説明

工業用ロールおよびその信号データを収集する方法並びに工業用ロールにおける作動パラメータを測定するためのシステム

【課題】 最小数のワイヤを使用してデータ信号を送信するよう構成された工業用ロールに関し、工業用ロールにおける信号データを収集する方法並びに多数のセンサから測定値を出力しうる検知システムを提供する。
【解決手段】 工業用ロール200は、外表面を有する実質的に円筒形のシェル205と、該シェルの外表面に円周方向に覆い被さる高分子カバー210と、検知システム215とを含んでいる。該検知システムは、データパラメータを検知するようにそれぞれ構成されて、カバーに埋め込まれた複数のセンサ220と、それぞれのセンサに接続されると共に、その近くでカバーに埋め込まれる複数の無線トランシーバ280とを備えている。各無線トランシーバは、該センサからのデータ信号を送信するよう構成されている。関連した方法及びシステムも開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、総括的には工業用ロールに関し、特に、製紙用ロールに関するものである。さらに本発明は、工業用ロールにおける信号データを収集する方法並びに工業用ロールにおける作動パラメータを測定するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
円筒形もしくは円柱形ロールは、多くの工業用用途、特に製紙に関する用途に用いられうる。かかるロールは、該ロールが高い動的荷重及び温度にさらされる可能性のある厳しい環境において使用されるのが一般的である。一例として、標準的な製紙工場において、ロールは、繊維ウェブシートをプロセス装置とプロセス装置との間に搬送するためだけでなく、プレスセクション及びカレンダーロールの場合、ウェブシート自体を処理して紙にするために使用することができる。
【0003】
製紙工程のプレスセクションにおいて、協働する2つ以上のロールは、繊維ウェブがフェルトでロール間を走行するときに、該繊維ウェブを圧搾する。いわゆる“ニップ”は、紙ウェブが通過する2本の隣接ロール間の接触領域である。各ロールは、ポリマーもしくは高分子カバーで被覆された金属シェルから構成されるのが典型的である。ニップでの圧搾段階中にウェブに加えられる圧力の大きさは均一なシート特性を実現する上で決定的に重要な意味を有しうるので、ロールの特性は製紙の際に特に重要である。ニップ圧及びニップ幅の変化は、シートの水分含有量、厚み及びその他のシート特性に影響を与えることができる。過剰のニップ圧及びニップ幅は、結果として得られる紙製品に裂け目を生じさせるのはもちろんのこと、繊維のつぶれも生じさせうる。その上、シートに加えられる圧力の大きさ及び面積は、ロールの長さに沿って又は長さを横断する方向に一様ではないことがありうるので、不均一な表面特性を有する品質の悪い紙になることが往々にしてある。
【0004】
ニップロールに関するその他の条件もまた重要である。例えば、ロールカバーが受けるマシン横断方向の応力及び歪みは、カバーの耐久性及び寸法安定性に関する情報を提供することができる。また、ロールの温度分布は、カバーの潜在的な問題領域を識別するのに役立ちうる。
【0005】
工業用ロールの使用中に作動パラメータを測定するため、該ロールのカバー内に圧力センサ及び/又は温度センサを組み込むことは既知である。例えば、特許文献1は、ロールの長さに沿った数カ所で圧力又は温度を測定してそれら測定値をコンピュータに送るために複数のセンサを有するロールについて記載している。また、特許文献2は、ロールの高分子カバーに埋め込まれた複数の圧力センサを含む、螺旋状配置の繊維を有するロールについて記載している。
【0006】
ニップロールにおける作動パラメータを測定する従来のシステムは、図5に例示されている。図5を参照すると、ニップロール100は、円筒形シェルもしくはコア105と、該シェル105を包むカバー110(一種以上の高分子材料から形成されるのが一般的である)とを含んでいる。問題の圧力、温度又はその他の作動パラメータを検知するための検知システムは、それぞれカバー110に埋め込まれた複数のセンサ120を含んでいる。この検知システムはまた、該センサ120により発生された信号を処理するプロセッサ130を含んでいる。複数のワイヤ140は、複数のセンサ120をマルチプレクサ150と、プロセッサ130への送信のためロールヘッド170に設けられた送信器160とに接続している。
【0007】
1つのセンサについて2本のワイヤを必要とするのが一般的である。このことは、1つのロールに多数のセンサが使用されれば、ロールの長さに沿って敷設する多数のワイヤを必要とし、該ワイヤはロールの表面から離れてロールのヘッドにある電子ユニットへと敷設される必要があるかも知れない。これらのワイヤは、ロールカバーの層内に敷設されうる。センサの数が増すにつれて、これらの電気接続を取り扱うことが飛躍的に難しくなるかも知れない。例えば、可変クラウンロールの場合、ワイヤの敷設は特に困難になるであろう。可変クラウンロールのヘッドはしばしば取り外される可能性があるので、ワイヤが損なわれないよう余分な注意が必要になる。加えて、ロールカバーの層に通して多数のワイヤを敷設することは、カバーの健全性を弱めることになるかも知れない。
【0008】
そういうことなので、ワイヤの数を最小にする方法が幾つか知られている。例えば、共通のアース線を使用すれば、1つのセンサにつき(アース線に加えて)1本のワイヤで十分であろう。このようなシステムの例は、特許文献3及び特許文献4において論じられている。更に、1つのみの圧力センサが一度にニップの中にあるのなら、2本のワイヤを使用して多数のセンサを支持することができる。これが可能であるのは、1つのみのセンサが一度に圧力測定(従って、ワイヤを通して送信する)を行ないうるからである。このようなシステムの一例は特許文献1に論じられている。
【特許文献1】ムーア(Moore)に対する米国特許第5,562,027号明細書
【特許文献2】モシェレ(Moschle)等に対する米国特許第5,699,729号明細書
【特許文献3】アロネン(Allonen)に対する米国特許第5,379,652号明細書
