説明

嵩高織物及びその製法とこれを用いた織物製品

【課題】 極めて嵩高、高密度であって、独特の格子状凹凸構造を有し、多様な用途に供し得る特異な嵩高織物を提供する。
【解決手段】 収縮した蜂巣織り組織を有し、織物表面の格子状模様を構成する各桝目1の凹陥した中央部1bの深さdが各枡目1の辺長wの0.5〜3倍の範囲にある嵩高織物B。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、極めて嵩高で独特の格子状凹凸構造を有し、例えば束子や垢擦り等の摺洗具、クッション材、マット等の敷物を始めとして多様な用途に供し得る特異な嵩高織物及びその製法とこれを用いた織物製品に関する。
【0002】
【従来技術とその課題】従来、凹凸のある嵩高な織物を得る手段としては、太い糸を用いて特殊な織り組織や多重組織としたり、高収縮糸と低収縮糸との収縮差による凹凸を利用して嵩高化する方法(特開昭52−107362号、特公昭64−8098号、特開平5−86571号、特開平5−311574号の各公報等)が知られる。しかるに、これら従来の手段によって得られる織物は、その嵩高性と凹凸の度合が小さいために用途的な展開性に乏しく、せいぜいタオル、敷布、毛布等として厚地に凹凸模様を付与した程度のものでしかなかった。
【0003】この発明は、極めて嵩高且つ高密度であって、従来の嵩高織物とは外観的にも形態的にも全く趣が異なる独特の格子状凹凸構造を有し、多様な用途に供し得る特異な嵩高織物及びその製法とこれを用いた織物製品を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明の請求項1に係る嵩高織物は、収縮した蜂巣織り組織を有し、織物表面の格子状模様を構成する各桝目の凹陥した中央部の深さが各枡目の辺長の0.7〜3倍の範囲にあることを特徴としている。
【0005】すなわち、この嵩高織物は、蜂巣織り組織の格子状模様を構成する各枡目が大きさを縮小して中央の凹陥度合を増すように収縮した構造であるため、厚み方向の嵩高度合が極めて大きく且つ高密度である上、両面が立体的で安定した格子状凹凸をなし、この立体組織の保形性が高く苛酷な使用条件でも形崩れしにくく、クッション性、吸水性、保水性、保温性等にも優れると共に、格子状凹凸による特有の触感と通気性を有し、また独特の美しい外観より高い意匠性を備えることから、広範な用途に利用できる。なお、各桝目の凹陥した中央部の深さが各枡目の辺長の0.5倍未満のものでは嵩高性が不足すると共に保形性も不充分になり、逆に3倍を越えるものでは組織が硬過ぎて有用性を喪失することになる。
【0006】請求項2の発明に係る摺洗具は、上記請求項1の嵩高織物を用いているから、食器や野菜等の洗浄用、入浴時の身体洗い用、自動車の洗車用等として、摺洗力及び耐久性に優れると共に、良好な吸水性及び保水性によって使い勝手がよく、且つ外観体裁の良好なものとなる。また、請求項3の発明に係るクッション材は、同じく上記請求項1の嵩高織物を用いているから、良好なクッション性を備えて、且つ衝撃に強い上、重量によるへたりを生じにくいものとなる。更に請求項4の発明に係る敷物は、同じく上記請求項1の嵩高織物用いているから、保水性、保温性及び触感に優れ、しかも美的興趣性の高いものとなる。
【0007】請求項5の発明に係る嵩高織物の製法は、蜂巣織り組織の織物を織成し、この織物を熱処理して織物面積が70%以下となるように収縮させることにより、厚み方向に嵩高化することを特徴としている。すなわち、この方法によれば、熱処理に伴い、熱収縮性糸が収縮して長さを短縮すると同時に太さを増すが、この収縮作用が蜂巣織り特有の組織において発現する結果、織物の格子状模様を構成する各枡目が小さくなって織物表面の面積が縮小すると共に、該凹凸構造の谷と山が上下に押し拡げられるように変化し、もって織物の厚み方向の嵩が著しく増すと共に高密度化し、形態的にしっかりした極めて立体的な格子状凹凸構造の組織に転化し、前記請求項1のような嵩高織物が容易に且つ確実に得られることになる。
