説明

岩洞掘削用穿孔パターンの設計

本発明は、穿孔パターンを設計する方法およびソフトウエア製品と、さらに制御装置において穿孔パターンの設計用ソフトウエア製品を実行可能な削岩リグに関する。穿孔パターン(12)の1群の孔(14、15、16、32、17)について、少なくとも1つの優勢要因を有する少なくとも1つのマスタ孔(13a、13e、17a、17b、35、45、48)を決定することができる。マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の特性を決定する。マスタ孔は孔位置マスタ、孔深度マスタでよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、岩洞掘削用穿孔パターンの設計方法に関するものである。穿孔パターンは、トンネル面の穿孔すべき円について、穿孔パターンの座標系における各穿孔の少なくとも位置および孔方向角を決めるものである。本方法では設計者は、穿孔パターン設計プログラムの支援により穿孔パターンを設計する。本発明の対象は、最初の独立請求項前段に、より詳細に説明する。
【0002】
本発明はさらに、第2の独立請求項に記載するソフトウエア製品に関するものであり、これは、設計コンピュータで実行することによって穿孔パターンの設計に必要な動作を生成する。さらに本発明は、第3の独立請求項の前段に記載の削岩リグに関するものであり、これは、その制御装置においてソフトウエア製品を実行して穿孔パターンの設計に必要な動作を生成することができる。
【0003】
トンネル、地下貯蔵室や他の岩洞は円形に掘削される。トンネル面には、穿孔後に装薬し爆破する穿孔が穿たれる。1つの円分の量の岩材が1回の発破で岩石からはがれる。岩洞の掘削について、事前に設計を行ない、例えば岩石の性質に関する情報を決定する。一般に、岩洞の発注者は、掘削すべき岩洞についてさまざまな品質条件を設定する。さらに、各円ごとに穿孔パターンを事務作業として設計し、穿孔パターンは、岩盤における穿孔作業用削岩リグへ与えられ、所望の円を形成することができる。
【0004】
穿孔パターンの設計に関して、パターン設計時に設計者を支援する穿孔パターン設計プログラムが提供されてきた。穿孔パターンの設計は、設計者と穿孔設計プログラムとの間のインタラクティブな作業である。しかし、今日の穿孔パターン設計プログラムは、使用に難があり、遅い。さらに、完成した穿孔パターンを後に変更することは困難である。
【発明の簡単な説明】
【0005】
本発明は、新規で改善された穿孔パターン設計方法とソフトウエア製品を提供することを目的とする。さらに本発明は、内部の制御装置にて穿孔パターンをコンピュータ支援で生成することができる新規で改善された削岩リグを提供することを目的とする。
【0006】
本発明による方法は、穿孔パターンにおける少なくとも1群の孔について少なくとも1つのマスタ孔を決め、このマスタ孔に対する少なくとも1つの優勢特性を決め、マスタ孔の優勢特性に基づいて少なくとも1つの他の穿孔を決め、後に編集可能で追加可能もしくは削除可能であり優勢特性が変更可能なマスタ孔を用いることを特徴とする。
【0007】
本発明によるソフトウエア製品は、コンピュータでソフトウエア製品を実行すると以下の動作、すなわち、設計者とインタラクティブにて穿孔パターンを作製し、穿孔パターンについて、穿孔パターンについて、岩盤に穿孔すべき円の穿孔パターンの座標系において少なくとも穿孔の位置および孔方向角を決め、穿孔パターンにおいて少なくとも1群の孔、およびこの1群の孔においていくつかの孔を位置決めし、少なくとも1群の孔の穿孔パターンについて、後に編集可能な少なくとも1つのマスタ孔を決め、このマスタ孔について少なくとも1つの優勢特性を決め、マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の少なくとも1つの特性を決める動作を生成するよう構成されている。
【0008】
本発明による削岩リグは、削岩リグの制御装置において穿孔パターンを設計するソフトウエア製品を実行可能であり、このソフトウエア製品を実行することによって以下の動作、すなわち、設計者とインタラクティブにて穿孔パターンを作製し、穿孔パターンについて、岩盤に穿孔すべき円の穿孔パターンの座標系において少なくとも穿孔の位置および孔方向角を決め、穿孔パターンにおいて少なくとも1群の孔、およびこの1群の孔においていくつかの孔を位置決めし、少なくとも1群の孔の穿孔パターンについて、後に編集可能な少なくとも1つのマスタ孔を決め、このマスタ孔について少なくとも1つの優勢特性を決め、マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の少なくとも1つの特性を決める動作を生成するように構成されている。
【0009】
本発明の概念は、穿孔パターンにおける1群の孔について少なくとも1つのマスタ孔を決めることにある。マスタ孔には1つ以上の優勢特性を決め、マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の少なくとも1つの特性を決る。孔群は、例えば端部プロファイル、補助線、もしくはフィールド孔エレメントでよい。さらに、本発明の概念は、後に多様に編集可能なマスタ孔を穿孔パターンで使用することにある。したがって、マスタ孔を容易に追加および削除することができ、これらの位置および特性を変更することができる。
【0010】
本発明の利点は、穿孔パターンの設計が従前より容易かつ迅速であることである。設計者はマスタ孔の位置およびお特性の決定に集中することができる。なぜなら、穿孔パターン設計プログラムがマスタ孔に基づいて孔の特性を自動的に決定することができるからである。さらに、穿孔パターンの特性をより良く制御することができる。さらに、編集可能なマスタ孔の優勢特性および位置を後に変更することができる。このため、穿孔パターンを後に編集するのが容易で迅速である。設計者は、古い穿孔パターンを新たなパターンの基礎として使用して、古い穿孔パターンにおけるマスタ孔を穿孔すべき新たな円に必要なように修正することができ、設計作業の節減にもなる。良好な編集性のため、穿孔パターンの使用寿命が長くなることがある。
【0011】
一実施例の概念は、穿孔パターンにおける1群の孔について少なくとも2つのマスタ孔を決定することである。各マスタ孔の間には1つ以上の中間孔があり、その少なくとも1つの特性をマスタ孔の優勢特性に基づいて決める。この方式では、マスタ孔を使うことによって、マスタ孔により影響を受ける1つ以上の中間孔を含む影響範囲を容易に区分することができる。影響範囲の大きさは後にマスタ孔の位置を変更することによって編集することができる。
【0012】
