岩盤削孔装置および岩盤削孔方法
【課題】岩盤に下方に延在する孔を一部重複させつつ削孔する場合に好適な岩盤削孔装置および岩盤削孔方法を提供すること。
【解決手段】第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに排水管30を挿入する。削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は排水管30に当たって重力により落下する。排水管30は、繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出する機能に加え、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能する。排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれ、スリット状の溝12が繰り粉により充填されてしまう不具合を解消する。
【解決手段】第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに排水管30を挿入する。削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は排水管30に当たって重力により落下する。排水管30は、繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出する機能に加え、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能する。排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれ、スリット状の溝12が繰り粉により充填されてしまう不具合を解消する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は無発破掘削に用いる岩盤削孔装置と岩盤削孔方法に関し、詳細には、トンネル掘削の際、岩盤に、下方に延在する多数の孔をそれらの一部を重複させつつ削孔してスリット状の溝を形成する場合に好適な岩盤削孔装置と岩盤削孔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無発破掘削でトンネルを掘削する際、まず、図11に示すように、トンネルの断面外周に沿って、また、断面を区画する複数の領域に沿って、岩盤削孔装置により多数の孔が一部重複して連続削孔され、多数の孔の列によりスリット状の溝12が形成される。
次に、スリット状の溝12で囲まれた領域に、岩盤削孔装置により多数の割岩用孔14が削孔され、各割岩用孔14に割岩機を挿入して割岩用孔14を拡開させる。この時スリット状の溝12は、何も存在していない自由面として機能するため、スリット状の溝12で囲まれた領域の壁面は、多数の割岩用孔14が拡開することで崩され、このようにしてトンネルの掘削が行われていく。
【0003】
岩盤削孔装置は、先端に削孔ビットが取着された回転ロッドを有し、この回転ロッドにより削孔ビットを回転させて削孔するようにしており、その際に、孔内に水を供給しながら削孔を行い、切削された砕石や土砂などの繰り粉を削孔された孔の外部に排出するようにしている。
一方、スリット状の溝12を形成するには、孔の一部を重複させつつ削孔する必要があり、孔の一部が重複するように削孔ビットで削孔しようとすると、削孔ビッドは回転ロッドの先端に取着されていることから、抵抗が少ない既に削孔された孔側へ変位しようとする。
そこで、既に削孔された孔に挿入される案内ロッドを回転ロッドに隣接させて設け、削孔ビットを回転ロッドに当接させて削孔ビットの変位を抑制し、多数の孔をそれらの一部を重複させつつ掘削できるようにしている。
【0004】
本出願人は、このような案内ロッドの外周部を回転可能に構成し、削孔ビットによる掘削効率を格段と高めた岩盤削孔装置を提案している(特許文献1〜5)。
この岩盤削孔装置を用いた削孔工程を図12に示す。
図12において、回転ロッド16の先端に削孔ビット18が取着され、回転ロッド16と案内ロッド20は岩盤削孔装置の架台22の先端のブラケット22Aで支持されている。
まず、削孔ビット18により最初の孔である第1の孔24Aを削孔した後、図12(A)乃至(C)に示すように、第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入する。そして、削孔ビット18により第1の孔24Aに一部重複する第2の孔24Bの掘削を行う。このとき、既に削孔された第1の孔24A側へ変位しようとする削孔ビッド18を、案内ロッド20の回転可能な外周部に当接させてその変位を抑制し、第1の孔24Aに平行させた第2の孔24Bを第1の孔24Aに一部重複させつつ削孔ビット18により連続状に削孔する。
図13は、このような削孔孔を多数掘削することによりスリット状の溝12を形成する場合の平面図を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3477683号
【特許文献2】特許第3479754号
【特許文献3】特許第3496857号
【特許文献4】特許第3748288号
【特許文献5】特許第3748291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、都市近郊において立坑構築のため岩盤を鉛直に掘削する場合や、トンネル工事の途中から下方に向けてトンネル断面を掘削する場合には、上述の無発破掘削で用いる岩盤削孔方法では、スリット状の溝12も下方に向けて削孔しなければならない。
この削孔工程を図14(A)乃至(D)に示す。
図14(A)乃至(C)に示すように、削孔ビット18により第1の孔24Aを削孔し、この第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入して第2の孔24Bを削孔するまでは、切削された砕石や土砂などの繰り粉は、切削時に注入される水により孔の外部に排出されるため問題は生じない。すなわち、削孔途中の第2の孔24Bは、案内ロッド20の外周部と第2の孔24Bの内壁との間の環状隙間26に連通しており、また、案内ロッド20の外周部は削孔ビット18により回転されているものの、繰り粉は、案内ロッド20の外周部により環状隙間26を周回して元の第3の孔24Cに戻り、水により第3の孔24Cの外部に排出されるからである。
しかしながら、図14(D)、(E)に示すように、第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入して第3の孔24Cを削孔する工程以降は、次の問題が生じる。
【0007】
すなわち、スリット状の溝12を形成するための第3の孔24Cを第2の孔24Bに一部重複させつつ下方に削孔する場合、削孔途中の第3の孔24Cは、案内ロッド20の外周と第2の孔24Bの内壁との間の環状隙間26に連通すると共に、環状隙間26を介して削孔途中の第3の孔24Cよりも深く大きな空間となっている第1の孔24Aにも連通している。しかも、削孔ビット18による削孔時に、削孔ビット18により案内ロッド20の外周部は回転しており、図14(E)に示すように、案内ロッド20の外周部の回転により環状隙間26にその周方向に流れる水流fが生じている。
そのため、水を注入しながら第3の孔24Cを削孔すると、切削された砕石や土砂などの繰り粉は、水流fにより環状隙間26に導かれ、環状隙間26から第1の孔24Aへと拡散されていき、第1の孔24Aに堆積されていく。
そして、このような繰り粉の堆積は、新たな孔の削孔毎に増え続ける。すなわち、図14(F)に示すように、新たな孔の削孔毎に、繰り粉は環状隙間26からスリット状の溝12に広く拡散され、スリット状の溝12が繰り粉により充填されてしまう。
そのため、スリット状の溝12で囲まれた領域に、多数の割岩用孔14を削孔し、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させても、繰り粉がスリット状の溝12に充填されていることから、スリット状の溝12は自由面として機能し難く、割岩機により壁面を崩しにくくなり、トンネルの掘削施工効率が低下する。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、岩盤に下方に延在する孔を一部重複させつつ削孔する場合に好適な岩盤削孔装置および岩盤削孔方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、架台と、前記架台により回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されその先端に削孔ビットが取着された回転ロッドと、前記回転ロッドを回転駆動する回転駆動手段と、前記削孔ビットによる削孔時に削孔される孔内に水を注入する水供給手段と、前記架台で支持され前記回転ロッドと隣接して平行に延在し、前記削孔ビットにより既に削孔された孔に挿入され前記削孔ビットに接触可能で回転可能な外周部を有し、前記削孔ビットに接触することで前記削孔ビットの前記既に削孔された孔側への変位を抑制し、既に削孔された孔とその一部を重複させて順次削孔するための案内ロッドとを備えた岩盤削孔装置であって、前記架台で支持され前記回転ロッドと反対に位置する前記案内ロッドの箇所に近接した箇所で前記案内ロッドに沿って延在し、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に挿入され、その先端の吸い込み口が前記第1の孔の底部の近傍に位置する排水管と、前記排水管に接続され前記吸い込み口から削孔時の繰り粉を水と共に吸引するポンプ装置とを備えることを特徴とする。
