説明

履物およびその中敷き部材

【課題】長期的に、健康の増進を図ると共に、安全対策の向上にも寄与する履物およびその中敷き部材の提供する。
【解決手段】少なくとも一部が鉄シリサイドである粉末状の人工鉱石と、前記人工鉱石を混練してなる樹脂とを少なくとも一部に含んでいる履物の中敷き部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴、サンダルなどの履物およびその中敷き部材に係り、特に健康増進対策や転倒を防止する安全対策に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人間が使用する履物に関して、健康増進のための工夫が施されていたり、転倒防止などの安全対策向上のための工夫が施されていたりしている。
【0003】
人体の足が健康を維持する上で重要なことは、経験的に知られている事実である。そこで、健康の増進を図るための靴の中敷き等について、多くの提案がなされている。たとえば、特許文献1には、履物の中敷きに粒状の物質を充填することにより、足の裏のツボを刺激して、人体の健康の増進を図ることが記載されている。また、特許文献2には、足の指の位置を安定化させる形状の中敷きにより、外反母趾を防止することが開示されている。
【0004】
また、路上での転倒事故、特に雪道での転倒事故が多いことから、路上に積もった雪を溶かすことについて、多くの提案がなされている。たとえば、特許文献3には、雪道などでの転倒を防止するために路上に積もった雪を溶かすことができる積層シートの技術が開示されており、その積層シートで靴ソール形成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−211098号公報
【特許文献2】特開平9−140405号公報
【特許文献3】特開2002−273833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1および2の履物の中敷きは、形状面から人体の健康を増進しようとするものであるが、使用していくと、中敷きの形状が初期形状から崩れていくので、必ずしも所望の目的を達成することができないこともある。反面、形状を一定に保持しようとすると、足に加わる負担が大きくなるおそれがあった。
【0007】
上記特許文献3の靴ソールは、雪や氷の分子などを遠赤外線により運動させ、そのエネルギーを熱として放出させることで、融雪時間の短縮化を図っているが、靴ソールは、融雪用以外の用途で適用された技術であることから、雪道での転倒を防止するために路上に積もった雪を積極的に溶かすものではなかった。
【0008】
本発明の目的は、長期的に、健康の増進を図ると共に、安全対策の向上にも寄与する履物およびその中敷き部材の提供を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、履物の中敷き部材について、少なくとも一部が鉄シリサイドである粉末状の人工鉱石と、前記人工鉱石を混練してなる樹脂とを少なくとも一部に含んでいるものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記人工鉱石は、珪素化合物に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加したものの溶融物の粉末であるものである。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記樹脂は、発泡体である。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1つに記載の発明において、前記人工鉱石を含む樹脂シートと、前記人工鉱石を含まない樹脂シートとを積層して構成したものである。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の履物の中敷き部材を備えている履物である。
【0014】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、ナースシューズまたはナースサンダルとして機能する履物である。
【0015】
また、請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、スポーツシューズとして機能する履物である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、外部からテラヘルツ領域の電磁波(以下、「テラヘルツ波」という。テラヘルツ波は、たとえば、遠赤外線などがある。)を受けたときに、鉄シリサイドを含む人工鉱石が発するテラヘルツ波によって、人体の足内の水の分子が共振し、クラスターが小さくなる結果、血流と細胞が活性化される。その結果、健康の増進を図ることができる。この健康増進結果は、従来の中敷き部材のように形状面から健康増進を図るものではなく、内部構造から得られるので、長期間使用しても型くずれによる効果の低減を招くことがない。さらには、雪や氷の分子などを遠赤外線により運動させ、そのエネルギーを熱として放出させることで、融雪時間の短縮化を図ることができ、路上に積もった雪を効率的に溶かすことで雪道での転倒を防止するという安全対策の向上にも寄与する効果がある。
【0017】
また、請求項2に記載の発明によれば、人工鉱石が珪素化合物に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加したものの溶融物の粉末であることにより、特に顕著な健康増進効果を得ることができると共に、雪や氷の分子などを遠赤外線により運動させ、そのエネルギーを熱として更に効率的に放出させることで、融雪時間の大幅な短縮化を図ることができ、路上に積もった雪をより効率的に溶かすことで雪道での転倒を防止するという安全対策の更なる向上にも寄与する効果がある。
【0018】
また、請求項3に記載の発明によれば、樹脂が発泡体であることにより、気泡の部分ではテラヘルツ波が吸収されないことから、外部から遠赤外線などの電磁波を受けたときのテラヘルツ波の発生効率が高くなり、かつ、テラヘルツ波を外部へ放出する効率も高くなる。また、断熱性がよいので、保温効果によっても人体の疲労回復を促進する。さらに、足に局所的な圧力が加わらないように、クッション性のよい中敷き部材が得られるので、疲労を防ぐ効果があり、総合的に健康増進効果が向上する。また、雪や氷の分子などを遠赤外線により運動させ、そのエネルギーを熱として更に効率的に放出させることで、融雪時間の大幅な短縮化を図ることができ、路上に積もった雪をより効率的に溶かすことで雪道での転倒を防止するという安全対策の更なる向上にも寄与する効果がある。
【0019】
また、請求項4に記載の発明によれば、人工鉱石を含んでいる樹脂シートと、人工鉱石を含んでいない樹脂シートとを積層した構造を採用することで、高価な人工鉱石の使用量を少なくして製造コストを低減しつつ、健康増進効果を維持することができると共に、雪や氷の分子などを遠赤外線により運動させ、そのエネルギーを熱として放出させることで、融雪時間の短縮化を図ることができ、路上に積もった雪を効率的に溶かすことで雪道での転倒を防止するという安全対策の向上にも寄与する効果がある。
【0020】
また、請求項5に記載の発明によれば、本発明の中敷き部材を備えた履物により、上述の効果を発揮する履物が得られる。
【0021】
また、請求項6に記載の発明によれば、ナースシューズまたはナースサンダルとして用いることにより、特に顕著な疲労回復効果が得られる。
【0022】
また、請求項7に記載の発明によれば、スポーツシューズとして用いることにより、特に顕著な疲労回復効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施形態に係る履物の中敷き部材の構造を示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態の変形例1に係る履物の中敷き部材の構造を示す縦断面図である。
【図3】第1実施形態の変形例2に係る履物の中敷き部材の構造を示す縦断面図である。
【図4】第2実施形態に係る履物の側面図である。
【図5】第3実施形態に係る履物の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[1.第1実施形態]
[1.1.1.履物の中敷き部材の概略構造]
図1は、本発明の第1実施形態に係る履物の中敷き部材10Aの構造を示す縦断面図である。本実施形態の中敷き部材10Aは、図1に示すように、たとえば、靴などの履物に使用されるもので、下部中敷き13(人工鉱石を含んでいない樹脂シート)の上に、上部中敷きとなる鉱石シート15(人工鉱石を含んでいる樹脂シート)を積層したものである。
【0025】
ここで、上記鉱石シート15は、気泡BLを包含する発泡樹脂RSと、少なくとも一部が鉄シリサイドである人工鉱石MSとを含んでいる。本実施形態においては、発泡樹脂RSは、エチレンビニルアセテート系の樹脂架橋発泡体である。そして、人工鉱石MSは、後述するように、珪素化合物と、鉄、アルミニウム、カルシウムとを溶融したものの粉末である。
また、下部中敷き13は、鉱石シート15と同じ材質の発泡樹脂であって、人工鉱石MSを含んでいない発泡樹脂によって形成されている。
鉱石シート15の厚みは、全体的にほぼ均一で、1mm〜2mm程度である。また、鉱石シート15と下部中敷き13との合計の厚みは、足の先端側で薄く、後端側で厚くなっており、最大厚み部で、5mm〜10mm程度である。
