工具のための挿入物、および骨アンカー固定装置を組立てるための工具
【課題】工具のための挿入物、および骨アンカー固定装置を組立てるための工具を提供する。
【解決手段】挿入物(320,420)は、骨にアンカー固定されるべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と、受け部とを備える。挿入物(320,420)は、、工具(300,400)の保持具(302,402)の長手方向凹部(302a,402a)に挿通されるように構成される。挿入物(320,420)は骨アンカー固定要素(1)を受けることができ、挿入物(320,420)は、異なる大きさの骨アンカー固定要素(1)を受けるように構成される少なくとも2つの凹部(322a,322b,322c,422a,422b)を有する。
【解決手段】挿入物(320,420)は、骨にアンカー固定されるべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と、受け部とを備える。挿入物(320,420)は、、工具(300,400)の保持具(302,402)の長手方向凹部(302a,402a)に挿通されるように構成される。挿入物(320,420)は骨アンカー固定要素(1)を受けることができ、挿入物(320,420)は、異なる大きさの骨アンカー固定要素(1)を受けるように構成される少なくとも2つの凹部(322a,322b,322c,422a,422b)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、骨アンカー固定装置を組立てるための工具のための挿入物および骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、挿入物は骨にアンカー固定される頭部およびシャフトを有する骨アンカー固定要素と受け部とを備える、挿入物および工具に関する。挿入物は、工具の保持具の長手方向凹部に挿通されるように構成される。挿入物は、骨アンカー固定要素を受けることができ、挿入物は、異なる大きさの骨アンカー固定要素を受けるように構成される少なくとも2つの凹部を有する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタ本体およびキャップを含む、骨アンカーを支持ロッドに接続するための機器を開示する。コネクタ本体は、骨アンカーの挿入、角度形成および取外しのためのソケットを有する。スリーブが設けられ、スリーブは、コネクタ本体の上にわたってスリーブが骨アンカーの挿入を許す一時的な位置に嵌合し、スリーブが角度形成は許すが骨アンカーが外れないようにする仮ロック位置に移動し、またスリーブが骨アンカーの角度形成および外れの両方を防止するロック位置に移動するように構成される。
【0003】
アンカー固定要素の頭部が受け部に対して自由に回動可能である場合、受け部とロッドの挿入部との整列は、たとえば、多数の骨アンカーをロッドに接続すべき場合などのより複雑な臨床適用例では困難になるかもしれない。
【0004】
いくつかの事例では、外科手術の際に異なるアンカー固定要素の中から選んで特定の臨床適用例に最も適切なアンカー固定要素を選択する必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/038350号A2パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0270842号A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0119871号A1
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0266728号A1
【特許文献5】フランス特許第2854143号A1
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0243616号A1
【特許文献7】欧州特許第2191780号A1
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0200128号A1
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0096653号A1
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0105756号A1
【特許文献11】米国特許出願公開第2010/0063545号A1
【特許文献12】米国特許出願公開第2001/0047173号A1
【特許文献13】米国特許出願公開第2008/0234750号A1
【特許文献14】欧州特許第2022423号A1
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0228392号A1
【特許文献16】米国特許出願公開第2008/0108992号A1
【特許文献17】米国特許出願公開第2001/0005796号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の課題は、骨アンカー固定装置を組立てるための改良された工具のための挿入物を提供すること、およびそのような骨アンカー固定装置の組立てのための改良された工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題は、請求項1に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具のための挿入物、および請求項11に記載の工具によって解決される。従属クレームはさらなる発展例を与える。
【0008】
発明に従う受け部は、ロッキングリングが挿入位置である第1の位置にある際に骨アンカー固定要素の頭部が受け部本体の中に挿入されるのを可能にする。この位置で、ロッキングリングは受け部本体に対してラッチされる。したがって、ロッキングリングがうっかり動かされて受け部本体の頭部受け部分を圧縮することはなく、頭部の挿入が容易になる。
【0009】
予備ロック位置である第2の位置では、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、かつ頭部受け部分が圧縮されるため、骨アンカー固定要素は調節可能な角度付けられた位置に保持されるが、完全にはロックされない。これにより骨アンカー固定要素がうっかり外れることがなくなり、調節可能な角度付けられた位置で骨アンカー固定要素の頭部に対して受け部本体を保持できるようになる。したがって、外科手術の際の骨アンカー固定装置の安全かつ便利な取り扱いを保証することができる。
【0010】
ロック位置である第3の位置では、ロッキングリングは、骨アンカー固定要素が完全にロックされ回動不能となるように頭部受け部分を圧縮する。
【0011】
受け部本体およびロッキングリングは予め組立てられていてもよく、骨アンカー固定要素の頭部の導入を可能にする第1の位置にロッキングリングがラッチされる構成に製造されてから配送されてもよい。たとえば、所望の直径および長さを有する骨ねじである好適な骨アンカー固定要素を選択し、受け部に挿通することができる。その後で、頭部が予備ロックされる、受け部に対する第2の位置にロッキングリングを動かすことができる。第2の位置で受け部本体のロッキングリングがラッチされる音が聞こえるので、骨アンカー固定装置を組立てる人は受け部への骨アンカー固定要素の正しい組立てを確かめることができる。予備ロックされた条件では、ねじ要素は、頭部のクランプ留めの摩擦力を上回る付加的な力が加わることによってのみ受け部に対して回動可能であってもよい。
【0012】
実際の臨床要件に依存して、要求に応じてさまざまなアンカー固定要素の任意の好適な受け部との組合せを可能にするモジュール式システムを骨アンカー固定装置に設けることができる。これは多軸ねじに関連のコストを低減し、在庫を減らし、外科医にインプラントの幅広い選択肢を与える。
【0013】
骨アンカー固定装置を組立てる方法は、たとえば、外科手術の前またはその間に外科医または外科医を補助するいずれの人員などのいずれの専門家によっても行なわれ得る。
【0014】
発明の実施例に従う工具および挿入物は取り扱いが容易であり、骨アンカー固定装置のより安全な組立てを与える。
【0015】
発明のさらなる特徴および利点が添付の図面による実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】発明の実施例に従う骨アンカー固定装置の分解斜視図である。
【図2】組立てられた状態の図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【図3】発明の実施例に従うロッキングリングの拡大斜視図である。
【図4】図3の線A−Aに沿った、図3に示されるロッキングリングの断面図である。
【図5】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第1の位置にある、ロッドの軸に垂直に取られた、組立てた状態の発明の実施例に従う骨アンカー固定装置の断面図である。
【図6】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第2の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図7】ロッキングリングが第3の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、ロッドが挿入され固定された、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図8】受け部の中に骨アンカー固定要素が挿通されようとしている、組立ての第1のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図9】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に導入されて予備ロックされた、組立ての第2のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図10】頭部がロックされた骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図11】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされて頭部の導入を可能にする第1の位置にある、受け部の部分の拡大断面図である。
【図12】ロッキングリングによって付加的なクランプ留めが行なわれる、最終的にロックされた状態の骨アンカー固定装置の部分の拡大断面図である。
【図13】骨アンカー固定装置を組立てるための、発明の第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図14】骨アンカー固定要素が保持具に挿通された、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図15】受け部が保持具に挿通される、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図16】受け部が保持具に導入された、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図17a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部の中に挿通されようとしている、組立てのステップを図示する、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図17b】図17aの部分の拡大図である。
【図18a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通された、組立ての別のステップを図示する第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図18b】図18aの拡大した部分を示す図である。
【図19】骨アンカー固定装置の頭部の挿入の後であって、予備ロック位置に入る前の、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図20】骨アンカー固定装置が予備ロック位置にある第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図21】骨アンカー固定装置のロッキングリングが予備ロック位置を取り、頭部をクランプ留めする、第1の実施例に従う工具の拡大した部分の斜視図である。
【図22】骨アンカー固定装置を組立てるための、発明の第2の実施例に従う工具の斜視図である。
【図23】第2の実施例に従う第2の保持具の斜視図である。
【図24】第2の実施例に従う第2の保持具の分解斜視図である。
【図25a】第1の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図25b】第2の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図26a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図27】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の断面図である。
【図28a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図28b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図28c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図29】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通される、組立てのステップを図示する、発明の第3の実施例に従う工具の斜視図である。
【図30a】いくつかのシリンダ形状またはU字形状の凹部を有する円筒形セクションの形態の、第3の実施例に従う第1の保持具のための第1の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図30b】第3の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図31】組立てられた状態の、第3の実施例に従う第1の保持具および挿入物を示す図である。
【図32】第1の実施例に従う挿入物の断面図である。
【図33】アセンブリが第3の実施例に従うねじを保持する、第1の実施例に従う枠、第1の保持具、および挿入物の断面図である。
【図34】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通される、組立てのステップを図示する、発明の第4の実施例に従う工具の斜視図である。
【図35】組立て前の第2の実施例に従う挿入物および第4の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図36】組立てられた状態の第2の実施例に従う挿入物および第4の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図37】第4の実施例に従う第1の保持具の斜視上面図である。
【図38】第4の実施例に従う第1の保持具の斜視底面図である。
【図39】第4の実施例に従う第1の保持具の上面図である。
