説明

工作機械のパーツ用固定支持体

【課題】本発明は、工作機械パーツ用の固定キャリア(1)に関するものである。
【解決手段】前記キャリアは、テーブルフレーム(3)と、第1の被削パーツ(211)を保持可能な第1の面(21)を有するテーブル(2)からなり、前記第1の面は、工作装置の上方に固定配置されており、前記第1のパーツは、工作作業中は静止している。テーブル(2)はまた、第2の被削パーツ(221)を静止状態で保持するための第2の面(22)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作作業中に固定保持されるべきワークピースを機械加工するための、特に大型ワークピース用の、工作機械分野に関する。より詳しくは、本発明は、他のワークピースの機械加工中に背後で(in hidden time)ワークピースを準備することを可能とする固定ワークピース支持体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非常に重く、概して複雑な形状をした大型ワークピースの機械加工が求められるとき、特注生産された工作機械が使用される。
【0003】
従来の工作機械は、被削ワークピースの寸法に合わせ、かつ非常に剛性の高い基部の上に据えられた固定水平テーブルを有する。ワークピースはテーブルの上面に締結される。さらに工作機械は、ワークピースの上方に位置する1つ以上の工作ヘッドを担持する逆U字形状の可動ガントリー(gantry)を有する。
【0004】
しかし、被削ワークピースの求める正確さで工作ヘッドを動かすには複雑さが伴い、結果、ガントリーは動かすには概ね非常に重いものとなってしまい、主に工作時間外の移動中における移動速度を大きく制限する。
【0005】
このタイプのガントリー工作機械の生産性を向上させるための公知の解決法は、背後で作業を行うこと、すなわち、工作機械が他のワークピースに工作作業を行っている間に被削ワークピースにワークピース準備作業を行うことにある。よって、機械がテーブルの一部で1セットのワークピースを機械加工している間に、別セットのワークピースがテーブルの別の部分で準備される。この背後での準備により、準備作業中にガントリーを静止させる必要はなくなるが、一方で、工作テーブルの必要な長さが少なくとも2倍となることにつながり、よって工場の床面積をより広く占有することになる。例えば、全体として数メートルのワークピースの場合、これらの工作機械は、背後での作業を許容するために長さ数十メートルに及ぶことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大型ワークピースを静止状態で保持し、これにより床面積を増すことなく背後での作業が可能となるテーブルの使用は、したがって、工場における工作機械の収容能力を増すという意味において、よって工業生産力を増すという意味において、有益である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、工作機械用の固定ワークピース支持体を提供するもので、これはテーブルフレームと、第1の被削ワークピースを保持可能な第1の面を有するテーブルからなり、前記第1の面は、工作往復台の上方に固定配置されており、前記第1のワークピースは、工作作業中は静止している。テーブルはさらに、第2の被削ワークピースを同様に保持可能な第2の面を有する。
【0008】
本発明の支持体では、前記テーブルの2つの面が交換可能となるように、テーブルが反転可能になっている。
【0009】
第1のワークピースが1つの面上で機械加工され、第2のワークピースが他方の面上で準備されるように、テーブルの寸法に合わせた開口を有するテーブルフレームにテーブルが配置されている。よって、テーブルの他方の面上において背後でワークピース準備作業が、工作機械の床面積を増加させないことを可能とする。
【0010】
被削ワークピースを工作作業中に静止させるため、支持体は、工作作業中に前記テーブルフレーム上でテーブルを静止させるためにテーブルフレームへテーブルを締結するための手段を有する。前記締結手段は、フランジおよび/またはロックおよび/またはロッキングキーおよび/またはベアリングポイントとできる。
【0011】
ある実施例では、テーブルの反転作業を容易とするために、テーブルは、回転軸を有し、これはテーブルの2つの面と実質的に平行であり、かつその軸を規定するピボットが前記テーブルに締結されたベアリングに取り付けられている。
【0012】
好ましくは、テーブルの回転に必要とされる、テーブルとテーブルフレームの開口との間の隙間を最小化するため、回転軸に垂直なフレームの開口の断面は、前記軸を中心に持つ円弧である。
【0013】
好ましくは、工作作業中に対象物または工具が落下するのを防ぐために、支持体はまた、テーブルとテーブルフレームの間にシール手段を有する。
【0014】
ワークピース支持体の詳細な説明は以下の図面を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1a】本発明による被削ワークピース支持体の概略斜視図である。
