの両端側に配置される。各挿入部材は、半径方向の荷重を支持する面と、ピンの回りに延びる環状のタブとを含み、この環状タブには、軸方向荷重を支持する面が設けられる。
【0008】
本開示は、もう1つの態様において履帯式作業機械を提供する。この作業機械は内側のトラックリンクおよび外側のトラックリンクを含む。スリーブ軸受けアセンブリが装着され、内側および外側のトラックリンクを可動に連結する。スリーブ軸受けは、軸を規定するピンと、そのピンの回りに配置される回転ブッシュとを含む。軸方向/半径方向荷重伝達用の第1および第2挿入部材が内側のトラックリンクに連結される。この挿入部材は、それぞれ、ピンの回りに延びる環状のタブを含む。
【0009】
さらに別の態様として、履帯式作業機械の操作方法が提供される。この方法は、内側のトラックリンクおよび外側のトラックリンクの間に回転ブッシュ式スリーブ軸受けカートリッジアセンブリを挿入するステップを含む。この方法は、さらに、回転ブッシュ式スリーブ軸受けカートリッジアセンブリの2つの挿入部材のそれぞれの内向きに延びる環状タブを介して、トラックリンクに作用する軸方向荷重に対抗することによって、内側トラックリンクおよび外側トラックリンクの間の摩耗を低減するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本明細書による履帯式作業機械の側面図である。
【図2】本明細書の1つの実施形態によるトラックチェインの一部の等角図である。
【図3】本明細書の1つの実施形態による回転ブッシュ式スリーブ軸受けカートリッジアセンブリの断面図である。
【図4】本明細書の別の実施形態による回転ブッシュ式スリーブ軸受けカートリッジアセンブリの断面図である。
【図5】本明細書のさらに別の実施形態による回転ブッシュ式スリーブ軸受けカートリッジアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、本開示の1つの実施形態による履帯式作業機械10が示される。作業機械10は作業機械本体12を含み、作業機械本体12はその側部に取り付けられる駆動スプロケット20を有する。トラックチェイン14は、駆動スプロケット20並びに後部アイドラ18および前部アイドラ19の回りに張られる。トラックチェイン14は複数のリンク15を含み、その各リンクはスリーブ軸受けカートリッジアセンブリ30によって他の2つのリンクに可動に連結される。複数のトラックローラ17を作業機械本体12に連結することができ、このトラックローラ17は従来の方式でトラックチェイン14に対して回転することができる。また、作業機械10は、従来のように、その両側に同一のトラックチェイン、駆動スプロケットおよびアイドラを含むことができる。図においては、作業機械10が比較的大型の「高位置駆動(high drive)」トラクタとして表現されているが、本開示はこれに限定されるわけではなく、あらゆるタイプの多様な履帯式作業機械を本開示に従って設計し得ることが認められるべきである。
【0012】
図2を参照すると、トラックチェイン14の一部が示され、一緒に連結された隣接するトラックリンク15の一部分が表現されている。トラックリンク15は同一のものとすることができる。本明細書で記述する「内側の」および「外側の」リンクは、図2に示すように反対向きの方位に組み込まれるリンクを表す。スリーブ軸受けカートリッジアセンブリ30は、以下「カートリッジアセンブリ30」と呼称するが、このカートリッジアセンブリ30が、各トラックリンク15を隣接するトラックリンクに可動に連結する。想定される1つの実施形態においては、ここに述べるように、各カートリッジアセンブリ30が、補修不可能(non−serviceable)な予備組み立てモジュールであって隣接するトラックリンクにプレス嵌めすることができるモジュールを構成する。プレス嵌め後に、所要に応じて、構成部品のいくつかを溶接接合することができる。しかし、カートリッジアセンブリ30の種々の構成部品は、予備組み立てする必要はなく、その代わりに、トラックチェイン14全体を組み立てる際にトラックリンク15と一緒に連結することも、本開示の範囲から離れることなく可能である。さらに、各カートリッジアセンブリ30はトラックリンクにプレス嵌めする必要はなく、その代わりに他の何らかの手段によってトラックリンクに連結してもよい。
【0013】