一実施例の概念は、1つ以上の穿孔を含む影響範囲を個々のマスタ孔について決めることである。影響範囲は、穿孔パターンを設計するときに決めることができ、さらにこれを後で編集することもできる。影響範囲は例えば、マスタ孔に最も近い所定の数の穿孔、またはマスタ孔から所定の絶対距離にある穿孔を含むように決めることができる。さらに、影響範囲は、マスタ孔がパターンの一定の部分においてのみ、例えば底部もしくは隅部においてのみ影響を及ぼすように決めることができる。さらに、影響範囲は、マスタ孔と端点などのパターンの一部との間に位置する穿孔を含んでもよい。マスタ孔の影響範囲を決めるルールは、同じ編集可能なデータ項目にマスタ孔の優勢特性として保存してもよい。この適用によって、所望の領域に所定数の穿孔に影響を及ぼすマスタ孔を1つだけ位置決めすることさえ可能になる。
【0013】
一実施例の概念では、マスタ孔の優勢特性は以下のうちの1つ、すなわち孔群の位置、深さ、孔方向角、装薬度もしくは孔間隔である。
【0014】
一実施例の概念は、設計すべき穿孔パターンをグラフィックユーザインタフェースに表示して、マスタ孔をパターンの孔群に沿って所望の位置へ移動させることである。移動は、例えばユーサインタフェースのマウス、または同様のポインタ装置で行なうことができる。次に、マスタ孔はプロファイル線へリンクされると、編集中にプロファイル線に沿って容易に移動する。
【0015】
一実施例の概念は、いずれの穿孔もマスタ孔に、またはその逆に変換することである。したがって、孔群に新たな種類の穿孔エレメントを容易に形成することができる。
【0016】
一実施例の概念は、少なくとも1つの新たなマスタ孔を孔群における最外側の穿孔の間のいずれかの位置に自由に生成することである。したがって、以前に穿孔がなかった位置にもパターンにマスタ孔を追加することができる。
【0017】
一実施例に概念は、マスタ孔を記憶装置に事前に保存された少なくとも1つのデータ項目へリンクさせて、マスタ孔の優勢特性を定義することである。したがって、マスタ孔の優勢特性は、設計中でもその後でも、例えば与えられた数値表の内容を編集することによって、または他のデータ項目を選んで使用することによって、易に変更することができる。
【0018】
一実施例の概念は、1つ以上の群孔において円の底部にマスタ孔を決めることである。マスタ孔は円の底部で、例えばパターンの長さに対応するナビゲーション平面からの距離に位置する爆破平面上に決めることができる。穿孔パターンは、円の底部からの画角で設計することができるが、この場合、爆破技術の局面をパターン設計に考慮する。マスタ孔は、爆破平面について決められた端部プロファイル、補助列およびフィールド孔エレメントに位置決めされる。
【0019】
一実施例の概念は、ナビゲーション平面に1つ以上の孔群のマスタ孔を決めることである。ナビゲーション平面における穿孔パターンの設計方法は従来の方法である。マスタ孔は開始プロファイル、支援列およびフィールド孔エレメントに配置することができる。
【0020】
一実施例の概念は、穿孔パターンの少なくとも1つの孔群に少なくとも1つの穿孔エレメントを決めることである。穿孔エレメントは、孔群において第1の孔位置マスタと第2の孔位置マスタを位置決めすることで形成し、これによってこれらの孔の間に残る孔群の一部が穿孔エレメントのエレメント線を形成し、この線に1つ以上の中間孔を配置する。さらに、穿孔エレメントについて少なくとも1つの共用パラメータを決定し、このパラメータの変更によってそのエレメントに属する穿孔の特性に影響を与える。孔位置マスタによって、所望の穿孔エレメントを孔群から容易に区分することができる。さらに、エレメント線の形は孔群のマスタ孔によって区分された領域に対応しているので、エレメント線は、直線形のみならず、曲状や、曲状形と直線形とのさまざまな組合せを含んでよい。
【0021】
一実施例の概念は、穿孔エレメントについて装薬等級を決めることである。これは少なくとも固有装薬量q、平均装薬度Iおよび目標孔間隔Eを定義している。穿孔パターン設計プログラムが孔位置マスタ間の領域に中間孔を自動的に生成可能である。生成される中間孔の数および孔間隔は、穿孔エレメントの装薬等級に基づいて決定される。中間孔は、穿孔パターンにおける孔位置マスタ間の領域に実質的に等間隔で配置され、グラフィックユーザインタフェースに表示することができる。
【0022】
一実施例の概念は、目標孔間隔Eを決めることであり、これによって中間孔を穿孔パターン設計プログラムにより自動的に生成することができる。中間孔の数は目標孔間隔Eに基づいて決定する。中間孔は、穿孔パターンにおける孔位置マスタ間の領域に実質的に等間隔で配置され、グラフィックユーザインタフェースに表示することができる。
【0023】
一実施例の概念は、穿孔エレメントについて最大孔間隔Eを決めることであり、これによって中間孔を穿孔パターン設計プログラムにより自動的に生成することができる。中間孔の数は、最大許容孔間隔Eを考慮に入れて、可能な最少値に決められる。中間孔は、穿孔パターンにおける孔位置マスタ間の領域に実質的に等間隔で配置され、グラフィックユーザインタフェースに表示することができる。
【0024】
一実施例の概念は、穿孔パターンにおける同じ孔群の少なくとも2つの穿孔を孔深度マスタとして決定して、これらの孔に長さを与えることである。中間孔について、中間孔の数とこれらの孔深度マスタの長さに基づいて2つの孔深度マスタの間で深さを補間する。必要な場合、この適用方法によって設計者は、孔群について決められたy座標などの穿孔パターンにおける基本寸法によって決まるデフォルト深さから逸脱することができる。
【0025】
一実施例に概念は、穿孔パターンにおける同じ孔群の少なくとも2つの穿孔を孔方向マスタとして決定して、これらの孔について孔方向角を決めることである。中間孔について、中間孔の数と孔方向マスタの孔方向角に基づいて2つの孔方向マスタの間で孔方向角を補間する。この種のマスタ孔の利点は、編集特性に優れていることである。孔方向マスタ間で後に穿孔を追加もしくは削減する場合、または孔方向マスタの値を変更する場合、穿孔パターン設計プログラムは新たな補間を行なって中間孔の新たな孔方向角を決めることができる。
【0026】
一実施例の概念は、開始プロファイルをグラフィックユーザインタフェースに表示して、端部プロファイルにおける孔方向マスタについて孔方向角を決めることである。さらに、端部プロファイルの孔方向マスタの開始点が開始プロファイルに付くように穿孔パターン設計プログラムにおいて監視角を計算する。
【0027】
一実施例の概念は、穿孔パターンについて少なくとも2つの同時優勢特性を有する少なくとも1つのマスタ孔を決定することである。
【0028】
本発明の一実施例の概念は、ユーザインタフェースにおいてマスタ孔を他の穿孔から逸脱するように表示することである。マスタ孔は、例えば他の穿孔底部もしくは開始点とは異なる色もしくは異なる孔符号でグラフィックユーザインタフェースに表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施例をより詳細に説明する。
【図1】削岩リグと穿孔パターンの設計手段を模式的に示す側面図である。
【図2】穿孔パターンのxz投影面を示す模式図である。
【図3】xy投影面の模式図、すなわち穿孔パターンに関連する特徴を示す上面図である。