【0008】請求項6の発明では、上記請求項5の嵩高織物の製法において、織成した蜂巣織り組織の織物を所要の大きさに裁断し、この裁断した織物の周縁部における辺方向に沿う糸を除去すると共に、この除去部分と蜂巣織り組織との境界部を縫った上で、この織物を熱処理する。この場合、上記の糸除去部分に残った辺方向に直交する糸が熱処理を経て房状形態となるから、得られる嵩高織物は、熱処理にて嵩高化した格子状凹凸構造の織物の周辺が房にて美しく縁取られ、非常に装飾性の高い形態となり、且つ上記の境界部の縫い付けによって蜂巣織り組織のほぐれを生じない。
【0009】請求項7の発明では、上記請求項5又は6の嵩高織物の製法において、熱収縮性糸が、沸水収縮率10%以上のものである構成としているから、この糸の熱処理に伴う収縮によって立体感に富む格子状凹凸構造の嵩高織物が確実に得られる。
【0010】請求項8の発明では、上記請求項5〜7のいずれかの嵩高織物の製法において、熱処理を水熱により90℃以上の温度で行うようにしているから、熱水中への浸漬、水含浸状態での加熱、スチーム加熱等により、全体的に均質な格子状凹凸構造を有する高品位の嵩高織物が短時間で容易に得られ、また染色を行う場合には染色工程を熱処理に兼用できることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】この発明の嵩高織物の織り組織に採用される蜂巣織りは、枡織りとも称される変化組織であり、周知のように浮き糸を四角形に使って規則正しく並んだ枡型の凹凸を織り出したもので、従来においては主として敷布やカバー類に利用されている。
【0012】図1に示すように、この蜂巣織りの織物Aは、格子状模様を構成する各枡目(1)の四辺(1a)…が稜線状に高くなって中央部(1b)が窪んだ形の凹凸状表面を有し、その窪んだ中央部(1b)が裏面側での稜線交叉部となる形で表裏の凹凸関係は逆になっている。例えば図2(ロ)の組織の場合、製織段階では平坦であるが、同図(イ)の横方向のセクションで示すように、緯糸aと経糸b共に長く浮いている糸が高く盛り上がると共に、順次浮きの少ない糸ほど沈み込み、もって自然に表裏が格子状の凹凸形状となる。
【0013】この発明の嵩高織物は、熱収縮性糸を用いて上記の蜂巣織り組織の織物を織成し、この織物を熱処理によって収縮させることにより、厚み方向に嵩高化したものである。
【0014】すなわち、例えば図3(イ)(ロ)に示すように、元の蜂巣織り組織の織物Aは、格子状で浅い凹凸を有していても組織の糸相互が緩んだ状態で保形性に乏しいが、これを熱処理すれば、熱収縮性糸(2)…が収縮によって長さを短縮すると同時に太さを増すことから、織物の格子状模様を構成する各枡目(1)が小さくなって織物表面の面積が縮小すると共に、該凹凸構造の谷vと山mが上下に押し拡げられる。その結果、図4(イ)(ロ)に示すように、熱処理後の織物Bは、各枡目(1)の凹凸度合が深まって厚み方向に著しく嵩高化すると共に、組織全体が引き締まって高密度化し、極めて立体的で形崩れを生じにくい格子状凹凸構造を有するものとなる。
【0015】蜂巣織り組織の織物Aの上記熱処理による収縮度合は、その面積が熱処理前に比較して70%以下、特に好ましくは50〜20%となるように設定すべきであり、この収縮度合が小さ過ぎると組織の保形性が悪くなると共に、極端に大き過ぎては織物組織の過度な高密度化によって硬くなる。また、この収縮を経た織物の格子状凹凸構造は、図4(イ)(ロ)に示す各枡目(1)の凹陥した中央部の深さdが各枡目(1)の辺長wの0.5〜3倍の範囲にあることが望ましく、この値が0.5倍未満では嵩高化が不充分であると共に組織の保形性も不足し、逆に3倍を越える場合は収縮度合を極めて大きくする必要があるために組織が硬くなり過ぎて支障を生じる。好ましくは、1.0〜2.5倍程度である。
【0016】熱収縮性糸は、所謂バルキー綿(一般にアクリル)の混紡によって熱収縮性を付与したポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリルニトリル系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリ塩化ビニリデン系等の合成繊維糸あるいは綿、レーヨン等の天然繊維糸であり、熱収縮糸として市販されるものを支障なく使用できるが、その沸水収縮率が10%以上であるものが好ましく、この沸水収縮率が低過ぎるものでは充分な嵩高化を行えない。なお、この沸水収縮率の上限には制約はないが、現状で入手可能な熱収縮性糸の沸水収縮率は最大40%である。また使用可能な原糸番手は、1/0.1〜1/100の範囲である。
