説明

履歴情報カラーコードおよびその作成方法、復元方法、履歴情報管理の方法、並びに履歴情報カラーコードの入力方法および入力システム

【課題】生産工程管理等における膨大な履歴情報を、秘匿性を保持して扱うことができ、さらにデータ圧縮効果を高め、高い情報密度で扱うことができる履歴情報カラーコードおよびその作成方法、復元方法、並びに履歴情報管理の方法等を提供する。
【解決手段】本発明の履歴情報カラーコードは、任意の1つの識別番号(ID)が付与された1つの識別物に関する複数の履歴情報オブジェクト(O)と、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、処理順序または入力順序に従って追加/累積される時系列的な一連の複数の工程履歴情報(O)と、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当てて生成されるC−N−Oレコードと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨大な履歴情報を秘匿性を保持して扱える生産工程や販売の履歴管理等に適した履歴情報カラーコード、その作成方法、復元方法、および当該履歴情報カラーコードを用いて構成される履歴情報管理の方法に関する。
また本発明は、ファイル、データへの情報の入力および情報秘匿に適した技術分野に関し、カラーコードを利用した履歴情報の入力方法および入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよびその周辺装置、関連する諸種の装置、または通信回線で接続された複数のコンピュータからなるコンピュータシステム等で取り扱われる文字、記号、文書、図形、数式、画像、音声等のデータや情報(プログラムを含む)等を「コンピュータオブジェクト」と呼ぶ。かかるコンピュータオブジェクトについては、従来のコンピュータ等において認識可能な言語、図、絵画等を常態として使用している。またコンピュータ等におけるコンピュータオブジェクトの記録、再生、圧縮等においても同じである。
【0003】
本出願人は、先に、「カラーを利用したコンピュータオブジェクトの表現等」に係る発明を提案した(特許文献1)。この発明は、コンピュータの内部で扱われる、あるいはコンピュータを介して扱われる「データまたは情報(コンピュータオブジェクト)」を例えばカラードット等の表現手段でカラーを利用して表現しようとする技術であり、またこの発明ではカラーを利用した暗号作成の方法についても言及している。
【0004】
一般的にコンピュータ上取り扱われる情報管理に必要な入力は多岐にわたるがいずれも入力するものの負荷は大きく、しかも入力の精度は業務の管理レベルで左右される傾向がある。かかる状況の下では、データを入力する際の負荷の軽減、入力の精度の向上、および情報流出の防止の一元化を図る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO00/72228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、生産工程管理、検査修理管理、リサイクル工程管理、販売管理等において、その膨大な履歴情報を秘匿性を保持して扱えるシステムが望まれている。
【0007】
例えば、基板の生産工程では、当該生産工程を構成する複数の工程の各々での製造経歴表と、各工程での品質を表す記録とを、ロットごと、それぞれシートやカードを用意して記載し、それに基づき生産日報や作業日報を作成する共にコンピュータにデータ入力し、それを品質保証部等の管理部門で最終的に保管・管理するようにしていた。その後は、コンピュータの入出力装置を介してアクセスし、入力・集計を行うことができ、生産実績に反映させることができる。従来の基板の生産工程管理では、生産工程における各工程での生産履歴情報はロット単位のケースに添付され、秘匿性を有するものではなかった。
【0008】
さらに併せて、近年、一般的に、業務の各分野で各種履歴情報の一層の確かな管理の必要が言われており、同時に個人情報の秘匿性と共にそれに関わる業務の秘匿性が重要視されている。多岐に渡る業務内容の時系列的な記述はその精度と共に秘匿性を問われながらもなかなか難しく例示を要しない状況にある。
加えて記帳入力時の過誤や作業の面倒さ、時間把握の難しさなどの入力・記録に際しての記憶の錯誤や間違いは経験する事柄であり、かかる背景からこの課題を一元的に解決することが望まれる。
【0009】
本発明の目的は、例えば生産工程管理、検査修理管理、リサイクル工程管理、販売管理等における膨大な履歴情報を、秘匿性を保持して扱うことができ、さらにデータ圧縮効果を高め、高い情報密度で扱うことができる履歴情報カラーコードおよびその作成方法、復元方法、並びに履歴情報管理の方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、履歴情報の入力作業(変更、追加の作業を含む)に関して、記帳入力時の過誤や面倒さ、時間把握の難しさをなくし、記録に際しての記憶の錯誤や間違いをなくすことができる履歴情報カラーコードの入力方法および入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の目的を達成するため、次のように構成される。
【0011】
本発明に係る履歴情報カラーコードは、任意の1つの識別番号(ID)が付与された1つの識別物に関する複数の履歴情報オブジェクト(O)と、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、処理順序または入力順序に従って追加/累積される時系列的な一連の複数の工程履歴情報(O)と、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当てて生成されるC−N−Oレコードと、を含むことで特徴づけられる。
上記の「C−N−Oレコード」は「C−N−O」のデータ構造を持つ履歴情報カラーコードレコードである。以下、必要に応じて「レコード」と略称する。
なお上記において履歴情報カラー数値(N)としたが、その代わりに一般的にカラー数値(N)とすることもできる。
【0012】
上記の履歴情報カラーコードで、識別物は例えば実装基板であり、識別番号IDは当該実装基板の識別番号である。履歴情報オブジェクトOは、履歴情報に関するコンピュータオブジェクト(以下「オブジェクト」と記す)であって、複数の工程履歴情報項目のリスト(順列)で構成される。当該履歴情報オブジェクトOは、識別物ごとの工程に関する履歴情報の項目の時系列的データであり、履歴情報レコードのオブジェクトグループを形成している。時系列的データの履歴情報オブジェクトOに対応する履歴情報カラーCと履歴情報カラー数値Nは、代表的カラーであり代表値である。より少ない情報量で表現するので、データ圧縮効果がある。
【0013】
上記の履歴情報カラーコードにおいて、好ましくは、識別物は、複数の処理ステップからなる処理プロセスの当該複数の処理ステップの各々によって順次に処理され、その処理の結果として蓄積されるC−N−Oレコード形式の履歴情報レコードを含み、蓄積した履歴情報レコードに基づいて履歴情報カラーコード表(T)を生成する、ことで特徴づけられる。
【0014】
上記の履歴情報カラーコードにおいて、好ましくは、識別物は実装基板または病院患者カルテであることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る履歴情報カラーコードは、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)は発信側コンピュータから受信側コンピュータに送信され、受信側コンピュータで、別途に配送された履歴情報カラーコード表(T)に基づいて、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)は工程履歴情報(O)に逆変換されるように使用されることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る履歴情報カラーコードの作成方法は、任意の1つの識別番号(ID)が付与された1つの識別物に関して複数の履歴情報オブジェクト(O)を作成する第1ステップと、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、時系列的な一連の複数の工程履歴情報(O)を処理順序または入力順序に従って追加/累積する第2ステップと、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当て、C−N−Oレコードを生成する第3ステップと、からなることで特徴づけられている。
【0017】
上記の履歴情報カラーコードの作成方法において、さらに、識別物は、複数の処理ステップからなる処理プロセスの当該複数の処理ステップの各々によって順次に処理され、その処理結果としての履歴情報レコードを、C−N−Oレコードの形式で蓄積する第4ステップと、蓄積した履歴情報レコードから履歴情報カラーコード表(T)を生成する第5ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る履歴情報カラーコードの復元方法は、上記の履歴情報カラーコードの作成方法を利用して構成され、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)を発信側コンピュータから受信側コンピュータに発信する第6ステップと、受信側コンピュータで別途に配送された履歴情報カラーコード表(T)に基づいて、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)を、工程履歴情報(O)に逆変換して復元する第7ステップとを有することにより構成される。
【0019】