また、本発明の岩盤削孔方法は、既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて排水管を挿入して配置し、前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に、前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記排水管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにしたことを特徴とする。
また、本発明の岩盤削孔方法は、既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて保護管を挿入して配置し、前記保護管の内側に排水管を挿入して配置し、前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記保護管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の岩盤削孔装置および岩盤削孔方法によれば、削孔時に繰り粉を排水管の下端から吸い込んで孔の外部に排出する。
また、削孔時に、案内ロッドの外周部の回転により環状隙間にその周方向に流れる水流が生じており、環状隙間の水流に乗って流動してくる繰り出し粉が排水管あるいは保護管にあたって重力により落下する。したがって、排水管あるいは保護管は、繰り粉をそれら排水管あるいは保護管が挿入配置された孔の底部に集約させる部材としても機能し、排水管による繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となる。
したがって、多数の孔によりスリット状の溝を形成する際に、新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間の周方向に流れる水流に乗ってスリット状の溝に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、スリット状の溝で囲まれた領域に、多数の割岩用孔を削孔し、各割岩用孔に割岩機を挿入して各割岩用孔を拡開させれば、スリット状の溝は自由面として機能することから割岩機により壁面を崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削によりトンネルを鉛直に掘削する際の掘削効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図2】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図3】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図4】案内ロッド、排水管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図5】案内ロッド、排水管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図6】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図7】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図8】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図9】案内ロッド、排水管、保護管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図10】案内ロッド、排水管、保護管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図11】トンネルを水平方向に掘削する場合に壁面を崩す際の説明図である。
【図12】案内ロッドを有する岩盤削孔装置により孔を水平方向に掘削する場合の説明図である。
【図13】削孔ビットと案内ロッドを用いて多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図14】案内ロッドを有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。なお、従来の部材、箇所と同様な部材、箇所に同一の符号を付して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態から説明すると、図1〜図3に示すように、岩盤削孔装置は、架台22と、先端に削孔ビット18が取着された回転ロッド16と、不図示の回転ロッド16の回転駆動手段および軸方向移動手段と、案内ロッド20と、排水管30と、水供給手段34と、ポンプ装置36を含んで構成されている。
本実施の形態では、削孔ビット18により、まず、第1の孔24Aが削孔され、次に、第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入して第2の孔24Bが削孔され、次に、第1の孔24Aに排水管30を挿入すると共に第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入して第3の孔24Cが削孔される。
架台22は上下方向に延在しており、下端にブラケット22Aが取着されている。
回転ロッド16は上下方向に延在し、軸受、ブラケット22Aを介して架台22で回転可能かつその軸方向に移動可能に支持され、水供給手段34は回転ロッド16の内部を通り削孔時に削孔ビット18の先端から削孔中の孔の底部に水を供給する。
回転駆動手段および軸方向移動手段は架台22で支持され、削孔時、回転ロッド16を回転駆動しつつ下方に移動させる。
【0012】
案内ロッド20は、孔を一部重複させて連続削孔しスリット状の溝12を形成する際に削孔ビット18に接触することで、削孔ビット18が、抵抗が少ない既に削孔された孔側へ変位することを抑制するものである。
案内ロッド20は、削孔ビット18により既に削孔された孔に挿入可能で、この孔の底部に至る長さで形成されている。
案内ロッド20は、架台22のブラケット22Aで支持された内側部材と、この内側部材に回転可能に支持され架台22の下方の内側部材の全域を覆い外周部を構成する外側部材とで構成され、回転ロッド16と平行して上下に延在している。外側部材は、案内ロッド20の回転可能な外周部を構成し、回転駆動された削孔ビット18が接触することで、外側部材は回転し、外側部材は鋼製である。
なお、図において符号32は、岩盤に当接することで架台22の姿勢を安定させる当接部材を示している。
【0013】
排水管30は、削孔時に案内ロッド20が既に削孔された第2の孔24Bに挿入された状態で、第2の孔24Bに隣接する既に削孔された第1の孔24Aに挿入されて配置される。
排水管30は、ブラケット22Aを介してその上端が架台22で支持されている。排水管30は、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所の近接した箇所で案内ロッド20に沿って直線状に延在して設けられ、案内ロッド20の全長に対応した長さを有し、その下端の吸い込み口30Aは、第1の孔24Aの底部の近傍に位置している。
排水管30は、鋼製であってもよく、あるいは、合成樹脂製であってもよく、直線状の形状を保ち得る剛性を有していればよい。
排水管30の上端にポンプ装置36が接続され、削孔時に生じる繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出するようにしている。
また、排水管30の下端周囲には、この下端部分および吸い込み口30Aを保護するための硬度、剛性を有する材料からなる保護部材38が取着され、排水管30が孔に挿脱される際の耐久性の向上が図られている。
【0014】