図2のほぼ中央に示されるカートリッジアセンブリ30の断面を特に参照すると、カートリッジアセンブリ30は、軸「L」を規定するピン34を含むことができる。第1および第2の環状のカラー44aおよび44bを、それぞれ、ピン34の一端もしくは両端に配置して、ここに述べるように、そのピン34にプレス嵌めすることができる。ピン34には、カートリッジアセンブリ30の部品に潤滑油を供給するための穿孔35を設けることができる。一般的には、穿孔35の一端もしくは両端にシール31を装着することになろう。第1および第2の環状の挿入部材36aおよび36bが、それぞれ、カラー44aおよび44bのそれぞれ軸方向中心側に(軸Lに沿ってカートリッジアセンブリ30の中心に向かう方に)隣接して配置される。挿入部材36aおよび36bの間には回転ブッシュ42が配置される。想定される1つの実施形態においては、カラー44aおよび44bが、回転ブッシュ42と、挿入部材36aおよび36bと、カートリッジアセンブリ30の他の構成部品とを、ピン34に連結する際にその間に閉じ込める。挿入部材36a、36bと、回転ブッシュ42と、スラストリング(以下に述べる)とは、ピン34の回りにスリップ嵌めすることができる。回転ブッシュ42は、一般的に、作業機械運転の間にトラック14がその径路の回りに移動する時に、図1に示す駆動スプロケット20に対して回転するであろう。ブッシュ42は、またアイドラ18および19に対しても回転することができる。
【0014】
図2のカートリッジアセンブリ30は、本開示のいくつか可能な実施形態の1つに基づいて表現されている。各トラックリンク15は一般的には同一のものになろう。また、各リンクは、内側のリンク15bおよび外側のリンク15aの組を含むことができる。内側および外側のリンクの各組は、隣接するトラックリンクの外側または内側のリンクに、カートリッジアセンブリ30によって連結することができる。特に、内側のリンク15bは、挿入部材36aおよび36bに例えばプレス嵌めして連結することができ、外側のリンク15aは、カラー44aおよび44bに、同様に例えばプレス嵌めして連結することができる。挿入部材36aおよび36bは、カラー44aおよび44bよりも僅かに大きな外径を有することができる。運転の間に、リンク15aおよび15bが実質的に接触することなく互いに対して回転し得るように、外側のリンク15aは、ここに述べるように、一般的に比較的小さい間隙「Z」だけ内側のリンク15bから離されることになろう。
【0015】
図2の実施形態においては、回転ブッシュ42を2つのスリーブ軸受け40の上に載せることができる。挿入部材36aおよび36bも2つの別個のスリーブ軸受け40の上に載せることができる。各スリーブ軸受け40は、例えば窒化鋼のような比較的硬い金属材料から形成するのがよいと考えられており、また、その外径の中央点の回りに曲線状の外周クラウン41を含むことが想定されている。しかし、スリーブ40が別のクラウン形状を含む実施形態、あるいはクラウンされない実施形態も考えられる。複数のシール43を、各カラー44aおよび44bと挿入部材36aおよび36bとの間、並びに、挿入部材36aおよび36bとブッシュ42との間に配置して装着することもできる。シール43は、例えば米国特許公報(特許文献2)に記載されるタイプに類似の環状の弾性シールとすることができる。
【0016】
各挿入部材36aおよび36bは軸方向のボア47を含むことができる。各スリーブ部材40は、少なくとも部分的に、対応する軸方向ボア47の内部に配置される。図2に示す実施形態においては、挿入部材36aおよび36bを支持する外側のスリーブ軸受け40は、それぞれ、各ボア47の外側に延びており、カートリッジアセンブリ30の対応する端部のカラーに当接するかまたはほぼ当接している。ブッシュ42を支持する内側のスリーブ軸受け40は、ブッシュ42間のその各位置から外側に延び出ることがあり、挿入部材36aおよび36bに当接するかまたはほぼ当接している。挿入部材36aおよび36bと、それに対応するスリーブ軸受け40との間の相互作用によって、半径方向の荷重を、内側のリンク材15bから、挿入部材36a、36bに伝達し、続いて各挿入部材36a、36bの内径を経てスリーブ軸受け40に伝達し、さらに、スリーブ軸受け40からピン34に伝達することが可能になる。
【0017】
各クラウン41によって、軸Lに対して横方向の荷重を、各スリーブ軸受け40およびピン34の間の界面全体にわたって相対的に均等に支持することができる。換言すれば、比較的小さな各クラウン41によって、「半径方向」荷重が非半径方向のベクトル成分を含む場合でも、各挿入部材36a、36bが、荷重を、各スリーブ軸受け40の端部部分に伝達するよりも主として各クラウン41に優先的に伝達するであろうことが確実になる。続いて各スリーブ軸受け40を介してピン34に伝達される荷重は、一般的には、それらの間の界面全体により一層均等に分布され、それによって、いずれかの隣接部品における不釣り合いな摩耗が避けられる。スリーブ軸受け40を介してのブッシュ42とピン34との間の半径方向荷重の伝達は、挿入部材36a、36bとピン34との間の半径方向荷重の伝達に関して述べたのと同様に行われる。