【特許文献4】レイチネン(Laitinen)に対する米国特許第5,383,371号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、1つよりも多いセンサが一度にニップ内にあれば、どの信号がどのセンサからきているのかを知らせることが、不可能ではなくても、困難になるであろう。例えば、温度測定値については、無視しても構わない周期的な脈動があるので、2本のみのワイヤを使用して異なる温度センサを識別することは殆ど不可能である。更に、もっと小径のロールについては、センサ間隔がもっと狭くなるので、2,3個のセンサを使用しうるに過ぎない。いかなる場合でも、ワイヤの敷設は難しい作業である。従って、最小数のワイヤを使用してロールに関し多数のセンサから測定値を出力しうる検知システムを提供することが望ましい。
【0010】
本発明は、上記課題を解決し、工業用ロールおよび工業用ロールにおける信号データを収集する方法並びに工業用ロールにおける作動パラメータを測定するためのシステムを提供することを目的とする。本発明は、工業用ロールのための検知システムに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の形態として、外表面を有する実質的に円筒形のシェルと、該シェルの外表面に円周方向に覆い被さる高分子カバーと、検知システムとを含む工業用ロールに向けられている。該検知システムは、複数のセンサと複数の無線トランシーバとを含んでいてよい。複数のセンサはカバーに埋め込まれていて、各センサがデータパラメータを検知するように構成されている。複数の無線トランシーバの各々は、センサからのデータ信号を送信するために、それぞれのセンサに接続されると共に、その近くでカバーに埋め込まれている。
【0012】
実施形態によっては、検知システムは更に、複数の無線トランシーバからデータ信号を受けるために該複数の無線トランシーバに作動可能に関連した無線レシーバと、該無線レシーバに作動可能に関連して、それにより運ばれる前記データ信号を処理するリモートプロセッサとを備えうる。また、検知システムは、複数の電源を更に備えていてよく、各電源は、それぞれのセンサ及び無線トランシーバに接続されると共に、その近くでカバーに埋め込まれる。各センサとそれぞれの無線トランシーバ及び電源とは単一コンポーネントになって含まれうる。
【0013】
本発明による別の実施形態において、各無線トランシーバは、その信号を他の無線トランシーバから送信された信号と識別するコードを出力するよう構成することができる。代案として、各無線トランシーバは、他の無線トランシーバとは異なる周波数で送信するよう構成されうる。更なる代替例として、各無線トランシーバは、それぞれのセンサからのデータ信号をレシーバに所定の順序で送信するように構成することができる。
【0014】
実施形態によっては、複数のセンサは、ロールの長さに沿って共通の円周方向位置に配置されていてよい。複数のセンサはまた、共通の軸方向位置に配置されることができる。或いは、複数のセンサは、ロール上の分散した円周方向及び軸方向位置に、又はロール上の複数の円周方向及び軸方向位置に配置されうる。更に、各センサにより検知されたデータパラメータは、温度、圧力、ピーク圧力、歪み、ニップ幅及び水分のうちの1つに関係していてよい。
【0015】
他の実施形態において、センサに接続された各電源は、バッテリー、充電式バッテリー及びコンデンサのうちの1つから構成されうる。これらの実施形態は、各電源を再充電するための充電システムを含みうる。この充電システムは、ロールが作動していないときに各電源を再充電するよう構成された無線充電器を含みうる。代案として、充電システムは、ロールの長さにわたる固定部材と、該固定部材の長さに沿って取り付けられた複数の無線充電器とを備えており、各充電器は、ロール作動中に誘導結合を用いて電源を再充電するよう構成されている。固定部材は、ドクターブレード組立体であってよく、或いはロールの周囲の一部を包むよう断面弓状になっていてよい。
【0016】
実施形態によっては、充電システムは、それぞれ少なくとも1つの電源に接続されると共に、その近くでカバーに埋め込まれた複数の圧電装置を含んでいて、各圧電装置は、それぞれの電源を再充電するため圧縮されたときにエネルギを発生するよう構成されている。或いは、充電システムは、ロールに設けられると共に、各電源を再充電するためロールのスプリアス振動及び/又は回転からエネルギを発生するよう構成されている無線充電器を含んでいてよい。
【0017】
別の実施形態において、充電システムは、振動、温度差、熱及び/又はRF信号から取り入れたエネルギを使用して各電源を再充電するよう構成されたエネルギ取入れシステムとすることができる。
【0018】
実施形態によっては、複数の無線トランシーバはトランスミッタであってよい。他の実施形態において、無線トランシーバは、赤外線(IR)トランスミッタ及びレシーバを含みうる。複数の無線トランシーバは網状又は星形網状の接続形態になって構成されていてよい。
【0019】
他の実施形態において、検知システムは複数のピーク検出器を更に含んでいてよい。各ピーク検出器は、それぞれセンサ及び無線トランシーバの間に接続されうる。無線トランシーバからのデータ信号はピークニップ圧を含んでいてよい。該ピーク検出器は、リセット指令、特定回転数、及び/又はリモートプロセッサ読取り動作に応答してリセットされうる。
【0020】
第2の形態として、本発明は、データパラメータを検知するよう構成された複数のセンサが埋め込まれたカバーを有する工業用ロールにおける信号データを収集する方法に向けられている。この方法は、それぞれのセンサに接続されると共にその近くでカバーに埋め込まれた複数の無線トランシーバを用意するステップ、及びそれぞれの無線トランシーバによりセンサからのデータ信号をプロセッサに送信するステップを含んでいてよい。
【0021】
第3の形態として、本発明は、複数のセンサ及び複数の無線トランシーバを含む、工業用ロールにおける作動パラメータを測定するためのシステムに向けられている。複数のセンサは、ロールの外表面に円周方向に覆い被さる高分子カバーに埋め込まれており、各センサがデータパラメータを検知するようにそれぞれ構成されている。複数の無線トランシーバの各々は、それぞれのセンサに接続されると共に、該センサからのデータ信号を送信するためその近くでカバーに埋め込まれていてよい。このシステムはまた、無線レシーバとリモートプロセッサとを含むことができる。無線レシーバは、複数の無線トランシーバからデータ信号を受けるため該無線トランシーバと作動可能に関連付けられていてよく、また、リモートプロセッサは、それにより伝えられたデータ信号を処理するため該無線レシーバと作動可能に関連付けられていてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の好適な実施形態を示す添付図面を参照し、本発明について以下により詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態で実施可能であり、ここに示された実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、その開示内容が徹底しており且つ完全であり、そして本発明の範囲を当業者に十分に伝達するように提示されている。図面において、同様の数字は、終始、同様の要素を指している。構成要素の中には、明瞭にするため太さ及び寸法が誇張されているものがある。
【0023】
図面を参照すると、図1は、本発明の実施形態に基づいてニップロールの作動パラメータを測定するためのシステムを例示している。図1に示すように、ニップロール200は、円筒形シェルもしくはコア205と、該シェル205を包むカバー210(一種以上の高分子材料から形成されるのが典型的である)とを含んでいる。問題の圧力、温度、歪み、水分、ニップ幅及び/又はその他の作動パラメータを検知するための検知システム215は、それぞれカバー210に埋め込まれた複数のセンサ220を含んでいる。この検知システム215は更に、複数の無線トランシーバ280を含んでおり、各無線トランシーバは、複数のセンサ220のうちの少なくとも1つに接続されると共に、その少なくとも1つのセンサの近くでカバー210に埋め込まれている。図1は各センサについて1つの無線トランシーバを例示しているが、本発明による代替実施形態においては、単一の無線トランシーバが多数のセンサに共用されていてもよい。無線トランシーバ280は、それらの関連センサ220からの信号を検知システム215における無線レシーバ240に送信する。該検知システム215はまた、レシーバ240を経由してセンサ220から受信した信号を処理するプロセッサ230を含んでいる。
【0024】
センサ220は、問題の作動パラメータ(例えば、圧力、温度、歪み、水分、ニップ幅等)に関するデータを検出するのに当業者により適当であるとして認められた任意の形態とすることができる。例えば、温度センサには、熱電対、抵抗温度検出器(RTDs)及びサーミスタがある。圧力センサには、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、力覚性抵抗器(FSRs)、光ファイバセンサ、歪みゲージに基づくロードセル及び容量性センサがある。ニップ幅センサには、圧電センサ、ピエゾ抵抗センサ、力覚性抵抗器(FSRs)、光ファイバセンサ、メンブランスイッチ及び容量性センサがある。センサの形式に応じて、各センサロケーションに補助的な電子装置が必要になるかも知れない。上述したセンサの設計及び作動は技術的に知られており、ここで更に説明する必要はない。
【0025】
プロセッサ230は、典型的には、パーソナルコンピュータ、又は、遠隔ロケーションからセンサ220の信号を処理して有用で容易に解釈される情報にすることができる製紙工場の機能分散制御システムのような類似のデータ交換装置である。適当な例示的処理ユニットは、上述した特許文献1及びムーア(Moore)に対する米国特許第6,568,285号明細書において論じられており、それらの開示内容全体は参照によりここに組み込まれる。
【0026】
更に図1を参照すると、無線レシーバ240は、無線トランシーバ280を経由してセンサ220からデータを受け取る。図示しないが、無線中継器及び/又はルータをカバー内に配置して信号を送信できる距離を延ばすことができる。中継器又はルータは、他の中継器又はルータ及び近くのセンサから信号をピックアップし、該信号を前方の中継器に送信して、各トランシーバ当りの送信電力を減少させることを可能にする。
【0027】
図2Aは、図1に示すような本発明の実施形態に基づくセンサロケーションの概略図である。図2Aを参照すると、各センサロケーションにおいて、少なくとも1つのセンサ220’が、該センサ220’の近くでロールカバー210に埋め込まれた無線トランシーバ280’に接続されている。センサ作動のために何ら外部配線の必要がないように、バッテリーのような電源250も各センサロケーションでセンサ220’に接続してもよい。この電源250は、コンデンサのようなエネルギ蓄積装置であってもよい。
【0028】
例えば、センサ220’は、マイクロセンシス(Micro-Sensys)のTELID2(登録商標)T又はアイキューモバイル(IQ-Mobil)のRDKS(登録商標)のように、電圧を加えられたときに温度測定値を送信することができる従来のパッシブセンサでよい。パッシブセンサにおいて、電源250は、センサ220’に動力を供給するため振動、熱、温度差及び/又はRF信号からのエネルギにより再充電されるよう構成されているセンサパッケージにふくまれるコンデンサ又はその他のパッシブエネルギ蓄積装置でよい。代案として、電源250は、電力を追加供給することによりセンサ220’の送信範囲及び/又は速度限界を改善するようセンサ220’に接続されるバッテリーのような外部電源としうる。電源250は、プロセッサ230からの指令に応答してトランシーバ280’を使用し温度測定値を送信するためセンサ220’に電圧を印加する即時電力を供給するように構成しうる。
【0029】
更に図2Aを参照すると、特定のセンサ形式の場合に必要とされる任意の補助的な電子装置を収容するための電子ユニット270もまたセンサ220’に接続されていてよい。この電子ユニット270は、送信前に信号処理を行うためマイクロプロセッサを更に含んでいてよい。電子ユニット270は、その上、ピーク検出器を含みうる。センサ220’及び電子ユニット270は、2つの間のリードワイヤの長さを短くすると共にノイズの可能性を減じるため、接近して位置決めしうる。代案として、センサ220’、無線トランシーバ280’及び電子ユニット270は、更にノイズの可能性を減じるために、単一コンポーネント、即ち検知パッケージ内に全て含まれうる。
【0030】