次に、岩盤削孔装置を用いて下方に鉛直にスリット状の溝12を形成する岩盤削孔方法について説明する。
例えば、都市近郊において立坑構築のため岩盤を鉛直に掘削する場合や、トンネル工事の途中から下方に向けてトンネル断面を掘削する場合、掘削すべきトンネルの断面外周に沿って、また、断面を区画する複数の領域に沿って、下方に向けた多数の孔を一部重複させて連続削孔し、多数の孔の列によりスリット状の溝12を形成する。
詳細に説明すると、スリット状の溝12を形成するに際して、まず、水供給手段34により削孔ビット18の下端から水を注入しつつ、削孔ビット18により第1の孔24Aを削孔する。この場合には、切削された砕石や土砂などの繰り粉を水により第1の孔24Aの外部に排出しつつ、削孔を行う。
【0015】
次に、図14(A)〜(C)に示すように、既に削孔された第1の孔24Aに、第1の孔24Aの底部まで案内ロッド20を挿入し、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、切削された砕石や土砂などの繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、既に削孔された第1の孔24Aと一部重複させた第2の孔24Bを削孔する。
この場合、削孔ビット18により案内ロッド20の外周部は回転しており、案内ロッド20の外周部の回転により環状隙間26にその周方向に流れる水流fが生じているので、繰り粉は水流fにより環状隙間26に導かれるが、環状隙間26を周回して元の第1の孔24Aに戻される。また、環状隙間26は閉塞されているので、第2の孔24Bの削孔後に、環状隙間26に残存する繰り粉の量は少ない。
【0016】
つぎに、図1、図2に示すように、第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに、第2の孔24Bの全長にわたって案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに、第1の孔24Aの全長にわたって排水管30を挿入する。
そして、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、ポンプ装置36により繰り粉を水と共に排水管30を介して孔の外部に排出しつつ、第2の孔24Bと一部重複させた第3の孔24Cを削孔する。
【0017】
この場合、削孔途中の第3の孔24Cは、環状隙間26に連通し、また、環状空間26を介して大きな空間となっている第1の孔24Aにも連通している。
したがって、案内ロッド20の外側部材30Bは削孔ビット18により回転されているので、削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は排水管30に当たって流動速度が大幅に減速され、重力により落下する。
したがって、排水管30は、繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出する機能に加え、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能し、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれる。
そして、このような削孔作業が連続して行われ、図3に示すように、削孔毎に生じる繰り粉は、排水管30が挿入配置された孔の底部に集約され、排水管30が挿入配置された孔の底部から効率良く排出されていく。
【0018】
このようなことから新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間26の周方向に流れる水流fに乗ってスリット状の溝12に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝12が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、本実施の形態によれば、スリット状の溝12で囲まれた領域に、多数の割岩用孔14を削孔し、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させれば、スリット状の溝12は自由面として機能することから割岩機により壁面を効率良く崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、上述の効果を、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に沿って排水管30を設けるといった簡単な構成により達成でき、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0019】
(第2の実施の形態)
つぎに、図4、図5を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の岩盤削孔装置は、排水管30の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、案内ロッド20の外周部に接触可能な回転板42を設けたものである。
回転板42は排水管30の長手方向に移動不能に、かつ、排水管30の軸心を中心として回転可能に排水管30に支持されている。
回転板42の材質は、鋼製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。
回転板42は、削孔時に、回転する案内ロッド20の外周部に接触して回転し、回転する案内ロッド20の外周部に排水管30が接触することを阻止する。
したがって、第2の実施の形態によれば、排水管30を損傷させることなく案内ロッド20に近接して配置でき、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動する繰り粉を、排水管30に効率良く衝突させ、重力により落下させる上で有利となる。
したがって、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させ、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となり、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、回転する案内ロッド20の外周部と排水管30との間に回転板42を介在させて排水管30の案内ロッド20への接触を阻止できるので、排水管30の耐久性を高める上でも有利となり、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0020】
(第3の実施の形態)
つぎに、図6〜図8を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態の岩盤削孔装置は、排水管30の耐久性を高めるため排水管30を覆う保護管44を設けたものである。
第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付して説明すると、図6に示すように、保護管44はその上端が架台22のブラケット22Aで支持され、排水管30はこの保護管44の内部に挿入されて配置されている。
保護管44は、削孔された孔への挿脱が簡単になされるようにその外径が案内ロッド20の外径よりも小さく、また、その内径は排水管30の外径よりも大きい。
【0021】
保護管44は、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に近接した箇所で案内ロッド20に沿って直線状に延在して設けられ、案内ロッド20の全長に対応した長さを有し、その下端は、保護部材38を介して排水管30の下端に連結されている。
保護管44は硬度、剛性を有する材料で形成され、本実施の形態では鋼製であり、削孔された孔に排水管30を挿脱する際に、この保護管44により排水管30を保護し、排水管30の耐久性を高めるようにしている。
なお、保護管44をブラケット22Aで回転可能に支持するように配置すると、削孔された孔に挿脱される際に孔の内壁に接触しても保護管44は回転できるので、また、削孔時に回転される案内ロッド20の外周部に接触しても保護管44は回転できるので、保護管44自体の耐久性を高める上で有利となる。
【0022】
このような第3の実施の形態でも第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
すなわち、図6、図7に示すように、第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに、第2の孔24Bの全長にわたって案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに、第1の孔24Aの全長にわたって排水管30を保護管44と共に挿入する。
