説明

山留材の洗浄法及びその装置

【課題】 本発明は山留材4に付着した泥土を削り落す装置を要せず、ノズル3又は支持床1を相対的にいずれかに移動させるだけで泥土を除去し、しかも泥土を山留材4の長手方向に自然流出又は自然排出させることを目的とする。
【解決手段】 傾斜支持床1の上方及び又は下方に設けた送水管2に高圧水噴射ノズル3を設け、上記支持床1の傾斜側に山留材4を長手方向に載置し、上記噴射ノズル3を上記支持床1と直交する方向から下向傾斜側に傾斜させ、山留材4に上記ノズル3から下向傾斜側に高圧水を噴射し、上記ノズル3又は上記支持床1を相対的にいずれかに移動させて、付着泥土を山留材4の上向溝及び又は上記支持床1を経て流出させることを特徴とする山留材の洗浄法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は土木基礎工等に於ける山留用鋼材の整備に関するもので、一般に、山留材として使用後、解体撤収され、ほとんどの場合賃貸材として業者に返却された後、再貸出しに備えて現場使用中に付着した泥土の除去洗浄を行う洗浄方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記山留材には鋼矢板、H形鋼等が用いられ、従来手作業であった矢板の回収洗浄作業が自動化され、非常に効率良く回収作業を行えるだけでなく、
自動的に次々と変形度合が検査され、良品のみを再使用待機できる矢板洗浄点検装置が提供された。
【0003】
しかしながら上記矢板は搬送装置を水平に移動する矢板に洗浄水を吹き付け射出する射出洗浄装置と、矢板表面に付着する泥を掻き取る泥落し洗浄装置を用いた。
【0004】
そして搬送前側から後方側に向けて傾斜垂下した射出ノズルを前後方向に並設し、搬送されてくる矢板の表面に搬送方向と逆の前方から水を強く吹き付け、矢板表面に付着する泥を洗い流すように構成している。
【0005】
しかし、上記洗浄装置では水平矢板の水平搬送方向と逆の方向から噴出ノズルによって水を噴出させるため、泥土水は矢板の表面上方に飛散及び又は停滞するのみであって、搬送してスクレーパ及び爪を当接又は近接させて付着する泥を削り落とす装置を要した(例えば特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特開平8-257512号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記山留材に付着した泥土を削り落す装置を要せず、ノズル又は支持床を相対的にいずれかに移動させるだけで泥土を除去し、しかも泥土を山留材の長手方向に自然流出又は自然排出させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は
第1傾斜支持床の上方及び又は下方に設けた送水管に高圧水噴射ノズルを設け、上記支持床の傾斜側に山留材を長手方向に載置し、上記噴射ノズルを上記支持床と直交する方向から下向傾斜側に傾斜させ、山留材に上記ノズルから下向傾斜側に高圧水を噴射し、
上記ノズル又は上記支持床を相対的にいずれかに移動させて、付着泥土を山留材の上向溝及び又は上記支持床を経て流出させることを特徴とする山留材の洗浄法、
第2に上記ノズルを上向傾斜側又は下向傾斜側に又は上記支持床を下向傾斜側又は上向傾斜側に移動させる上記第1発明記載の山留材の洗浄法、
第3に傾斜支持床の上方に送水管を配設し、該送水管に上記支持床の下向傾斜方向に向う高圧水噴射ノズルを設け、上記支持床上に上記傾斜方向に山留材を長手方向に配置し、上記ノズルを上向傾斜側又は下向傾斜側に又は上記支持床を下向傾斜側又は上向傾斜側に移動させるよう形成してなる山留材の洗浄装置、
によって構成される。
【0009】
従って傾斜支持床の傾斜方向に山留材の長手方向を合わせて、該支持床上に山留材を載置する。
【0010】
この状態において高圧水噴射ノズルから山留材の下向傾斜方向に高圧水を噴射し、
該ノズルを上向傾斜側又は下向傾斜側に又は上記支持床を下向傾斜側又は上向傾斜側に移動させると、
山留材の表面に付着している泥土は上記ノズルから噴出する高圧水によって山留材の傾斜下端又は上端から泥水化して分離し、上記ノズルの上向傾斜側又は下向傾斜側への移動又は上記支持床の下向傾斜側又は上向傾斜側への移動によって、山留材の下向端から上向端に亘り又は上向端から下向端に亘って分離洗浄される。
【0011】
分離した泥土は水によって山留材の上向溝又は傾斜支持床を傾斜下方に自然に流出し、山留材は洗浄される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述の方法及び装置によったので山留材の表面に付着している泥土を山留材の一端から他端に順次泥水化して分離し得て泥土の削り落とし装置を必要としないし、
分離した泥水は山留材及び又は支持床の傾斜によって自然に流出し、円滑簡便に洗浄し得る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
