説明

履物用シャフト配置及びそれを含む履物

本発明の履物(98)用シャフト配置(100)は、水蒸気透過性の取付けソール(36)とシャフト底部機能層積層体(38)を有するシャフト底部(34)と、表地プライ(24)とライナープライ(26)を有するシャフト領域(23)から構成される。ソール側シャフト端部領域は、シャフト底部(34)に連結され、シャフト領域(23)の表地プライ(24)とライナープライ(26)の間の領域からシャフト底部機能層積層体(38)の下の領域に湿気が運ばれるように、シャフト領域(23)の表地プライ(24)とライナープライ(26)の間の領域からシャフト底部機能層積層体(38)の下の領域に延びる少なくとも1個の吸引部材(102)が備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の発明は、履物用シャフト配置及びかかるシャフト配置からなる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
防水性と水蒸気透過性のシャフトを有し、それによりシャフト領域における防水性にもかかわらず発汗による湿気を外に出すことができる履物が従来技術で知られている。ソール領域においても発汗による湿気を外に逃せるように、履物のソール領域には、防水性と水蒸気透過性を持つソール機能層が設けられてきた。そのひとつの例として、特許文献に、シャフト底部だけでなく残りのシャフト領域も水蒸気透過性をもちながら防水性を有する機能層をもち、かつシャフト底部はシャフト領域から分離されているものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第029296(A1)号;10 2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、かかる履物は、シャフト領域の下端部のこの場所で表地に染みが現れる、特に寒い季節には、足に冷たい不快感が生じる、といった問題が生じる可能性がある。
【0005】
従って、本発明の目的は、シャフト底部にいたるシャフト領域端部にかかる冷たい不快感を生じず、好適にはこの部分に表地に染みを作らない履物用シャフト配置及びこれを含む履物を提供することである。更に、本発明の目的はこの部分での通気性が確保されることを確実にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、独立クレームに記載の材料によって達成される。効果的な応用例は従属クレームに明らかにされる。
【0007】
本発明の履物用シャフト配置は、水蒸気透過性の取付けソールとシャフト底部機能層積層体を有するシャフト底部と、表地プライとライナープライを有するシャフト領域から構成される。ソール側シャフト端部領域は、シャフト底部の周辺端部に連結される。この目的のために、以下に説明する幾つかの設計応用がある。
【0008】
取付けソールに複数の穴を設ける、または水蒸気透過性を持つ材料で構成する。
【0009】
そこで、本発明は、表地プライとシャフト領域のライナープライの間の領域からシャフト底部機能層積層体の下の領域まで湿気が運ばれるようにするために、表地プライとシャフト領域のライナープライの間の領域からシャフト底部機能層積層体の下の領域まで延びる吸引部材とを備える。そこから、湿気は更に外側に運ばれる。更に具体的には、ソールユニットに連結されたシャフト配置の場合は、ソールユニットの複数の貫通孔を通じてまたはソールユニットの多孔性によって、湿気は更に外側に運ばれる。
【0010】
本発明の基本をなす考察によれば、考案者等は、通常防水性を持たせてシャフト底部の周辺端部に連結されるシャフト端部領域において、特にしばしば湿気が集まり、そこで結露し液体の水を形成することを見出した。結果として、その部分でライナープライに対向する足回りが冷たさを感じ、ライナープライがシャフト機能層として構成された場合、シャフト機能層の内側と外側の間に十分な水蒸気勾配が維持できなくなり、この領域の通気性が際立って低下するか失われてしまい、靴の外側に水蒸気透過性の表地プライに湿気の染みが現れて靴の魅力と美観を損ね、ついにはかびを形成し接着部位を痛め、最悪の場合には、靴が台無しになってしまう場合もある。
【0011】
それゆえ、本発明の基本的な考えは、通常湿気が集まるシャフト底部機能層積層体の下の領域に、シャフト領域の端部に延びる吸収性材料の吸引部材を付け加えることである。この種の吸引部材は、シャフト底部と境界を接するシャフト領域の端部の、表地プライとライナープライの間の空間から湿気を導き、さらにそこからシャフト底部機能層積層体の下の領域に導き出し、更に具体的には、ソールユニットの複数の貫通孔すなわち多孔性を通じて湿気が靴から下に出て行く。これにより、この部位での冷たい不快感を防止し、通気性が維持され、接着部位の染みやダメージを確実に防ぐことができる。この吸引部材は、湿気を逃がすウィック機能を持つウィッキングテープとよばれる。このような吸引部材は、履物のシャフト配置が、以下に説明する多重性を持つ場合に備えられる。
【0012】
全ての実施形態において、ライナープライは、例えばその上側に縫い付けることによって表地に適切に取り付けることができる。
【0013】
本発明の第1の実施形態において、水蒸気透過性/通気性と同時に防水性が確保されるように、ライナープライはシャフト機能層積層体として構成される。
【0014】
本発明の他の実施形態において、少なくとも1個の吸引部材はバンド状の形状をもつ。これは製造技術の点で簡単にでき、きわめて確実に水分を取り除くことができる。
【0015】
本発明の更に他の実施形態において、少なくとも1個の吸引部材が、シャフト領域のソール側周辺端部から、特に靴を横断する反対側の方向に、反対側のソール側周辺端部に延びる。このように、吸引部材がその両端を表地プライとライナープライの間の反対側の空間に互いに延び、湿気を二つの対向する空間からシャフト底部機能層積層体の底面に運ぶ。これは、製造技術の点から簡単に実現できるきわめて有利な実施形態である。
【0016】
本発明の更に他の実施形態において、少なくとも1個の吸引部材がシャフト領域のソール側周辺端部の少なくとも25%の部分、更に具体的にはシャフト領域のソール側周辺端部の前足部分を覆う程度の幅で延在する。これにより、水分を最大限取り除くことができる。
