嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物及びその製造方法
【課題】嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は1価の2級又は3級炭化水素基、R5は1価炭化水素基又は下記一般式(2)で示される基である。]
で示される化合物。
【効果】該カルボン酸シリルエステル化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できるため、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【解決手段】下記一般式(1)[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は1価の2級又は3級炭化水素基、R5は1価炭化水素基又は下記一般式(2)で示される基である。]
で示される化合物。
【効果】該カルボン酸シリルエステル化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できるため、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物に関する。この化合物は表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリロキシ基を2つ以上有する有機ケイ素化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用であり、例えば特許文献1(特公昭49−7564号公報)には、メチルトリメタクリロキシシランがプラスチック表面の硬度、耐溶剤性の表面特性を改善するためのコーティング用組成物の添加剤として有用であるとの記載がある。また、非特許文献1(歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006))には、ジメチルシリルジメタクリレート等の含ケイ素ジメタクリレート化合物が歯科用コンポジットレジンに撥水性を付与するための添加モノマーとして有用であるとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭49−7564号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特公昭49−7564号公報(特許文献1)の化合物、歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006)(非特許文献1)の化合物では、コーティング後や硬化後に経時でカルボキシル基とケイ素原子との結合が加水分解反応を受け、徐々に付与した硬度、耐溶剤性、撥水性等が失われてしまい、長期間付与した性能を維持することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料として使用したときに、付与した性能が長期間維持できるカルボン酸シリルエステル化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボン酸シリルエステル化合物が、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
従って、本発明は、下記に示す嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項2:
上記一般式(1)中のR4が、炭素数4〜10の3級炭化水素基である請求項1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項3:
上記一般式(1)中のR4が、t−ブチル基である請求項2記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項4:
下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により提供される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できるため、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られたジアクリロキシt−ブチルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られたジアクリロキシt−ブチルメチルシランのIRスペクトルである。
【図3】実施例2で得られたトリアクリロキシt−ブチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例2で得られたトリアクリロキシt−ブチルシランのIRスペクトルである。
【図5】実施例3で得られたジメタクリロキシt−ブチルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図6】実施例3で得られたジメタクリロキシt−ブチルメチルシランのIRスペクトルである。
【図7】実施例4で得られたジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図8】実施例4で得られたジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランのIRスペクトルである。
【図9】実施例5で得られたジアクリロキシジイソプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図10】実施例5で得られたジアクリロキシジイソプロピルシランのIRスペクトルである。
【図11】実施例6で得られたジメタクリロキシジイソプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例6で得られたジメタクリロキシジイソプロピルシランのIRスペクトルである。
【図13】実施例7で得られたジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例7で得られたジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランのIRスペクトルである。
【図15】実施例8で得られたジアクリロキシジシクロペンチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図16】実施例8で得られたジアクリロキシジシクロペンチルシランのIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物は、下記一般式(1)
【化4】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される化合物である。
【0011】
ここで、R1、R2、R3が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基の場合、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が例示され、特にメチル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基;シアノ基、アミノ基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;エステル基、エーテル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。また、R1とR2及びR2とR3が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の環、特に脂環を形成してもよい。R1、R2及びR3としては、特に水素原子、メチル基が好ましい。
【0012】
R4は炭素数3〜10、特に3〜7の1価の2級又は3級炭化水素基であり、具体的にはイソプロピル基、sec−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基、t−アミル基、テキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等が例示され、特にt−ブチル基、テキシル基が好ましい。
【0013】
R5が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基の場合、上記R1、R2、R3と同様の基が挙げられる。R5としては、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、上記一般式(2)で示される基が好ましい。