【図4】穿孔パターンにおける孔群のxz投影面を示す模式図である。
【図5】穿孔パターンのさまざまな孔群における穿孔の深さのxy投影面を示す模式図である。
【図6a】および
【図6b】孔群における穿孔の端点の位置決めのxz投影面を示す模式図である。
【図7】固有装薬量表の模式図である。
【図8】端部プロファイルに配された穿孔の位置のxz投影面を示す模式図である。
【図9】穿孔パターンにおける隅部Aの領域に配された孔深度マスタおよび中間孔のxz投影面を示す模式図である。
【図10】図8において方向B-Bから見た孔深度マスタの原理を模式的に示す図である。
【図11】穿孔パターンにおける隅部Aの領域に配された孔方向マスタの影響のxz投影面を示す模式図である。
【図12】穿孔パターンにおける1群の孔に対して孔方向マスタの開始点を穿孔パターン設計プログラムのプロファイルへのロック機能によって付けたxz投影面を示す模式図である。
【図13a】および
【図13b】孔方向角αと監視角βの概念を示す図である。
【図14】穿孔パターンにおけるフィールド孔エレメントの位置決めのxz投影面を示す模式図である。
【図15】ナビゲーション平面で穿孔パターンを設計するxz投影面を示す模式図である。
【図16】それぞれが所定の影響範囲を有するマスタ孔のxz投影面を示す模式図である。
【0030】
明瞭にするため、本発明の実施例は各図において簡略化して示す。同様の部分は同じ参照番号で示す。
【発明の実施例の詳細な説明】
【0031】
図1は、可動式キャリア2、1つ以上の穿孔ブーム3、および穿孔ブーム3に配された穿孔装置4含む削岩リグ1を示す。穿孔装置4は送りビーム5を有し、それに削岩機6を載置して送り装置によって動かすことができる。さらに穿孔装置4は、削岩機の衝撃装置により与えられる衝撃パルスを穿孔すべき岩盤へ伝達する工具7を有する。削岩リグ1はさらに、少なくとも1つの制御装置8を有し、これは削岩リグ1の各アクチュエータを制御するよう構成されている。制御装置8は、コンピュータもしくは同様の装置でよく、さらにディスプレイ装置と制御装置8へコマンドおよび情報を与える操作手段とを有するユーザインタフェースを含んでよい。
【0032】
典型的には、穿孔する各円ごとに穿孔パターンを設計するが、その場合、穿孔パターンの座標系における穿孔すべき孔の少なくとも位置および孔方向角を、穿孔すべき孔の長さの場合と同様に決める。穿孔パターンは、事務所9などの穿孔現場以外の場所で設計してよく、その場合、これをメモリスティックもしくはディスケットなどの記憶手段に保存し、またはこれをデータ伝送接続10によって削岩リグの制御装置8へ直接送信して、内部のハードディスクもしくはディスケットなどの記憶要素に保存してもよい。または、穿孔パターンの設計および編集を、例えばキャビン11内の制御装置8によって行なってもよい。さらに、既存の穿孔パターンを穿孔現場か、もしくはその外部のいずれかにおいて編集してもよい。穿孔パターンの設計は本来、コンピュータを使用して、通常はインタラクティブ方式で行なう。穿孔パターン設計プログラムは、設計コンピュータ21もしくは制御装置8等で走行させ、設計者23が穿孔パターン設計プログラムと対話して必要な情報を入力し、選択を行ない、設計工程を制御する。すでに設計されているパターンの一部を設計工程中にインタラクティブ方式で編集して、より良い最終成果を達成することができる。
【0033】
設計後、穿孔パターンを削岩リグの制御装置8にロードして実行することができる。設計された穿孔孔を岩盤24に穿ち、装薬し、爆破する。所望の円の量の岩材を岩盤24から取り出し、いずれかに運び去る。次いで、次の円について新たな穿孔パターン12に従って新たな穿孔を穿孔する。
【0034】
図2は、複数の列17aないし17cにおける孔群として互いの内部に配された複数の穿孔13aないし13eを含む穿孔パターン12を示す。さらに穿孔パターンは、最内部の穿孔の列16と切込み部18との間の領域に配されたフィールド孔17aないし17cを含んでもよい。2つ以上のフィールド孔17aないし17cでフィールド孔エレメント17を形成してもよい。通常、切込み部18は複数の穿孔も有している。互いに内部にある穿孔列14ないし16とフィールド孔エレメントは、1群の孔と称することができる。さらに、後に説明するナビゲーション平面28上の開始プロファイル32を、ある種の孔群としてもよい。穿孔パターンを設計および編集する場合、このような孔群を一体として取り扱ってもよく、またはこれらから所望の部分を別扱いとしてもよい。
【0035】
最外側の穿孔列は端部プロファイル14であり、次の内側の穿孔列は第1の支援列15であり、その後に続く内側の列は第2の支援列16等となる。したがって、1つ以上の支援列があってよい。穿孔パターン12において、穿孔13は丸19として白もしくは暗色のいずれかで示すことができる。図2に参照番号13aおよび13bで示す穿孔などの暗色の丸はマスタ孔であり、参照番号13bないし13dで示す白丸は中間孔である。さらに、各穿孔13の方向は、穿孔パターン12において方向線20として示すことができる。図2における穿孔パターン12のxz投影面は、設計コンピュータ21におけるグラフィックユーザインタフェースと削岩リグ1の制御装置8におけるグラフィックユーザインタフェースに表示することができる。
【0036】
図3は、穿孔すべき円25に関連した穿孔パターン12の原理を示す。掘削すべきトンネル26の面27にはナビゲーション平面28があり、これに対して穿孔パターン12の座標系が付いている。ナビゲーション平面28は通常、面27の正面側にあるが、ときには、少なくとも一部が岩盤の内側に位置してもよい。穿孔パターン12は、座標系において削岩リグ1の位置および方向を決めることができるが、この場合、削岩リグ1は穿孔開始前に座標系に従って誘導される。円25の底部には、依然として爆破層29があってよいが、これは、ナビゲーション層28からのパターンの長さに応じた距離Lにある。穿孔パターン12を設計する場合、穿孔すべき孔の底部の位置13は爆破層29上に位置決めしてよい。穿孔パターン設計プログラムには、穿孔すべき孔の方向20を与えることができ、これによって穿孔パターン設計プログラムは、ナビゲーション平面28上の穿孔の開始位置30を穿孔底部の位置および穿孔方向に基づいて計算することができる。または、穿孔パターン設計プログラムにナビゲーション平面28上の穿孔の開始位置30を与えてもよく、これによって穿孔パターン設計プログラムは、穿孔底部の位置13と穿孔の開始位置30に基づいて穿孔の方向20を算出できる。穿孔の特性は、円25の底から、すなわちナビゲーション平面28に向かう爆破平面29から決めてもよいが、従来この決定は、円の底部に向かうナビゲーション平面、すなわち正反対方向に行なわれている。爆破平面29では、穿孔底部の位置13を設計する際、爆破技術計算を行なうことができる。
【0037】