無線トランシーバ280’は、センサ220’により検出されたデータを、プロセッサ230と動作可能に連係するレシーバ240に送信するように構成されている。この無線トランシーバ280’はまた、プロセッサ230から指令を受信して実行するように構成されていてもよい。代案として、無線トランシーバ280’は、プロセッサ230へデータを送るトランスミッタとしてのみ構成されていてもよい。また、無線トランシーバ280’は、各トランシーバ280’が1つ以上のセンサ220’を支持できるように構成されていてもよい。無線トランシーバ280’及びレシーバ240は、高周波(RF)信号伝達のような任意の無線通信モードを介して通信しうる。
【0031】
実施形態によっては、無線トランシーバ280’及びレシーバ240が、RF信号伝達の代わりに或いはRF信号伝達と共に、赤外線(IR)通信を使用していてもよい。IRトランスミッタは、カバーの長さに沿った任意の場所に配置しうる。透明に近いカバーについては、IRトランスミッタはカバー内に埋め込んでよい。不透明なカバーについては、IRトランスミッタは、ロールカバーの外表面の近くに又は外表面のところに配置してよい。場合によっては、IRトランスミッタをダブ領域(dub region)においてロールの両端に配置するのが有利であるかも知れない。
【0032】
加えて、無線トランシーバ280’は、同無線トランシーバ280’により送信された信号を一義的に同定できるように構成されうる。例えば、各無線トランシーバ280’は、異なる周波数で送信して、プロセッサ230が送信された信号を無線トランシーバ280’のうちの特定の1つに属するものとして認識することを可能にするように構成されうる。このようなことなので、多数の無線トランシーバが同時に送信しうる。代案として、各無線トランシーバ280’は、その信号を他の無線トランシーバ280により出力された信号とは異なるものと識別するコードを送信するように構成されうる。従って、プロセッサ230は、このコードに基づき特定の無線トランシーバ280に属するものとして各入力信号を一義的に識別することができる。更なる代替実施形態として、複数の無線トランシーバは、これら無線トランシーバの全てが同一周波数で送信するが、1つの無線トランシーバだけはどの時点においてもレシーバ240と通信するように、順次に送信するべく構成されうる。従って、ロールに関するセンサの数及び配置は、信号探知問題により決して制限されることはない。
【0033】
更に図2Aを参照すると、各センサロケーションにある電源250は、バッテリーのような任意の再充電可能なエネルギ蓄積装置を含むことができる。この電源250は、種々の方法を用いて再充電しうる。例えば、検知システム215は、ロール200が使用中ではない場合に、携帯電話機で使用されるものに類似する無線充電器を用いうる。作動停止中、充電ユニットは、電源250を再充電するためにセンサロケーションでロール200にテープで留められる。作動停止は時たま(例えば、30日毎)起こるのが一般的であるから、検知システム215は、同様の間隔で再充電することを要するだけの電源を使用する。
【0034】
代案として、検知システム215は、ロール作動中に各電源250に充電する誘導結合を使用しうる。充電ユニットは、ロール200の長さにわたり延びるドクターブレード組立体或いは任意の部材290(図1参照)に接続しうる。このようになっているので、各電源250は、それが回転しドクターブレード組立体290を通過するたびに再充電されうる。例えば、センサロケーションにある電源250がドクターブレード組立体290に接近するときに、それは強いRF信号に遭遇し、このRF信号が各回転時に電源250を部分的に再充電しうる。電源250がセンサ220’及び/又は電子ユニット270に電力を供給するのに十分なレベルまで再充電されたときに、該電源250はドクターブレード組立体290に信号を逆送りする。ドクターブレード組立体290は更に、数度だけロール200の周りを囲むような外形になっていて、効率の向上を可能にする。
【0035】
更なる代替実施形態として、検知システム215は車載型充電器を採用してもよい。かかる装置は低レベルのスプリアス振動からエネルギを発生しうる。代替エネルギ取入れシステムは、カバー210内に埋め込まれた圧電装置を使用してもよく、該圧電装置がニップにおいて圧縮される度にエネルギを発生することができる。別の代替例として、検知システム215は、RF信号から又は熱/温度変動からエネルギを取り入れうる。RF信号が使用される場合、該RF信号は結果を通信するのにも使用されうる。
【0036】
上の記載により例証したように、各センサロケーションにある電源250は電力をセンサ220’に供給し、無線トランシーバ280’はセンサ220’からの信号を無線レシーバ240を介してプロセッサ230に送信するので、ロール200の表面にある表面はもはや必要ではない。このようになっているので、図5においてロールヘッド170に設けられたマルチプレクサ150及び送信器160もまた不必要である。従って、本発明の実施形態によると、ワイヤ敷設に関連した諸問題が軽減及び/又は排除されうる。
【0037】
図2Bは、本発明の実施形態によるセンサトポロジー即ち接続形態の概略図である。図2Bを参照すると、各無線検知パッケージ、即ち“箇所”225’は、図2Aに示すようなセンサ220’、無線トランシーバ280’、電源250及び電子ユニット270を含んでいてよい。これら箇所225は網状トポロジーで通信するよう構成されており、このトポロジーにおいては、各箇所自体が最も効率的な経路を使用してレシーバ240のゲートウェイに通信するよう構成されている。代案として、箇所225は星形網状トポロジーになって構成されていてよい。かかる網状トポロジーは慣行的な通信技術よりもより健全であるが、何故なら、情報は欠陥のある又は損傷した箇所の周りを流れてレシーバ240に引き続き達しうるからである。その上、箇所255の全てが成功裡に通信するためにレシーバ240の範囲にあることを必要とされるとは限らない。
【0038】
図3は、本発明の実施形態に基づいてニップロールに設けられたセンサの横断面図である。図3を参照すると、ニップロール200は、中空の円筒形シェル又は中実のコア205と、該コア205を囲むカバー210とを含んでいる。コア205は、鋼又は鋳鉄から形成されるのが典型的である。サクションロールの場合、コア205は、ステンレス鋼又は青銅のような耐食性金属材料から形成されるのが典型的である。カバー材料の例には、天然ゴム、ネオプレンのような合成ゴム、スチレンブタジェン(SBR)、ニトリルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン(“CSPE”、商品名・HYPALONとしても知られている)、EDPM(この名前はエチレン−プロピレンジエンモノマから形成されたエチレン−プロピレン三量体に与えられている)、エポキシ、ポリウレタン、熱硬化性複合材料、及び熱可塑性複合材料がある。