【0014】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルプロピルシラン、ジアクリロキシt−ブチルイソプロピルシラン、ジアクリロキシt−ブチルブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルイソブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシt−ブチルフェニルシラン、ジアクリロキシt−ブチルベンジルシラン、ジアクリロキシジt−ブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルメチルシラン、ジアクリロキシt−アミルエチルシラン、ジアクリロキシt−アミルプロピルシラン、ジアクリロキシt−アミルイソプロピルシラン、ジアクリロキシt−アミルブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルイソブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシt−アミルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシt−アミルフェニルシラン、ジアクリロキシt−アミルベンジルシラン、ジアクリロキシt−アミルt−ブチルシラン、ジアクリロキシジt−アミルシラン、ジアクリロキシテキシルメチルシラン、ジアクリロキシテキシルエチルシラン、ジアクリロキシテキシルプロピルシラン、ジアクリロキシテキシルイソプロピルシラン、ジアクリロキシテキシルブチルシラン、ジアクリロキシテキシルイソブチルシラン、ジアクリロキシテキシルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシテキシルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシテキシルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシテキシルフェニルシラン、ジアクリロキシテキシルベンジルシラン、ジアクリロキシテキシルt−ブチルシラン、ジアクリロキシテキシルt−アミルシラン、ジアクリロキシジテキシルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)エチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)プロピルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)テキシルシラン、ジアクリロキシジ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、トリアクリロキシt−ブチルシラン、トリアクリロキシt−アミルシラン、トリアクリロキシテキシルシラン、トリアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルイソブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルフェニルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルベンジルシラン、ジメタクリロキシジt−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルメチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルエチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルプロピルシラン、ジメタクリロキシt−アミルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシt−アミルブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルイソブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシt−アミルフェニルシラン、ジメタクリロキシt−アミルベンジルシラン、ジメタクリロキシt−アミルt−ブチルシラン、ジメタクリロキシジt−アミルシラン、ジメタクリロキシテキシルメチルシラン、ジメタクリロキシテキシルエチルシラン、ジメタクリロキシテキシルプロピルシラン、ジメタクリロキシテキシルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシテキシルブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルイソブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシテキシルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシテキシルフェニルシラン、ジメタクリロキシテキシルベンジルシラン、ジメタクリロキシテキシルt−ブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルt−アミルシラン、ジメタクリロキシジテキシルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)エチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)プロピルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)テキシルシラン、ジメタクリロキシジ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、トリメタクリロキシt−ブチルシラン、トリメタクリロキシt−アミルシラン、トリメタクリロキシテキシルシラン、トリメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シラン等が例示される。これらの中でも特に、ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルプロピルシラン、トリアクリロキシt−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン、トリメタクリロキシt−ブチルシランが好ましい。
【0015】
また、上記一般式(1)で示される化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化6】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0016】
上記一般式(3)におけるR4は上述したものが例示でき、R6が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換もしくは置換の1価炭化水素基の場合は、上記R1、R2、R3と同様の基が例示できる。R6及びXのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物の具体例としては、イソプロピルメチルジクロロシラン、イソプロピルエチルジクロロシラン、イソプロピルプロピルジクロロシラン、イソプロピルブチルジクロロシラン、イソプロピルイソブチルジクロロシラン、イソプロピルフェニルジクロロシラン、イソプロピルベンジルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、sec−ブチルメチルジクロロシラン、sec−ブチルエチルジクロロシラン、sec−ブチルプロピルジクロロシラン、sec−ブチルブチルジクロロシラン、sec−ブチルイソブチルジクロロシラン、sec−ブチルフェニルジクロロシラン、sec−ブチルベンジルジクロロシラン、sec−ブチルイソプロピルジクロロシラン、ジsec−ブチルジクロロシラン、シクロペンチルメチルジクロロシラン、シクロペンチルエチルジクロロシラン、シクロペンチルプロピルジクロロシラン、シクロペンチルブチルジクロロシラン、シクロペンチルイソブチルジクロロシラン、シクロペンチルフェニルジクロロシラン、シクロペンチルベンジルジクロロシラン、シクロペンチルイソプロピルジクロロシラン、シクロペンチルsec−ブチルジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジクロロシラン、シクロヘキシルプロピルジクロロシラン、シクロヘキシルブチルジクロロシラン、シクロヘキシルイソブチルジクロロシラン、シクロヘキシルフェニルジクロロシラン、シクロヘキシルベンジルジクロロシラン、シクロヘキシルイソプロピルジクロロシラン、シクロヘキシルsec−ブチルジクロロシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルエチルジクロロシラン、t−ブチルプロピルジクロロシラン、t−ブチルイソプロピルジクロロシラン、t−ブチルブチルジクロロシラン、t−ブチルイソブチルジクロロシラン、t−ブチルsec−ブチルジクロロシラン、t−ブチルシクロペンチルジクロロシラン、t−ブチルシクロヘキシルジクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、t−ブチルベンジルジクロロシラン、ジt−ブチルジクロロシラン、t−アミルメチルジクロロシラン、t−アミルエチルジクロロシラン、t−アミルプロピルジクロロシラン、t−アミルイソプロピルジクロロシラン、t−アミルブチルジクロロシラン、t−アミルイソブチルジクロロシラン、t−アミルsec−ブチルジクロロシラン、t−アミルシクロペンチルジクロロシラン、t−アミルシクロヘキシルジクロロシラン、t−アミルフェニルジクロロシラン、t−アミルベンジルジクロロシラン、t−アミルt−ブチルジクロロシラン、ジt−アミルジクロロシラン、テキシルメチルジクロロシラン、テキシルエチルジクロロシラン、テキシルプロピルジクロロシラン、テキシルイソプロピルジクロロシラン、テキシルブチルジクロロシラン、テキシルイソブチルジクロロシラン、テキシルsec−ブチルジクロロシラン、テキシルシクロペンチルジクロロシラン、テキシルシクロヘキシルジクロロシラン、テキシルフェニルジクロロシラン、テキシルベンジルジクロロシラン、テキシルt−ブチルジクロロシラン、テキシルt−アミルジクロロシラン、ジテキシルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)メチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)エチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)プロピルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)フェニルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)テキシルジクロロシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)ジクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−アミルトリクロロシラン、テキシルトリクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)トリクロロシラン等が例示される。これらの中でも特に、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルエチルジクロロシラン、t−ブチルプロピルジクロロシラン、t−ブチルトリクロロシランが好ましい。
【0018】
また、上記一般式(4)におけるR1、R2、R3は上述したものが例示でき、上記一般式(4)で示されるカルボン酸化合物の具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等が例示される。
【0019】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、上記一般式(4)で示されるカルボン酸化合物との配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物のケイ素−ハロゲン原子結合1モルに対し、一般式(4)で示されるカルボン酸化合物を、0.2〜5モル、特に0.5〜2モルの範囲で用いることが好ましい。
【0020】
上記嵩高い置換基を有するハロシラン化合物とカルボン酸化合物の反応においては、ハロゲン化水素が副生するが、副生したハロゲン化水素は含窒素化合物を添加し捕捉してもよい。含窒素化合物としてはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等が例示される。
【0021】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と含窒素化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物のケイ素−ハロゲン原子結合1モルに対し、含窒素化合物を0.1〜15モル、特に0.2〜5モルの範囲が好ましい。
【0022】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜200℃、特に20〜150℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜40時間、特に1〜20時間が好ましい。
【0023】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
以上のようにして得られた反応液からは、蒸留等の通常の方法で目的物を回収することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び実験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0026】
[実施例1]ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルメチルジクロロシラン43.0g(0.25モル)、トリエチルアミン55.6g(0.55モル)、トルエン150mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸37.9g(0.53モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点74−76℃/0.2kPaの留分38.1gを得た。
【0027】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 242,227,185,131,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図1にチャートで示す。
IRスペクトル
図2にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシt−ブチルメチルシランであることが確認された。
【0028】
[実施例2]トリアクリロキシt−ブチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルトリクロロシラン38.3g(0.2モル)、トリエチルアミン66.8g(0.66モル)、トルエン180mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸45.4g(0.63モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点94−95℃/0.2kPaの留分37.1gを得た。
【0029】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 298,241,187,133,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図3にチャートで示す。
IRスペクトル
図4にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、トリアクリロキシt−ブチルシランであることが確認された。
【0030】
[実施例3]ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルメチルジクロロシラン34.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点87−89℃/0.4kPaの留分30.6gを得た。
【0031】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 270,255,213,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図5にチャートで示す。
IRスペクトル
図6にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランであることが確認された。
