左心室縮小のための乳頭筋装着具
テザー状または環をなすバンド状のリンクを外科的に植え込む。これにより乳頭筋同士を連結し、乳頭筋間の間隙を縮小させ、左心室の拡張を縮小させる。植え込まれたリンクは、左心室心筋の疾患を軽減することにより、心臓の機能を向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左心室縮小のための乳頭筋装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性および非虚血性拡張型心筋症は心臓を拡張させ、機能不全にさせる。病態安定の人もいるし、病態のほとんど悪化しない人もいる。他の人々は病態が進行する。その結果、心筋が弱く、薄く、または力を失い、身体中に効率良く血液を圧送することができなくなる。典型的には、これにより肺に体液が堆積されてうっ血し、息切れ感を生じる。これはうっ血性(左)心不全と称される。しばしば右心不全もまたあり、身体、通常は脚部および足関節、ならびに肝臓および腹部の組織および器官に体液の堆積を生じる。左心室拡張はまた副次的に僧帽弁閉鎖不全を引き起こし得、さらに心臓機能を悪化させる。
【0003】
拡張性心筋症の典型的な病理には、心室拡張および収縮不良があり、患者のうちの75〜95%において、心疾患は不整脈死(突然死)または血栓症と、疾病途上における塞栓症との合併症を伴う。拡張性心筋症は罹病から5年以内の死亡率が約50%の難治性疾病である。拡張性心筋症は、欧州および米国の心臓移植患者の主要部分を占める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はテザー状または環をなすバンド状であることができるリンクを外科的に植え込むことを提唱する。リンクは左心室の乳頭筋同士を連結して拡張を低減させ、それにより左心室心筋の疾患を低減させ、僧帽弁不全症を軽減することにより、心臓機能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、経皮的に送達される経脈管装置を提案することにより、外科医が2つの乳頭筋を係合して所望の心室横断距離に引き寄せることを可能とする。経脈管装置を大腿静脈を介して刺入することができ、中隔、左心室を経て左心室に送達し、僧帽弁を横断して乳頭筋に到達させる。これに替えて、該装置を大腿動脈に刺入し、その後逆行路を経て、大動脈弁を経て乳頭筋に到達させることができる。該装置はテザーを、一方の乳頭筋の基部に、その後他方の乳頭筋に装着することができ、左心室腔の両壁面を引き合う。経脈管進入法の代替案としては、外科的に切開して乳頭筋にテザーを装着することが可能である。
【0006】
本発明は拡張性心筋症を処置する方法に具体化され得るものであり、同方法は、拡張性心筋症を罹病する患者の心臓の心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、前記少なくとも1つのテザー構造体の長さを縮小させ、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せ、心臓の心室横断寸法を減少させる工程とからなる。
【0007】
本発明はまた、拡張性心筋症を罹病する患者の心室横断サイズおよび外形を減少させる方法に具体化され得るものであり、同方法は、患者の心臓の左心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、前記少なくとも1つのテザー構造体の、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せることにより前記乳頭筋同士の距離を減少させ、患者の心臓の心室横断サイズと外形を減少させる工程とからなり、それにより拡張性心筋症の影響を緩和する。前記乳頭筋同士の距離を減少させる工程はまた、テザー状装具を適切に調整することにより僧帽弁閉鎖不全を軽減するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記のように、拡張性心筋症は心臓が肥大して弱くなり、身体中に血液を効率良く圧送することができず,肺および/または組織に体液が堆積するようになる症状である。図1は正常な心臓10の四腔を図示し、図3は拡張性心筋症を発症した患者の肥大し、心臓壁が薄くなった心臓110を図示する。
【0009】
図2に示すように、擬腱索が形成された先天性心臓形成異常、より具体的には、心室腔14の2つの乳頭筋16,18間に延びる左心室異常腱索12を有する人がいる。この先天性形成異常は、正常な心臓10´としての機能への明瞭な影響はない。しかし発明者は、先天性擬腱索を有し、かつ拡張性心筋症を罹病した患者は、より好ましい心室形状を維持、すなわち心室拡張が少なく、したがって、先天性擬腱索を有していない拡張性心筋症を罹病した患者よりも、臨床経過が良好であることを見出した。
【0010】
この観察結果に基づき、本発明は、図4に概略を図示するように先天性擬腱索構造体12を模した、2つの乳頭筋用の人工的な擬腱索112を備えた外科的または経皮的処置用装着具であり、これにより左心室120の拡張を低減し、ひいては心機能を向上させ、拡張性心筋症を罹病した患者の臨床結果を向上させることを提案する。
【0011】
左心室への到達方法は、経皮的方法により患者の脈管構造を介して行うことが好ましい。したがって、その脈管構造には心臓から離間した皮膚を介して到達する。例えば当業者には周知のセルディンガー法を用いて刺入するなどの、外科的な切開操作すなわち最小限の侵襲操作を用いて進入する。選択した脈管進入法によっては、左心室への進入方法は順行型であり得るので、心房中隔を横断し,僧帽弁を通過して左心室に進入することが必要である。これに替えて、進入方法は逆行型であり得、大動脈弁を介して左心室に進入する。さらなる代替案としては外科的な切開法を用いることができる。