【図40】第4の実施例に従う第1の保持具の側面図である。
【図41】第4の実施例に従う第1の保持具の側面図である。
【図42】第1の位置にある、第2の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図43】第2の位置にある、第2の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図44】第2の実施例に従う挿入物の上面図である。
【図45】第2の実施例に従う挿入物の側面図である。
【図46】アセンブリが第4の実施例に従うねじを保持する、枠、第1の保持具、および第1の位置にある挿入物の断面図である。
【図47】アセンブリが第4の実施例に従うねじを保持する、枠、第1の保持具、および第2の位置にある挿入物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図7に示されるように、発明の実施例に従う骨アンカー固定装置は、ねじ切りされたシャフト2とカーブした表面部分を有する頭部3とを有する骨ねじの形態の骨アンカー固定要素1を含む。この実施例では、頭部3は球状セグメントの形状である。頭部3は工具との係合のための凹部4を有する。骨アンカー固定装置は、ロッド6を受けてこれを骨アンカー固定要素1に接続するための受け部本体5も含む。さらに、受け部本体5中にロッド6を固定するため、雌ねじの形態の固定要素7が設けられる。骨アンカー固定装置は、頭部3を受け部本体5にロックするためのロッキングリング8も含む。
【0018】
受け部本体5は、実質的に円筒形で、第1の端9aと、第1の端9aとは反対側の第2の端9bとを有するロッド受け部分9を備える。図5から図7に示されるように、同軸の第1のボア10が第2の端9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。ロッド受け部分9はさらに、第1の端9aから第2の端9bからの距離へ延在する同軸の第2のボア11を有する。第2のボア11の直径は第1のボア10よりも大きい。実質的にU字形状の凹部12がロッド受け部分9の第1の端9aから第2の端9bの方向に延在し、凹部12の直径は、ロッド6を凹部12の中に置くことができ、かつその中を導くことができるようにロッド6の直径よりもわずかに大きくなっている。凹部12により、雌ねじ山13が設けられる2つの自由な脚12a、12bが形成される。雌ねじ山13は、メートルねじ、平頭ねじ、負角ねじ、鋸歯ねじ、またはいずれの他の種類のねじ山でもあり得る。好ましくは、平頭ねじまたは負角ねじなどのねじ山が用いられ、これは雌ねじ7が螺合される際に脚12a、12bが広がるのを防止する。凹部12の深さは、ロッド6および雌ねじ7を脚12aと12bとの間に挿入可能であるようなものである。
【0019】
図1に見られるように、凹部12によって形成されるチャネルのいずれかの端のロッド受け部分9に切欠き15が設けられる。
【0020】
脚12a、12bの領域のロッド受け部分9の外面に、周方向に延在し、ロッキングリング8の部分と係合するように働く溝16が設けられる。溝16は、ロッキングリング8が1つの方向にシフトされる際にロッキングリング8と溝16との間の係合解除を可能にするように非対称である。溝16の非対称な形状は、下向きに傾いた下方壁16aおよびロッド受け部分9の外面に実質的に垂直の上方壁16bによって実現される。
【0021】
第2の端9bの側に、受け部本体5は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための収容スペースを設ける頭部受け部分17を有する。頭部受け部分17の最大外径は、ロッド受け部分9の最大外径よりも小さい。内部中空セクション18は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための座を形成し、開口19を介して頭部受け部分17の自由端17bに向けて開放している。中空セクション18はその形状が頭部3の形状に対応している。示される実施例では、中空セクション18は球状の頭部3を収容する球状セクションである。さらに、中空セクション18は、頭部3の最大直径を含む領域を覆う側から骨アンカー固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0022】
自由端17bに向けて開放している複数のスリット20が頭部受け部分17に設けられている。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にするので、中空の内部部分18の中に頭部3を摩擦によってクランプ留めし、最終的にこれをロックするように頭部受け部分を圧縮可能である。スリット20の数および大きさは、頭部受け部分17の所望の可撓性に依存して与えられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17を拡張させることによってアンカー固定要素1の頭部3を挿入可能であり、頭部受け部分17を圧縮することによって頭部3をクランプ留め可能であるようなものである。
【0023】
頭部受け部分17の外面は第1のセクション21を有し、その外径は、たとえば外向きにカーブするまたは円錐形に広がる態様で自由端17bに向けて大きくなっている。第1のセクション21に隣接して、第1のセクション21に対して窪み、かつロッキングリング8の対応する部分と係合するように働く周方向の溝22が存在する。溝22は、ロッキングリング8を1つの方向に動かす際にロッキングリング8と溝22との間の係合解除を可能にするように非対称である。溝22の非対称の形状は、下向きに傾いた下方壁22aおよび頭部受け部分17の外面に実質的に垂直の上方壁22によって実現される。
【0024】
第1のセクション21とは反対側の溝22に隣接して、実質的に円筒形の外面を有する頭部受け部分17の第3の部分23が存在する。第3の部分23は、ロッキングリング8の部分と協働してロッキングリング8のクランプ留め効果を高めるように構成される。
【0025】
次に、図1から図7を参照してロッキングリング8を説明する。ロッキングリング8は実質的に円筒形であり、上方端8aおよび下方端8bを有する。装着された状態で、上方端8aはロッド受け部分9の第1の端9aの方向に向いている一方で、下方端8bは頭部受け部分17の自由端17bに向いている。下方端8bの近くには、内面81aを有する第1の部分81が設けられ、これは頭部受け部分17の第1の外面部分21と協働して頭部受け部分17を圧縮する。第1の部分81の外面も、底部の外径が小さくなっていくように先細にされていてもよい。たとえば、第1の部分81の大きさは、先細にされた内面81aが頭部受け部分17の外面部分21と係合して頭部受け部分17に圧縮力を加えることができるようなものである。ロッキングリング8の第1の部分81の内面81aも、ロッキングリング8の中心に向いた曲率でカーブすることができる。
【0026】
下方端8bに、ロッキングリング8は内側に突出する端縁82を含み、その内径はロッキングリング8の他の部分の内径よりも小さい。内側に突出する端縁82は、頭部受け部分17の溝22と係合するように構成される。
【0027】
ロッキングリング8は、スリット84によって互いから分離される上向きに延在する壁部分83aを有する第3の部分83をさらに有する。上向きに延在する壁部分83aは、ロッキングリング8の内周方向肩85の外周に配置され、ロッキングリング8の第3の部分83を可撓性にしている。スリット84の数および大きさならびに壁部分83aの厚みは、所望の可撓性が実現されるように構成される。壁部分83aの自由端に、ロッド受け部分9の外面上の溝16と係合するように形作られる係合セクション83bが設けられる。図5に見られるように、ロッキングリング8の第3の部分83の内径はロッド受け部分9の外径よりもわずかしか大きくない。
【0028】
ロッキングリング8は、図5に示されるようにロッキングリング8が第1の位置にある場合に頭部受け部分17がロッキングリング8内で拡張して頭部3の導入を可能にすることができるように、頭部受け部分17に対してサイズ決めされる。
【0029】
互いに対して径方向に反対に位置する2つの突起86はロッキングリング8の第3の部分83に形成される。突起86は、図5および図6に示されるようにロッキングリング8が頭部3がまだロックされていない位置にある場合に切欠き15の中に延在しかつ実質的にU字形状の凹部12の底部の上に突出する高さを有する。突起86の自由端面86aは、ロッド6の外面に対応する曲率でカーブする、特に内側にカーブすることができる。ロッキングリング8は、受け部本体5の頭部受け部分17の周りで、突起86が凹部12の位置に位置する(たとえば、これと整列する)ように配置される。ここで、突起86は、ロッド6が挿入されていない際にロッキングリング8が回転しないようにする。
【0030】
頭部受け部分17の可撓性および自由端17bの頭部受け部分17の大きさにより、ロッキングリング8を自由端17bから頭部受け部分17上に組立てることによりロッキングリング8を装着できるようになる。頭部受け部分17の外径はロッド受け部分9よりも小さいため、ロッキングリング8は径方向にロッド受け部分9を越えて最小限だけ突出してもよい。
【0031】
雌ねじ7は、脚12a、12b上に設けられた雌ねじ山13に対応するねじ山を有する。脚12a、12bが広がるのを防止するねじ山を用いる場合、雌ねじ7などの単一の固定要素で十分である。これにより径方向の骨アンカー固定装置の大きさが低減される。たとえば外側ナットなどの他の固定要素も可能である。
【0032】
受け部本体5、ロッキングリング8、雌ねじ7、および骨アンカー固定要素1は、たとえば、チタンもしくはステンレス鋼などの生体適合性材料、またはニチノールなどの生体適合性合金、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性プラスチック材料からなる。部品は同じまたは異なる材料から作ることができる。
【0033】
次に、図5から図12を参照してロッキングリング8の機能を説明する。図5に示されるように、ロッキングリング8は、挿入位置であり、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチされる第1の位置にある。第1の位置で、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82が頭部受け部分17の外面上で溝22に係合する。図に見られるように、内側に突出する端縁82の内径は溝22の位置で頭部受け部分17の外径よりも大きく、これにより、頭部3が導入されると頭部受け部分17が拡張できるようになる。第1の位置で、ロッキングリング8は、受け部本体5のロッド受け部分9と、特に図5、図8、および図11に見られるようにわずかに外向きに曲がったロッキングリング8の可撓性壁部分83aとの間のクランプ力によってさらに保持される。
【0034】
ロッキングリング8が第1の位置にある場合、頭部受け部分17は圧縮されない。この位置では、図8に見られるように、ねじ頭部3を導入可能である。第1の位置で、ロッキングリング8は、ロッド受け部分9の第1の端9aに向けて上向きに動かないようにされる。なぜなら、ロッキングリング8の肩85はロッド受け部分9bの第2の端9bに当接する一方で、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は溝22の上方壁22bに当接するからである。特に図8に示されるように、第2の端9bおよび溝22の上方壁にロッキングリング8が当接すると、上向きの動きに対してロッキングリング8が定位置に保持される。溝22の傾いた下方壁22aは、ロッキングリング8がうっかり下向きに動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わるとロッキングリング8が下向きに動くのを可能にする。ロッキングリング8の内径の部分は、第1の位置の圧縮されていない状態では頭部受け部分17の外径の対応する部分よりも大きいので、ロッキングリング8と頭部受け部分17との間の空間への頭部受け部分17の拡張が可能である。さらに、第1の位置で、頭部3は自由に回動可能である。
【0035】
図6および図9は、ロッキングリング8が予備ロック位置にある受け部本体5に対してラッチされる第2の位置にある骨アンカー固定装置を図示する。第2の位置で、ロッキングリング8は、可撓性壁部分83aの係合部分83bがロッド受け部分9上に設けられた溝16の中に弾性的にパチンと嵌るまで、第1の位置から頭部受け部分17の自由端17bに向けてシフトされた。第2の位置に一旦入ると、係合部分83bの自由上方端縁は、図6および図9に示されるように、溝16の上方壁16bに当接し、これにより予備ロック位置を外れてロッキングリング8が上向きに動いてしまうのを防止する。一方で、溝16の傾いた下方壁面16aは、自由端17bに向けてロッキングリング8がうっかり下方向に動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わった際は下向きの動きを可能にする。
【0036】
第2の位置で、特に図6および図9に見られるように、ロッキングリング8の傾いた内面81aは、頭部3を完全にロックすることなく、頭部受け部分17の第1の外面部分21を押さえつけて頭部受け部分17を圧縮して中空の内部部分18内で頭部3をクランプ留めする。さらに、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は頭部受け部分17の第3の部分23を押さえつけて、その結果付加的なクランプ力が生じる。したがって、頭部3の上および/または横からだけでなく、頭部3の下方部分付近の領域からも頭部3のクランプ留めを行なうことができる。予備ロックとは、外科手術の際に生じる条件下では、受け部本体5に対する骨アンカー固定要素1の角度付けられた位置が維持され、受け部本体5および/または骨アンカー固定装置の骨アンカー固定要素1に対して付加的な力を加えることによってのみ緩めることが可能であることを意味する。予備ロック位置では、骨アンカー固定要素1を受け部5から取外すことはできない。したがって、頭部3が不慮に外れたりうっかりと外れたりする可能性はない。しかしながら、たとえば手動調節によって、所望の角度に調節すべき骨アンカー固定装置の角度形成が依然として可能である。
【0037】
ロック位置である第3の位置が図7、図10および図12に示される。第3の位置は、ねじ頭部3が頭部受け部分17内に最終的にロックされる位置として定義される。ロッキングリング8の内面81aは、頭部3が頭部受け部分17の圧縮によってロックされるように、頭部受け部分17の第1の部分21の外面に係合する。さらに、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は、第3の部分23で頭部受け部分17をさらに圧縮し、これによりロック力を高める。
【0038】
受け部本体5およびロッキングリング8の寸法は、第2の位置および第3の位置においてそれぞれ所望のクランプ力を達成できるように構成される。
【0039】
第3の位置には、係合部分83bおよび内側に突出するリング82が溝16、22の傾いた下方壁部分16aおよび22aに沿ってそれぞれ摺動するように、受け部本体5に対してロッキングリング8をシフトさせることによって到達可能である。
【0040】
骨アンカー固定装置は以下のように予め組立てられる。まず、ロッキングリング8を自由端17bから受け部本体5上に装着する。たとえば、製造者がこれを行なうことができる。好ましくは、ロッキングリング8は、溝22と内側に突出する端縁82とが係合または整列することによってロッキングリングがラッチされる第1の位置にある。