そして、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、ポンプ装置36により繰り粉を水と共に排水管30を介して孔の外部に排出しつつ、第2の孔24Bと一部重複させた第3の孔24Cを削孔する。
【0023】
この場合、案内ロッド20の外側部材30Bは削孔ビット18により回転されているので、削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は保護管44に当たって流動速度が大幅に減速され、重力により落下する。
したがって、保護管44は、削孔された孔へ排水管30を挿脱する際に排水管30を保護する機能に加え、保護管44は、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能し、排水管30による第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれる。
そして、このような削孔作業が連続して行われ、図8に示すように、削孔毎に生じる繰り粉は、排水管30および保護管44が挿入配置された孔の底部に集約され、排水管30および保護管44が挿入配置された孔の底部から効率良く排出されていく。
【0024】
このようなことから新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間26の周方向に流れる水流fに乗ってスリット状の溝12に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝12が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、本実施の形態によれば、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させれば、スリット状の溝12は自由面として機能することから割岩機により壁面を効率良く崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、上述の効果を、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に沿って排水管30および保護管44を設けるといった簡単な構成により達成でき、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0025】
(第4の実施の形態)
つぎに、図9、図10を参照して第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態の岩盤削孔装置は、第3の実施の形態の保護管44の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、案内ロッド20の外周部に接触可能な回転板46を設けたものである。
回転板46は保護管44の長手方向に移動不能に、かつ、保護管44の軸心を中心として回転可能に保護管44に支持されている。
回転板46の材質は、鋼製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。
回転板46は、削孔時に、回転する案内ロッド20の外周部に接触して回転し、回転する案内ロッド20の外周部に保護管44が接触することを阻止する。
したがって、第2の実施の形態によれば、保護管44を損傷させることなく案内ロッド20に近接して配置でき、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動する繰り粉を、保護管44に効率良く衝突させ、重力により落下させる上で有利となる。
したがって、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させ、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となり、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、回転する案内ロッド20の外周部と保護管44との間に回転板46を介在させて保護管44の案内ロッド20への接触を阻止できるので、保護管44の耐久性を高める上でも有利となり、施工コストを低減する上でも有利となる。
なお、保護管44をブラケット22Aで回転可能に支持し、回転46と保護管44とを一体に回転できるように取着すると、削孔された孔に挿脱される際に孔の内壁に接触しても保護管44が回転できるので、保護管44自体の耐久性を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0026】
12……スリット状の溝
16……回転ロッド
18……削孔ビット
20……案内ロッド
22……架台
24A、24B、24C……第1、第2、第3の孔
26……環状隙間
30……排水管
42,46……回転板
44……保護管
【技術分野】
【0001】
本発明は無発破掘削に用いる岩盤削孔装置と岩盤削孔方法に関し、詳細には、トンネル掘削の際、岩盤に、下方に延在する多数の孔をそれらの一部を重複させつつ削孔してスリット状の溝を形成する場合に好適な岩盤削孔装置と岩盤削孔方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無発破掘削でトンネルを掘削する際、まず、図11に示すように、トンネルの断面外周に沿って、また、断面を区画する複数の領域に沿って、岩盤削孔装置により多数の孔が一部重複して連続削孔され、多数の孔の列によりスリット状の溝12が形成される。
次に、スリット状の溝12で囲まれた領域に、岩盤削孔装置により多数の割岩用孔14が削孔され、各割岩用孔14に割岩機を挿入して割岩用孔14を拡開させる。この時スリット状の溝12は、何も存在していない自由面として機能するため、スリット状の溝12で囲まれた領域の壁面は、多数の割岩用孔14が拡開することで崩され、このようにしてトンネルの掘削が行われていく。
【0003】
岩盤削孔装置は、先端に削孔ビットが取着された回転ロッドを有し、この回転ロッドにより削孔ビットを回転させて削孔するようにしており、その際に、孔内に水を供給しながら削孔を行い、切削された砕石や土砂などの繰り粉を削孔された孔の外部に排出するようにしている。
一方、スリット状の溝12を形成するには、孔の一部を重複させつつ削孔する必要があり、孔の一部が重複するように削孔ビットで削孔しようとすると、削孔ビッドは回転ロッドの先端に取着されていることから、抵抗が少ない既に削孔された孔側へ変位しようとする。
そこで、既に削孔された孔に挿入される案内ロッドを回転ロッドに隣接させて設け、削孔ビットを回転ロッドに当接させて削孔ビットの変位を抑制し、多数の孔をそれらの一部を重複させつつ掘削できるようにしている。
【0004】
本出願人は、このような案内ロッドの外周部を回転可能に構成し、削孔ビットによる掘削効率を格段と高めた岩盤削孔装置を提案している(特許文献1〜5)。
この岩盤削孔装置を用いた削孔工程を図12に示す。
図12において、回転ロッド16の先端に削孔ビット18が取着され、回転ロッド16と案内ロッド20は岩盤削孔装置の架台22の先端のブラケット22Aで支持されている。
まず、削孔ビット18により最初の孔である第1の孔24Aを削孔した後、図12(A)乃至(C)に示すように、第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入する。そして、削孔ビット18により第1の孔24Aに一部重複する第2の孔24Bの掘削を行う。このとき、既に削孔された第1の孔24A側へ変位しようとする削孔ビッド18を、案内ロッド20の回転可能な外周部に当接させてその変位を抑制し、第1の孔24Aに平行させた第2の孔24Bを第1の孔24Aに一部重複させつつ削孔ビット18により連続状に削孔する。
図13は、このような削孔孔を多数掘削することによりスリット状の溝12を形成する場合の平面図を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3477683号
【特許文献2】特許第3479754号
【特許文献3】特許第3496857号
【特許文献4】特許第3748288号
【特許文献5】特許第3748291号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えば、都市近郊において立坑構築のため岩盤を鉛直に掘削する場合や、トンネル工事の途中から下方に向けてトンネル断面を掘削する場合には、上述の無発破掘削で用いる岩盤削孔方法では、スリット状の溝12も下方に向けて削孔しなければならない。
この削孔工程を図14(A)乃至(D)に示す。