【0012】
僧帽弁122を介する左心室120への典型的な順行型進入法を図5〜9に示す。この実施態様において、左心室へ到達するには、大腿静脈を介して適切な長尺状の経血管装置を刺入し、下大静脈124、右心房126を経由し、心房中隔128を横断し、左心房130に到達する。したがって図5に示すように、針状メス134を備えたカテーテル132を下大静脈124から右心房126に前進させることができる。カテーテル132が心房中隔128の手前側の側面に到達したときに、針状メス134を前進させて中隔すなわち卵円窩または卵円孔を貫通させ、左心房130に貫通させる。ここでは、カテーテルを中隔を介して前進させ、ガイドワイヤ(図示せず)を針状メスに交換し、カテーテルを引き抜く。図6に示すように、心房中隔128を介する到達方法は、通常は、上記したような当初のガイドワイヤ上にガイドカテーテル136を配置することにより維持される。ガイドカテーテルは、以降に詳述する、乳頭筋を係合し結索するために用いられる器具をその後に到達させることを可能にする。
【0013】
上記のような順行型進入法に替えて、典型的な逆行型進入法が用いられ得る。この場合には、左心室120には大動脈弓138から進入し、大動脈弁(図示せず)を横断し、左心室に進入する。大動脈弓には通常の大腿動脈到達路でも、上腕動脈腋窩動脈、橈骨動脈、または頸動脈経由の直接的な進入法により到達できる。この到達方法は、以下に詳述する器具の導入を可能にするような、以後の到達方法を提供する、ガイドワイヤ上のガイドカテーテルを用いて達成される。
【0014】
順行型進入法の利点は、大動脈弁を横断することに伴うあらゆる危険性を除去することである。さらに、順行型進入法は動脈に損傷を与える危険性を伴わずに、大径カテーテルを使用することができることである。一方、動脈を逆行する進入法は中隔横断穴の必要性
を除去するとともに、心臓外科医がより頻繁に用いる方法であり、僧帽弁を横断する必要がなく乳頭筋に直接到達する方法を提供する。
【0015】
充分に理解されるであろうが、効果的な処置のために乳頭筋116,118に接近するには,処置操作の間、カテーテルすなわちツールなどが適切に方向付けされていることが必要である。このような方向付けは、カテーテルすなわちツールを好ましい位置に進めることにより達成され得る。このため、ガイドカテーテル136は、順行型進入法を用いるときには僧帽弁に対して好ましい方向付け、または逆行型進入法を用いるときに乳頭筋に対して好ましい方向付けを有するように予め成形されていてもよい。例えば、ガイドカテーテルは、器具を左心室に導くのに適するL字型チップを有していると、ツールすなわちカテーテルが僧帽弁の軸線と整合することができる。同様に、ガイドカテーテルは大動脈弓の上方に、大動脈弁を介して配置された後、乳頭筋を指向するように構成されていてもよい。これに替えて、ガイドカテーテルまたは処置用の器具を、ワイヤの数にもよるが、先端を複数方向のうちの1つに選択的に撓ませることができる牽引/押圧ワイヤを備えることによったり、周知の技術によったりして能動的に操縦することができる。
【0016】
本発明の一実施態様において、一部または全部を穿通したり、穿刺したりすることにより、乳頭筋116,118を把持する。これは多様な把持機構により達成することができる。好ましくは、把持対象構造を把持するような、器具すなわちカテーテルツールから延びる1つ以上の穿通爪である。さらに詳細には図6の実施態様に示すように、処置ツール142をガイドカテーテル136を介して供給し、左心室の乳頭筋の1つに、第1のリンクまたはテザー構造体144を固定する。配備カテーテルすなわち器具をガイドカテーテル136の先端から前進させるとともに、配備カテーテルすなわち器具は、任意の従来技術による画像技術を用いてリアルタイムに観察することができる。図示した実施態様において、ガイドカテーテル136を介して縫合またはクリップ付与具142を通過させる。該付与具は、乳頭筋の目標部分に対して対向する位置を指向するように操縦可能なチップを有していることが有利である。本実施態様における装置の先端または先端に隣接して、クランプまたはクリップ146を配置し,それぞれの乳頭筋への装着を確実にする。クリップまたはクランプは、配備カテーテルから前進させ、それぞれの乳頭筋に係合させる。
【0017】
図6Aには、テザー構造体から突出し、まさに乳頭筋に付与されようとする、クリップ146を備えるクリップ付与具142の先端を図示する。クリップは第1および第2のアーム148を備え、それらの端部は組織穿通チップまたは組織把持チップ150であり、テザーまたは縫糸152がクリップ146の基端に固定されている。クリップを筋肉に固定するため、クリップアームの先端は、組織に係合するように緊縮されている。クリップ付与具142を操縦し、他方のクリップアームの先端が第1のアームから離間した組織に係合するようにする。その後、クリップ付与具はクリップ146を閉鎖させ、組織を把持させ、図7に示すように、テザー構造体を筋肉に固定する。クリップを閉鎖させるには、任意の適切な機構が適用できる。例えば、薄いシースを前進させ、乳頭筋にクリップを接近させ、固定することができる。必要または好ましいと考えるならば、テザーを備える付加的な1つ以上のクリップを付与することができる。可撓性を有するテザーまたは縫糸152は、図7に示すように、クリップ構造体から基端方向に延びており、以下に説明するように、乳頭筋同士を引き合うように操作される。図示した実施態様において、テザーまたは縫糸152は配備に先立ってクリップに装着される。しかし、まずクリップが付与され、その後にテザーを付与してクリップに装着することもできる。