【0017】
本発明の更に他の実施形態において、靴の全周領域から水分を連続的に取り除くことが確実とされるべきところは、複数の吸引部材更に具体的にはテープ状の吸引部材が、シャフト領域のソール側周辺端部に沿って配置される。
【0018】
他の実施形態において、正確には1個の吸引部材が、シャフト領域のソール側周辺端部に配置される。この場合、湿気が最も集まるところ、例えばシャフト配置の前足の領域であるシャフト配置の周囲にこの吸引部材を備えればよい。
【0019】
吸引部材は、原則として湿気を吸収し運び去る材料で作られる。綿は都合の良い材料であることが分かる。
【0020】
本発明に係る吸引部材は、シャフト配置に関しては、さまざまな方法で固定することができる。シャフト端部領域とシャフト底部の間の移行部を通過させるために、かかる吸引部材は通常その間に設けられた連結部を通る必要がある。実際には、かかる吸引部材はしばしば周囲方向に表地プライに固化した接着剤の点の上に広げて置かれる。また、吸引部材は取付けソールおよび/または表地プライに1箇所以上で縫い付けることもできる。
【0021】
吸引部材を耐久的に固定するために、少なくとも局所的に接着剤が施されてもよい。更に具体的には、吸引部材は、シャフト底部機能層積層体の底面に接着して固定してもよい。
【0022】
表地プライとシャフト領域のライナープライの間の空間から湿気を十分運ぶために、吸引部材はその空間側の部分がこの空間に約1〜3cm、更に具体的には、約2cm延びることが好適である。
【0023】
この空間に吸い上げられ、シャフト底部機能層積層体の下の領域に運ばれた湿気が、更に周囲に届けられるようにするためには、吸引部材のシャフト底部機能層積層体側の部分が、シャフト底部機能層積層体の下の領域に約1〜4cm、更に具体的には約3cm延びることが都合良いことがわかる。
【0024】
このように、本発明の好適な実施形態においては、吸引部材は、全長3〜7cmの長さ、好適には約5cmとなる。
【0025】
本発明のシャフト配置の設計例として、しばしばインソールとして知られる水蒸気透過性の取付けソールが、シャフト底部機能層積層体の上方に配置される。この場合吸引部材は、シャフト底部機能層積層体側の部分がシャフト底部の外側の上に延びる。かかる構造により湿気が特に効果的に取り除くことができ、特に湿気をシャフト底部機能層積層体側の部分から周囲に直接配ることができる。
【0026】
この構造においては、水蒸気透過性の取付けソールは、例えば、シュトローベル縫いまたはジグザグ縫いにより、シャフト機能層積層体のソール側端部領域に縫い付けてもよい。また、追加的にシャフト領域の表地プライのソール側端部領域をシャフト底部機能層積層体の底面に固定してもよい。
【0027】
しばしばブーティと呼ばれるシャフト配置の他の構造において、シャフト機能層積層体のソール側端部領域は、例えばジグザグ縫いによって、シャフト底部の周辺端部機能層積層体に縫い付けられ、防水性のシーリングテープで互いにシールして防水性を持たせる。この種の構造により、水蒸気透過性の取付けソールが、シャフト底部機能層積層体の下に配置される。
【0028】
この形の構造により、第1の代替として、表地プライのソール側端部領域を水蒸気透過性の取付けソールに縫い付ける。この場合、吸引部材は、表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間からシャフト底部機能層積層体と水蒸気透過性の取付けソール間の空間に延びる。表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間からシャフト底部機能層積層体の下の領域へ運ばれた湿気は、外部へ運び出すために、更に水蒸気透過性の取付けソールを通過する必要がある。この構造も、湿気を十分な割合で取り除くことができることが確かめられている。
【0029】
これに代わる構造において、表地プライのソール側端部領域は取付けソールの底面に固定され、この場合、吸引部材は、シャフト底部の外側まで延びる。この場合、湿気を特に良好に取り除くことができる。
【0030】
原則として、本発明のシャフト配置は、特定の設計例に限定されるものではなく、むしろ設計の多様性に実用性を見出すことができる。シャフト底部の機能積層体及びシャフト機能層の積層体の構造は、それほど重要ではない。
【0031】
本発明は、また少なくとも1個の上記タイプのシャフト配置であって、その底面に固定されたソールユニットをもつ履物を提供する。ソールユニットは、いかなる方法においても、好適にはソールユニットをシャフト配置に接着するか差し挟むことにより、シャフト配置に連結することができる。湿気を高効率に取り除くことができるためには、ソールユニットは、少なくとも1個の貫通穴の開口部を設けるか多孔質とし、下向きまたは横方向に外へ導くことが必要である。
【0032】
定義及びテストの方法
履物:
足を挿入する開口部と、少なくとも1個のソールまたはソールユニットを含む閉じた上部(シャフト配置)を持つ足を覆うもの。
【0033】
シャフト表地:
シャフトの外側の表面、従ってシャフト配置を形成する材料であって、例えば皮革、布地、プラスティックその他既知の材料、またはそれらの組み合わせから成り、あるいはそれらによって構成され、通常水蒸気透過性を持つ材料から成る。シャフト表地のソール側の下端部は、ソールまたはソールユニットの上端部に接している領域、あるいはシャフトとソールまたはソールユニットの間の境界面の上方の領域を形成する。
【0034】
取付けソール(インソール):
取付けソールは、シャフト底部の一部をなす。ソール側のシャフト端部の下部領域は取付けソールに固定される。
【0035】
ソール:
靴は少なくとも1個のアウトソールを持つが、互いに重ねてソールユニットを形成する複数の種類のソールプライをもつ場合もある。
【0036】
アウトソール:
アウトソールは、床/地面と接する、あるいは床/地面と主に接するソール領域の一部である。アウトソールは、床と接する少なくとも1個の接地面を持つ。
【0037】
中間ソール:
アウトソールがシャフト配置に直接取付けられない場合は、中間ソールをアウトソールとシャフト配置の間に挿入することができる。中間ソールは、例えばクッション、緩衝、充填材としての役目を果たす。
【0038】