図14(A)乃至(C)に示すように、削孔ビット18により第1の孔24Aを削孔し、この第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入して第2の孔24Bを削孔するまでは、切削された砕石や土砂などの繰り粉は、切削時に注入される水により孔の外部に排出されるため問題は生じない。すなわち、削孔途中の第2の孔24Bは、案内ロッド20の外周部と第2の孔24Bの内壁との間の環状隙間26に連通しており、また、案内ロッド20の外周部は削孔ビット18により回転されているものの、繰り粉は、案内ロッド20の外周部により環状隙間26を周回して元の第3の孔24Cに戻り、水により第3の孔24Cの外部に排出されるからである。
しかしながら、図14(D)、(E)に示すように、第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入して第3の孔24Cを削孔する工程以降は、次の問題が生じる。
【0007】
すなわち、スリット状の溝12を形成するための第3の孔24Cを第2の孔24Bに一部重複させつつ下方に削孔する場合、削孔途中の第3の孔24Cは、案内ロッド20の外周と第2の孔24Bの内壁との間の環状隙間26に連通すると共に、環状隙間26を介して削孔途中の第3の孔24Cよりも深く大きな空間となっている第1の孔24Aにも連通している。しかも、削孔ビット18による削孔時に、削孔ビット18により案内ロッド20の外周部は回転しており、図14(E)に示すように、案内ロッド20の外周部の回転により環状隙間26にその周方向に流れる水流fが生じている。
そのため、水を注入しながら第3の孔24Cを削孔すると、切削された砕石や土砂などの繰り粉は、水流fにより環状隙間26に導かれ、環状隙間26から第1の孔24Aへと拡散されていき、第1の孔24Aに堆積されていく。
そして、このような繰り粉の堆積は、新たな孔の削孔毎に増え続ける。すなわち、図14(F)に示すように、新たな孔の削孔毎に、繰り粉は環状隙間26からスリット状の溝12に広く拡散され、スリット状の溝12が繰り粉により充填されてしまう。
そのため、スリット状の溝12で囲まれた領域に、多数の割岩用孔14を削孔し、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させても、繰り粉がスリット状の溝12に充填されていることから、スリット状の溝12は自由面として機能し難く、割岩機により壁面を崩しにくくなり、トンネルの掘削施工効率が低下する。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、岩盤に下方に延在する孔を一部重複させつつ削孔する場合に好適な岩盤削孔装置および岩盤削孔方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本発明は、架台と、前記架台により回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されその先端に削孔ビットが取着された回転ロッドと、前記回転ロッドを回転駆動する回転駆動手段と、前記削孔ビットによる削孔時に削孔される孔内に水を注入する水供給手段と、前記架台で支持され前記回転ロッドと隣接して平行に延在し、前記削孔ビットにより既に削孔された孔に挿入され前記削孔ビットに接触可能で回転可能な外周部を有し、前記削孔ビットに接触することで前記削孔ビットの前記既に削孔された孔側への変位を抑制し、既に削孔された孔とその一部を重複させて順次削孔するための案内ロッドとを備えた岩盤削孔装置であって、前記架台で支持され前記回転ロッドと反対に位置する前記案内ロッドの箇所に近接した箇所で前記案内ロッドに沿って延在し、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に挿入され、その先端の吸い込み口が前記第1の孔の底部の近傍に位置する排水管と、前記排水管に接続され前記吸い込み口から削孔時の繰り粉を水と共に吸引するポンプ装置とを備えることを特徴とする。
また、本発明の岩盤削孔方法は、既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて排水管を挿入して配置し、前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に、前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記排水管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにしたことを特徴とする。
また、本発明の岩盤削孔方法は、既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて保護管を挿入して配置し、前記保護管の内側に排水管を挿入して配置し、前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記保護管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の岩盤削孔装置および岩盤削孔方法によれば、削孔時に繰り粉を排水管の下端から吸い込んで孔の外部に排出する。
また、削孔時に、案内ロッドの外周部の回転により環状隙間にその周方向に流れる水流が生じており、環状隙間の水流に乗って流動してくる繰り出し粉が排水管あるいは保護管にあたって重力により落下する。したがって、排水管あるいは保護管は、繰り粉をそれら排水管あるいは保護管が挿入配置された孔の底部に集約させる部材としても機能し、排水管による繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となる。
したがって、多数の孔によりスリット状の溝を形成する際に、新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間の周方向に流れる水流に乗ってスリット状の溝に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、スリット状の溝で囲まれた領域に、多数の割岩用孔を削孔し、各割岩用孔に割岩機を挿入して各割岩用孔を拡開させれば、スリット状の溝は自由面として機能することから割岩機により壁面を崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削によりトンネルを鉛直に掘削する際の掘削効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図2】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図3】案内ロッド、排水管を有する岩盤削孔装置により多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図4】案内ロッド、排水管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図5】案内ロッド、排水管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図6】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図7】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図8】案内ロッド、排水管、保護管を有する岩盤削孔装置により多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図9】案内ロッド、排水管、保護管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【図10】案内ロッド、排水管、保護管、回転板を有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する状態を示す平面図である。
【図11】トンネルを水平方向に掘削する場合に壁面を崩す際の説明図である。
【図12】案内ロッドを有する岩盤削孔装置により孔を水平方向に掘削する場合の説明図である。
【図13】削孔ビットと案内ロッドを用いて多数の孔を削孔してスリット状の溝を形成する状態を示す平面図である。
【図14】案内ロッドを有する岩盤削孔装置により孔を鉛直に掘削する場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3を参照して説明する。なお、従来の部材、箇所と同様な部材、箇所に同一の符号を付して説明する。
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態から説明すると、図1〜図3に示すように、岩盤削孔装置は、架台22と、先端に削孔ビット18が取着された回転ロッド16と、不図示の回転ロッド16の回転駆動手段および軸方向移動手段と、案内ロッド20と、排水管30と、水供給手段34と、ポンプ装置36を含んで構成されている。