【図1b】本発明による同一の被削ワークピース支持体を示す図1aのA−A線における横断面図である。
【図2】本発明による被削ワークピース支持体を示す図1aのA−A線における横断面図を示し、可逆テーブルの一例を示す図である。
【図3a】本発明による回転可逆テーブルを有するワークピース支持体の概略斜視図である。
【図3b】本発明による回転可逆テーブルを有する同一のワークピース支持体を示す図3aのB−B線における縦断面図である。
【図3c】本発明による回転可逆テーブルを有する同一のワークピース支持体を示す図3aのA−A線における横断面図である。
【図3d】本発明による回転可逆テーブルを有するワークピース支持体を示す図3aのA−A線における横断面図を示し、テーブルフレームの開口の断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明によると、工作機械用の固定ワークピース支持体1は、図1a、1bに示すようにテーブルフレーム3とテーブル2を有し、
被削ワークピース211を固定位置に保持可能な第1の面21と、
被削ワークピース221を固定位置に保持可能な、前記第1の面21の反対にあり、かつ実質的に平行な第2の上側の面22を有する。
【0017】
支持体1は、実質的に水平で、テーブル2は、最大の被削ワークピースの長さと少なくとも等しい長さを有する。
【0018】
支持体1は、ワークピースの機械加工中にテーブルの安定を確保するのに十分な剛性を有する。
【0019】
被削ワークピースが十分な剛性でテーブル上に保持されることを確実とするために、例えばフランジなどの保持手段4が、テーブル2の面21、22のそれぞれに従来の方式で配置されている。
【0020】
工作作業中、テーブル2は、テーブルフレーム3上に保持されている。前記テーブルフレームは、前記テーブルとワークピース211、221を支持するのに十分な剛性で作られている。
【0021】
支持体1は、好都合には前記支持体の下方に配置された可動工作装置によって、被削ワークピースが機械加工可能なように配置されている。例えば、支持体1はそれ自体が2つの垂直壁5に締結され、これらは工作装置に対してそれを、望ましい一定高さに保持する。
【0022】
テーブル2とテーブルフレーム3は、とりわけ工作作業中に、被削作業中のワークピース211が完全に静止するように固定されている。
【0023】
一実施例においては、1つの方法は、例えば、テーブル2の厚さeよりも大きい厚さdを有し、テーブル2を受け入れ可能とされた開口を有するテーブルフレーム3を、前記テーブルがフレームのリム31上、あるいはテーブル2を受け入れる開口の突出素子上に乗るように、用いることにある。
【0024】
他の実施例においては、図2に示すように、テーブルフレーム3は、傾斜断面のベアリングポイントを有し、開口の断面を補完する三角形断面の端部23を有するテーブル2を受け入れ可能とされた開口を有する。テーブル2は、フレームリム31上、あるいはテーブルを受け入れる開口の内向き突出素子上に乗る。
【0025】
テーブルをフレームに配置し静止させ、よって工作作業中ワークピースを固定状態に保持するために、フランジやロックなどの締結手段7が、テーブルをテーブルフレームに締結するように配置されている。
【0026】
他の手段、例えばキーシステム(図示せず)を用いて、テーブルをテーブルフレーム上に配置し静止させてもよい。
【0027】
さらに、テーブルフレーム3、テーブルの端部23、及び前記テーブルを前記フレームに締結するための手段7が、一方の固定位置では、第1の面21がテーブル2の下面に相当し、第2の面22がテーブルの上面に相当し、第2の位置では、第1の面21がテーブルの上面であり、第2の面22が下面であるように配置されている。こうしてテーブル2の2つの面21、22の一方で1つのワークピースを機械加工し、テーブルの他方の面で別のワークピースを準備することが可能となる。この背後での作業は、工場での工作機械の床面積を増加させることなく支持体上で直接行うことができる。
【0028】
使用されるテーブル面は、操作者の介在を必要とするものであるし、フランジによってまだ保持されていない状態のワークピースがテーブル上に配置されているときに落下する危険がないように、好都合には上向きの面である。
【0029】
取り扱いおよびテーブルの清掃作業を容易とするために、テーブルの上面は好ましくは、テーブルフレームと実質的に同じ高さ、あるいは上方にある。
【0030】
テーブル2を反転するためには、特にワークピース211が第1の面21上で機械加工され、被削ワークピース221が第2の面22上に準備されたとき、リフト手段(図示せず)が利用可能である。第1の工程では、テーブル2がテーブルフレーム3から持ち上げられ、そして第2の工程で反転され、最後に第3の工程で、再び静止状態となるようにフレーム3に再位置決めされる。
【0031】
この反転作業を容易にするために、他の手段を用いてもよい。図3a、3b、3cに示された変形例では、テーブル2が、その縦軸と実質的に対応する回転軸24を中心に回転する。回転軸24は、好ましくは、その軸を規定するピボットがベアリングに取り付けられ、回転運動が必要に応じて、モータあるいは、例えば前記テーブルの2つの端部26に配置されたアクチュエータ25によってもたらされる。