【0041】
その後、アンカー固定要素1の頭部3を自由端17bから頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に導入することができる。その後、ロッキングリング8が受け部本体5に対して下向きに動かされ、これにより内側に突出するリング82が溝22から摺動して外に出て、可撓性壁部分83aの係合部分83bが溝16にパチンと嵌り、頭部3が摩擦クランプ留めによって予備ロックされる第2の位置に到達する。
【0042】
次に、図13から図21を参照して第1の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。工具100は、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102と(たとえば、受け部本体5およびロッキングリング8を含む)受け部のための第2の保持具103とを有する枠101を含む。保持具102、103は、工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して骨アンカー固定要素1の長手方向軸が水平または平行となるような向きにされる。第1の保持具102は、骨アンカー固定要素1のシャンク2のための凹部102aを有し、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部102aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具102の自由端面102bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具102は枠101上に支持される。
【0043】
受け部のための第2の保持具103も枠101上に支持される。これは、受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部103aを有する。第1の保持具102に対する第2の保持具103の向きは、受け部と骨アンカー固定要素1との両者がそれぞれの保持具102、103に挿通された際に受け部の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。円形の凹部103aは2つの異なる深さを有するように調節可能である。これは、第2の保持具103に設けられる対応のスロットに挿入され、凹部103aの中心軸の方向を横切る方向にシフトされて凹部103aの深さを限定することができる挿入物104によって実現され得る。挿入物104は1つの円形の凹部142を有する。位置1で、図13から図18に示されるように、挿入物は凹部103aの深さを第1の深さ141に限定し、こうして受け部本体5の第1の端9aの当接部を設ける。図19から図21に示される位置2で、挿入物104は、その凹部142が第2の保持具103の凹部103aの底を形成するまたは規定するようにシフトされ、その深さは挿入物104が第1の位置にある場合の凹部103aの深さ141よりも大きい。したがって、凹部142は凹部103aの長さを効果的に増大させる。したがって、図19から図21に示されるように第2の保持具103の外面103bがロッキングリング8の当接部を形成するまで、凹部103aに受け部をより深く挿通可能である。凹部103aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に受け部の輪郭に対応するように適合させることができる。
【0044】
骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102は、受け部本体5のための第2の保持具103に対して軸方向に移動可能である。第1の保持具102はレバー105およびハンドル106を介して作動可能である。レバー105は一例に過ぎず、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解すべきである。
【0045】
工具100の寸法は、受け部が挿入される第2の保持具103に対して骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102が移動することにより、凹部103aが第1の深さ141を有するように設定され、かつロッキングリング8が第1の位置にある場合に骨アンカー固定要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入するのに十分な力を加えることができるように構成される。これはさらに、凹部103aが第2の深さ142を有するように設定される場合に、第1の保持具102が第2の保持具103に対して再び動かされて第1の位置から外れて第2の位置にロッキングリング8を動かすとロッキングリング8に対して十分な力を加えることができるように構成される。
【0046】
図17から図21に第1の実施例に従う工具の動作を示す。図17aおよび図17bに示されるように、まず、骨アンカー固定要素1が第1の保持具102に挿通され、凹部103aが第1の深さ141を有するように設定される場合、装着されたロッキングリング8が第1の位置にある受け部本体5が第2の保持具103の凹部103aに装着される。
【0047】
次のステップで、図18aおよび図18bに示されるように、レバー105を作動させるようにハンドル106が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に押し込まれる。第2の保持具103の凹部103aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。骨アンカー固定要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまたは挿入されるまでハンドル106が作動される。ラッチは可聴の音を発生し得る。
【0048】
その後、図19から図21に示されるように、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102は後方にシフトされ、挿入物104は、円形の凹部142が凹部103aの底を形成または規定してロッキングリング8のための当接部としての保持具103の外面103bを設けるおよび用いる、第2の位置に動かされる。
【0049】
図20および図21に示されるように、次にハンドル106は、第2の保持具103に向けて第1の保持具102を押すように作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は凹部103aの底の中にさらに押し付けられる。凹部103aは、第2の保持具103の自由な前面103bがロッキングリング8の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけてこれによりロッキングリング8を第1の位置から外し、係合部分83bがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置に動かす深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌ると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0050】
その後、第1の保持具102は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。
次に、図22から図28cを参照して、第2の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。図22に見られるように、工具200は、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202と(ここでもたとえば受け部本体5およびロッキングリング8を含む)受け部のための第2の保持具203とを有する枠201を含む。第2の実施例に従う工具200が第1の実施例に従う工具100と唯一異なるのは、第2の保持具203が第1の実施例に従う第2の保持具103と異なっている点である。保持具202、203は、工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して骨アンカー固定要素1の長手方向軸が水平または平行となるような向きにされ得る。保持具202は、骨アンカー固定要素1のシャンク2のための凹部202aを有し、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部202aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具202の自由端面202bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具202は枠201上に支持される。
【0051】
受け部のための第2の保持具203も枠201上に支持される。第1の保持具202に対する第2の保持具203の向きは、受け部と骨アンカー固定要素1との両者がそれぞれの保持具202、203に挿通された際に受け部の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成される。
【0052】
骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202は、受け部本体5のための第2の保持具203に対して軸方向に移動可能である。第1の保持具202はレバー205およびハンドル206を介して作動可能である。レバー205は一例に過ぎず、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解すべきである。
【0053】
図23に見られるように、第2の保持具203は、本体210、第1の端211、第2の端212、ボア220、および受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部203aを含む。図24に見られるように、第2の保持具203は、ねじ山213、スリーブ214、ばね215、プレート216、およびねじ217をさらに含む。図25aおよび図25bに見られるように、カップ型のスリーブ214は、第1の端211に向けて延在する側で閉じており、本体210のボア220内で摺動するように構成されている。というのも、その直径はボア220の少なくとも部分の内径よりも僅かに小さいからである。ばね215はスリーブ214内に設けられ、プレート216と、本体210のねじ山213に螺合される雌ねじ217とによって支持される。第2の保持具203の中に圧入される、たとえば基台などの、ばね215を支持するための他の設計が可能である。ばね215は第2の実施例では弦巻ばね215として示される。しかしながら、板ばね、皿ばね、エラストマークッションなどの他のばね要素が可能である。
【0054】
円形の凹部203aは異なる深さを有することができる。これは、受け部のための当接部を設ける可動スリーブ214によって実現される。図25aでは第1の当接位置を示し、図25bでは第2の当接位置を示し、図25bには、ばね215が圧縮された際の空間218を示す。スリーブ214は受け部本体5の第1の端9a(図1を参照)のための当接部を設ける。第1の当接位置では、スリーブ214の閉じた側が第2の保持具203の凹部203aの底を形成し、その深さは第2の当接位置の凹部203aの深さ未満である。これは受け部の第1の端9aによってより大きな力がそれぞれスリーブ214およびばね215に加えられると達成される。力は、第1の保持具202、シャフト2および頭部3を介して、受け部の第1の端9aへ、次にスリーブ214へハンドル206およびレバー205によって加えられる。凹部203aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に、受け部のいずれの可能な輪郭にも対応するように適合させることができる。
【0055】
工具200の寸法およびばね力は、受け部が挿入される第2の保持具203に対して骨アンカー固定要素1を有する第1の保持具202が移動することにより、凹部203aが第1の深さを有するように設定され、かつロッキングリング8が第1の位置にある場合に第1の力が加えられて骨アンカー固定要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入できるように構成される。これはさらに、凹部203aが第2の深さを有する場合は、第1の保持具202が第2の保持具203に対してさらに近くに動かされてロッキングリング8が第1の位置から外れて第2の位置に動くとロッキングリング8に第2の力を加えることができるように構成される。発明の第2の実施例に従う工具200は、たとえば、受け部の高さが異なるおよび/または受け部に対するロッキングリングの位置がさまざまに異なるさまざまな骨アンカー固定装置の装着を可能にする。
【0056】
図26aから図28cに第2の実施例に従う工具の動作を示す。図26a、図27および図28aに示されるように、まず、骨アンカー固定要素1が第1の保持具202に挿通され、凹部が第1の深さを有するように設定される場合、ロッキングリング8が第1の位置に装着された受け部本体5が第2の保持具203の凹部203aに装着される。
【0057】
次のステップで、図26bおよび図28bに示されるように、レバー205(図22を参照)を作動させるようにハンドル206が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18(図5を参照)の中に押し込まれる。第2の保持具203、すなわちスリーブ214、の凹部203aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。骨アンカー固定要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまたは挿入されるまでハンドル206が作動される。ラッチは可聴の音を発生し得る。ロッキングリング8は第1の端211の側壁にまだ接触していないかもしれない。ばね215の抗力は、受け部本体5への頭部3の挿通からの抗力よりも大きい。したがって、ばね215はこのステップにおいて圧縮されない。
【0058】
図26cおよび図28cに示されるように、ハンドル206は次に、第2の保持具203のより近くへ第1の保持具202を押すようにさらに作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、凹部203a、すなわちスリーブ214、の底に押し付けられる。ロッキングリング8および受け部本体5を互いに対して動かすのに必要な力は、ばね215からの抗力よりも大きい。したがってばね215が圧縮される。凹部203aは今や、第2の保持具203の第1の端211の側壁がロッキングリング8(図3を参照)の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけ、これによりロッキングリング8を第1の位置から外して、係合部分83bがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置にロッキングリング8を動かす深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌まると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0059】
