説明

差動信号出力装置、差動信号出力装置のテスト方法、および、テスタ

【課題】差動信号とコモンモード信号をより適切に評価することが可能な差動信号出力装置を提供する。
【解決手段】差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、差動信号出力装置の第1の制御回路は、第1の制御信号に応じて、差動信号生成回路にデータ信号に応じた差動信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、差動信号出力装置の第2の制御回路は、第2の制御信号に応じて、コモンモード信号生成回路の動作を停止する。コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、第1の制御回路は、第1の制御信号に応じて、差動信号生成回路に固定の差動信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、第2の制御回路は、第2の制御信号に応じて、コモンモード信号生成回路にクロック信号に応じたコモンモード信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、差動信号を出力する差動信号出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、差動伝送規格の一つであるLVDS(Low voltage differential signaling)の差動信号をテスタで測定する場合、差動信号の中心電圧を閾値に設定し、該閾値よりも大きい信号を論理“1”とし、一方、該閾値よりも小さい信号を論理“0”として差動信号の論理を評価する。
【0003】
しかし、差動信号とコモンモード信号を評価する場合、一つの閾値では信号の論理を正確に評価できない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Texas Instruments,Slew Rate Control of LVDS Circuits,SLLA034A, Application Report, 1999年3月、[平成22年、12月3日検索]、インターネット<URL:http://www.nalanda.nitc.ac.in/industry/appnotes/Texas/analog/slla034a.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
差動信号とコモンモード信号をより適切に評価することが可能な差動信号出力装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施例に従った差動信号出力装置は、差動信号およびコモンモード信号を重畳して出力するための第1の送信端子および第2の送信端子を備える。差動信号出力装置は、第1の制御信号が入力される第1の制御端子と、第2の制御信号が入力される第2の制御端子と、を備える。差動信号出力装置は、データ信号が入力されるデータ端子と、クロック信号が入力されるクロック端子と、を備える。差動信号出力装置は、差動信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力する差動信号生成回路と、前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路の動作を制御する第1の制御回路と、を備える。差動信号出力装置は、コモンモード信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力するコモンモード信号生成回路と、前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路の動作を制御する第2の制御回路と、を備える。
【0007】
前記差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、前記第1の制御回路は、前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路に前記データ信号に応じた差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記第2の制御回路は、前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止する。
【0008】
前記コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、前記第1の制御回路は、前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路に固定の差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記第2の制御回路は、前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路に前記クロック信号に応じたコモンモード信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施形態に係る差動信号出力装置101を含む伝送システム1000の構成の一例を示す図である。
【図2】図2は、図1に示す差動信号生成回路101bおよびコモンモード信号生成回路101dを含む回路構成の一例を示す図である。
【図3】図3は、図1に示す差動信号出力装置101の各モードにおける出力信号の波形の例を示す図である。
【図4】図4は、差動信号テストモードにおける差動信号出力装置101の出力波形の一例を示す図である。
【図5】図5は、コモンモード信号テストモードにおける差動信号出力装置101の出力波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施例について図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施形態に係る差動信号出力装置101を含む伝送システム1000の構成の一例を示す図である。また、図2は、図1に示す差動信号生成回路101bおよびコモンモード信号生成回路101dを含む回路構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、伝送システム1000は、差動信号出力装置(ドライバ)101と、一対の差動信号線103a、103bと、受信装置(レシーバ)102と、を備える。
【0013】
また、図1に示すように、差動信号出力装置101は、第1の制御端子T1と、第2の制御端子T2と、データ端子TDと、クロック端子TCと、第1の送信端子Tout1と、第2の送信端子Tout2と、第1の制御回路(論理回路)101aと、差動信号生成回路101bと、第2の制御回路(論理回路)101cと、コモンモード信号生成回路101dと、を備える。
【0014】
第1の制御端子T1は、テスタ100から第1の制御信号SCON1が入力されるようになっている。
【0015】
第2の制御端子T2は、テスタ100から第2の制御信号SCON2が入力されるようになっている。
【0016】
データ端子TDは、データ信号Dataが入力されるようになっている。図1に示すように、テスト時は、テスタ100からテスト用のデータ信号Dataが入力されるが、通常動作時は、図示しない論理回路等からデータ信号Dataがこのデータ端子TDに入力される。
【0017】
クロック端子TCは、クロック信号Clockが入力されるようになっている。図1に示すように、テスト時は、テスタ100からテスト用のクロック信号Clockが入力されるが、通常動作時は、図示しないクロック信号Clockを発生する回路等からクロック信号Clockがこのクロック端子TCに入力される。
【0018】
第1の送信端子Tout1は、差動信号線103aの一端に接続されている。
【0019】
第2の送信端子Tout2は、差動信号線103bの一端に接続されている。
【0020】
これらの第1の送信端子Tout1および第2の送信端子Tout2は、一対の差動信号線103a、103bに、差動信号およびこの差動信号に重畳されるコモンモード信号を出力するようになっている。
【0021】
差動信号生成回路101bは、データ信号Dataに応じて差動信号を生成し第1の送信端子Tout1および第2の送信端子Tout2に出力するようになっている。
【0022】
コモンモード信号生成回路101dは、クロック信号Clockに応じてコモンモード信号を生成し第1の送信端子Tout1および第2の送信端子Tout2に出力するようになっている。
【0023】
第1の制御回路101aは、第1の制御信号SCON1に応じて、差動信号生成回路101bの動作を制御するようになっている。
【0024】
例えば、第1の制御回路101aは、差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、入力されたデータ信号Dataを差動信号生成回路101bに供給し、第1の制御信号SCON1に応じて、差動信号生成回路101bにデータ信号Dataに応じた差動信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させる。
【0025】
また、第1の制御回路101aは、コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、第1の制御信号SCON1に応じて、差動信号生成回路101bに固定の差動信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させる。例えば、このコモンモード信号テストモードにおいて、差動信号生成回路は、差動信号の論理を論理“0”もしくは論理“1”に固定する。
【0026】
なお、第1の制御回路101aは、差動信号出力装置101が通常の動作をする通常動作モードにおいて、データ端子TDを介して入力されたデータ信号Dataをそのまま差動信号生成回路101bに供給する。
【0027】
第2の制御回路101cは、第2の制御信号SCON2に応じて、コモンモード信号生成回路101dの動作を制御するようになっている。
【0028】
例えば、第2の制御回路101cは、該差動信号テストモードにおいて、入力されたクロック信号Clockをコモンモード信号生成回路101dに供給し、第2の制御信号SCON2に応じて、コモンモード信号生成回路101dの動作を停止する。
【0029】
また、第2の制御回路101cは、該コモンモード信号テストモードにおいて、第2の制御信号SCON2に応じて、コモンモード信号生成回路101dにクロック信号Clockに応じたコモンモード信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させる。
【0030】
なお、第2の制御回路101cは、該通常動作モードにおいて、クロック端子TCを介して入力されたクロック信号Clockをそのままコモンモード信号生成回路101dに供給する。
【0031】
ここで、図2に示すように、差動信号生成回路101bは、第1の送信端子Tout1に一端が接続され、データ信号Dataによりオン/オフが制御されるスイッチ回路SW1aと、第2の送信端子Tout2に一端が接続され、データ信号Dataの位相を反転した信号によりオン/オフが制御されるスイッチ回路SW1bと、スイッチ回路SW1a、SW1bの他端と接地との間に接続され、差動信号生成回路101bの動作電流を出力する電流源I1と、を有する。
【0032】
スイッチ回路SW1a、SW1bは、データ信号Dataにより相補的にオン/オフが制御される。これにより、差動信号生成回路101bは、差動信号を出力する。
【0033】
また、コモンモード信号生成回路101dは、第1の送信端子Tout1に一端が接続され、クロック信号Clockによりオン/オフが制御されるスイッチ回路SW2aと、第2の送信端子Tout2に一端が接続され、クロック信号Clockによりオン/オフが制御されるスイッチ回路SW2bと、スイッチ回路SW2a、SW2bの他端と接地との間に接続され、コモンモード信号生成回路101dの動作電流を出力する電流源I2と、を有する。
【0034】
スイッチ回路SW2a、SW2bは、クロック信号Clockにより同期してオン/オフが制御される。これにより、コモンモード信号生成回路101dは、コモンモード信号を出力する。
【0035】
ここで、第1の制御回路101aは、第1の制御信号SCON1に応じて、データ信号Dataを“High”レベル、すなわち論理“1”または“Low”レベルにすなわち論理“0”に固定することにより、スイッチ回路SW1a、SW1bの何れか一方をオンにし、他方をオフにする。これにより、差動信号生成回路101bに固定の差動信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させる。
【0036】
また、第2の制御回路101cは、第2の制御信号SCON2に応じてコモンモード信号生成回路101dに対するクロック信号Clockの供給を停止ことにより、スイッチ回路SW2a、SW2bをオフにする。または、第2の制御回路101cは、第2の制御信号SCON2に応じてコモンモード信号生成回路101dの動作電流を出力する電流源I2の動作を停止させる。これにより、コモンモード信号生成回路101dの動作を停止することができる。
【0037】
また、図1に示すように、受信装置102は、第1の受信端子Tin1と、第2の受信端子Tin2と、インピーダンス回路Rと、レシーバ回路102a、102bと、を有する。
【0038】
第1の受信端子Tin1は、差動信号線103aの他端に接続されている。
【0039】
第2の受信端子Tin2は、差動信号線103bの他端に接続されている。
【0040】
これらの第1の受信端子Tin1および第2の受信端子Tin2は、一対の差動信号線103a、103bから、差動信号およびコモンモード信号が入力されるようになっている。
【0041】
インピーダンス回路Rは、一端が電源に接続され、他端が第1の受信端子Tin1に接続された第1の終端抵抗R1と、一端が電源に接続され、他端が第2の受信端子Tin2に接続された第2の終端抵抗R2と、を有する。
【0042】
これらの第1の終端抵抗R1と第2の終端抵抗R2とは、抵抗値RTを有する。この抵抗値RTには、受信装置102の反射波を抑制するように差動信号線とインピーダンスが整合する値が選択される。
【0043】
レシーバ回路102aは、第1、第2の受信端子Tin1、Tin2に入力が接続され、 差動信号を受信し、データ信号Dataを出力するようになっている。
【0044】
レシーバ回路102bは、第1、第2の受信端子Tin1、Tin2に入力が接続され、コモンモード信号を受信し、クロック信号Clockを出力するようになっている。
【0045】
ここで、テスタ100は、第1、第2の制御信号SCON1、SCON2、テスト用のデータ信号Data、および、テスト用のクロック信号Clockを差動信号出力装置101に出力し、これらの信号に応じて差動信号出力装置101から出力された出力信号を評価するようになっている。
【0046】
例えば、テスタ100は、差動信号テストモードにおいて、第1の制御信号SCON1により、差動信号生成回路101bにデータ信号Clockに応じた差動信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させ、且つ、第2の制御信号SCON2によりコモンモード信号生成回路101dの動作を停止した状態で、第1および第2の送信端子Tout1、Tout2から出力される第1の信号(差動信号)と第1の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて差動信号を評価する。
【0047】
例えば、テスタ100は、該第1の信号と該第1の閾値との比較結果に応じた論理と、差動信号テストモード時のデータ信号Dataに対応した第1の期待値とを比較することにより、差動信号を評価する。
【0048】
また、テスタ100は、コモンモード信号テストモードにおいて、第1の制御信号SCON1により差動信号生成回路101bに固定の差動信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させ、且つ、第2の制御信号SCON2によりコモンモード信号生成回路101dにクロック信号Clockに応じたコモンモード信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させた状態で、第1および第2の送信端子Tout1、Tout2から出力される第2の信号(コモンモード信号)と第2の閾値とを比較し、この比較結果に基づいてコモンモード信号を評価する。
【0049】
例えば、テスタ100は、該第2の信号と該第2の閾値との比較結果に応じた論理と、コモンモード信号テストモード時のクロック信号Clockに対応した第2の期待値とを比較することにより、コモンモード信号を評価する。
【0050】
なお、該第1の閾値は、該第2の閾値とは異なるように設定される。例えば、該第1の閾値は、差動信号の最大値と最小値の中間の電圧に設定される。また、該第2の閾値は、コモンモード信号の最大値と最小値の中間の電圧に設定される。
【0051】
ここで、既述のような構成を有する差動信号出力装置101の出力信号について詳述する。図3は、図1に示す差動信号出力装置101の各モードにおける出力信号の波形の例を示す図である。
【0052】
差動信号出力装置101は、既述のように、3つの動作モード、すなわち、(A)通常動作モードと、(B)差動信号テストモードと、(C)コモンモード信号テストモードと、を有する。
【0053】
(A) 通常動作モード時
この通常動作モードは、データ信号Dataとクロック信号Clockを同時に伝送するモードである。
【0054】
この通常動作モードでは、データ端子TDに入力されたデータ信号Dataは第1の制御回路101aを介して、差動信号生成回路101bに入力される。そして、差動信号生成回路101bは、入力されたデータ信号Dataを差動信号に変換した差動信号を出力する。
【0055】
同時に、クロック端子TDに入力されたクロック信号Clockは第2の制御回路101cを介して、コモンモード出力回路に入力される。コモンモード信号生成回路101dは、入力されたクロック信号Clockをコモンモード信号に変換したコモンモード信号を出力する。すなわち、差動信号にコモンモード信号が重畳される。
【0056】
このときの差動信号出力装置101の出力波形を図3(a)に示す。
【0057】
(B) 差動信号テストモード時
この差動信号テストモードは、データ信号Dataのみを出力するモードである。
【0058】
この差動信号テストモードでは、データ端子TDに入力されたデータ信号Dataは第1の制御回路101aを介して、差動信号生成回路101bに入力される。そして、差動信号生成回路101bは、入力されたデータ信号Dataを差動信号に変換した差動信号を出力する。
【0059】
第2の制御回路101cは、第2の制御信号SCON2に応じて、コモンモード信号発生回路101dにコモンモード信号の出力を停止させる。
【0060】
このとき、コモンモード信号発生回路は停止するため、第1、第2の送信端子Tout1、Tout2からは差動信号のみが出力される。
【0061】
このときの差動信号出力装置101の出力波形を図3(b)に示す。
【0062】
(C) コモンモード信号テストモード
このコモンモード信号テストモードは、差動信号を固定しコモンモード信号を出力するモードである。
【0063】
クロック端子TDに入力されたクロック信号Clockは第2の制御回路101cを介して、コモンモード信号生成回路101dに入力される。
【0064】
コモンモード信号生成回路101dは、入力されたクロック信号Clockをコモンモード信号に変換したコモンモード信号を出力する。
【0065】
第1の制御回路101aは、第1の制御信号SCON1に応じて、差動信号生成回路101bの出力の論理を例えば“1”に固定する。
【0066】
このとき、差動信号生成回路101bは、第1の送信端子Tout1に論理“1”の信号を出力するとともに、第2の送信端子Tout2に論理“0”の信号を出力する。
【0067】
このときの差動信号出力装置101の出力波形を図3(c)に示す。
【0068】
次に、既述のような構成を有する差動信号出力回路101 の出力信号をテスタ100で評価する方法について説明する。
【0069】
ここで、図4は、差動信号テストモードにおける差動信号出力装置101の出力波形の一例を示す図である。
【0070】
図4に示すように、テスタ100の該第1の閾値を1つの差動信号の中心電圧(Dhigh+Dlow)/2に設定する(図4(b))。
【0071】
既述のように、テスタ100は、この差動信号テストモードにおいて、第1の制御信号SCON1により、差動信号生成回路101bにデータ信号Clockに応じた差動信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させ、且つ、第2の制御信号SCON2によりコモンモード信号生成回路101dの動作を停止した状態で、第1および第2の送信端子Tout1、Tout2から出力される第1の信号(図4(a))と該第1の閾値(Dhigh+Dlow)/2とを比較し、この比較結果に基づいて差動信号を評価する。
【0072】
例えば、テスタ100は、該第1の信号が該第1の閾値より大きい場合は論理“1”とし、該第1の信号が該第1の閾値よりも小さい場合は論理“0”として差動信号の論理を評価する。そして、例えば、テスタ100は、この論理と、差動信号テストモード時のデータ信号Dataに対応した第1の期待値とを比較することにより、差動信号を評価する。
【0073】
なお、図4(b)の例では、信号TXPに関して評価しているが、信号TXNに関して評価してもよい。
【0074】
また、図5は、コモンモード信号テストモードにおける差動信号出力装置101の出力波形の一例を示す図である。
【0075】
図5に示すように、テスタ100の該第2の閾値を1つのコモンモード信号の中心電圧(Chigh+Clow)/2に設定する(図5(b))。
【0076】
既述のように、テスタ100は、コモンモード信号テストモードにおいて、第1の制御信号SCON1により差動信号生成回路101bに固定の差動信号を生成させて第1および第2の送信端子Tout1、Tout2に出力させ、且つ、第2の制御信号SCON2によりコモンモード信号生成回路101dにクロック信号Clockに応じたコモンモード信号を生成させて第1および第2の送信端子に出力させた状態で、第1および第2の送信端子Tout1、Tout2から出力される第2の信号(図5(a))と該第2の閾値(Chigh+Clow)/2と、を比較し、この比較結果に基づいてコモンモード信号を評価する。
【0077】
例えば、テスタ100は、該第2の信号が該第2の閾値より大きい場合は論理“1”とし、該第2の信号が該第2の閾値よりも小さい場合は論理“0”としてコモンモード信号の論理を評価する。そして、例えば、テスタ100は、この論理と、コモンモード信号テストモード時のクロック信号Clockに対応した第2の期待値とを比較することにより、コモンモード信号を評価する。
なお、図5(b)の例では、信号TXPに関して評価しているが、信号TXNに関して評価してもよい。
【0078】
通常動作モードの出力信号は、テスタ100により評価する事は難しい。しかし、差動信号出力モードを設けることによりデータ信号Dataである差動信号をテスタ100で評価し、さらに、コモンモード信号出力モードを設けることによりクロック信号Clockをテスタ100で評価することができる。
【0079】
このように、テスタ100は、一対の差動信号線103a、103bに差動信号とコモンモード信号を使ってデータ信号Dataとクロック信号Clockを伝送する規格の信号に対して、差動信号出力モードを設けることでデータ信号Dataである差動信号を評価し、さらに、コモンモード信号出力モードを設けることでクロック信号Clockを評価することができる。
【0080】
以上のように、本実施例によれば、差動信号とコモンモード信号をより適切に評価することができる。
【0081】
なお、実施形態は例示であり、発明の範囲はそれらに限定されない。
【符号の説明】
【0082】
101 差動信号出力装置
100 テスタ
102 受信装置
103a、103b 差動信号線
1000 伝送システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号およびコモンモード信号を重畳して出力するための第1の送信端子および第2の送信端子と、
第1の制御信号が入力される第1の制御端子と、
第2の制御信号が入力される第2の制御端子と、
データ信号が入力されるデータ端子と、
クロック信号が入力されるクロック端子と、
差動信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力する差動信号生成回路と、
前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路の動作を制御する第1の制御回路と、
コモンモード信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力するコモンモード信号生成回路と、
前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路の動作を制御する第2の制御回路と、を備え、
前記差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、
前記第1の制御回路は、前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路に前記データ信号に応じた差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記第2の制御回路は、前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止し、
前記コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、
前記第1の制御回路は、前記第1の制御信号に応じて、前記差動信号生成回路に固定の差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記第2の制御回路は、前記第2の制御信号に応じて、前記コモンモード信号生成回路に前記クロック信号に応じたコモンモード信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させる
ことを特徴とする差動信号出力装置。
【請求項2】
前記第1の制御回路は、前記データ端子を介して前記データ信号が入力され、前記差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、前記データ端子に入力される前記データ信号を前記差動信号生成回路に供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の差動信号出力装置。
【請求項3】
前記第2の制御回路は、前記クロック端子を介して前記クロック信号が入力され、前記コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、前記クロック端子に入力される前記クロック信号を前記コモンモード信号生成回路に供給する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の差動信号出力装置。
【請求項4】
前記第1の制御信号および前記第2の制御信号は、前記差動信号出力装置の出力信号を評価するテスタにより供給される
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の差動信号出力装置。
【請求項5】
コモンモード信号テストモードにおいて、前記差動信号生成回路は、差動信号の論理を論理“0”もしくは論理“1”に固定する
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の差動信号出力装置。
【請求項6】
前記第2の制御回路は、前記コモンモード信号生成回路に対する前記クロック信号の供給を停止させ、または、前記コモンモード信号生成回路の動作電流を出力する電流源の動作を停止させることにより、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の差動信号出力装置。
【請求項7】
差動信号およびコモンモード信号を重畳して出力するための第1の送信端子および第2の送信端子と、差動信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力する差動信号生成回路と、コモンモード信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力するコモンモード信号生成回路と、を備える差動信号出力装置のテスト方法であって、
前記差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、
前記差動信号生成回路にデータ信号に応じた差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止した状態で、前記第1および第2の送信端子から出力される第1の信号と第1の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて前記差動信号を評価し、
前記コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、
前記差動信号生成回路に固定の差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記コモンモード信号生成回路にクロック信号に応じたコモンモード信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させた状態で、前記第1および第2の送信端子から出力される第2の信号と第2の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて前記コモンモード信号を評価する
ことを特徴とする差動信号出力装置のテスト方法。
【請求項8】
前記第1の閾値は、前記差動信号の最大値と最小値の中間の電圧であり、
前記第2の閾値は、前記コモンモード信号の最大値と最小値の中間の電圧であることを特徴とする請求項7に記載の差動信号出力装置のテスト方法。
【請求項9】
前記第1の信号と前記第1の閾値との比較結果に応じた論理と、前記差動信号テストモード時の前記データ信号に対応した第1の期待値とを比較することにより、前記差動信号を評価し、
前記第2の信号と前記第2の閾値との比較結果に応じた論理と、前記コモンモード信号テストモード時の前記クロック信号に対応した第2の期待値とを比較することにより、前記コモンモード信号を評価する
ことを特徴とする請求項7または8に記載の差動信号出力装置のテスト方法。
【請求項10】
前記コモンモード信号生成回路に対する前記クロック信号の供給を停止させ、または、前記コモンモード信号生成回路の動作電流を出力する電流源の動作を停止させることにより、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止する
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載の差動信号出力装置のテスト方法。
【請求項11】
差動信号およびコモンモード信号を重畳して出力するための第1の送信端子および第2の送信端子と、差動信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力する差動信号生成回路と、コモンモード信号を生成し前記第1および第2の送信端子に出力するコモンモード信号生成回路と、を備える差動信号出力装置のテスタであって、
前記差動信号を評価する差動信号テストモードにおいて、
前記差動信号生成回路にデータ信号に応じた差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止した状態で、前記第1および第2の送信端子から出力される第1の信号と第1の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて前記差動信号を評価し、
前記コモンモード信号を評価するコモンモード信号テストモードにおいて、
前記差動信号生成回路に固定の差動信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させ、且つ、前記コモンモード信号生成回路にクロック信号に応じたコモンモード信号を生成させて前記第1および第2の送信端子に出力させた状態で、前記第1および第2の送信端子から出力される第2の信号と第2の閾値とを比較し、この比較結果に基づいて前記コモンモード信号を評価する
ことを特徴とするテスタ。
【請求項12】
前記第1の閾値は、前記差動信号の最大値と最小値の中間の電圧であり、
前記第2の閾値は、前記コモンモード信号の最大値と最小値の中間の電圧であることを特徴とする請求項12に記載のテスタ。
【請求項13】
前記第1の信号と前記第1の閾値との比較結果に応じた論理と、前記差動信号テストモード時の前記データ信号に対応した第1の期待値とを比較することにより、前記差動信号を評価し、
前記第2の信号と前記第2の閾値との比較結果に応じた論理と、前記コモンモード信号テストモード時の前記クロック信号に対応した第2の期待値とを比較することにより、前記コモンモード信号を評価する
ことを特徴とする請求項11または12に記載のテスタ。
【請求項14】
前記コモンモード信号生成回路に対する前記クロック信号の供給を停止させ、または、前記コモンモード信号生成回路の動作電流を出力する電流源の動作を停止させることにより、前記コモンモード信号生成回路の動作を停止する
ことを特徴とする請求項11ないし13のいずれか一項に記載のテスタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−124573(P2012−124573A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271579(P2010−271579)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】