【0032】
[実施例4]ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルプロピルジクロロシラン39.8g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点129℃/0.6kPaの留分37.8gを得た。
【0033】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 298,283,241,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図7にチャートで示す。
IRスペクトル
図8にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランであることが確認された。
【0034】
[実施例5]ジアクリロキシジイソプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジイソプロピルジクロロシラン37.0g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点103℃/0.5kPaの留分34.2gを得た。
【0035】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 241,213,159,77,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図9にチャートで示す。
IRスペクトル
図10にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシジイソプロピルシランであることが確認された。
【0036】
[実施例6]ジメタクリロキシジイソプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジイソプロピルジクロロシラン37.0g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点85℃/0.4kPaの留分36.0gを得た。
【0037】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 284,269,241,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図11にチャートで示す。
IRスペクトル
図12にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシジイソプロピルシランであることが確認された。
【0038】
[実施例7]ジアクリロキシシクロヘキシルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、シクロヘキシルメチルジクロロシラン39.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点113℃/0.4kPaの留分31.8gを得た。
【0039】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 253,185,131,77,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図13にチャートで示す。
IRスペクトル
図14にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランであることが確認された。
【0040】
[実施例8]ジアクリロキシジシクロペンチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジシクロペンチルジクロロシラン47.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点144℃/0.3kPaの留分38.1gを得た。
【0041】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 308,239,185,167,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図15にチャートで示す。
IRスペクトル
図16にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシジシクロペンチルシランであることが確認された。
【0042】
[実験例1]ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランとジメタクリロキシジメチルシランとの加水分解性比較
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに、水5g、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン0.54g(0.002モル)、ジメタクリロキシジメチルシラン0.46g(0.002モル)、内部標準としてヘプタン5gを仕込み、室温で撹拌し、10分後のカルボン酸シリルエステル化合物の加水分解反応の進行度合いをガスクロマトグラフィー分析により定量した。その結果、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランは5%加水分解しているに過ぎなかったが、ジメタクリロキシジメチルシランはすべて加水分解しており、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランはジメタクリロキシジメチルシランに比べ加水分解に対し安定であることが明らかとなった。
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物に関する。この化合物は表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリロキシ基を2つ以上有する有機ケイ素化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用であり、例えば特許文献1(特公昭49−7564号公報)には、メチルトリメタクリロキシシランがプラスチック表面の硬度、耐溶剤性の表面特性を改善するためのコーティング用組成物の添加剤として有用であるとの記載がある。また、非特許文献1(歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006))には、ジメチルシリルジメタクリレート等の含ケイ素ジメタクリレート化合物が歯科用コンポジットレジンに撥水性を付与するための添加モノマーとして有用であるとの記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭49−7564号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特公昭49−7564号公報(特許文献1)の化合物、歯科材料・器械,vol.25,No.4,267−274(2006)(非特許文献1)の化合物では、コーティング後や硬化後に経時でカルボキシル基とケイ素原子との結合が加水分解反応を受け、徐々に付与した硬度、耐溶剤性、撥水性等が失われてしまい、長期間付与した性能を維持することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料として使用したときに、付与した性能が長期間維持できるカルボン酸シリルエステル化合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、特定のカルボン酸シリルエステル化合物が、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
従って、本発明は、下記に示す嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物及びその製造方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項2:
上記一般式(1)中のR4が、炭素数4〜10の3級炭化水素基である請求項1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項3:
上記一般式(1)中のR4が、t−ブチル基である請求項2記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
請求項4:
下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明により提供される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物は、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として使用したときに、硬度、耐溶剤性、撥水性を付与でき、且つ付与した性能が長期間維持できるため、表面コーティング用組成物添加剤、塗料等の添加剤、歯科材料用添加剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1で得られたジアクリロキシt−ブチルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で得られたジアクリロキシt−ブチルメチルシランのIRスペクトルである。
【図3】実施例2で得られたトリアクリロキシt−ブチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図4】実施例2で得られたトリアクリロキシt−ブチルシランのIRスペクトルである。
【図5】実施例3で得られたジメタクリロキシt−ブチルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図6】実施例3で得られたジメタクリロキシt−ブチルメチルシランのIRスペクトルである。
【図7】実施例4で得られたジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図8】実施例4で得られたジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランのIRスペクトルである。
【図9】実施例5で得られたジアクリロキシジイソプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図10】実施例5で得られたジアクリロキシジイソプロピルシランのIRスペクトルである。
【図11】実施例6で得られたジメタクリロキシジイソプロピルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図12】実施例6で得られたジメタクリロキシジイソプロピルシランのIRスペクトルである。
【図13】実施例7で得られたジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図14】実施例7で得られたジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランのIRスペクトルである。
【図15】実施例8で得られたジアクリロキシジシクロペンチルシランの1H−NMRスペクトルである。
【図16】実施例8で得られたジアクリロキシジシクロペンチルシランのIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物は、下記一般式(1)
【化4】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化5】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される化合物である。
【0011】
ここで、R1、R2、R3が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基の場合、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、イコシル基等の直鎖状のアルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−アミル基、テキシル基、2−エチルヘキシル基等の分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等の環状のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基等のアラルキル基等が例示され、特にメチル基が好ましい。また、炭化水素基の水素原子の一部又は全部が置換されていてもよく、該置換基としては、具体的には、例えば、メトキシ基、エトキシ基、(イソ)プロポキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子からなる基;シアノ基、アミノ基、フェニル基、トリル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;エステル基、エーテル基、アシル基、スルフィド基、アルキルシリル基、アルコキシシリル基等が挙げられ、これらを組み合わせて用いることもできる。また、R1とR2及びR2とR3が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に炭素数3〜20の環、特に脂環を形成してもよい。R1、R2及びR3としては、特に水素原子、メチル基が好ましい。
【0012】
R4は炭素数3〜10、特に3〜7の1価の2級又は3級炭化水素基であり、具体的にはイソプロピル基、sec−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基、t−アミル基、テキシル基、1−メチルシクロヘキシル基等が例示され、特にt−ブチル基、テキシル基が好ましい。
【0013】
R5が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基の場合、上記R1、R2、R3と同様の基が挙げられる。R5としては、特にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、上記一般式(2)で示される基が好ましい。
【0014】
上記一般式(1)で示される化合物の具体例としては、ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルプロピルシラン、ジアクリロキシt−ブチルイソプロピルシラン、ジアクリロキシt−ブチルブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルイソブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシt−ブチルフェニルシラン、ジアクリロキシt−ブチルベンジルシラン、ジアクリロキシジt−ブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルメチルシラン、ジアクリロキシt−アミルエチルシラン、ジアクリロキシt−アミルプロピルシラン、ジアクリロキシt−アミルイソプロピルシラン、ジアクリロキシt−アミルブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルイソブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシt−アミルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシt−アミルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシt−アミルフェニルシラン、ジアクリロキシt−アミルベンジルシラン、ジアクリロキシt−アミルt−ブチルシラン、ジアクリロキシジt−アミルシラン、ジアクリロキシテキシルメチルシラン、ジアクリロキシテキシルエチルシラン、ジアクリロキシテキシルプロピルシラン、ジアクリロキシテキシルイソプロピルシラン、ジアクリロキシテキシルブチルシラン、ジアクリロキシテキシルイソブチルシラン、ジアクリロキシテキシルsec−ブチルシラン、ジアクリロキシテキシルシクロペンチルシラン、ジアクリロキシテキシルシクロヘキシルシラン、ジアクリロキシテキシルフェニルシラン、ジアクリロキシテキシルベンジルシラン、ジアクリロキシテキシルt−ブチルシラン、ジアクリロキシテキシルt−アミルシラン、ジアクリロキシジテキシルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)エチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)プロピルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルシラン、ジアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)テキシルシラン、ジアクリロキシジ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