【0026】
[1.1.2.人工鉱石MSの製造方法]
本実施形態の人工鉱石MSは、特許3766385号公報に記載されているいずれかの実施例によって製造されたものである。一例を挙げると、以下の方法がある。
【0027】
ほぼ真空状態下で1650℃〜1680℃に加熱した真空溶融炉に80重量%の粉末状の珪素を投入し、その後、5重量%の粉末状の鉄と5重量%の粉末状のアルミニウムと5重量%のカルシウムとを3〜5分間隔で順に投入するとともに撹拌混合し、その後、真空溶融炉から溶融物を取出し、常温中で自然冷却することによって塊状の人工鉱石を生成する。
【0028】
その後、上記塊状の人工鉱石を、ほぼ真空状態下で1750℃〜1800℃に加熱した真空溶融炉で再度溶融し、その後、溶融物を取出し、常温中で自然冷却することによって塊状の人工鉱石を生成する。
【0029】
さらに、この塊状の人工鉱石を、略真空状態下で2000℃〜2050℃に加熱した真空溶融炉で再度溶融し、その後、溶融物を取出し、常温中で自然冷却することによって塊状の人工鉱石を生成する。
【0030】
このように、溶融後に冷却し、さらに高温で溶融するといったように、徐々に高温下で溶融を繰り返し行うのである。
その後、塊状の人工鉱石をクラッシャーで粉砕し、さらに、ボールミル等を用いて、粒径が10μm〜50μm程度の粉末状の人工鉱石MSに仕上げる。
【0031】
[1.1.3.発泡樹脂体の製造方法]
まず、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂と人工鉱石との混合物を100重量部準備する。この混合物中における人工鉱石の割合は、5〜20重量%である。
次に、EVA樹脂と人工鉱石との混合物100重量部に対して以下の材料を加える。
発泡剤: ジカルボンアミド(AC) 5重量部
発泡助剤: 酸化亜鉛 0.7重量部
滑材: ステアリン酸 0.8重量部
架橋材: ジクミルパーオキサイド 0.7重量部
そして、これらを100℃〜110℃ニーダーによって混練した後に、圧延ロールによってシート状の未架橋未発泡の発泡性組成物を得た。
【0032】
次に、この発泡性組成物を所定の形状に裁断して、金型に充填し、160℃で、100kg重/cm(約10MPa)で加熱加圧した後に、圧力を急速に開放し、厚みが1mm〜2mm程度の独立気泡の人工鉱石含有の架橋発泡シート(鉱石シート15)を得た。
【0033】
また、上記EVA樹脂に人工鉱石を添加しないもの100重量部に対して、発泡剤、発泡助剤、滑材および架橋剤を上記と同じ割合で添加し、同様の工程で架橋発泡シート(下部中敷き13)を得た。
【0034】
その後、上記鉱石シート15と下部中敷き13とを接着剤で貼り合わせることにより、図1に示す構造を有する中敷き部材10Aを得た。
ただし、本発明の発泡樹脂体の樹脂材料や製造工程は、上述した内容に限られることはなく、汎用されている他の樹脂や製造方法を採用することができる。
【0035】
本実施形態によると、履物の中敷き部材10Aは、少なくとも一部が鉄シリサイドである人工鉱石MSを含んでいるが、鉄シリサイドは、外部からの電磁波によってテラヘルツ波を発していることが知られている。テラヘルツ波は、0.1THz〜10THz程度の周波数の電磁波である。そして、この周波数は、人体を構成している水の分子の固有振動数に近いといわれている。
【0036】
一方、テラヘルツ波は、種々の材料に対する透過特性に優れているが、X線のように生体の一部を破壊、損傷することはないので、人工鉱石によって人体に悪影響を及ぼすことはないと考えられる。
【0037】
以上のことから、本発明者は、以下の点に着目した。
すなわち、外部からテラヘルツ領域の電磁波(テラヘルツ波)を受けたときに、人工鉱石MSが発するテラヘルツ波によって、人体の足内の水の分子が共振すると、クラスターが小さくなる結果、血流と細胞が活性化されることが期待できる。血流と細胞が活性化された結果、細胞内の老廃物をすばやく排出でき、健康の維持増進を図ることができる。また、中敷き部材10Aは、気泡BLを有することから、人工鉱石MSから発せられるテラヘルツ波により、気泡BL中の水蒸気の水分子が共振し、そのエネルギーが熱として放出されることで気泡BL中の空気が暖められて膨張し、中敷き部材10Aの人体の足裏側表面に凹凸が形成される。この凹凸による人体の足裏への指圧効果によっても血流と細胞が活性化され、細胞内の老廃物をすばやく排出でき、健康の維持増進を図ることができる。
【0038】