本発明に係る履歴情報管理の方法は、上述した履歴情報カラーコードの作成方法における上記の第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ、および第5ステップが、第1のコンピュータで実行され、この第1のコンピュータで履歴情報カラーコード表(T)を記録する記録媒体を用意し、この記録媒体は第1のコンピュータの側から第2のコンピュータの側へ配送され、第1のコンピュータと第2のコンピュータのそれぞれで同一の履歴情報カラーコード表(T)を備えることで特徴づけられる。
【0020】
上記の履歴情報管理の方法において、第1のコンピュータで、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに工程履歴情報(O)を追加/累積すると共に、C−N−Oレコードごとに、履歴情報オブジェクト(O)の各要素オブジェクト(OE)を各要素カラー(CE)に変換し、第1のコンピュータから履歴情報カラー(C)と共に要素カラー(CE)を第2のコンピュータに対してインターネットを介して伝送し、第2のコンピュータで、履歴情報カラー(C)の各要素カラー(CE)を履歴情報オブジェクト(O)の各要素オブジェクト(OE)に逆変換し、逆変換で取得した履歴情報オブジェクト(O)を履歴情報カラーコード表(T)に追加/累積することで特徴づけられる。
【0021】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力方法は、履歴情報を含む履歴情報カラーコードに基づく履歴情報の関係付けが必要とされる対象物に識別コードを付して用いられる方法であって、識別コードを撮影または読取の手段により撮影または読取りすることに基づいて識別コードに関係付けられた対象物に係る履歴情報の入力、変更、または追加を行うようにしたことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力方法は、履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関連して用いられる方法であって、コンピュータの表示部に表示されるファイルの表示項目内の履歴情報の入力、変更、または追加を、撮影または読取の手段により履歴情報に付与されている識別コードを撮影または読取ることに基づいて行うようしたことを特徴とする。
【0023】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力方法は、履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関連して用いられる方法であって、
ファイルに関係付けられた対象データの識別コードを読取る際に、識別コードが付与された対象データの対象そのもの、あるいは、読取る際における、読取りの時間、読取りの場所、読取りの始期、読取りの終期、読取りの始期から終期、読取りの回数、表示される項目、当該項目の表示内容、これらの事項と関係付けてファイルに入力表記する事項を、ファイルのデータ項目の入力事項として予め定め、
上記の定められた関係に基づいた読取り情報によって、ファイルに関係するデータを入力、変更、または追加の情報として入力とすることを特徴とする。
【0024】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力方法は、履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関係付けられた事項の識別コードの読取りに基づいて構成されるファイルのデータベースを設けたシステムにおいて、
データベースのデータを他のファイルに関係付けて、他のファイルのデータに対してもかかるデータの入出力を行う関係を構成し、
関係付けられた他のファイル間でファイルに表示される項目のデータの入力をカメラによりデータ対象に付与されている識別コードを読取ることでデータの該当項目への入力を行うことを特徴とする。
【0025】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力システムは、
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに基づく履歴情報の関係付けが必要とされる対象物に識別コードを付して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
撮影または読取の手段によって撮影されまたは読取られた識別コードに基づいて、識別コードに関係付けられた対象物に係る履歴情報の入力、変更、または追加を行う手段と、
を備えることを特徴とする。
【0026】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力システムは、
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
コンピュータの表示部に表示されるファイルの表示項目内の履歴情報に付与されている識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
撮影または読取の手段によって撮影されまたは読み取られた識別コードに基づいて、コンピュータの表示部に表示されるファイルの表示項目内の履歴情報の入力、変更、または追加を行う手段と、
を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力システムは、
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
コンピュータの表示部に表示されるファイルの履歴情報に付与されている識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
ファイルに関係付けられた対象データの識別コードを読取る際に、識別コードが付与された対象データの対象そのもの、あるいは、読取る際における、読取りの時間、読取りの場所、読取りの始期、読取りの終期、読取りの始期から終期、読取りの回数、表示される項目、当該項目の表示内容、これらの事項と関係付けてファイルに入力表記する事項を、ファイルのデータ項目の入力事項として予め定める手段と、
撮影または読取の手段によって撮影されまたは読み取られた情報であってかつ上記の定められた関係に基づいた情報によって、ファイルに関係するデータを入力、変更、または追加の情報として入力とする手段と、
を備えることを特徴とする。
【0028】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力システムは、
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示されるファイルに関係付けられた事項の識別コードの読取りに基づいて構成されるファイルのデータベースを設けたシステムにおいて、
データベースのデータを他のファイルに関係付けて、他のファイルのデータに対してもかかるデータの入出力を行う関係を構成する手段と、
関係付けられた他のファイル間でファイルに表示される項目のデータの入力をカメラによりデータ対象に付与されている識別コードを読取ることでデータの該当項目への入力を行う手段と、
を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明による履歴情報カラーコードの入力方法または入力システムは、ファイル、データへの情報の入力および情報秘匿に適した技術分野に関する。換言すれば、履歴情報等の情報入力の簡便化をカラーコードを利用して図ること、入力情報の入力源へのフィードバック情報として同時性の便益化、カラーコードの特長を生かして一元的に情報の秘匿性を実現する技術分野である。
ファイル、データに関連付けられた被写体(識別物)に表示されるカラーコードを、固定カメラや携帯カメラ(PHSカメラを含む)等の撮影装置(または撮像素子)、2次元コードリーダー等によって撮影または読取ることでカラーコードと関連付けられているファイル、データの入力項目にデータ入力を行うことが可能となる。撮影等に際して、事前に、(1)撮影装置の位置、(2)被写体撮影の時刻、(3)撮影により入力するデータ項目および入力事項、などの情報はデータに関連付けられており、コンピュータへのデータ入力は対象のカラーコードの撮影等に基づきファイルが構成される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、次の効果を奏する。
【0031】
本発明に係る履歴情報カラーコードおよびその作成方法、復元方法、履歴情報管理の方法によれば、次の効果が発揮される。
(1)履歴情報カラーコード表を利用することにより履歴情報オブジェクトに係る膨大な量のデータを履歴情報カラーまたは履歴情報カラー数値で表現するようにしたため、インターネット伝送時の圧縮効果が高くなり、伝送する情報の密度を高密度化することができる。
(2)インターネットを伝送する履歴情報カラーまたは履歴情報カラー数値は、情報内容そのものとは切り離されているので、カラー暗号の形式で利用でき、盗聴等の情報漏洩を確実に防止することができる。
(3)インターネットを介してつながった状態にある第1と第2のコンピュータシステムの間で、履歴情報を情報共有することができ、識別対象に関して発生したトラブルについて、バーチャルミーティング等によって協議を行うことができる。
【0032】
本発明に係る履歴情報カラーコードの入力方法および入力システムによれば、次の効果が発揮される。
(1)撮影等の対象に関連付けられたファイルと、撮影等という単純操作とに基づいて、入力や追記に基づくデータ作成を簡単に行うことができる。
(2)受発信装置を有する固定または携帯のカメラを使用することにより、撮影時点においてデータの実績把握が遅滞なく可能でデータの有効活用性は非常に大である。
(3)情報の入力の簡便化と情報の秘匿性を一元的に実現できる。