最終穿孔パターンでは、穿孔底部の位置を必ずしも爆破平面に置く必要はない。なぜなら、穿孔パターンのフィールド孔が典型的にはくぼんだ形をしているからである。方向yには、フィールド孔を端部プロファイルおよび支援列の孔より遠くへ延ばすことができる。しかし、穿孔パターンの底部の成形は、穿孔底部の位置を先ず同じ平面上でxz方向に、例えば爆破平面上に位置決めした後にのみ、行なう。この簡易化によって設計工程が容易になり、明確さが向上する。穿孔パターンの底部の成形は、穿孔の深さおよび孔方向角によって影響を受ける可能性がある。
【0038】
図4は、穿孔パターン12のいくつかのプロファイルおよび孔群を示す。岩洞26の発注者が決めた理論的掘削プロファイル31は、穿孔パターン設計プログラムに与えられる基本的情報の一つである。さらに発注者は、理論的掘削プロファイル31について許容耐性を決めることができる。さらに図4は、ナビゲーション平面28について決定できる開始プロファイル32を示す。穿孔を穿つ作業は、ナビゲーション平面28上で開始点32から始めることができる。すなわち、穿孔の開始点の位置を開始プロファイル32に置くことができる。したがって端部プロファイル14は、最外側の穿孔プロファイルの孔の端点を結合する線である。さらに発注者は、最大許容亀裂領域33を岩洞26について決めることができるが、これは、爆薬の爆発により生じる亀裂を、岩洞を画成している表面におけるこの領域を越えて広げないことを意味している。
【0039】
図5は、さまざまな孔群14、15、16および34における穿孔がさまざまな深さを有してもよいことを示している。端部プロファイル14の深さをLpとし、最外側の第1の支援列の深さをLap1とし、第2の支援列の深さをLap2とし、第3の支援列の深さをLap3として、それぞれ示す。パターンの長さ、すなわちナビゲーション平面28と爆破平面29との間の距離は、Lとして示す。孔の端点は参照番号13として示す。
【0040】
図6aおよび図6bは、1群の孔における穿孔の端点の位置決めを示す。穿孔の位置決めは端部プロファイル14から始めてよい。穿孔の位置が端部プロファイル14に決まっていれば、穿孔パターン設計プログラムは必要な支援列の決定を支援することができる。孔群の穿孔の端点を位置決めは、インタラクティブに行なうことができる。すなわち、孔群における穿孔底部の位置は、必要な場合、後に変更することができる。図6aおよび図6bは、孔位置マスタ35の底部の位置を暗色丸で示し、2つの孔位置マスタの間の中間孔36の底の位置を白丸で示している。
【0041】
孔位置マスタ35の間の領域の孔群について装薬等級を決定することができる。例えば、端部プロファイル14の底部は、端部プロファイルの壁14bとは異なる装薬等級に属してもよい。さらに、端部プロファイル14の曲状屋根14c、もしくは孔群の何らかの他の領域を孔位置マスタ35によって区分することができ、この領域について別の装薬等級を決めてもよい。孔群のさまざまな領域の底部、壁および屋根には、例えば亀裂領域に関するそれぞれのさまざまな品質条件があるため、異なった固有装薬量(q1ないしq4)を有してよい。したがって、装薬等級は、少なくともその用いられる固有装薬量を決定する。装薬のパラメータの与えられた値は、図7に示すものと同様の固有装薬量表等に記憶してもよい。このような事前設定のパラメータを用いることによって、ユーザは数値データの無駄な入力を回避することができる。しかしユーザは、所望のパラメータを変更して新たなパラメータを固有装薬量表に保存してもよく、これは、次のパターンの爆破技術検討の開始点としてとることができる。
【0042】
実際に設計者は、1群の孔に孔位置マスタ35を配置し、その後、設計者は孔位置マスタ35間の領域の装薬等級を決める。次いで穿孔パターン設計プログラムは、孔位置マスタ35間の領域に、装薬等級に相当する数の等間隔に配された中間孔36を自動的に配置することができる。したがって穿孔パターン設計プログラムは、固有装薬量度のみならず、所定の最大孔間隔もしくは目標孔間隔を考慮する。最大許容孔間隔が孔位置マスタ35間の領域について決まっていると、穿孔パターン設計プログラムは、可能な最少数の孔を算出し、中間孔をエレメント線上に、最大許容孔間隔を越えないようにして位置決めする。
【0043】
図6aにおいて、孔位置マスタ35aと35bとの間の底領域において固有装薬量はq1であり、孔間隔はE1である。したがって孔位置マスタ35aと35cとの間の壁領域は、異なる固有装薬量q2および孔間隔E2を有している。設計者が穿孔パターン設計プログラムにより位置決めされた中間穴35の位置もしくは数を受け入れない場合、設計者はこれらを手動で変更してよい。さらに設計者は、1群の孔において孔位置マスタを手動で移動させ、孔位置マスタを消去し、孔位置マスタを追加し、もしくは中間孔の1つを孔位置マスタに変換してもよい。
【0044】
図6bは、図6aの状態と比較して、設計者が端部プロファイル14の左隅部Aに穿孔底部の位置の数を追加したい状態を示す。したがって設計者は、隅部Aの付近に2つの新たな孔位置マスタ35dおよび35eを決めている。設計者は、孔位置マスタ35aと35dの間の領域14dについて、同様に孔位置マスタ35aと35eの間の領域14fについても、装薬等級を与えることができる。穿孔パターン設計プログラムは、装薬等級のパラメータに基づいて中間孔35を領域14dと14fの間に位置決めすることができる。または、設計者は領域14dおよび14fについて、孔間隔Eおよび固有装薬量qなどの必要なパラメータを手動で決めてもよい。設計者は、パラメータおよび装薬等級を決めて、位置マスタ孔35により区分された領域の孔間隔Eを所望のようにすることができる。これによって、他の区分された領域14eおよび14gが影響を受けることはなく、それぞれの孔間隔E1およびE2と、固有装薬量q1およびq2は変化しない。設計者が、例えば孔位置マスタ35dを後に除去したければ、この点について状況は、図6aに示したものに戻り、すなわち孔位置マスタ35aと35cの間に領域14bがあり、孔間隔はE2となり、固有装薬量はq2になる。さらに他のやり方では、設計者は後に、孔位置マスタ35の位置および数のみならず、それらに関連するパラメータおよび装薬等級を変更することによって、パターンを編集してもよい。
【0045】
図7は、与えられた値として用いられるパラメータが爆破技術検討と穿孔底部の位置決めについて決定されている固有装薬量表を示す。装薬等級、単位体積当りの爆薬の量kg/m3すなわち固有装薬量q、装薬識別子すなわちID、目標孔間隔Eおよび最大許容孔間隔Emを端部プロファイル、支援列およびフィールドエレメントなど、各孔群ごとに決めることができる。さらに、固有装薬量表について、孔位置マスタ間の領域に偶数個の中間孔が望ましいか否かなどの他のパラメータを決定することができる。表を使用することによって、設計作業が促進され、必要な場合、表の編集が容易になる。爆破技術計算は、式V=1/(q*E)を利用することができる。ただし、qは固有装薬量であり、Eは孔間隔、Vは被覆岩、Iは平均装薬度である。
【0046】