【0017】この発明で用いる蜂巣織り組織の織物は、上記の熱収縮糸を用いて織成するが、必ずしも熱収縮糸のみで織成したものに限らず、緯糸と経糸の一方を熱収縮糸として他方を非熱収縮糸としたものや、緯糸及び経糸に熱収縮糸と非熱収縮糸を併用したものも包含するが、熱収縮による嵩高化を顕著に発現させる上で特に全部の糸が熱収縮糸であるものが推奨される。しかして、使用する熱収縮糸の糸番手、収縮率、撚り本数、撚りの強弱、蜂巣織り組織の構成等を適宜設定することにより、熱処理を経て得られる嵩高織物の厚さ、硬さ、組織密度等を嵩高織物の用途に応じた適正範囲に調整できる。また、嵩高織物の用途に対応して、これに用いる熱収縮糸としても、その混紡繊維の種類等によって吸水、抗菌、消臭その他の応じた特性を具備するものを使用できる。
【0018】例えば、クッション材用としては、沸水収縮率20〜40%の太番手(1/2 〜1/10の単糸〜5本撚り程度)の熱収縮糸がよく、熱処理を経て得られる嵩高織物は非常に嵩高で腰が強く良好なクッション性を備え、且つ衝撃に強い上に重量によるへたりを生じにくいものとなる。また敷物用や水周りマット用としては、沸水収縮率15〜35%の中番手(1/5〜1/20の単糸〜5本撚り程度)の熱収縮糸がよく、密度及び嵩高性が適度で保水性や保温性に優れ、且つ触感及び美的興趣性の良い嵩高織物が得られる。更に食器や野菜等の洗浄、入浴時の身体洗い、自動車の洗車等に用いる摺洗具には、沸水収縮率10〜30%の中・細番手(1/10〜1/50の単糸〜5本撚り程度)の熱収縮糸がよく、摺洗力及び耐久性に優れると共に、良好な吸水性及び保水性によって使い勝手がよく、且つ外観体裁の良好な嵩高織物が得られる。
【0019】熱処理は湿熱と乾熱のいずれでもよいが、織物全体を均一に収縮させる上で湿熱の方が好適である。この湿熱での熱処理は、温度90℃以上の温度、一般的には90〜100℃にて行うのがよく、熱水中への浸漬、スプレーや水中浸漬にて水を含浸した状態での加熱、スチーム加熱等を採用できるが、特に熱水浸漬によれば数秒〜数分程度の短時間で均質な格子状凹凸構造を有する高品位の嵩高織物を容易に製出できる。また、パドル染色等を行う場合は、この染色処理を収縮のための熱処理と兼用することが可能である。なお、乾熱による処理温度は90〜140℃程度である。
【0020】一方、織成した蜂巣織り組織の織物を所要の大きさに裁断し、この裁断した織物の周縁部における辺方向に沿う糸を除去すると共に、この除去部分と蜂巣織り組織との境界部を縫った上で、前記の熱処理を行えば、上記の糸除去部分に残った辺方向に直交する糸が熱処理を経て房状形態となる。従って、図5に示すように、得られる嵩高織物Bは、熱処理にて嵩高化した格子状凹凸構造の領域(3)の周辺が房(4)にて美しく縁取られた、非常に装飾性の高い形態となり、且つ上記の境界部(5)の縫い付けによって蜂巣織り組織のほぐれを生じない。
【0021】この発明に係る嵩高織物は、前記のように、厚み方向の嵩高度合が大きい上、両面が立体的で安定した格子状凹凸をなし、この立体組織の保形性が高く苛酷な使用条件でも形崩れしにくく、クッション性、吸水性、保水性、保温性等にも優れると共に、格子状凹凸による特有の触感と通気性を有し、また独特の美しい外観より高い意匠性を備えることから、これらの特性を活かして広範な用途展開が可能である。
【0022】その具体例としては、食器や野菜等の洗浄に用いる台所用摺洗具(布たわし)、入浴時の身体洗い用摺洗具、自動車の洗車用摺洗具、モップ等の清掃用布材、クッション材、床敷、ベッドパッド、ペッドや椅子の上張り、椅子カバー、シートカバー、敷布(特に床ずれ防止用)、座布団カバー、枕用布地、枕カバー、台所や浴室出入り口等に敷く水周りマット、玄関マット、袋物の布地、バッグの外張り及び内張り材、置物の下敷き、スリッパ材料、靴中敷、靴拭き等の多種多様のものが挙げられるが、とりわけ摺洗具、クッション材、床敷や各種マットを含む敷物として極めて有用である。無論、この発明の嵩高織物は、これら用途に応じて袋状を始めとする様々な形態に縫製したり、他の布材と縫い合わせて用いることができる。