【0018】
乳頭筋のうちの第1のものに対してクリップが固定されると、付与具は引き出されて可撓性ストランドが暴露されており、さらに図7に示すように、別のクリップを有する同一または別の付与具が、ガイドカテーテルを介して既に留置した可撓性ストランドに隣接して操作される。これに替えて、付与具がそれぞれ可撓性ストランドを備える少なくとも第
1のクリップと第2のクリップとを有し、それにより付与具を引き出したり再度挿入したりすることなく、それぞれの乳頭筋を係合することができる。付与具を連続的に供給することによりクリップを連続的に装着するか、付与具を連続的に操作するかにかかわらず、それぞれ可撓性ストランドを備えるそれぞれのクリップにより各乳頭筋を係合した後、付与具をガイドカテーテルを介して引き出す。
【0019】
代替の実施態様において、非吸収性縫糸ループを直接乳頭筋に付与することができる。例えば、パークローズA−T(商標)脈管構造閉鎖装置の一種は、縫糸ループ付与に用いられる縫糸切断具を備えたスティッチノット移送装置である。腹腔鏡装置もまた周知であり、例えばクイックスティッチ(商標)内視鏡縫合システムのように,テザーを乳頭筋に経皮的に固定することに適する。
【0020】
図8に示すように、ガイドカテーテル136は、それぞれ固定されたクリップ146から延びる可撓性ストランド152の位置に止まっている。逆行型進入法が用いられれば、ストランドは大動脈弁を介して配置されたガイドカテーテルを介して延びるが、乳頭筋は同様な方法でテザーを付与されていることは、充分に理解されよう。
【0021】
図9を参照すると、次いでそれぞれの可撓性テザー152をともに引くことにより、テザーを付与された乳頭筋116,118を引き寄せる。図示した実施態様において、器具154を可撓性テザー上を前進させ、同器具を介してテザーを引き、クリップ146を互いの方向に引き寄せる。その後、テザーを互いに結束したり固定したりし、乳頭筋間の所望の間隙を形成する。例えば、2つのテザーは接合部を形成する結び目を有してもよいし、使用中のガイドカテーテルを介して互いにクリップをかけてもよい。
【0022】
乳頭筋116,118にテザーを付与する工程および互いに引き合う工程は、X線透視法または心内超音波誘導法にてモニターしつつ実施することができ、それにより乳頭筋116,118を所望の心室横断距離まで引き寄せることができる。心内エコードップラー法もまた、困難な僧帽弁閉鎖不全症に対するのに用いることができ、閉塞不全症を抑制する最適な心室横断距離の長さまでテザーの長さを調整することができる。このようにして乳頭筋を配置することにより左心室腔のサイズを縮小させ、心室壁のさらなる拡大を制限し、それにより先天性擬腱索の効果を模して心室形状を改善し、拡張性心筋症の影響を軽減する。
【0023】
図10には、余剰長を除去された可撓性テザー152を示す。任意の適切な器具を用いて余剰長を有するテザーを把持し、切断することができる。その装置は、例えば米国特許出願公開第2004/0097865号明細書に開示されたものと類似の縫糸トリマーである。
【0024】
本発明には、現時点において最も実用的かつ好適な実施態様と考えられるものを記載してきたが、本発明は本明細書に記載された実施態様に限定されるものではなく、付属する請求の範囲に記載した精神と範囲に含まれる種々の改変例および等価物をも意図するものであることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】正常な心臓四腔の概略図。
【図2】先天性擬腱索を有する心臓の概略図。
【図3】拡張性心筋症を発症した心臓四腔の概略図。
【図4】リンクまたはバンドが乳頭筋を連結し、左心室腔のサイズを縮小させている、図3に示す拡張性心筋症を発症した心臓四腔の概略図。
【図5】左心房への順行法の一例の概略図。
【図6】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図6A】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図7】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図8】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図9】図8のテザーまたはリンクを装着した部分を引き合うことにより乳頭筋を互いに引き合い、左心室腔を縮小させる工程を示す概略図。
【図10】本発明の一例としての実施態様による、テザーまたはリンクを装着された乳頭筋の概略図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、左心室縮小のための乳頭筋装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
虚血性および非虚血性拡張型心筋症は心臓を拡張させ、機能不全にさせる。病態安定の人もいるし、病態のほとんど悪化しない人もいる。他の人々は病態が進行する。その結果、心筋が弱く、薄く、または力を失い、身体中に効率良く血液を圧送することができなくなる。典型的には、これにより肺に体液が堆積されてうっ血し、息切れ感を生じる。これはうっ血性(左)心不全と称される。しばしば右心不全もまたあり、身体、通常は脚部および足関節、ならびに肝臓および腹部の組織および器官に体液の堆積を生じる。左心室拡張はまた副次的に僧帽弁閉鎖不全を引き起こし得、さらに心臓機能を悪化させる。