図8は、穿孔パターン設計プログラムが中間孔36a、36b、36cおよび36hの底部位置を端部プロファイルのさまざまな部分14a、14b、14cおよび14hで等間隔に設定した状況を示し、各部分は、孔位置マスタ35a、35b、35cおよび35gにより区分されている。明瞭にするため、中間孔底部の位置は端部プロファイル14のエレメント線を横断する線で示す。
【0047】
図9は、孔深度マスタ45a、45bおよび45cが底部14aの領域について決められる端部プロファイル14の隅部Aを示す。設計者は、穿孔パターンにおいてすでに存在する穿孔を孔深度マスタ45として選択することができ、または、設計者は手動で、穿孔パターンにおける孔深度マスタの位置を、例えばマウスもしくは同様の素子で指し示すことによって、またはそれぞれの座標を入力することによって、決めることができる。孔深度マスタ45は、穿孔の端点のy方向座標を決める。孔深度マスタ45についてデフォルト深さを穿孔パターンの基本寸法に基づいて決めることができる。基本寸法は、図5に示す寸法Lすなわちパターンの長さL、端部プロファイルの深さLp、第1の支援列の深さLapなどを含んでいる。穿孔底部の位置を穿孔列において位置決めする場合、それぞれの深さは特定の穿孔列のデフォルト深さによって決める。しかし、設計者が望んだ場合、設計者は、デフォルト値から逸脱するy座標値を孔深度マスタ45に与えることによって、孔深度マスタを編集することができる。さらに設計者は、孔深度マスタを追加もしくは削除することができ、またこれらをエレメント線に沿って移動させることができる。
【0048】
図10は、孔深度マスタ45aがデフォルト深度Lpに配置されていることを示す。その代わり設計者は、孔深度マスタ45bおよび45cのy座標をデフォルト深さLpから逸脱するように決定している。この場合、穿孔パターン設計プログラムは、2つの孔深度マスタ45aと45bの間の領域46aにおいて、また同様に2つの孔深度マスタ45bと45cの間の領域46bにおいて、中間孔47についての深度を、孔深度マスタ間の中間穴47の数と孔深度マスタ45の長さに基づいて補間することができる。孔深度マスタ45の間に中間孔47を後に増加もしく削減する場合、または孔深度マスタ45の値を変更する場合、穿孔パターン設計プログラムは新たな補間を行なって、中間孔47について新しい深さを決めることができる。孔深度マスタ45は、所望の場合、設計者が穿孔パターンの所望の領域における穿孔のデフォルト深さから逸脱できるようにする。孔深度マスタ45は孔群のいずれの場所にも配置することができる。
【0049】
図11は、孔方向マスタ48aないし48eが配置されこれらの孔について孔方向角が決定されている端部プロファイル14の隅部Aを示す。設計者は、穿孔パターンにすでに存在する穿孔を孔方向マスタ48として選択することができ、または、設計者は手動で、穿孔パターンにおける孔方向マスタの位置を、マウスもしくは同様の素子で指し示すことによって、またはそれぞれの座標を入力することによって、決めることができる。穿孔の位置を示す円等に関連して示す方向線20で孔方向角をグラフィック表示することができる。孔方向マスタ48aおよび48bはこれらの間の領域50aを決め、この領域は中間孔51を有している。同様に、孔方向マスタ48bおよび48cは領域50bを決め、孔方向マスタ58aおよび48dは領域50cを決め、さらに孔方向マスタ48dおよび48eは領域50dを決める。穿孔パターン設計プログラムは、2つの孔方向マスタ48の間の中間孔51の孔方向角を孔方向マスタ間の中間孔の数と孔方向マスタの孔方向角に基づいて補間することができる。孔方向マスタ48の間で中間孔51を後に増加もしくは削減する場合、または孔方向マスタ48の値を変更する場合、穿孔パターン設計プログラムは新たな補間を行なって、中間孔51の新たな孔方向角を決定することができる。
【0050】
図12は、孔方向マスタ48aないし48eが配置され、これらの孔について孔方向角が決まっている端部プロファイル14の隅部Aを示す。端部プロファイルにおける孔方向マスタの各開始点は、穿孔パターンのプロファイルのうちの1つへ、例えば開始プロファイル32へ付けることができる。このように付けるために、穿孔パターン設計プログラムはプロファイルへのロック機能を有し、これによって開始点を容易に付けることができる。実際に設計者は、端部プロファイルにおける孔方向マスタの孔方向角αを決めることができ、その後、穿孔パターン設計プログラムは、端部プロファイルの孔方向マスタの各開始点が開始プロファイル32へ付くように穿孔パターン設計プログラムにおいて監視角βを計算することができる。次に穿孔パターン設計プログラムは、中間孔51の各開始点がやはり開始プロファイル32に付くように中間孔の監視角βを計算することができる。そこで、中間孔の孔方向角αは孔方向マスタの孔方向角に基づいて補間することができる。したがって、監視角βは開始プロファイル32に基づいて決められるに対し、孔方向マスタは孔方向角αを決める。Lock-to-profile機能がオンになっている場合、設計者が、例えばy方向座標を入力することによって、もしくは穿孔の方向に相対的変動もしくは絶対的変動を入力することによって、設計された穿孔パターンにおける孔深度マスタの位置を編集するならば、穿孔の各開始点は同じにとどまる。なぜなら、これらは開始プロファイル等に付いているからである。しかし穿孔パターン設計プログラムは、穿孔について新たな孔方向角αと監視角βを計算することによって、穿孔パターンを更新する。
【0051】
図13aおよび図13bは、孔方向角αと監視角βの概念を示す。
【0052】
さらに、ユーザはマウスなどのポインタ装置によって開始プロファイル32における穿孔の開始点を指し示すことができ、その後、穿孔パターン設計プログラムは孔方向角を計算する。これらのアプリケーションは、端部プロファイル以外の孔群においても使用することができる。
【0053】
図14は、マスタ孔17a、17bもフィールド孔エレメント17に関連して使用することができることを示す。穿孔パターンをナビゲーション平面28上で設計する場合、設計者は、フィールド孔エレメント17の両端点を設けることができ、これらの間にエレメント線を形成する。穿孔パターン設計プログラムは、フィールド孔エレメント17の端点を自動的に決めて、孔位置マスタ17a、17bとする。しかし、所望の場合、設計者は、フィールド孔エレメントにマスタ孔を追加し、これから移動させたり削除したりすることもできる。さらに、穿孔パターン設計プログラムは、位置決めすべき中間孔の数を、または目標孔間隔もしくは最大孔間隔を設計者が与えた後、中間孔17cをマスタ孔17a、17b間に配置することができる。設計者はまた、フィールド孔エレメント17の穿孔から所望の孔を選択して、これらを孔方向マスタおよび孔深度マスタとする。穿孔パターンを爆破平面29上の円の底部に設計する場合、フィールド孔エレメント17は、爆破技術検討に基づいて配置することができる。この場合もやはり、フィールド孔エレメント17は、本願に記載したマスタ孔を含んでよい。
【0054】
