岩盤強度評価方法

【課題】簡易且つ低コストに岩盤の強度を評価することのできる方法を提供する
【解決手段】岩盤の粘着力をC(MPa)、ボーリングコアの単位長さk(m)あたりの亀裂本数をNとしたとき、C=5−0.3×(N/k)の関係式に基づいて岩盤の粘着力Cを推定する。また、岩盤の内部摩擦角をφ(°)、ボーリングコアの単位長さk(m)あたりの亀裂本数をNとしたとき、φ=68−2×(N/k)の関係式に基づいて岩盤の内部摩擦角φを推定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩盤の強度、特に粘着力や内部摩擦角を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
岩盤に構造物を構築する際には、岩盤の強度を評価する必要がある。例えば特許文献1には、図4に示すようなロックせん断試験装置100を用いた岩盤の強度評価方法が示されている。
【0003】
この試験法では、試掘横坑内の床面などの一部を直方体のブロック状に切り出し、その切り出し部分102の外面をカバーコンクリート104で整形して試験体103としている。試験体103の上面103aは水平面となっており、また、4つの側面のうちの1つは傾斜面103bとなっている。
【0004】
このロックせん断試験装置100は、垂直荷重用ジャッキ105とせん断荷重用ジャッキ106を備えている。垂直荷重用ジャッキ105は鋼製支柱107によって支持されており、試験体103の上面103aにその垂直方向から垂直荷重Pを載荷する。一方、せん断荷重用ジャッキ106は反力ブロック108によって支持されており、試験体103の傾斜面103bにその垂直方向からせん断荷重Tを載荷する。せん断荷重用ジャッキ106がせん断荷重Tを載荷する面が傾斜面103bとなっているので、せん断面の中心109に向けてせん断荷重Tを載荷することができると共に、せん断荷重Tの載荷によってせん断面に回転モーメントが発生するのを防止している。試験体103に荷重を加えた際の鉛直方向の変位を鉛直変位計110で測定すると共に、せん断方向の変位をせん断変位計111で測定する。
【0005】
この試験では、まず垂直荷重用ジャッキ105で試験体103に所定の垂直荷重Pを与えてこれを一定に保ち、次にせん断荷重用ジャッキ106で試験体103にせん断荷重Tを与えてこれを徐々に増加させ、試験体103にせん断破壊を生じさせる。このときの垂直荷重Pとせん断荷重Tに基づいて岩盤のせん断強度特性が把握され、図5に示すようなせん断応力τと垂直応力σとの関係を示すグラフが得られる。このグラフにおける直線の切片を粘着力C(MPa)、直線の傾きを内部摩擦角φ(°)と言い、これらのパラメータから得られるグラフにより岩盤の強度を評価することができる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−147676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の評価方法によると、岩盤を切り出す作業に多大な労力と大掛かりな設備を必要とするため、作業の効率が悪い上、コストがかかる。また、上記のロックせん断試験装置100は、垂直荷重用ジャッキ105を支持する鋼製支柱107を取付けるため、あるいは、せん断荷重用ジャッキ106を支持する反力ブロック108を取付けるために、試掘横坑内のような場所でないと設置することができず、岩盤評価を行える場所が限られてくる。
【0008】
本発明の課題は、簡易且つ低コストに岩盤の強度を評価することのできる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
まず、本発明者らは、図4に示すロックせん断試験装置100を用いて、場所が異なる複数箇所(本試験では11箇所)における岩盤強度を評価し、各地点における岩盤の粘着力C(MPa)及び内部摩擦角φ(°)を求めた。
【0010】
次に、上記の岩盤強度評価を行った各地点においてボーリングを行い、図1に示すようなボーリングコア10を採取し、このボーリングコア10の単位長さL当たりの亀裂11の本数Nを目視により数えた。本試験では、ボーリングコア10の単位長さLを1mとした。この亀裂11は、そのほとんどが岩盤に元々生じていたものであるが、ボーリングにより生じた亀裂も多少は含まれ、これらをまとめて数えるものとする。また、亀裂とは、ボーリングコアを分断するよう亀裂11のことを言い、例えばボーリングコア10の表面のひび12等は含まない。図1に示す例では、亀裂11の数N=7となる。
【0011】
上記のようにして得られたデータに基づいて、ボーリングコアの単位長さ当たりの亀裂本数Nと岩盤の強度との相関関係を検討した。図2は、各地点における粘着力Cとボーリングコア1m当たりの亀裂本数Nとの関係を表すグラフであり、図3は、各地点における内部摩擦角φとボーリングコア単位長さ当たりの亀裂本数Nとの関係を表すグラフである。これらのグラフから分かるように、岩盤の粘着力Cあるいは内部摩擦角φは、ボーリングコアの単位長さ当たりの亀裂本数Nとの間に一定の相関関係を有する。従って、ボーリングコアの単位長さ当たりの亀裂本数Nを求めることにより、粘着力Cや内部摩擦角φを推定し、岩盤の強度を評価することができる。