【0003】
拡張性心筋症の典型的な病理には、心室拡張および収縮不良があり、患者のうちの75〜95%において、心疾患は不整脈死(突然死)または血栓症と、疾病途上における塞栓症との合併症を伴う。拡張性心筋症は罹病から5年以内の死亡率が約50%の難治性疾病である。拡張性心筋症は、欧州および米国の心臓移植患者の主要部分を占める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はテザー状または環をなすバンド状であることができるリンクを外科的に植え込むことを提唱する。リンクは左心室の乳頭筋同士を連結して拡張を低減させ、それにより左心室心筋の疾患を低減させ、僧帽弁不全症を軽減することにより、心臓機能を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、経皮的に送達される経脈管装置を提案することにより、外科医が2つの乳頭筋を係合して所望の心室横断距離に引き寄せることを可能とする。経脈管装置を大腿静脈を介して刺入することができ、中隔、左心室を経て左心室に送達し、僧帽弁を横断して乳頭筋に到達させる。これに替えて、該装置を大腿動脈に刺入し、その後逆行路を経て、大動脈弁を経て乳頭筋に到達させることができる。該装置はテザーを、一方の乳頭筋の基部に、その後他方の乳頭筋に装着することができ、左心室腔の両壁面を引き合う。経脈管進入法の代替案としては、外科的に切開して乳頭筋にテザーを装着することが可能である。
【0006】
本発明は拡張性心筋症を処置する方法に具体化され得るものであり、同方法は、拡張性心筋症を罹病する患者の心臓の心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、前記少なくとも1つのテザー構造体の長さを縮小させ、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せ、心臓の心室横断寸法を減少させる工程とからなる。
【0007】
本発明はまた、拡張性心筋症を罹病する患者の心室横断サイズおよび外形を減少させる方法に具体化され得るものであり、同方法は、患者の心臓の左心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、前記少なくとも1つのテザー構造体の、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せることにより前記乳頭筋同士の距離を減少させ、患者の心臓の心室横断サイズと外形を減少させる工程とからなり、それにより拡張性心筋症の影響を緩和する。前記乳頭筋同士の距離を減少させる工程はまた、テザー状装具を適切に調整することにより僧帽弁閉鎖不全を軽減するであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記のように、拡張性心筋症は心臓が肥大して弱くなり、身体中に血液を効率良く圧送することができず,肺および/または組織に体液が堆積するようになる症状である。図1は正常な心臓10の四腔を図示し、図3は拡張性心筋症を発症した患者の肥大し、心臓壁が薄くなった心臓110を図示する。
【0009】
図2に示すように、擬腱索が形成された先天性心臓形成異常、より具体的には、心室腔14の2つの乳頭筋16,18間に延びる左心室異常腱索12を有する人がいる。この先天性形成異常は、正常な心臓10´としての機能への明瞭な影響はない。しかし発明者は、先天性擬腱索を有し、かつ拡張性心筋症を罹病した患者は、より好ましい心室形状を維持、すなわち心室拡張が少なく、したがって、先天性擬腱索を有していない拡張性心筋症を罹病した患者よりも、臨床経過が良好であることを見出した。
【0010】
この観察結果に基づき、本発明は、図4に概略を図示するように先天性擬腱索構造体12を模した、2つの乳頭筋用の人工的な擬腱索112を備えた外科的または経皮的処置用装着具であり、これにより左心室120の拡張を低減し、ひいては心機能を向上させ、拡張性心筋症を罹病した患者の臨床結果を向上させることを提案する。
【0011】
左心室への到達方法は、経皮的方法により患者の脈管構造を介して行うことが好ましい。したがって、その脈管構造には心臓から離間した皮膚を介して到達する。例えば当業者には周知のセルディンガー法を用いて刺入するなどの、外科的な切開操作すなわち最小限の侵襲操作を用いて進入する。選択した脈管進入法によっては、左心室への進入方法は順行型であり得るので、心房中隔を横断し,僧帽弁を通過して左心室に進入することが必要である。これに替えて、進入方法は逆行型であり得、大動脈弁を介して左心室に進入する。さらなる代替案としては外科的な切開法を用いることができる。
【0012】
僧帽弁122を介する左心室120への典型的な順行型進入法を図5〜9に示す。この実施態様において、左心室へ到達するには、大腿静脈を介して適切な長尺状の経血管装置を刺入し、下大静脈124、右心房126を経由し、心房中隔128を横断し、左心房130に到達する。したがって図5に示すように、針状メス134を備えたカテーテル132を下大静脈124から右心房126に前進させることができる。カテーテル132が心房中隔128の手前側の側面に到達したときに、針状メス134を前進させて中隔すなわち卵円窩または卵円孔を貫通させ、左心房130に貫通させる。ここでは、カテーテルを中隔を介して前進させ、ガイドワイヤ(図示せず)を針状メスに交換し、カテーテルを引き抜く。図6に示すように、心房中隔128を介する到達方法は、通常は、上記したような当初のガイドワイヤ上にガイドカテーテル136を配置することにより維持される。ガイドカテーテルは、以降に詳述する、乳頭筋を係合し結索するために用いられる器具をその後に到達させることを可能にする。