ブーティ:
ブーティは、シャフト配置のソックス型のインナーライナーである。ブーティは履物の内部を基本的に完全に覆うシャフト配置の袋型のライナーを形成する。
【0039】
機能層:
防水性および/または水蒸気透過性を有する層、例えば膜または適切に処理または仕上げを施した材料の形態、例えばプラズマ処理が施された布地。シャフト底部機能層の形の機能層は、シャフト配置のシャフト底部の少なくとも1層を形成することができるが、少なくともシャフトを部分的に裏張りするシャフト機能層として追加的に備えてもよい。シャフト機能層だけでなくシャフト底部機能層も通常2、3または4層の膜の多層積層体の一部であってもよい。シャフト機能層及びシャフト底部機能層はそれぞれ機能層ブーティの一部であってもよい。機能層ブーティの代わりにシャフト機能層及びセパレートのシャフト底部機能層が用いられる場合、例えばシャフト配置のソール側の下部領域において、互いに防水性を持たせて密閉される。シャフト底部機能層及びシャフト機能層は、同じまたは異なる材料で形成することができる。
【0040】
防水性の水蒸気透過性機能層に適した材料は、特に、米国特許第4725418号明細書、及び米国特許第4493870号明細書に記載されているポリエーテルエステルを含むポリウレタン、ポリプロピレン及びポリエステル及びそれらの積層体である。一実施例において機能層は、例えば米国特許第3953566号明細書及び米国特許第4187390号明細書広報に記載されている微孔膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)で作られる。一実施例において、機能層は親水性含浸剤を加えた膨張ポリテトラフルオロエチレンおよび/または親水性層で構成される(例えば、米国特許第4194041号明細書広報を参照)。微孔機能層は、平均孔サイズが約0.2μm〜0.3μmの機能層である。
【0041】
積層体:
積層体は、通常、互いに接着させて耐久性を持たせて固着した複数の層からなる集合体である。機能層積層体の場合は、防水性の水蒸気透過性機能層は、少なくとも1個の布地プライが設けられる。少なくとも1個の布地プライは、その処理中主に機能層を保護する役割を果たす。これは2層の積層体の場合である。3プライの積層体は、2つの布地プライの間に埋め込まれた防水性の水蒸気透過性機能層を含む。機能層と少なくとも1個の布地プライの間の固着は例えば、接着剤の連続的な水蒸気透過性層、水蒸気非透過性接着剤の不連続層により行われる。一実施例において、機能層と布地プライ間、または両方の布地プライに、接着剤を点状のパターンで塗布してもよい。点状または不連続に接着剤を塗る理由は、それ自体水蒸気非透過性の接着剤の均一層によって、機能層の水蒸気透過性を阻害される恐れがあるからである。
【0042】
バリア層:
バリア層は、物質特に例えば小石のような粒または異物の形で、保護すべき材料の層に、更に具体的には構造的に繊細な機能層あるいは機能層の膜に侵入するのを防ぐバリアとしての役割を果たす。
【0043】
参考文献:欧州規格EN344―1、特に4.3.3章(侵入抵抗)
【0044】
防水性:
機能層/機能層積層体/膜に適切な縫い目が施されている場合、機能層/機能層積層体/膜は、少なくとも1x104Paの注入水圧を保証する場合、防水性を持つとみなされる。好適には、機能層の材料は、1x105Pa以上の注入水圧を保証するものとする。注入水圧は以下のテスト方法で測定する。100cm2の機能層の試料に圧力を徐々に上げながら20±2℃の蒸留水を加える。水圧上昇は毎分60±3cm水圧ヘッドである。注入水圧は、水が試料の反対側に初めて現れたときの圧力とする。詳細な手順は、ISO規格0811;1981年版に義務付けられている。
【0045】
靴の防水性は、例えば米国特許第5329807号明細書に記載の遠心分離装置の類を用いてテストしてもよい。
【0046】
水蒸気透過性:
水蒸気透過比率が150m2*Pa*W−1以下の場合、機能層/機能層積層体は水蒸気透過性を有するとみなされる。水蒸気透過性はホーエンシュタイン・スキン・モデルに準拠して行われる。このテスト方法はDIN EN 31092(02/94)及びISO 11092(1993年)に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の例示として示す実施例を、添付の図面を参照して更に具体的に説明する。
【図1】図1は、例示として示す本発明の第1の実施例の第1の靴の前足の領域の断面図である。
【図2】図2は、更に本発明の例示として示す実施例の第2の靴の前足の領域の断面図である。
【図3】図3は、図1のシャフト配置のシャフト底部のシャフト底部機能層積層体の部分の断面図である。
【図4】図4は、更に本発明の例示として示す実施例の第3の靴の前足の領域の断面図である。
【図5】図5は、更に本発明の例示として示す実施例の第4の靴の前足の領域の断面図である。
【図6】図6は、更に本発明の例示として示す実施例の第5の靴の前足の領域の断面図である。
【図7】図7は、更に本発明の例示として示す実施例の第6の靴の前足の領域の断面図である。
【図8】図8は、図4に例示として示す第3の靴を下から見たシャフト配置の概略図である。
【図9】図9は、図4に例示として示す第3の靴を下から見たシャフト配置の概略図である。
【図10】図10は、図4に例示として示す第3の靴を下から見たシャフト配置の概略図である。
【図11】図11は、図4に例示として示す第3の靴を下から見たシャフト配置の概略図である。
【図12】図12は、図4に例示として示す吸引部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、例示として説明する実施例の靴は全て、ソールユニットとそれに固定されるシャフト配置を有する。以下に説明する例示する実施例において、ソールユニットはシャフト配置に接着される。同様に、ソールユニットをシャフト配置に差し挟むことも可能である。
【0049】
以下の説明は、概略として示すものであり、寸法と大きさは必ずしも現実のものと同じではない。
【0050】
図1は、例示として示す本発明の第1の実施例の第1の靴2の前足の領域の断面図である。
【0051】
第1の靴2は、ソールユニット4とシャフト配置22を含み、両者は互いに接合されるため動かない。