また、雪や氷の水分子などをテラヘルツ波により共振させ、そのエネルギーを熱として更に効率的に放出させることで、融雪時間の大幅な短縮化を図ることができ、路上に積もった雪をより効率的に溶かすことで、靴底の凸部と雪が溶けたことによって形成される凹部とが係着し、滑ることがなくなる。その結果、雪道での転倒事故を防止するという安全性を向上できる。
【0039】
そこで、本発明では、履物の中敷き部材の少なくとも一部に鉄シリサイドを含む人工鉱石を混練することにより、人工鉱石MSが発するテラヘルツ波によって、人体の足内の水の分子が共振すると、クラスターが小さくなる結果、または人工鉱石MSから発せられるテラヘルツ波により、気泡BL中の水蒸気の水分子が共振し、そのエネルギーが熱として放出されることで気泡BL中の空気が暖められて膨張し、中敷き部材10Aの人体の足裏側表面に形成される凹凸による指圧効果により、血流と細胞が活性化され細胞内の老廃物をすばやく排出することで健康の維持増進を図っている。また、雪や氷の水分子などをテラヘルツ波により共振させ、そのエネルギーを熱として更に効率的に放出させることで、融雪時間の大幅な短縮化を図ることができ、路上に積もった雪をより効率的に溶かすことで、靴底の凸部と雪が溶けたことによって形成される凹部とが係着することで滑ることをなくし、転倒事故を防ぐような安全対策の向上を図っている。人体の足には、特に全体重が加わり、かつ、人によっては、非常に長時間立ち仕事をすることがある。したがって、本発明の履物の中敷き部材は、長時間の立ち仕事に従事する看護師のためのナースシューズまたはナースサンダルや、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ、野球のスパイクシューズ、サッカーシューズ、バスケットシューズ、テニスシューズ、その他のスポーツシューズ、などに用いることで、顕著な効果を発揮することができる。
【0040】
しかも、長期の使用によって中敷き部材10Aの形状が変形しても、人工鉱石MSのテラヘルツ波発生作用はほとんど劣化しないので、健康の維持増進や安全対策の向上といった効果を長く持続することができる。特に、人工鉱石を含んでいる樹脂シートである鉱石シート15と、人工鉱石を含んでいない樹脂シートである下部中敷き13とを積層した構造を採用することにより、高価な人工鉱石MSの使用量を少なくして、製造コストの低減を図りつつ、健康増進効果及び安全性の向上を図ることができる効果を維持することができる。
【0041】
[1.2.第1実施形態の変形例1]
図2は、第1実施形態の変形例1に係る履物の中敷き部材10Bの構造を示す縦断面図である。本変形例の中敷き部材10Bは、図2に示すように、上部中敷き11と、下部中敷き13との間に、鉱石シート15を介在させたものである。そして、本変形例においても、鉱石シート15は、気泡BLを包含する発泡樹脂RSと、少なくとも一部が鉄シリサイドである人工鉱石MSとを含んでおり、発泡樹脂RSは、エチレンビニルアセテート系の樹脂架橋発泡体である。また、人工鉱石MSは、第1実施形態と同様に、珪素化合物を溶融させた後に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加し、その後に冷却し、その後、さらに高温で再度溶融して形成されたものである。
【0042】
また、上部中敷き11および下部中敷き13は、鉱石シート15と同じ材質の発泡樹脂であって、人工鉱石MSを含んでいない発泡樹脂によって形成されている。鉱石シート15の厚みは、第1実施形態と同じであり、上部中敷き11、鉱石シート15および下部中敷き13の合計の厚みも、第1実施形態と同じである。
【0043】
この変形例1に係る中敷き部材10Bによっても、中敷き部材10Bの一部に人工鉱石を混練することにより、前述の第1実施形態と同様に健康の維持増進及び安全性の向上を図ることができる。そして、長時間の立ち仕事に従事する看護師のためのナースシューズまたはナースサンダルや、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ、野球のスパイクシューズ、サッカーシューズ、バスケットシューズ、テニスシューズ、その他のスポーツシューズ、などに用いることで、顕著な効果を発揮することができる。
【0044】
更に、中敷き部材10Bは、上部中敷き11と、下部中敷き13との間に、鉱石シート15を介在させたことから、人工鉱石MSを含有する鉱石シート15が擦り減り劣化することを防ぐことができる。その結果、本変形例が有する健康の維持増進及び安全性の向上などの各効果を長期間にわたり維持することができる。
【0045】
[1.3.第1実施形態の変形例2]
図3は、第1実施形態の変形例2に係る履物の中敷き部材10Cの構造を示す縦断面図である。本変形例の中敷き部材10Cは、図3に示すように、上部中敷き11と中央中敷き12との間、および中央中敷き12と下部中敷き13との間に、それぞれ鉱石シート15を介在させている。