【0013】
上記のような順行型進入法に替えて、典型的な逆行型進入法が用いられ得る。この場合には、左心室120には大動脈弓138から進入し、大動脈弁(図示せず)を横断し、左心室に進入する。大動脈弓には通常の大腿動脈到達路でも、上腕動脈腋窩動脈、橈骨動脈、または頸動脈経由の直接的な進入法により到達できる。この到達方法は、以下に詳述する器具の導入を可能にするような、以後の到達方法を提供する、ガイドワイヤ上のガイドカテーテルを用いて達成される。
【0014】
順行型進入法の利点は、大動脈弁を横断することに伴うあらゆる危険性を除去することである。さらに、順行型進入法は動脈に損傷を与える危険性を伴わずに、大径カテーテルを使用することができることである。一方、動脈を逆行する進入法は中隔横断穴の必要性
を除去するとともに、心臓外科医がより頻繁に用いる方法であり、僧帽弁を横断する必要がなく乳頭筋に直接到達する方法を提供する。
【0015】
充分に理解されるであろうが、効果的な処置のために乳頭筋116,118に接近するには,処置操作の間、カテーテルすなわちツールなどが適切に方向付けされていることが必要である。このような方向付けは、カテーテルすなわちツールを好ましい位置に進めることにより達成され得る。このため、ガイドカテーテル136は、順行型進入法を用いるときには僧帽弁に対して好ましい方向付け、または逆行型進入法を用いるときに乳頭筋に対して好ましい方向付けを有するように予め成形されていてもよい。例えば、ガイドカテーテルは、器具を左心室に導くのに適するL字型チップを有していると、ツールすなわちカテーテルが僧帽弁の軸線と整合することができる。同様に、ガイドカテーテルは大動脈弓の上方に、大動脈弁を介して配置された後、乳頭筋を指向するように構成されていてもよい。これに替えて、ガイドカテーテルまたは処置用の器具を、ワイヤの数にもよるが、先端を複数方向のうちの1つに選択的に撓ませることができる牽引/押圧ワイヤを備えることによったり、周知の技術によったりして能動的に操縦することができる。
【0016】
本発明の一実施態様において、一部または全部を穿通したり、穿刺したりすることにより、乳頭筋116,118を把持する。これは多様な把持機構により達成することができる。好ましくは、把持対象構造を把持するような、器具すなわちカテーテルツールから延びる1つ以上の穿通爪である。さらに詳細には図6の実施態様に示すように、処置ツール142をガイドカテーテル136を介して供給し、左心室の乳頭筋の1つに、第1のリンクまたはテザー構造体144を固定する。配備カテーテルすなわち器具をガイドカテーテル136の先端から前進させるとともに、配備カテーテルすなわち器具は、任意の従来技術による画像技術を用いてリアルタイムに観察することができる。図示した実施態様において、ガイドカテーテル136を介して縫合またはクリップ付与具142を通過させる。該付与具は、乳頭筋の目標部分に対して対向する位置を指向するように操縦可能なチップを有していることが有利である。本実施態様における装置の先端または先端に隣接して、クランプまたはクリップ146を配置し,それぞれの乳頭筋への装着を確実にする。クリップまたはクランプは、配備カテーテルから前進させ、それぞれの乳頭筋に係合させる。
【0017】
図6Aには、テザー構造体から突出し、まさに乳頭筋に付与されようとする、クリップ146を備えるクリップ付与具142の先端を図示する。クリップは第1および第2のアーム148を備え、それらの端部は組織穿通チップまたは組織把持チップ150であり、テザーまたは縫糸152がクリップ146の基端に固定されている。クリップを筋肉に固定するため、クリップアームの先端は、組織に係合するように緊縮されている。クリップ付与具142を操縦し、他方のクリップアームの先端が第1のアームから離間した組織に係合するようにする。その後、クリップ付与具はクリップ146を閉鎖させ、組織を把持させ、図7に示すように、テザー構造体を筋肉に固定する。クリップを閉鎖させるには、任意の適切な機構が適用できる。例えば、薄いシースを前進させ、乳頭筋にクリップを接近させ、固定することができる。必要または好ましいと考えるならば、テザーを備える付加的な1つ以上のクリップを付与することができる。可撓性を有するテザーまたは縫糸152は、図7に示すように、クリップ構造体から基端方向に延びており、以下に説明するように、乳頭筋同士を引き合うように操作される。図示した実施態様において、テザーまたは縫糸152は配備に先立ってクリップに装着される。しかし、まずクリップが付与され、その後にテザーを付与してクリップに装着することもできる。
【0018】
乳頭筋のうちの第1のものに対してクリップが固定されると、付与具は引き出されて可撓性ストランドが暴露されており、さらに図7に示すように、別のクリップを有する同一または別の付与具が、ガイドカテーテルを介して既に留置した可撓性ストランドに隣接して操作される。これに替えて、付与具がそれぞれ可撓性ストランドを備える少なくとも第
1のクリップと第2のクリップとを有し、それにより付与具を引き出したり再度挿入したりすることなく、それぞれの乳頭筋を係合することができる。付与具を連続的に供給することによりクリップを連続的に装着するか、付与具を連続的に操作するかにかかわらず、それぞれ可撓性ストランドを備えるそれぞれのクリップにより各乳頭筋を係合した後、付与具をガイドカテーテルを介して引き出す。