(4)煩瑣な情報入力をカメラ等の撮影等に基づいて自動化を実現することができ、同時にフイードバック情報を把握することができる。
(5)データの入力時の人為的な過誤や作為を解消できるのみならず、情報の時系列な変化をリアルに表示することができる。
(6)データの信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る履歴情報カラーコードが適用される識別物の一例としての基板の生産工程を概略的に示す図である。
【図2】組立工程における組立ラインの例を示す説明図である。
【図3】基板生産工程における各工程に設置された端末の表示入力画面を示す図である。
【図4】基板生産工程における実装、外観検査、目視検査、修理の各工程で基板が移送されるときの生産履歴/進捗情報の流れを示す図である。
【図5】作業者である社員の入退室管理を行うための自動入力のシステム構成を示すブロック図である。
【図6】社員の在室時間を計測するタイミング図である。
【図7】基板の基板IDカラーコードを読み取る構成を示すコンピュータシステムのシステム構成図である。
【図8】はんだ検査項目のカラーボード入力の一例を表形式で示す図である。
【図9】基板レコードの一例を工程ごとに表形式で示す図である。
【図10】履歴情報カラーコード表の内容の具体例を示す図である。
【図11】履歴情報カラーコード表の一例を示す図である。
【図12】コンピュータシステム(100)の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図13】第1および第2のコンピュータシステム(100,200)の各々の内部構成と相互の関係を示すブロック図である。
【図14】基板レコードの具体的一例を示す図である。
【図15】ラックレコードの一例を示す図である。
【図16】検査修理レコードを示す図である。
【図17】第1および第2のコンピュータシステム(100,200)または(400,500)の通信接続関係を示す図である。
【図18】履歴情報カラーコードの他の実施形態である患者カルテ・レコード(履歴情報オブジェクト)を示す図である。
【図19】患者カルテに関する履歴情報カラーコード表を示す図である。
【図20】遠隔医療に関する第1および第2のコンピュータシステム(400,500)の各々の内部構成と相互の関係を示すブロック図である。
【図21】基板と2次元の履歴情報カラーコードの取付け関係を示す図である。
【図22】2次元の履歴情報カラーコードの分割状態を示す図である。
【図23】固定カメラによる撮影状態と固定カメラに関連する装置構成を示す図である。
【図24】携帯カメラによる撮影状態を示す斜視図である。
【図25】携帯カメラに関連する装置構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
【0035】
本発明の実施形態では、履歴情報カラーコードが適用される識別物の一例として、基板の例を説明する。基板は、例えば実装基板またはプリント回路基板等である。なお識別物は基板に限定されない。
識別物である当該基板について1つ1つの基板に関連付けられた履歴情報カラーコードのデータ内容の新たな入力、変更、または追記のための方法およびシステムには、当該基板に付された状態で表示される履歴情報カラーコードを撮影(撮像)する固定カメラや携帯カメラ(PHSカメラを含む)等の撮影装置(または撮像素子)、あるいは当該履歴情報カラーコードを読み取る2次元コードリーダー等が用いられる。
この実施形態の以下の説明では入力方法として固定カメラまたは携帯カメラによる撮影の例で説明する。固定カメラまたは携帯カメラの撮影で得られたデータは有線方式または無線方式で関連するコンピュータ(端末)の受信部に送信され、ファイル(データ)として処理され、保存される。
図1は、基板の生産工程の一例を概略的に示し、併せて複数の基板の1枚ごとの生産に関する履歴情報の管理の例を示している。複数の基板11は単位枚数ごと(ロット単位)にマガジンラック31の中に収容されている。識別物である当該基板11、およびマガジンラック31のいずれにも、固有の識別番号(ID)あるいは基板IDが所定の位置に付与されている。
基板の生産履歴情報の管理において本実施形態に係る履歴情報カラーコードが用いられ、さらに履歴情報カラーコード利用した生産履歴情報の管理の際に固定カメラまたは携帯カメラを利用した履歴情報の入力の方法およびシステムが実現される。
【0036】
図1において、生産工程10では、多数の基板11がその生産ラインに供給される。多数の基板11は、最初の段階では所定枚数ごとにマガジンラック31に収容された状態で生産工程10に搬入される。その後、1枚ごとの基板11が取り出されて生産工程10に供給される。各マガジンラック31にはラックIDカラーコード31aが付されており、また各基板11には基板IDカラーコード11aが付されている。
図1に示した生産工程10では、図示されるように所要の位置にカメラ21が配置され、全体として多数のカメラ21が配置されている。多数の当該カメラ21は固定カメラでも携帯カメラでもよく、場所に応じてまたは条件に応じて固定カメラと携帯カメラのうちいずれかが用いられる。以下の説明では総称してカメラ21と記す。生産工程10の実装工程10Aの前の段階では、対応するカメラ21によって、マガジンラック31のラックIDカラーコード31a、および基板11の基板IDカラーコード11aが撮影される。
生産工程10では、その生産ラインに投入された多数の基板の各々は、工程の順序に従って、必要な半導体チップや電子部品等を、装置による自動作業または手作業によって、順次に搭載し、実装し、組立て、こうして基板製品を完成する。
生産工程10は、一般的に、実装工程(機械による実装)10Aと組立工程(手作業による実装)10C、外観検査工程10B、目視検査工程10D、修理工程10E、出荷工程10Fから構成されている。各工程間はマガジンラック31の単位で搬送される。各工程間のマガジンラック31の搬送情報は、ラックIDカラーコード31aを、対応するカメラ21で撮影することにより取得される。
【0037】
ここで、図23〜図25を参照して、カメラによる撮影および撮影データの処理に関連する装置構成を説明する。
図23は固定カメラ21Aの構成を示す。固定カメラ21Aは、例えば基板11の表面の片隅に付された基板IDカラーコード11aを撮影する。固定カメラ21Aは、コンピュータ101と、例えば信号ライン102を介して接続されている。コンピュータ101は、CPU111、ハードディスク112、画像メモリ113、表示装置114、入力装置115を備える。ハードディスク112は読取処理プログラム112aとデータ112bを保存している。固定カメラ21Aの撮影動作は、コンピュータ101の読取処理プログラムの機能で制御される。固定カメラ21Aによる撮影で得られた画像データはコンピュータ101のメモリ(画像メモリ)113に保存される。
図24は携帯カメラ21Bによる撮影状態を示し、図25は携帯カメラ21Bの構成を示す。携帯カメラ21Bは例えば携帯電話210に装備されたカメラである。携帯カメラ21Bはファインダとしての表示部201を備えている。作業者が、携帯カメラ21Bによって、例えば基板11に付された基板IDカラーコード11aを撮影する。図25に示すように、携帯カメラ21Bは携帯電話210に装備され、さらに携帯電話210は、演算処理部211、ROM212aとRAM212bを含むメモリ212、通信部213、入力操作部214、および上記の表示部201を備える。携帯カメラ21Bによる撮影は作業者の意思に基づいて行われる。携帯カメラ21Bで撮影された画像データは、メモリ212のRAM212bに保存され、必要に応じて通信部213により無線方式で送信される。
【0038】
再び、図1に戻って生産工程10の各工程を詳述する。
実装工程10Aによって、生産工程10に投入された基板11にマウンターによる実装を施す。また組立工程10Cは、一般的に作業者が多種の部品を取り付ける組立て工程であり、貼り合せ、ねじ止め、加熱接合などの工程の内容に従って多様である。
図2に、組立工程10Cにおける組立ラインの例を示す。図2で、10−1は組立ライン、22は組立ライン10−1に沿って配置され組立作業を行う作業者、21は各作業者22の近傍に配置されるカメラである。組立ライン10−1については、作業者22の人数とカメラ21の台数に応じて三通りのパターンが描かれている。
【0039】
実装工程10A〜10Fの各々のラインでは、予め決められた作業が作業者(または操作者)22等によって実行され、それにより各工程10A〜10Fにおけるラインごとの複数のデータが発生し、さらに各工程の品質を定める複数の工程品質項目が規定されている。
これらの工程10A〜10Fの各工程ごとのデータとは、例えば次の通りである。
【0040】
(1)実装工程(機械)10A
実装工程10Aは、一般的に基板の工程順に機械装置が配置されたラインであり、コンピュータで制御されている。生産履歴の情報として、基板ID、機種名、生産ライン番号/工程名、作業者名、ラック番号、生産数量、その他である。
ファイルとしてコンピュータにデータが記録されている部分と、当該ファイルに関係付けられているカメラの撮影データが当該ファイルに入力データとしてレコードに追記/記録される。予め関連付けられたデータとして撮影データをレコードへの入力として取り込み、データを構成する(レコードの「xxx」の入力部)。カメラは必要な情報単位で工程の予め適宜に定められた撮影位置に設けられている。カメラで撮影し取得するデータは、スタート時の「カラーコード」であり、カラーコードと「カメラ位置/基板ID」に相当したファイルのデータ入力項目である工程番号を選定し、「撮影時刻」でレコードの項目の開始時刻、終了時刻、開始から終了までに経過時間のあるものは工程の所要時間、工程終了の数量等、として計算される。カメラの位置情報と当該カメラによる入力情報の他に新たな情報としてカラーコードの撮影また情報の手入力も可能である。これらは予め入力情報として関係付けられているレコードにカウントされ、データとしてレコードの記録を形成する。