その後、第1の保持具202は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。工具100の第1の実施例と比較した工具200の第2の実施例の1つの利点は、必要なのがハンドル206の単一の作動のみであり、骨アンカー固定装置の装着の間に動かす必要のある付加的部品がないことである。
【0060】
第2の実施例に従う工具200により、頭部の導入および骨アンカー固定装置の予備ロック位置への装着を含む1ステップで骨アンカー固定装置の組立てを容易に完了することができる。
【0061】
図29から図33を参照して、次に骨アンカー固定要素のための第1の保持具302の第3の実施例を説明する。図29に示される工具300は、先の実施例の第1の保持具を置換える第1の保持具302を除いて上述の工具200と同じであり得る。
【0062】
図30bおよび図31に示される第1の保持具302は、図30bを参照すると長手方向に一方端からもう一方の端に、第1の保持具302の側から内向きに延在する長手方向のU字形状の凹部302aを有する。凹部302aの直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具302の自由端面302bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具302は枠301上に支持される。
【0063】
図30aおよび図32は、挿入物320の中心軸323の周りに周方向に配置される複数の長手方向に延在する凹部322a、322b、322cを有する円筒形セクションの形態の第1の保持具のための第1の実施例に従う挿入物320を示す。凹部は、異なるシャンクを有するねじまたは他の骨アンカー固定要素の挿入のためにサイズ決めおよび/または適合される。示される実施例では、挿入物320は、第1の半径を有する第1のシリンダ形状またはU字形状の凹部322a、第2の半径を有する第2のシリンダ形状またはU字形状の凹部322b、および第3の半径を有する第3のシリンダ形状またはU字形状の凹部322cを有し、3つの半径は互いに異なっている。3つの凹部322a、322b、322cは、図30aに見られるように挿入物320の長さ延在してもよい。挿入物320は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に第1のピン321aが設けられ、第2の端の上に第2のピン321bが設けられる。ピン321a、321bは挿入物320の中心軸323と整列される。
【0064】
図30bを参照すると、第1の保持具302は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に第1のスロット311が設けられ、第2の端の近くに第2のスロット312が設けられ、この両者ともが内側に第1の保持具302の側から延在する。第1の保持具302の第2の端は、図29に見られるように、工具300のレバー305およびハンドル306に接続されるように構成される。
【0065】
第1の保持具302のU字形状の凹部302aは、挿入物320を受けるように設けられる。U字形状の凹部302aの丸い部分の半径は挿入物320の半径と実質的に等しい。
【0066】
図31に見られるように、装着された状態で、挿入物320の第1のピン321aは第1の保持具302の第1のスロット311に嵌合し、挿入物320の第2のピン321bは第1の保持具302の第2のスロット312に嵌合する。挿入物320はピン321a、321bによって支持されかつ導かれ、図33に見られるように第1の保持具302のU字形状の凹部302aによっても保持される。
【0067】
第2の保持具103に対する第1の保持具302の向きは、受け部5が第2の保持具103に挿通され、骨アンカー固定要素1が挿入物320の凹部322a、322bまたは322cのうち1つの中の第1の保持具302に挿通された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0068】
3つの凹部322a、322bまたは322cは、骨アンカー固定要素の異なる大きさのシャンクを受けるように適合される。図29、図31および図33を参照して、使用されている特定の凹部322a、322b、322cは、U字形状の凹部302aの開口に向けて外向きに面する。挿入物320のこの実施例では、少なくとも3つの異なる大きさの骨アンカー固定要素の装着を収容することができる。使用されている凹部322a、322b、322cを変更するために、挿入物320をその軸323の周りで回転させることができる。
【0069】
次に図34から図47を参照して骨アンカー固定要素1のための第1の保持具402の第4の実施例を説明する。図34に示される工具400は、先の実施例の第1の保持具を置換える第1の保持具402を除いて上述の工具200または300と同じであり得る。
【0070】
図35から図41に示される第1の保持具402は、図36を参照すると、長手方向に一方端からもう一方の端に、第1の保持具402の側から内向きに延在する長手方向のU字形状の凹部402aを有する。凹部402aの直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具402の自由端面402bは、半円形の凹部により、骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具402は枠401上に支持される。さらに、自由端面402bに隣接して、U字形状の凹部402aに垂直の、凹部402aの中に延在するスロット423が設けられる。図37の図示を参照して、スロット423は、上側部分でU字形状の凹部402aの2本の脚にそれぞれ交差する。
【0071】
図35および図42から図45は、挿入物420の対向する側に配置される第1の長手方向に延在する凹部422aおよび第2の長手方向に延在する凹部422bを有する円筒形セクションの形態の、第4の実施例に従う第1の保持具402のための第2の実施例に従う挿入物420を示す。凹部422aおよび422bは、異なるシャンクを有するねじまたは他の骨アンカー固定要素1の挿入のためにサイズ決めおよび/または適合される。示される実施例では、第1のシリンダ形状またはU字形状の凹部422aは、たとえば4−6mmのシャンクを受けるための第1の半径を有し、第2のシリンダ形状またはU字形状の凹部422bは、たとえば7−9mmのシャンクを受けるための第2の半径を有する。2つの凹部422aおよび422bを参照する他の半径の組合せも可能である。凹部422aおよび422bは、図35、図42−図44に見られるように挿入物420の全長延在してもよい。
【0072】
挿入物420は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に、長手方向の凹部422aおよび422bに垂直に延在するピン424が設けられる。図42に見られるように、ピン424は球形の端部分を有し、挿入物420の円筒形外壁上に設けられる。
【0073】
図37を参照すると、第1の保持具402は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に、第1の保持具402の側から内向きに延在する第1のスロット411が設けられる。第1の保持具402の第2の端は、図34に見られるように、工具400のレバー405およびハンドル406に接続されるように構成される。
【0074】
第1の保持具402のU字形状の凹部402aは挿入物420を受けるように設けられる(図36を参照)。U字形状の凹部402aの丸い部分の半径は挿入物420の外側半径と実質的に同じである。図36に見られるように、装着された状態で、挿入物420のピン424は第1の保持具402のスロット423に嵌合し、ピン424は、ピン423を介して挿入物420を回転させることにより、2つの位置でスロット423によって受けられ得る。挿入物420は、図46および図47に見られるように、第1の保持具402のU字形状の凹部402aによって支持されかつ導かれる。
【0075】
第2の保持具103、203に対する第1の保持具402の向きは、受け部5が第2の保持具103、203に挿通され、骨アンカー固定要素1が挿入物420の凹部422aまたは422bのうち1つの中の第1の保持具402に挿通された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0076】
凹部422aまたは422bは、骨アンカー固定要素の異なる大きさのシャンクを受けるように適合される。図34、図36、図46、図47を参照して、使用されている特定の凹部422a、422bは、U字形状の凹部402aの開口に向けて外向きに面する。挿入物420のこの実施例では、少なくとも2つの異なる大きさの骨アンカー固定要素1の装着を収容することができる。使用されている凹部322a、322bを変更するために、ピン424により、挿入物420をその軸の周りで回転させることができる。ピン424および対応のスロット423により、挿入物420の2つの位置がU字形状の凹部402aの2本の脚のうち1本の中のピン424の位置に依存して規定される。2つの凹部422aおよび422bしか設けないことにより、挿入物420の清掃および滅菌も容易である。挿入物420を回転させるためにピン424を設けることも、挿入物320の第1の実施例を参照すると可能である。この場合は、たとえば、長手方向の凹部302aの設置面の2つの短いスロットおよび1つの孔により、ピンの3つの規定された位置を設けなければならない。
【0077】
他の実施例では、凹部の数が3つよりも多いまたは少ないシリンダまたは挿入物を設けることが可能である。保持具の第3の実施例では、ユーザは、異なるシャンクを有するねじまたは骨アンカー固定要素を受け部と組合せることができる。したがって、実際の臨床状況に依存してインプラントの組合せのより幅広い選択肢をユーザに与えるモジュール式システムが提供される。
【0078】
骨アンカー固定装置は、製造者により、または外科手術の準備の間に、またはいずれの他のときにも予め組立て可能である。有利には、外科医が外科手術の前に特定の臨床適用例の特定的な要件に従って所望の受け部および骨アンカー固定要素を選択することができる。骨アンカー固定装置の設計により、アンカー固定セクションの直径、長さおよび他の特徴という観点で適切な骨アンカー固定要素を選択することが可能になる。したがって、受け部およびさまざまな骨アンカー固定要素を含むモジュール式システムを提供することができ、これは次に個別に選択および適合が可能である。
【0079】
外科手術における使用の際に、受け部本体5、骨アンカー固定要素1、および予備ロック位置にあるロッキングリング8を含む予め組立てられた骨アンカー固定装置が骨に螺合される。頭部3の凹部4には、第1のボア10を通してねじ工具を用いてアクセス可能である。接続すべきロッド6に対して受け部本体5を正しく整列させるため、手動でまたは器具の適用によって、受け部に対して付加的な力を加えることができる。他の骨アンカー固定装置に対するロッド6の正しい位置も一旦達成されると、骨アンカー固定装置ごとに雌ねじ7を締結することができる。ロッド6がロッキングリング8の突起86に当接するので、ロッキングリング8はロック位置である第3の位置へ下向きにシフトされる。ロッキングリング8が頭部受け部分17の自由端17bに向けて動かされると、頭部受け部分17が圧縮され、これにより頭部3の位置がロックされる。雌ねじ7の最終的な締結によりロッド6および頭部3が同時にロックされる。
【0080】
予備ロック条件では、雌ねじ7が緩められても頭部3はクランプ留めされたままである。これによりロッド6の位置決めに対するさらなる調節が可能になる。
【0081】
示される実施例のさらなる修正例が可能である。たとえば、骨アンカー固定要素の頭部は、たとえば、円筒形などのいずれの他の形状を有することもでき、これにより、単一の軸を中心とした受け部本体に対するねじ要素の回転を可能にする単軸骨ねじが設けられる。頭部も、円錐形状またはそれ以外の形状であることもでき、頭部受け部分の内部中空セクションはこの形状に対応するように適合される。さらなる修正例では、頭部受け部分の可撓性はたとえばプラスチック材料などの材料の性質に基づき、スリットをすべてまたは一部省略してもよい。
【0082】
ロッドと係合するロッキングリングの突起は別の形状を有することができ、たとえば、自由端の表面は平らであることができ、またはそれ以外の形状であることができる。これに代えて、突起を省略することができる。
【0083】
頭部受け部分は傾いた開放端を有することができ、または一方向に頭部のより大きな角度形成を可能にするように他の態様で非対称であることができる。
【0084】
頭部受け部分の外面およびロッキングリングの内面は、ロッキングリングが受け部分本体に対して下向きにシフトされる際に、増大していく力によりロッキングリングの圧縮を可能にする他の形状を有することができる。
【0085】
工具に関しても変形が可能である。たとえば、受け部の中心軸とねじの軸とが工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して垂直に延在するように工具を構成可能である。受け部本体のための第2の保持具は骨アンカー固定要素のための第1の保持具に対して可動であり得る。さらに、工具を手動で作動させる代わりに、機械的にまたは電子的に動作される装置で工具を作動させることも可能であり得る。
【符号の説明】
【0086】
1 骨アンカー固定要素、3 頭部、5 受け部本体、8 ロッキングリング、9 ロッド受け部分、17 頭部受け部分、100、200、300、400 工具、104、320、420 挿入物、102、103、202、203、302、402 保持具。
【技術分野】
【0001】
発明は、骨アンカー固定装置を組立てるための工具のための挿入物および骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、挿入物は骨にアンカー固定される頭部およびシャフトを有する骨アンカー固定要素と受け部とを備える、挿入物および工具に関する。挿入物は、工具の保持具の長手方向凹部に挿通されるように構成される。挿入物は、骨アンカー固定要素を受けることができ、挿入物は、異なる大きさの骨アンカー固定要素を受けるように構成される少なくとも2つの凹部を有する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コネクタ本体およびキャップを含む、骨アンカーを支持ロッドに接続するための機器を開示する。コネクタ本体は、骨アンカーの挿入、角度形成および取外しのためのソケットを有する。スリーブが設けられ、スリーブは、コネクタ本体の上にわたってスリーブが骨アンカーの挿入を許す一時的な位置に嵌合し、スリーブが角度形成は許すが骨アンカーが外れないようにする仮ロック位置に移動し、またスリーブが骨アンカーの角度形成および外れの両方を防止するロック位置に移動するように構成される。
【0003】
アンカー固定要素の頭部が受け部に対して自由に回動可能である場合、受け部とロッドの挿入部との整列は、たとえば、多数の骨アンカーをロッドに接続すべき場合などのより複雑な臨床適用例では困難になるかもしれない。
【0004】
いくつかの事例では、外科手術の際に異なるアンカー固定要素の中から選んで特定の臨床適用例に最も適切なアンカー固定要素を選択する必要性も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/038350号A2パンフレット