【0046】
そして、各鉱石シート15が、気泡BLを包含する発泡樹脂RSと、少なくとも一部が鉄シリサイドである人工鉱石MSとを含んでおり、発泡樹脂RSは、エチレンビニルアセテート系の樹脂架橋発泡体である。また、人工鉱石MSは、第1実施形態と同様に、珪素化合物を溶融させた後に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加し、その後に冷却し、その後、さらに高温で再度溶融して形成されたものである。
鉱石シート15の厚みは、第1実施形態と同じであり、上部中敷き11、各鉱石シート15、中央中敷き12および下部中敷き13の合計の厚みは、第1実施形態と同じである。
【0047】
この変形例2に係る中敷き部材10Cによっても、中敷き部材10Cの一部に人工鉱石を含ませることにより、前述の第1実施形態と同様に健康の維持増進及び安全性の向上を図ることができる。そして、長時間の立ち仕事に従事する看護師のためのナースシューズまたはナースサンダルや、ランニングシューズ、ウォーキングシューズ、野球のスパイクシューズ、サッカーシューズ、バスケットシューズ、テニスシューズ、その他のスポーツシューズ、などに用いることで、顕著な効果を発揮することができる。
【0048】
更に、中敷き部材10Cは、上部中敷き11と中央中敷き12との間、および中央中敷き12と下部中敷き13との間に、それぞれ鉱石シート15を介在させたことから、人工鉱石MSの含有量の異なる別種の中敷きを製作することなく中敷き部材中の人工鉱石MSの量を増加させることができると共に、人工鉱石MSを含有する鉱石シート15が擦り減り劣化することを防ぐことができる。その結果、余計な製造工程をなくし、製造コストを抑制しつつ人工鉱石MSの含有量を増加させることができると共に、本変形例が有する健康の維持増進及び安全性の向上などの各効果を長期間にわたり維持することができる。
【0049】
上記第1実施形態およびその変形例1,2では、人工鉱石MSを、比較的薄めの樹脂シートである厚み1mm〜2mmの鉱石シート15のみに含ませたが、中敷き部材10A,10B,10C全体に人工鉱石MSを含ませてもよい。ただし、人工鉱石MSは高価な材料であり、人工鉱石MSを含む部分を薄い樹脂シート状にすることにより、人体の健康増進効果を果たしつつ、靴などの履物のコストの低減を図ることができる。
【0050】
上記第1実施形態およびその変形例1,2における中敷き部材10A,10B,10Cは、必ずしも発泡樹脂体である必要はなく、発泡樹脂体と同程度の弾力性、柔軟性を持ったものであれば、人体の足への負担を軽くすることができ、健康増進という目的に反することはないからである。
【0051】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態の履物について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係る履物50Aの側面図である。本実施形態の履物50Aは、ランニングシューズやウォーキングシューズとして使用される靴である。
【0052】
図4に示すように、本実施形態の履物50Aは、中敷き部材10と、中敷き部材10の上部を覆う上部カバー部材20と、底部材30とを備えている。そして、本実施形態の中敷き部材10は、上記第1実施形態およびその変形例1,2における中敷き部材10A,10B,10Cのいずれかの構造を有しており、中敷き部材10の一部に、人工鉱石MSを含む鉱石シート15(図示せず)が挿入されている。
【0053】
そして、上述のとおり、中敷き部材10の鉱石シート15中の人工鉱石MSによるテラヘルツ波の発生作用により、長期間のランニングやジョギングやウォーキングによる足の疲労を和らげ、あるいは、足の変形や損傷をなくすなど、健康の増進に寄与することができる。更には、雪や氷の分子などをテラヘルツ波(遠赤外線)により運動させ、そのエネルギーを熱として放出させることで、融雪時間の短縮化を図ることができ、路上に積もった雪などを効率的に溶かすことで、図4中の部分拡大図に示すように、靴底の凸部と雪が溶けたことによって形成される凹部とが係着し、滑ることがなくなる。その結果、滑って転倒することがなくなり、雪道などでの転倒を防止するという安全対策の向上にも寄与することができる。
【0054】