上記の構成上、生産ラインのデータと、ファイルに関係付けられたカメラ撮影によるデータとに基づいてファイルを構成する。カメラ21でラックIDカラーコード(識別番号)31a、基板IDカラーコード(識別番号)11aが撮影され、関連付けられたファイルに撮影の事実がデータとして反映される。
図3の各工程10A,10B,10D,10Eに示した表示入力画面のレコードの「XXX」のマークで示された箇所以外の記載は事前にデータとしてファイルに記録されており、入力されるデータ項目以外の他の項目はレコードに事前に記録されている。
上記のようにカメラ21に関係付けられたファイルのデータが撮影に基づいて入力され変更される。なおファイルにおける記録内容と入力内容は、作業者名を始め固定したものではなく手入力また撮影(新たなカラーコードなどで)で適宜変更できる構成である。また、撮影画像をファイルにリンクしてデータとする例の他は、工程のカメラ21に代えて他のセンサ等(読取り手段)で入力を構成してもよい。
【0041】
(2)外観検査工程10B
生産履歴の情報として、データのカメラ撮影に基づいた入力、予め整備されている項目等の構成は同様である。カメラ21は、工程上、ファイルのレコード入力に必要な情報単位で設けられ、事前の記録、撮影による入力の区分は随意である。カメラ21で撮影された画像はデータとしてファイルにリンクされており、手書きを要する不良内容は内容事項を表示するカラー表示板を撮影する構成であり、また一般的な手入力は随意である。
検査工程において検査装置で発見された項目は検査データとして装置側で統計されるが、該検査データは検査対象のIDに対応付けられたファイルに関係付けられており、これに基づきデータ入力で不良内容に対応した使用装置、部品名、注意項目、担当オペレータ等の必要事項を表記する構成である。これによってフードバック資料の早期取得と工程へのリアルな対応が可能で、不具合の低減に直結する。
【0042】
(3)組立工程(手作業)10C
組立工程10Cは、生産工程10に投入された基板11のマウンターによる実装後において作業者が作業を施す工程である。複数のカメラ21の位置情報で工程の内容に関係付けられたファイルの該当部分として、撮影によりデータが入力される。この関係は上記と同様である。
かかるカメラ21が工程10Cに複数個設けられ、各カメラ21は工程全体および前後、位置などとの関係からその各位置情報で撮影場所が特定され、それに基づき関係付けられたファイルにおいて当該位置の工程内容が特定される。組立工程10Cで使用されるカメラ21は携帯カメラであり、従って組立工程10Cにおける複数のカメラ21の台数は組立ラインに配置された作業者の人数と同数である。
カメラ21の配置位置の情報に従って、カメラ21の設けられた位置では、その順位位置で、
(イ)工程の進行度合いを計り、
(ロ)撮影回数で工程の完成数を計り、
(ハ)工程間の進行、仕掛状況を計り、
(ニ)工程の配置部材と使用個数で消費量を計り、
(ホ)進行状況での補給量の必要量を計り、
(ヘ)工程間のバランスを表示し、
(ト)生産計画とのアンマッチ(不一致)を表示し、
(チ)作業者、装置、工具を表示し、
(リ)基板のカラーコード、基板IDに基づいて生産開始から出荷後まで工程が変更されると、その内容が同一カラーコードで履歴情報として取得される、
ように構成される。
以上のように、カメラ21の位置情報に基づいて計り、表示事項をレコードに入力し、該当のファイルを構成する。
またカメラ21の撮影画像はファイルのデータ内容に関係付けられており、かかる関係付けのカメラ21の位置情報で工程の作業内容を表示する画像をファイルにリンクする。これにより、その時点での工程進捗状況、品質の不具合をリアルに表示することが可能となる。工程の経過と工数は入力時刻から計算される構成であり、個数は開始から終了の回数でカウントされる。カメラ21の撮影で取得されたデータは、当然のことながら、生産管理、資材管理、経営管理等に利用される。
【0043】
(4)目視検査工程10D
目視検査工程10Dは、基板11のこれまでの工程を目視で検査する工程であり、目視の管理位置でカメラ21を設けている。
【0044】
(5)修理工程10E
修理工程10Eは、各工程の不具合品を修理する工程である。修理の管理位置でカメラ21を設けている。
【0045】
(6)出荷工程10F
出荷工程10Fは出荷検査が行なわれ、基板11が製品として出荷される工程である。上記と同様に複数のカメラ21を設けている。出荷品はケース、梱包されるものは梱包単位でカラーコードが貼付されており、上記と同様にカラーコード管理されている構成である。
【0046】
図1に示した生産工程10の端末12A〜12Fは、各工程10A〜10Fにおいてデータ取得に必要なカメラ21に関係付けられたコンピュータ(PC等)である。端末12A〜12Fは、それぞれ、各カメラ21での撮影で得られた入力画像を取り込む例えば受信機12A−1〜12F−1を備えている。端末12A〜12Fの各々では、各工程において対応するカメラ21の入力画像を工程のデータとして取得する処理を行う。これらの端末12A〜12Fは、コンピュータシステムとして、入力装置、表示装置、その他の出力装置(プリンタ等)を備えている。さらには端末12A〜12Fのそれぞれはサーバー13に接続されている。端末12A〜12Fは、入力装置による入力機能、表示装置による表示機能、出力装置による出力機能を有している。特に、端末12A〜12Fの表示装置の表示画面では、所定のデータを入力(インプット)するための画面と、蓄積されたデータを表示するための画面を、作業者の選択操作に基づいて切り替えて提示することができる。
【0047】
図3において、図1で例示した生産工程10の工程10A〜10Fのうちいくつかの工程(10A,10B,10D,10E)を取り上げて例示し、その工程に対応する端末12A,12B,12D,12Eのコンピュータの表示入力画面の関係を説明する。なお端末12A,12Bのコンピュータ画面は表示のためだけの画面であってもよい。
前述した実装工程10A、外観検査工程10B、目視検査工程10D、修理工程10Eにおいて、端末12A,12B,12D,12Eを用いて工程データを表示/入力(インプット)する例を示している。これらの各工程10A,10B,10D,10Eに対して端末12A,12B,12D,12Eの表示入力画面12A−2,12B−2,12D−2,12E−2がテーブル形式で示されている。表示入力画面12A−2,12B−2,12D−2,12E−2は、各工程に設置された端末12A〜12Eにおける表示装置の画面である。表示入力画面12A−2,12B−2,12D−2,12E−2において、「×××」の記載項目がカメラ21による撮影に基づいて入力されるデータを表し、「×××」以外は事前に記録され表示されたデータである。これらの表示入力画面12A−2,12B−2,12D−2,12E−2によれば、基板ID、機種名、工程(面)、生産ライン、作業時間、作業者名、ラック番号、数量、リンクボタン等の欄が設けられている。「リンクボタン」は基板IDカラーコードに係る基板画像をリンクしており、関連付け画像表示を行う操作手段である。各々の欄には所要の事項が表示されており、コンピュータに事前に登録されている事項である。作業者はデータ、レコードの工程の進捗者であるが、かかるデータ作成に直接関与することなくデータは作成され、自己の作業をデータとしてリアルに確認できる。各工程に対応する表示入力画面12A−2,12B−2,12D−2,12E−2の各々は、基板の生産工程10における生産履歴/進捗に係る情報を提示している。
【0048】
上述の図4では、一例として、(1)実装、(2)外観検査、(3)目視検査、(4)修理の各工程を基板11が移送されるとき、その生産履歴/進捗情報の流れを示している。図1に示した組立工程10Cと出荷工程10Fは省略している。マガジンラック31の中に収容された複数の基板11は、(1)実装、(2)外観検査、(3)目視検査、(4)修理の順序にて、各工程で前述した所定の処理が施される。(1)実装、(2)外観検査、(3)目視検査、(4)修理の順序で工程が移っていくと、それに応じて各工程の端末12A,12B,12D,12Eで情報が入力され、かつ入力された情報はサーバー13の記憶装置(メモリ)に保存・格納され、共通の生産履歴/進捗情報として共有され、各端末12A〜12Eでサーバー13にアクセスして情報を得ることができる。サーバー13に格納された、基板11の生産工程10に関する生産履歴/進捗情報は、共通情報として共有されかつ自由に用いられ、例えば管理者32側に設けられた端末33で確認することができる。
【0049】
上記の表示入力画面に示されたライン名、設備名、機種名、作業者名、作業日、作業時間、ラック番号等は、生産管理に関わる管理項目のデータと呼ばれる。ライン名と設備名は、ライン構築時の設定入力により既定データとすることができる。機種名は、ロット投入時に入力される。作業者名は、社員の入退室時に、社員証カードのカラーコードをカメラ21で撮影することにより入力され、自動入力される。この自動入力を行うためのシステム構成を図5に示す。
図5において、社員が所持するカード41には社員の顔写真41aが付され、かつ社員証IDカラーコード41bが付されている。社員証IDカラーコード41bは、端末(PC)42に装備されたカメラ21で撮影されることにより読み取られる。端末42は、必要に応じてサーバー13に対して社員証IDカラーコードを要求し、社員情報カラーコード表43を有するサーバー13から個人情報オブジェクト45をダウンロードする。そして端末42は自身の有する履歴情報カラーコード表44を更新する。