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0270842号A1
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0119871号A1
【特許文献4】米国特許出願公開第2009/0266728号A1
【特許文献5】フランス特許第2854143号A1
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0243616号A1
【特許文献7】欧州特許第2191780号A1
【特許文献8】米国特許出願公開第2006/0200128号A1
【特許文献9】米国特許出願公開第2005/0096653号A1
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0105756号A1
【特許文献11】米国特許出願公開第2010/0063545号A1
【特許文献12】米国特許出願公開第2001/0047173号A1
【特許文献13】米国特許出願公開第2008/0234750号A1
【特許文献14】欧州特許第2022423号A1
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0228392号A1
【特許文献16】米国特許出願公開第2008/0108992号A1
【特許文献17】米国特許出願公開第2001/0005796号A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の課題は、骨アンカー固定装置を組立てるための改良された工具のための挿入物を提供すること、およびそのような骨アンカー固定装置の組立てのための改良された工具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題は、請求項1に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具のための挿入物、および請求項11に記載の工具によって解決される。従属クレームはさらなる発展例を与える。
【0008】
発明に従う受け部は、ロッキングリングが挿入位置である第1の位置にある際に骨アンカー固定要素の頭部が受け部本体の中に挿入されるのを可能にする。この位置で、ロッキングリングは受け部本体に対してラッチされる。したがって、ロッキングリングがうっかり動かされて受け部本体の頭部受け部分を圧縮することはなく、頭部の挿入が容易になる。
【0009】
予備ロック位置である第2の位置では、ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされ、かつ頭部受け部分が圧縮されるため、骨アンカー固定要素は調節可能な角度付けられた位置に保持されるが、完全にはロックされない。これにより骨アンカー固定要素がうっかり外れることがなくなり、調節可能な角度付けられた位置で骨アンカー固定要素の頭部に対して受け部本体を保持できるようになる。したがって、外科手術の際の骨アンカー固定装置の安全かつ便利な取り扱いを保証することができる。
【0010】
ロック位置である第3の位置では、ロッキングリングは、骨アンカー固定要素が完全にロックされ回動不能となるように頭部受け部分を圧縮する。
【0011】
受け部本体およびロッキングリングは予め組立てられていてもよく、骨アンカー固定要素の頭部の導入を可能にする第1の位置にロッキングリングがラッチされる構成に製造されてから配送されてもよい。たとえば、所望の直径および長さを有する骨ねじである好適な骨アンカー固定要素を選択し、受け部に挿通することができる。その後で、頭部が予備ロックされる、受け部に対する第2の位置にロッキングリングを動かすことができる。第2の位置で受け部本体のロッキングリングがラッチされる音が聞こえるので、骨アンカー固定装置を組立てる人は受け部への骨アンカー固定要素の正しい組立てを確かめることができる。予備ロックされた条件では、ねじ要素は、頭部のクランプ留めの摩擦力を上回る付加的な力が加わることによってのみ受け部に対して回動可能であってもよい。
【0012】
実際の臨床要件に依存して、要求に応じてさまざまなアンカー固定要素の任意の好適な受け部との組合せを可能にするモジュール式システムを骨アンカー固定装置に設けることができる。これは多軸ねじに関連のコストを低減し、在庫を減らし、外科医にインプラントの幅広い選択肢を与える。
【0013】
骨アンカー固定装置を組立てる方法は、たとえば、外科手術の前またはその間に外科医または外科医を補助するいずれの人員などのいずれの専門家によっても行なわれ得る。
【0014】
発明の実施例に従う工具および挿入物は取り扱いが容易であり、骨アンカー固定装置のより安全な組立てを与える。
【0015】
発明のさらなる特徴および利点が添付の図面による実施例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】発明の実施例に従う骨アンカー固定装置の分解斜視図である。
【図2】組立てられた状態の図1の骨アンカー固定装置の斜視図である。
【図3】発明の実施例に従うロッキングリングの拡大斜視図である。
【図4】図3の線A−Aに沿った、図3に示されるロッキングリングの断面図である。
【図5】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第1の位置にある、ロッドの軸に垂直に取られた、組立てた状態の発明の実施例に従う骨アンカー固定装置の断面図である。
【図6】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされる第2の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図7】ロッキングリングが第3の位置にある、ロッドの軸に垂直な平面で取られた、ロッドが挿入され固定された、組立てた状態の骨アンカー固定装置の断面図である。
【図8】受け部の中に骨アンカー固定要素が挿通されようとしている、組立ての第1のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図9】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に導入されて予備ロックされた、組立ての第2のステップの骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図10】頭部がロックされた骨アンカー固定装置の部分の断面図である。
【図11】ロッキングリングが受け部本体に対してラッチされて頭部の導入を可能にする第1の位置にある、受け部の部分の拡大断面図である。
【図12】ロッキングリングによって付加的なクランプ留めが行なわれる、最終的にロックされた状態の骨アンカー固定装置の部分の拡大断面図である。
【図13】骨アンカー固定装置を組立てるための、発明の第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図14】骨アンカー固定要素が保持具に挿通された、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図15】受け部が保持具に挿通される、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図16】受け部が保持具に導入された、第1の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図17a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部の中に挿通されようとしている、組立てのステップを図示する、第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図17b】図17aの部分の拡大図である。
【図18a】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通された、組立ての別のステップを図示する第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図18b】図18aの拡大した部分を示す図である。
【図19】骨アンカー固定装置の頭部の挿入の後であって、予備ロック位置に入る前の、第1の実施例に従う工具の部分の拡大斜視図である。
【図20】骨アンカー固定装置が予備ロック位置にある第1の実施例に従う工具の斜視図である。
【図21】骨アンカー固定装置のロッキングリングが予備ロック位置を取り、頭部をクランプ留めする、第1の実施例に従う工具の拡大した部分の斜視図である。
【図22】骨アンカー固定装置を組立てるための、発明の第2の実施例に従う工具の斜視図である。
【図23】第2の実施例に従う第2の保持具の斜視図である。
【図24】第2の実施例に従う第2の保持具の分解斜視図である。
【図25a】第1の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図25b】第2の位置にある、第2の実施例に従う第2の保持具の断面図である。
【図26a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図26c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の斜視図である。
【図27】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の部分の断面図である。
【図28a】第1の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図28b】第2の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図28c】第3の使用位置にある、第2の実施例に従う工具の拡大部分の断面図である。
【図29】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通される、組立てのステップを図示する、発明の第3の実施例に従う工具の斜視図である。
【図30a】いくつかのシリンダ形状またはU字形状の凹部を有する円筒形セクションの形態の、第3の実施例に従う第1の保持具のための第1の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図30b】第3の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図31】組立てられた状態の、第3の実施例に従う第1の保持具および挿入物を示す図である。
【図32】第1の実施例に従う挿入物の断面図である。
【図33】アセンブリが第3の実施例に従うねじを保持する、第1の実施例に従う枠、第1の保持具、および挿入物の断面図である。
【図34】骨アンカー固定要素の頭部が受け部に挿通される、組立てのステップを図示する、発明の第4の実施例に従う工具の斜視図である。
【図35】組立て前の第2の実施例に従う挿入物および第4の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図36】組立てられた状態の第2の実施例に従う挿入物および第4の実施例に従う第1の保持具の斜視図である。
【図37】第4の実施例に従う第1の保持具の斜視上面図である。
【図38】第4の実施例に従う第1の保持具の斜視底面図である。
【図39】第4の実施例に従う第1の保持具の上面図である。
【図40】第4の実施例に従う第1の保持具の側面図である。
【図41】第4の実施例に従う第1の保持具の側面図である。
【図42】第1の位置にある、第2の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図43】第2の位置にある、第2の実施例に従う挿入物の斜視図である。
【図44】第2の実施例に従う挿入物の上面図である。
【図45】第2の実施例に従う挿入物の側面図である。
【図46】アセンブリが第4の実施例に従うねじを保持する、枠、第1の保持具、および第1の位置にある挿入物の断面図である。
【図47】アセンブリが第4の実施例に従うねじを保持する、枠、第1の保持具、および第2の位置にある挿入物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から図7に示されるように、発明の実施例に従う骨アンカー固定装置は、ねじ切りされたシャフト2とカーブした表面部分を有する頭部3とを有する骨ねじの形態の骨アンカー固定要素1を含む。この実施例では、頭部3は球状セグメントの形状である。頭部3は工具との係合のための凹部4を有する。骨アンカー固定装置は、ロッド6を受けてこれを骨アンカー固定要素1に接続するための受け部本体5も含む。さらに、受け部本体5中にロッド6を固定するため、雌ねじの形態の固定要素7が設けられる。骨アンカー固定装置は、頭部3を受け部本体5にロックするためのロッキングリング8も含む。
【0018】
受け部本体5は、実質的に円筒形で、第1の端9aと、第1の端9aとは反対側の第2の端9bとを有するロッド受け部分9を備える。図5から図7に示されるように、同軸の第1のボア10が第2の端9bに設けられる。第1のボア10の直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。ロッド受け部分9はさらに、第1の端9aから第2の端9bからの距離へ延在する同軸の第2のボア11を有する。第2のボア11の直径は第1のボア10よりも大きい。実質的にU字形状の凹部12がロッド受け部分9の第1の端9aから第2の端9bの方向に延在し、凹部12の直径は、ロッド6を凹部12の中に置くことができ、かつその中を導くことができるようにロッド6の直径よりもわずかに大きくなっている。凹部12により、雌ねじ山13が設けられる2つの自由な脚12a、12bが形成される。雌ねじ山13は、メートルねじ、平頭ねじ、負角ねじ、鋸歯ねじ、またはいずれの他の種類のねじ山でもあり得る。好ましくは、平頭ねじまたは負角ねじなどのねじ山が用いられ、これは雌ねじ7が螺合される際に脚12a、12bが広がるのを防止する。凹部12の深さは、ロッド6および雌ねじ7を脚12aと12bとの間に挿入可能であるようなものである。
【0019】
図1に見られるように、凹部12によって形成されるチャネルのいずれかの端のロッド受け部分9に切欠き15が設けられる。
【0020】
脚12a、12bの領域のロッド受け部分9の外面に、周方向に延在し、ロッキングリング8の部分と係合するように働く溝16が設けられる。溝16は、ロッキングリング8が1つの方向にシフトされる際にロッキングリング8と溝16との間の係合解除を可能にするように非対称である。溝16の非対称な形状は、下向きに傾いた下方壁16aおよびロッド受け部分9の外面に実質的に垂直の上方壁16bによって実現される。
【0021】
第2の端9bの側に、受け部本体5は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための収容スペースを設ける頭部受け部分17を有する。頭部受け部分17の最大外径は、ロッド受け部分9の最大外径よりも小さい。内部中空セクション18は、骨アンカー固定要素1の頭部3のための座を形成し、開口19を介して頭部受け部分17の自由端17bに向けて開放している。中空セクション18はその形状が頭部3の形状に対応している。示される実施例では、中空セクション18は球状の頭部3を収容する球状セクションである。さらに、中空セクション18は、頭部3の最大直径を含む領域を覆う側から骨アンカー固定要素1の頭部3を包含するように構成される。