図15は、ナビゲーション平面28における穿孔パターン12の設計方法を示す。設計者は、ナビゲーション平面28上で穿孔の開始点の位置を孔位置マスタによって決定することができる。設計者は、孔位置マスタ35aないし35dを開始プロファイル32におけるエレメント線上の所望の点に位置決めすることができる。さらに設計者は、領域14aないし14dについて中間孔の数、目標間隔もしくは最大孔間隔を決めることができ、その後、穿孔パターン設計プログラムは、領域14aないし14dにおける中間孔36aないし36dを自動的に位置決めすることができる。設計者がこれらの領域のうち1つについてのパラメータ、例えば目標孔間隔を変更する場合、穿孔パターン設計プログラムは、この領域の中間孔を再決定する。さらに設計者は、開始プロファイル32について編集可能な深度マスタと孔方向マスタを決定することができる。穿孔の開始点が開始プロファイルにおいて位置決めされた後、必要な支援列15を開始プロファイル32内で決めることができる。設計者は、穿孔パターン設計プログラムに対して支援列15と開始プロファイル32との間の距離a1ないしa4を与えることができ、その後、穿孔パターン設計プログラムが支援列15を決定することができる。同様に、他の支援列も決定してよい。設計者は、さまざまなマスタ孔を支援列に位置決めすることもできる。
【0055】
注目すべきことは、1群の孔における穿孔孔が2つ以上の孔特性を同時に有してもよいことである。したがって、例えば孔位置マスタが同時に、孔深度マスタと孔方向マスタであってもよい。したがって、これは一種の多様マスタ孔である。
【0056】
ここで用いられている用語「領域」に代わって、用語「穿孔エレメント」を2つのマスタ孔の間の領域に使ってもよいと言える。穿孔エレメントは、第1のマスタ孔、第2のマスタ孔、およびこれらの間の1つ以上の中間孔を有するエレメント線を含む。マスタ孔は1組の穿孔に配置され、これによってこれらの間のエレメント線の形は穿孔エレメントの点における孔群の形と一致する。
【0057】
図16は、マスタ孔のいくつかの他の適用例を示す。穿孔パターン12の底部14aや曲状屋根部14cなどの領域の特性は、各領域ごとにマスタ孔を配置することによって決めることができる。図16において、例えば屋根領域14cには、屋根領域14cの両端点の間の中間孔54aの特性に影響を与えるマスタ孔52aが設けられている。壁領域14bおよび底領域14aにおいても、対応するマスタ孔を配置してよい。マスタ孔の影響55aの範囲を穿孔パターン12の領域14aないし14cのうちの1つとするためのルールが、それらのマスタ孔に決められている。さらに、穿孔パターン12においてマスタ孔52bを配置することができ、このマスタ孔の影響55bの範囲は、そのパターンのマスタ孔52bと隅点53cとの間に残る孔群の領域になるよう決めることができる。このような場合、マスタ孔52bの優勢特性が中間孔54bの特性に影響を及ぼす。隅点53cではなく、影響範囲は他の端点53a、53bに従って、かつ隅点53c、53dによるだけではなく、決めることもできる。さらに、マスタ孔52cの影響55cの範囲を絶対距離Sとして決めることができ、これによってマスタ孔52cは、この距離Sにおけるすべての中間孔54cに対して影響を及ぼす。さらに、このようなマスタ孔52cに対して影響の方向が決定され、これは図16に矢印で示す。さらに、穿孔パターンはマスタ孔52cを使うことができ、これに対して最も近い穿孔54dの数Nが影響の範囲55dとして決められている。またさらに、このようなマスタ孔52dに対して影響の方向が決められ、これは図に矢印で示す。マスタ孔52cおよび52dの影響55cおよび55dの範囲は、一方向、または2方向に延びるように決めてもよい。さらに、影響範囲の大きさは、さまざまな方向において異なってもよい。したがって、影響範囲は例えば、右側に最も近い3つの穿孔と左側に最も近い2つの穿孔であってもよい。マスタ孔はまた、上述の影響範囲を組合せを有してもよい。すなわち、マスタ孔は、1つの方向で最も近い3つの穿孔を網羅し、他の方向ではパターンの1つの領域の端点等へ広がってもよい。上述以外のルールも、マスタ孔52の影響55の範囲を決めるのに設定してよい。マスタ孔の影響範囲の優勢特性、位置および決定は、後に編集することができる。影響範囲を決定するルールは、同じファイルもしくはデータ項目等にマスタ孔の優勢特性として、または別のファイルに保存してもよい。所定の影響範囲を有するマスタ孔がどんな種類のものであってもよく、すなわち孔位置マスタ、孔方向マスタ、孔深度マスタ、もしくは1つ以上の特性を決定する他の何らかのマスタ孔であってもよい。
【0058】
本発明による穿孔パターンは多様に編集することができる。既存の古い穿孔パターンを編集することによって新たな穿孔パターンを設計することができる。このようにして、設計に費やす時間を節約することができる。さらに、作用が以前から分かっている固有装薬量および孔方向角を利用することができる。古い穿孔パターンをシステムメモリからロードして、新たパターンの土台として機能させることができる。次に設計者は、パターンにおける穿孔エレメントを移動および削除することができる。設計者は、穿孔パターンを拡大もしくは縮小することもできる。さらに設計者は、穿孔パターンにマスタ孔を追加および削減することができる。同様に設計者は、与えられた数値表の内容を編集してから、穿孔パターン設計プログラムでロードすることができる。古い穿孔パターンを切込み部はそのまま使用してもよく、または、穿孔パターンにおいてその位置を移動させてもよい。または、切込み部を他の穿孔パターンからロード可能な他の切込み部と入れ替えてもよい。
【0059】
さらにまた、設計済みの穿孔パターンの長さを後に変更することができる。設計者は、穿孔パターン設計プログラムから穿孔パターンの長さを編集する機能を選択し、これによって穿孔パターン設計プログラムは、穿孔パターンにおけるすべての深度マスタおよび孔方向マスタを起動することができる。他方、設計者は、所望の場合、所望の穿孔の起動を削除することができる。その後、設計者は、起動可能なマスタ孔の深さを本願に記載したやり方の1つによって編集することができる。編集の結果、穿孔パターンの長さLが変わる。設計者は、マスタ孔に新たなy方向座標を与えることができ、または穿孔の方向における相対変動値もしくは絶対長を与えることによって穿孔の方向における長さを変更することができる。最も簡単なやり方は、相対変動を使用して穿孔パターンの長さを編集することである。穿孔パターン設計プログラムには、穿孔パターンの長さを変更してもよい範囲の限界値を持たせておいてもよい。
【0060】
さらに、穿孔パターンは、全体を一方向に、もしくは同時に2以上の方向に伸ばしたり縮小したりして、編集することができる。
【0061】
穿孔パターンを作るには、与えられたさまざまな数値表、パラメータ表およびパラメータファイルを設計すればよく、これらに保存されたパラメータをロードして穿孔パターン設計プログラムによっていつでも使用することができる。設計者は、穿孔エレメントに関係するパラメータを手動で穿孔パターン設計プログラムへ与えることも、もちろん代替手段である。