【0019】
代替の実施態様において、非吸収性縫糸ループを直接乳頭筋に付与することができる。例えば、パークローズA−T(商標)脈管構造閉鎖装置の一種は、縫糸ループ付与に用いられる縫糸切断具を備えたスティッチノット移送装置である。腹腔鏡装置もまた周知であり、例えばクイックスティッチ(商標)内視鏡縫合システムのように,テザーを乳頭筋に経皮的に固定することに適する。
【0020】
図8に示すように、ガイドカテーテル136は、それぞれ固定されたクリップ146から延びる可撓性ストランド152の位置に止まっている。逆行型進入法が用いられれば、ストランドは大動脈弁を介して配置されたガイドカテーテルを介して延びるが、乳頭筋は同様な方法でテザーを付与されていることは、充分に理解されよう。
【0021】
図9を参照すると、次いでそれぞれの可撓性テザー152をともに引くことにより、テザーを付与された乳頭筋116,118を引き寄せる。図示した実施態様において、器具154を可撓性テザー上を前進させ、同器具を介してテザーを引き、クリップ146を互いの方向に引き寄せる。その後、テザーを互いに結束したり固定したりし、乳頭筋間の所望の間隙を形成する。例えば、2つのテザーは接合部を形成する結び目を有してもよいし、使用中のガイドカテーテルを介して互いにクリップをかけてもよい。
【0022】
乳頭筋116,118にテザーを付与する工程および互いに引き合う工程は、X線透視法または心内超音波誘導法にてモニターしつつ実施することができ、それにより乳頭筋116,118を所望の心室横断距離まで引き寄せることができる。心内エコードップラー法もまた、困難な僧帽弁閉鎖不全症に対するのに用いることができ、閉塞不全症を抑制する最適な心室横断距離の長さまでテザーの長さを調整することができる。このようにして乳頭筋を配置することにより左心室腔のサイズを縮小させ、心室壁のさらなる拡大を制限し、それにより先天性擬腱索の効果を模して心室形状を改善し、拡張性心筋症の影響を軽減する。
【0023】
図10には、余剰長を除去された可撓性テザー152を示す。任意の適切な器具を用いて余剰長を有するテザーを把持し、切断することができる。その装置は、例えば米国特許出願公開第2004/0097865号明細書に開示されたものと類似の縫糸トリマーである。
【0024】
本発明には、現時点において最も実用的かつ好適な実施態様と考えられるものを記載してきたが、本発明は本明細書に記載された実施態様に限定されるものではなく、付属する請求の範囲に記載した精神と範囲に含まれる種々の改変例および等価物をも意図するものであることは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】正常な心臓四腔の概略図。
【図2】先天性擬腱索を有する心臓の概略図。
【図3】拡張性心筋症を発症した心臓四腔の概略図。
【図4】リンクまたはバンドが乳頭筋を連結し、左心室腔のサイズを縮小させている、図3に示す拡張性心筋症を発症した心臓四腔の概略図。
【図5】左心房への順行法の一例の概略図。
【図6】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図6A】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図7】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図8】本発明の一例としての実施態様による、左心室の完全に対向する乳頭筋のそれぞれの一部にテザーまたはリンクを装着する方法の概略図。
【図9】図8のテザーまたはリンクを装着した部分を引き合うことにより乳頭筋を互いに引き合い、左心室腔を縮小させる工程を示す概略図。
【図10】本発明の一例としての実施態様による、テザーまたはリンクを装着された乳頭筋の概略図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張性心筋症を罹病する患者における心室横断サイズの縮小および心室形状の向上のための方法であって、
患者の心臓の左心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、
前記少なくとも1つのテザー構造体により、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せることにより、前記乳頭筋同士の距離を減少させ、患者の心臓の心室横断サイズと外形を減少させる工程とからなり、それにより拡張性心筋症の影響を緩和する方法。
【請求項2】
前記固定する工程に先立って、心臓から離間した患者の脈管構造を評価する工程と、
患者の脈管構造を介してガイドカテーテルを前進させる工程と、これによりガイドカテーテルの先端は、患者の心臓の左心房および左心室のうちの1つに配置されることとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガイドカテーテルを前進させる工程に先立ち、中隔横断の開口を形成する工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中隔横断の開口は、カテーテルを介して配置される針状メスにより形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記テザー構造体は、縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記固定する工程は、各乳頭筋の基部に隣接して少なくとも1つのクリップを固定する工程からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