なお、図5に示した社員の入退室の管理において、図6に示すように、当該社員の作業時間も自動的に取得される。すなわち、ゲートにおける入出時刻t1(例えば9:00)と退室時刻t2(例えば18:00)を得ることにより、作業時間がON時間(在室フラグ46)としてコンピュータシステム100において管理することが可能となる。
工数集計は、作業者の作業時間の集計から得られる。作業日は、端末(PC)42に内蔵されるタイマにより自動採取ができ、既定データとすることができる。
各マガジンラック31のラック番号は、マガジンラック31の各工程での受入時に、ラックIDカラーコード31aをカメラ21で撮影することにより入力される。
【0050】
基板ID、基板数量、自動検査結果、目視検査結果、修理結果等は、基板の生産に関わる生産履歴項目のデータと呼ばれる。各工程を通過する基板11の基板IDは、基板11の各工程搬入時に、基板IDカラーコード11aをカメラ21で撮影し入力して基板11の現品認識を行い、自動入力される。この自動入力を行うためのシステム構成を図7に示す。
図7において、端末(PC)12は、生産工程10において実装、外観検査、組立、目視検査、修理、出荷の各工程に対応して設置されたいずれかの端末である。端末12は、対応する工程に移送されてきた基板11に関し、カメラ21で撮影することにより基板IDカラーコード11aを読取り、予め用意されている履歴情報カラーコード表44の内容を読取り内容で更新する。次に端末12は、サーバー13に対して、更新した履歴情報カラーコード表をアップロードする。サーバー13に備えられた履歴情報カラーコード表44を更新する。
上記のタイミングで、基板数量がカウントアップ(自動カウント)される。外観検査結果は、外観検査機が自動検査結果を出力する。手作業で行う目視検査は、目視検査結果を手入力する。手作業で行う修理は、修理結果を手入力する。これら手入力は、例えば図8
に示されるタッチパネル式データ入力(項目カラーボード入力)47により所要のデータの入力を行うことができる。このタッチパネル式データ入力47は、目視検査や修理等におけるハンダ検査項目カラーボード入力であり、指定ボタンの項目47A、不良分類の項目47B、カラーの項目47Cを備えている。
【0051】
前述した図3の表示入力画面に示されるように、実装工程10Aの表示入力画面12A−2では生産履歴が入力されると共に、基板の数量と1ラックの所定枚数の生産が完了後に数量欄に自動カウントされた数量が入力され表示される。数量が二重にカウントされることはない。外観検査工程10Bの表示入力画面12B−2では、外観検査結果の履歴が自動出力され表示される。「リンクボタン」で表示したい検査時の目視検査工程10Dの表示入力画面12D−2では、目視検査結果(履歴)カラー表示板を撮影または手入力する。修理工程工程10Eの表示入力画面12E−2では、修理の結果(履歴)に関して、カラー表示板を撮影入力または手入力する。この手入力部分は、項目別カラーコード板のカラーコードの選択的な表示を撮影することで、同じくカメラ入力を可能にする。図8に示したタッチパネル式データ入力(項目カラーボード入力)47により所要のデータの入力を行うことができる。
カラーと不良内容を対応付けて不良分類オブジェクト(検査項目オブジェクト)としてカラーに対応付けたカラーボード板を構成し、指定ボタンの押下やタッチパネルで不良分類を指定すると、不良分類オブジェクト(検査項目オブジェクト)に対応するカラーの指定がなされ、後述されるような要素オブジェクトから要素カラーへの変換ができる仕組みとなっている。
【0052】
以上のようにして、各工程では、管理項目と生産履歴項目の各データが、履歴情報として自動採取され、オペレータの入力作業は不要となり、基板11は自動的に処理されてそれぞれの工程を通過していく。他方、目視検査工程10Dと修理工程10Eは、基板11の目視検査の手作業および修理の手作業を行うことにより手入力を行う。
【0053】
図4に示すように例えば決められた工程順序で工程が移っていくと、各工程10A,10B,10D,10Eの端末12A,12B,12D,12Eの各々に対応してつながっているカメラ21は、各工程の基板11に貼り付けられた基板IDカラーコード11aを撮影して基板IDを認識する。撮影取得した基板IDは、当該工程に到着した基板11の現品受入情報として端末に自動入力され、各工程を移動する基板11がトラックされる。それに応じて各工程10A〜10Fの端末12A〜12Fで情報がファイルに入力されかつ表示され、さらに入力/表示された情報はサーバー13の記憶装置に保存・格納され、共通の生産履歴/進捗情報として共有され、各端末12A〜12Fでサーバー13にアクセスして情報を得ることができる。サーバー13の記憶装置に格納された、基板11の生産工程10に関する生産履歴情報および進捗情報は、共通情報として共有され、かつ自由に用いられ、例えば管理フロアー32の複数の端末33で確認することができる。
【0054】
前述した基板11の生産工程10で、カメラ21による撮影で基板IDとして入力される履歴情報カラーコード、および履歴情報カラーコード表について、図9、図10、および図11を参照して説明する。
【0055】
生産工程10において基板11は、それぞれ、生産管理上のデータとして、1つの識別符号(ID)が付与された1つの識別物として取り扱われる。本実施形態の場合、この識別符号IDは「実装基板識別番号」(または「基板ID」)である。識別符号IDで特定される1つの基板11には、サーバー13におけるコンピュータ管理上の記憶実体(履歴情報に関するコンピュータオブジェクト)として、複数の履歴情報オブジェクト(O)が定義される。ここで複数の履歴情報オブジェクトOは、前述した通りの工程ごとの複数のデータに対応するものである。複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれは、複数の工程履歴情報項目のリスト(順列)に基づいて構成される履歴情報レコードのオブジェクトグループを形成する。
【0056】
図1と図3等に基づいて説明したように、生産工程10で、各基板11に関して各工程(例示の実装工程→外観検査工程→組立工程→目視検査工程→修理工程)の処理等を経過すると、基板11ごとに複数のデータが、実装工程→外観検査工程→組立工程→目視検査工程→修理工程、すなわち履歴情報が順次追加的に発生する。基板11ごとに対応する履歴情報オブジェクトOでは、前述した所定の工程履歴情報項目のデータ(実装工程のデータ→外観検査工程のデータ→組立工程のデータ→目視検査工程のデータ→修理工程のデータ)が、時系列的データとして追加的に加わる。すなわち、多数の基板11ごとに、生産工程を経過していくと、その履歴情報オブジェクト(O)に、処理順序または入力順序に従って時系列的な一連の複数の工程履歴情報が追加/累積(アドオン)される。
【0057】
1枚の基板がラインの全工程の処理を完了すると、生産レコード(実装工程に対応)、検査レコード(検査工程に対応)、組立レコード(組立工程に対応)、目視レコード(目視工程に対応)、修理レコード(修理工程に対応)から構成される1件の基板レコードの生成が完結して記録される。図9は、基板レコード(履歴情報オブジェクト)の一例を表形式で示している。各レコードは「データ項目」と「データ」を備えている。
【0058】
そしてその都度、複数の上記の基板レコード、すなわち複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当てて、C−N−Oレコードが生成される。C−N−Oレコードの累積は、図10と図11に示すような履歴情報カラーコード表を構成する。図10の履歴情報カラーコード表は、複数の基板11(基板IDが1からi)のC−N−Oレコードの累積を基板IDカラーコードおよび基板IDと関係づけてテーブル形式で示したものであり、図11の履歴情報カラーコード表は、1ロット分の複数の基板処理件数(i=1〜L)についての履歴情報カラーコード表である。図10に示した履歴情報カラーコード表において、その中に記載された表記に関してCh=C、Nh=N、Oh=Oの関係を満たしている。
【0059】
上記の「C−N−Oレコード」のデータ構造は、数式的な関係で表現すると、次の通りである。
【0060】
(ID;O…O)+On+1→O(ID;O…On+1) (1)
−N−O(ID;O…O…O) (2)
ここに、
ID:基板ID
(ID;O…O…O):基板レコード
:履歴情報オブジェクト
:履歴情報カラー(または基板IDカラー)
:履歴情報カラー数値
:工程履歴データ
n=1,2,…,M:時系列順位(処理順、入力順)
【0061】
上記の上段の式(1)は、工程処理プロセスの履歴情報の発生と累積の状態を記述する式である。すなわち、基板IDの基板が、ラインの各工程の処理を通過する過程で、履歴情報オブジェクト(O)に工程履歴データ(O)が逐次追加/累積(アドオン)される。
上記の下段の式(2)は、工程処理プロセス完了時のC−N−Oレコードが生成を記述する式である。すなわち、全工程の処理を完了すると、履歴情報オブジェクト(O)の生成が完結して、基板レコードが得られ、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)が割り当てられて、C−N−Oレコードが生成される。
【0062】
上記のごとくして生成されたC−N−Oレコードは、サーバー13の記憶装置(データベース等)に、履歴情報として蓄積され、記録/管理される。こうして、本実施形態に係る履歴情報カラーコード表が作成される。
【0063】
基板の生産工程10の各工程での処理プロセスにおいて多数の基板11が順次に処理され、その結果、多数の基板11の各々に関してその履歴情報レコードがC−N−Oレコードの形式でサーバー13の記憶装置(データベース等)に蓄積される。
すなわち、ラインとの対応関係で云えば、マガジンラック31に収納された20〜30枚の基板11は、1枚ずつ、逐次、各工程の処理を経て完成品の基板11となって梱包されると共に、基板レコード、すなわち、履歴情報オブジェクト(O)が、1件ずつ追加/累積(アドオン)されることになる。