【0062】
穿孔パターン設計プログラムは、コンピュータの処理装置等で実行可能なソフトウエア製品である。ソフトウエア製品は、設計に使用するコンピュータの記憶要素に保存することができ、またはこれを、CD-ROMなどの別の記憶手段に保存してもよい。さらに、ソフトウエア製品は、設計に使用するコンピュータにデータ網からロードしてもよい。穿孔パターン設計プログラムを実行すれば、本願に記載した機能を生成するよう構成されている。穿孔パターン設計プログラムと設計者はインタラクティブに作業することができ、こうして穿孔パターンを共同作製することができる。
【0063】
場合によっては、本願に記載した特徴事項自体は、他の構成要件に関係なく使用してもよい。他方、本願に記載した特徴事項は、必要な場合、互いに組み合わせて、さまざまな組合せを作ってもよい。
【0064】
図面および関連説明は本発明の概念の説明のみを企図している。本発明の詳細は特許請求の範囲内で変更することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿孔パターン設計プログラムによるコンピュータ支援で穿孔パターン(12)を作成し、
該穿孔パターンにおいて岩盤に穿孔すべき円(25)について該穿孔パターンの座標系における少なくとも穿孔の位置および孔方向角を決め、
前記穿孔パターンにおいて少なくとも1つの孔群(14、15、16、17、32)を位置決めし、該孔群において複数の穿孔を位置決めする削岩用穿孔パターンの設計方法において、該方法は、
前記穿孔パターンにおいて少なくとも1つの孔群について少なくとも1つのマスタ孔(13a、13e、17a、17b、35、45、48、52)を決定し、
該マスタ孔について少なくとも1つの優勢特性を決定し、
該マスタ孔の優勢特性に基づいて少なくとも1つの他の穿孔の特性を決定し、
後に編集可能で追加可能もしくは削除可能であり優勢特性が変更可能なマスタ孔を用いることを特徴とする削岩用穿孔パターンの設計方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、該方法は、前記マスタ孔について以下の優勢特性、すなわち孔群における位置、深さ、孔方向角、装薬度、孔間隔のうちの少なくとも1つを決定することを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターンの少なくとも1つの孔群について、間に少なくとも1つの中間孔(13b、13c、13d、17c、36、47、51、54)がある少なくとも2つのマスタ孔(13a、13e、17a、17b、35、45、48、52)を決定し、
少なくとも1つの中間孔の特性を前記マスタ孔の優勢特性に基づいて決定することを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の方法において、該方法は、1つ以上の穿孔を含む影響範囲を個々のマスタ孔について決定することを特徴とする方法。
【請求項5】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、新たな孔群を少なくとも1つのマスタ孔によって、より大きな原孔群から区分することを特徴とする方法。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記孔群において前記マスタ孔を新たな位置へ自由に移動させることを特徴とする方法。
【請求項7】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記孔群に属するいずれかの穿孔をマスタ孔に変換することを特徴とする方法。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、少なくとも1つの新たなマスタ孔を孔群の最遠位の穿孔の間のいずれかの位置に自由に生成することを特徴とする方法。
【請求項9】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記マスタ孔を事前に記憶装置に保存されている少なくとも1つのデータ項目へリンクさせ、前記マスタ孔の優勢特性は、該データ項目において決定されることを特徴とする方法。
【請求項10】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
掘削すべき岩洞の端部プロファイル(14)を決め、該プロファイルは最外側の孔群の穿孔の底部を通る線であり、
該端部プロファイルについて複数の穿孔を決定し、
該端部プロファイル内に位置する少なくとも1つの支援列(15、16)を決定し、該支援列は、複数の穿孔を含み、それらの底部に補助線が通り、
前記穿孔パターンに複数の穿孔孔を含む切込み部(18)を配置し、
最内側の支援列(16)および前記切込み部(18)によって区分された領域において複数のフィールド孔(17aないし17c)を含むフィールド孔エレメント(17)を決定し、
少なくとも1つのマスタ孔によって、より小さい孔群を以下の大きい孔群、すなわち端部プロファイル、支援列、切込み部およびフィールド孔エレメントのうちの少なくとも1つから区分することを特徴とする方法。
【請求項11】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターン(12)についてナビゲーション平面(28)を決定し、
該穿孔パターンについて爆破面(29)を決定し、該爆破面は、前記円(25)の底部において前記ナビゲーション平面(28)から前記パターン(12)の長さ(L)に対応する距離に位置し、
少なくとも1つの孔群について前記爆破面(28)上に少なくとも1つのマスタ孔を決定することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターン(12)のナビゲーション平面(28)を決定し、
該ナビゲーション平面(28)において少なくとも1つの孔群について少なくとも1つのマスタ孔を決定することを特徴とする方法。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターン(12)の少なくとも1つの孔群について少なくとも1つの穿孔エレメントを決定し、
該孔群において第1の孔位置マスタ(35a)および第2の孔位置マスタ(35b)を位置決めすることによって穿孔エレメントを形成し、これらの間に残る孔群の一部(14a)が該孔群のエレメント線を形成し、
該エレメント線において前記孔位置マスタ間に、穿孔パターン設計プログラムによって1つ以上の中間孔(36b)を位置決めし、
前記穿孔エレメントについて少なくとも1つの共有パラメータを決定し、これを変更することによって前記エレメントに属する穿孔の特性に影響を及ぼすことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、該方法は、