【0023】
【実施例】実施例1アクリル14番手3本撚りの熱収縮糸(沸水収縮率23%)を使用し、緯糸を22本/インチ間、経糸を22本/インチ間として、8枚綜絖枠を用いて蜂巣の枡目を1枡約16mm角に設定し、目付け390〜400g/m2 の蜂巣織り組織の織物生地を織成した。この織物生地を矩形に裁断して周縁周縁部における辺方向に沿う糸を除去し、この除去部分と蜂巣織り組織との境界部を縫ったもの(蜂巣織り組織部分の大きさ24cm×15cm)について、黄色染料を用いて熱処理を兼ねて100℃にて20分間のパドル染色を行ったのち、30分かけて徐冷し、次いで3分間脱水した上で30分間の乾燥(最高温度60℃)を行い、黄色の嵩高織物を得た。
【0024】この実施例1の嵩高織物は、蜂巣織り組織部分の大きさが14.5cm×9cmであり、処理前の織物に比較して縦横長さが各々約40%収縮し、面積として約36%まで縮小し、全周に図5に示すような房を有するものであった。そして、両面の蜂巣織り組織部分は、各枡目の辺長約9mm、各枡目の凹陥した中央部の深さ約12mmの格子状凹凸構造をなしており、全体が柔軟で外観体裁もよく、保温性や吸水性が高く、とりわけ敷物としての適性に優れるものであった。
【0025】実施例2熱収縮糸としてアクリル14番手3本強撚りの熱収縮糸(沸水収縮率30%)を使用した以外は、実施例1と同様にして全周に房を有する嵩高織物を得た。この嵩高織物は、蜂巣織り組織部分の大きさが12cm×7.5cmであり、処理前の織物に比較して縦横長さが各々約50%収縮し、面積として約25%まで縮小していた。そして、両面の蜂巣織り組織部分は、各枡目の辺長約7mm、各枡目の凹陥した中央部の深さ約11mmの格子状凹凸構造をなすが、腰が強く全体的に強靱で硬い感触を有しており、引っ張りや押圧による変形が少なく、摺洗力及び保水力が大きく、とりわけ摺洗具としての適性に優れるものであった。
【0026】実施例3アクリル10番手4本撚りの熱収縮糸(沸水収縮率23%)を使用し、緯糸を18本/インチ間、経糸を16本/インチ間として、8枚綜絖枠を用いて蜂巣の枡目を1枡約20mm角に設定し、目付け610〜620g/m2 の蜂巣織り組織の織物生地を織成した。この織物生地を矩形に裁断して周縁周縁部における辺方向に沿う糸を除去し、この除去部分と蜂巣織り組織との境界部を縫ったもの(蜂巣織り組織部分の大きさ24cm×15cm)について、100℃の熱湯中に5分間浸漬し、引き上げて5分間放冷し、次いで3分間脱水した上で30分間の乾燥(最高温度60℃)を行い、嵩高織物を得た。
【0027】この実施例3の嵩高織物は、蜂巣織り組織部分の大きさが14.5cm×9cmであり、処理前の織物に比較して縦横長さが各々約40%収縮し、面積として約36%まで縮小し、全周に図5に示すような房を有するものであった。そして、両面の蜂巣織り組織部分は、各枡目の辺長約11mm、各枡目の凹陥した中央部の深さ約9mmの格子状凹凸構造をなし、特に格子状の配置が幾何学的に整然として美しい外観を示すと共に、クッション性に富み、特に全体が柔軟であるが弾力的でクッション性に富み、とりわけクッション材として優れた適性を有するものであった。
【0028】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、極めて嵩高且つ高密度であって、従来の嵩高織物とは外観的にも形態的にも全く趣が異なる立体的で安定した独特の格子状凹凸組織を有し、この立体組織の保形性が高く苛酷な使用条件でも形崩れしにくく、クッション性、吸水性、保水性、保温性等にも優れると共に、格子状凹凸による特有の触感と通気性を有し、また独特の美しい外観より高い意匠性を備えることから、広範な用途展開が可能な嵩高織物が提供される。
