差動位相シフト変調光受信器
【課題】 小型で低コストな実装が可能な遅延干渉計を提供する。
【解決手段】 第1の光を入力した場合に第2の光と前記第2の光よりも1ビット分遅延した第3の光を出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、1ビット遅延干渉計はハーフミラーと全反射ミラーを有する光学プレートが貼り合わされて構成されている。
【解決手段】 第1の光を入力した場合に第2の光と前記第2の光よりも1ビット分遅延した第3の光を出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、1ビット遅延干渉計はハーフミラーと全反射ミラーを有する光学プレートが貼り合わされて構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いた通信機器間の光伝送や,データ処理装置などの機器間又は機器内において、高速光信号を送受信する差動位相シフト変調光受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年情報通信分野において、光を用いて大容量のデータを高速でやりとりする情報通信トラフィックの整備が急速に行われつつあり、これまで基幹、メトロ、アクセス系といった数km以上の比較的長い距離について光ファイバ網が展開されてきた。今後はさらに、伝送装置間(数m〜数百m)或いは装置内(数cm〜数十cm)といった極めて近距離についても、大容量データを遅延なく処理するため、信号配線を光化することが有効である。
【0003】
機器間/内の光配線化に関して、例えばルータ/スイッチなどの伝送装置では、イーサなど外部から光ファイバを通して伝送された高周波信号をラインカードと呼ばれる回路ボードに入力する。このラインカードは1枚のバックプレーンに対して数枚で構成されており、各ラインカードへの入力信号はさらにバックプレーンを介してスイッチカードと呼ばれる回路ボードに集められ、スイッチカード内のLSIにて処理した後、再度バックプレーンを介して各ラインカードに出力している。ここで、現状の装置では各ラインカードから現状600Gbit/s以上の信号がバックプレーンを介してスイッチカードに集まる。これを現状の電気配線で伝送するには、伝播損失の関係で配線1本あたり1〜6Gbit/s程度に分割する必要があるため、100本以上の配線数が必要となる。
【0004】
さらに、これら高周波線路に対して波形成形回路や、反射、或いは配線間クロストークの対策が必要である。今後、さらにシステムの大容量化が進み、Tbit/s以上の情報を処理する装置になると、従来の電気配線では配線本数やクロストーク対策等の課題がますます深刻となってくる。これに対し、装置内ラインカード〜バックプレーン〜スイッチカードのボード間、さらにはボード内チップ間の信号伝送線路を光化することによって、10Gbps以上の高周波信号を低損失で伝播可能となるため、配線本数が少なくすむことと、高周波信号に対しても上記の対策が必要無くなるため有望である。また、上記ルータ/スイッチの他にも、ビデオカメラなどの映像機器やPC、携帯電話などの民生機器においても、今後画像高精細化にあたりモニタと端末間での映像信号伝送の高速・大容量化が求められるとともに、従来の電気配線では信号遅延、ノイズ対策等の課題が顕著となるため、信号伝送線路の光化が有効である。
【0005】
このような高速光インターコネクション回路を実現し、機器間/内に適用するためには、安価な作製手段で性能面、小型・集積化、および部品実装性に優れる光モジュール、回路が必要となる。そこで、配線媒体に従来の光ファイバより安価で高密度化に有利な光導波路を用い、基板上に光学部品と光導波路を集積した小型、高速の光モジュールが提案されている。
【0006】
このような高速光インターコネクションモジュール向けの光源としては、垂直共振器型表面出射レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser: VCSEL)や、基板面内方向に共振器が構成され、かつ共振器の主出射光が入射する位置にテーパーミラーが配置されているか、又は基板面内方向に共振器の一部のみが構成され、かつ前記基板面上の共振器内にテーパーミラーが配置されている光素子などが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】”Uncooled 25-Gb/s 2-km Transmission of a 1.3-μm Surface Emitting Laser” K. Adachi., et al., 22nd IEEE International Semiconductor Laser Conference, (ISLC2010), TuC5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで述べたような光源は全て直接変調光源である。直接変調光源は、安価で小型である一方、緩和振動周波数により高速動作が制限されるため、将来的にさらなる高速動作(例えば各チャネルあたり40Gbps以上)が要求されるようになったとき、対応するのは容易ではない。例えば40Gbps以上の高速動作を実現する技術としては外部変調方式がある。数10km以上の長距離伝送が求められる通信系では、すでにさまざまな外部変調方式が実用に供せされている。さまざまな外部変調方式の中でも、差動位相シフト変調方式(Differential Phase Shift Keying: DPSK)は、40Gbps以上の高速化が可能、受信器の受信感度が強度変調方式に対して3dB向上するため、高品質な信号伝送が可能、などの優れた特長を有している。また、位相や強度、偏波を様々に組み合わせることにより、多値変調も可能であり、周波数利用効率向上の観点からも、近年盛んに研究開発がなされている。
【0009】
しかしながら、このような位相シフト変調方式の問題点として、受信器が複雑になることが挙げられる。この課題を説明するため、まず差動位相シフト変調方式の原理を簡単に述べる。差動位相シフト方式では、位相変調された信号光を2分岐する。そして、分岐された一方の信号光を他方の信号光より、位相変調速度の1ビット分に相当した時間遅延させるようにする。その後、分岐された二つの光を干渉させる。干渉点において、1ビット相当量を遅延させた信号光の位相と、遅延させなかった信号光の位相とが、同相になる場合と逆相(π異なる)になる場合では、干渉後の光の進行経路が異なる。同相あるいは逆相の場合のそれぞれの進行経路の先にフォトダイオードを配置し、かつこれら二つのフォトダイオードのアノード、カソードを電気的に接続すれば、それぞれのホトダイオードの出力に流れる電流の向きを測定することにより、位相の変化を電気信号に置き換えることができる。なお、光を分岐、干渉させる手段としては、空間光学系ではビームスプリッタやハーフミラー、導波路光学系では多モード干渉計などが一般的である。
【0010】
以上が位相変調方式の簡単な原理であるが、このような、信号光の分岐、1ビット相当の遅延量の付加、干渉を含めた受信系は、フォトダイオードが1つで構成される直接変調方式に比べてサイズ、コストの面で大きな課題である。また、遅延干渉計は、高精度な実装が要求されるため、実装コストも直接変調方式に比べて高い。よって、位相変調方式を採用した超高速インターコネクションを実現するためには、小型で実装コストが安い遅延干渉計を実現することが重要である。
【0011】
以上より、本発明の目的は、小型な遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器を提供することにある、
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する手段の一つに次の手段がある。
【0013】
第1の光を入力した場合に第2の光と前記第2の光よりも1ビット分遅延した第3の光を出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、1ビット遅延干渉計がハーフミラーと全反射ミラーを有する光学プレートが貼り合わされて構成されているものを用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型な遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の遅延干渉計の概要を示す図である。
【図2】実施例2の遅延干渉計の概要を示す図である。
【図3】実施例3の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図4】実施例4の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図5】実施例5の差動位相シフト変調受信器アレイの概要を示す斜視図である。
【図6】実施例6の差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。
【図7】実施例7の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図8】実施例8の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図9】実施例9の差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。
【図10】実施例10の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図11】差動位相シフト変調受信器の模式図である。
【図12】光モジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳細に述べる。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1である遅延干渉計の概要を示す図である。本実施例では、母材ガラス101により、全反射ミラー102とハーフミラー103を挟み込んだ構造を有する光学プレートを基本構造として用いている。なお、信号光は、図中の矢印で示すように母材ガラス101に対して垂直に入射し、前記全反射ミラー102とハーフミラー103は、信号光に対して45°の角度をなす。このような光学プレートは、例えば、次のような手順により形成可能である。まず、第一のガラス板上にまずハーフミラーを形成するような誘電膜を形成し、次いで第二のガラス板を接着し、さらにその上に全反射ミラーを形成するような誘電膜を形成する。続いて、もう一枚の板ガラスを接着し、これら三枚の板ガラスと、二層の誘電膜からなる構造を、45°の角度をなすようにスライスし、最後に余計な部分をダイシングや研摩などの手法によりカットすれば、図に示すような光学プレートが得られる。この時に、全反射ミラー、ハーフミラーを形成する誘電膜は、45°で入射する光に対してそれぞれの反射率を形成するように厚さ、屈折率を調整することが肝要である。また、前記の第二のガラス板の厚さを、45°で進行する光に対して、所望のビットレートの1/2に相当する厚さにする必要がある。例えば、40Gbpsの変調速度を想定し、かつ、母体ガラスの屈折率を1.5とすれば、必要なガラス板の厚さは下記の式より、(ガラスの厚さ)=c/(n x Bit rate) x 1/2 x cos45°= 1.77mm
程度となる。(c:高速、n:屈折率)
このようにして形成した光学プレートを、全反射ミラー同士、ハーフミラー同士とを向き合わせる、図に示すような向きで貼り合わせれば、小型で高精度な遅延干渉計を形成することができる。光学プレートの貼り合わせには、ガラスと同等の屈折率を持つ接着剤の使用などが好適である。
【0018】
実際の遅延干渉計としての動作を、図1を用いて説明する。第1の光を入力した場合に、第2の光と第2の光よりも1ビット相当遅延した第3の光とを出力する1ビット遅延干渉計は、第1ハーフミラーと第1全反射ミラーとを有する第1光学プレートと、第2ハーフミラーと、第2全反射ミラーと、を有する第2光学プレートとが貼り合わされている。
【0019】
また、遅延干渉計成は、同じ光学プレートを貼り合わせており、全反射ミラーの側面は、第1光学プレートの接合面に露出しており、第2全反射ミラーの側面が第2光学プレートの接合面に露出しており、第1全反射ミラーの側面と第2全反射ミラーの側面が接するようになっている。
【0020】
まず、遅延干渉計の右側から入射してきた第1の光は、ハーフミラー103aにより、垂直に折れ曲がる第4の光と、入射方向に対してそのまま進行する第5の光との二つに分岐される。垂直方向に折り曲げられた第4の光は、全反射ミラー102aおよび102bにより折り返され、ハーフミラー103bにおいて、直進してきた第5の光と干渉する。この時、最初に垂直に折り曲げられた第4の光は、1/2ビット相当の距離を往復することにより、ハーフミラー103bに到達するときには直進した第5の光の入射光である第2の光よりも、1ビット相当の遅延量が付与された第3の光となって入射されている。このため、ビット間の位相変調状態により、先に述べた原理に従い、干渉後の光の経路が変化する。このような構成にすることにより、4つのミラーの角度、距離が固定されているため、高精度な遅延干渉計が容易に形成可能である。
【0021】
また、実際には、入射光および出射光、また異なる光学プレート間での多重反射等を防止するために、無反射膜104a、104b、無反射膜105および無反射膜106を形成することが望ましい。
【実施例2】
【0022】
