説明

履物と履物用の芯部材

【課題】簡易な構成で歩行時のつまずき等を抑制できる履物と履物用の芯部材とを提供する。
【解決手段】従来の履物に変わって、足Lの上部に係止する履物上と、足Lの裏に接する上面と歩行面Sに接する底面とを形成する履物底20と、を備え、前記履物底20が弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって自由状態において側面から見て足Lの土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足Lの土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ芯部材22を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物と履物用の芯部材に係る。特に、つまずき等を抑制できる履物と履物用の芯部材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の高齢化社会に於て、老人の介護問題は、人口の小子化の問題と供に、将来のこの国の深刻な経済並びに社会問題を提起する現象として、速急に解決しなければならない問題である。
【0003】
特に前者の老人介護の問題は、各家庭は勿論、国、自治体の社会並びに経済生活をも圧迫しつつあり、悲惨な個々の社会問題も、日々報ぜられるに至っている。
【0004】
この様な現象を完全に防止する事は不可能であるとしても、各個人の日々の健康上の注意並びに努力に依っては、ある程度の防止は可能である。
例えば、2003年4月の東京都の調査に依ると、要支援者を含む要介護者は、全国で約350万人居り、脳血管障害者26.1%,高齢による衰弱17.0%,転倒、骨折12.4%,痴ホ11.2%,関節疾患10.6%,パ−キンソン病16.5%,その他16.5%の割合と成っている。
【0005】
この様な要介護者の内、内蔵疾患、高齢による衰弱等の内患者を除き、各人の日頃の注意に依って要介護原因を防げる転倒、骨折等の外患者のみでも、約44万人にも達しているのが実情である。
【0006】
本来、斯の如き老人の転倒、骨折の原因は、脚力の衰弱と前傾姿勢に依る擦り足歩行によるものが多く、その為に老人の足筋力の強化、擦り足歩行に依る躓き転倒の防止用履物等を提唱し、提案して、これに依る要介護者の増加を防止せんとしているが、未だ顕著な効果を得ていないのが実情である。
本願発明も、この様な老人の躓き転倒防止用履物を提供して、転倒骨折等に依る要介護者、寝たきり病人の発生を可及的に防止する事を目的とするものである。
【0007】
本来、高齢者特に老齢に達するとその筋力は衰弱し、上半身特に頭部の重量を支え難く、ややもすると前傾姿勢と成り、必然的に体重は爪先に掛かり、歩行時には、図15(A)の(f1)で示す如く擦り足となり、その爪先部(T1)は、些細な突出物例えば敷居等に足を取られて転倒し、骨折して寝たきりとなる場合が頻繁に発生している。
【0008】
この様な問題を解決せんとして、過去には、逆ヒ−ル靴底及び足袋底に所定材料のアッパ−部を接合し、そのトウボックスの幅を、ボ−ルジョイント部の幅より大きくすると共に、その踵部の傾斜を爪先方向え10度以上傾け、更にトウスプリングの高さを2cm以上のものとした事を特徴とし、老人歩行の改善、歩行姿勢の矯正、腰痛、膝関節症、足関節症の治療に役立てんとする技術を提案される。
【0009】
又、靴の爪先部に孔を開けるか、窓を設けるかして、足感覚を敏感にし、脳えの刺激を活性化して躓きを防止し、更に水虫、悪臭の発生をも防止し得る靴を提案される。
【0010】
然しながら、これらの技術は、老人の前傾姿勢をそのままで上向かせる事は出来るかも知れないが、硬直化した前傾部分の矯正は不可能に近く、反り返らされた体形はかえって不安定と成り、又二重構造と成っている靴底とトウボックス部とは、新たな躓き部分を形成するとも考えられる。
また、水虫、悪臭の発生の原因を排除する事は出来ても、相当鈍感に成っている老人の爪先の運動感覚を、単なる通風位で復活させ得るとは、考え難い所である。
発明者は、この様な従来型の老人躓き防止用履物に替えて、高齢者の安全な歩行を約束し、その運動意欲を高め、いささかでも要介護者の発生を防止し、個人並びに社会の物心両面の負担を軽減せんと考えた。
【0011】
発明者は、本願に関連して、図16に示す履物を考案した。
図16に示す履物は、履物上10と履物底20とで構成される。履物底20は、上部部材21と底部部材22とで構成される。上部部材21は、足の裏に接する上面を形成する。底部部材22が、歩行面に接する底面を形成する。履物底20は、爪先部が上に湾曲する様に、上部部材21と底部部材22とが縫われる。
爪先部が上に湾曲する様に上部部材21と底部部材22とを縫うには、熟練の技術を要求される。
上部部材21と底部部材22とを縫った後で、保管中に縫った糸が緩み、爪先部が上に湾曲しなくなることもあった。