【0032】
好都合には、テーブル2は、テーブルフレーム3に締結されたロック手段8によって前記固定位置に保持される。前記ロック手段は、第1の位置で、テーブル2を固定作業位置に保持し、第2の位置で、前記テーブルが回転可能なようにテーブル2を解放する。2つの面21、22間の位置の逆転は、軸24を中心にテーブル2を180度回転させることによって起きる。
【0033】
好ましくは、テーブルフレーム3は、前記テーブルを持ち上げる必要なしに軸24を中心としたテーブル2の回転を許容する寸法の開口を有する。この場合、図3cに示すように、前記テーブルの端部23とテーブルフレーム3の間に隙間9が形成される。
【0034】
工作作業の中断が必要になり得る状況である、ワークピースの準備作業中における工具や様々な対象物の落下を予防し、および工作作業中に発生する切削油ミストの危険性を避けるために、隙間は好都合には、工作作業の開始前にテーブル1の周囲に配置されたカバーシール10によって閉じられている。
【0035】
図3dに示された変形例では、回転軸に垂直なテーブルフレーム3の開口の断面が、回転軸24を中心に持つ円弧に対応している。この構成は、テーブルの端部23とテーブルフレームの開口の間の隙間9を制限することを可能にする。
【0036】
本発明はこのように、工作作業中に静止状態で保持されねばならないワークピースを機械加工するための工作機械用の固定ワークピース支持体を得ることを可能とするものであり、これにより占有床面積を増大させることなく、他のワークピースを機械加工する間に背後でワークピースの準備が可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 支持体
2 テーブル
3 テーブルフレーム
4 保持手段
5 垂直壁
7 締結手段
8 (締結)ロック手段
9 隙間
10 (カバー)シール手段
21 第1の面
22 第2の面
23、26 端部
24 回転軸
25 アクチュエータ
31 フレームリム
211、221 ワークピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械用の固定ワークピース支持体(1)であり、テーブルフレーム(3)と、第1の被削ワークピース(211)を保持可能な第1の面(21)を有するテーブル(2)からなり、前記第1の面は、工作装置の上方に固定配置されており、前記第1のワークピースは、工作作業中は静止しており、テーブル(2)が、第2の被削ワークピース(221)を静止状態で保持可能な第2の面(22)を有することを特徴とする固定ワークピース支持体。
【請求項2】
2つの面(21、22)が交換可能となるように、テーブル(2)が反転可能であることを特徴とする請求項1記載の支持体。
【請求項3】
第1のワークピース(211)が1つの面(21)上で機械加工され、第2のワークピース(221)が他方の面(22)上で準備されるように、テーブル(2)の寸法に合わせた開口を有するテーブルフレーム(3)にテーブル(2)が配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の支持体。
【請求項4】
工作作業中にテーブルフレーム(3)上でテーブル(2)を静止させるためにテーブル(2)を締結するための手段(7、8)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の支持体。
【請求項5】
締結手段(7、8)は、フランジおよび/またはロックおよび/またはロッキングキーおよび/またはベアリングポイントからなることを特徴とする請求項4記載の支持体。
【請求項6】
テーブル(2)は、回転軸(24)を有し、これはテーブル(2)の面(21、22)と実質的に平行であり、かつその軸を規定するピボットが前記テーブルに締結されたベアリングに取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の支持体。
【請求項7】
回転軸(24)に垂直なテーブルフレーム(3)の開口の断面は、前記軸を中心に持つ円弧であることを特徴とする請求項6記載の支持体。
【請求項8】
テーブルとテーブルフレームの間にシール手段(10)を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の支持体。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【公表番号】特表2010−504222(P2010−504222A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528772(P2009−528772)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【国際出願番号】PCT/FR2007/051995
【国際公開番号】WO2008/035021
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】