本実施の形態では、削孔ビット18により、まず、第1の孔24Aが削孔され、次に、第1の孔24Aに案内ロッド20を挿入して第2の孔24Bが削孔され、次に、第1の孔24Aに排水管30を挿入すると共に第2の孔24Bに案内ロッド20を挿入して第3の孔24Cが削孔される。
架台22は上下方向に延在しており、下端にブラケット22Aが取着されている。
回転ロッド16は上下方向に延在し、軸受、ブラケット22Aを介して架台22で回転可能かつその軸方向に移動可能に支持され、水供給手段34は回転ロッド16の内部を通り削孔時に削孔ビット18の先端から削孔中の孔の底部に水を供給する。
回転駆動手段および軸方向移動手段は架台22で支持され、削孔時、回転ロッド16を回転駆動しつつ下方に移動させる。
【0012】
案内ロッド20は、孔を一部重複させて連続削孔しスリット状の溝12を形成する際に削孔ビット18に接触することで、削孔ビット18が、抵抗が少ない既に削孔された孔側へ変位することを抑制するものである。
案内ロッド20は、削孔ビット18により既に削孔された孔に挿入可能で、この孔の底部に至る長さで形成されている。
案内ロッド20は、架台22のブラケット22Aで支持された内側部材と、この内側部材に回転可能に支持され架台22の下方の内側部材の全域を覆い外周部を構成する外側部材とで構成され、回転ロッド16と平行して上下に延在している。外側部材は、案内ロッド20の回転可能な外周部を構成し、回転駆動された削孔ビット18が接触することで、外側部材は回転し、外側部材は鋼製である。
なお、図において符号32は、岩盤に当接することで架台22の姿勢を安定させる当接部材を示している。
【0013】
排水管30は、削孔時に案内ロッド20が既に削孔された第2の孔24Bに挿入された状態で、第2の孔24Bに隣接する既に削孔された第1の孔24Aに挿入されて配置される。
排水管30は、ブラケット22Aを介してその上端が架台22で支持されている。排水管30は、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所の近接した箇所で案内ロッド20に沿って直線状に延在して設けられ、案内ロッド20の全長に対応した長さを有し、その下端の吸い込み口30Aは、第1の孔24Aの底部の近傍に位置している。
排水管30は、鋼製であってもよく、あるいは、合成樹脂製であってもよく、直線状の形状を保ち得る剛性を有していればよい。
排水管30の上端にポンプ装置36が接続され、削孔時に生じる繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出するようにしている。
また、排水管30の下端周囲には、この下端部分および吸い込み口30Aを保護するための硬度、剛性を有する材料からなる保護部材38が取着され、排水管30が孔に挿脱される際の耐久性の向上が図られている。
【0014】
次に、岩盤削孔装置を用いて下方に鉛直にスリット状の溝12を形成する岩盤削孔方法について説明する。
例えば、都市近郊において立坑構築のため岩盤を鉛直に掘削する場合や、トンネル工事の途中から下方に向けてトンネル断面を掘削する場合、掘削すべきトンネルの断面外周に沿って、また、断面を区画する複数の領域に沿って、下方に向けた多数の孔を一部重複させて連続削孔し、多数の孔の列によりスリット状の溝12を形成する。
詳細に説明すると、スリット状の溝12を形成するに際して、まず、水供給手段34により削孔ビット18の下端から水を注入しつつ、削孔ビット18により第1の孔24Aを削孔する。この場合には、切削された砕石や土砂などの繰り粉を水により第1の孔24Aの外部に排出しつつ、削孔を行う。
【0015】
次に、図14(A)〜(C)に示すように、既に削孔された第1の孔24Aに、第1の孔24Aの底部まで案内ロッド20を挿入し、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、切削された砕石や土砂などの繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、既に削孔された第1の孔24Aと一部重複させた第2の孔24Bを削孔する。
この場合、削孔ビット18により案内ロッド20の外周部は回転しており、案内ロッド20の外周部の回転により環状隙間26にその周方向に流れる水流fが生じているので、繰り粉は水流fにより環状隙間26に導かれるが、環状隙間26を周回して元の第1の孔24Aに戻される。また、環状隙間26は閉塞されているので、第2の孔24Bの削孔後に、環状隙間26に残存する繰り粉の量は少ない。
【0016】
つぎに、図1、図2に示すように、第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに、第2の孔24Bの全長にわたって案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに、第1の孔24Aの全長にわたって排水管30を挿入する。
そして、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、ポンプ装置36により繰り粉を水と共に排水管30を介して孔の外部に排出しつつ、第2の孔24Bと一部重複させた第3の孔24Cを削孔する。
【0017】
この場合、削孔途中の第3の孔24Cは、環状隙間26に連通し、また、環状空間26を介して大きな空間となっている第1の孔24Aにも連通している。
したがって、案内ロッド20の外側部材30Bは削孔ビット18により回転されているので、削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は排水管30に当たって流動速度が大幅に減速され、重力により落下する。
したがって、排水管30は、繰り粉を水と共に第1の孔24Aの外部に排出する機能に加え、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能し、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれる。
そして、このような削孔作業が連続して行われ、図3に示すように、削孔毎に生じる繰り粉は、排水管30が挿入配置された孔の底部に集約され、排水管30が挿入配置された孔の底部から効率良く排出されていく。
【0018】
このようなことから新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間26の周方向に流れる水流fに乗ってスリット状の溝12に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝12が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、本実施の形態によれば、スリット状の溝12で囲まれた領域に、多数の割岩用孔14を削孔し、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させれば、スリット状の溝12は自由面として機能することから割岩機により壁面を効率良く崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、上述の効果を、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に沿って排水管30を設けるといった簡単な構成により達成でき、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0019】
(第2の実施の形態)
つぎに、図4、図5を参照して第2の実施の形態について説明する。
第2の実施の形態の岩盤削孔装置は、排水管30の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、案内ロッド20の外周部に接触可能な回転板42を設けたものである。
回転板42は排水管30の長手方向に移動不能に、かつ、排水管30の軸心を中心として回転可能に排水管30に支持されている。
回転板42の材質は、鋼製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。
回転板42は、削孔時に、回転する案内ロッド20の外周部に接触して回転し、回転する案内ロッド20の外周部に排水管30が接触することを阻止する。
したがって、第2の実施の形態によれば、排水管30を損傷させることなく案内ロッド20に近接して配置でき、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動する繰り粉を、排水管30に効率良く衝突させ、重力により落下させる上で有利となる。