水平床面1’に山留材4の傾斜支持床1を形成する。
【0014】
傾斜支持床1の上方及び又は下方に送水管2を配設する。
【0015】
送水管2は図5に示すように水平床面(ヤード)1’の両側に敷設したレール6,6に走行台7,7を設け、両走行台7,7を接続する送水管2,2によって形成され、一方の走行台7に設けた高圧水ホース巻取ドラム8の巻取ホース9を上記送水管2,2に接続し、該ホース9を高圧水ポンプに接続する。
【0016】
上記ヤード1’にはレール6,6の方向に傾斜する山留材4用支持床1を形成し、傾斜側a,b(上向又は下向傾斜方向)に山留材4の長手方向を符合させて傾斜側a,bに並行に載置する(図5)。
【0017】
又図6に示すように上記ヤード1’に傾斜杆10,10を支持し、傾斜杆10,10間に山留材4の搬送ローラ11を遊支し、該ローラ11の1個を駆動電動機12の出力軸に接続し、上記搬送ローラ11の軸にそれぞれ設けたスプロケットに無端チェンを掛回してローラコンベア13を形成し、傾斜杆10,10間に環状送水管2を支持し、該送水管2の内周面に高圧水噴射ノズル3(高圧水噴射でも良い)を等間隔に設ける。
【0018】
上記高圧水噴射ノズル3は図1に示すようにその方向は下向傾斜側a(傾斜角β)の支持床1及び該支持床1に透水性架台14によって支持されている山留材4の上面と直交する方向cより下向傾斜側aに角度αだけ傾斜させる。
【0019】
上記送水管2は図1に示すように上記支持床1の上方のみならず、図3、図4に示すように上方及び下方に設けることができるし、山留材4である鋼矢板4aやH形鋼4b等の上下表面のみならず、左右両側面や長手方向溝4’に向かわせることができる。
【0020】
このように形成することによって上記ノズル3から噴出する高圧水5は山留材4の下向傾斜側aの下端の付着泥土から上向傾斜側bに向って順次泥土化して遊離し、次第に上向傾斜側bの上端の泥土まで泥水化して長手方向の表面凹部や溝4’を流下し、山留材4の表面全体が洗浄され、図2に示すように傾斜支持床1に形成した傾斜方向溝1”に集合流下して第1分離槽15内に捕集され、溢流分は第2分離槽15’に入り、第2溢流分は浄水槽16に入りポンプPを経て上記送水管2に順環する。
【0021】
又は上記ノズル3と上記支持床1とは相対的に上記山留材4の上向傾斜側bの上端から、下向傾斜側aの下端に向かって移動し、上端の付着泥土から泥土化して下端に向って順次泥土化し、さらに泥水化して下端下方に流出させ、表面全体を洗浄することができる。
【0022】
上記送水管2の上方には第1図、第2図に示す飛散防止被覆17を設け、図4に示すように全周飛散防止被覆兼送水管2’とすることができる。
【0023】
尚図5中17は走行台7の走行駆動モータ、図2中18は溢流樋、19は排泥水、20は浄水管、21は浄水供給管である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の山留材の洗浄法及び装置の拡大側面図である。
【図2】H形鋼による山留材の洗浄状態縦断背面図である。
【図3】鋼矢板による山留材の洗浄状態縦断背面図である。
【図4】鋼矢板全周洗浄装置の縦断背面図である。
【図5】ノズル側移動状態洗浄装置の斜視図である。
【図6】山留材側移動状態洗浄装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 傾斜支持床
2 送水管
3 高圧水噴射ノズル
a 下向傾斜側
b 上向傾斜側
4 山留材
4’ 上向溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜支持床の上方及び又は下方に設けた送水管に高圧水噴射ノズルを設け、
上記支持床の傾斜側に山留材を長手方向に載置し、
上記噴射ノズルを上記支持床と直交する方向から下向傾斜側に傾斜させ、
山留材に上記ノズルから下向傾斜側に高圧水を噴射し、
上記ノズル又は上記支持床を相対的にいずれかに移動させて、付着泥土を山留材の上向溝及び又は上記支持床を経て流出させることを特徴とする山留材の洗浄法。
【請求項2】
上記ノズルを上向傾斜側又は下向傾斜側に又は上記支持床を下向傾斜側又は上向傾斜側に移動させる請求項1記載の山留材の洗浄法。
【請求項3】
傾斜支持床の上方に送水管を配設し、
該送水管に上記支持床の下向傾斜方向に向う高圧水噴射ノズルを設け、
上記支持床上に上記傾斜方向に山留材を長手方向に配置し、上記ノズルを上向傾斜側又は下向傾斜側に又は上記支持床を下向傾斜側又は上向傾斜側に移動させるよう形成してなる山留材の洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2006−29044(P2006−29044A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235332(P2004−235332)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(504232561)
【Fターム(参考)】