【0052】
シャフト配置22は、シャフト底部34と、その周辺端部で接合されるシャフト領域23からなり、図1に示すシャフト部分の左側と右側は互いに鏡面対称となっている。簡潔に示すために、シャフト領域23の上部は、本図及び以下の図には示されない。
【0053】
シャフト領域23は、水蒸気透過性の表地プライ24と、外側から内側へ、ネット状バンドすなわちメッシュ28、シャフト機能層すなわちシャフト膜30及びシャフトライナー32からなるシャフト機能層積層体26を含む。
【0054】
表地プライ24のソール側の低い端部領域は、基本的に垂直な部分に対して内側にカーブし、多層のシャフト底部34に耐久性のある接着剤44で固定される。
【0055】
多層シャフト底部34は、上から下へ、取付けソールすなわちインソール36、その下に配置されシャフト底部機能層40と最下部支持布地プライ42を有するシャフト底部機能層積層体38からなる。さらに、取付けソール36は、シャフト機能層積層体38のソール側端部領域に縫い目46、例えば、シュトローベル縫いまたはジグザグ縫いによってその周辺端部に結合される。
【0056】
このように、シャフト底部機能層積層体38は、2層の積層体として構成される。図1から、容易に分かるように、取付けソール36が、例えば接着により防水性を有しつつシャフト機能層積層体26のソール側端部領域及び表地プライ24に連結できるように、シャフト底部機能層積層体38は、取付けソール36よりも大きな横方向の幅を有する。
【0057】
表地プライ24のソール側の低い端部領域は、耐久性のある接着剤44により、その上面をシャフト底部機能層積層体38の周辺端部の底面に永久接着されている。
【0058】
シャフト機能層積層体26のソール側の低端部領域は、表地プライ24のソール側の低端部領域から立ち上げられている。このことにより、シャフト領域23の端部のシャフト機能層積層体26と表地プライ24の間に空間が生れ、シャフト領域23の端部方向へ表地プライ24を広げる。
【0059】
シャフト底部機能層積層体38は、多少この空間の中に延びている。シャフト底部機能層積層体38の端部領域に占領されていないこの空間部分は、通常は空気または水蒸気、またはそれらの混合物で満たされている。
【0060】
更に、シャフト機能層積層体26のソール側端部領域の底面は、シーリング接着剤48により、シャフト底部機能層積層体38の周辺端部の上側に、縫い目46を囲んで、あるいは縫い目(46)を除いて連結され、全体に防水性をもたらし、防水性だけでなく水蒸気透過性機能層26、38も用いる場合は、水蒸気透過性シャフト配置全体に防水性をもたらす。
【0061】
このシーリング接着剤48は、ネット状バンド28を浸透して互いに相対的に離れた2つの機能層をシールし、シャフト底部機能層積層体38をシャフト機能層積層体26に固定しシールする役割を果たすので、それ以外の接着剤を必要としない。
【0062】
ソールユニット4は、表地プライ24のソール側の低い端部領域と組み立てられ、少なくともソールユニット4の周辺端部領域の上側に塗布されたソール接着剤により固定される。例示する本実施例においては、ソールユニット4の周辺端部領域の上側に第1のソール接着剤層20が塗布され、第2のソール接着剤層50が表地プライ24のソール側の低い端部領域に塗布される。
【0063】
ソールユニット4は、ソールユニット4を取り囲む外側の領域を形成し、外側方向に幾分上方に広がり、表地プライ24のカーブした領域を収容するための領域を形成し、上方に向かって中央切り欠きが配置されたソールプライ6と、支持バープライ8と、バリア層16と、バリア層16の上方にコンフォートバーがついたコンフォートプライ10から成る。
【0064】
図1から容易に分かるように、接着剤層20は、ソールプライ6の上側及びコンフォートプライ10のコンフォートバーの上側を覆って延在する。これは、シャフト底部機能層積層体38の右側端部下方の、ソールプライ6の右側部分の領域、隣接するコンフォートバープライ10のコンフォートバーの部分だけであり、コンフォートバープライ10は、接着剤層20を使わずに形成されてもよい。
【0065】
図1には、3個の支持バープライ8の支持バーと3個のコンフォートプライ10のコンフォートバーが示されているが、コンフォートプライ10はその下に配置される支持バーより幾分広く構成されている。更に、コンフォートプライ10は、ソールプライ6の内側から始まる狭いコンフォートバー部分を含む。
【0066】
ソールプライ6と支持バープライ8の底面は、ランニング面すなわち接地面14を形成する。支持バー8をもつソールプライ6に水蒸気透過性および/または空気透過性を持たせるために、支持バープライ8の支持バーの間に、切り欠きすなわちソールプライ貫通穴の開口部12が形成される。
【0067】
ソールプライ6は、図に示すように、ワンピースまたは、例えば異なる色でツーピース以上であってもよい。
【0068】
支持バー8をもつソールプライ6及びソールユニット4に高い水蒸気透過性が得られるように、ソールプライの貫通穴の開口部12はできるだけ大きく作られる。
【0069】
ソールユニット4は、例えば、ソールプライの貫通穴の開口部12に噛み込んだ小石などの異物によってシャフト底部機能層積層体38がダメージを受けないように構造的防護としてバリア層16が渡してある。このバリア層16は、多少ソールプライ6の中にまで延び、これによってソールプライ6に固定され、耐久的に連結される。一実施例におけるこのバリア層16は熱で固めた繊維状の材料で構成し、ソールユニット4に安定材料として追加的に構成することもできる。
【0070】
支持バープライ8とコンフォートプライ10は、ソールユニット4の軽量化、足裏のクッション性を高める点であるいはその両方の点で、異なる斜線で示すように、ソールプライ6とは異なる材料で作られてもよい。あるいは、支持バープライ8、コンフォートプライ10及びソールプライ6は同じ材料で作られてもよい。
【0071】
更に具体的には、支持バープライ8とコンフォートプライ10の材料は、ソールプライ6の材料よりも軟らかいものを選択してもよい。良好な足裏のクッション性が得られれば、エチレン酢酸ビニール(EVA)はひとつの支持バープライ8および/またはコンフォートプライ10の好適な材料の例である。ソールプライの材料に関して軽量化が得られる場合は、相応に小さい比重の発泡プラスチックが好適である。ソールプライの材料の点で足裏のクッションと軽量化の両方が改善されるならば、例えば発泡エチレン酢酸ビニール(EVA)が好適である。利用可能な材料は数多くある。