従って、図16に示す履物は、生産性を上げることが容易でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、簡易な構成で歩行時のつまずき等を抑制できる履物と履物用の芯部材とを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明に係る履物であって、足の上部に係止する履物上と、足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する履物底と、を備え、前記履物底が弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ芯部材を有する、ものとした。
【0014】
上記本発明の構成により、履物上が、足の上部に係止する。履物底が、足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する。前記履物底の芯部材が、弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって、自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ。
その結果、履物を履いて歩行するときに足を十分に上げて歩行するようになり、つまずきを抑制できる。
【0015】
以下に、本発明の実施形態に係る履物を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0016】
本発明の実施形態に係る履物は、前記履物底が足の裏に接する上面を形成する上部部材と歩行面に接する底面を形成する底部部材と前記芯部材とを有し、前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる。
上記の実施形態の構成により、前記履物底の上部部材が、足の裏に接する上面を形成する。前記履物底の底部部材が、歩行面に接する底面を形成する。前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる。
その結果、上部部材と芯部材と底部部材とが一体となって湾曲する。
【0017】
本発明の実施形態に係る履物は、前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる。
上記の実施形態の構成により、前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる。
その結果、足をおろしたときを土踏まずの感触で知ることを出来る。
【0018】
本発明の実施形態に係る履物は、前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる。
上記の実施形態の構成により、前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持つ。前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる。
その結果、足を上げ下ろしするのに伴って、芯部材と上部部材とが一体として屈曲する。
【0019】
本発明の実施形態に係る履物は、前記小突起部が板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ。
上記の実施形態の構成により、前記小突起部の隆起部が板状部材の上面から上方へ向かって隆起する。前記小突起部の爪部が前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる。
その結果、爪部が上部部材の下面に引っ掛かり上部部材が前記芯部材の屈曲によく追随して屈曲する。
【0020】
上記目的を達成するため、本発明に係る足の上部に係止する履物上と足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する履物底とを有する履物用の芯部材であって、弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ、ものとした。
【0021】
上記本発明の構成により、履物上が、足の上部に係止する。履物底が、足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する。前記履物底の芯部材が、弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって、自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ。
その結果、履物を履いて歩行するときに足を十分に上げて歩行するようになり、つまずきを抑制できる。
【0022】
以下に、本発明の実施形態に係る履物用の芯部材を説明する。本発明は、以下に記載した実施形態のいずれか、またはそれらの中の二つ以上が組み合わされた態様を含む。
【0023】
本発明の実施形態に係る履物用の芯部材は、前記履物底が足の裏に接する上面を形成する上部部材と歩行面に接する底面を形成する底部部材とを有し、前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる。
上記の実施形態の構成により 前記履物底の上部部材が、足の裏に接する上面を形成する。前記履物底の底部部材が、歩行面に接する底面を形成する。前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる。