したがって、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させ、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となり、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、回転する案内ロッド20の外周部と排水管30との間に回転板42を介在させて排水管30の案内ロッド20への接触を阻止できるので、排水管30の耐久性を高める上でも有利となり、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0020】
(第3の実施の形態)
つぎに、図6〜図8を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態の岩盤削孔装置は、排水管30の耐久性を高めるため排水管30を覆う保護管44を設けたものである。
第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付して説明すると、図6に示すように、保護管44はその上端が架台22のブラケット22Aで支持され、排水管30はこの保護管44の内部に挿入されて配置されている。
保護管44は、削孔された孔への挿脱が簡単になされるようにその外径が案内ロッド20の外径よりも小さく、また、その内径は排水管30の外径よりも大きい。
【0021】
保護管44は、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に近接した箇所で案内ロッド20に沿って直線状に延在して設けられ、案内ロッド20の全長に対応した長さを有し、その下端は、保護部材38を介して排水管30の下端に連結されている。
保護管44は硬度、剛性を有する材料で形成され、本実施の形態では鋼製であり、削孔された孔に排水管30を挿脱する際に、この保護管44により排水管30を保護し、排水管30の耐久性を高めるようにしている。
なお、保護管44をブラケット22Aで回転可能に支持するように配置すると、削孔された孔に挿脱される際に孔の内壁に接触しても保護管44は回転できるので、また、削孔時に回転される案内ロッド20の外周部に接触しても保護管44は回転できるので、保護管44自体の耐久性を高める上で有利となる。
【0022】
このような第3の実施の形態でも第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
すなわち、図6、図7に示すように、第2の孔24Bに一部重複させた第3の孔24Cを削孔するに際して、第2の孔24Bに、第2の孔24Bの全長にわたって案内ロッド20を挿入し、第1の孔24Aに、第1の孔24Aの全長にわたって排水管30を保護管44と共に挿入する。
そして、水供給手段34により水を供給しつつ、また、削孔ビット18を案内ロッド20に接触させつつ、また、ポンプ装置36により繰り粉を水と共に排水管30を介して孔の外部に排出しつつ、第2の孔24Bと一部重複させた第3の孔24Cを削孔する。
【0023】
この場合、案内ロッド20の外側部材30Bは削孔ビット18により回転されているので、削孔時の繰り粉は水流fにより案内されて環状隙間26に導かれ、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動するが、繰り粉は保護管44に当たって流動速度が大幅に減速され、重力により落下する。
したがって、保護管44は、削孔された孔へ排水管30を挿脱する際に排水管30を保護する機能に加え、保護管44は、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させる部材としても機能し、排水管30による第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出が効率よく行なわれる。
そして、このような削孔作業が連続して行われ、図8に示すように、削孔毎に生じる繰り粉は、排水管30および保護管44が挿入配置された孔の底部に集約され、排水管30および保護管44が挿入配置された孔の底部から効率良く排出されていく。
【0024】
このようなことから新たな孔の削孔毎に生じる繰り粉が、環状隙間26の周方向に流れる水流fに乗ってスリット状の溝12に広く拡散され、堆積されてスリット状の溝12が充填されてしまう不具合を解消できる。
したがって、本実施の形態によれば、各割岩用孔14に割岩機を挿入して各割岩用孔14を拡開させれば、スリット状の溝12は自由面として機能することから割岩機により壁面を効率良く崩すことができ、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、上述の効果を、回転ロッド16と反対に位置する案内ロッド20の箇所に沿って排水管30および保護管44を設けるといった簡単な構成により達成でき、施工コストを低減する上でも有利となる。
【0025】
(第4の実施の形態)
つぎに、図9、図10を参照して第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態の岩盤削孔装置は、第3の実施の形態の保護管44の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、案内ロッド20の外周部に接触可能な回転板46を設けたものである。
回転板46は保護管44の長手方向に移動不能に、かつ、保護管44の軸心を中心として回転可能に保護管44に支持されている。
回転板46の材質は、鋼製であってもよく、合成樹脂製であってもよい。
回転板46は、削孔時に、回転する案内ロッド20の外周部に接触して回転し、回転する案内ロッド20の外周部に保護管44が接触することを阻止する。
したがって、第2の実施の形態によれば、保護管44を損傷させることなく案内ロッド20に近接して配置でき、水流fに乗って環状隙間26から第1の孔24Aへと流動する繰り粉を、保護管44に効率良く衝突させ、重力により落下させる上で有利となる。
したがって、繰り粉を第1の孔24Aの底部に集約させ、排水管30により第1の孔24Aの底部からの繰り粉の排出を効率よく行なう上で有利となり、割岩機を用いた無発破掘削による下方に向けてのトンネルの掘削施工効率を高める上で有利となる。
また、回転する案内ロッド20の外周部と保護管44との間に回転板46を介在させて保護管44の案内ロッド20への接触を阻止できるので、保護管44の耐久性を高める上でも有利となり、施工コストを低減する上でも有利となる。
なお、保護管44をブラケット22Aで回転可能に支持し、回転46と保護管44とを一体に回転できるように取着すると、削孔された孔に挿脱される際に孔の内壁に接触しても保護管44が回転できるので、保護管44自体の耐久性を高める上で有利となる。
【符号の説明】
【0026】
12……スリット状の溝
16……回転ロッド
18……削孔ビット
20……案内ロッド
22……架台
24A、24B、24C……第1、第2、第3の孔
26……環状隙間
30……排水管
42,46……回転板
44……保護管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架台と、
前記架台により回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されその先端に削孔ビットが取着された回転ロッドと、
前記回転ロッドを回転駆動する回転駆動手段と、
前記削孔ビットによる削孔時に削孔される孔内に水を注入する水供給手段と、
前記架台で支持され前記回転ロッドと隣接して平行に延在し、前記削孔ビットにより既に削孔された孔に挿入され前記削孔ビットに接触可能で回転可能な外周部を有し、前記削孔ビットに接触することで前記削孔ビットの前記既に削孔された孔側への変位を抑制し、既に削孔された孔とその一部を重複させて順次削孔するための案内ロッドと、
を備えた岩盤削孔装置であって、
前記架台で支持され前記回転ロッドと反対に位置する前記案内ロッドの箇所に近接した箇所で前記案内ロッドに沿って延在し、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に挿入され、その先端の吸い込み口が前記第1の孔の底部の近傍に位置する排水管と、
前記排水管に接続され前記吸い込み口から削孔時の繰り粉を水と共に吸引するポンプ装置と、
を備えることを特徴とする岩盤削孔装置。
【請求項2】
前記排水管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、前記外周部に接触可能な回転板が設けられ、