【0029】請求項2の発明によれば、食器や野菜等の洗浄用、入浴時の身体洗い用、自動車の洗車用等に使用する摺洗具として、摺洗力及び耐久性に優れると共に、良好な吸水性及び保水性によって使い勝手がよく、且つ外観体裁の良好なものが提供される。
【0030】請求項3の発明によれば、クッション材として、独特の格子状凹凸組織に基づく良好なクッション性を備えて、且つ衝撃に強い上、重量によるへたりを生じにくいものが提供される。
【0031】請求項4の発明によれば、床敷や各種マット等の敷物として、独特の格子状凹凸組織を有し、保温性、保水性、触感に優れ、しかも美的興趣性の高いものが提供される。
【0032】請求項5の発明に係る嵩高織物の製法によれば、蜂巣織り組織を有する織物を単に熱処理するだけで、前記の立体的で安定した独特の格子状凹凸組織を有する嵩高織物が容易に且つ確実に得られる。
【0033】請求項6の発明に係る嵩高織物の製法によれば、前記の立体的で安定した独特の格子状凹凸組織を有する嵩高織物として、周辺が房にて美しく縁取られて非常に装飾性の高い形態のものが得られると共に、熱処理時に蜂巣織り組織の周辺のほぐれを防止できる。
【0034】請求項7の発明に係る嵩高織物の製法によれば、立体感に富む格子状凹凸構造の嵩高織物を確実に得ることができる。
【0035】請求項8の発明に係る嵩高織物の製法によれば、全体的に均質な格子状凹凸構造を有する高品位の嵩高織物を短時間で容易に得ることができると共に、染色を行う場合の染色工程を熱処理に兼用できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に用いる蜂巣織り組織を有する織物を例示する斜視図である。
【図2】 蜂巣織りの組織を示し、(イ)図は横方向のセクションの組織図、(ロ)図は全体の組織図である。
【図3】 この発明に用いる蜂巣織り組織を有する織物の一例を示し、(イ)図は平面図、(ロ)図は(イ)図におけるローロ線の断面矢視図である。
【図4】 この発明に係る嵩高織物の一例を示し、(イ)図は平面図、(ロ)図は(イ)図におけるローロ線の断面矢視図である。
【図5】 この発明に係る嵩高織物の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1・・・・・枡目
1a・・・・辺
1b・・・・中央部
2・・・・・熱収縮糸
3・・・・・格子状凹凸構造の領域
4・・・・・房
A・・・・・蜂巣織り組織を有する織物
B・・・・・嵩高織物
d・・・・・凹陥した中央部の深さ
w・・・・・各枡目の辺長

【特許請求の範囲】
【請求項1】 収縮した蜂巣織り組織を有し、織物表面の格子状模様を構成する各枡目の凹陥した中央部の深さが各枡目の辺長の0.5〜3倍の範囲にあることを特徴とする嵩高織物。
【請求項2】 請求項1に記載の嵩高織物を用いた摺洗具。
【請求項3】 請求項1に記載の嵩高織物を用いたクッション材。
【請求項4】 請求項1に記載の嵩高織物を用いた敷物。
【請求項5】 熱収縮性糸を用いて蜂巣織り組織の織物を織成し、この織物を熱処理して織物面積が70%以下となるように収縮させることにより、厚み方向に嵩高化することを特徴とする嵩高織物の製法。
【請求項6】 織成した蜂巣織り組織の織物を所要の大きさに裁断し、この裁断した織物の周縁部における辺方向に沿う糸を除去すると共に、この除去部分と蜂巣織り組織との境界部を縫った上で、この織物を熱処理する請求項5記載の嵩高織物の製法。
【請求項7】 熱収縮性糸が、沸水収縮率10%以上のものである請求項5又は6に記載の嵩高織物の製法。
【請求項8】 熱処理を湿熱90℃以上の温度で行う請求項5〜7のいずれかに記載の嵩高織物の製法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2000−34642(P2000−34642A)
【公開日】平成12年2月2日(2000.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−198733
【出願日】平成10年7月14日(1998.7.14)
【出願人】(598093989)株式会社トーエイ (1)
【出願人】(598093990)暁株式会社 (1)
【出願人】(598094001)
【Fターム(参考)】