このようにして蓄積されたC−N−Oレコードに基づいて、図11に示すような履歴情報カラーコード表(T)を生成することができる。図11において、i(=1,2,…,L)は基板の処理件数(基板レコード件数)を意味している。図11に示された履歴情報カラーコード表(T)は1ロット分の基板の履歴情報を示している。
【0064】
ここで、履歴情報カラー(C)は、履歴情報オブジェクトに対応する代表カラーである。また履歴情報カラー数値(N)は、履歴情報オブジェクトに対応する代表値である。上記の割り当ての仕方は、任意に決定することができる。より少ない情報量で表現するのでデータ圧縮効果がある。
【0065】
図7で説明した通り、コンピュータシステム100で、端末(PC)12は、対応する工程に移送されてきた基板11に関して基板IDカラー(基板のカラーコード)をカメラ21で読取る。次に端末12は、当該基板IDカラーの読取り情報に基づいて、基板IDカラーの履歴情報で、基板IDカラーに対応する履歴情報オブジェクト44を更新する。端末12は、対応する各工程に応じて、基板11の履歴情報オブジェクト(O)に工程履歴データ(O)を追加/累積(アドオン)する。
基板11がラインの全工程の処理を完了すると、生産レコード、検査レコード、組立レコード、目視レコード、修理レコードから構成される1件の基板レコードの生成が完結して記録される(図9)。1ロット分の当該機種基板の全数の処理が全て完了して、履歴情報カラーコード表(図10、図11)が完結すると、図7に示した通り、端末12からサーバー13に対して履歴情報カラーコード表44がアップロードされて、サーバー13で保管される。
【0066】
その後、基板11に不良発生のトラブルが生じた場合には、図12に示すように、次のように扱われる。
端末12は、何か問題が起きた少なくとも1つの基板11に関して基板IDカラー(基板のカラーコード)をカメラ21で読取る。次に端末12は、サーバー13に対して、当該基板IDカラーの読取り情報に基づいて基板IDカラーに対応する履歴情報オブジェクトを要求する。サーバー13は、端末12から当該要求を受けると、履歴情報カラーコード表Tから履歴情報オブジェクト(O)を取り出し、端末12に提供する。これによって、当該基板IDの履歴情報を見ながら迅速かつ確実にトラブルに対処することができる。過去に生産した機種基板の不良が見つかるという緊急時に、当該機種の当該基板の生産履歴データを探し回って時間を空費するようなことがなく、即時的対処が可能となる。
【0067】
次に図13を参照して履歴情報オブジェクトOの情報共有の構成例を説明する。図13では、左側にコンピュータシステム100の構成が示され、右側にコンピュータシステム200の構成が示されている。コンピュータシステム100は、例えば図12で説明した構成と同じであり、同一の要素には同一の符号を付している。コンピュータシステム200は、コンピュータシステム100の設置場所に対して遠隔に位置する場所に設置されている。例えば、コンピュータシステム100は企業の本社に設置されており、コンピュータシステム200は企業の工場に設置されている。コンピュータシステム200の構成は、基本的にコンピュータシステム100と同じであり、端末(PC)212とサーバー213とを備えている。またコンピュータシステム200のサーバー213側には履歴情報カラーコード表(T)44が備えられている。コンピュータシステム200側の履歴情報カラーコード表(T)44はコンピュータシステム100側から郵送等で送られてきたものであり、コンピュータシステム100側で作成されたものと同じである。こうして、遠隔値に存在する2つのコンピュータシステム100,200で同じ履歴情報カラーコード表Tが備えられ、これによりコンピュータシステム100,200の間で履歴情報オブジェクトOの情報共有が行われる。
【0068】
図13において、「読取」は基板IDカラーコード11aのカメラ21による読取りを意味し、「要求」は基板IDカラーコードに基づく要求を意味し、「ダウンロード」は履歴情報オブジェクトのダウンロードを意味している。
【0069】
図13の構成によれば、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)を発信側のコンピュータシステム100の端末(PC)12から受信側のコンピュータシステム200の端末(PC)212に送信し、コンピュータシステム200で、パソコン212とサーバー213に基づき、別途に配送された履歴情報カラーコード表(T)に基づいて、履歴情報カラー(C)または履歴情報カラー数値(N)を工程に係る履歴情報オブジェクト(O)に逆変換するように使用することができる。
【0070】
図14〜図16に、基板の生産履歴管理に関する上記履歴カラーコードの具体的内容の一例を示す。図13は基板レコードを示す。この基板レコードでは、10個の基板の生産履歴が示されている。図15はラックレコードを示している。図16は検査修理レコードを示している。この図表は、カメラで撮影した画像入力に基づいたファイルの利用の一例であり、多種の例が可能である。例えば入退社用のタイムカード、あるいは同様に資材、生産、日程管理情報として利用する。
【0071】
上記の履歴情報カラーコードあるいは履歴情報カラーコード表の作成は、端末12A〜12Fとサーバー13とから成る第1のコンピュータシステム100(図1、図7、図12、図13等に示す)で実施される。図13に基づいて説明され、かつ図17に他の表現形式で示されるように、第1のコンピュータシステム100で作成された履歴情報カラーコード表(T)は、第2のコンピュータシステム200において共有される。すなわち第1および第2のコンピュータシステム100,200の両方において、基板の生産工程10に関して得られた履歴情報オブジェクトOを共有する。このような履歴情報オブジェクトOの共有によって、インターネット300等の通信回線で接続された2つのコンピュータシステム100,200で、カラーコードを利用して暗号的な情報の送受信を行うことが可能となる。かかる履歴情報オブジェクトOの共有は、第1のコンピュータシステム100の側において履歴情報カラーコード表(T)を記録する記録媒体を用意し、当該記録媒体を第1のコンピュータシステム100の側から第2のコンピュータシステム200の側へ郵送等で配送することにより行われる。この結果、図13を参照して説明した通り、第1と第2のコンピュータシステム100,200のそれぞれで同一の履歴情報カラーコード表(T)を保有することになる。
【0072】
図13および図17に示した関係は、第1および第2のコンピュータシステム100,200が同一の履歴情報カラーコード表(T)を保有するということに関する事前の処理モードを示している。その後にトラブルが生じた場合には、次のように扱われる。生産工程10において、何か問題が起きた少なくとも1つの基板11に関して、当該基板11の基板IDカラー(基板のカラーコード)をカメラ21で読取り、要求信号(RE)として、当該基板11の基板IDカラー(履歴情報カラーC)を、第1のコンピュータシステム100から第2のコンピュータシステム200にインターネット経由で送信する。このとき、履歴情報カラーCは、情報内容そのものとは切り離されている。このため盗聴される心配はない。他方、第2のコンピュータシステム200の側では、その記憶装置に履歴情報カラーコード表(T)が用意されている。その履歴情報カラーコード表(T)を用いて逆変換処理を行って、当該履歴情報カラーCから履歴情報オブジェクトOを得ることができる。これによって、第1および第2のコンピュータシステム100,200の間で、問題が起きた基板11に関する履歴情報オブジェクトOの情報を共有できる。このため、さらに、第1および第2のコンピュータシステム100,200の双方で共に同一の履歴情報を見ながら、電話やEメール等でコミュニケーションをとって迅速かつ確実にトラブルに対処することができる。
過去に生産した機種基板の不良が見つかるという緊急時に、2つ以上の複数の遠隔サイト間で、当該機種の当該基板の生産履歴データを探し回ってサイト間遣り取りをして時間を空費するようなことがなく、即時的対処が可能となる。ここで、「基板IDカラー」とは、基板のカラーコードと履歴情報カラーCの2つカラーを包括する表現であり、図面上での表現を簡略化する。
前述した図10は、基板IDカラーの基板のカラーコードと履歴情報カラーCの対応関係を示した表である。
【0073】
<数式的な関係表現>
伝送:[CS100]→C→[CS200]
逆変換:C→O(ID;O…O)(CS200において)
ここに、
[CS100],[CS200]:コンピュータシステム100,200
【0074】
上記において、第1のコンピュータシステム100から第2のコンピュータシステム200への履歴情報カラーCの送信は、例えば、メールの主文に対して何か特定の色を付するでもよい。いずれにせよ、履歴情報カラーコード表(T)で決められた任意のカラーが送られる。
【0075】
また第1のコンピュータ100の側で履歴情報カラーコード表(T)を記録する記録媒体を用意し、当該記録媒体は第1のコンピュータ100の側から第2のコンピュータ200の側へ配送され、第1のコンピュータ100と第2のコンピュータ200のそれぞれで同一の履歴情報カラーコード表(T)を備えるように構成することもできる。
【0076】
第1のコンピュータで、複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに工程履歴情報(O)を追加/累積すると共に、C−N−Oレコードごとに、履歴情報オブジェクトO(ID;O ・・・ O)の各要素オブジェクトを各要素カラー(CID ・・・ C)に変換し、第1のコンピュータから履歴情報カラー(C)と共に要素カラー(CID ・・・ C)を第2のコンピュータに対してインターネットを介して伝送し、第2のコンピュータで、履歴情報カラー(C)の各要素カラー(CID ・・・ C)を履歴情報オブジェクト(O)の各要素オブジェクト(ID;O ・・・ O)に逆変換し、逆変換で取得した履歴情報オブジェクトO(ID;O ・・・ O)を履歴情報カラーコード表(T)に追加/累積するように構成することもできる。