【0072】
バリア層16の下には、裏側から見えてソールユニットに魅力的な見栄えを与える装飾プライ18が随意に設けられる。
【0073】
図2は、本発明の第2の例示する実施例の第2の靴52の前足の領域の断面図を示す。
【0074】
第1の靴2同様に、第2の靴52もソールユニット54とシャフト配置70からなり、互いに連結するために動かない状態にある。シャフト配置70はブーティの原則に従って作られ、シャフト底部80と前者の周辺端部で連結されたシャフト領域71からなり、図2に示すシャフト部分の左側と右側は互いに鏡面対称である。
【0075】
シャフト領域71は、水蒸気透過性の表地プライ72と、内側シャフトライナー78、外側シャフト機能層膜76及び格子織り布地すなわちメッシュ75からなる3層のシャフト機能層積層体74を含む。
【0076】
シャフト領域71の表地プライ72は、シャフト機能層積層体74より、シャフト底部80の方向に幾分長めに延びている。シャフト機能層積層体74は、縫い目更に具体的にはジグザグ縫いによって、シャフト底部80のシャフト底部機能層積層体84に連結される。縫い目90は、縫い目シールテープ92を用いて外側に対して防水性をもたせてシールされる。
【0077】
シャフト底部機能層積層体84は、シャフト機能層積層体74と同様、内側支持テキスタイルプライ88と外側シャフト底部機能膜86による2層構造を有する。シャフト機能層積層体74とシャフト底部機能層積層体84の機能層76、86と布地プライ78、88は、布地プライ78、88と機能層76、86が連続するように互いに縫い合わされている。
【0078】
図2の図面では、シャフト機能層76の外側表面と表地プライ72の内側表面の間は分離しているように描かれているが、実際にはこれらの表面は互いに直接隣り合うことができる。
【0079】
シャフト領域71の表地プライ72に囲繞され、表地プライ72のソール側端部領域に縫いつけられているのは、取付けソールすなわちインソール82であって、シャフト底部機能層積層体84の下に配置され、これと比べると幾分小さな幅を有する。表地プライ72のソール側端部領域と取付けソール82の周辺端部領域の間の縫い目94は、具体的にはシュトローベル縫いまたはジグザグ縫いとして行うことができる。
【0080】
第1の靴2のソールユニット4と同様に、第2の靴52のソールユニット54は予め組み立てられ、表地プライ72のソール側の低い端部領域に固定され、更にソールユニット54の周辺端部領域の少なくとも上側にソールの接着剤で取付けソール82のソール側の低い縁領域に固定される。
【0081】
例示する本実施例において、ソールユニット54の第1のソール接着剤層68は、周辺端部領域の上側に塗布され、第2のソール接着剤層96は、表地プライ24のソール側の低い端部領域と、取付けソール82のソール側の低い縁領域に塗布される。
【0082】
ソールユニット54はソールユニット4と同様に、ソールユニット54の外側領域の覆いを形成し、下から上に、図2に例示する3個の支持バーを持つ支持バープライ58とバリア層64が配置された中央切り欠きを有するソールプライ56から構成される。バリア層64は、ソールユニット4を水平に横断し、その周辺端部領域がソールプライ56の上端部に届くところまで延びる。これにより、バリア層64はソールプライ56に確実に連結される。支持バーは、バリア層64からソールプライ56の底面まで延び、ソールプライ56の底面と支持バー58の底面がランニング面すなわち接地面62を形成する。第1の靴2のソールユニット4と異なり、ソールユニット54の場合は、コンフォートプライは備えていないが、必要に応じて加えることができる。
【0083】
バリア層64の下部に設けられる任意の装飾プライ66は、第1のソールユニット4の装飾プライ18に対応する。
【0084】
図1に示す第1の靴2のシャフト配置22の場合も、図2に示す第2の靴52のシャフト配置70の場合も、シャフト底部機能層積層体38、84は、おのおの2層構造を有し、単一のシャフト底部機能層40、86と支持テキスタイルプライ42、88のみからなりその他の層は持たない。図1及び図2に示す実施例に置いては、ネット状バンドすなわちしばしばメッシュと呼ばれるネット材料は省略されている。
【0085】
とりわけシャフト底部34、80において、足の裏で生じ、取り除かれるべき汗は最大となる。さらに、シャフト底部34、80の下部に、それぞれ切り欠き12、60の形の最も大きな穴があり、この場所で湿気を取り除く能力が最大となる。
【0086】
本発明の考案者等は、シャフト底部機能層積層体38、84の付加的な第3の層はこの部分では不要であり、シャフト機能層積層体38、84は、この領域では2層構造でよいことを見出た。その結果、第3の層のためのコストを削減することができ、第3の層をなくすことで、取り除く汗の量も増やすことができる。シャフト底部機能層積層体の第3の層をなくすことで、湿気による水蒸気バリアの問題が解決される。
【0087】
それにもかかわらず意外にも、余分なプライ例えばネット状バンドがなくても、防水性を持たせた連結が可能である。
【0088】
図1に示す第1の靴2のシャフト配置22において、この2層のシャフト底部機能層積層体38の切り欠き12の上方に直接配置され、特にシャフト配置22の内部から湿気を効果的に取り除くことができる。図2に示す第2の靴52のシャフト配置70において、2層のシャフト底部機能層積層体84が取付けソール82の下部に追加的に配置され、湿気はが更にそれを通過する必要がある。
【0089】
図3は、図1のシャフト配置22のシャフト底部34の2層のシャフト底部機能層積層体38の一部の断面を示す。
【0090】
最下部の支持布地プライ42と比較的薄いシャフト底部機能層40が事実上の膜を形成していることが容易に分かる。
【0091】
図4は、本発明の更に例示する実施例に係る第3の靴98の前足の領域の断面図を示す。
【0092】
第3の靴98は、図1の第1の靴2のソールユニット4と同じソールユニット4と、追加の部材として吸引部材102を備える第1の靴2のシャフト配置22に相当するシャフト配置100を含む。