【0039】
多くの例において、カバー210は、少なくとも2つの異なる層、即ち、コア205の上に覆い被さってそこへの結合剤となる基層と、該基層に覆い被さってそこに結合すると共に、ロールの外表面として機能するトップ素材(topstock)層とを含むであろう。ロールの中には、基層とトップ素材層の間に挟持された中間“タイアップ”層を含むものがある。基層及びタイアップ層についての適当な材料及び構成は、ジョーンズ(Jones)に対する米国特許第6,375,602号明細書、スティーブンスへの米国特許第6,328,681号明細書及び米国特許願第10/441,636号明細書において論じられており、各明細書の開示内容全体はここに組み込まれる。これらの層の材料は、カバーに予め規定した1組の作動特性を与えるべく選択されるのが典型的である。これらの特性は、必要強度、弾性係数、及び製紙環境に耐えるべく高温の水並びに刺激に強い薬品に対する耐性を含むことができる。加えて、カバーは、該カバーが行うプロセスに適する所定の表面硬さを有するように設計されるのが典型的であり、また、カバーは、紙シートに対する損傷なしにカバーから紙シートが離れることを必要とするのが典型的である。カバーは、補強・フィラー材料、添加物等も含むことができる。
【0040】
図3を更に参照すると、センサ220’(図示よりも小さい)は、コア205及びカバー210の間に埋め込まれている。アンテナもまたカバー210内に埋め込まれうる。センサ220’は、コア205に又はカバー210の諸層の1つに直接に設けることができる。センサ220’をコア205に設けることは、カバーの強度増大を可能にしうる。しかしながら、センサの装着は特定の用途に基づいて変えうる。
【0041】
例えば、ピーク温度はカバーの中間点近くでしばしば生じるので、ピーク温度を監視するためにセンサは基層又はタイアップ層の上に置かれる。このロケーションはまた、負荷変動により生じる加熱効果を測定するのに、より感じやすい。しかしながら、水冷ロールの温度測定については、センサをカバーの基層の上に設けるのが好ましいかも知れない。
【0042】
更に、水分測定については、水が最も集まりそうな境界に水分センサを設けることが好ましいかも知れない。従って、多くの硬質且つ不透過性のベースについては、カバーの基層の上にセンサを設けることが有利であると言える。或いは、軟質且つ透過性のベースについては、センサはコアに設けることができる。また、センサに必要などんな電子機器でも、センサがどこに置かれていてもコアに配置することができる。
【0043】
図4A〜図4Dは、本発明の実施形態に基づくニップロール上へのセンサ及び無線トランシーバの別の配置例を示している。無線トランシーバ280は信号をセンサ220からプロセッサ230に直接に送信するので、センサ位置は、もはやワイヤ敷設問題により制限されることはない。更に、無線トランシーバ280は各センサからの信号を一義的に識別することを可能にするので、プロセッサ230は、ニップにある複数のセンサを同時に探知することができる。例えば、図4Aは、ロール300の長さに沿って、ロール軸線と平行に、同一の円周方向位置に配置された1列のセンサ320及び無線トランシーバ380を例示している。このようにすると、ロール300上の全センサ320がニップに同時に入って、ロール300の長さに沿った状態についての測定を可能とする。例えば、ロールにより出される力は、ロールの中央が両端部よりも多くの場合大きいので、ロール全長に沿って多数のセンサを配置することは、ロール全長に沿った力の分布の測定を可能にする。
【0044】
代案として、センサ420及び無線トランシーバ480は、図4Bに例示するようにロール400上に螺旋状に配置するか、或いは図4Cに示すように(同図においてセンサ及び無線トランシーバはそれぞれ520及び580で表わされている)、ロール500上の多数の軸方向及び円周方向ロケーションに配置しうる。更なる代替例として、センサ620及び無線トランシーバ680は、図4Dに示すように、ロール600の表面上のランダム位置に配置することができる。これらの形態は、ニップの内側及び外側双方の諸状態の同時的な測定を可能にする。本発明はここで論じた形態に限定されるのではなく、ロール上のセンサ及び無線トランスデューサの配置は更に他の形態で表わしうることに留意されたい。このようなわけで、本発明の諸実施形態はロール上の任意の仮想箇所におけるセンサ配置を可能としており、ニップにおけるセンサ探知及び/又はワイヤ敷設に関する諸問題を無くしている。
【0045】
以上に述べたことは、本発明の例示であり、本発明を制限するものと考えるべきではない。本発明の典型的な実施形態について説明してきたが、多くの変形例が本発明の新規な教示事項及び利点から著しく逸脱することなく典型的な実施形態において可能であることは、技術に習熟した者なら容易に分かるであろう。従って、このような全ての変形例は、本発明の範囲内に含まれることが企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態に基づくニップロール及び検知システムの斜視図である。
【図2A】本発明の実施形態に基づくセンサ及び無線トランシーバの概略図である。
【図2B】本発明の実施形態に基づくセンサ接続形態の概略図である。
【図3】本発明の実施形態に基づきニップロールに設けられたセンサの横断面図である。
【図4A】本発明の実施形態に基づくニップロール上のセンサ及び無線トランスデューサの配置の斜視図である。
【図4B】本発明の実施形態に基づくニップロール上のセンサ及び無線トランスデューサの別の配置の斜視図である。
【図4C】本発明の実施形態に基づくニップロール上のセンサ及び無線トランスデューサの更に別の配置の斜視図である。
【図4D】本発明の実施形態に基づくニップロール上のセンサ及び無線トランスデューサの別の配置の斜視図である。
【図5】従来のニップロール及び検知システムの斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
200 ロール
205 円筒形シェル
210 カバー
215 検知システム