【0012】
以上より、本発明の岩盤強度評価方法は、岩盤から採取したボーリングコアの単位長さ当たりの亀裂本数を求め、その亀裂本数に基づいて岩盤の強度を評価することを特徴とする。
【0013】
これによると、図4に示すロックせん断装置のような大掛かりな装置を使用することなく、ボーリングコアの亀裂本数を数えるだけで岩盤の強度評価を行うことができる。ボーリングは、岩盤の調査をする場合には必ず行われる作業であるため、本発明の強度評価試験を行うにあたり、別途の設備を要することはない。さらに、ボーリング装置は、従来のロックせん断試験装置と比べ、施行する場所に関して実施上の制約が少ないため、評価を得たい場所の強度をピンポイントで知ることができる。
【0014】
図2に示すグラフより、岩盤の粘着力をC(MPa)とボーリングコアの単位長さk(m)あたりの亀裂本数をNとの間には、C=5−0.3×(N/k)の関係式が成り立つことが判明した。この関係式に基づいて岩盤の粘着力Cを推定することができる。また、図3に示すグラフより、岩盤の内部摩擦角をφ(°)とボーリングコアの単位長さk(m)あたりの亀裂本数をNとの間には、φ=68−2×(N/k)の関係式が成り立つことが判明した。この関係式に基づいて岩盤の内部摩擦角φを推定することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によると、簡易且つ低コストに岩盤の強度を評価することのできる方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
まず、岩盤の強度評価を行いたい地点でボーリングを行い、図1に示すようなボーリングコア10を採取する。次に、ボーリングコア10の単位長さ、例えば1m当たりの亀裂本数Nを目視により数える。この亀裂本数Nを、k=1とした場合の上記の関係式(C=5−0.3N、φ=68−2N)に代入することにより、その地点における岩盤の粘着力C及び内部摩擦角φを推定することができる。これにより、図4に示すような大掛かりな装置を用いることなく、各地点における垂直応力σとせん断応力τとの相関関係が得られ(図5参照)、岩盤の強度を評価することができる。
【0018】
本発明の実施形態は上記に限られず、例えば、ボーリングコアの亀裂本数を数える単位長さを上記実施形態の2倍、3倍、・・・、あるいは、1/2倍、1/3倍、・・・、としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ボーリングコア10を示す正面図である。
【図2】ボーリングコアの亀裂本数Nと岩盤の粘着力Cとの相関関係を示すグラフである。
【図3】ボーリングコアの亀裂本数Nと岩盤の内部摩擦角φとの相関関係を示すグラフである。
【図4】ロックせん断試験装置を示す正面図である。
【図5】ロックせん断試験により得られた垂直応力σとせん断応力τとの相関関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0020】
10 ボーリングコア
11 亀裂
12 ひび
100 ロックせん断試験装置
N 亀裂本数
C 粘着力
φ 内部摩擦角
P 垂直荷重
T せん断荷重
σ 垂直応力
τ せん断応力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
岩盤から採取したボーリングコアの単位長さ当たりの亀裂本数に基づいて、岩盤の強度を評価することを特徴とする岩盤強度評価方法。
【請求項2】
岩盤の粘着力をC(MPa)、ボーリングコアの単位長さk(m)当たりの亀裂本数をNとしたとき、
C=5−0.3×(N/k)
の関係式に基づいて岩盤の粘着力Cを推定することを特徴とする請求項1記載の岩盤強度評価方法。
【請求項3】
岩盤の内部摩擦角をφ(°)、ボーリングコアの単位長さk(m)当たりの亀裂本数をNとしたとき、
φ=68−2×(N/k)
の関係式に基づいて岩盤の内部摩擦角φを推定することを特徴とする請求項1記載の岩盤強度評価方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2008−281533(P2008−281533A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査
【出願番号】特願2007−128340(P2007−128340)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、材料 | 無機材料、セラミックス | 土壌、岩石
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 柱状、棒状
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