【0093】
第1の靴2の部材と同じ第3の靴98の部材は、同じ参照記号を用いて示す。
【0094】
吸引テープ102は、シャフト機能層積層体26の外側のネット状バンド28と表地プライ24の内側の間の空間から、支持布地プライ42の下のシャフト配置100の外側の上に延びる。吸引部材102は例えば綿のような湿気吸収材料を含み、液体の水や水蒸気を引き寄せ外に運ぶことができる。
【0095】
図4に例示する吸引部材102は、シャフト機能層積層体26とシャフト領域23の動かない垂直な部分の最下部の表地プライ24の間の空間から支持布地プライ42の下のほぼ中央領域まで延びる。吸引部材106は、上記の領域に沿ってシャフト機能層積層体26と表地プライ24の内側の間の空間に置かれ、表地プライ24とおなじ曲線の経路で、耐久性のある接着部44を通過して、シャフト底部機能層積層体38の下部の中央領域まで延びる。吸引部材はその一部をシャフト底部機能積層体38の下にして、シャフト底部機能層積層体38の支持布地プライ42の上に直接置かれて接着され、空間側部分とともにシャフト機能層積層体26または表地プライ24に接着されてもよい。この目的で、吸引部材102は適当な接着剤をその上に施すこともできる。
【0096】
本発明の考案者等は、シャフト機能層積層体26と表地プライ24の間のシャフト領域23の端部における空間に湿気が常態的に集まり、結果として機能層積層体の防水性にもかかわらず、シャフト配置100内の足に冷たさの感じを生じ、内側から外部へ湿気を運ぶ機能を損ね、この領域でのシャフト配置100の通気性に不都合な影響をもたらし、表地24に湿気の染みを生じる可能性があることが分かった。
【0097】
吸引部材102はかかる湿気を吸い上げ、特に図4に係るシャフト配置100の外側、更にシャフト配置100の外側であってシャフト底部機能層積層体38の下の、吸引部材102の領域へ運び出す。そこから、湿気は更に下に向って切り欠き12を通って運び出される。
【0098】
このことにより、シャフト機能層積層体26の端部領域において足に冷たい感じを与えず、この領域においてシャフト配置100の通気性を確保し、表地24に湿気の染みが現れるのを防ぐことができる。
【0099】
その結果、シャフト底部機能層積層体38の右側端部の下に位置し、コンフォートバープライ10のコンフォートバーに接して、接着剤プライ20を使わずに構成しているソールプライ6の右側部分の領域により、吸引部材102から切り欠き12を通して下向き方向に湿気を更に取り除くことが可能となる。
【0100】
図5は、本発明の更に例示として示す実施例に係る第4の靴104の前足の領域の断面図を示す。
【0101】
この第4の靴104は、第3の靴98のシャフト配置100と、第2の靴70のソールユニット54からなり、同じ部材はそれぞれ同じ参照番号を付す。
【0102】
本構成において、吸引部材102の位置と機能は、第3の靴98の吸引部材102と同じである。
【0103】
第4の靴104の場合、湿気はシャフト機能層積層体26と表地プライ24の間の空間から、特にシャフト底部機能層積層体38の下の領域の外へ、更に切り欠き60を通って外側に運び出される。
【0104】
図4、5に示すシャフト配置100を作るために、表地プライ24のソール側端部領域がシャフト底部機能層38とともにシャフト機能層積層体26の内側に固定する前に、吸引部材102は、シャフト底部機能層積層体38に、図示しない接着剤により下から接着される。
【0105】
耐久性のある接着剤は、吸引部材102の吸引機能を妨げることはない。
【0106】
図6は、更に例示として示す本発明の実施例に係る第5の靴106の前足の領域の断面図を示す。
【0107】
第5の靴106は、第2の靴52のソールユニット54と、ブーティの原則に従って第2の靴52のシャフト配置70と同様に作られたシャフト配置108で構成される。
【0108】
シャフト配置108は、図2の第2の靴52のシャフト配置70に相当し、シャフト機能層積層体116は3層構造を有し、外側から内側に、ネット状バンド118、シャフト機能層または膜120及びシャフトライナー122を有する。
【0109】
シャフト底部機能層積層体128は、シャフト底部124の領域全体に3層構造を持ち、下から上に、ネット状バンド118、シャフト底部機能層または膜130及び支持布地プライ132を有する。ネット状バンドすなわちメッシュ118は、図では部分的に描かれている。
【0110】
シャフト底部機能層積層体128は、取付けソール126の上側に、接着剤134の水蒸気透過性の層により接着される。接着剤の層は、取付けソール126の左側端部領域から右側端部領域に延びる。接着剤134の層を、ネット材料118を通してシャフト底部機能層130まで浸透し、ここで通気性が確保できるように、接着剤134の層は水蒸気透過性接着剤の連続層として、または水蒸気が通過できる接着剤の点状の層として形成される。接着剤の層は、取付けソール126とシャフト底部機能層130間の摩擦を防ぐことを意図している。シャフト底部機能層積層体128及び足と接する布地プライ132は、取付けソール126に対してしっかりと固定される。
【0111】
吸引部材144は3層の機能層積層体と取付けソール126すなわち表地プライ114の間の空間に収容される。
【0112】
吸引部材144は、好適には綿材料で作られ、右側シャフト領域112の下端部から、取付けソール126の真中から更に幾分右に位置する領域であって、シャフト底部機能層積層体128と取付けソール126の間の空間の中まで延びる。
【0113】
この吸引部材144は、表地プライ114とシャフト機能層積層体116の間の空間に集まる湿気をシャフト底部機能層積層体128の下側の領域に運び、更にそこから、透過性の取付けソール126とバリア層64を通して靴の外側に運び、上記のような効果をもたらす。
【0114】
図6に示す吸引部材144の位置は、例示として示すものであり、その性質上、吸引部材144は、シャフト配置108上の吸引部材144に対して鏡面対称的に配置される。
【0115】
図7は、更に例示する本発明の実施例に係る第6の靴146の前足の領域の断面図を示す。
【0116】
第6の靴146は、第2の靴52のソールユニット54及びシャフト配置147から構成される。