その結果、上部部材と芯部材と底部部材とが一体となって湾曲する。
【0024】
本発明の実施形態に係る履物用の芯部材は、前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる。
上記の実施形態の構成により、前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる。
その結果、足をおろしたときを土踏まずの感触で知ることを出来る。
【0025】
本発明の実施形態に係る履物用の芯部材は、前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる。
上記の実施形態の構成により、前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持つ。前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる。
その結果、足を上げ下ろしするのに伴って、芯部材と上部部材とが一体として屈曲する。
【0026】
本発明の実施形態に係る履物用の芯部材は、前記小突起部が板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ。
上記の実施形態の構成により、前記小突起部の隆起部が板状部材の上面から上方へ向かって隆起する。前記小突起部の爪部が前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる。
その結果、爪部が上部部材の下面に引っ掛かり上部部材が前記芯部材の屈曲によく追随して屈曲する。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明に係る履物と履物用の芯部材は、その構成により、以下の効果を有する。
履物上が足の上部に係止し、足の裏と歩行面とに両面を接する履物底の芯部材が、弾性素材ででき上からみて足の裏の輪郭に対応する輪郭をもつ板状部材であって、自由状態において前部と後部とが湾曲するので、履物を履いて歩行するときに、歩行に従って芯部材が屈曲して足の裏を刺激するので、足を十分に上げて歩行するようになり、つまずきを抑制できる。
また、前記芯部材が足の裏に接する上面を形成する上部部材と歩行面に接する底面を形成する底部部材とに挟まれる様にするので、上部部材と芯部材と底部部材とが一体となって湾曲する。
また、前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる様にするで、足をおろしたときを土踏まずの感触で知ることを出来る。
また、前記芯部材の上面に設けられ突起した複数の小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる様にしたので、足を上げ下ろしするのに伴って、芯部材と上部部材とが一体として屈曲する。
また、小突起部の爪部が隆起した隆起部の頂部から横に延びる様にしたので、爪部が上部部材の下面に引っ掛かり上部部材が前記芯部材の屈曲によく追随して屈曲する。
従って、車簡易な構成で歩行時のつまずき等を抑制できる履物と履物用の芯部材とを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る履物の概念図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る履物の平面図、底面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る履物の側面断面図その1である。
【図4】本発明の第一の実施形態に係る履物の側面断面図その2である。
【図5】本発明の実施形態に係る芯部材の正面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る芯部材の背面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る芯部材の側面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る芯部材の平面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る芯部材の底面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る芯部材のA−A線断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る芯部材のB−B線断面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る芯部材の部分拡大図である。
【図13】本発明の第二の実施形態に係る履物の側面断面図である。
【図14】本発明の第三の実施形態に係る履物の側面断面図である。
【図15】本発明の実施形態に係る履物の作用図である。