このとき、要素オブジェクトから要素カラーへの変換と、要素カラーから要素オブジェクトの逆変換には、履歴情報カラーコード表とは別の基板実装専用カラーコード表(T:ONC表)を用いる。
【0077】
<数式的な関係表現>
変換:O(ID;O…O
→C(CID…C) (CS100において)
伝送:[CS100]→C(CID…C)→[CS200]
逆変換:C(CID…C
→O(ID;O…O)(CS200において)
ここで、
[CS100],[CS200]:コンピュータシステム100,200
【0078】
その後において、トラブル等が生じてトラブル時モードになったときには、履歴情報オブジェクトOの情報共有はによる対処は前述した場合と同じである。
【0079】
図18〜図20を参照して本発明の他の実施形態を説明する。この実施形態では、履歴情報カラーコードが適用される患者カルテの例である。患者カルテは、固有の識別番号(ID)あるいはカルテIDが付与されている。患者カルテの作成履歴管理において、本実施形態に係る履歴情報カラーコードが用いられる。
【0080】
図18は、患者カルテ・レコード(履歴情報オブジェクト)の例を表形式で示している。同じ患者の同じ患者カルテIDの患者カルテ・レコード(過去の診察データ)が、日付順に累積されて、一冊の患者カルテの診療記簿を構成する。即ち、患者カルテは、患者個人の履歴情報オブジェクトの集まりであり、医療における個人情報である。この表では、患者カルテIDとして同一のIDが列方向に示されている。そして、患者カルテ・レコードの基本構成項目として、同一IDの各々に対して行方向に「日付」、「検査データ」、「診察所見」、「処方箋」の項目に関する事項が記入されている。また図19は、データベースに保存された患者カルテの履歴情報カラーコード表の例を示す。履歴情報カラーコード表は、複数または全患者のカルテのデータベースである。列方向に示された複数の患者カルテ1〜iの各々に対して、行方向に、履歴情報カラー(Chi)、履歴情報カラー数値(Nhi)、履歴情報オブジェクト(Ohi)が示されている。ここで図19に示した履歴情報カラーコード表において、その中に記載された表記に関してCh=CH、Nh=N、Oh=OHの関係を満たしている。
【0081】
図20は、前述した図13と同様なシステム構成を示している。図20の構成によれば、患者カルテに関して本発明に係る履歴情報カラーコードを適用した場合における遠隔医療に関するシステム構成を示している。この構成例では、第1のコンピュータシステム400と第2のコンピュータシステム500とから構成される。コンピュータシステム400が遠隔地の場所(病院、診療所等)に設置されており、コンピュータシステム500は拠点病院等に設置されている。遠隔地のコンピュータシステム400は少なくとも1台の端末(PC)412と、サーバー413とが設けられている。コンピュータシステム500は少なくとも1台の端末(PC)512と、サーバー513とが設けられている。病院の各部署に設置された端末412からの所定の事項の書込により患者カルテ411に対して対応する関連事項に係る情報が記入され、患者カルテの履歴情報オブジェクトに基づいて患者カルテの履歴情報カラーコード表414が作成される。コンピュータシステム400の側で作成された履歴情報カラーコード表414は郵送等でコンピュータシステム500側に送付され、コンピュータシステム500に装備される。拠点病院側では、遠隔地の病院等のコンピュータシステム400の端末412からの要求(送信)に応じて必要な情報が取得される。コンピュータシステム400,500の各々においての「ダウンロード」により患者カルテの履歴情報オブジェクトのダウンロードが行われる。
【0082】
前述した図17、および図20に示した関係は、第1および第2のコンピュータシステム400,500が同一の履歴情報カラーコード表(TH)を保有するということに関する事前の処理モードを示している。その後に、遠隔医療の診察が生じた場合には、次のように扱われる。患者の診察に際して、当該患者のカルテ411に関して、患者カルテ411の患者カルテIDカラー(患者カルテIDカラーコード)411aをカメラ21で読取り、要求信号(送信:図20に示す)として、患者カルテIDカラー(履歴情報カラーC)を、第1のコンピュータシステム400から第2のコンピュータシステム500にインターネット経由で送信する。
このとき、履歴情報カラーCHは、情報内容そのものとは切り離されている。このため盗聴される心配はない。他方、第2のコンピュータシステム500の側では、その記憶装置に患者カルテの履歴情報カラーコード表(TH)が用意されている。その履歴情報カラーコード表(TH)を用いて逆変換処理を行って、当該履歴情報カラーCHから患者カルテの履歴情報オブジェクトOHを得ることができる。これによって、第1および第2のコンピュータシステム400,500の間で、患者カルテの履歴情報オブジェクトOHの情報を共有できる。このため、さらに、第1および第2のコンピュータシステム400,500の双方で共に同一の患者カルテの履歴情報を見ながら、電話やEメール等でコミュニケーションをとって迅速かつ確実に患者の病気の診断と処方に対処することができる。
ここで「患者カルテIDカラー」とは、患者カルテIDカラーコードと履歴情報カラーCの2つのカラーを包括する表現であり、図面上での表現を簡略化する。図19は、患者カルテIDカラーの患者カルテIDカラーコードと履歴情報カラーCの対応関係を示した履歴情報カラーコード表である。
【0083】
<数式的な関係表現>
伝送:[CS400]→C→[CS500]
逆変換:C→O(ID;O…O) (CS500において)
ここに、
[CS400],[CS500]:コンピュータシステム400,500
【0084】
上記において、第1のコンピュータシステム400から第2のコンピュータシステム500への履歴情報カラーCHの送信は、例えば、メールの主文に対して何か特定の色を付するでもよい。いずれにせよ、履歴情報カラーコード表(TH)で決められた任意のカラーが送られる。
【0085】
次に図21と図22において例えば基板601に付された2次元の履歴情報カラーコード602の例を示す。当該2次元履歴情報カラーコード602は例えば長方形の基板の角部に設けられている。2次元履歴情報カラーコード602の添付箇所は、好ましくは基板の不使用領域が使用され、任意である。また当該2次元の履歴情報カラーコード602は図22に示すように、例えば5×5のマトリックス(行列)状に分割し各分割領域にカラー(色)を割り当てることにより作成することができる。
【0086】
前述した実施形態では、実装基板の生産工程10で履歴情報カラーコードおよび履歴情報カラーコード表を適用する例、および患者カルテに適用した例を説明したが、本発明に係る履歴情報カラーコード等は、次のような他の用途にも適用することができる。
【0087】
例えばドキュメントの履歴情報管理(改訂、決済、保管、廃却、情報管理等)、カラー画像暗号化画像ファイルの履歴情報管理(アクセス履歴等)、基板の後工程履歴(実装基板の出荷後の後工程履歴)である。
【0088】
その他に、関連する応用例としては、自動車組立てライン等の生産ラインの工程履歴、食品生産履歴(食品の産地情報、生産履歴、流通履歴等)、リサイクル工程履歴(PC、家電等の回収した製品の受入から解体、最終処分までのリサイクル工程履歴等)、販売履歴(自動車等の商品の過去の取引条件等)等に適用することができ、時系列的な変化の記載が必要な情報であればよく、かかる文章および書類に適している。
【0089】
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る履歴情報カラーコード等は、生産工程等における製品の履歴情報のコンピュータ管理、およびインターネットを介した配信等に利用され、並びに時系列的な変化の記載が必要な情報であればよく、かかる文章、書類に適している。
【符号の説明】
【0091】
10 生産工程
10−1 組立ライン
11 基板
11a 基板IDカラーコード
12A〜12F 端末
13 サーバー
21 カメラ
21A 固定カメラ
21B 携帯カメラ
22 作業者
31 マガジンラック
31a ラックIDカラーコード
32 管理者(管理フロアー)
33 端末
41 カード
43 社員情報カラーコード表
44 履歴情報カラーコード表
100 第1のコンピュータシステム
101 コンピュータ
200 第2のコンピュータシステム
210 携帯電話
300 インターネット
400 第1のコンピュータシステム
500 第2のコンピュータシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の1つの識別番号(ID)が付与された1つの識別物に関する複数の履歴情報オブジェクト(O)と、
前記複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、処理順序または入力順序に従って追加/累積される時系列的な一連の複数の工程履歴情報(O)と、
前記複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当てて生成されるC−N−Oレコードと、
を含むことを特徴とする履歴情報カラーコード。
【請求項2】
前記識別物は、複数の処理ステップからなる処理プロセスの当該複数の処理ステップの各々によって順次に処理され、その処理の結果として蓄積される前記C−N−Oレコード形式の履歴情報レコードを含み、
蓄積した前記履歴情報レコードに基づいて履歴情報カラーコード表(T)を生成する、
ことを特徴とする請求項1記載の履歴情報カラーコード。