、トリアクリロキシt−ブチルシラン、トリアクリロキシt−アミルシラン、トリアクリロキシテキシルシラン、トリアクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルイソブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルフェニルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルベンジルシラン、ジメタクリロキシジt−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルメチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルエチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルプロピルシラン、ジメタクリロキシt−アミルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシt−アミルブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルイソブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシt−アミルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシt−アミルフェニルシラン、ジメタクリロキシt−アミルベンジルシラン、ジメタクリロキシt−アミルt−ブチルシラン、ジメタクリロキシジt−アミルシラン、ジメタクリロキシテキシルメチルシラン、ジメタクリロキシテキシルエチルシラン、ジメタクリロキシテキシルプロピルシラン、ジメタクリロキシテキシルイソプロピルシラン、ジメタクリロキシテキシルブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルイソブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルsec−ブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルシクロペンチルシラン、ジメタクリロキシテキシルシクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシテキシルフェニルシラン、ジメタクリロキシテキシルベンジルシラン、ジメタクリロキシテキシルt−ブチルシラン、ジメタクリロキシテキシルt−アミルシラン、ジメタクリロキシジテキシルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)メチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)エチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)プロピルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)フェニルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルシラン、ジメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)テキシルシラン、ジメタクリロキシジ(1−メチルシクロヘキシル)シラン、トリメタクリロキシt−ブチルシラン、トリメタクリロキシt−アミルシラン、トリメタクリロキシテキシルシラン、トリメタクリロキシ(1−メチルシクロヘキシル)シラン等が例示される。これらの中でも特に、ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジアクリロキシt−ブチルプロピルシラン、トリアクリロキシt−ブチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルエチルシラン、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン、トリメタクリロキシt−ブチルシランが好ましい。
【0015】
また、上記一般式(1)で示される化合物の製造方法は、例えば、下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化6】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させる方法が挙げられる。
【0016】
上記一般式(3)におけるR4は上述したものが例示でき、R6が炭素数1〜20、特に1〜10の非置換もしくは置換の1価炭化水素基の場合は、上記R1、R2、R3と同様の基が例示できる。R6及びXのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0017】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物の具体例としては、イソプロピルメチルジクロロシラン、イソプロピルエチルジクロロシラン、イソプロピルプロピルジクロロシラン、イソプロピルブチルジクロロシラン、イソプロピルイソブチルジクロロシラン、イソプロピルフェニルジクロロシラン、イソプロピルベンジルジクロロシラン、ジイソプロピルジクロロシラン、sec−ブチルメチルジクロロシラン、sec−ブチルエチルジクロロシラン、sec−ブチルプロピルジクロロシラン、sec−ブチルブチルジクロロシラン、sec−ブチルイソブチルジクロロシラン、sec−ブチルフェニルジクロロシラン、sec−ブチルベンジルジクロロシラン、sec−ブチルイソプロピルジクロロシラン、ジsec−ブチルジクロロシラン、シクロペンチルメチルジクロロシラン、シクロペンチルエチルジクロロシラン、シクロペンチルプロピルジクロロシラン、シクロペンチルブチルジクロロシラン、シクロペンチルイソブチルジクロロシラン、シクロペンチルフェニルジクロロシラン、シクロペンチルベンジルジクロロシラン、シクロペンチルイソプロピルジクロロシラン、シクロペンチルsec−ブチルジクロロシラン、ジシクロペンチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルエチルジクロロシラン、シクロヘキシルプロピルジクロロシラン、シクロヘキシルブチルジクロロシラン、シクロヘキシルイソブチルジクロロシラン、シクロヘキシルフェニルジクロロシラン、シクロヘキシルベンジルジクロロシラン、シクロヘキシルイソプロピルジクロロシラン、シクロヘキシルsec−ブチルジクロロシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジクロロシラン、ジシクロヘキシルジクロロシラン、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルエチルジクロロシラン、t−ブチルプロピルジクロロシラン、t−ブチルイソプロピルジクロロシラン、t−ブチルブチルジクロロシラン、t−ブチルイソブチルジクロロシラン、t−ブチルsec−ブチルジクロロシラン、t−ブチルシクロペンチルジクロロシラン、t−ブチルシクロヘキシルジクロロシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、t−ブチルベンジルジクロロシラン、ジt−ブチルジクロロシラン、t−アミルメチルジクロロシラン、t−アミルエチルジクロロシラン、t−アミルプロピルジクロロシラン、t−アミルイソプロピルジクロロシラン、t−アミルブチルジクロロシラン、t−アミルイソブチルジクロロシラン、t−アミルsec−ブチルジクロロシラン、t−アミルシクロペンチルジクロロシラン、t−アミルシクロヘキシルジクロロシラン、t−アミルフェニルジクロロシラン、t−アミルベンジルジクロロシラン、t−アミルt−ブチルジクロロシラン、ジt−アミルジクロロシラン、テキシルメチルジクロロシラン、テキシルエチルジクロロシラン、テキシルプロピルジクロロシラン、テキシルイソプロピルジクロロシラン、テキシルブチルジクロロシラン、テキシルイソブチルジクロロシラン、テキシルsec−ブチルジクロロシラン、テキシルシクロペンチルジクロロシラン、テキシルシクロヘキシルジクロロシラン、テキシルフェニルジクロロシラン、テキシルベンジルジクロロシラン、テキシルt−ブチルジクロロシラン、テキシルt−アミルジクロロシラン、ジテキシルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)メチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)エチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)プロピルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)イソプロピルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)イソブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)sec−ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)シクロペンチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)シクロヘキシルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)フェニルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)ベンジルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)t−ブチルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)t−アミルジクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)テキシルジクロロシラン、ジ(1−メチルシクロヘキシル)ジクロロシラン、イソプロピルトリクロロシラン、sec−ブチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、t−ブチルトリクロロシラン、t−アミルトリクロロシラン、テキシルトリクロロシラン、(1−メチルシクロヘキシル)トリクロロシラン等が例示される。これらの中でも特に、t−ブチルメチルジクロロシラン、t−ブチルエチルジクロロシラン、t−ブチルプロピルジクロロシラン、t−ブチルトリクロロシランが好ましい。
【0018】
また、上記一般式(4)におけるR1、R2、R3は上述したものが例示でき、上記一般式(4)で示されるカルボン酸化合物の具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸等が例示される。
【0019】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、上記一般式(4)で示されるカルボン酸化合物との配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物のケイ素−ハロゲン原子結合1モルに対し、一般式(4)で示されるカルボン酸化合物を、0.2〜5モル、特に0.5〜2モルの範囲で用いることが好ましい。
【0020】
上記嵩高い置換基を有するハロシラン化合物とカルボン酸化合物の反応においては、ハロゲン化水素が副生するが、副生したハロゲン化水素は含窒素化合物を添加し捕捉してもよい。含窒素化合物としてはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピルアミン、ジプロピルアミン、トリプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、ジオクチルアミン、トリオクチルアミン、ピペリジン、N−メチルピペリジン、モルホリン、N−メチルモルホリン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等が例示される。
【0021】
上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と含窒素化合物の配合比は特に限定されないが、反応性、生産性の点から、上記一般式(3)で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物のケイ素−ハロゲン原子結合1モルに対し、含窒素化合物を0.1〜15モル、特に0.2〜5モルの範囲が好ましい。
【0022】
上記反応の反応温度は特に限定されないが、0〜200℃、特に20〜150℃が好ましく、反応時間も特に限定されないが、1〜40時間、特に1〜20時間が好ましい。
【0023】
なお、上記反応は無溶媒でも進行するが、溶媒を用いることもできる。用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素系溶媒等が例示される。これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
以上のようにして得られた反応液からは、蒸留等の通常の方法で目的物を回収することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び実験例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0026】
[実施例1]ジアクリロキシt−ブチルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルメチルジクロロシラン43.0g(0.25モル)、トリエチルアミン55.6g(0.55モル)、トルエン150mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸37.9g(0.53モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点74−76℃/0.2kPaの留分38.1gを得た。
【0027】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 242,227,185,131,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図1にチャートで示す。
IRスペクトル
図2にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシt−ブチルメチルシランであることが確認された。
【0028】
[実施例2]トリアクリロキシt−ブチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルトリクロロシラン38.3g(0.2モル)、トリエチルアミン66.8g(0.66モル)、トルエン180mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸45.4g(0.63モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点94−95℃/0.2kPaの留分37.1gを得た。
【0029】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 298,241,187,133,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図3にチャートで示す。
IRスペクトル
図4にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、トリアクリロキシt−ブチルシランであることが確認された。
【0030】
[実施例3]ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルメチルジクロロシラン34.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点87−89℃/0.4kPaの留分30.6gを得た。
【0031】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 270,255,213,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図5にチャートで示す。
IRスペクトル
図6にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランであることが確認された。
【0032】
[実施例4]ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、t−ブチルプロピルジクロロシラン39.8g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点129℃/0.6kPaの留分37.8gを得た。