【0117】
シャフト配置147は、シャフト底部160と前者の周辺端部でシャフト底部160と連結されたシャフト領域148を含み、図7に互いに鏡面対称の左側と右側のシャフト部分を示す。
【0118】
シャフト領域148の表地プライ150は、下端部で内側にカーブし、耐久性のある接着剤176で取付けソール162に結合されている。
【0119】
シャフト配置147は、ブーティの方法で作られる。すなわち、シャフト機能層153の下端部は、例えばジグザグ縫いでシャフト底部機能層164の周辺端部に縫い付けられる。更に、この移行部は縫い目シーリングテープ174を使って外側に向かって防水性を持たせてシールされている。図6に例示する実施例において、これら縫い目は、縦のシャフト領域148と横方向のシャフト底部160の間のカーブした移行部に位置する。
【0120】
シャフト機能層152及びシャフト底部機能層164の両者は外側ネット状バンド154、シャフト機能層/シャフト底部機能層またはシャフト膜/シャフト底部膜156/166、及び内向きに配置された布地プライまたはシャフトライナー158/支持布地プライ168の3層構造を持つ。
【0121】
第1の靴2と同様に、この第6の靴146では、表地プライ150の端部領域とシャフト底部機能層積層体164またはシャフト機能層積層体152の間に空間が広がっている。この空間は表地プライ150の端部に向かってサイズが大きくなり、取付けソール162がこのスペースまで延びている。この空間の部分は、この取付けソール162によって占領されてはおらず、通常は空気または水蒸気またはそれらの混合物で満たされている。
【0122】
図4に示す第3の靴98の場合のように、この第6の靴146もシャフト機能層積層体152と表地プライ150の間の空間からシーリング接着剤174の下側に延び、接着剤176を介して取付けソール162の下側をシャフト配置146の外側まで延びる吸引部材180が備えられる。
【0123】
吸引部材180の空間側端部は、シャフト領域の動かない縦部分から、シーリング接着剤174を介して延びてカーブを形成し、取付けソール162の底面に置かれる。吸引部材180外側領域は、例えば、接着剤の層によって取付けソール162の底面に接着されてもよい。
【0124】
吸引部材180は、吸引効果を大きく損なわずにシーリング接着剤に埋設される。
【0125】
この吸引部材180は、空間から外に向かって湿気を運ぶ。この湿気は、ソールユニット54の複数の切り欠き60を通じて更に取付けソール162の底面から取り除くことができる。
【0126】
シャフト底部機能層積層体164は、水蒸気透過性の接着剤170の層によって取付けソール162に結合される。接着剤170の層は、図7の例示として示す実施例に置いては連続的にまたは点状に作られてもよいが、取付けソール162の表面の大部分を覆い、ネット材料154を通して、シャフト底部機能層166まで貫通する。接着剤170の層は、この部分で通気性が確保されるように水蒸気透過性とする。これにより、この部分で、シャフト底部機能層積層体164の取付けソール162に対する固定が確実に行われる。
【0127】
図8は、シャフト配置100を下から見た概略図を示す。
【0128】
シャフト配置100の下部周辺端部を形成し、取付けソール42の底面に置かれる表地24の端部領域が容易に分かる。同様に、吸引テープ184として具体化される吸引部材の端部が容易に分かる。吸引テープ184は、シャフト機能層積層体と表地プライの間の空間から湿気を外部に運ぶ。
【0129】
例示する本実施例では、8個の狭い幅の吸引テープ184の端部が示され、表地プライ24の周辺端部に沿って配置される。表地プライ24の全周に沿って複数の吸引テープ184が配置されることにより、シャフト配置の全周領域のシャフト機能層と表地プライの間の空間から湿気が確実に取り除くことができる。
【0130】
かかる吸引テープ184の配置は、上記の他のシャフト配置の全てにおいても実用性が見出されるであろう。
【0131】
図9は、第3の靴98のシャフト配置100を下から見た例示する他の実施例を示す。
【0132】
ここでは、シャフト配置100の前足の領域に吸引テープ186を1個だけ備え、取付けソール42の下部に若干延びている。この吸引テープ186は湿気を表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間から外部へ運び、かかる吸引テープ186は1個で湿気を十分に取り除く上で十分である。
【0133】
図10は、第3の靴98のシャフト配置100を下から見た、例として示す他の実施例を示す。
【0134】
ここでは、比較的狭い幅の吸引テープの代わりに、サイドの半分を囲むシート状の吸引部材188が備えられ、靴の前足の領域の全体及び中央領域で、表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間から取付けソール42の底面に湿気を運び、湿気はそこから下に向かって靴から出て行く。
【0135】
図11は、第3の靴98のシャフト配置100を下から見た例として示す実施例を示す。
【0136】
ここでは、全部で4個の吸引テープ190が備えられ、取付けソール42の底面全体を横断して靴を横断する方向に延び、その左側と右側端部がそれぞれ表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間に延びる。例として示す本実施例においては、4個の吸引テープ190がシャフト配置100の長さ方向に等間隔で配置されている。
【0137】
かかる吸引テープの配置により、表地プライとシャフト機能層積層体の間の空間から、同様に湿気を確実に取り除くことができる。
【0138】
図12は、本発明の例として示す実施例に係る吸引部材102の断面図である。
【0139】
吸引部材102は、例えば、綿の素材からなる液体吸引性の材料の層192からなり、液体を空間から外部へ確実に移動する。この吸引層は、その上面に接着剤の材料194を施し、それによって吸引部材102が、例えば、取付けソール42の底面及びシャフト機能層積層体の内側に接着することができる。この接着剤は、吸引層192の上面全体に施す必要はない。この接着剤はところどころ施せば十分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水蒸気透過性の取付けソール(36)とシャフト底部機能層積層体(38)を有するシャフト底部(34)と;