220 センサ
220’ センサ
230 プロセッサ
240 無線レシーバ
250 電源
270 電子ユニット
280 無線トランシーバ
280’ 無線トランシーバ
290 ドクターブレード組立体(固定部材)
300 ロール
320 センサ
380 無線トランシーバ
400 ロール
420 センサ
480 無線トランシーバ
500 ロール
520 センサ
580 無線トランシーバ
600 ロール
620 センサ
680 無線トランシーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面を有する実質的に円筒形のシェルと、
該シェルの外表面に円周方向に覆い被さる高分子カバーと、
検知システムとを備える工業用ロールであって、前記検知システムは、
データパラメータを検知するようにそれぞれ構成されて、前記カバーに埋め込まれた複数のセンサと、
それぞれのセンサに接続されると共に、該センサからの信号を送信するためその近くで前記カバーに埋め込まれる複数の無線トランシーバとを備える、工業用ロール。
【請求項2】
前記検知システムは更に、
前記複数の無線トランシーバからデータ信号を受けるために該複数の無線トランシーバに作動可能に関連した無線レシーバと、
該無線レシーバに作動可能に関連して、それにより運ばれる前記データ信号を処理するリモートプロセッサとを備える、
請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項3】
複数の電源を更に備えており、各電源は、それぞれのセンサ及び無線トランシーバに接続されると共に、その近くで前記カバーに埋め込まれている、請求項2に記載の工業用ロール。
【請求項4】
各センサとそれぞれの無線トランシーバ及び電源とは単一コンポーネントを構成している、請求項3に記載の工業用ロール。
【請求項5】
各無線トランシーバは、その信号を他の無線トランシーバから送信された信号と識別するコードを出力するよう構成されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項6】
各無線トランシーバは、他の無線トランシーバとは異なる周波数で送信するよう構成されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項7】
各無線トランシーバは、それぞれのセンサからの前記データ信号を前記レシーバに所定の順序で送信するよう構成されている、請求項2に記載の工業用ロール。
【請求項8】
前記複数のセンサは、前記ロールの長さに沿って共通の円周方向位置に配置されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項9】
前記複数のセンサは、共通の軸方向位置に配置されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項10】
前記複数のセンサは、前記ロール上の分散した円周方向及び軸方向位置に配置されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項11】
前記複数のセンサは、前記ロール上の複数の円周方向及び軸方向位置に配置されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項12】
各センサにより検知された前記データパラメータは、温度、圧力、ピーク圧力、歪み、ニップ幅及び水分のうちの1つに関係している、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項13】
各電源は、バッテリー、充電式バッテリー及びコンデンサのうちの1つから構成される、請求項3に記載の工業用ロール。
【請求項14】
各電源を再充電するための充電システムを更に備える、請求項13に記載の工業用ロール。
【請求項15】
前記充電システムは、前記ロールが作動していないときに各電源を再充電するよう構成された無線充電器を備える、請求項14に記載の工業用ロール。
【請求項16】
前記充電システムは、
ロールの長さにわたる固定部材と、
該固定部材の長さに沿って取り付けられた複数の無線充電器とを備えており、各充電器は、ロール作動中に誘導結合を用いて電源を再充電するよう構成されている、請求項14に記載の工業用ロール。
【請求項17】
前記固定部材はドクターブレード組立体である、請求項16に記載の工業用ロール。
【請求項18】
前記固定部材は、弓状の断面を有すると共に、前記ロールの周囲の一部を包むように構成されている、請求項16に記載の工業用ロール。
【請求項19】
前記充電システムは、
それぞれ少なくとも1つの電源に接続されると共に、その近くで前記カバーに埋め込まれた複数の圧電装置を備えており、
各圧電装置は、それぞれの電源を再充電するため圧縮されたときにエネルギを発生するよう構成されている、請求項14に記載の工業用ロール。
【請求項20】
前記充電システムは、前記ロールに設けられると共に、各電源を再充電するため前記ロールのスプリアス振動及び/又は回転からエネルギを発生するよう構成されている、請求項14に記載の工業用ロール。
【請求項21】
前記充電システムは、振動、温度差、熱及び/又はRF信号から取り入れたエネルギを使用して各電源を再充電するよう構成されたエネルギ取入れシステムから構成されている、請求項14に記載の工業用ロール。
【請求項22】
前記無線トランシーバは、赤外線(IR)トランスミッタ及びレシーバから構成される、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項23】
前記複数の無線トランシーバはトランスミッタである、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項24】
前記複数の無線トランシーバは網状又は星形網状の接続形態になって構成されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項25】
前記検知システムは更に複数のピーク検出器を備え、各ピーク検出器は、それぞれセンサ及び無線トランシーバの間に接続されている、請求項1に記載の工業用ロール。
【請求項26】
前記ピーク検出器は、リセット指令、特定回転数、及び/又はリモートプロセッサ読取り動作に応答してリセットされる、請求項25に記載の工業用ロール。
【請求項27】