クリップが各乳頭筋に固定される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記テザー構造体は縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記方法はガイドカテーテルを介して少なくとも1つのクリップを有するクリップ付与装置を前進させる工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記クリップ付与装置がガイドカテーテルを介して前進される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガイドカテーテルの先端を、少なくとも1つの乳頭筋に指向させる工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記固定する工程と減少させる工程との実施中、乳頭筋および近接する心室構造を可視化する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記可視化する工程はX線透視法または心内超音波からなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記乳頭筋同士の距離を減少させる工程は、僧帽弁閉鎖不全症を軽減するように乳頭筋を配置しなおす、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
拡張性心筋症を処置する方法であって、
拡張性心筋症を罹病する患者の心臓の心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、
前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せて、前記少なくとも1つのテザー構造体の長さを縮小させ、患者の心臓の心室横断サイズを減少させる工程とからなる方法。
【請求項14】
前記固定する工程に先立って、心臓から離間した患者の脈管構造を評価する工程と、
患者の脈管構造を介してガイドカテーテルを前進させる工程と、これによりガイドカテーテルの先端は、患者の心臓の左心房および左心室のうちの1つに配置されることとをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガイドカテーテルを前進させる工程に先立ち、中隔横断の開口を形成する工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中隔横断の開口は、カテーテルを介して配置される針状メスにより形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記テザー構造体は、縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記固定する工程は、各乳頭筋の基部に隣接して少なくとも1つのクリップを固定する工程からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
クリップが各乳頭筋に固定される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記テザー構造体は縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記方法はガイドカテーテルを介して少なくとも1つのクリップを有するクリップ付与装置を前進させる工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記クリップ付与装置がガイドカテーテルを介して前進される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ガイドカテーテルの先端を、少なくとも1つの乳頭筋に指向させる工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
拡張性心筋症を罹病する患者における心室横断サイズの縮小および心室形状の向上のための方法であって、
患者の心臓の左心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、
前記少なくとも1つのテザー構造体により、前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せることにより、前記乳頭筋同士の距離を減少させ、患者の心臓の心室横断サイズと外形を減少させる工程とからなり、それにより拡張性心筋症の影響を緩和する方法。
【請求項2】
前記固定する工程に先立って、心臓から離間した患者の脈管構造を評価する工程と、
患者の脈管構造を介してガイドカテーテルを前進させる工程と、これによりガイドカテーテルの先端は、患者の心臓の左心房および左心室のうちの1つに配置されることとをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガイドカテーテルを前進させる工程に先立ち、中隔横断の開口を形成する工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記中隔横断の開口は、カテーテルを介して配置される針状メスにより形成される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記テザー構造体は、縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記固定する工程は、各乳頭筋の基部に隣接して少なくとも1つのクリップを固定する工程からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
クリップが各乳頭筋に固定される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記テザー構造体は縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記方法はガイドカテーテルを介して少なくとも1つのクリップを有するクリップ付与装置を前進させる工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記クリップ付与装置がガイドカテーテルを介して前進される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ガイドカテーテルの先端を、少なくとも1つの乳頭筋に指向させる工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記固定する工程と減少させる工程との実施中、乳頭筋および近接する心室構造を可視化する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記可視化する工程はX線透視法または心内超音波からなる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記乳頭筋同士の距離を減少させる工程は、僧帽弁閉鎖不全症を軽減するように乳頭筋を配置しなおす、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
拡張性心筋症を処置する方法であって、
拡張性心筋症を罹病する患者の心臓の心室内の第1の乳頭筋と第2の乳頭筋の対向する部分同士に少なくとも1つのテザー構造体を固定する工程と、
前記乳頭筋の対向する部分同士を互いの方向に引き寄せて、前記少なくとも1つのテザー構造体の長さを縮小させ、患者の心臓の心室横断サイズを減少させる工程とからなる方法。
【請求項14】
前記固定する工程に先立って、心臓から離間した患者の脈管構造を評価する工程と、
患者の脈管構造を介してガイドカテーテルを前進させる工程と、これによりガイドカテーテルの先端は、患者の心臓の左心房および左心室のうちの1つに配置されることとをさらに備える、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガイドカテーテルを前進させる工程に先立ち、中隔横断の開口を形成する工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記中隔横断の開口は、カテーテルを介して配置される針状メスにより形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記テザー構造体は、縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記固定する工程は、各乳頭筋の基部に隣接して少なくとも1つのクリップを固定する工程からなる、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
クリップが各乳頭筋に固定される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記テザー構造体は縫糸フィラメントが固定されたクリップを備え、前記方法はガイドカテーテルを介して少なくとも1つのクリップを有するクリップ付与装置を前進させる工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記クリップ付与装置がガイドカテーテルを介して前進される前に、前記縫糸フィラメントはクリップに固定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ガイドカテーテルの先端を、少なくとも1つの乳頭筋に指向させる工程をさらに備える、請求項14に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2008−543365(P2008−543365A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515727(P2008−515727)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/019496
【国際公開番号】WO2006/135536
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500132878)ザユニバーシティー オブ マイアミ (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/019496
【国際公開番号】WO2006/135536
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(500132878)ザユニバーシティー オブ マイアミ (5)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]