【0018】
各挿入部材36aおよび36bは、さらに、ボア47の軸方向中心側の端部に近接する位置に、当該挿入部材からピン34に向かって内向きに延びる環状のタブ38を含む。各環状タブ38は、さらに、軸方向中心側または軸方向外側のいずれかの方向において、隣接するスリーブ軸受け40に向かって、各挿入部材36a、36bの上に作用する軸方向荷重に対抗するような形状に構成することができる。各環状タブ38は、その両側に軸方向荷重伝達面39を含むことができる。軸方向荷重は、一般的に軸Lと同心であるようなカートリッジアセンブリ30への荷重を含むものと理解すればよい。しかし、当業者は、作業機械の運転中にカートリッジアセンブリ30に負荷される可能性があるほとんどすべての荷重が、軸方向および半径方向の双方のベクトル成分を含むことを認めるであろう。
【0019】
従って、カートリッジアセンブリ30の半径方向および軸方向の荷重支持機能は、一般的に協調して作用することになる。例えば、各環状タブ38は、荷重の軸方向成分を隣接するスリーブ軸受け40に伝達することができ、各挿入部材36a、36bは、荷重の半径方向成分をそのそれぞれのボア47内に配備されるスリーブ軸受け40に伝達することができる。さらに、荷重の方向に応じて、荷重の半径方向成分および軸方向成分を共に、当初は同じスリーブ軸受け40に伝達することができる。
【0020】
図3は、本開示による別の実施形態のカートリッジアセンブリ230を示す。カートリッジアセンブリ230は、いくつかの点でカートリッジアセンブリ330に類似しているので、図2に示す特徴部分と同様の特定の部分については、図3においても同じ番号を用いる。さらに、カートリッジアセンブリ230は、図2に表現されるカートリッジアセンブリに代えて、図2のトラック14に適用し得ることが考えられる。これは、本明細書に記述される他の軸受けアセンブリの実施形態についても同様である。図2の実施形態とは異なって、カートリッジアセンブリ230は、ブッシュ42およびピン34の間に配備されるスリーブ軸受けを含んでいない。むしろ、ブッシュ42は、ピン34の外径に同等のほぼ一定の内径を有しており、ピン34の回りに回転する。カートリッジアセンブリ230には、軸方向の穿孔35と連絡する側方穿孔29を設けることができ、これによって、潤滑流体をブッシュ42およびピン34の間に供給することができる。側方穿孔は、本明細書に記述するどの実施形態においても設けることができる。1組の環状のスラストリング46をブッシュ42の両端側に配置して、軸方向荷重を、挿入部材36aおよび36bの環状タブ38とブッシュ42との間に伝達することができる。
【0021】
図4は、本開示によるさらに別の実施形態のカートリッジアセンブリ330を示す。この場合も同様に、前記の実施形態に関して述べた特徴部分と同様の特定部分については同じ番号を用いる。図4のカートリッジアセンブリ330は、例えば、各挿入部材336aおよび336bの環状タブ38が、対応する軸方向ボア347の軸方向外側の端部に近接して配置されるという点で、図2および3の実施形態と異なる。スラストリング46は、挿入部材336aおよび336bとカラー44aおよび44bとの間にそれぞれ配備して、軸方向荷重をその間に伝達することができる。
【0022】
図5は、本開示によるさらに別の実施形態のカートリッジアセンブリ430を示す。カートリッジアセンブリ430は図4のカートリッジアセンブリ330に類似しているが、主として、スリーブ軸受け40が、ブッシュ42の両端においてブッシュ42およびピン34の間にも配備されるという点で異なる。
【0023】
作業機械10が作業面上を走行するに伴って、トラック14は、スプロケット20とアイドラ18および19との回りをその径路に沿って移動するであろう。トラック14が平坦でない面上を通過する時、あるいは、トラック14がスプロケット20またはアイドラ18および19の回りを通る場合のように、トラック14がその径路において曲線になる時には、隣接するトラックリンク15は互いに対して回転するであろう。特に図2を参照すると、隣接するトラックリンクが回転する場合、リンク15aおよび15bが互いに対して回転するであろう。その結果、挿入部材36aおよび36bが、カラー44aおよび44bに対してピン34の回りに回転するであろう。一般的にカラー44aおよび44bはピン34に固定連結される、例えばプレス嵌めされるので、カラー44aおよび44bはピン34に対して固定されたままである。
【0024】