【図16】従来構造のスリッパの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る履物の概念図である。図2は、本発明の実施形態に係る履物の平面図、底面図である。図3は、本発明の実施形態に係る履物の側面断面図その1である。図4は、本発明の実施形態に係る履物の側面断面図その2である。図5は、本発明の実施形態に係る芯部材の正面図である。図6は、本発明の実施形態に係る芯部材の背面図である。図7は、本発明の実施形態に係る芯部材の側面図である。図8は、本発明の実施形態に係る芯部材の平面図である。図9は、本発明の実施形態に係る芯部材の底面図である。図10は、本発明の実施形態に係る芯部材のA−A線断面図である。図11は、本発明の実施形態に係る芯部材のB−B線断面図である。図12は、本発明の実施形態に係る芯部材の部分拡大図である。
図2におうて、理解の容易のために、一部の部材を切り欠いている。
【0030】
本発明の第一の実施形態にかかる履物は、履物底20と構成される。
例えば、本発明の実施形態にかかる履物は、履物上10と履物底20とで構成される。
【0031】
履物上10は、足に係止する部材である。
履物上10は、甲部材11で構成される。
甲部材11は、足の甲に係止する部材である。
例えば、甲部材11は、足の爪先を覆う部材である。
甲部材11は、後述する履物底20に繋がる。
【0032】
履物底20は、足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する部材である。
履物底20は、芯部材22で構成される。
履物底20は、上部部材21と芯部材22と底部部材23とで構成されてもよい。
例えば、履物底20は、上部部材21と芯部材22と底部部材23と縁部材24とで構成される。
【0033】
上部部材21は、足の裏に接する上面を形成する部材である。
【0034】
芯部材22は、弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって、自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ部材である。
例えば、芯部材22は、弾性素材ででき足の指先から踵までの長さに略一致する長さを持ち湾曲した輪郭の先端部と湾曲した輪郭の後端部とを持つ板状部材であって、自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ部材である。
芯部材22は、上部部材21と底部部材23とに挟まれてもよい。
例えば、芯部材22の前部が、曲率半径R1で湾曲する。
例えば、芯部材22の後部が、曲率半径R2で湾曲する。
【0035】
芯部材22は、本体部22aで構成されてもよい。
本体部22aは、弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材である。
例えば、本体部22aは、弾性素材ででき足の指先から踵までの長さに略一致する長さを持ち湾曲した輪郭の先端部と湾曲した輪郭の後端部とを持つ板状部材である。
本体部22aは、足の土踏まずより前方の部分に対応する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応する後部と足の土踏まずに対応する中間部とをもつ。
前部と中間部と後部とが滑らかに連なる。
【0036】
芯部材22は、足を乗せ体重をあずけると芯部材22の前部と後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる様にしてもよい。
例えば、横から見て、中間部の曲げ剛性が前部の曲げ剛性より小さく、中間部の曲げ剛性が後部の曲げ剛性より小さい様にする。
例えば、芯部材22は、以下の構造を持つ。
本体部22aの前部には、左右方向に沿って上下方向に波形にうねる様になった断面形状が前後方向に延びる。
本体部22aの前部には、上面に前後方向に沿って延びる複数の溝部と下面に前後方向に沿って延びる複数の盛り上り部とで出来る前部波形22bが形成される。
本体部22aの後部には、左右方向に沿って上下方向に波形にうねる様になった断面形状が前後方向に延びる。
本体部22aの後部には、上面に前後方向に沿って延びる複数の溝部と下面に前後方向に沿って延びる複数の盛り上り部とで出来る後部波形22cが形成される。
本体部22aの中間部には、左右方向に沿って平坦になった断面形状が前後方向に延びる。
【0037】
芯部材22は、本体部22aと複数の小突起部22dとで構成されてもよい。
小突起部22dは、上面に設けられ突起した部分である。
例えば、左右1対の小突起部22dの複数の組が前後方向に並ぶ。
小突起部22dは、隆起部22eと爪部22fとで構成されてもよい。
隆起部22eは、板状部材の上面から上方へ向かって隆起する部分である。
爪部22fは、隆起部22eの頂部から板状部材の上面に沿って延びる。
前部に配される小突起部22dの爪部22fは、隆起部22eの頂部から板状部材の上面に沿って前方向に延びる。
後部に配される小突起部22dの爪部22fは、隆起部22eの頂部から板状部材の上面に沿って後方向に延びる。
この様にすると、複数の小突起部22dが上部部材21の下面に絡むので、上部部材21と芯部材22とが一体となって屈曲する。