この第2実施形態では、本発明の履物がランニングシューズやウォーキングシューズである場合について説明したが、本発明の履物は、野球のスパイクシューズ、サッカーシューズ、バスケットシューズ、テニスシューズ、その他のスポーツシューズ、などであっても、顕著な効果を発揮することができる。また、通勤シューズ、ウォーキングシューズ、安全靴などの種類を問わず、革靴の中敷き部材として用いることによっても、健康増進効果を発揮することができる。また、本発明の履物は、靴だけでなく、サンダル、スリッパ、ぞうり、ブーツなど、あらゆる履物に適用することができる。
【0055】
[3.第3実施形態]
第3実施形態では、上記実施形態とは異なる履物について説明する。図5は、本発明の第3実施形態に係る履物50Bの側面図である。本実施形態の履物50Bは、ナースサンダルとして使用される靴である。
【0056】
本実施形態の履物50Bは、図5に示すように、下部中敷き13の上に鉱石シート15を貼り合わせてなる第1実施形態の中敷き部材10Aと、中敷き部材10の上方で足の先端を止める前部固定具21と、足のかかと付近を止める後部固定具22と、底部材30とを備えている。
【0057】
そして、上述のとおり、中敷き部材10の鉱石シート15中の人工鉱石MSによるテラヘルツ波の作用により、長期間のランニングやジョギングやウォーキングによる足の疲労を和らげ、あるいは、足の変形や損傷をなくすなど、健康の増進に寄与でき、更には、図5中の部分拡大図に示すように、靴底の凸部と雪が溶けたことによって形成される凹部とが係着し、滑ることがなくなることから、雪道などでの転倒防止などの安全性の向上にも寄与することができる。
【0058】
[3.1.使用テスト]
本実施形態のナースサンダルについて、試作品を40足作成し、40人の看護師に約1ヶ月間、着用するテストを実施した。その結果、ほぼ全員から着用による健康増進効果があるという回答が得られ、具体的に、疲労が少ない、疲労がとれるために外反母趾が改善される、足のむくみがとれる、といった顕著な健康増進効果があることが判明した。
【0059】
本実施形態では、本発明の履物50Bを、ナースサンダルに適用した例について説明したが、ナースシューズに適用しても、同様の健康増進効果が得られる。
【0060】
上記に開示された本発明の実施の形態の構造は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの記載の範囲に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の履物の中敷き部材は、ナースシューズまたはナースサンダル、各種スポーツシューズ、通勤用靴、各種サンダル、スリッパ、ぞうり、ブーツなどの履物の中敷き部材として利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
MS 人工鉱石
BL 気泡
RS 発泡樹脂
10(10A,10B,10C) 中敷き部材
11 上部中敷き
12 中央中敷き
13 下部中敷き
15 鉱石シート
20 上部カバー部材
21 前部固定具
22 後部固定具
30 底部材
50(50A,50B) 履物


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が鉄シリサイドである粉末状の人工鉱石と、
前記人工鉱石を混練してなる樹脂と、
を少なくとも一部に含んでいる、履物の中敷き部材。
【請求項2】
請求項1に記載の履物の中敷き部材において、
前記人工鉱石は、珪素化合物に、鉄、アルミニウム、カルシウムを添加したものの溶融物の粉末である、履物の中敷き部材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の履物の中敷き部材において、
前記樹脂は、発泡体である、履物の中敷き部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つに記載の履物の中敷き部材において、
前記人工鉱石を含む樹脂シートと、
前記人工鉱石を含まない樹脂シートと
を積層して構成されている、履物の中敷き部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つに記載の履物の中敷き部材を備えている履物。
【請求項6】
請求項5に記載の履物において、
ナースシューズまたはナースサンダルとして機能する、履物。
【請求項7】
請求項5に記載の履物において、
スポーツシューズとして機能する、履物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−200784(P2010−200784A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46217(P2009−46217)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(501131117)
【Fターム(参考)】