前記回転板は前記排水管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記排水管に支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載の岩盤削孔装置。
【請求項3】
前記架台で支持され前記案内ロッドの外径よりも小さい寸法の外径を有し前記排水管が内部に挿入される保護管をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1記載の岩盤削孔装置。
【請求項4】
前記保護管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、前記外周部に接触可能な回転板が設けられ、
前記回転板は前記保護管の長手方向に移動不能に、かつ、前記保護管の軸心を中心として回転可能に前記保護管に支持されている、
ことを特徴とする請求項3記載の岩盤削孔装置。
【請求項5】
既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、
前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて排水管を挿入して配置し、
前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に、前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記排水管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにした、
ことを特徴とする岩盤削孔方法。
【請求項6】
前記排水管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に前記外周部に接触可能な回転板を設け、
前記回転板を前記排水管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記排水管に支持させ、
前記回転板を前記外周部により回転させつつ前記第3の孔の削孔を行う、
ことを特徴とする請求項5記載の岩盤削孔方法。
【請求項7】
既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、
前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて保護管を挿入して配置し、
前記保護管の内側に排水管を挿入して配置し、
前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記保護管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにした、
ことを特徴とする岩盤削孔方法。
【請求項8】
前記保護管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に前記外周部に接触可能な回転板を設け、
前記回転板を前記保護管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記保護管に支持させ、
前記回転板を前記外周部により回転させつつ前記第3の孔の削孔を行う、
ことを特徴とする請求項7記載の岩盤削孔方法。
【請求項1】
架台と、
前記架台により回転可能かつ軸方向に移動可能に支持されその先端に削孔ビットが取着された回転ロッドと、
前記回転ロッドを回転駆動する回転駆動手段と、
前記削孔ビットによる削孔時に削孔される孔内に水を注入する水供給手段と、
前記架台で支持され前記回転ロッドと隣接して平行に延在し、前記削孔ビットにより既に削孔された孔に挿入され前記削孔ビットに接触可能で回転可能な外周部を有し、前記削孔ビットに接触することで前記削孔ビットの前記既に削孔された孔側への変位を抑制し、既に削孔された孔とその一部を重複させて順次削孔するための案内ロッドと、
を備えた岩盤削孔装置であって、
前記架台で支持され前記回転ロッドと反対に位置する前記案内ロッドの箇所に近接した箇所で前記案内ロッドに沿って延在し、前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に挿入され、その先端の吸い込み口が前記第1の孔の底部の近傍に位置する排水管と、
前記排水管に接続され前記吸い込み口から削孔時の繰り粉を水と共に吸引するポンプ装置と、
を備えることを特徴とする岩盤削孔装置。
【請求項2】
前記排水管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、前記外周部に接触可能な回転板が設けられ、
前記回転板は前記排水管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記排水管に支持されている、
ことを特徴とする請求項1記載の岩盤削孔装置。
【請求項3】
前記架台で支持され前記案内ロッドの外径よりも小さい寸法の外径を有し前記排水管が内部に挿入される保護管をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1記載の岩盤削孔装置。
【請求項4】
前記保護管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に、前記外周部に接触可能な回転板が設けられ、
前記回転板は前記保護管の長手方向に移動不能に、かつ、前記保護管の軸心を中心として回転可能に前記保護管に支持されている、
ことを特徴とする請求項3記載の岩盤削孔装置。
【請求項5】
既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、
前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて排水管を挿入して配置し、
前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に、前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記排水管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにした、
ことを特徴とする岩盤削孔方法。
【請求項6】
前記排水管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に前記外周部に接触可能な回転板を設け、
前記回転板を前記排水管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記排水管に支持させ、
前記回転板を前記外周部により回転させつつ前記第3の孔の削孔を行う、
ことを特徴とする請求項5記載の岩盤削孔方法。
【請求項7】
既に削孔された下方に延在する孔に回転可能な外周部を有する案内ロッドを挿入し、回転駆動される削孔ビットを前記外周部に接触させ、前記案内ロッドが挿入された既に削孔された孔側への前記削孔ビットの変位を抑制しつつ、また、切削される繰り粉を水により孔の外部に排出しつつ、また、前記案内ロッドの外周部とこの案内ロッドが挿入れた孔の内壁との間の環状隙間に前記削孔ビットで回転される前記外周部により周方向に流れる水流を生じさせつつ、前記削孔ビットにより孔の一部が重複して下方に延在する孔を多数削孔して岩盤にスリット状の溝を形成する際に、
前記案内ロッドが既に削孔された第2の孔に挿入された状態で、前記第2の孔に隣接する既に削孔された第1の孔に、前記案内ロッドに近接させて保護管を挿入して配置し、
前記保護管の内側に排水管を挿入して配置し、
前記第2の孔に隣接する第3の孔の削孔時に前記環状隙間の前記水流に乗って流動してくる繰り粉を、前記保護管に衝突させて落下させ、水と共に前記排水管の下端から第1の孔の外部に排出しつつ第3の孔の削孔を行うようにした、
ことを特徴とする岩盤削孔方法。
【請求項8】
前記保護管の長手方向に間隔をおいた複数箇所に前記外周部に接触可能な回転板を設け、
前記回転板を前記保護管の長手方向に移動不能に、かつ、前記排水管の軸心を中心として回転可能に前記保護管に支持させ、
前記回転板を前記外周部により回転させつつ前記第3の孔の削孔を行う、
ことを特徴とする請求項7記載の岩盤削孔方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−167425(P2012−167425A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26662(P2011−26662)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【Fターム(参考)】
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