前記無線トランシーバからの前記データ信号はピークニップ圧力を含む、請求項25に記載の工業用ロール。
【請求項28】
データパラメータを検知するよう構成された複数のセンサが埋め込まれたカバーを有する工業用ロールにおける信号データを収集する方法であって、
それぞれのセンサに接続されると共にその近くで前記カバーに埋め込まれた複数の無線トランシーバを用意すること、及び
それぞれの無線トランシーバによりセンサからのデータ信号をプロセッサに送信することを含む方法。
【請求項29】
複数の電源により電力を前記複数のセンサ及び無線トランシーバに送ることを更に含み、各電源は、それぞれのセンサ及び無線トランシーバに接続されると共に、その近くに埋め込まれている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記データ信号を送信することは、無線トランシーバからコードを送信してその信号を他の無線トランシーバの信号から識別することを更に含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記データ信号を送信することは、各無線トランシーバについて異なる周波数で前記データ信号を送信することから構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記データ信号を送信することは、各無線トランシーバから前記プロセッサに順次前記データ信号を送信することから構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
各センサとそれぞれの無線トランシーバ及び電源とは単一コンポーネントを構成している、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記複数のセンサは、前記ロールの長さに沿って共通の円周方向位置に全て配置されている、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記複数のセンサは、共通の軸方向位置に全て配置されている、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記複数のセンサは、前記ロール上の分散した円周方向及び軸方向位置に全て配置されている、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記複数のセンサは、前記ロール上の分散した円周方向及び軸方向位置に全て配置されている、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
各センサにより検知された前記データパラメータは、温度、圧力、ピーク圧力、歪み、ニップ幅及び水分のうちの1つに関係している、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
各電源は、バッテリー、充電式バッテリー及びコンデンサのうちの1つから構成される請求項29に記載の方法。
【請求項40】
無線充電システムを使用して各電源を再充電することを更に含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
再充電することは、前記ロールが作動していないときに各電源を再充電することから構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
再充電することは、
ロールの長さにわたる複数の無線充電器を有する固定部材を用意すること、及び
誘導結合を使用してロール作動中に前記無線充電器で前記電源を再充電すること、
を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記固定部材はドクターブレード組立体である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記固定部材は、弓状の断面を有すると共に、前記ロールの周囲の一部を包むように構成されている、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
再充電することは、
それぞれ少なくとも1つの電源に接続されると共に、その近くで前記カバーに埋め込まれる複数の圧電装置を用意すること、
エネルギを発生するため前記複数の圧電装置を圧縮すること、及び
各圧電装置が圧縮されたときに発生されるエネルギで各電源を再充電すること、
から構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
再充電することは、
無線充電器で前記ロールのスプリアス振動及び/又は回転からエネルギを発生すること、及び
前記無線充電器により発生されたエネルギで前記電源を再充電すること、
から構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
各電源を再充電することは、熱源、温度差、振動及び/又はRF信号からエネルギを取り入れることから構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
前記センサからの前記データ信号を前記プロセッサに送信することは、赤外線(IR)通信を使用して前記データ信号を送信することから構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項49】
前記複数の無線トランシーバはトランスミッタである、請求項28に記載の方法。
【請求項50】
前記複数の無線トランシーバは網状又は星形網状の接続形態になって構成されている、請求項28に記載の方法。
【請求項51】
それぞれセンサ及び無線トランシーバの間に接続されたピーク検出器を使用して、前記センサの前記データ信号からピークデータパラメータを検出することを更に含み、前記送信することは、それぞれの無線トランシーバで前記ピークデータパラメータを前記プロセッサに送信することから構成される、請求項28に記載の方法。
【請求項52】
リセット指令、特定回転数、及び/又はリモートプロセッサ読取り動作に応答して前記ピーク検出器をリセットすることを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ピークデータパラメータはピークニップ圧である、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