【0022】
自由端17bに向けて開放している複数のスリット20が頭部受け部分17に設けられている。スリット20は頭部受け部分17を可撓性にするので、中空の内部部分18の中に頭部3を摩擦によってクランプ留めし、最終的にこれをロックするように頭部受け部分を圧縮可能である。スリット20の数および大きさは、頭部受け部分17の所望の可撓性に依存して与えられる。頭部受け部分17の可撓性は、頭部受け部分17を拡張させることによってアンカー固定要素1の頭部3を挿入可能であり、頭部受け部分17を圧縮することによって頭部3をクランプ留め可能であるようなものである。
【0023】
頭部受け部分17の外面は第1のセクション21を有し、その外径は、たとえば外向きにカーブするまたは円錐形に広がる態様で自由端17bに向けて大きくなっている。第1のセクション21に隣接して、第1のセクション21に対して窪み、かつロッキングリング8の対応する部分と係合するように働く周方向の溝22が存在する。溝22は、ロッキングリング8を1つの方向に動かす際にロッキングリング8と溝22との間の係合解除を可能にするように非対称である。溝22の非対称の形状は、下向きに傾いた下方壁22aおよび頭部受け部分17の外面に実質的に垂直の上方壁22によって実現される。
【0024】
第1のセクション21とは反対側の溝22に隣接して、実質的に円筒形の外面を有する頭部受け部分17の第3の部分23が存在する。第3の部分23は、ロッキングリング8の部分と協働してロッキングリング8のクランプ留め効果を高めるように構成される。
【0025】
次に、図1から図7を参照してロッキングリング8を説明する。ロッキングリング8は実質的に円筒形であり、上方端8aおよび下方端8bを有する。装着された状態で、上方端8aはロッド受け部分9の第1の端9aの方向に向いている一方で、下方端8bは頭部受け部分17の自由端17bに向いている。下方端8bの近くには、内面81aを有する第1の部分81が設けられ、これは頭部受け部分17の第1の外面部分21と協働して頭部受け部分17を圧縮する。第1の部分81の外面も、底部の外径が小さくなっていくように先細にされていてもよい。たとえば、第1の部分81の大きさは、先細にされた内面81aが頭部受け部分17の外面部分21と係合して頭部受け部分17に圧縮力を加えることができるようなものである。ロッキングリング8の第1の部分81の内面81aも、ロッキングリング8の中心に向いた曲率でカーブすることができる。
【0026】
下方端8bに、ロッキングリング8は内側に突出する端縁82を含み、その内径はロッキングリング8の他の部分の内径よりも小さい。内側に突出する端縁82は、頭部受け部分17の溝22と係合するように構成される。
【0027】
ロッキングリング8は、スリット84によって互いから分離される上向きに延在する壁部分83aを有する第3の部分83をさらに有する。上向きに延在する壁部分83aは、ロッキングリング8の内周方向肩85の外周に配置され、ロッキングリング8の第3の部分83を可撓性にしている。スリット84の数および大きさならびに壁部分83aの厚みは、所望の可撓性が実現されるように構成される。壁部分83aの自由端に、ロッド受け部分9の外面上の溝16と係合するように形作られる係合セクション83bが設けられる。図5に見られるように、ロッキングリング8の第3の部分83の内径はロッド受け部分9の外径よりもわずかしか大きくない。
【0028】
ロッキングリング8は、図5に示されるようにロッキングリング8が第1の位置にある場合に頭部受け部分17がロッキングリング8内で拡張して頭部3の導入を可能にすることができるように、頭部受け部分17に対してサイズ決めされる。
【0029】
互いに対して径方向に反対に位置する2つの突起86はロッキングリング8の第3の部分83に形成される。突起86は、図5および図6に示されるようにロッキングリング8が頭部3がまだロックされていない位置にある場合に切欠き15の中に延在しかつ実質的にU字形状の凹部12の底部の上に突出する高さを有する。突起86の自由端面86aは、ロッド6の外面に対応する曲率でカーブする、特に内側にカーブすることができる。ロッキングリング8は、受け部本体5の頭部受け部分17の周りで、突起86が凹部12の位置に位置する(たとえば、これと整列する)ように配置される。ここで、突起86は、ロッド6が挿入されていない際にロッキングリング8が回転しないようにする。
【0030】
頭部受け部分17の可撓性および自由端17bの頭部受け部分17の大きさにより、ロッキングリング8を自由端17bから頭部受け部分17上に組立てることによりロッキングリング8を装着できるようになる。頭部受け部分17の外径はロッド受け部分9よりも小さいため、ロッキングリング8は径方向にロッド受け部分9を越えて最小限だけ突出してもよい。
【0031】
雌ねじ7は、脚12a、12b上に設けられた雌ねじ山13に対応するねじ山を有する。脚12a、12bが広がるのを防止するねじ山を用いる場合、雌ねじ7などの単一の固定要素で十分である。これにより径方向の骨アンカー固定装置の大きさが低減される。たとえば外側ナットなどの他の固定要素も可能である。
【0032】
受け部本体5、ロッキングリング8、雌ねじ7、および骨アンカー固定要素1は、たとえば、チタンもしくはステンレス鋼などの生体適合性材料、またはニチノールなどの生体適合性合金、またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの生体適合性プラスチック材料からなる。部品は同じまたは異なる材料から作ることができる。
【0033】
次に、図5から図12を参照してロッキングリング8の機能を説明する。図5に示されるように、ロッキングリング8は、挿入位置であり、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチされる第1の位置にある。第1の位置で、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82が頭部受け部分17の外面上で溝22に係合する。図に見られるように、内側に突出する端縁82の内径は溝22の位置で頭部受け部分17の外径よりも大きく、これにより、頭部3が導入されると頭部受け部分17が拡張できるようになる。第1の位置で、ロッキングリング8は、受け部本体5のロッド受け部分9と、特に図5、図8、および図11に見られるようにわずかに外向きに曲がったロッキングリング8の可撓性壁部分83aとの間のクランプ力によってさらに保持される。
【0034】
ロッキングリング8が第1の位置にある場合、頭部受け部分17は圧縮されない。この位置では、図8に見られるように、ねじ頭部3を導入可能である。第1の位置で、ロッキングリング8は、ロッド受け部分9の第1の端9aに向けて上向きに動かないようにされる。なぜなら、ロッキングリング8の肩85はロッド受け部分9bの第2の端9bに当接する一方で、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は溝22の上方壁22bに当接するからである。特に図8に示されるように、第2の端9bおよび溝22の上方壁にロッキングリング8が当接すると、上向きの動きに対してロッキングリング8が定位置に保持される。溝22の傾いた下方壁22aは、ロッキングリング8がうっかり下向きに動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わるとロッキングリング8が下向きに動くのを可能にする。ロッキングリング8の内径の部分は、第1の位置の圧縮されていない状態では頭部受け部分17の外径の対応する部分よりも大きいので、ロッキングリング8と頭部受け部分17との間の空間への頭部受け部分17の拡張が可能である。さらに、第1の位置で、頭部3は自由に回動可能である。
【0035】
図6および図9は、ロッキングリング8が予備ロック位置にある受け部本体5に対してラッチされる第2の位置にある骨アンカー固定装置を図示する。第2の位置で、ロッキングリング8は、可撓性壁部分83aの係合部分83bがロッド受け部分9上に設けられた溝16の中に弾性的にパチンと嵌るまで、第1の位置から頭部受け部分17の自由端17bに向けてシフトされた。第2の位置に一旦入ると、係合部分83bの自由上方端縁は、図6および図9に示されるように、溝16の上方壁16bに当接し、これにより予備ロック位置を外れてロッキングリング8が上向きに動いてしまうのを防止する。一方で、溝16の傾いた下方壁面16aは、自由端17bに向けてロッキングリング8がうっかり下方向に動いてしまわないようにするが、付加的な力が加わった際は下向きの動きを可能にする。
【0036】
第2の位置で、特に図6および図9に見られるように、ロッキングリング8の傾いた内面81aは、頭部3を完全にロックすることなく、頭部受け部分17の第1の外面部分21を押さえつけて頭部受け部分17を圧縮して中空の内部部分18内で頭部3をクランプ留めする。さらに、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は頭部受け部分17の第3の部分23を押さえつけて、その結果付加的なクランプ力が生じる。したがって、頭部3の上および/または横からだけでなく、頭部3の下方部分付近の領域からも頭部3のクランプ留めを行なうことができる。予備ロックとは、外科手術の際に生じる条件下では、受け部本体5に対する骨アンカー固定要素1の角度付けられた位置が維持され、受け部本体5および/または骨アンカー固定装置の骨アンカー固定要素1に対して付加的な力を加えることによってのみ緩めることが可能であることを意味する。予備ロック位置では、骨アンカー固定要素1を受け部5から取外すことはできない。したがって、頭部3が不慮に外れたりうっかりと外れたりする可能性はない。しかしながら、たとえば手動調節によって、所望の角度に調節すべき骨アンカー固定装置の角度形成が依然として可能である。
【0037】
ロック位置である第3の位置が図7、図10および図12に示される。第3の位置は、ねじ頭部3が頭部受け部分17内に最終的にロックされる位置として定義される。ロッキングリング8の内面81aは、頭部3が頭部受け部分17の圧縮によってロックされるように、頭部受け部分17の第1の部分21の外面に係合する。さらに、ロッキングリング8の内側に突出する端縁82は、第3の部分23で頭部受け部分17をさらに圧縮し、これによりロック力を高める。
【0038】
受け部本体5およびロッキングリング8の寸法は、第2の位置および第3の位置においてそれぞれ所望のクランプ力を達成できるように構成される。
【0039】
第3の位置には、係合部分83bおよび内側に突出するリング82が溝16、22の傾いた下方壁部分16aおよび22aに沿ってそれぞれ摺動するように、受け部本体5に対してロッキングリング8をシフトさせることによって到達可能である。
【0040】
骨アンカー固定装置は以下のように予め組立てられる。まず、ロッキングリング8を自由端17bから受け部本体5上に装着する。たとえば、製造者がこれを行なうことができる。好ましくは、ロッキングリング8は、溝22と内側に突出する端縁82とが係合または整列することによってロッキングリングがラッチされる第1の位置にある。
【0041】
その後、アンカー固定要素1の頭部3を自由端17bから頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に導入することができる。その後、ロッキングリング8が受け部本体5に対して下向きに動かされ、これにより内側に突出するリング82が溝22から摺動して外に出て、可撓性壁部分83aの係合部分83bが溝16にパチンと嵌り、頭部3が摩擦クランプ留めによって予備ロックされる第2の位置に到達する。
【0042】
次に、図13から図21を参照して第1の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。工具100は、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102と(たとえば、受け部本体5およびロッキングリング8を含む)受け部のための第2の保持具103とを有する枠101を含む。保持具102、103は、工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して骨アンカー固定要素1の長手方向軸が水平または平行となるような向きにされる。第1の保持具102は、骨アンカー固定要素1のシャンク2のための凹部102aを有し、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部102aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具102の自由端面102bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具102は枠101上に支持される。
【0043】
受け部のための第2の保持具103も枠101上に支持される。これは、受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部103aを有する。第1の保持具102に対する第2の保持具103の向きは、受け部と骨アンカー固定要素1との両者がそれぞれの保持具102、103に挿通された際に受け部の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。円形の凹部103aは2つの異なる深さを有するように調節可能である。これは、第2の保持具103に設けられる対応のスロットに挿入され、凹部103aの中心軸の方向を横切る方向にシフトされて凹部103aの深さを限定することができる挿入物104によって実現され得る。挿入物104は1つの円形の凹部142を有する。位置1で、図13から図18に示されるように、挿入物は凹部103aの深さを第1の深さ141に限定し、こうして受け部本体5の第1の端9aの当接部を設ける。図19から図21に示される位置2で、挿入物104は、その凹部142が第2の保持具103の凹部103aの底を形成するまたは規定するようにシフトされ、その深さは挿入物104が第1の位置にある場合の凹部103aの深さ141よりも大きい。したがって、凹部142は凹部103aの長さを効果的に増大させる。したがって、図19から図21に示されるように第2の保持具103の外面103bがロッキングリング8の当接部を形成するまで、凹部103aに受け部をより深く挿通可能である。凹部103aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に受け部の輪郭に対応するように適合させることができる。
【0044】
骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102は、受け部本体5のための第2の保持具103に対して軸方向に移動可能である。第1の保持具102はレバー105およびハンドル106を介して作動可能である。レバー105は一例に過ぎず、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解すべきである。
【0045】
