説明

工業用途のろ材及びその製造方法

本発明は、工業用途のろ材の製造方法であって、ろ紙からなるプリーツを、樹脂に浸漬し、かつ樹脂浸漬されたプリーツを、引き続き放射線硬化させることを特徴とする、工業用途のろ材の製造方法に関する。本発明は、放射線硬化された樹脂層を有する工業用途のろ材にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業用途の、特に自動車産業用の、及び工業用フィルターとしての、ろ材並びにその製造方法に関する。
【0002】
自動車用及び工業用フィルター用のろ材は、一般的に、セルロースをベースとし、特殊な、かつリファイニングされた(veredelte)ろ紙である。これらは、空気、燃料及び油をろ過するのに使用され、かつ攻撃的な環境中で長い可使時間及び部分的には高い温度負荷での破裂強さ及び極限引張強さ(Reissfestigkeit)への極めて高い要求を満たさなければならない。
【0003】
もちろん、出発物質であるろ紙は既に、最大の破裂強さ及び極限引張強さの点で優れていなければならず、この強さは、大きな連鎖長、繊維分子相互の強い相互作用及び樹脂の最適な硬化の場合にのみ達成されることができる。ろ紙の破裂強さは、その場合に、少なくとも0.1N/mm2であるべきである。
【0004】
重合度へのセルロースの強さの特性の依存に関する根本的な認識はStaudingerに由来する(H. Staudinger, F. Reinecke "Ueber makromolekulare Verbindungen - Ueber die Charakterisierung von Zellstoffen durch Viskositaetsbestimmung", "Der Papierfabrikant" 36中, p. 489 (1938))。前記研究は、約1000の値までのセルロースの重合度の低下の際に、紙の強さの特性の本質的な低下は観察され得ないが、しかしながら、前記繊維は、約900のセルロースの重合度を下回って明らかに強さを失うことを示しており、このことは、セルロースの破裂圧、裂断長及び耐折強さの明らかな減少によって証明される。
【0005】
通常、現在の工業用ろ材の製造に使用されるろ紙の重合度は、一般的に1,000〜2,000である。
【0006】
一般的に、工業用ろ紙は、短繊維セルロースと、高含量のα−セルロース及び低いリグニン含量及びポリオース含量を有する高い純度の南方系長繊維からなる長繊維セルロースとからなる。そのうえ、工業用フィルターは、高多孔質であり − 溶解パルプとも呼ばれる −、かつ一般的にマーセル化セルロースの含分を有する。
【0007】
最適な強さの特性を得るためには、H. Staudinger, F. Reinecke "Ueber makromolekulare Verbindungen - Ueber den Polymerisationsgrad verschiedener Zellstoffe", "Holz als Roh- und Werkstoff" 2中, p.321 (1939)によれば、1000の重合度が決定的な限度である。
【0008】
紙の強さにとって本質的な重合度の依存は、K. Fischer, I. Schmidt及びS. Fischerによって、照射線量の依存関係で研究されており("Strahlenchemische Veraenderungen an der Cellulose und deren Auswirkungen auf die Derivatisierung", "Das Papier" 51中, p.629-636 (1997))、その際に前記研究は、照射線量によるセルロースの重合度の指数関数的低下及びセルロースの反応性増大を証明する。5kGyの照射の場合に、例えば、セルロースの重合度は、900から約600に、10kGyでの照射の場合に約500に低下する。
【0009】
電子照射によって形成されるセルロースラジカルのさらなる続発反応は、連鎖分解に加えて、脱離反応並びにカルボニル基及びカルボキシル基の形成でもある。
【0010】
工業用ろ紙は、そのうえ、家庭用フィルター又はその他の紙の場合に存在していない樹脂化系(Verharzungssystem)の点で特に優れている。吸水度は、これらの紙(硬化された状態で)の場合に故に著しく制限されているので、平衡水分は極めて低く、かつ約3〜5質量%である。工業用ろ紙の膨潤能は、さらに著しく妨害されている。それゆえに、極めて高い寸法安定性も達成される。
【0011】
一般的に、典型的な工業用ろ紙は、100〜300gsmの坪量、0.5〜0.9mmの厚さ、及び未硬化の状態で及びコーティングなしで0の疎水性及び硬化された状態で約7の疎水性を有する。
【0012】
オイルフィルターの温度負荷は、約150℃であり、燃料フィルターの温度負荷は約70℃〜80℃である。エアフィルターは、そのうえ、高い温度変動の場合にも、必要な耐久性を有しなければならない。
【0013】
オイルフィルターの場合に、空気透過性は一般的に200〜800l/m2 s及び特に約500l/m2 s、MFP:20〜30μm及びフィルターの細かさは10〜20μm及び特に約14μmである。典型的な燃料フィルターの場合に、空気透過性は一般的に約5〜20l/m2 s、MFP 5〜8μm及びフィルターの細かさは約1〜10μmである。典型的なエアフィルターは、約250〜700l/m2 sの空気透過性、MFP 20〜30μm及び10〜20μmのフィルターの細かさにより特徴付けられている。
【0014】
低温の場合に、そのうえ、ろ過すべき流体、例えばディーゼル又は油のゼリー化(Versulzen)までのかなりの粘度増大となりうる。これらの強い圧力及び付加的な機械的負荷にも、フィルター材料は耐えなくてはならない。
【0015】
フィルター材料が暴露されている別の負荷として、オイルフィルターの場合にセルロース繊維の分解をまねきうる酸性条件をさらに挙げることができる。
【0016】
そのうえ、フィルターの交換までの間隔はますます延びているので、フィルター材料の必要な強さの特性及びその他の機械的性質も、いっそうより長い期間にわたって、しかも高い温度負荷の場合及び攻撃的な化学的環境中ですら、維持されたままでなければならない。
【0017】
既製のろ材の製造方法の範囲内で、ろ紙はとりわけ、特にプリーツに、折り畳まれ、かつ打ち出される(gepraegt)。紙の特定の疎水化を達成し、かつ紙の強さ、特に破裂強さ及び極限引張強さ、及び耐久性を高めるために、その後の適用におけるろ紙のこの機械的な成形が持続するように、樹脂系に浸漬されたろ紙は、引き続き炉(Ofen)中で硬化される。その場合に、カムを用いて打ち出され、かつプリーツに折り畳まれた紙は、樹脂を熱的にさらに架橋させるために、コンベヤーベルト上で炉へ160℃〜200℃の温度で輸送される。
【0018】
ろ紙を、樹脂としてのノボラックに浸漬し、かつ前記ノボラックを引き続きヘキサメチレンテトラミンを用いて熱で硬化させることは知られている、それというのも、ノボラックそれ自体は熱作用下にさらに架橋しないからである。
【0019】
ヘキサメチレンテトラミンで硬化されるノボラックが樹脂として使用される場合に、炉中での加熱の際に揮発性化合物、例えばホルムアルデヒド又はアンモニアが放出される。その他の樹脂の熱硬化の際に、同様に溶剤又は樹脂成分から放出物が遊離する。樹脂から加熱の際に放出されたこれらの及び別の化合物は、費用のかかる方法で吸引除去され、かつ排ガスは引き続きろ過及び/又は精製されなければならない。
【0020】
炉中で支配的な200℃までの温度の場合に、そのうえ、樹脂又は樹脂中の個々の成分の蒸気圧は、樹脂又は樹脂の個々の成分が蒸発し、ついでより冷たい面、例えば輸送ベルト、炉壁又は桟上に堆積するほど高い。これらの縮合された樹脂又は樹脂成分は、フィルターエレメントの製造の際に、特に、樹脂成分によってリファイニングされた紙表面又はコーティングが摩滅される場合に、かなりの障害をまねく。
【0021】
炉中での樹脂又は樹脂成分の縮合は、フィルターエレメントの変わらない品質を維持するために、炉全体が、ほぼ全2週間、完全に樹脂縮合物から清浄化されなければならないことをまねく。
【0022】
樹脂浸漬されたプリーツ中での樹脂の所望のさらなる架橋が行われた後で、樹脂浸漬されたろ紙全体が、炉中で十分に長く、一般的に約1〜3分間、必要な反応温度に暴露されていなければならない。前記ベルトの輸送速度は、約4.5m/minである。反応がアコーディオン状でコンベヤーベルト上に載っているプリーツ上で行われた後に、プリーツの多様な位置上及び両側上での熱交換及び空気交換は、十分異なっており、このことは、プリーツ上/中で樹脂の局所的に異なる強い架橋をまねく。強い架橋は、特に、コンベヤーベルト上に載っていない、プリーツの外側へ向いているプリーツエッジ上で観察され、より低い架橋及び− それにより制約されて − より低い疎水化も、熱交換が妨害されているプリーツの鋭角の内面のような領域中で観察される。
【0023】
特にプリーツの幾何学的な比のために異なる熱の浸透は、樹脂の架橋度が、プリーツに沿って変動し、ひいてはろ紙の機械的強さ及び疎水性も変動することをまねく。フィルター材料の破裂又は裂断は、ろ紙−プリーツのあまり強く架橋されずかつあまり疎水化されない領域を介してまさに起こりうる。
【0024】
樹脂浸漬された紙の必要な加熱に制約されて、炉中の処理量は制限されており、かつ熱損失は、莫大である。そのうえ、約7mの長さであり、かつ通常、生産設備中に存在する炉は、さらにまた冷却されなければならない。
【0025】
本発明の課題は、より均一な硬化、ひいては強さ及び疎水化を有する工業用途のろ材を提供すること及びろ材の費用のかからない及び環境にやさしい製造方法を記載することにある。
【0026】
この課題は、請求項1の特徴によって解決される。
【0027】
意外にも、ろ紙上の樹脂の硬化が、放射線硬化によって達成されることができ、かつセルロースが、機械的安定性の明らかな低下に付随して現れる、技術水準において知られた照射の際の連鎖長の短縮にもかかわらず、工業用途に必要な高い強さ及び負荷耐性を有することが確認された。
【0028】
この予期しない結果が、高エネルギー放射線の本質的部分が樹脂によって吸収され、それゆえ樹脂が、繊維を損傷する高エネルギー放射線用のフィルターとして作用するので、樹脂の所望の架橋が達成され、かつ繊維の損傷が大幅に回避されることに起因されうることが推測される。
【0029】
放射線吸収が、プリーツのジオメトリー及び折り畳みに依存しないので、熱輸送過程及び熱対流過程から独立している放射線化学反応又は光化学反応によって、樹脂のはるかにより均一な架橋がプリーツ全体にわたって達成されることができ、すなわちフィルター材料は、より一定の強さ及び疎水性を有する。
【0030】
"放射線硬化"は、本発明の範囲内で、電子線、X線、γ線及び紫外線を用いる硬化であると理解される。
【0031】
しかしながら、樹脂の放射線硬化によって、製造プロセス全体も、促進され、かつ単純化され、かつ製造コストが低下されることができる:樹脂と共にフィルター材料の時間集約的な加熱がもはや不必要であり、かつ放射線の吸収により発生されるラジカルが即座に反応完了しているので、フィルタープリーツを輸送するベルトは、50〜100倍の速度で運転されることができる。樹脂浸漬されたフィルタープリーツは、輸送ベルト上で少なくとも1つの放射線源上で沿って送られ、場合により両側で照射され、かつ樹脂は、ほぼ速やかに架橋する。
【0032】
放射線硬化の本質的な別の利点は、揮発性化合物が前記樹脂から放出されないので、樹脂から起因する放出物の従来の吸引除去及び引き続き排気の処理及びろ過を割愛することができることである。
【0033】
また、炉のより冷たい部分での樹脂の揮発性成分の縮合及びそれにより行われるろ紙の損傷及び必要な清浄化は、回避される。
【0034】
放射線硬化の本質的な別の利点は、エネルギー、冷却水、排ガスフィルター及び空間の計り知れぬ節約であり、なぜなら、架橋のために180℃〜200℃に加熱され、かつ同時に外側から冷却されなければならない場所集約的な炉が不必要であり、熱架橋の際に生じる生成物、例えばアンモニア又はホルムアルデヒドの吸引除去を割愛することができ、かつ炉が、縮合された樹脂によってもはや汚染されないからである。樹脂の重合のためのエネルギー消費は、放射線硬化可能な樹脂によって、90%を上回るだけ、これまで必要なエネルギーの1/50〜1/100に低下されることができる。
【0035】
放射線硬化可能な樹脂として、多数のモノマー、オリゴマー、プレポリマー及びポリマー、例えばフェノールベース又はポリエステル、ポリエステルアクリラート、エポキシ樹脂、エポキシアクリラート、ウレタン及びウレタンアクリラート、ポリエーテルアクリラート、オレフィン系樹脂又はシリコーンアクリラートをベースとする不飽和又は飽和の樹脂が使用されることができる。
【0036】
使用される樹脂又は個々の樹脂成分が、照射のために、樹脂中の別のモノマー、オリゴマー又は(プレ)ポリマーを攻撃することができるラジカルの形成下に自体が反応する場合には、ラジカル形成剤、ラジカル反応相手又はスペーサーの添加は不必要である。
【0037】
好ましくは、少なくとも個々の樹脂成分は、このためには、不飽和分子基、例えばアクリル基、メタクリル基、ビニル基又はアリル基を有する。また、分子基、不飽和C−C結合、炭素とヘテロ原子との間の不飽和結合又は純粋にヘテロ原子不飽和化合物を含む多重の及び/又は共役の不飽和結合は、ラジカルを形成する分子基として使用されることができる。
【0038】
さらにまた、ラジカル形成は、原則的に、飽和基、特にヘテロ原子を有するそのような基上でも行われることができる。
【0039】
照射の際にラジカルを形成するそのような基の導入は、フェノール樹脂の場合に、例えば置換反応によって行われることができ、官能基又はラジカルを形成する基、例えばC=C基又は以下に記載されたスペーサーを含む官能基を介して、導入されることができる。
【0040】
樹脂又は樹脂成分が、自己反応性でさらに架橋するラジカルを形成しない場合には、ラジカルを形成するスペーサー又はラジカル開始剤、例えば、例示的に1,5−ヘキサジエン−3−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール、2−メチル−1,3−ブタジエンを使用することが可能である。
【0041】
スペーサーは、アクリラート又はカルボキシラート、尿素誘導体、アリル基又はビニル基を含む化合物又はシロキサン化合物が好ましく、かつ特に、次の群から選択される:
1,3−ブタンジオール−ジアクリラート、1,4−ブタンジオール−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−エトキシラート−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−プロポキシラート−ジアクリラート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオナート−ジアクリラート、5−エチル−5−(ヒドロキシメチル)−β,β−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−エタノール−ジアクリラート;ビスフェノール−A−エトキシラート−ジアクリラート、ビスフェノール−A−グリセロラート−(1 グリセリン/フェノール)−ジアクリラート、ビスフェノール−A−プロポキシラート−ジアクリラート、ビスフェノール−F−エトキシラート(2 EO/フェノール)ジアクリラート;
ジ(エチレングリコール)−ジアクリラート、エチレングリコール−ジアクリラート、フルオレセイン−O,O′−ジアクリラート、グリセリン−1,3−ジグリセロラート−ジアクリラート、ネオペンチル−グリコール−ジアクリラート、ネオペンチル−グリコール−プロポキシラート(1 PO/OH)−ジアクリラート、ペンタエリトリトール−ジアクリラート−モノステアラート、ポリ(ディスパースレッド9−p−フェニレンジアクリラート)、ポリ(エチレングリコール)−ジアクリラート、ポリ(プロピレングリコール)−ジアクリラート、プロピレングリコール−グリセロラート−ジアクリラート、テトラ(エチレングリコール)−ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)−ジアクリラート(特に異性体の混合物として)、トリ(プロピレングリコール)−グリセロラート−ジアクリラート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリラート、トリメチロールプロパン−ベンゾアート−ジアクリラート、トリメチロールプロパン−エトキシラート(1 EO/OH)−メチルエーテルジアクリラート;
1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3−(N,N′,N′−トリアリル−ヒドラジノ)−プロピオン酸、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシラート、トリアリルボラート、トリアリルシアヌラート、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−エトキシラート−トリアクリラート、グリセリン−プロポキシラート(1PO/OH)トリアクリラート、ペンタエリトリトール−プロポキシラート−トリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、トリメチロールプロパン−プロポキシラート−トリアクリラート、トリメチロールプロパン−トリアクリラート;
ジアリル2,6−ジメチル−4−(3−フェノキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル2,6−ジメチル−4−(4−メチルフェニル)−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル4−(2,4−ジクロロフェニル)−2,6−ジ−メチル−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル4−(2−クロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート;
1,1−ジアリル−1−ドコサノール、1,1−ジアリル−3−(1−ナフチル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,3−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,3−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4,5−トリクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,5−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,5−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジエチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−エチル−6−メチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−エチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メトキシフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,4−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,4−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,5−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3−クロロ−ベンゾ(β)チオフェン−2−カルボニル)−チオ尿素;
1,3−ジビニル−5−イソブチル−5−メチルヒダントイン、1,4−ブタンジオール−ジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ジビニル−エーテル(好ましくは異性体の混合物として)、1,4−ジビニル−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチルテトラシラン、1,6−ヘキサンジオール−ジビニルエーテル、3,6−ジビニル−2−メチルテトラヒドロピラン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジビニルスルホキシド、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(錯体溶液)、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ジフェニルシロキサン)(ジビニル末端)、ポリ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,4−ペンタジエン−3−オール、Polymer Carrier VA-Epoxy(登録商標)、プロトポルフィリンIX、プロトポルフィリン−IX−二ナトリウム塩又はプロトポルフィリンIX亜鉛(II)。
【0042】
前記のスペーサーは、例えば、Sigma-Aldrich Co.社を通じて購入されることができる。
【0043】
前記のスペーサーの代わりに、例えば、それぞれの置換されたスペーサー又はそれらの同族体も使用されることができる。
【0044】
特に、ラジカル形成する放射線硬化可能な基で既に置換されているフェノール樹脂の場合に、架橋は、スペーサー、特にジアクリラート及びトリアクリラート、特にアルカノールアクリラート又はアルコキシアクリラートの群からの、多官能性スペーサーを好ましくは用いて、達成されることができる。そのようなスペーサーの例は、例えば、二官能性スペーサーとして、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリラート(HDDA)、トリプロピレングリコールジアクリラート(TPGDA)又はジプロピレングリコールジアクリラート(DPGDA)、三官能性スペーサーとしてトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)、及びペンタエリトリトールトリアクリラート(PETIA)、ペンタエリトリトリル−トリアクリラート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート、トリメチロールプロパンプロポキシラートトリアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリラート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−エトキシラートジアクリラート、ビスフェノールAエトキシラートジアクリラート及びトリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラートである。
【0045】
もちろん、多様な混合物(Ansaetze)及びタイプのスペーサーは、所望の性質を生じさせるために、互いに組み合わされることができる。
【0046】
最後に、スペーサーとして、放射下にラジカルを形成する、他の、好ましくは少なくとも二官能性の系、例えばB−R−A−R−B型の分子も使用されることができ、これらは電子照射下に・R−A−R−Bタイプのラジカルを形成する。これらのラジカルは、例えば、ノボラックと、ノボラック−R−A−R−B・の形成下に反応し、ついで、Bのさらなる脱離によって、ノボラック上へのさらなる攻撃が行われて、ノボラック−R−A−R−ノボラックに変換されうる。
【0047】
ラジカルを形成するそのようなスペーサーの一例は、ビスアジドN3−Ar−N3であり、これらは次のように反応する:
【化1】

【0048】
このラジカルは、次のようにノボラックと反応して、ノボラック−R−A−R−B・に変換される:
【化2】

【0049】
原則的に、前記樹脂を、放射線を用いてカチオン重合させることは同様に可能である。カチオン重合は、適した塩、例えばスルホニウム−ヨードニウム−ジアゾニウムを介して開始されうる。これらの塩は、同様に電子照射で反応し、かつカチオン重合に適している酸の形成下に崩壊する。
【0050】
放射線硬化に使用されることができるフェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との合成によって取得される。求電子置換によって、ここでは、フェノール分子の3個の水素原子は、その都度1個の−CH2−OH基によって置換される。水の脱離によって、これらの多官能性フェノール誘導体は、予備縮合物に縮合する。
【0051】
重縮合は、次の反応に従って経過する:
【化3】

【0052】
所望の結果に応じて、予備縮合物はついで、酸性又は塩基性の縮合剤と混合される:
酸性環境中で、予備縮合物から、フェノールアルコール(メチロール)が形成され、メチレン橋を介して、線状の鎖状分子、いわゆる"ノボラック"へと結合される。これらは、酸(シュウ酸、塩酸)及びフェノール過剰量の使用によって製造され、かつ酸性のさらなる縮合によって、フェノール過剰量のために、さらに大幅にメチロール基不含の構造を有する。これらは、約500〜5000g/molの範囲内のモル質量を有する可溶性で溶融可能で自己硬化性ではなく、かつ故に貯蔵安定なオリゴマーとして発生する。それらの芳香族環は、メチレン橋を介して結合されている。
【0053】
ノボラックは、極めて高い架橋度を有し、かつそれ自体により硬化する。
【0054】
それに反して、塩基性縮合剤を用いて、低い分子質量を有する粘性のある樹脂、すなわちレゾールが形成される。これらは、フェノール類から、ホルムアルデヒド過剰量で及びアルカリ性触媒作用(カセイソーダ液又は水酸化カルシウム)によって生じる。
【0055】
塩基性環境中で、フェノールはフェノラートアニオンとして存在する。可能な共鳴型中で、陰電荷はオルト位に局在化している。そこに、ホルムアルデヒド分子が付加される。この位置のプロトンは、アルデヒド酸素に付加し、かつフェノラート酸素に移動しうる。これらのフェノールアルコラートは迅速に形成される。ゆっくりとした縮合反応によって、150〜600g/molのモル質量を有するレゾール−オリゴマーが形成され、これらはメチレン橋及びメチレン−エーテル橋を介して結合されており、かつ付加的にヒドロキシメチル基を有する。レゾールの構造は、出発物質の化学量論比だけでなく、温度、溶剤、触媒の種類及び濃度の影響も決定的に受ける。
【0056】
【化4】

【0057】
レゾール類は溶融可能であり、かつ多様な溶剤に可溶である。これらは、別の添加剤なしで室温で既に(自己硬化性フェノール樹脂)、100〜180℃でより迅速に、水及びホルムアルデヒド脱離(重縮合)及び分子拡大下に反応して、熱により依然として軟化可能で、溶剤によりわずかにのみ膨潤可能な中間段階(レジトール)を経て、不溶性でかつ溶融不可能な最終段階(レジット)に変換される。この反応は、酸添加によって促進されることができる。
【0058】
予備縮合物が高圧下に加熱される場合には、水及びホルムアルデヒド−分子のさらなる脱離下に三次元分子ネットワークが得られる。
【0059】
【化5】

【0060】
フェノール樹脂の分野からは、含浸として、今日、前記のレゾール及びノボラックが使用される。これらは次の性質を有する:
密度:1.30 … 1.45g/cm3;硬さ、極めて割れにくい;色:黒/茶/赤;決して淡くない;光作用下に黒ずむ;切削加工のみ可能;
燃焼試験:たいてい燃えにくい;黄色がかった火炎;軽く火花が飛び散る;材料は割れ、かつ音を立てて破裂し、かつ炭化する;フェノール及びホルムアルデヒドによるにおい。
【0061】
必要な場合には、樹脂に、製紙の際の紙に又はその後に架橋すべき樹脂上に、ラジカル形成剤が、化学量論量又は触媒量で添加されることもできる。
【0062】
それぞれの放射線硬化可能な樹脂に応じて、酸素との望ましくない並発反応を排除するか又は少なくとも減少させるために、保護ガス下に操作するか、又はいずれにせよ、硬化すべきろ紙を包囲するガス混合物中の酸素含分を減少させることが推奨されうる。
【0063】
保護ガスの使用は、それによって、照射によって生じうるオゾンの形成が回避されるので、オゾンの吸引除去が割愛することができるという別の利点を有する。
【0064】
所望の場合には、樹脂中に、別の常用の原料、例えば重合可能な又は重合を促進する材料、例えば結合剤、反応性希釈剤(モノマー、低分子量のモノ又はポリ不飽和の化合物、例えばアクリル酸エステル)、並びに場合によりUV硬化可能な樹脂の場合の光開始剤及び相乗剤が、含まれていてよい。同じように、その他の機能を有する原料、例えば防止剤、顔料、染料、充填剤及びその他の添加剤が樹脂中に含まれていてよい。
【0065】
照射のためには、原則的に、高エネルギー放射線、特に電子線及び紫外線が使用されることができる。原則的に、X線又はγ線、例えばCo−60−放射線も可能であろう。しかしながら、いずれにせよ極めて高い線量の場合にも人工放射能の発生を回避するために、食品照射の際に実施される研究に相応して、5MeV未満を有するX線及び10MeV未満を有する電子線のみが使用されるべきである。
【0066】
作用様式の特に高い均一性は、この場合に、電子照射の使用によって達成され、このことは、おそらく、樹脂硬化されたプリーツ中の深く、二次電子の発生及び二次イオン化及び励起に起因する。
【0067】
電子線設備用の加速電圧は、所望の侵入深さに依存し、かつ好ましくは、約90〜200kVである。照射すべきろ紙のエネルギー線量は、電子照射の場合に10〜150kGy、好ましくは50〜100kGyである。
【0068】
UV照射設備の場合に、利用可能な波長範囲は240〜400nm、すなわちおよそ3〜6eVである。
【0069】
純セルロースベースのろ紙に加えて、合成繊維含分を有する、例えば20又は50質量%までポリエステル繊維を有する樹脂浸漬されたフィルター原料、又は全く純粋な合成繊維フィルター原料も、放射線硬化可能である。特別なコーティング材料又は感受性成分のために熱的にあまり耐性でないろ紙の場合にまさに、樹脂の本発明による放射線硬化は、成功裏に使用されることができる。フィルター材料の高い熱的応力が不必要である特別な使用分野のためには、樹脂の放射線硬化によって、ろ紙からフィルター材料が製造されることができ、これらの上に、今日まで、まだ製造不可能又は少なくとも工業的に製造不可能な樹脂コーティングが施与されることができた。
【0070】
硬化温度でポリマーコーティングが軟化するために樹脂の熱硬化が不可能であるか又は劣悪にのみ可能である、樹脂硬化され、溶融吹き込み成形された紙(Melt-Blown-Papiere)も、放射線架橋されることができる。
【0071】
樹脂浸漬された紙の放射線硬化は、さらにまた、ナノコート紙の場合にも可能である。好ましい別の実施態様は、当該樹脂が、自体が既に照射によって、その他の樹脂成分と架橋するラジカルを形成しない場合には、ラジカル形成剤又はラジカルを形成する反応相手を、製紙の際に既に紙中へ必要な量で導入することを意図している。
【0072】
本発明は、以下に、実施例に基づいてさらに記載される。
【0073】
I.硬化の検出
樹脂の硬化は、アセトンでの抽出(DIN EN ISO 6427)を通じて及び疎水性の算出を通じて、決定されることができる。硬化反応は、さらにまた、吸収バンドの深色シフトで、特にここで使用されるノボラックの場合に硬化と共に生じる黄色着色によって、光学的にも追跡されることができる。
【0074】
a)疎水性の測定
疎水性の測定は、水−エタノール混合物を用いて行われる。試験すべき紙上へ、滴びんから、試験液体1滴を施与した。1分後に、試験液体が、侵入することなく、紙上で滴として残るかどうかを観察する。
紙が強く疎水化されていればいるほど、相応する試験液体の番号がより大きくなる。
個々の試験液体は、次に列挙されている:
【表1】

【0075】
実地において、個々の試験液体の前記の格付けが、疎水性の極めて正確な定義を可能にすることが分かっている:例えば溶液番号5は1分後だけでなく、15分後にも依然として滴として紙上にあるのに対し、溶液番号6は、数秒以内に侵入する。
【0076】
II.多様なスペーサーを用いるノボラックの放射線硬化の研究
多様な物質を、スペーサーとしての適性に関して研究した。
これらの研究の範囲内で、一方では、ノボラックで分離されたパルプパッドをスペーサーに含浸し、引き続き電子線を用いて硬化させた(a)。
さらに、熱硬化に通常使用され、かつノボラック及びヘキサメチレンテトラミンに浸漬されている常用のノボラック紙を、スペーサーに含浸し、引き続き放射線硬化させた(b)。
試験a)及びb)を、買い取ったノボラック紙中に含まれているヘキサメチレンテトラミンによる万一の影響を排除するために、並行して実施した。
【0077】
a)パルプパッド
含浸のために、Rayonier社のパターン(型式Ultranier J Bat、厚さ:1.225mm、920gsm、TG:92.4%)からパルプパッドを切り取り、ビーカー中でノボラックと混合した。使用されたBakelite社のノボラック(型式PF 656812、C/B 2067287101、製造No. 3313699140)を、Gessner社を介して直接Bakeliteから購入した。
含浸を促進するために、超音波を約45分にわたって使用した。24hにわたる乾燥を、室温で排気して実施した。
疎水性増加を決定するために、 −前記のように− ノボラックに含浸されたパルプの疎水性を決定し、その際に単にノボラックに含浸されたパルプについてはその都度0の疎水性が算出された。
ノボラックに浸漬されたパルプパッド上へ、ついで、研究すべきそれぞれのスペーサーを滴加し、電子線で硬化させた。
【0078】
b)ノボラック紙
ノボラック及び熱硬化のためにヘキサメチレンテトラミンを含有し、常用の熱硬化用に準備された燃料ろ紙から、まず最初に疎水性を決定し、これはその都度0であった。
【0079】
引き続いて、当該のスペーサーを、ノボラック紙上へ施与し、スペーサーでコーティングした紙を電子線で硬化させた。
【0080】
c)照射
照射の実施を、WKP/Unterensingen社の電子放出器で行った。設備の製造者はESI社であった。設備は、ロール物の照射のために設計されている。故に、パッドをキャリヤー(紙/箔)上に貼り付け、こうして機械へ送った。強すぎるイオン化を防止するために、窒素不活性化を、全ての試験の場合に使用した。
【0081】
d)疎水性試験の結果
照射後の測定された疎水性増加は、次の表に列挙されている:
【表2】

【0082】
電子線を用いる硬化が100kGyの線量で既に行われることが明らかに分かる。生じた疎水性は、その都度7であり、それゆえ、従来の熱硬化性紙の疎水性と同じ水準にある。
パルプパッドの部分的に明らかにより劣悪な硬化は、使用されるスペーサーではなく、不均質な含浸及び本質的により粗いもしくはより毛羽だった表面に起因するものとみなされうる。試験滴がパルプ繊維によって破壊されたことがたいてい観察された。パルプパッドの均質な含浸が行われた場合には、当該のスペーサーの場合にパルプパッド及びノボラック紙の場合の疎水性増加について、同じ疎水性が算出された。
【0083】
III.比較:熱硬化された燃料ろ紙
比較のために、常用の、熱硬化のために準備された燃料ろ紙(b)を乾燥器中で、165℃で硬化させ、ろ紙の裏側(RS)及び汚れ側(SS)の疎水性を、時間に依存して決定した。
0秒後に、疎水性は、RS及びSSで0、20分後に、裏側及び汚れ側で7及び60分後に、紙の裏側及び汚れ側で同様に7であった。
【0084】
IV.結果
記載された試験において、ノボラック架橋のための電子線硬化の原則的な適性を検出した。適した硬化剤物質(スペーサー)を用いて、意図的な疎水化が可能であることが示されることができた。次の表は、結果を、その都度使用されるスペーサーの危険等級も考慮して、まとめられている:
【表3】

【0085】
2−メチル−1,3−ブタジエンの有毒な性質及び1,5−ヘキサジエン−3−オールの莫大な価格並びエチレングリコールジメタクリラートの作用度の欠如を顧慮して、次の物質が、電子線硬化のための特に適しているスペーサーもしくは硬化剤として同定されることができる:
ペンタエリトリトリル−トリアクリラート、ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート、トリメチロールプロパンプロポキシラートトリアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリラート、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−エトキシラートジアクリラート、ビスフェノールAエトキシラートジアクリラート及びトリメチロールプロパンエトキシラートトリアクリラート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業用途のろ材の製造方法であって、ろ紙からなるプリーツを、樹脂に浸漬し、かつ樹脂浸漬されたプリーツを、引き続き放射線硬化させることを特徴とする、工業用途のろ材の製造方法。
【請求項2】
放射線硬化可能な樹脂が、フェノールベース、ポリエステルベース、ポリエステルアクリラートベース、エポキシベース、エポキシアクリラートベース、ウレタンベース、ウレタンアクリラートベース、ポリエーテルアクリラートベース、シリコーンアクリラートベース及び/又はオレフィン系樹脂をベースとする不飽和又は飽和の樹脂の群からの、モノマー、オリゴマー、プレポリマー及び/又はポリマーを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
放射線硬化可能な樹脂が、アシル基、メタクリル基、ビニル基又はアリル基、モノ又はポリ不飽和のC−C不飽和結合又はC−ヘテロ原子不飽和結合又は純粋にヘテロ原子不飽和結合の群からの不飽和分子基を含む、請求項1又は2のいずれか1項記載の方法。
【請求項4】
樹脂が、1,5−ヘキサジエン−3−オール、1,4−ペンタジエン−3−オール、2−メチル−1,3−ブタジエン又はアクリラート又はカルボキシラート、尿素誘導体、アリル基又はビニル基を含む化合物又はシロキサン化合物の群から好ましくは選択されるスペーサー又はラジカル開始剤をさらに含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
スペーサーが次の群
1,3−ブタンジオール−ジアクリラート、1,4−ブタンジオール−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−エトキシラート−ジアクリラート、1,6−ヘキサンジオール−プロポキシラート−ジアクリラート、3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオナート−ジアクリラート、5−エチル−5−(ヒドロキシメチル)−β,β−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−エタノール−ジアクリラート;ビスフェノール−A−エトキシラート−ジアクリラート、ビスフェノール−A−グリセロラート−(1 グリセリン/フェノール)−ジアクリラート、ビスフェノール−A−プロポキシラート−ジアクリラート、ビスフェノール−F−エトキシラート(2 EO/フェノール)ジアクリラート;
ジ(エチレングリコール)−ジアクリラート、エチレングリコール−ジアクリラート、フルオレセイン−O,O′−ジアクリラート、グリセリン−1,3−ジグリセロラート−ジアクリラート、ネオペンチル−グリコール−ジアクリラート、ネオペンチル−グリコール−プロポキシラート(1 PO/OH)−ジアクリラート、ペンタエリトリトール−ジアクリラート−モノステアラート、ポリ(ディスパースレッド9−p−フェニレンジアクリラート)、ポリ(エチレングリコール)−ジアクリラート、ポリ(プロピレングリコール)−ジアクリラート、プロピレングリコール−グリセロラート−ジアクリラート、テトラ(エチレングリコール)−ジアクリラート、トリ(プロピレングリコール)−ジアクリラート(特に異性体の混合物として)、トリ(プロピレングリコール)−グリセロラート−ジアクリラート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジアクリラート、トリメチロールプロパン−ベンゾアート−ジアクリラート、トリメチロールプロパン−エトキシラート(1 EO/OH)−メチルエーテルジアクリラート;
1,3,5−トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、3−(N,N′,N′−トリアリル−ヒドラジノ)−プロピオン酸、トリアリル1,3,5−ベンゼントリカルボキシラート、トリアリルボラート、トリアリルシアヌラート、2,4,6−トリアリルオキシ−1,3,5−トリアジン、トリメチロールプロパン−エトキシラート−トリアクリラート、グリセリン−プロポキシラート(1PO/OH)トリアクリラート、ペンタエリトリトール−プロポキシラート−トリアクリラート、ペンタエリトリトールトリアクリラート、トリメチロールプロパン−プロポキシラート−トリアクリラート、トリメチロールプロパン−トリアクリラート;
ジアリル2,6−ジメチル−4−(3−フェノキシフェニル)−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル2,6−ジメチル−4−(4−メチルフェニル)−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル4−(2,4−ジクロロフェニル)−2,6−ジ−メチル−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート、ジアリル4−(2−クロロフェニル)−2,6−ジメチル−1,4−ジヒドロ−3,5−ピリジンジカルボキシラート;
1,1−ジアリル−1−ドコサノール、1,1−ジアリル−3−(1−ナフチル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,3−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,3−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4,5−トリクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,4−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,5−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,5−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジエチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2,6−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−エチル−6−メチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−エチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メトキシフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(2−メチル−6−ニトロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,4−ジクロロフェニル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,4−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3,5−キシリル)−尿素、1,1−ジアリル−3−(3−クロロ−ベンゾ(β)チオフェン−2−カルボニル)−チオ尿素;
1,3−ジビニル−5−イソブチル−5−メチルヒダントイン、1,4−ブタンジオール−ジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノール−ジビニル−エーテル(好ましくは異性体の混合物として)、1,4−ジビニル−1,1,2,2,3,3,4,4−オクタメチルテトラシラン、1,6−ヘキサンジオール−ジビニルエーテル、3,6−ジビニル−2−メチルテトラヒドロピラン、3,9−ジビニル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、ジ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、ジビニルスルホキシド、白金(0)−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン(錯体溶液)、ポリ(ジメチルシロキサン−コ−ジフェニルシロキサン)(ジビニル末端)、ポリ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、テトラ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、トリ(エチレングリコール)−ジビニルエーテル、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン、1,4−ペンタジエン−3−オール、Polymer Carrier VA-Epoxy(登録商標)、プロトポルフィリンIX、プロトポルフィリン−IX−二ナトリウム塩、プロトポルフィリンIX亜鉛(II)、アジド及び前記の全ての化合物の同族体
から選択される、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
放射線硬化可能な樹脂がフェノール樹脂である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
放射線硬化を、電子線を用いて行う、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
照射すべきろ紙のエネルギー線量が、10〜150kGy、好ましくは50〜100kGyである、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ろ紙が、純セルロースからなるか、又は部分的にもしくは完全に合成繊維からなる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ろ紙が少なくとも0.1N/mm2の破裂強さを有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ろ材が、放射線硬化された樹脂層を有するプリーツであり、かつろ材が、少なくとも6、特に7の疎水性を有することを特徴とする、工業用途の、特に自動車産業用の及び工業用フィルターとしてのろ材。
【請求項12】
ろ紙の重合度が少なくとも900である、請求項11記載のろ材。

【公表番号】特表2009−500170(P2009−500170A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−520711(P2008−520711)
【出願日】平成18年7月12日(2006.7.12)
【国際出願番号】PCT/DE2006/001208
【国際公開番号】WO2007/006292
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(506292974)マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (186)
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
【住所又は居所原語表記】Pragstrasse 26−46, D−70376 Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】