工業用ロールにおける作動パラメータを測定するためのシステムであって、
データパラメータを検知するようにそれぞれ構成されると共に、前記ロールの外表面に円周方向に覆い被さる高分子カバーに埋め込まれた複数のセンサと、
それぞれのセンサに接続されると共に、該センサからのデータ信号を送信するためその近くで前記カバーに埋め込まれた複数の無線トランシーバとを備える、システム。
【請求項55】
前記複数の無線トランシーバからデータ信号を受けるために該複数の無線トランシーバに作動可能に関連した無線レシーバと、
該無線レシーバに作動可能に関連して、それにより運ばれる前記データ信号を処理するリモートプロセッサとを更に備える、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
複数の電源を更に備えており、各電源は、それぞれのセンサ及び無線トランシーバに接続されると共に、その近くで前記カバーに埋め込まれている、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
各センサとそれぞれの無線トランシーバ及び電源とは単一コンポーネントを構成している、請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
各無線トランシーバは、その信号を他の無線トランシーバの信号と識別するコードを出力するよう構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項59】
各無線トランシーバは、他の無線トランシーバとは異なる周波数で送信するよう構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項60】
各無線トランシーバは、それぞれのセンサからの前記データ信号を前記レシーバに所定の順序で送信するよう構成されている、請求項55に記載のシステム。
【請求項61】
前記複数のセンサは、前記ロールの長さに沿って共通の円周方向位置に配置されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項62】
前記複数のセンサは共通の軸方向位置に配置されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項63】
前記複数のセンサは、前記ロール上の分散した円周方向及び軸方向位置に配置されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項64】
前記複数のセンサは、前記ロール上の複数の円周方向及び軸方向位置に配置されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項65】
各センサにより検知された前記データパラメータは、温度、圧力、ピーク圧力、歪み、ニップ幅及び水分のうちの1つに関係している、請求項54に記載のシステム。
【請求項66】
各電源は、バッテリー、充電式バッテリー及びコンデンサのうちの1つから構成される、請求項56に記載のシステム。
【請求項67】
各電源を再充電するための充電システムを更に備える、請求項56に記載のシステム。
【請求項68】
前記充電システムは、前記ロールが作動していないときに各電源を再充電するよう構成された無線充電器を備える、請求項67に記載のシステム。
【請求項69】
前記充電システムは、
ロールの長さにわたる固定部材と、
該固定部材の長さに沿って取り付けられた複数の無線充電器とを備えており、各充電器は、ロール作動中に誘導結合を用いて電源を再充電するよう構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項70】
前記固定部材はドクターブレード組立体である、請求項69に記載のシステム。
【請求項71】
前記固定部材は、弓状の断面を有すると共に、前記ロールの周囲の一部を包むように構成されている、請求項69に記載のシステム。
【請求項72】
前記充電システムは、
それぞれ少なくとも1つの電源に接続されると共に、その近くで前記カバーに埋め込まれた複数の圧電装置を備えており、
各圧電装置は、それぞれの電源を再充電するため圧縮されたときにエネルギを発生するよう構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項73】
前記充電システムは、前記ロールに設けられると共に、各電源を再充電するため前記ロールのスプリアス振動及び/又は回転からエネルギを発生するよう構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項74】
前記充電システムは、振動、熱、温度差及び/又はRF信号から取り入れたエネルギを使用して各電源を再充電するよう構成されたエネルギ取入れシステムから構成されている、請求項67に記載のシステム。
【請求項75】
前記無線トランシーバは、赤外線(IR)トランスミッタ及びレシーバから構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項76】
前記複数の無線トランシーバはトランスミッタである、請求項54に記載のシステム。
【請求項77】
前記複数の無線トランシーバは網状又は星形網状の接続形態になって構成されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項78】
検知システムは更に複数のピーク検出器を備え、各ピーク検出器は、それぞれセンサ及び無線トランシーバの間に接続されている、請求項54に記載のシステム。
【請求項79】
前記ピーク検出器は、リセット指令、特定回転数、及び/又はリモートプロセッサ読取り動作に応答してリセットされる、請求項78に記載のシステム。
【請求項80】
前記無線トランシーバからの前記データ信号はピークニップ圧力を含む、請求項79に記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−164244(P2006−164244A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316042(P2005−316042)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(505406132)ストウ・ウッドワード・アクチエンゲゼルシャフト (1)
【Fターム(参考)】