【0038】
底部部材23は、歩行面Sに接する底面を形成する部材である。
【0039】
縁部材24は、重なった上部部材21の縁と底部部際23の縁とを一体として覆う部材である。
【0040】
次に、本発明の第二の実施形態にかかる履物を、図を基に、説明する。
図13は、本発明の第二の実施形態に係る履物の側面断面図である。
例えば、本発明の実施形態にかかる履物は、甲部材11と履物底20と踵部材30で構成される。
【0041】
履物底20の構造は、第一の実施形態にかかるものと同じなので、説明を省略する。
履物上10は、甲部材11と踵部材12とで構成される。
踵部材12は、足の踵に係止する部材である。
踵部材12は、両端部を各々に甲部材11に連結した帯状の部材である。
【0042】
次に、本発明の第三の実施形態にかかる履物を、図を基に、説明する。
図14は、本発明の第三の実施形態に係る履物の側面断面図である。
履物が、靴下30である。
靴下30の裏面が足の裏に接する上面を形成する。
靴下30の表面が、歩行面に接する底面を形成する。
【0043】
また、本発明の実施形態に係る履物と履物用の芯部材は、その構成により、以下の効果を有する。
甲部材が足Lの甲に係止し、足Lの裏と歩行面Sとに両面を接する履物底20の芯部材22が、弾性素材ででき上からみて足Lの裏の輪郭に対応する輪郭をもつ板状部材であって、自由状態において前部と後部とが湾曲するので、履物を履いて歩行するときに、歩行に従って芯部材22が屈曲して足の裏を刺激し、足を十分に上げて歩行するようになり、つまずきを抑制できる。
甲部材11と踵部材12とが足の甲に係止し、足の裏と歩行面とに両面を接する履物底20の芯部材22が、弾性素材ででき上からみて足の裏の輪郭に対応する輪郭をもつ板状部材であって、自由状態において前部と後部とが湾曲するので、履物を履いて歩行するときに、足を十分に上げて歩行するようになり、つまずきを抑制できる。
また、芯部材22が足の裏に接する上面を形成する上部部材21と歩行面に接する底面を形成する底部部材23とに挟まれる様にするので、上部部材21と芯部材22と底部部材23とが一体となって湾曲する。
また、履物底20に足を乗せ体重をあずけると芯部材22の前部と後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる様にするで、足をおろしたときを土踏まずの感触で知ることを出来る。
また、芯部材22の上面に設けられ突起した複数の小突起部22dが上部部材21の下面に引っ掛かる様にしたので、足を上げ下ろしするのに伴って、芯部材22と上部部材21とが一体として屈曲する。
また、小突起部22dの爪部22fが隆起した隆起部22eの頂部から横に延びる様にしたので、爪部22fが上部部材21の下面に引っ掛かり上部部材21が芯部材22の屈曲によく追随して屈曲する。
また、芯部材22を上部部材21と底部部材23との間に挟んで、上部部材21と底部部材23との縁を縫うと、爪先部と踵部を上に湾曲した形状をした履物を容易につくることをできる。
【0044】
その結果、図15(b)に示すごとく、歩行時に爪先T2を上げることを意識しながら歩行するので、室内外を問わず躓きに依る転倒を防止することが出来、この転倒に依る骨折を防止し、延ては此が原因の寝たきり病人の発生を著しく減少させると同時に、転倒の恐怖の除去に依る使用者の安心感から、自立の意欲を向上させる付帯効果も合わせ持っている。
また、通常の履物の履物底に本願の芯部材を挿入すれば、通常の履物でもほぼ同程度の歩行効果を得られるので、特に室内でのスリッパ等に使用すれば極めて安価な此の種履物組合せ体を提供出来る利益がある。
躓き転倒も防止され、使用者も歩行に自信を持ち、筋力も増大して自立の道を着実に歩む事が出来るので、その社会的効果は多大と見做す事が出来る。
以下に好個の実施例を参照して本考案を説明する。
この様な構造並びに作用、効果を持つ履物は、製造上さして困難な技術でもなく、極く普通の材料で製造出来るので、年々増加し続ける高齢化社会の転倒骨折患者の救済の為に、極めて有意義な商品とみなす事が出来、かかる履物を利用する事に依って、ある程度の寝たきり患者、要介護患者を減少させ、家庭、自治体並びに国家の福祉、介護予算を減少させ得るので、その利用可能性は大なるものと推測される。
【0045】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
いわゆるスリッパ状の履物に本願発明を適用する例で説明したがこれに限定されない。例えば、靴状の履物に本願発明を適用してもよい。
また、芯部材22を上部部材21と底部部材23との間に挟んで、上部部材21と底部部材23との縁を縫う構造をすることを前提に説明したが、これに限定されない。例えば、芯部材22と上部部材21とを接着してもよいし、芯部材22と底部部材23とwp接着してもよい。
【符号の説明】
【0046】
L 足
T1、T2 爪先
S 歩行面
R1 曲率半径
R2 曲率半径
10 履物上
11 甲部材
12 踵部材
20 履物底
21 上部部材
22 芯部材
22a 芯部材本体
22b 前部波形
22c 後部波形
22d 小突起部