【0033】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 298,283,241,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図7にチャートで示す。
IRスペクトル
図8にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシt−ブチルプロピルシランであることが確認された。
【0034】
[実施例5]ジアクリロキシジイソプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジイソプロピルジクロロシラン37.0g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点103℃/0.5kPaの留分34.2gを得た。
【0035】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 241,213,159,77,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図9にチャートで示す。
IRスペクトル
図10にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシジイソプロピルシランであることが確認された。
【0036】
[実施例6]ジメタクリロキシジイソプロピルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジイソプロピルジクロロシラン37.0g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、メタクリル酸36.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点85℃/0.4kPaの留分36.0gを得た。
【0037】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 284,269,241,69,41
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図11にチャートで示す。
IRスペクトル
図12にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジメタクリロキシジイソプロピルシランであることが確認された。
【0038】
[実施例7]ジアクリロキシシクロヘキシルメチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、シクロヘキシルメチルジクロロシラン39.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点113℃/0.4kPaの留分31.8gを得た。
【0039】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 253,185,131,77,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図13にチャートで示す。
IRスペクトル
図14にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシシクロヘキシルメチルシランであることが確認された。
【0040】
[実施例8]ジアクリロキシジシクロペンチルシラン
撹拌機、還流器、滴下ロート及び温度計を備えたフラスコに、ジシクロペンチルジクロロシラン47.4g(0.2モル)、トリエチルアミン44.5g(0.44モル)、トルエン120mlを仕込み、40℃に加熱した。内温が安定した後、アクリル酸30.2g(0.42モル)を1時間かけて滴下し、更にその温度で2時間撹拌した。生成した塩を濾過により除去した後、濾液を蒸留し、沸点144℃/0.3kPaの留分38.1gを得た。
【0041】
得られた留分の質量スペクトル、1H−NMRスペクトル、IRスペクトルを測定した。
質量スペクトル
m/z 308,239,185,167,55
1H−NMRスペクトル(重ベンゼン溶媒)
図15にチャートで示す。
IRスペクトル
図16にチャートで示す。
以上の結果より、得られた化合物は、ジアクリロキシジシクロペンチルシランであることが確認された。
【0042】
[実験例1]ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランとジメタクリロキシジメチルシランとの加水分解性比較
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えたフラスコに、水5g、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシラン0.54g(0.002モル)、ジメタクリロキシジメチルシラン0.46g(0.002モル)、内部標準としてヘプタン5gを仕込み、室温で撹拌し、10分後のカルボン酸シリルエステル化合物の加水分解反応の進行度合いをガスクロマトグラフィー分析により定量した。その結果、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランは5%加水分解しているに過ぎなかったが、ジメタクリロキシジメチルシランはすべて加水分解しており、ジメタクリロキシt−ブチルメチルシランはジメタクリロキシジメチルシランに比べ加水分解に対し安定であることが明らかとなった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項2】
上記一般式(1)中のR4が、炭素数4〜10の3級炭化水素基である請求項1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項3】
上記一般式(1)中のR4が、t−ブチル基である請求項2記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項4】
下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物の製造方法。
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
[式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R5は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又は下記一般式(2)
【化2】
(式中、R1、R2及びR3は上記と同様である。)
で示される基である。]
で示される嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項2】
上記一般式(1)中のR4が、炭素数4〜10の3級炭化水素基である請求項1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項3】
上記一般式(1)中のR4が、t−ブチル基である請求項2記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物。
【請求項4】
下記一般式(3)
R4R6SiX2 (3)
(式中、R4は炭素数3〜10の1価の2級又は3級炭化水素基、R6は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基又はハロゲン原子、Xはハロゲン原子である。)
で示される嵩高い置換基を有するハロシラン化合物と、下記一般式(4)
【化3】
(式中、R1、R2及びR3は水素原子又は炭素数1〜20の非置換もしくは置換の1価炭化水素基であり、R1とR2又はR2とR3は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。)
で示されるカルボン酸化合物を反応させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1記載の嵩高い置換基を有するカルボン酸シリルエステル化合物の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−254962(P2012−254962A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152587(P2011−152587)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】
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