表地プライ(24)とライナープライ(26)を有するシャフト領域(23)とからなる履物(98)用シャフト配置(100)であって、
ソール側シャフト端部領域はシャフト底部(34)に連結され;
湿気がシャフト領域(23)の表地プライ(24)とライナープライ(26)の間の領域からシャフト底部機能層積層体(38)の下の領域に運ばれるように、シャフト領域(23)の表地プライ(24)とライナープライ(26)の間の領域からシャフト底部機能層積層体(38)の下の領域へ延びる少なくとも1個の吸引部材(102)が備えられている、ことを特徴とする履物(98)用シャフト配置(100)。
【請求項2】
ライナープライはシャフト機能層積層体(26)として構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシャフト配置(100)。
【請求項3】
少なくとも1個の吸引部材(184)バンドの形状をしている、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシャフト配置(100)。
【請求項4】
少なくとも1個の吸引部材(190)が、シャフト領域のソール側周辺端部から、具体的には靴を横断する方向にソール側周辺端部の反対側の部分に延びる、ことを特徴とする上記請求項のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項5】
少なくとも1個の吸引部材(188)は、シャフト領域のソール側周辺端部(23)の少なくとも25%の部分に渡って延び、更に具体的にはシャフト領域のソール側周辺端部(23)の前足部分を覆う幅を有する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のシャフト配置(100)。
【請求項6】
複数の吸引部材(106)がシャフト領域のソール側周辺端部(22)に沿って配置されている、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項7】
厳密には1個の吸引部材(186;188)がシャフト領域のソール側周辺端部(23)に配置される、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項8】
吸引部材(102)は綿を含む、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項9】
吸引部材(102)は、吸引部材(102)を固定するための接着剤が少なくとも部分的に施されている、ことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項10】
吸引部材(102)は、その空間側部分がシャフト領域(23)の表地プライ(24)とライナープライ(26)の間の領域に約1〜3cm、更に具体的には約2cm延びる、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項11】
吸引部材(102)は、そのシャフト底部機能層積層体側部分がシャフト底部機能層積層体(38)の下の領域に約1〜4cm、更に具体的には 約3cm延びる、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項12】
水蒸気透過性の取付けソール(36)がシャフト底部機能層積層体(38)の上方に配置され、従って吸引部材がシャフト底部(34)の外側に延びる、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシャフト配置(100)。
【請求項13】
水蒸気透過性の取付けソール(36)はシャフト機能層積層体のソール側端部領域(26)に縫い付けられ、および/または、表地プライ(24)のソール側端部領域はシャフト底部機能層積層体(38)の底面に支持される、ことを特徴とする請求項12に記載のシャフト配置(100)。
【請求項14】
シャフト機能層積層体のソール側端部領域(116)は、シャフト底部機能層積層体(128)に縫い付けられ、取付けソール(126)は、シャフト底部機能層積層体(128)の下部に配置される、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のシャフト配置(108)。
【請求項15】
表地プライ(24)のソール側端部領域は、水蒸気透過性の取付けソール(126)に縫い付けられ、吸引部材(144)はシャフト底部機能層積層体(128)と水蒸気透過性の取付けソール(126)の間の空間に延びる、ことを特徴とする請求項14に記載のシャフト配置(108)。
【請求項16】
表地プライ(24)のソール側端部領域の内側は、取付けソール(162)の底面に支持され、吸引部材(180)はシャフト底部(160)の外側に延びる、ことを特徴とする請求項14に記載のシャフト配置(147)。
【請求項17】
少なくとも1個の上記請求項のいずれかに記載のシャフト配置(100)と、底面に固定されるソールユニット(4)と、少なくとも1個の貫通穴の開口部または多孔質を有し、特にはソールユニット(4)はシャフト配置(100)の底面に接着または差し挟まれる、ことを特徴とする履物(98)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2013−517865(P2013−517865A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550419(P2012−550419)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051014
【国際公開番号】WO2011/092173
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(391018178)ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (40)
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
【Fターム(参考)】