図2は、実施例2である遅延干渉計の概要を示す図である。実施例1では、光学プレートの貼り合わせに接着剤の使用を想定したため、無反射膜105を挿入しているが、ガラス界面での屈折率差を無くす手法(例えば熱融着など)を用いれば無反射膜105を形成する工程が省けるため、より簡便に遅延干渉計を形成することが可能である。その他の構成は実施例1と同じであり、遅延干渉計としての機能も変わるものではない。
【実施例3】
【0023】
図3は、実施例3である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例1にて説明した遅延干渉計に、入射光をコリメートするレンズ107a, 出射光を受光するフォトダイオード108a, 108bおよびフォトダイオードと出射光の結合効率を向上させるためのレンズ107b, 107cが実装されている。このように、遅延干渉計以外の光学素子を、遅延干渉計に実装することにより、受信用モジュールをより小型に形成することが可能となる。なお、本図面では、コリメートレンズを光学プレートとは別体の素子として描いているが、例えば、熱拡散法などにより高屈折率材料を所望の位置に拡散させ、光学プレート自体にレンズを形成することもできる。
【実施例4】
【0024】
図4は、実施例4である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例3にて説明した構成において、フォトダイオード109a, 109bがレンズ集積型に置き換えられている。このように、レンズが形成されたフォトダイオードを使用することにより、実装部品点数、実装工程を削減し、受信用モジュールをより簡便に形成することが可能となる。
【実施例5】
【0025】
図5は、実施例5である差動位相シフト変調受信器アレイの概要を示す斜視図である。実施例4にて説明した構成において、複数の入力信号を一括並列処理できるように、光学プレートには充分な奥行きを持たせ、また、レンズ107’a、フォトダイオードアレイ109’a, 109’bが実装されている。なお、発明者の意図するところを分かりやすく伝えるため、便宜上無反射膜は図面から省略している。また、実施例1の説明より、このような光学プレートの作成方法も容易に想像できよう。このような構成により、大量の信号処理が可能な差動位相シフト変調受信器アレイを容易に実現でき、受信用モジュールのスループットを飛躍的に高めることが可能となる。
【実施例6】
【0026】
図6は、実施例6である差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。多層基板110の上に実施例4にて説明した構成、光ファイバ111、および集積回路116が実装されている。光ファイバを通って来た光は、多層基板110に固定された遅延干渉計に入射し、前述の機能に従い位相変調の状態によって、フォトダイオード109a,または109bに入射する。フォトダイオードに入射した光は電気信号に変換され、電気信号はワイヤ112、電気配線113、貫通ビア114、ハンダ115などを介して、集積回路116に入力される。集積回路116内で、フォトダイオード109a,および109bからの電流の極性が反対になるような構成にすることにより、位相変調信号が、+1/-1の電気信号に変換されるので、単純な強度変調である0/1の電気信号に比べ、受信感度が3dB向上する。このような構成により、差動位相シフト変調信号の受信モジュールが容易に実現できる。
【実施例7】
【0027】
図7は、実施例7である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例4にて説明した構成において、母材ガラス101c、全反射ミラー102c, ハーフミラー103cより成る、第3の光学プレートが追加されている。図に示すように、このような構成にすることにより、フォトダイオード109a, 109bを同一平面に集積することができる。これにより、モジュール形成時の実装がより容易になる。なお、本構成においてハーフミラー103cは機能的役割を果たしていないので、必ずしも必要ではない。ただし、同じ基本構造を持つ光学プレートの向きを変えて貼り合わせることにより、図7のような構造が得られるので、作成上は利点がある。
【実施例8】
【0028】
図8は、実施例8である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例7にて説明した構成においては、第3の光学プレートで折り曲げられる光と、そうでない光との間の、干渉後の光路長差が問題となる。このような光路長差によりスキューが生じ、ジッタの原因となる。このため、両者の光長差を補償する工夫が必要である。その一つが、本実施例で示す構成である。フォトダイオード109bに入射する光に対して、ハーフミラー103bとフォトダイオード109bとの間に、高屈折率領域117を設ける。フォトダイオード109a、109bにそれぞれ入射する光間の光路長差は、母材ガラス101の、光の入射方向に対する厚さに等しいので、それに相当する屈折率差と厚さを高屈折率領域117に設けることにより、スキューを解消することができる。
【実施例9】
【0029】
図9は、実施例9である差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。実施例6にて説明した構成に比べて、フォトダイオード109a、109bが同一平面にあるため、多層基板上への実装および電気配線との接続がより容易になっている。本例では、実施例8のように、干渉後の光路長差を光学的解消する構成を採用していない。集積回路116内で、一方のフォトダイオードから入力される信号に対して、もう一方の光と位相が揃うように適切なタイミング調整を施すことにより、スキューを電気的に補償できる。
【実施例10】
【0030】
図10は、実施例10である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例4にて説明した構成において、第1、第2の光学プレートが、さらにそれぞれ第2の全反射ミラー102c, 102dを備える。追加されている。図に示すように、このような構成にすることにより、フォトダイオード109a, 109bを同一平面に集積することができる。これにより、モジュール形成時の実装がより容易になる。なお、本構成において全反射ミラー102cは機能的役割を果たしていないので、必ずしも必要ではない。ただし、同じ基本構造を持つ光学プレートの向きを変えて貼り合わせることにより、図10のような構造が得られるので、作成上は利点がある。なお、図11, 図12示す差動位相シフト変調受信器および光モジュールについての説明は、実施例8,9より容易に想像できるため、ここでは省略する。
【符号の説明】
【0031】
101a, 101b, 101c…母材ガラス、
102a, 102b, 102c, 102d…全反射ミラー、
103a, 103b, 103c, 103d…ハーフミラー、
104a, 104b, 104c…無反射膜、
105a…無反射膜、
106…無反射膜、
107a, 107b, 107c…コリメートレンズ、
107’a…コリメートレンズアレイ、
108a, 108b…フォトダイオード、
109a, 109b…レンズ集積フォトダイオード、
109’a, 109’b…レンズ集積フォトダイオードアレイ、
110…多層基板、
111…ファイバ、
112…ワイヤ、
113…電気配線、
114…貫通ビア、
115…ハンダ、
116…集積回路、
117…高屈折率部、
118…支持材、
119…ポリマー光導波路、
120…インターポーザ、
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバを用いた通信機器間の光伝送や,データ処理装置などの機器間又は機器内において、高速光信号を送受信する差動位相シフト変調光受信器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年情報通信分野において、光を用いて大容量のデータを高速でやりとりする情報通信トラフィックの整備が急速に行われつつあり、これまで基幹、メトロ、アクセス系といった数km以上の比較的長い距離について光ファイバ網が展開されてきた。今後はさらに、伝送装置間(数m〜数百m)或いは装置内(数cm〜数十cm)といった極めて近距離についても、大容量データを遅延なく処理するため、信号配線を光化することが有効である。
【0003】
機器間/内の光配線化に関して、例えばルータ/スイッチなどの伝送装置では、イーサなど外部から光ファイバを通して伝送された高周波信号をラインカードと呼ばれる回路ボードに入力する。このラインカードは1枚のバックプレーンに対して数枚で構成されており、各ラインカードへの入力信号はさらにバックプレーンを介してスイッチカードと呼ばれる回路ボードに集められ、スイッチカード内のLSIにて処理した後、再度バックプレーンを介して各ラインカードに出力している。ここで、現状の装置では各ラインカードから現状600Gbit/s以上の信号がバックプレーンを介してスイッチカードに集まる。これを現状の電気配線で伝送するには、伝播損失の関係で配線1本あたり1〜6Gbit/s程度に分割する必要があるため、100本以上の配線数が必要となる。
【0004】
さらに、これら高周波線路に対して波形成形回路や、反射、或いは配線間クロストークの対策が必要である。今後、さらにシステムの大容量化が進み、Tbit/s以上の情報を処理する装置になると、従来の電気配線では配線本数やクロストーク対策等の課題がますます深刻となってくる。これに対し、装置内ラインカード〜バックプレーン〜スイッチカードのボード間、さらにはボード内チップ間の信号伝送線路を光化することによって、10Gbps以上の高周波信号を低損失で伝播可能となるため、配線本数が少なくすむことと、高周波信号に対しても上記の対策が必要無くなるため有望である。また、上記ルータ/スイッチの他にも、ビデオカメラなどの映像機器やPC、携帯電話などの民生機器においても、今後画像高精細化にあたりモニタと端末間での映像信号伝送の高速・大容量化が求められるとともに、従来の電気配線では信号遅延、ノイズ対策等の課題が顕著となるため、信号伝送線路の光化が有効である。
【0005】
このような高速光インターコネクション回路を実現し、機器間/内に適用するためには、安価な作製手段で性能面、小型・集積化、および部品実装性に優れる光モジュール、回路が必要となる。そこで、配線媒体に従来の光ファイバより安価で高密度化に有利な光導波路を用い、基板上に光学部品と光導波路を集積した小型、高速の光モジュールが提案されている。
【0006】
このような高速光インターコネクションモジュール向けの光源としては、垂直共振器型表面出射レーザ(Vertical Cavity Surface Emitting Laser: VCSEL)や、基板面内方向に共振器が構成され、かつ共振器の主出射光が入射する位置にテーパーミラーが配置されているか、又は基板面内方向に共振器の一部のみが構成され、かつ前記基板面上の共振器内にテーパーミラーが配置されている光素子などが提案されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】”Uncooled 25-Gb/s 2-km Transmission of a 1.3-μm Surface Emitting Laser” K. Adachi., et al., 22nd IEEE International Semiconductor Laser Conference, (ISLC2010), TuC5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで述べたような光源は全て直接変調光源である。直接変調光源は、安価で小型である一方、緩和振動周波数により高速動作が制限されるため、将来的にさらなる高速動作(例えば各チャネルあたり40Gbps以上)が要求されるようになったとき、対応するのは容易ではない。例えば40Gbps以上の高速動作を実現する技術としては外部変調方式がある。数10km以上の長距離伝送が求められる通信系では、すでにさまざまな外部変調方式が実用に供せされている。さまざまな外部変調方式の中でも、差動位相シフト変調方式(Differential Phase Shift Keying: DPSK)は、40Gbps以上の高速化が可能、受信器の受信感度が強度変調方式に対して3dB向上するため、高品質な信号伝送が可能、などの優れた特長を有している。また、位相や強度、偏波を様々に組み合わせることにより、多値変調も可能であり、周波数利用効率向上の観点からも、近年盛んに研究開発がなされている。
【0009】
しかしながら、このような位相シフト変調方式の問題点として、受信器が複雑になることが挙げられる。この課題を説明するため、まず差動位相シフト変調方式の原理を簡単に述べる。差動位相シフト方式では、位相変調された信号光を2分岐する。そして、分岐された一方の信号光を他方の信号光より、位相変調速度の1ビット分に相当した時間遅延させるようにする。その後、分岐された二つの光を干渉させる。干渉点において、1ビット相当量を遅延させた信号光の位相と、遅延させなかった信号光の位相とが、同相になる場合と逆相(π異なる)になる場合では、干渉後の光の進行経路が異なる。同相あるいは逆相の場合のそれぞれの進行経路の先にフォトダイオードを配置し、かつこれら二つのフォトダイオードのアノード、カソードを電気的に接続すれば、それぞれのホトダイオードの出力に流れる電流の向きを測定することにより、位相の変化を電気信号に置き換えることができる。なお、光を分岐、干渉させる手段としては、空間光学系ではビームスプリッタやハーフミラー、導波路光学系では多モード干渉計などが一般的である。
【0010】
以上が位相変調方式の簡単な原理であるが、このような、信号光の分岐、1ビット相当の遅延量の付加、干渉を含めた受信系は、フォトダイオードが1つで構成される直接変調方式に比べてサイズ、コストの面で大きな課題である。また、遅延干渉計は、高精度な実装が要求されるため、実装コストも直接変調方式に比べて高い。よって、位相変調方式を採用した超高速インターコネクションを実現するためには、小型で実装コストが安い遅延干渉計を実現することが重要である。
【0011】
以上より、本発明の目的は、小型な遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器を提供することにある、
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する手段の一つに次の手段がある。
【0013】
第1の光を入力した場合に第2の光と前記第2の光よりも1ビット分遅延した第3の光を出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、1ビット遅延干渉計がハーフミラーと全反射ミラーを有する光学プレートが貼り合わされて構成されているものを用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、小型な遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の遅延干渉計の概要を示す図である。
【図2】実施例2の遅延干渉計の概要を示す図である。
【図3】実施例3の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図4】実施例4の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図5】実施例5の差動位相シフト変調受信器アレイの概要を示す斜視図である。
【図6】実施例6の差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。
【図7】実施例7の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図8】実施例8の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図9】実施例9の差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。
【図10】実施例10の差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。
【図11】差動位相シフト変調受信器の模式図である。
【図12】光モジュールの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図面を用いて、本発明の実施の形態を詳細に述べる。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1である遅延干渉計の概要を示す図である。本実施例では、母材ガラス101により、全反射ミラー102とハーフミラー103を挟み込んだ構造を有する光学プレートを基本構造として用いている。なお、信号光は、図中の矢印で示すように母材ガラス101に対して垂直に入射し、前記全反射ミラー102とハーフミラー103は、信号光に対して45°の角度をなす。このような光学プレートは、例えば、次のような手順により形成可能である。まず、第一のガラス板上にまずハーフミラーを形成するような誘電膜を形成し、次いで第二のガラス板を接着し、さらにその上に全反射ミラーを形成するような誘電膜を形成する。続いて、もう一枚の板ガラスを接着し、これら三枚の板ガラスと、二層の誘電膜からなる構造を、45°の角度をなすようにスライスし、最後に余計な部分をダイシングや研摩などの手法によりカットすれば、図に示すような光学プレートが得られる。この時に、全反射ミラー、ハーフミラーを形成する誘電膜は、45°で入射する光に対してそれぞれの反射率を形成するように厚さ、屈折率を調整することが肝要である。また、前記の第二のガラス板の厚さを、45°で進行する光に対して、所望のビットレートの1/2に相当する厚さにする必要がある。例えば、40Gbpsの変調速度を想定し、かつ、母体ガラスの屈折率を1.5とすれば、必要なガラス板の厚さは下記の式より、(ガラスの厚さ)=c/(n x Bit rate) x 1/2 x cos45°= 1.77mm
程度となる。(c:高速、n:屈折率)
このようにして形成した光学プレートを、全反射ミラー同士、ハーフミラー同士とを向き合わせる、図に示すような向きで貼り合わせれば、小型で高精度な遅延干渉計を形成することができる。光学プレートの貼り合わせには、ガラスと同等の屈折率を持つ接着剤の使用などが好適である。
【0018】
実際の遅延干渉計としての動作を、図1を用いて説明する。第1の光を入力した場合に、第2の光と第2の光よりも1ビット相当遅延した第3の光とを出力する1ビット遅延干渉計は、第1ハーフミラーと第1全反射ミラーとを有する第1光学プレートと、第2ハーフミラーと、第2全反射ミラーと、を有する第2光学プレートとが貼り合わされている。
【0019】
また、遅延干渉計成は、同じ光学プレートを貼り合わせており、全反射ミラーの側面は、第1光学プレートの接合面に露出しており、第2全反射ミラーの側面が第2光学プレートの接合面に露出しており、第1全反射ミラーの側面と第2全反射ミラーの側面が接するようになっている。
【0020】
まず、遅延干渉計の右側から入射してきた第1の光は、ハーフミラー103aにより、垂直に折れ曲がる第4の光と、入射方向に対してそのまま進行する第5の光との二つに分岐される。垂直方向に折り曲げられた第4の光は、全反射ミラー102aおよび102bにより折り返され、ハーフミラー103bにおいて、直進してきた第5の光と干渉する。この時、最初に垂直に折り曲げられた第4の光は、1/2ビット相当の距離を往復することにより、ハーフミラー103bに到達するときには直進した第5の光の入射光である第2の光よりも、1ビット相当の遅延量が付与された第3の光となって入射されている。このため、ビット間の位相変調状態により、先に述べた原理に従い、干渉後の光の経路が変化する。このような構成にすることにより、4つのミラーの角度、距離が固定されているため、高精度な遅延干渉計が容易に形成可能である。
【0021】
また、実際には、入射光および出射光、また異なる光学プレート間での多重反射等を防止するために、無反射膜104a、104b、無反射膜105および無反射膜106を形成することが望ましい。
【実施例2】
【0022】
図2は、実施例2である遅延干渉計の概要を示す図である。実施例1では、光学プレートの貼り合わせに接着剤の使用を想定したため、無反射膜105を挿入しているが、ガラス界面での屈折率差を無くす手法(例えば熱融着など)を用いれば無反射膜105を形成する工程が省けるため、より簡便に遅延干渉計を形成することが可能である。その他の構成は実施例1と同じであり、遅延干渉計としての機能も変わるものではない。
【実施例3】
【0023】
図3は、実施例3である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例1にて説明した遅延干渉計に、入射光をコリメートするレンズ107a, 出射光を受光するフォトダイオード108a, 108bおよびフォトダイオードと出射光の結合効率を向上させるためのレンズ107b, 107cが実装されている。このように、遅延干渉計以外の光学素子を、遅延干渉計に実装することにより、受信用モジュールをより小型に形成することが可能となる。なお、本図面では、コリメートレンズを光学プレートとは別体の素子として描いているが、例えば、熱拡散法などにより高屈折率材料を所望の位置に拡散させ、光学プレート自体にレンズを形成することもできる。
【実施例4】
【0024】
図4は、実施例4である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例3にて説明した構成において、フォトダイオード109a, 109bがレンズ集積型に置き換えられている。このように、レンズが形成されたフォトダイオードを使用することにより、実装部品点数、実装工程を削減し、受信用モジュールをより簡便に形成することが可能となる。
【実施例5】
【0025】
図5は、実施例5である差動位相シフト変調受信器アレイの概要を示す斜視図である。実施例4にて説明した構成において、複数の入力信号を一括並列処理できるように、光学プレートには充分な奥行きを持たせ、また、レンズ107’a、フォトダイオードアレイ109’a, 109’bが実装されている。なお、発明者の意図するところを分かりやすく伝えるため、便宜上無反射膜は図面から省略している。また、実施例1の説明より、このような光学プレートの作成方法も容易に想像できよう。このような構成により、大量の信号処理が可能な差動位相シフト変調受信器アレイを容易に実現でき、受信用モジュールのスループットを飛躍的に高めることが可能となる。
【実施例6】
【0026】
図6は、実施例6である差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。多層基板110の上に実施例4にて説明した構成、光ファイバ111、および集積回路116が実装されている。光ファイバを通って来た光は、多層基板110に固定された遅延干渉計に入射し、前述の機能に従い位相変調の状態によって、フォトダイオード109a,または109bに入射する。フォトダイオードに入射した光は電気信号に変換され、電気信号はワイヤ112、電気配線113、貫通ビア114、ハンダ115などを介して、集積回路116に入力される。集積回路116内で、フォトダイオード109a,および109bからの電流の極性が反対になるような構成にすることにより、位相変調信号が、+1/-1の電気信号に変換されるので、単純な強度変調である0/1の電気信号に比べ、受信感度が3dB向上する。このような構成により、差動位相シフト変調信号の受信モジュールが容易に実現できる。
【実施例7】
【0027】
図7は、実施例7である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例4にて説明した構成において、母材ガラス101c、全反射ミラー102c, ハーフミラー103cより成る、第3の光学プレートが追加されている。図に示すように、このような構成にすることにより、フォトダイオード109a, 109bを同一平面に集積することができる。これにより、モジュール形成時の実装がより容易になる。なお、本構成においてハーフミラー103cは機能的役割を果たしていないので、必ずしも必要ではない。ただし、同じ基本構造を持つ光学プレートの向きを変えて貼り合わせることにより、図7のような構造が得られるので、作成上は利点がある。
【実施例8】
【0028】
図8は、実施例8である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例7にて説明した構成においては、第3の光学プレートで折り曲げられる光と、そうでない光との間の、干渉後の光路長差が問題となる。このような光路長差によりスキューが生じ、ジッタの原因となる。このため、両者の光長差を補償する工夫が必要である。その一つが、本実施例で示す構成である。フォトダイオード109bに入射する光に対して、ハーフミラー103bとフォトダイオード109bとの間に、高屈折率領域117を設ける。フォトダイオード109a、109bにそれぞれ入射する光間の光路長差は、母材ガラス101の、光の入射方向に対する厚さに等しいので、それに相当する屈折率差と厚さを高屈折率領域117に設けることにより、スキューを解消することができる。
【実施例9】
【0029】
図9は、実施例9である差動位相シフト変調受信器を用いた光モジュールの概要を示す図である。実施例6にて説明した構成に比べて、フォトダイオード109a、109bが同一平面にあるため、多層基板上への実装および電気配線との接続がより容易になっている。本例では、実施例8のように、干渉後の光路長差を光学的解消する構成を採用していない。集積回路116内で、一方のフォトダイオードから入力される信号に対して、もう一方の光と位相が揃うように適切なタイミング調整を施すことにより、スキューを電気的に補償できる。
【実施例10】
【0030】
図10は、実施例10である差動位相シフト変調受信器の概要を示す図である。実施例4にて説明した構成において、第1、第2の光学プレートが、さらにそれぞれ第2の全反射ミラー102c, 102dを備える。追加されている。図に示すように、このような構成にすることにより、フォトダイオード109a, 109bを同一平面に集積することができる。これにより、モジュール形成時の実装がより容易になる。なお、本構成において全反射ミラー102cは機能的役割を果たしていないので、必ずしも必要ではない。ただし、同じ基本構造を持つ光学プレートの向きを変えて貼り合わせることにより、図10のような構造が得られるので、作成上は利点がある。なお、図11, 図12示す差動位相シフト変調受信器および光モジュールについての説明は、実施例8,9より容易に想像できるため、ここでは省略する。
【符号の説明】
【0031】
101a, 101b, 101c…母材ガラス、
102a, 102b, 102c, 102d…全反射ミラー、
103a, 103b, 103c, 103d…ハーフミラー、
104a, 104b, 104c…無反射膜、
105a…無反射膜、
106…無反射膜、
107a, 107b, 107c…コリメートレンズ、
107’a…コリメートレンズアレイ、
108a, 108b…フォトダイオード、
109a, 109b…レンズ集積フォトダイオード、
109’a, 109’b…レンズ集積フォトダイオードアレイ、
110…多層基板、
111…ファイバ、
112…ワイヤ、
113…電気配線、
114…貫通ビア、
115…ハンダ、
116…集積回路、
117…高屈折率部、
118…支持材、
119…ポリマー光導波路、
120…インターポーザ、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を入力した場合に、第2の光と前記第2の光よりも1ビット相当遅延した第3の光とを出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、
前記1ビット遅延干渉計は、第1光学プレートと第2光学プレートとが貼り合わされており、
前記第1光学プレートは、第1ハーフミラーと、第1全反射ミラーと、を有し、
前記第2光学プレートは、第2ハーフミラーと、第2全反射ミラーと、を有し、
前記第1ハーフミラーに斜め方向から入射された第1の光が、第4の光と第5の光に分離し、
第4の光が、前記第1の全反射ミラーと前記第2の全反射ミラーを介して、前記第2ハーフミラーに対して斜めな第1の方向から入射し、第5の光が、前記第1の全反射ミラーと前記第2の全反射ミラーを介さずに、前記第2ハーフミラーに斜めな第2の方向から入射することにより、前記第2の光と前記第3光とが、前記第2ハーフミラーから異なる方向に出力されることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の光学プレートの間には、所定の波長範囲の光に対する無反射膜を介して接合されていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項3】
請求項1において、
前記接合は光学プレート同士の融着によりなされていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1全反射ミラーの側面は、前記第1光学プレートの接合面に露出しており、
前記第2全反射ミラーの側面は、前記第2光学プレートの接合面に露出しており、
前記第1全反射ミラーの側面と前記第2全反射ミラーの側面が接することを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1光学プレートの側面には、前記第1ハーフミラーおよび前記第1全反射ミラーが露出しておらず、
前記第2光学プレートの側面には、前記第2ハーフミラーおよび前記第2全反射ミラーが露出していないことを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項6】
請求項1の差動位相シフト変調光受信器と、前記第2の光が入射する第1のフォトダイオードと、前記第3の光が入射する第2のフォトダイオードよりなるバランスフォトダイオードと、
前記バランスフォトダイオードからの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1光学プレートと前記第3光学プレートとで前記第2光学プレートを挟み込み、
前記第3光学プレートは、第3全反射ミラーを備え、
同じ面に前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードが配置され、
前記第3全反射ミラーによって、前記第2の光の光軸を前記第3の光の光軸方向に変換し、同じ面に配置された前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードに前記第2の光および前記第3の光を入射させることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2の光学プレートに、前記第2ハーフミラーの出力となる第3の光が照射される位置に前記光学プレートの基材よりも高屈折率材料が配置されていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項9】
請求項7乃至8の差動位相シフト変調光受信器を備え、
前記バランスフォトダイオードからの2つの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1フォトダイオードの出力である第1電気信号と前記第2フォトダイオードの出力である第2電気信号との間の遅延時間を調整する回路を備えていることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項11】
請求項1において、
前記第2光学プレートは、前記第2全反射ミラーとで前記ハーフミラーを挟む第3全反射ミラーを備え、
前記第2光学プレートの同じ面に前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードが配置され、
前記第3全反射ミラーによって、前記第3の光の光軸を第2の光の光軸方向へ変換し、同じ面に配置された前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードに前記第2の光および前記第3の光を入射させることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項12】
請求項11において、
前記第2光学プレートは、前記第2ハーフミラーの出力となる第2の光が照射される位置に前記光学プレートの基材よりも高屈折率材料が配置されていることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【請求項13】
請求項11乃至12の差動位相シフト変調光受信器を備え、
前記バランスフォトダイオードからの2つの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1フォトダイオードの出力である第1電気信号と前記第2フォトダイオードの出力である第2電気信号との間の遅延時間を調整する回路を備えていることを特徴とする光位相シフト変調光受信器。
【請求項15】
請求項1において、
前記第1光学プレートと前記第2光学プレートは同じ光学プレートであり、さらに、
前記第1光学プレートと前記第2光学プレートは、前記第1ハーフミラーと前記第2ハーフミラーとが向かい合い、かつ前記第1全反射ミラーと前記第2全反射ミラーとが向かい合う向きに接合されたものであることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【請求項1】
第1の光を入力した場合に、第2の光と前記第2の光よりも1ビット相当遅延した第3の光とを出力する1ビット遅延干渉計を備えた差動位相シフト変調光受信器において、
前記1ビット遅延干渉計は、第1光学プレートと第2光学プレートとが貼り合わされており、
前記第1光学プレートは、第1ハーフミラーと、第1全反射ミラーと、を有し、
前記第2光学プレートは、第2ハーフミラーと、第2全反射ミラーと、を有し、
前記第1ハーフミラーに斜め方向から入射された第1の光が、第4の光と第5の光に分離し、
第4の光が、前記第1の全反射ミラーと前記第2の全反射ミラーを介して、前記第2ハーフミラーに対して斜めな第1の方向から入射し、第5の光が、前記第1の全反射ミラーと前記第2の全反射ミラーを介さずに、前記第2ハーフミラーに斜めな第2の方向から入射することにより、前記第2の光と前記第3光とが、前記第2ハーフミラーから異なる方向に出力されることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の光学プレートの間には、所定の波長範囲の光に対する無反射膜を介して接合されていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項3】
請求項1において、
前記接合は光学プレート同士の融着によりなされていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項4】
請求項1において、
前記第1全反射ミラーの側面は、前記第1光学プレートの接合面に露出しており、
前記第2全反射ミラーの側面は、前記第2光学プレートの接合面に露出しており、
前記第1全反射ミラーの側面と前記第2全反射ミラーの側面が接することを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項5】
請求項1において、
前記第1光学プレートの側面には、前記第1ハーフミラーおよび前記第1全反射ミラーが露出しておらず、
前記第2光学プレートの側面には、前記第2ハーフミラーおよび前記第2全反射ミラーが露出していないことを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項6】
請求項1の差動位相シフト変調光受信器と、前記第2の光が入射する第1のフォトダイオードと、前記第3の光が入射する第2のフォトダイオードよりなるバランスフォトダイオードと、
前記バランスフォトダイオードからの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項7】
請求項1において、
前記第1光学プレートと前記第3光学プレートとで前記第2光学プレートを挟み込み、
前記第3光学プレートは、第3全反射ミラーを備え、
同じ面に前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードが配置され、
前記第3全反射ミラーによって、前記第2の光の光軸を前記第3の光の光軸方向に変換し、同じ面に配置された前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードに前記第2の光および前記第3の光を入射させることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2の光学プレートに、前記第2ハーフミラーの出力となる第3の光が照射される位置に前記光学プレートの基材よりも高屈折率材料が配置されていることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項9】
請求項7乃至8の差動位相シフト変調光受信器を備え、
前記バランスフォトダイオードからの2つの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1フォトダイオードの出力である第1電気信号と前記第2フォトダイオードの出力である第2電気信号との間の遅延時間を調整する回路を備えていることを特徴とする光受信モジュール。
【請求項11】
請求項1において、
前記第2光学プレートは、前記第2全反射ミラーとで前記ハーフミラーを挟む第3全反射ミラーを備え、
前記第2光学プレートの同じ面に前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードが配置され、
前記第3全反射ミラーによって、前記第3の光の光軸を第2の光の光軸方向へ変換し、同じ面に配置された前記第1フォトダイオードおよび前記第2フォトダイオードに前記第2の光および前記第3の光を入射させることを特徴とする差動位相シフト変調光受信器。
【請求項12】
請求項11において、
前記第2光学プレートは、前記第2ハーフミラーの出力となる第2の光が照射される位置に前記光学プレートの基材よりも高屈折率材料が配置されていることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【請求項13】
請求項11乃至12の差動位相シフト変調光受信器を備え、
前記バランスフォトダイオードからの2つの電気信号を差動処理する集積回路を備え、
前記バランスフォトダイオードと前記集積回路とが電気配線で接続されていることを備えることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【請求項14】
請求項13において、
前記第1フォトダイオードの出力である第1電気信号と前記第2フォトダイオードの出力である第2電気信号との間の遅延時間を調整する回路を備えていることを特徴とする光位相シフト変調光受信器。
【請求項15】
請求項1において、
前記第1光学プレートと前記第2光学プレートは同じ光学プレートであり、さらに、
前記第1光学プレートと前記第2光学プレートは、前記第1ハーフミラーと前記第2ハーフミラーとが向かい合い、かつ前記第1全反射ミラーと前記第2全反射ミラーとが向かい合う向きに接合されたものであることを特徴とする位相シフト変調光受信器。
【図1】
【図2】
【図7】
【図10】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図2】
【図7】
【図10】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−11777(P2013−11777A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145122(P2011−145122)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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