22e 隆起部
22f 爪部
23 底部部材
24 縁部材
30 靴下
【先行技術文献】
【特許文献】
【0047】
【特許文献1】特開平09−173103号
【特許文献2】特開2010−63845号
【特許文献3】実用新案登録第3103389号
【特許文献4】意匠登録第1280553号
【特許文献5】実用新案登録第3095386号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物であって、
足の上部に係止する履物上と、
足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する履物底と、
を備え、
前記履物底が弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ芯部材を有する、
ことを特徴とする履物。
【請求項2】
前記履物底が足の裏に接する上面を形成する上部部材と歩行面に接する底面を形成する底部部材と前記芯部材とを有し、
前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項3】
前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる、
ことを特徴とする請求項2に記載の履物。
【請求項4】
前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、
前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる、
ことを特徴とする請求項3に記載の履物。
【請求項5】
前記小突起部が前記板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ、
ことを特徴とする請求項4に記載の履物。
【請求項6】
前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる、
ことを特徴とする請求項1に記載の履物。
【請求項7】
前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、
前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる、
ことを特徴とする請求項2に記載の履物。
【請求項8】
前記小突起部が前記板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ、
ことを特徴とする請求項7に記載の履物。
【請求項9】
足の上部に係止する履物上と足の裏に接する上面と歩行面に接する底面とを形成する履物底とを有する履物用の芯部材であって、
弾性素材ででき上から見て足の裏の輪郭に対応する輪郭を持つ板状部材であって自由状態において側面から見て足の土踏まずより前方の部分に対応し先端部を上方へ向けて湾曲する前部と足の土踏まずより後方の部分に対応し後端部を上方へ向けて湾曲する後部とを持つ、
ことを特徴とする履物用の芯部材。
【請求項10】
前記履物底が足の裏に接する上面を形成する上部部材と歩行面に接する底面を形成する底部部材とを有し、
前記芯部材が前記上部部材と前記底部部材とに挟まれる、
ことを特徴とする請求項9に記載の履物用の芯部材。
【請求項11】
前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる、
ことを特徴とする請求項10に記載の履物。
【請求項12】
前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、
前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる、
ことを特徴とする請求項11に記載の履物用の芯部材。
【請求項13】
前記小突起部が前記板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ、
ことを特徴とする請求項12に記載の履物用の芯部材。
【請求項14】
前記履物底に足を乗せ体重をあずけると前記芯部材の前記前部と前記後部とが下がって、足の土踏まずに対応する中間部がせり上がる、
ことを特徴とする請求項9に記載の履物。
【請求項15】
前記芯部材が上面に設けられ突起した複数の小突起部を持ち、
前記小突起部が前記上部部材の下面に引っ掛かる、
ことを特徴とする請求項10に記載の履物用の芯部材。
【請求項16】
前記小突起部が前記板状部材の上面から上方へ向かって隆起する隆起部と前記隆起部の頂部から前記板状部材の上面に沿って延びる爪部とを持つ、
ことを特徴とする請求項15に記載の履物用の芯部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−337(P2012−337A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139608(P2010−139608)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(599100637)
【Fターム(参考)】