工具100の寸法は、受け部が挿入される第2の保持具103に対して骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102が移動することにより、凹部103aが第1の深さ141を有するように設定され、かつロッキングリング8が第1の位置にある場合に骨アンカー固定要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入するのに十分な力を加えることができるように構成される。これはさらに、凹部103aが第2の深さ142を有するように設定される場合に、第1の保持具102が第2の保持具103に対して再び動かされて第1の位置から外れて第2の位置にロッキングリング8を動かすとロッキングリング8に対して十分な力を加えることができるように構成される。
【0046】
図17から図21に第1の実施例に従う工具の動作を示す。図17aおよび図17bに示されるように、まず、骨アンカー固定要素1が第1の保持具102に挿通され、凹部103aが第1の深さ141を有するように設定される場合、装着されたロッキングリング8が第1の位置にある受け部本体5が第2の保持具103の凹部103aに装着される。
【0047】
次のステップで、図18aおよび図18bに示されるように、レバー105を作動させるようにハンドル106が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18の中に押し込まれる。第2の保持具103の凹部103aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。骨アンカー固定要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまたは挿入されるまでハンドル106が作動される。ラッチは可聴の音を発生し得る。
【0048】
その後、図19から図21に示されるように、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具102は後方にシフトされ、挿入物104は、円形の凹部142が凹部103aの底を形成または規定してロッキングリング8のための当接部としての保持具103の外面103bを設けるおよび用いる、第2の位置に動かされる。
【0049】
図20および図21に示されるように、次にハンドル106は、第2の保持具103に向けて第1の保持具102を押すように作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は凹部103aの底の中にさらに押し付けられる。凹部103aは、第2の保持具103の自由な前面103bがロッキングリング8の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけてこれによりロッキングリング8を第1の位置から外し、係合部分83bがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置に動かす深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌ると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0050】
その後、第1の保持具102は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。
次に、図22から図28cを参照して、第2の実施例に従う骨アンカー固定装置を組立てるための工具およびその動作を説明する。図22に見られるように、工具200は、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202と(ここでもたとえば受け部本体5およびロッキングリング8を含む)受け部のための第2の保持具203とを有する枠201を含む。第2の実施例に従う工具200が第1の実施例に従う工具100と唯一異なるのは、第2の保持具203が第1の実施例に従う第2の保持具103と異なっている点である。保持具202、203は、工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して骨アンカー固定要素1の長手方向軸が水平または平行となるような向きにされ得る。保持具202は、骨アンカー固定要素1のシャンク2のための凹部202aを有し、これはシャンク2を保持しかつ導くように働く。凹部202aの直径は頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具202の自由端面202bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具202は枠201上に支持される。
【0051】
受け部のための第2の保持具203も枠201上に支持される。第1の保持具202に対する第2の保持具203の向きは、受け部と骨アンカー固定要素1との両者がそれぞれの保持具202、203に挿通された際に受け部の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成される。
【0052】
骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202は、受け部本体5のための第2の保持具203に対して軸方向に移動可能である。第1の保持具202はレバー205およびハンドル206を介して作動可能である。レバー205は一例に過ぎず、骨アンカー固定要素1のための第1の保持具202の動きは、たとえば歯付きラックによるなど多くの他の態様でなされ得ることを理解すべきである。
【0053】
図23に見られるように、第2の保持具203は、本体210、第1の端211、第2の端212、ボア220、および受け部の部分を収容するための実質的に円形の凹部203aを含む。図24に見られるように、第2の保持具203は、ねじ山213、スリーブ214、ばね215、プレート216、およびねじ217をさらに含む。図25aおよび図25bに見られるように、カップ型のスリーブ214は、第1の端211に向けて延在する側で閉じており、本体210のボア220内で摺動するように構成されている。というのも、その直径はボア220の少なくとも部分の内径よりも僅かに小さいからである。ばね215はスリーブ214内に設けられ、プレート216と、本体210のねじ山213に螺合される雌ねじ217とによって支持される。第2の保持具203の中に圧入される、たとえば基台などの、ばね215を支持するための他の設計が可能である。ばね215は第2の実施例では弦巻ばね215として示される。しかしながら、板ばね、皿ばね、エラストマークッションなどの他のばね要素が可能である。
【0054】
円形の凹部203aは異なる深さを有することができる。これは、受け部のための当接部を設ける可動スリーブ214によって実現される。図25aでは第1の当接位置を示し、図25bでは第2の当接位置を示し、図25bには、ばね215が圧縮された際の空間218を示す。スリーブ214は受け部本体5の第1の端9a(図1を参照)のための当接部を設ける。第1の当接位置では、スリーブ214の閉じた側が第2の保持具203の凹部203aの底を形成し、その深さは第2の当接位置の凹部203aの深さ未満である。これは受け部の第1の端9aによってより大きな力がそれぞれスリーブ214およびばね215に加えられると達成される。力は、第1の保持具202、シャフト2および頭部3を介して、受け部の第1の端9aへ、次にスリーブ214へハンドル206およびレバー205によって加えられる。凹部203aの形状は円形である必要はなく、それ以外に形作ることができ、特に、受け部のいずれの可能な輪郭にも対応するように適合させることができる。
【0055】
工具200の寸法およびばね力は、受け部が挿入される第2の保持具203に対して骨アンカー固定要素1を有する第1の保持具202が移動することにより、凹部203aが第1の深さを有するように設定され、かつロッキングリング8が第1の位置にある場合に第1の力が加えられて骨アンカー固定要素1の頭部3を頭部受け部分17の中に導入できるように構成される。これはさらに、凹部203aが第2の深さを有する場合は、第1の保持具202が第2の保持具203に対してさらに近くに動かされてロッキングリング8が第1の位置から外れて第2の位置に動くとロッキングリング8に第2の力を加えることができるように構成される。発明の第2の実施例に従う工具200は、たとえば、受け部の高さが異なるおよび/または受け部に対するロッキングリングの位置がさまざまに異なるさまざまな骨アンカー固定装置の装着を可能にする。
【0056】
図26aから図28cに第2の実施例に従う工具の動作を示す。図26a、図27および図28aに示されるように、まず、骨アンカー固定要素1が第1の保持具202に挿通され、凹部が第1の深さを有するように設定される場合、ロッキングリング8が第1の位置に装着された受け部本体5が第2の保持具203の凹部203aに装着される。
【0057】
次のステップで、図26bおよび図28bに示されるように、レバー205(図22を参照)を作動させるようにハンドル206が作動され、これによりねじ頭部3が頭部受け部分17の中空の内部部分18(図5を参照)の中に押し込まれる。第2の保持具203、すなわちスリーブ214、の凹部203aの底は受け部の当接部として働くため、頭部受け部分17は拡張して頭部3の導入を可能にする。骨アンカー固定要素1の頭部3が中空の内部部分18にラッチされるまたは挿入されるまでハンドル206が作動される。ラッチは可聴の音を発生し得る。ロッキングリング8は第1の端211の側壁にまだ接触していないかもしれない。ばね215の抗力は、受け部本体5への頭部3の挿通からの抗力よりも大きい。したがって、ばね215はこのステップにおいて圧縮されない。
【0058】
図26cおよび図28cに示されるように、ハンドル206は次に、第2の保持具203のより近くへ第1の保持具202を押すようにさらに作動される。これにより、受け部本体5を有する頭部3は、凹部203a、すなわちスリーブ214、の底に押し付けられる。ロッキングリング8および受け部本体5を互いに対して動かすのに必要な力は、ばね215からの抗力よりも大きい。したがってばね215が圧縮される。凹部203aは今や、第2の保持具203の第1の端211の側壁がロッキングリング8(図3を参照)の可撓性壁部分83aの係合部分83bを押さえつけ、これによりロッキングリング8を第1の位置から外して、係合部分83bがロッド受け部分9上の溝16の中にラッチされる第2の位置にロッキングリング8を動かす深さを有する。係合部分83bが溝16の中にパチンと嵌まると、受け部本体5に対してロッキングリング8がラッチする音が聞こえ、正しい予備ロック位置に到達したことを示す。
【0059】
その後、第1の保持具202は後方に動かされ、骨アンカー固定装置が取外される。工具100の第1の実施例と比較した工具200の第2の実施例の1つの利点は、必要なのがハンドル206の単一の作動のみであり、骨アンカー固定装置の装着の間に動かす必要のある付加的部品がないことである。
【0060】
第2の実施例に従う工具200により、頭部の導入および骨アンカー固定装置の予備ロック位置への装着を含む1ステップで骨アンカー固定装置の組立てを容易に完了することができる。
【0061】
図29から図33を参照して、次に骨アンカー固定要素のための第1の保持具302の第3の実施例を説明する。図29に示される工具300は、先の実施例の第1の保持具を置換える第1の保持具302を除いて上述の工具200と同じであり得る。
【0062】
図30bおよび図31に示される第1の保持具302は、図30bを参照すると長手方向に一方端からもう一方の端に、第1の保持具302の側から内向きに延在する長手方向のU字形状の凹部302aを有する。凹部302aの直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具302の自由端面302bは骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具302は枠301上に支持される。
【0063】
図30aおよび図32は、挿入物320の中心軸323の周りに周方向に配置される複数の長手方向に延在する凹部322a、322b、322cを有する円筒形セクションの形態の第1の保持具のための第1の実施例に従う挿入物320を示す。凹部は、異なるシャンクを有するねじまたは他の骨アンカー固定要素の挿入のためにサイズ決めおよび/または適合される。示される実施例では、挿入物320は、第1の半径を有する第1のシリンダ形状またはU字形状の凹部322a、第2の半径を有する第2のシリンダ形状またはU字形状の凹部322b、および第3の半径を有する第3のシリンダ形状またはU字形状の凹部322cを有し、3つの半径は互いに異なっている。3つの凹部322a、322b、322cは、図30aに見られるように挿入物320の長さ延在してもよい。挿入物320は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に第1のピン321aが設けられ、第2の端の上に第2のピン321bが設けられる。ピン321a、321bは挿入物320の中心軸323と整列される。
【0064】
図30bを参照すると、第1の保持具302は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に第1のスロット311が設けられ、第2の端の近くに第2のスロット312が設けられ、この両者ともが内側に第1の保持具302の側から延在する。第1の保持具302の第2の端は、図29に見られるように、工具300のレバー305およびハンドル306に接続されるように構成される。
【0065】
第1の保持具302のU字形状の凹部302aは、挿入物320を受けるように設けられる。U字形状の凹部302aの丸い部分の半径は挿入物320の半径と実質的に等しい。
【0066】
図31に見られるように、装着された状態で、挿入物320の第1のピン321aは第1の保持具302の第1のスロット311に嵌合し、挿入物320の第2のピン321bは第1の保持具302の第2のスロット312に嵌合する。挿入物320はピン321a、321bによって支持されかつ導かれ、図33に見られるように第1の保持具302のU字形状の凹部302aによっても保持される。
【0067】
第2の保持具103に対する第1の保持具302の向きは、受け部5が第2の保持具103に挿通され、骨アンカー固定要素1が挿入物320の凹部322a、322bまたは322cのうち1つの中の第1の保持具302に挿通された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0068】
3つの凹部322a、322bまたは322cは、骨アンカー固定要素の異なる大きさのシャンクを受けるように適合される。図29、図31および図33を参照して、使用されている特定の凹部322a、322b、322cは、U字形状の凹部302aの開口に向けて外向きに面する。挿入物320のこの実施例では、少なくとも3つの異なる大きさの骨アンカー固定要素の装着を収容することができる。使用されている凹部322a、322b、322cを変更するために、挿入物320をその軸323の周りで回転させることができる。
【0069】
次に図34から図47を参照して骨アンカー固定要素1のための第1の保持具402の第4の実施例を説明する。図34に示される工具400は、先の実施例の第1の保持具を置換える第1の保持具402を除いて上述の工具200または300と同じであり得る。
【0070】