少なくとも前記端部プロファイル(14)について、間に穿孔エレメントを区分する少なくとも2つの孔位置マスタ(35)を決定し、
前記穿孔エレメントについて、少なくとも固有装薬量(q)、平均装薬度(I)および目標孔間隔(E)を決定する装薬等級を決定し、
前記穿孔パターン設計プログラムにおいて前記穿孔エレメントにおける孔位置マスタ(35)の間の領域について中間孔(36)を自動的に生成し、
生成すべき中間孔(36)の数および孔間隔(E)を前記穿孔エレメントの装薬等級に基づいて決定し、
前記中間孔(36)を前記穿孔パターン(12)の孔位置マスタ(35)の間の領域に実質的に等間隔に配置することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、該方法は、
少なくとも前記端部プロファイル(14)について、間に穿孔エレメントを区分する少なくとも2つの孔位置マスタ(35)を決定し、
前記穿孔エレメントについて、少なくとも目標孔間隔(E)を決定し、
前記穿孔パターン設計プログラムにおいて前記穿孔エレメントにおける孔位置マスタ(35)の間の領域について中間孔(36)を自動的に生成し、
該中間孔(36)の数を目標孔間隔(E)に基づいて決定し、
該中間孔(36)を前記穿孔パターンにおける孔位置マスタ(35)の間に位置決めすることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、該方法は、
少なくとも前記端部プロファイル(14)について、間に穿孔エレメントを区分する少なくとも2つの孔位置マスタ(35)を決定し、
前記穿孔エレメントについて、少なくとも最大孔間隔(E)を決定し、
前記穿孔パターン設計プログラムにおいて前記穿孔エレメントにおける孔位置マスタ(35)の間の領域について中間孔(36)を自動的に生成し、
最大許容孔間隔(E)を考慮して、中間孔(35)の数を可能な最少に決定し、
穿孔パターン(12)における孔位置マスタ(35)の間の領域に前記中間孔(36)を配置する特徴とする方法。
【請求項17】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターン(12)における同じ孔群において少なくとも2つの穿孔を孔深度マスタ(45)に決定し、これらに長さを与え、
2つの孔深度マスタ(45)の間の中間孔(47)について、中間孔(47)の数および孔深度マスタ(45)の長さに基づいて深さを補間することを特徴とする方法。
【請求項18】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
前記穿孔パターン(12)における同じ孔群において少なくとも2つの穿孔を孔方向マスタ(48)に決定し、これらについて孔方向角を決定し、
2つの孔方向マスタ(48)の間の中間孔(51)について、中間孔(51)の数および孔方向マスタ(48)の孔方向角に基づいて孔方向角を補間することを特徴とする方法。
【請求項19】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、
開始プロファイル(32)をグラフィックユーザインタフェース(22)に表示し、
前記端部プロファイル(14)における孔方向マスタ(48)について孔方向角(α)を決定し、
前記穿孔パターン設計プログラムにおいて、前記端部プロファイル(14)の孔方向マスタ(48)の少なくとも開始点が前記開始プロファイル(32)に付くように監視角(β)を計算することを特徴とする方法。
【請求項20】
前記請求項のいずれかに記載の方法において、該方法は、前記穿孔パターン(12)について、少なくとも2つの同時優勢特性を有する少なくとも1つのマスタ孔を決定することを特徴とする方法。
【請求項21】
穿孔パターンの設計用ソフトウエア製品において、該ソフトウエア製品は、コンピュータ(12)において実行すると、以下の動作、すなわち、
設計者(23)とインタラクティブにて前記穿孔パターン(12)を作製し、
該穿孔パターン(12)について、岩盤に穿孔すべき円(25)の穿孔パターンの座標系において少なくとも穿孔の位置および孔方向角を決定し、
前記穿孔パターン(12)において少なくとも1つの孔群(14、15、16、17、32)、および該孔群において複数の穿孔を配置し、
前記穿孔パターン(12)の少なくとも1つの孔群について、後に編集可能な少なくとも1つのマスタ孔(13a、13e、17a、17b、35、45、48)を決定し、
該マスタ孔について少なくとも1つの優勢特性を決定し、
該マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の少なくとも1つの特性を決定する動作を生成するよう構成されている特徴とする穿孔パターンの設計用ソフトウエア製品。
【請求項22】
可動キャリア(2)と、
少なくとも1つの穿孔ブーム(3)と、
該穿孔ブーム(3)における少なくとも1つの穿孔装置(4)とを含む削岩リグであって、該穿孔装置は、送りビーム(5)、および送り手段によって該送りビーム(5)上を移動するように配設された削岩機(6)を含み、該削岩リグはさらに、
該削岩リグ(1)を制御する少なくとも1つの制御装置(8)を含み、該制御装置は、少なくとも1つのコンピュータを含む削岩リグにおいて、
前記制御装置(8)において穿孔パターン(12)を設計するソフトウエア製品を実行可能であり、該ソフトウエア製品は、実行によって以下の動作、すなわち、
設計者(23)とインタラクティブにて前記穿孔パターン(12)を作製し、
該穿孔パターン(12)について、岩盤に穿孔すべき円(25)の穿孔パターンの座標系において少なくとも穿孔の位置および孔方向角を決定し、
前記穿孔パターン(12)において少なくとも1つの孔群(14、15、16、17、32)、および該孔群において複数の穿孔を配置し、
前記穿孔パターンにおける少なくとも1つの孔群について、後に編集可能な少なくとも1つのマスタ孔(13a、13e、17a、17b、35、45、48)を決定し、
該マスタ孔について少なくとも1つの優勢特性を決定し、
該マスタ孔の優勢特性に基づいて、少なくとも1つの他の穿孔の少なくとも1つの特性を決定する動作を生成するよう構成されていることを特徴とする削岩リグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13a】
image rotate

【図13b】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2010−513757(P2010−513757A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542117(P2009−542117)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/FI2007/050710
【国際公開番号】WO2008/078001
【国際公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】