【請求項3】
前記識別物は基板または病院患者カルテであることを特徴とする請求項1または2記載の履歴情報カラーコード。
【請求項4】
前記履歴情報カラー(C)または前記履歴情報カラー数値(N)は発信側コンピュータから受信側コンピュータに送信され、前記受信側コンピュータで、別途に配送された前記履歴情報カラーコード表(T)に基づいて、前記履歴情報カラー(C)または前記履歴情報カラー数値(N)は前記工程履歴情報(O)に逆変換されるように使用されることを特徴とする請求項2記載の履歴情報カラーコード。
【請求項5】
任意の1つの識別番号(ID)が付与された1つの識別物に関して複数の履歴情報オブジェクト(O)を作成する第1ステップと、
前記複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、時系列的な一連の複数の工程履歴情報(O)を処理順序または入力順序に従って追加/累積する第2ステップと、
前記複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに、履歴情報カラー(C)と履歴情報カラー数値(N)を割り当て、C−N−Oレコードを生成する第3ステップと、
からなることを特徴とする履歴情報カラーコードの作成方法。
【請求項6】
前記識別物は、複数の処理ステップからなる処理プロセスの当該複数の処理ステップの各々によって順次に処理され、その処理結果としての履歴情報レコードを、前記C−N−Oレコードの形式で蓄積する第4ステップと、
蓄積した前記履歴情報レコードから履歴情報カラーコード表(T)を生成する第5ステップと、
を有することを特徴とする請求項5記載の履歴情報カラーコードの作成方法。
【請求項7】
請求項6に記載された履歴情報カラーコードの作成方法で、前記履歴情報カラー(C)または前記履歴情報カラー数値(N)を発信側コンピュータから受信側コンピュータに発信する第6ステップと、
前記受信側コンピュータで、別途に配送された履歴情報カラーコード表(T)に基づいて、前記履歴情報カラー(C)または前記履歴情報カラー数値(N)を、工程履歴情報(O)に逆変換して復元する第7ステップとを有することを特徴とする履歴情報カラーコードの復元方法。
【請求項8】
請求項5に記載された履歴情報カラーコードの作成方法における前記の第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ、第4ステップ、および第5ステップは、第1のコンピュータで実行され、この第1のコンピュータで前記履歴情報カラーコード表(T)を記録する記録媒体を用意し、
前記記録媒体は前記第1のコンピュータの側から第2のコンピュータの側へ配送され、
前記第1のコンピュータと前記第2のコンピュータのそれぞれで同一の前記履歴情報カラーコード表(T)を備える、
ことを特徴とする履歴情報管理の方法。
【請求項9】
前記第1のコンピュータで、前記複数の履歴情報オブジェクト(O)のそれぞれに前記工程履歴情報(O)を追加/累積すると共に、前記C−N−Oレコードごとに、前記履歴情報オブジェクト(O)の各要素オブジェクト(OE)を各要素カラー(CE)に変換し、
前記第1のコンピュータから前記履歴情報カラー(C)と共に前記要素カラー(CE)を前記第2のコンピュータに対してインターネットを介して伝送し、
前記第2のコンピュータで、前記履歴情報カラー(C)の各要素カラー(CE)を前記履歴情報オブジェクト(O)の各要素オブジェクト(OE)に逆変換し、逆変換で取得した前記履歴情報オブジェクト(O)を前記履歴情報カラーコード表(T)に追加/累積する、
ことを特徴とする請求項8記載の履歴情報管理の方法。
【請求項10】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに基づく前記履歴情報の関係付けが必要とされる対象物に識別コードを付して用いられる履歴情報カラーコードの入力方法であって、
前記識別コードを撮影または読取の手段により撮影または読取りすることに基づいて前記識別コードに関係付けられた前記対象物に係る前記履歴情報の入力、変更、または追加を行うようにしたことを特徴とする履歴情報カラーコードの入力方法。
【請求項11】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力方法であって、
前記コンピュータの前記表示部に表示される前記ファイルの表示項目内の前記履歴情報の入力、変更、または追加を、撮影または読取の手段により前記履歴情報に付与されている識別コードを撮影または読取ることに基づいて行うようしたことを特徴とする履歴情報カラーコードの入力方法。
【請求項12】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力方法であって、
前記ファイルに関係付けられた対象データの識別コードを読取る際に、前記識別コードが付与された前記対象データの対象そのもの、あるいは、読取る際における、読取りの時間、読取りの場所、読取りの始期、読取りの終期、読取りの始期から終期、読取りの回数、表示される項目、当該項目の表示内容、これらの事項と関係付けて前記ファイルに入力表記する事項を、前記ファイルのデータ項目の入力事項として予め定め、
上記の定められた関係に基づいた読取り情報によって、前記ファイルに関係するデータを入力、変更、または追加の情報として入力とすることを特徴とする履歴情報カラーコードの入力方法。
【請求項13】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関係付けられた事項の識別コードの読取りに基づいて構成される前記ファイルのデータベースを設けたシステムにおいて、
前記データベースのデータを他のファイルに関係付けて、前記他のファイルのデータに対してもかかるデータの入出力を行う関係を構成し、
関係付けられた前記他のファイル間で前記ファイルに表示される項目のデータの入力をカメラによりデータ対象に付与されている識別コードを読取ることで前記データの該当項目への入力を行うことを特徴とする履歴情報カラーコードの入力方法。
【請求項14】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに基づく前記履歴情報の関係付けが必要とされる対象物に識別コードを付して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
前記識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
前記撮影または読取の手段によって撮影されまたは読取られた前記識別コードに基づいて、前記識別コードに関係付けられた前記対象物に係る前記履歴情報の入力、変更、または追加を行う手段と、
を備えることを特徴とする履歴情報カラーコードの入力システム。
【請求項15】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
前記コンピュータの前記表示部に表示される前記ファイルの表示項目内の前記履歴情報に付与されている識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
前記撮影または読取の手段によって撮影されまたは読み取られた前記識別コードに基づいて、前記コンピュータの前記表示部に表示される前記ファイルの表示項目内の前記履歴情報の入力、変更、または追加を行う手段と、
を備えることを特徴とする履歴情報カラーコードの入力システム。
【請求項16】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関連して用いられる履歴情報カラーコードの入力システムであって、
前記コンピュータの前記表示部に表示される前記ファイルの前記履歴情報に付与されている識別コードを撮影しまたは読取る手段と、
前記ファイルに関係付けられた対象データの識別コードを読取る際に、前記識別コードが付与された前記対象データの対象そのもの、あるいは、読取る際における、読取りの時間、読取りの場所、読取りの始期、読取りの終期、読取りの始期から終期、読取りの回数、表示される項目、当該項目の表示内容、これらの事項と関係付けて前記ファイルに入力表記する事項を、前記ファイルのデータ項目の入力事項として予め定める手段と、
前記撮影または読取の手段によって撮影されまたは読み取られた情報であってかつ上記の定められた関係に基づいた前記情報によって、前記ファイルに関係するデータを入力、変更、または追加の情報として入力とする手段と、
を備えることを特徴とする履歴情報カラーコードの入力システム。
【請求項17】
履歴情報を含む履歴情報カラーコードに関連するファイルでありかつコンピュータの表示部に表示される前記ファイルに関係付けられた事項の識別コードの読取りに基づいて構成される前記ファイルのデータベースを設けたシステムにおいて、
前記データベースのデータを他のファイルに関係付けて、前記他のファイルのデータに対してもかかるデータの入出力を行う関係を構成する手段と、
関係付けられた前記他のファイル間で前記ファイルに表示される項目のデータの入力をカメラによりデータ対象に付与されている識別コードを読取ることで前記データの該当項目への入力を行う手段と、
を備えることを特徴とする履歴情報カラーコードの入力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−59938(P2011−59938A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208235(P2009−208235)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000209474)谷電機工業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】