図35から図41に示される第1の保持具402は、図36を参照すると、長手方向に一方端からもう一方の端に、第1の保持具402の側から内向きに延在する長手方向のU字形状の凹部402aを有する。凹部402aの直径は骨アンカー固定要素1の頭部3の直径よりも小さい。したがって、第1の保持具402の自由端面402bは、半円形の凹部により、骨アンカー固定要素1の頭部3の当接部として働く。第1の保持具402は枠401上に支持される。さらに、自由端面402bに隣接して、U字形状の凹部402aに垂直の、凹部402aの中に延在するスロット423が設けられる。図37の図示を参照して、スロット423は、上側部分でU字形状の凹部402aの2本の脚にそれぞれ交差する。
【0071】
図35および図42から図45は、挿入物420の対向する側に配置される第1の長手方向に延在する凹部422aおよび第2の長手方向に延在する凹部422bを有する円筒形セクションの形態の、第4の実施例に従う第1の保持具402のための第2の実施例に従う挿入物420を示す。凹部422aおよび422bは、異なるシャンクを有するねじまたは他の骨アンカー固定要素1の挿入のためにサイズ決めおよび/または適合される。示される実施例では、第1のシリンダ形状またはU字形状の凹部422aは、たとえば4−6mmのシャンクを受けるための第1の半径を有し、第2のシリンダ形状またはU字形状の凹部422bは、たとえば7−9mmのシャンクを受けるための第2の半径を有する。2つの凹部422aおよび422bを参照する他の半径の組合せも可能である。凹部422aおよび422bは、図35、図42−図44に見られるように挿入物420の全長延在してもよい。
【0072】
挿入物420は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に、長手方向の凹部422aおよび422bに垂直に延在するピン424が設けられる。図42に見られるように、ピン424は球形の端部分を有し、挿入物420の円筒形外壁上に設けられる。
【0073】
図37を参照すると、第1の保持具402は第1の端および第2の端を有し、第1の端の上に、第1の保持具402の側から内向きに延在する第1のスロット411が設けられる。第1の保持具402の第2の端は、図34に見られるように、工具400のレバー405およびハンドル406に接続されるように構成される。
【0074】
第1の保持具402のU字形状の凹部402aは挿入物420を受けるように設けられる(図36を参照)。U字形状の凹部402aの丸い部分の半径は挿入物420の外側半径と実質的に同じである。図36に見られるように、装着された状態で、挿入物420のピン424は第1の保持具402のスロット423に嵌合し、ピン424は、ピン423を介して挿入物420を回転させることにより、2つの位置でスロット423によって受けられ得る。挿入物420は、図46および図47に見られるように、第1の保持具402のU字形状の凹部402aによって支持されかつ導かれる。
【0075】
第2の保持具103、203に対する第1の保持具402の向きは、受け部5が第2の保持具103、203に挿通され、骨アンカー固定要素1が挿入物420の凹部422aまたは422bのうち1つの中の第1の保持具402に挿通された際に受け部5の中心軸が骨アンカー固定要素1の軸と同軸に位置決めされるように構成されるようなものである。
【0076】
凹部422aまたは422bは、骨アンカー固定要素の異なる大きさのシャンクを受けるように適合される。図34、図36、図46、図47を参照して、使用されている特定の凹部422a、422bは、U字形状の凹部402aの開口に向けて外向きに面する。挿入物420のこの実施例では、少なくとも2つの異なる大きさの骨アンカー固定要素1の装着を収容することができる。使用されている凹部322a、322bを変更するために、ピン424により、挿入物420をその軸の周りで回転させることができる。ピン424および対応のスロット423により、挿入物420の2つの位置がU字形状の凹部402aの2本の脚のうち1本の中のピン424の位置に依存して規定される。2つの凹部422aおよび422bしか設けないことにより、挿入物420の清掃および滅菌も容易である。挿入物420を回転させるためにピン424を設けることも、挿入物320の第1の実施例を参照すると可能である。この場合は、たとえば、長手方向の凹部302aの設置面の2つの短いスロットおよび1つの孔により、ピンの3つの規定された位置を設けなければならない。
【0077】
他の実施例では、凹部の数が3つよりも多いまたは少ないシリンダまたは挿入物を設けることが可能である。保持具の第3の実施例では、ユーザは、異なるシャンクを有するねじまたは骨アンカー固定要素を受け部と組合せることができる。したがって、実際の臨床状況に依存してインプラントの組合せのより幅広い選択肢をユーザに与えるモジュール式システムが提供される。
【0078】
骨アンカー固定装置は、製造者により、または外科手術の準備の間に、またはいずれの他のときにも予め組立て可能である。有利には、外科医が外科手術の前に特定の臨床適用例の特定的な要件に従って所望の受け部および骨アンカー固定要素を選択することができる。骨アンカー固定装置の設計により、アンカー固定セクションの直径、長さおよび他の特徴という観点で適切な骨アンカー固定要素を選択することが可能になる。したがって、受け部およびさまざまな骨アンカー固定要素を含むモジュール式システムを提供することができ、これは次に個別に選択および適合が可能である。
【0079】
外科手術における使用の際に、受け部本体5、骨アンカー固定要素1、および予備ロック位置にあるロッキングリング8を含む予め組立てられた骨アンカー固定装置が骨に螺合される。頭部3の凹部4には、第1のボア10を通してねじ工具を用いてアクセス可能である。接続すべきロッド6に対して受け部本体5を正しく整列させるため、手動でまたは器具の適用によって、受け部に対して付加的な力を加えることができる。他の骨アンカー固定装置に対するロッド6の正しい位置も一旦達成されると、骨アンカー固定装置ごとに雌ねじ7を締結することができる。ロッド6がロッキングリング8の突起86に当接するので、ロッキングリング8はロック位置である第3の位置へ下向きにシフトされる。ロッキングリング8が頭部受け部分17の自由端17bに向けて動かされると、頭部受け部分17が圧縮され、これにより頭部3の位置がロックされる。雌ねじ7の最終的な締結によりロッド6および頭部3が同時にロックされる。
【0080】
予備ロック条件では、雌ねじ7が緩められても頭部3はクランプ留めされたままである。これによりロッド6の位置決めに対するさらなる調節が可能になる。
【0081】
示される実施例のさらなる修正例が可能である。たとえば、骨アンカー固定要素の頭部は、たとえば、円筒形などのいずれの他の形状を有することもでき、これにより、単一の軸を中心とした受け部本体に対するねじ要素の回転を可能にする単軸骨ねじが設けられる。頭部も、円錐形状またはそれ以外の形状であることもでき、頭部受け部分の内部中空セクションはこの形状に対応するように適合される。さらなる修正例では、頭部受け部分の可撓性はたとえばプラスチック材料などの材料の性質に基づき、スリットをすべてまたは一部省略してもよい。
【0082】
ロッドと係合するロッキングリングの突起は別の形状を有することができ、たとえば、自由端の表面は平らであることができ、またはそれ以外の形状であることができる。これに代えて、突起を省略することができる。
【0083】
頭部受け部分は傾いた開放端を有することができ、または一方向に頭部のより大きな角度形成を可能にするように他の態様で非対称であることができる。
【0084】
頭部受け部分の外面およびロッキングリングの内面は、ロッキングリングが受け部分本体に対して下向きにシフトされる際に、増大していく力によりロッキングリングの圧縮を可能にする他の形状を有することができる。
【0085】
工具に関しても変形が可能である。たとえば、受け部の中心軸とねじの軸とが工具が載置されるまたは位置決めされる表面に対して垂直に延在するように工具を構成可能である。受け部本体のための第2の保持具は骨アンカー固定要素のための第1の保持具に対して可動であり得る。さらに、工具を手動で作動させる代わりに、機械的にまたは電子的に動作される装置で工具を作動させることも可能であり得る。
【符号の説明】
【0086】
1 骨アンカー固定要素、3 頭部、5 受け部本体、8 ロッキングリング、9 ロッド受け部分、17 頭部受け部分、100、200、300、400 工具、104、320、420 挿入物、102、103、202、203、302、402 保持具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具(300,400)のための挿入物(320,420)であって、
骨にアンカー固定すべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と受け部とを備え、
前記挿入物(320,420)は、前記工具(300,400)の保持具(302,402)の長手方向凹部(302a,402a)に挿通されるように構成され、
前記挿入物(320,420)は前記骨アンカー固定要素(1)を受けることができ、
前記挿入物(320,420)は、異なる大きさの骨アンカー固定要素(1)を受けるように構成される2つの凹部(422a,422b)からなる、挿入物(320,420)。
【請求項2】
前記凹部(422a,422b)はシリンダ形状またはU字形状である、請求項1に記載の挿入物(320,420)。
【請求項3】
前記挿入物(320,420)上の前記凹部(422a,422b)は前記挿入物(320,420)の全長に亘って延在する、請求項1または2に記載の挿入物(320,420)。
【請求項4】
前記挿入物(320,420)は実質的に円筒形である、請求項1から3のうち1項に記載の挿入物(320,420)。
【請求項5】
前記挿入物(320,420)は前記保持具(302,402)中で回転可能である、請求項1から4のうち1項に記載の挿入物(320,420)。
【請求項6】
前記挿入物(420)はピン(424)を有する、請求項1から5のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項7】
前記挿入物(420)は前記ピン(424)を介して回転可能である、請求項6に記載の挿入物(420)。
【請求項8】
前記ピン(424)は前記挿入物(420)の一方端に設けられ、少なくとも2つの前記凹部(422a,422b)に垂直に延在する、請求項6または7に記載の挿入物(420)。
【請求項9】
前記挿入物(420)は、前記保持具(402)の前記長手方向凹部(402a)に垂直な前記保持具(402)のスロット(423)の中に嵌合する、請求項6から8のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項10】
互いに対向する2つの凹部(422a,422b)が設けられる、請求項1から9のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項11】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、前記骨アンカー固定装置は、骨にアンカー固定すべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と受け部とを備え、
請求項1から10のうち1項に記載の挿入物(302,402)を有する前記骨アンカー固定要素(1)のための第1の保持具(202)を備える、工具。
【請求項1】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具(300,400)のための挿入物(320,420)であって、
骨にアンカー固定すべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と受け部とを備え、
前記挿入物(320,420)は、前記工具(300,400)の保持具(302,402)の長手方向凹部(302a,402a)に挿通されるように構成され、
前記挿入物(320,420)は前記骨アンカー固定要素(1)を受けることができ、
前記挿入物(320,420)は、異なる大きさの骨アンカー固定要素(1)を受けるように構成される2つの凹部(422a,422b)からなる、挿入物(320,420)。
【請求項2】
前記凹部(422a,422b)はシリンダ形状またはU字形状である、請求項1に記載の挿入物(320,420)。
【請求項3】
前記挿入物(320,420)上の前記凹部(422a,422b)は前記挿入物(320,420)の全長に亘って延在する、請求項1または2に記載の挿入物(320,420)。
【請求項4】
前記挿入物(320,420)は実質的に円筒形である、請求項1から3のうち1項に記載の挿入物(320,420)。
【請求項5】
前記挿入物(320,420)は前記保持具(302,402)中で回転可能である、請求項1から4のうち1項に記載の挿入物(320,420)。
【請求項6】
前記挿入物(420)はピン(424)を有する、請求項1から5のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項7】
前記挿入物(420)は前記ピン(424)を介して回転可能である、請求項6に記載の挿入物(420)。
【請求項8】
前記ピン(424)は前記挿入物(420)の一方端に設けられ、少なくとも2つの前記凹部(422a,422b)に垂直に延在する、請求項6または7に記載の挿入物(420)。
【請求項9】
前記挿入物(420)は、前記保持具(402)の前記長手方向凹部(402a)に垂直な前記保持具(402)のスロット(423)の中に嵌合する、請求項6から8のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項10】
互いに対向する2つの凹部(422a,422b)が設けられる、請求項1から9のうち1項に記載の挿入物(420)。
【請求項11】
骨アンカー固定装置を組立てるための工具であって、前記骨アンカー固定装置は、骨にアンカー固定すべき頭部(3)およびシャフト(2)を有する骨アンカー固定要素(1)と受け部とを備え、
請求項1から10のうち1項に記載の挿入物(302,402)を有する前記骨アンカー固定要素(1)のための第1の保持具(202)を備える、工具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17a】
【図17b】
【図18a】
【図18b】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25a】
【図25b】
【図26a】
【図26b】
【図26c】
【図27】
【図28a】
【図28b】
【図28c】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公開番号】特開2013−39347(P2013−39347A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−104561(P2012−104561)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−104561(P2012−104561)
【出願日】平成24年5月1日(2012.5.1)
【出願人】(511211737)ビーダーマン・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディートゲゼルシャフト (30)
【氏名又は名称原語表記】BIEDERMANN TECHNOLOGIES GMBH & CO. KG
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]