トラック14が側方荷重を受けると、例えば外側のリンク材15aが、軸Lと同心の方向に内側のリンク材15bに対して押し込まれると、一方のカラーがすぐ隣の隣接部品に押し付けられるであろう。例えば、外側のリンク材15aが、図2の実施形態において左に押しやられると、右のカラー44bはすぐ隣接する一番右のスリーブ軸受け40に押し付けられるであろう。一番右のスリーブ軸受け40は、続いて、その軸方向荷重を軸Lと同心の方向に挿入部材36bの環状タブ38に伝達し、この環状タブ38は、続いて、その軸方向荷重をすぐ隣接するスリーブ軸受け40に伝達し、等々で、最終的には左のカラー44aに伝達するであろう。同様に、内側のリンク15bが、外側リンク15aに対して一方の側に押しやられる場合がある。その場合も、同様の過程が生起して、それによって、軸方向荷重がカートリッジアセンブリ30の全体に伝達される。軸方向荷重に対抗する過程は図3〜5の実施形態においても大体同じであるが、カートリッジアセンブリ全体にわたる荷重の伝達にスラストリング46が参与する点が異なる。
【0025】
従って、本開示は、多くの従来の設計よりもある種の荷重を一層的確に受け止めることができる軸受けアセンブリ、例えばカートリッジ軸受けアセンブリを提供する。いくつかの従来に設計においては、荷重が不釣り合いに分布され、その結果、過度のおよび/または不均等な摩耗を生じた。いくつか設計においては、さらに悪いことに、隣接するトラックリンクが側方荷重によって一緒に押し付けられる場合があり、その結果、軸受けアセンブリのみでなくトラックリンク自体にも著しい摩耗が生じることになる。前記のような環状の荷重支持タブを設けることによって、軸方向荷重をアセンブリ全体に効率的に伝達できる。その結果、内側および外側のトラックリンクが一緒に押し付けられて摩耗する傾向が大幅に減退する。さらに、挿入部材を支持するスリーブ軸受け、特にクラウン加工されたスリーブ軸受けを組み込むことによって、半径方向荷重を、軸受けアセンブリの構成部品の端部に不釣り合いに荷重を負荷することなく、ピン34に伝達することができる。
【0026】
トラック14のトラックリンクは、一般的にはカートリッジアセンブリ30よりも前に損耗するであろう。しかし、部品の故障またはシールの漏洩が生じる可能性があり、いくつかの例では、所与の作業機械について、トラックを再構築する前に1つ以上のカートリッジアセンブリを交換することが望ましい場合がある。このような場合には、引き抜き機構または他の何らかの手段を用いて、問題が生じたカートリッジアセンブリをトラック14から取り外すことができる。続いて、新しいカートリッジアセンブリをその場所に入れ替え、トラックリンクを再度カートリッジアセンブリの回りに圧入することができる。
【0027】
本明細書は、例示目的用のみのものであり、いかなる意味においても本明細書の範囲を狭めるものと解釈されるべきではない。すなわち、当業者は、本明細書に示された実施形態に対して、本明細書の意図された本質および範囲から逸脱することなく種々の変更を加え得ることを認めるであろう。例えば、スリーブ軸受け40の外面のクラウンが実際の実施方策であると考えられているが、さらに別の実施形態は、スリーブ軸受け自体のクラウンではなく、挿入部材36aおよび36bの内径上のクラウンおよび/またはブッシュ42の内径上のクラウンを含むことができる。他の態様、特徴および利点は、添付の図面および特許請求の範囲を精査すれば明らかになるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履帯式作業機械(10)のトラックチェイン(14)用のスリーブ軸受けアセンブリ(30)であって、
軸(L)を規定するピン(34)と、
前記ピン(34)の回りに配置される回転ブッシュ(42)と、
前記回転ブッシュ(42)の両端側にそれぞれ配置される第1および第2挿入部材(36a、36b)であって、それぞれ、半径方向荷重の支持面を含み、かつ、前記ピン(34)の回りに延びる環状のタブ(38)であり軸方向荷重の支持面(39)が設けられる環状のタブ(38)を含む第1および第2挿入部材(36a、36b)と、
を含むスリーブ軸受けアセンブリ(30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−254797(P2012−254797A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−186791(P2012−186791)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2008−518146(P2008−518146)の分割
【原出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【出願人】(391020193)キャタピラー インコーポレイテッド (296)
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED