説明

工業的な過程においてアルミノ珪酸塩のスケールを防止または減少させる方法

【課題】アルカリ性の工程流、例えばパルプ製造工程流を有する工業的過程におけるアルミノ珪酸塩のスケールの生成を抑制する材料およびスケール抑制方法を提供する。
【解決手段】−Si(OR”)(但しR”=H、アルキル基、Na、KまたはNHである)を含む側鎖または末端基を少なくとも0.5モル%有する重合体をアルカリ性の工程流に加えることで蒸発器の壁面および加熱表面のような装置表面のアルミノ珪酸塩のスケールの生成を減少または防止が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ性の工程流をもつ工業的な過程に使用される装置の上または中におけるスケール(scale)の生成を防止または阻止する材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的な過程、特にアルカリ性の工程流(process stream)を有する過程に使用される装置の中および上にスケールが生成する問題は非常に良く知られている。スケールは、工程の装置の表面上に蓄積すると重大な問題を生じ、熱伝達係数を低下させる原因となる。従ってこれらの工程の蒸発装置に余分の熱が必要となり、その結果コストが上昇する。
【0003】
アルカリ工程流を有するこのような工業的な過程の一例は製紙業におけるクラフト(Kraft)紙回収法であり、この方法は100年に亙って知られた方法であって、この問題に関する多くの教科書に詳細に説明されている(非特許文献1参照)。最近になって、クラフト紙製造工場において閉ループのサイクルが開発された結果、非特許文献2に記載されているように、系にアルミニウムおよび珪素が蓄積することによって工程の装置の中におけるスケールの生成の問題が増加している。従って、クラフト紙製造工場においてアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する方法および組成物を提供することが必要なことは従来から十分に認識されてきた。特許文献1には、クラフト紙製造工場におけるスケール防止剤としてマレイン酸、アクリル酸および次亜燐酸の三元重合体を使用することが記載されている。この種の重合体は炭酸カルシウムのスケールに対しては効果があることが示されているが、アルミノ珪酸塩のスケールに対して有効であることは示されていない。
【0004】
高レベル核廃棄物処理施設(HLNW)では、放射性に富んだ固体および液体の廃棄物を処理し、容積を最低限度に抑制し、長期間貯蔵を行うために危険な材料を不動化(immobilize)する。最近ではHLNWにおける処理は二つの工程を介して行わるが、その一つの工程は酸性条件下で行われ、他の一つの工程はアルカリ性条件下で行われる。アルカリ性処理条件下では、廃棄物をガラス化する前の予備処理段階においてアルミノ珪酸ナトリウムのスケールの生成が重大な問題となる。
【0005】
予備処理施設内部で廃棄物を蒸発させ、濾過し、イオン交換を行い、さらに蒸発させる。蒸発の際に蒸発器の壁の表面および加熱面にアルミノ珪酸塩のスケールが生成することができる。さらに移送用のパイプも、これらのスケールおよび沈澱が蓄積するために詰まり、保守のために閉鎖する必要が生じる可能性がある。
【0006】
予備処理されたHLNWの廃棄物はガラス化の施設へと移される。HLNW廃棄物は熔融物製造容器へ移され、ここでシリカおよび他のガラス生成材料が加えられる。次にこの混合物は加熱され、熔融した混合物は大きなステンレス鋼の容器に注がれ、冷却され、永久的な貯蔵場所が選ばれるまでの一時的な貯蔵場所に運ばれる。
【0007】
Siを含んだガラス生成材料の一部はガラス化ユニット操作から蒸発ユニット(予備操作の際の)へと循環して戻される。アルミン酸ナトリウムの形の溶解したアルミニウムおよび珪酸ナトリウムの化学種は溶液中で徐々に反応して複雑な水和したアルミノ珪酸ナトリウム種をつくる。これらの化学種の中で、無定形のアルミノ珪酸塩(アルミノ珪酸塩のヒドロゲル)、ゼオライト、ソーダライト、およびカンクリナイトの種類が一括して「アルミノ珪酸ナトリウム」として知られている。これらの核廃棄物流はまた高濃度の硝酸塩
および亜硝酸塩イオンを含み(各イオンに対し最高2M)、また非常に高濃度(タンクの或る部分では最高16M)のOHイオンを含んでいる。これらの要因はアルミノ珪酸塩のスケールの生成速度を著しく増加させる。その結果生じたアルミノ珪酸ナトリウムのスケールは、アルカリ性のHLNW液の中では溶解度が低い。
【0008】
また、放射性をもったランタニドおよびアクチニドはアルミノ珪酸塩のスケールの籠形構造の中に入り込み、二ウラン酸ナトリウムと共沈するから(非特許文献3)、アルミノ珪酸ナトリウムは望ましくないHLNW生成物と考えられている。従ってHLNW施設に対しては、これらのアルミノ珪酸塩のスケールから生じるものを含むHLNWの容積を最低限度に抑制することが望ましい。このように、アルミノ珪酸ナトリウムのスケールの成長は、核廃棄物の処理において経済的にもまた操業的にも大きな負の影響を与えることがわかる。
【0009】
従って、核廃棄物を蒸発させる場合アルミノ珪酸ナトリウムのスケールの問題を解決することは望ましいことである。
【0010】
従来、上記の問題を解決しようとする試みはあまり成功していない(非特許文献4参照)。これらの著者らは、アルミノ珪酸塩のスケールの生成を減少または抑止するために、硝酸第二鉄を用いSiを第二鉄塩の沈澱の形で溶液から除去する方法を検討した。この方法は或る程度の利点をもっているが、高濃度の第二鉄の沈澱を廃棄する問題が依然として存在し、また余分に濾過ユニット操作が必要である。また非特許文献5には、HLNWに対するスケールの生成防止剤として低分子量の化合物が提案されているが,全く満足できないことが見出だされている。
【0011】
このように、アルミノ珪酸塩のスケールの蓄積が問題になるような工業的過程、例えばクラフト紙製造工程および核廃棄物処理流において使用される装置に蓄積するアルミノ珪酸塩のスケールを減少させる経済的で効果的な方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5409571号明細書。
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】G.A.Smook、「Handbook for Pulp and paper technologists」、第3版。
【非特許文献2】P.N.Wannamaker、W.J.Frederick、「Application of solubility data to predicting the accumulation of aluminum and silicon in alkaline pulp mills」、Minimum Effluent Mills Symposium(1996年)における論文、303頁。
【非特許文献3】Peterson,R.A.、Pierce,R.A.、(2000年)、「Sodium diuranate and sodium aluminosilicate precipitation testing results」、WSRC−TR−2000−00156、Westinghouse Savannah River Company、Aiken、SC。
【非特許文献4】Wilmarth,W.R.、Mills,J.T.、Dukes,V.H.、Removal of silicon from high−level waste streams via ferric flocculation, Separation Sci.Technol.,40巻,1〜11頁(2005年)。
【非特許文献5】W.R.Wilmarth、J.T.Mills、「Results of Aluminosilicate Inhibitor Testing」、WSRC−TR−2001−00230。
【発明の概要】
【0014】
本発明の概要
本発明においては,末端基または側鎖(pendant)として−Si(OR”)(但しR”=H、アルキル基、Na、KまたはNHである)を含む基を少なくとも0.5モル%有する重合体を使用して、アルカリ性の工程流、例えばパルプ製造工程または高レベル核廃棄物蒸発工程の処理工程流を有する工程におけるアルミノ珪酸塩のスケールの生成を減少させまたは除去する材料および方法を提供することにより、上記のおよび他の問題が解決される。本発明の材料をこれらの工業的な工程流に加えた場合、本発明の材料は装置の表面におけるアルミノ珪酸塩スケールの生成を減少させ、また完全にこれを防止することさえある。さらに本発明の材料は、経済的に実施し得る処理濃度において有効である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
本発明は、アルカリ性の工程流をもつ工業的工程、例えばクラフト紙製造工程流または高レベル核廃棄物処理流の中でアルミノ珪酸塩のスケールを減少させる方法および材料に関する。処理すべき工程流は、アルカリ性条件を有し、その中でスケールの生成が起る任意の工程流、例えばクラフト紙製造工程の黒色、緑色および白色液、または高レベル核廃棄物蒸発工程流であることができる。
【0016】
この方法は、基−Si(OR”)
但し式中R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである、
を含む側鎖になった基または末端基を(pendant thereto a group or an end group)少なくとも5モル%有する重合体を、アルミノ珪酸塩を含むスケールの生成を防止する量で工程流に加える段階を含んで成っている。この重合体中に存在する−Si(OR”)官能基の量は、所望の結果を達成するのに十分な量であり、重合体中に存在する全単量体基の最低0.5モル%から最高100モル%の範囲であることができる。しかし所望の結果を得るのに必要な最小の量を使用することが最も経済的であろう。この重合体は最初シリルエーテル誘導体、重合体−−Si(OR”)としてつくられることが好適である。ここでR”=H、C1〜C3アルキル、アリールであり、例えば重合体−−Si(OCHCHまたは重合体−−Si(OCHとしてつくられることが好適である。シリルエーテル誘導体を工業的な工程流に直接加えるか、または工程流に加える前にこれらを加水分解して下記の一般的な構造をもつ重合体をつくることができる:重合体−−Si(OH)、重合体−−Si(ONa)、重合体−−Si(OK)、および重合体−−Si(ONH。これらの任意の形のものを工程流に加えることができることが本発明の便利な特徴である。重合体の分子量は少なくとも約500、最も好ましくは少なくとも1000でなければならない。
【0017】
好適具体化例においては、−Si(OR”)、但し式中R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである、を含む基は−−G−−R−−X−−R’−−Si(OR”)を含んで成っている。ここでG=存在しない、NH、NR”またはO;R=存在しない、C=O、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;X=存在しない、NR、O、NH、アミド、ウレタン、または尿素;R’=存在しない、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;およびR”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。
【0018】
一具体化例においては、この基は−−NH−−R−−X−−R’−−Si(OR”)であり、ここでR=存在しない、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;X=O、NH、アミド、ウレタン、または尿素;R’=存在しない、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;およびR”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。
【0019】
他の具体化例においては、該基が側鎖となっている重合体は該側鎖の基が結合した少なくとも1個の窒素を含んで成っていることができる。側鎖の基が結合した少なくとも1個の窒素を含んで成る重合体の例には、これだけには限定されないが、下記の式に従う重合体が含まれる:
【0020】
【化1】

【0021】
ここで、x=0.1〜100%、y=99.9〜0%;およびR=存在しない、C1〜C10アルキル、アリール、または−COX−R’−であり、ここでX=OまたはNHであり、R’=存在しない、C1〜C10アルキル、またはアリール;R”=H,C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。
【0022】
ここで
【0023】
【化2】

【0024】
x=0.5〜20%、y=99.5〜80%で、R=C2〜C6に従う重合体が好適であり、
【0025】
【化3】

【0026】
但し、x=0.5〜20%、y=99.5〜80%である、に従う重合体
が特定の例である。
【0027】
他の具体化例においては、−Si(OR”)を含む側鎖になった基または末端基を有する重合体は、−−Si(OR”)を含む不飽和の重合可能な単量体から誘導され、随時1種またはそれ以上の他の重合可能な単量体と共重合している。ここでR”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。このような他の重合可能な単量体の例には、これだけには限定されないが、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換アクリルアミド、例えばN−アルキルアクリルアミドまたはアクリルアミドメチルプロパンスルフォン酸、(メタ)アクリル酸およびそれらの塩またはエステル、マ
レイン酸イミド、酢酸ビニル、アクリロニトリル、およびスチレンが含まれる。−−Si(OR”)基を含む特に好適な不飽和の重合可能な単量体は式VおよびVIの単量体である。
【0028】
【化4】

【0029】
ここで、P=H、C1〜C3アルキル、−COR”,−CONHR
R=C〜C10アルキル、アリール、
R’=H、C〜Cアルキル、またはアリール、
X=O、NH、またはNR、
R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNH
である。このような重合体の例には、トリアルコキシビニルシラン、例えばCH=CHSi(OCHCHおよび下記式VIIの単量体の単独重合体および共重合体が含まれる:
【0030】
【化5】

【0031】
ここで、P=H、R=−CHCHCH−、R’=H、X=NH、R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。
【0032】
この種の単量体は任意の他の重合可能な単量体、例えば上記の単量体と共重合することができる。特に好適な共重合可能な単量体には、ビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびそれらの塩またはエステル、およびマレイン酸イミドが含まれる。炭素数4〜20のN−置換アクリルアミド、例えばN−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−アミルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミドが含まれる。
【0033】
好適な一具体化例においては、下記式
【0034】
【化6】

【0035】
の重合体が使用される。ここでw=0〜99%、x=1〜99%、y=l〜99%、z=0.5〜20%;M=H、Na、K、NH;R”=H、C1〜10アルキル、アリール、Na、KまたはNH;P=HまたはCH、L=H、またはC1〜C10アルキル、
アリール、またはアラルキル、F=−−G−−R−−X−−R’−−Si(OR”)であり、ここでG=存在しない、NH、NR”またはO;R=存在しない、C=O、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;X=存在しない、NR、O、NH、アミド、ウレタン、または尿素;R’=存在しない、O、C1〜C10アルキル、またはアリール;およびR”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHであり、VPDは置換基をもったまたはもたないビニルピロリドンから誘導される部分である。例示的な重合体は下記式VIIの1種またはそれ以上の共重合可能な単量体の単独重合体または共重合体:
【0036】
【化7】

【0037】
ここで、P=H、R=−CHCHCH−、R’=H、X=NH、およびR”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHであり、重合体は下記式によるものであり、
【0038】
【化8】

【0039】
ここで、w=0〜90%、x=0〜50%、y=0〜90%、z=2〜50モル%である、の重合体が特定の例である。
【0040】
他の具体化例においては、下記式の重合体:
【0041】
【化9】

【0042】
ここで、w=1〜99.9%,x=0.1〜50%,y=0〜50%,z=0〜50%;Q=C1〜C10アルキル、アリール、アミド、アクリレート、エーテル、COXRでありここでX=OまたはNH;またR=H、Na、K、NH,C1〜C10アルキルまたはアリール、または任意の他の置換基;X=NH、NPであって、ここでP=C1〜C3アルキルまたはアリール、またはO;R’=C1〜10アルキルまたはアリール;V”=H,C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHであるか、或いは無水物の環をつくり;R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na,KまたはNH;D=NR1またはOR1であり、ここでR1=H、C1〜C20アルキル、C1〜C20アルケニルまたはアリールであるが、但しR、R”、V”およびR1基はすべてが同じである必要はない、が使用され、下記式に従う重合体:
【0043】
【化10】

【0044】
ここでw=1〜99.9%、x=0.1〜50%、y=0〜50%、z=0〜50%;であり、Qはフェニルである、および
【0045】
【化11】

【0046】
但しw=1〜99.9%,x=0.1〜50%,y1+y2=0〜50%,y1およびy2=0〜50%、z=0〜50%であり、Qはフェニルである、
が特定の例である。
【0047】
他の具体化例においては、下記式の重合体が使用される。
【0048】
【化12】

【0049】
ここでx=5−100%(モル%として)、yおよびz=0〜100%であり、少なくとも一つのAおよび/またはB単位は基−−Si(OR”)を含む基であり、ここで R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである。このような重合体の例には下記式のものが含まれる。
【0050】
【化13】

【0051】
但しAおよび/またはB=R−Si(OR”)、x=5〜50%,y=5〜95%、z=0〜50%である、
即ち−Si(OR”)基で置換したエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体:並びに
【0052】
【化14】

【0053】
但しAおよび/またはB=R−Si(OR”)、x=100%,y=0%、z=0%、即ちR−Si(OR”)基で置換されたポリエチレンオキシドの単独重合体。
【0054】
他の具体化例においては、ポリサッカリドまたはポリサッカリド誘導体からつくられた重合体が使用される。側鎖になった−−Si(OR”)基を結合することができる任意
のポリサッカリドを使用することができる。好ましくはポリサッカリドは、クラフト紙パルプ製造の工程流の液、或いは高レベル核廃棄物処理流のような工業的な工程流に可溶でなければならない。本発明に使用されるポリサッカリドには、これだけには限定されないが、セルロースおよびその誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉および澱粉誘導体、例えば陽イオン性澱粉、グア(guar)、デキストラン、デキストリン、キサンタン、寒天、カラギーナン等が含まれる。特に好適なものは澱粉およびセルロース誘導体であり、その特定の例はヒドロキシエチルセルロースと3−グリシドキシプロピルトリメチルシランとの反応生成物である。
【0055】
本発明に使用される重合体は種々の方法でつくることができる。例えば−Si(OR”)、但し式中R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである、を含む単量体、例えばシラン単量体を重合させるか、またはこのような単量体を1種またはそれ以上の共重合単量体と共重合させることによりつくることができる。本発明に使用するのに適したシラン単量体には、これだけには限定されないが、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ブテニルトリエトキシシラン、γ−N−アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、p−トリエトキシシリルスチレン、2−(メチルトリメトキシシリル)アクリル酸、2−(メチルトリメトキシシリル)−1,4−ブタジエン、N−トリエトキシシリルプロピルマレイン酸イミド、およびマレイン酸無水物および他の不飽和無水物と−Si(OR”)を含むアミノ化合物との他の反応生成物が含まれる。これらの単量体は、重合の前または後で水性塩基により加水分解することができる。本発明に使用するのに適した共重合単量体には、これだけには限定されないが、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、(メタ)アクリル酸およびその塩およびエステル、(メタ)アクリルアミド、および置換アクリルアミド、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルフォン酸、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−アミルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−オクチルアクリルアミドが含まれる。共重合体はまたグラフト共重合体、例えばポリアクリル酸−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)およびポリ(酢酸ビニル−co−クロトン酸)−g−ポリ(ビニルトリエトキシシラン)であることができる。これらの重合体は種々の溶媒の中でつくることができる。これに用いるのに適した溶媒には、これだけには限定されないが、アセトン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を含まれる。或る場合には、重合体を反応溶媒に溶解し、溶媒を除去させて回収する。別法として、重合体が反応溶媒に溶解しない場合、生成物を濾過によって回収する。本発明に使用するのに適した反応開始剤には、これだけには限定されないが、2、2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)および2,2−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、およびクメンヒドロパーオキシドが含まれる。
【0056】
他の具体化例においては、−Si(OR”)基並びに存在する重合体の側鎖の基または骨格原子のいずれかと反応する基を含む化合物を反応させることによって、本発明に有用な重合体をつくることができる。例えば、ポリアミンおよびポリサッカリドを−Si(OR”)基を含む種々の化合物と反応させて、本発明に有用な化合物を得ることができる。適当な反応性の基には、これだけには限定されないが、ハロゲン化アルキル基、例えばクロロプロピル、ブロモエチル、クロロメチル、およびブロモウンデシルが含まれる。
【0057】
−Si(OR”)を含む化合物はエポキシ官能基、例えばグリシドキシプロピル、1,2−エポキシアミル、1,2−エポキシデシルまたは3,4−エポキシシクロヘキシルエチルを含んでいることができる。3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好適な化合物である。
【0058】
反応性の基はまたヒドロキシル基とハロゲン化物との組み合わせ、例えば3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルであることができる。この反応性部分はまたイソシアネート基、例えば反応して尿素結合をつくるイソシアナートプロピルまたはイソシアナートメチルを含んでいることができる。これに加えて、無水物基を含むシラン、例えばトリエトキシシリルプロピル琥珀酸無水物は本発明の重合体をつくるのに適している。この反応はニート(neat、ほぼ純粋)の状態または適当な溶媒中で行うことができる。また他のアミノ基、または重合体上の窒素原子をハロゲン化アルキル、エポキシドまたはイソシアネートと反応させることにより、アルキル基のような他の官能基を付加することができる。ポリアミンは種々の方法でつくることができる。ポリアミンはアジリジンまたは同様な化合物の開環重合によってつくることができる。またアミン、例えばアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、エチレンジアミン等と反応性化合物、例えば1,2−ジクロロエタン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンおよび同様な化合物との縮合によりつくることができる。
【0059】
無水物基を含む重合体は、−Si(OR”)を含む種々の化合物と反応させて本発明に用いるのに適した重合体をつくることができる。適当な無水物基を含む重合体にはマレイン酸無水物とエチレン型不飽和単量体、例えばスチレン、エチレン、α−オレフィン、例えばオクタデセン、メタ(アクリルアミド)、(メタ)アクリル酸、アクリル酸エステル、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、およびメチルビニルエーテルの共重合体が含まれる。重合体はまたグラフト重合体、例えばポリ(1,4−ブタジエン)−g−マレイン酸無水物またはポリエチレン−g−マレイン酸無水物などであることができる。他の適当な無水物単量体には、これだけには限定されないが、イタコン酸およびシトラコン酸の無水物が含まれる。適当な反応性のシラン化合物には、これだけには限定されないが、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリエトキシシラン、3−(m−アミノフェノキシプロピル)−トリメトキシシラン、およびγ−アミノブチルトリエトキシシランが含まれる。この重合体をアミン、アルコール、および他の化合物と反応させることにより該重合体に他の官能基を付加することができる。本発明に使用するのに適した好適な重合体においては、無水物はマレイン酸無水物であり、共重合単量体はスチレンである。好適なシランはγ−アミノプロピルトリエトキシシランである。若干の無水物をジエチルアミンのような他のアミンと反応させることも有利である。
【0060】
−Si(OR”)を含む同じ種類のアミノ化合物は、側鎖のイソシアネート基を含む重合体、例えばイソプロペニルジメチルベンジルイソシアネートおよびビニルイソシアネートと、これだけには限定されないが酢酸ビニル、スチレン、アクリル酸、およびアクリルアミドを含む共重合単量体との共重合体と反応させることができる。またこれらの重合体はアミンのような他の化合物と反応させて性能を強化することができる。
【0061】
γ−イソシアナートプロピルトリメトキシシランのような−Si(OR”)基をもったイソシアネート官能性化合物は、またヒドロキシル基を含む重合体、例えば加水分解したポリ(酢酸ビニル)、および酢酸ビニルと他の単量体との共重合体と反応させることができる。使用するのに適した他のヒドロキシル含有重合体には、これだけには限定されないが、ポリサッカリドおよびN−メチロールアクリルアミドを含む重合体が含まれる。
【0062】
本発明方法において工程流に対する重合体の添加量は、工業的な工程流(例えばクラフト紙パルプ製造工程または高レベル核廃棄物に関与する処理流)液の組成に依存することができ、その量がアルミノ珪酸塩を含むスケールを阻止する量であることが一般に必要なすべてである。一般に経済的な且つ実施上有利な濃度で重合体を工程流に加えることが好ましい。好適な濃度は、約0ppm超で約300ppmまでの濃度、さらに好ましくは約
0ppm超で約50ppmまでの濃度であり、約0ppm超で約10ppmまでの濃度で重合体を工程流に加えることが最も好適である。
【0063】
重合体はスケールが生成する工程流に、例えばクラフト紙パルプ製造工程の黒色液の蒸発器、および該工程の緑色および白色液の蒸発器に直接加えることができる。しかし、重合体を供給流または循環流に、或いは黒色液の蒸発器へと至る工程流に加えることが好ましい。工程の任意の時点において重合体を工業的な工程の所で重合体を加えることが好適である。通常蒸発器の直前において重合体を加える。
【実施例】
【0064】
高レベル核廃棄物
(対照実施例A)
スチレン/マレイン酸無水物共重合体とブチルアミンとの反応生成物(対照重合体A)を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したスチレン/マレイン無水物共重合体(SMA)10.0gを100mlのトルエン中に懸濁させる。トルエン10ml中に1.72gのブチルアミンを含む溶液を周囲温度において加える。この混合物を3時間還流させる。固体生成物を濾別し、洗滌し、乾燥する。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物から得られるN−ブチル半アミド24モル%、およびマレイン酸無水物23モル%を含む重合体が得られる。
【0065】
(対照実施例B)
スチレン/マレイン酸無水物共重合体とタロー(tallow、獣脂)アミンとの反応生成物(対照重合体B)を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの100.0gを941.7gのトルエン中に懸濁させる。トルエン35.2g中に25.2gのタローアミンおよび27.5gのジエチルアミンを含む溶液を周囲温度において加え、この混合物を30分間還流させる。得られたトルエンのスラリを室温に冷却し、次いで2%苛性ソーダ水溶液約700mlを加える。トルエン層を分離し、水性相に残ったトルエンを蒸発により除去する。0.2μmの親水性ポリエーテルスルフォン・フィルターを用い限外濾過によって水溶液をさらに精製し、凍結乾燥して乾燥した重合体を得る。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物から得られるN−ブチル半アミド38モル%、およびマレイン酸無水物から得られるN−タローアミド9モル%を含む重合体が得られる。
【0066】
(対照実施例C)
N−t−オクチルアクリルアミドおよびアクリル酸の反応生成物(対照重合体C)を次のようにしてつくる:2.81gのアクリル酸、2.52gのN−t−オクチルアクリルアミド、および0.14gの2−メルカプトエタノールを12.5gのDMFおよび13.87gのジオキサンに溶解し、窒素を通して空気を追い出す。この混合物を75℃に加熱し、3gのジオキサン中に含まれる0.16gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加える。75℃において6時間後、この混合物を冷却し、所望の重合体を溶液中で得た。これによりアクリル酸73.7モル%およびN−t−オクチリルアミド26.3モル%を含む重合体が得られる。
【実施例1】
【0067】
重合体 i
1モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体i)を得るために、SMAとブチルアミンおよび(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの10.0gを100mlのトルエン中に懸濁させる。トルエン10
ml中に1.72gのブチルアミンおよび0.21gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加える。この混合物を3時間還流させる。固体生成物を濾別し、洗滌し、乾燥する。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−ブチル半アミド23.9モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−アミノエトキシシリル)半アミド1モル%、およびマレイン酸無水物22.1モル%を含む重合体が得られる。
【実施例2】
【0068】
重合体 ii
3.8モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体ii)を得るために、SMAとブチルアミンおよび(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの10.0gを100mlのトルエン中に懸濁させる。トルエン10ml中に1.72gのブチルアミンおよび0.83gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加える。この混合物を3時間還流させる。固体生成物を濾別し、洗滌し、乾燥する。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−ブチル半アミド23.9モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−アミノエトキシシリル)半アミド3.8モル%、およびマレイン酸無水物19.3モル%を含む重合体が得られる。
【実施例3】
【0069】
重合体 iii
7.6モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体iii)を得るために、SMAとブチルアミンおよび(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの10.0gを100mlのトルエン中に懸濁させる。トルエン10ml中に1.72gのブチルアミンおよび1.66gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加える。この混合物を3時間還流させる。固体生成物を濾別し、洗滌し、乾燥する。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−ブチル半アミド23.9モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−アミノエトキシシリル)半アミド7.6モル%、およびマレイン酸無水物15.5モル%を含む重合体が得られる。
【実施例4】
【0070】
重合体 iv
3.8モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体iv)を得るために、SMAとブチルアミン、タローアミン、ジエチルアミン、および(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの100.0gを941.7gのトルエン中に懸濁させる。トルエン38.9g中に25.2gのタローアミン,27.5gのジエチルアミン,および8.3gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加え、この混合物を30分還流させる。得られたトルエンのスラリを室温に冷却し、次いで2%苛性ソーダ水溶液約700mlを加える。トルエン層を分離し、水性相に残ったトルエンを蒸発により除去する。0.2μmの親水性ポリエーテルスルフォン・フィルターを用い限外濾過によって水溶液をさらに精製し、凍結乾燥して乾燥した重合体を得る。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−トリエトキシシリル)プロピル半アミド3.8モル%、マレイン酸無水物のN−タロー半アミド9.4モル%、およびマレイン酸無水物のN,N−ジエチル半アミド33.8モル%を含む重合体が得られる。
【実施例5】
【0071】
重合体 v
7.5モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体v)を得るために、SMAとブチルアミン、タローアミン、ジエチルアミン、および(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの100.0gを941.7gのトルエン中に懸濁させる。トルエン40.2g中に20.2gのタローアミン,23.4gのジエチルアミン,および16.7gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加え、この混合物を30分還流させる。得られたトルエンのスラリを室温に冷却し、次いで2%苛性ソーダ水溶液約700mlを加える。トルエン層を分離し、水性相に残ったトルエンを蒸発により除去する。0.2μmの親水性ポリエーテルスルフォン・フィルターを用い限外濾過によって水溶液をさらに精製し、凍結乾燥して乾燥した重合体を得る。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−トリエトキシシリル)プロピル半アミド7.5モル%、マレイン酸無水物のN−タロー半アミド7.5モル%、およびマレイン酸無水物のN,N−ジエチル半アミド30モル%を含む重合体が得られる。
【実施例6】
【0072】
重合体 vi
3.8モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体vi)を得るために、SMAとタローアミン、ジエチルアミン、および(3−アミノプロピル)トリエトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:スチレン対マレイン酸無水物のモル比が約1.1でMが約16,000の乾燥したSMAの100.0gを941.7gのトルエン中に懸濁させる。トルエン31.3g中に10.1gのタローアミン,28.9gのジエチルアミン,および8.3gの(3−アミノプロピル)トリエトキシシランを含む溶液を周囲温度において加え、この混合物を30分還流させる。得られたトルエンのスラリを室温に冷却し、次いで2%苛性ソーダ水溶液約700mlを加える。トルエン層を分離し、水性相に残ったトルエンを蒸発により除去する。0.2μmの親水性のポリエーテルスルフォン・フィルターを用い限外濾過によって水溶液をさらに精製し、凍結乾燥して乾燥した重合体を得る。これによりスチレン53モル%、マレイン酸無水物からのN−(3−トリエトキシシリル)プロピル半アミド3.8モル%、マレイン酸無水物のN−タロー半アミド3.8モル%、およびマレイン酸無水物のN,N−ジエチル半アミド39.4モル%を含む重合体が得られる。
【実施例7】
【0073】
次のようにしてN−(3−トリエトキシシリル)プロピルアクリルアミド(TESPA)をつくる:197.4gのN−(3−トリエトキシシリル)プロピルアクリルアミド、および89.9gのトリエチルアミンを300gのTHFに溶解し、窒素を通して空気を追い出し、0℃に冷却する。混合しながら83.9gの塩化アクロイルを滴下し、添加後この混合物を40℃に2時間加熱する。混合物を室温に冷却し、塩を濾別する。得られたTESPAの溶液(THF中42%)はさらに生成することなく使用する。
【実施例8】
【0074】
重合体 vii
5モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体vii)を得るために、N−t−オクチルアクリルアミド、アクリル酸、1−ビニル−2−ピロリドン、およびTESPAの四元重合体を次のようにしてつくる:1.89gの1−ビニル−2−ピロリドン、0.66gのアクリル酸、2.21gのN−t−オクチルアクリルアミド、1.30gのTESPA(THF中42%)、および0.14gの2−メルカプトエタノールを14gのDMFおよび11.64gのジオキサン中に溶解し、窒素で空気を追い出す。この混合
物を75℃に加熱し、3gのジオキサン中に含まれる0.16gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加える。75℃において6時間後、混合物を冷却し、所望の重合体を溶液として得る。イソプロピルアルコールで沈澱させて重合体をさらに精製し、洗滌し、乾燥する。これにより42.5モル%の1−ビニル−2−ピロリドン、22.5モル%のアクリル酸、5モル%のTESPA、および30モル%のN−t−オクチルアクリルアミドを含む重合体が得られる。
【実施例9】
【0075】
重合体 viii
5モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体viii)を得るために、1−ビニル−2−ピロリドンおよびTESPAの共重合体を次のようにしてつくる:4.69gの1−ビニル−2−ピロリドン、1.44gのTESPA(THF中42%)、および0.14gの2−メルカプトエタノールを12.5gのDMFおよび13.07gのジオキサンに溶解し、窒素で空気を追い出す。この混合物を75℃に加熱し、3gのジオキサン中に含まれる0.16gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加える。75℃において6時間後、混合物を冷却し、所望の重合体を濃度15%の溶液として得る。これにより95モル%の1−ビニル−2−ピロリドン、および5モル%のTESPAを含む重合体が得られる。
【実施例10】
【0076】
重合体 ix
5モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体ix)を得るために、N−t−オクチルアクリルアミド、アクリル酸、およびTESPAの三元重合体を次のようにしてつくる:2.46gのアクリル酸、2.21gのN−t−オクチルアクリルアミド、1.56gのTESPA(THF中42%)、および0.14gの2−メルカプトエタノールを12.5gのDMFおよびl2.97gのジオキサン中に溶解し、窒素で空気を追い出す。この混合物を75℃に加熱し、3gのジオキサン中に含まれる0.16gの2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を加える。75℃において6時間後、混合物を冷却し、所望の重合体を濃度15%の溶液として得る。これにより70モル%のアクリル酸、5モル%のTESPAおよび25モル%のN−t−オクチルアクリルアミドを含む重合体が得られる。
【実施例11】
【0077】
重合体 x
2.2モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体x)を得るために、ポリエチレンオキシドと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:20.0gのポリエチレンオキシド(M約2000)を10.0gのDMSOに溶解し、窒素で空気を追い出す。この混合物に2.63gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えた後、1.36gの45%KOHを加える。得られた混合物を80℃に1時間加熱し、所望の重合体を濃度65.8%の溶液として得る。これにより約97.8モル%のエチレンオキシドおよび2.2モル%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む重合体が得られる。
【実施例12】
【0078】
重合体 xi
3.1モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xi)を得るために、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)と3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:30.0gのポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(エチレンオキシド5
0重量%、M約1900)を窒素下において4.52gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合する。2.34gの45%KOHを加え、得られる混合物を80℃に1時間加熱し、所望の重合体を92.6%の濃度で得る。これによって約55.1モル%のエチレンオキシド、41.8モル%のプロピレンオキシド、および3.1モル%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む重合体が得られる。
【実施例13】
【0079】
重合体 xii
3.0モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xii)を得るために、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)と3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:30.0gのポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)(エチレンオキシド10重量%、M約2000)を窒素下において4.3gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合する。2.22gの45%KOHを加え、得られる混合物を80℃に1時間加熱し、所望の重合体を92.9%の濃度で得る。これによって約12.3モル%のエチレンオキシド、84.7モル%のプロピレンオキシド、および3.0モル%の3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを含む重合体が得られる。
【実施例14】
【0080】
重合体 xiii
0.5モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xiii)を得るために、ポリエチレンイミンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:25.4gのポリエチレンイミン(M約25,000)を0.7gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合し、得られる混合物を70℃に16時間加熱すると、所望の重合体が軟らかい脆いゲルとして得られる。
【実施例15】
【0081】
重合体 xiv
1.0モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xiv)を得るために、ポリエチレンイミンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:25.72gのポリエチレンイミン(M約25,000)を1.43gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合し、得られる混合物を70℃に16時間加熱すると、所望の重合体が軟らかい脆いゲルとして得られる。
【実施例16】
【0082】
重合体 xv
2.0モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xv)を得るために、ポリエチレンイミンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:11.39gのポリエチレンイミン(M約25,000)を1.28gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合し、得られる混合物を70℃に16時間加熱すると、所望の重合体が軟らかい脆いゲルとして得られる。
【実施例17】
【0083】
重合体 xvi
4.0モル%のシラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xvi)を得るために、ポリエチレンイミンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:10.0gのポリエチレンイミン(M約25,000)を2.29gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合し、得られる混合物を70℃に16時間加熱すると、所望の重合体が軟らかい脆いゲルとして得られる。
【実施例18】
【0084】
重合体 xvii
高い(約30モル%)シラン含有単量体単位を有する重合体(重合体xvii)を得るために、ヒドロキシエチルセルロースと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物を次のようにしてつくる:8.0gの乾燥したヒドロキシエチルセルロース(分子量約24,000〜27,000)を、5gのアセトン中に含まれる2.0gの3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと混合する。蒸発させてアセトンを除去し、得られる混合物を100℃に16時間加熱すると、所望の重合体が得られる。
【0085】
【表1−1】

【0086】
【表1−2】

【実施例19】
【0087】
試験法
炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アルミン酸ナトリウム溶液(苛性ソーダ中でアルミナ三水和物を温浸することによって製造)、珪酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、および亜硝酸ナトリウムを脱イオン水に加えることにより合成品の高レベル核廃棄物処理液をつくる。液の最終的な組成を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
核廃棄物処理液に加える前に、重合体試料のすべてをNaOHの2%水溶液に溶解し、以前に反応しなかった無水物およびトリアルコキシシラン基を加水分解し、トリアルコキシシラン基をシラノール基またはナトリウム塩に変える。125mlのポリエチレンの瓶の中に、スケール減少用添加物(使用するならば)を入れる。これは低い投与量に対しては2%NaOH水溶液中0.5%の溶液として、高い投与量に対しては同じ水溶液中3%の溶液として使用する。次に上記の貯蔵した合成品の高レベル核廃棄物処理溶液120mlを混合しながら瓶に加える。密閉した瓶を撹拌しながら102℃に18±2時間の間加熱する。最大24個のこのような試験(瓶を用いて)を同時に行う。18時間後、瓶を開き、溶液を濾過する(0.45μmのフィルター)。液中にはゆるいアルミノ珪酸塩とし
てかなりの量のアルミノ珪酸塩のスケールが生じていることが観測された(これは最初はポリエチレンの表面に生じたものと思われる)。下記実施例においては、この試験で生じたスケールの重量を、同じ組の一部をなす二つの対照のブランク試験(添加物を使用せず)で生じたスケールの平均重量に対する百分率として表す。
【0090】
上記に概説した試験法を用い、ブチルアミンと反応した、種々の量のシランを含む一連のSMA型の重合体に関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表3に示す。
【0091】
【表3】

【実施例20】
【0092】
実施例19に概説した試験法を用い、タローアミンおよびジエチルアミンと反応させた、種々の量のシランを含む一連のSMA型の重合体に関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表4に示す。
【0093】
【表4】

【実施例21】
【0094】
実施例19に概説した試験法を用い、単量体のTESPAを含むシランを用いてつくられた一連の重合体に関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表5に示す。
【0095】
【表5】

【実施例22】
【0096】
実施例19に概説した試験法を用い、種々の量のシランを含む一連のポリエステル型の重合体に関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表6に示す。
【0097】
【表6】

【実施例23】
【0098】
実施例19に概説した試験法を用い、種々の量のシランを含む一連のポリエチレンイミン型の重合体に関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表7に示す。
【0099】
【表7】

【実施例24】
【0100】
実施例19に概説した試験法を用い、シランを含むヒドロキシエチルセルロースに関してアルミノ珪酸塩のスケールの生成を阻止する能力を検査し、その結果を表8に示す。
【0101】
【表8】

【0102】
クラフト紙パルプ製造工程のスケールの生成阻止の試験
【実施例25】
【0103】
典型的なクラフト紙パルプ製造工程の黒色液で見出される条件のシミュレーションを行うために、典型的な黒色液に似せた合成工程液を下記の方法でつくる。
【0104】
アルミン酸塩およびNaOH溶液を水に加えて一晩撹拌することにより、下記の処方による塩基性のアルミン酸塩の溶液をつくる。次にこの溶液を3μmの濾過膜(Pall Versapor−3000 T w/wa、47mm)で濾過する。
【0105】
NaO.Al.3HO 100.0g
50% NaOH 146.6g
脱イオン水 753.4g
−−−−−−−−−
合計 1000.0g
【0106】
この塩基性アルミン酸塩溶液を、下記の処方および方法に従いシミュレーションされた黒色液の溶液をつくるのに使用する。所望のナトリウム・イオン濃度を得るために酢酸ナトリウムを加える。特記しない限り量はg単位であり、%はw/wである。
【0107】
炭酸ナトリウム 121.9
硫酸ナトリウム 32.7
チオ硫酸ナトリウム 36.4
水硫化ナトリウム、60% 70.9
酢酸ナトリウム 445.3
50% 水酸化ナトリウム 290.7
29.55% SiO 14.0
塩基性アルミン酸塩溶液 25.1
脱イオン水 1746
−−−−−−−−−
合計 2783g=2.30リットル
計算された濃度
[CO2−]=0.5M
[SO2−]=0.1M
[S2−]=0.1M
[SH]=0.33M
[Na]=5.7M
[OH]=1.6M
[Si]=0.03M
[Al]=0.01M
【0108】
この溶液は、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水硫化ナトリウム、および酢酸ナトリウムを迅速に撹拌しながら水に加えることにより製造される。30分撹拌した後、粗いガラスのフリットを通して溶液を濾過し、少量の不溶性物質を除去する。それぞれを添加した後に撹拌を行いながら、水酸化ナトリウム溶液、シリカ溶液、最後に塩基性アルミン酸塩溶液を加える。この溶液は下記のようにして直ちに使用される。
【0109】
実施例26〜33の各々に対しては、重合体iii(実施例3)、v(実施例5)、vii(実施例8)、viii(実施例9)、x(実施例11)、xi(実施例12)、xvi(実施例17)およびxvii(実施例18)の各重合体は、使用する前に予め2%NaOH中1%(w/w)の濃度に希釈する。
【0110】
1.45gの量の重合体溶液(或いは対照試験に対しては1.45gの水)を、標識をつけた4オンスのHDPE広口瓶に加える。次いで145g(120ml)のシミュレーションされたクラフト紙黒色液の溶液を各々の瓶に加えた後、栓をして振盪する。この時、各瓶は「試験溶液」を含んでいる。重合体の投与量は100ppmである。
【0111】
次いで圧力を抜くことができるように瓶の栓をゆるめ、瓶をオーブンの102℃の床に置き、クラフト紙工程液を加熱するシミュレーションを行う。1.5時間後、栓を締め、瓶をオーブンの内部にある回転加熱板の上に置く。オーブンの中の回転加熱板を一晩(16.5時間)回転させた後、予め秤量した3μmの濾過膜(Pall Versapor−3000 T w/wa、47mm)を用いて各試料を濾過する。それぞれの膜および捕集された固体分を約5mlの水で洗滌し、直径2.5インチの時計皿に載せる。時計皿および膜の全部を含む鋼製の皿を102℃のオーブンに30分間入れ、濾過した固体分を乾燥する。膜および固体分全体をそれぞれ秤量し、差から固体分の重量を計算する。次い
で下記の方法でスケールの生成阻止率(%)を計算する。
【0112】
【数1】

【0113】
実施例26〜33の重合体を100ppm存在させて試験した結果を表9に示す。
【0114】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラフト紙製造工程流および高レベル核廃棄物処理流から選択されるアルカリ性の工程流の中でアルミノ珪酸塩のスケールを減少させる方法であって、工程流に組成物を加える段階を含み、組成物が
式I
【化1】

但し式中R”=H、C1−C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである、
を含む基を、側鎖としてまたは末端基として、少なくとも0.5モル%有する重合体を含んで成る、
方法。
【請求項2】
組成物が

【化2】

但し式中、w=1〜99.9%,x=0.1〜50%,y=0〜50%,z=0〜50%であり;Q=C1〜C10アルキル、アリール、アミド、アクリレート、エーテル、COORであり、R=H、Na、K、NH、C1〜C10アルキルまたはアリールであり;X=O、NH、NPであってP=C1〜C3アルキルまたはアリールであり;R’=C1〜C10アルキルまたはアリールであり;V”=H,C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHであるか、或いは無水物の環をつくり;R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHであり;D=NR1またはOR1であってここでR1=H、C1〜C20アルキル、Cl〜C20アルケニルまたはアリールであるが、但しR、R”、V”およびR1基はすべてが同じである必要はない、
の重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
組成物が

【化3】

但し式中、w=1〜99.9%,x=0.1〜50%,y=0〜50%,z=0〜50%であり;Qはフェニルである、
の重合体、および式
【化4】

但し式中、w=1〜99.9%,x=0.1〜50%,y1+y2=0〜50%,y1およびy2=0〜50%,z=0〜50%であり;Qはフェニルである、
の重合体から選ばれる重合体を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
組成物が
式I
【化5】

但し式中R”=Na、KまたはNHである、
を含む基を、側鎖としてまたは末端基として有するポリサッカリドである重合体を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
ポリサッカリドはヒドロキシエチルセルロース誘導体であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
ポリサッカリドはヒドロキシエチルセルロース誘導体であり、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランと反応していることを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
組成物が
式V
【化6】

但し式中
P=H、C1〜C3アルキル、−COR”、−CONHR
R=C1〜C10アルキル、アリール、
R’=H、C1〜C3アルキル、またはアリール、
X=O、NH、またはNR、
R”=H、C1〜C3アルキル、アリール、Na、KまたはNHである、
の不飽和単量体から誘導される単独重合体または共重合体である重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項8】
組成物が、式Vの単量体、ならびにビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびそれらの塩またはエステル、およびマレイン酸イミドから成る群から選ばれる1種またはそれ以上の重合可能な単量体から誘導される重合体を含んで成ることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
組成物が、
式VI
【化7】

但し式中
P=H、C1〜C3アルキル、−COR”、−CONHR
R=C1〜C10アルキル、アリール、
R’=H、C1〜C3アルキル、またはアリール、
X=O、NH、またはNR、
R”=Na、KまたはNHである、
の単量体から誘導される単独重合体または共重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項10】
組成物が、式VIの単量体、ならびにビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド、N−置換アクリルアミド、(メタ)アクリル酸およびそれらの塩またはエステル、およびマレイン酸イミドから成る群から選ばれる1種またはそれ以上の重合可能な単量体から誘導される重合体を含んで成ることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
重合体は式Vの1種またはそれ以上の共重合可能な単量体、ならびにビニルピロリドン、N−オクチルアクリルアミド、アクリル酸およびそれらの塩から成る群から選ばれる1種またはそれ以上の共重合可能な単量体の共重合体であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項12】
重合体は式VIの1種またはそれ以上の共重合可能な単量体、ならびにビニルピロリドン、N−オクチルアクリルアミド、アクリル酸およびそれらの塩から成る群から選ばれる1種またはそれ以上の共重合可能な単量体の共重合体であることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項13】
組成物が、
式XI
【化8】

但し式中、x=5〜100%、yおよびz=0〜100%であり、Aおよび/またはB単位の少なくとも一つは基−−Si(OR”)を含み、ここでR”=Na、KまたはNHである、
の重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項14】
x=100%、yおよびz=0%である重合体が使用されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】
x=5〜50%、y=5〜95%、およびz=0〜50%である重合体が使用されることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
組成物が、ポリ(エチレングリコール)−ブロック−(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレン)と3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物である重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項17】
組成物が、ポリエチレンイミンと3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランとの反応生成物である重合体を含んで成ることを特徴とする、請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2013−39562(P2013−39562A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−182293(P2012−182293)
【出願日】平成24年8月21日(2012.8.21)
【分割の表示】特願2007−555133(P2007−555133)の分割
【原出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(594060532)サイテク・テクノロジー・コーポレーシヨン (36)
【Fターム(参考)】