Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
差込溶接式管継手用構造材
説明

差込溶接式管継手用構造材

【課題】 溶接入熱の少しのバラつきでも、十分な溶込みが得られる差込溶接式管継手を提供する。
【解決手段】 差込口に配管が差し込まれ、すみ肉溶接される差込溶接式管継手用構造材であって、差込口の端面の内径側周囲に、すみ肉溶接時の溶接入熱で溶融する微小突起部を備え、当該微小突起部の先端部の内径側周囲には、差込口に配管が差し込まれた場合に配管の表面と離隔する離隔部が備わることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小突起を先端に備えることにより、溶け込み不良の発生を低減することを可能とした差込溶接式管継手用構造材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソケット溶接継手等の差込溶接式管継手は以前から作業段取りが容易なことから多くの継手で採用されている(例えば、特許文献1参照)。通常の配管の突合せ溶接では裏波を出す必要があり、溶接技術としても高度な技術・技量が要求される。一方、ソケット溶接継手はそこまでの技術・技量は要求されない。
【0003】
図5は、良好な溶け込みが行われたソケット溶接継手の軸方向断面を示す図である。ソケット1に配管2が差し込まれ、ソケット1の端面と配管2の表面との間に溶接欠陥(溶け込み不良)がなく、すみ肉溶接部Aが形成されている。
【0004】
ソケット溶接継手は、一般的には、差込み部の内径が11.0mmから90.0mm程度の小径配管に使用されているが、溶接作業者にとって突合せ溶接のような裏波を出す必要はないとの判断もあると思われるし、溶接技術管理上も、小径管の場合あまり溶接入熱を大きくすると、配管内面まで熱影響が及び材質的な劣化を招くため、一般的には小入熱で溶接が行なわれる。
【0005】
図6は、溶接欠陥(溶け込み不良)が生じているソケット溶接継手の軸方向断面を示す図である。ソケット1の端面と配管2の表面との間にすみ肉溶接部Bが溶接されているが、欠陥部Cが生じている。溶接すべき部分、即ちソケット1および配管2は、熱容量が大きいため、その熱容量に合った溶接入熱が与えられないと、図6に示すような溶込み不良などの欠陥が発生する。
【0006】
ソケット溶接継手の検査方法は一般的には、液体浸透探傷検査などの表面検査が行なわれるが、この検査法では溶込み不良などの溶接内部の欠陥は検出できない。放射線透過試験を用いれば、このような欠陥は検出できるが、放射線を用いるため管理区域の設定などが必要になり、準備の大変さや経費等を考慮すると、一般的に簡易な継手として採用されているソケット溶接継手に対して採用することは困難である。また、耐圧試験でも、少しの溶込み不良では検査に合格する場合も考えられる。
【0007】
このような溶込み不良があると、計画通りの強度が確保されず、使用中に漏洩を起す可能性があるため、溶込み不良の発生を抑える必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−118074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、ソケット溶接継手は小径配管に使用されることが多い。そのため、配管の設置場所が狭隘部であったり、部屋の壁や床に近接した場所に設置される事が多く、溶接姿勢が悪い場所での溶接作業となる場合も多い。そのため、溶接入熱のバラつきが発生しやすい。溶接入熱のバラつきにより、入熱が不足する(低くなりすぎる)と、上述したような溶込み不良が発生する可能性が高まるため、少しの入熱のバラつきに対しても、十分な溶込みが得られる継手設計が必要である。
【0010】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、溶接入熱がバラついた場合でも、十分な溶込みを得ることが可能となる差込溶接式管継手用構造材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、差込口に配管が差し込まれ、すみ肉溶接される差込溶接式管継手用構造材であって、差込口の端面の内径側周囲に、すみ肉溶接時の溶接入熱で溶融する微小突起部を備え、当該微小突起部の先端部の内径側周囲には、差込口に配管が差し込まれた場合に配管の表面と離隔する離隔部が備わることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の差込溶接式管継手用構造材によれば、構造材の溶接される端面に離隔部を有する小さな突起を設けることにより、溶接入熱がバラついて少し小さくなっても微小突起部分が十分溶融し、これにより問題となる溶込み不良の発生を低減した継手を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の差込溶接式管継手用構造材の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施形態の他の離隔部形状の例を示す断面図である。
【図3】本実施例の離隔部を備える微小突起形状と比較例の微小突起形状を示す図である。
【図4】本実施例の溶接状態の良否判定基準を示す図である。
【図5】良好な溶け込みが行われたソケット溶接継手例の軸方向断面を示す図である。
【図6】溶け込み不良が生じているソケット溶接継手例の軸方向断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態である差込溶接式管継手用構造材について、図を参照して詳細に説明をする。なお、以下の説明においては、ソケット溶接継手を例にあげて説明をするが、一般的な差込溶接継手等にも適用可能である。
【0015】
図1は、本発明の実施形態の差込溶接式管継手用構造材の形状を示す図である。
【0016】
ソケット101の差込口101bに配管102が差し込まれる構造のソケット溶接継手100において、ソケット101の差込口101bの端面の内径側周囲に微小突起部103を形成する。
【0017】
本実施形態のソケット(差込溶接式管継手構造材)101は、ソケット溶接継手100の溶接すべき箇所へ局部的に熱容量の小さな部分である微小突起部103を備え、溶接時溶接入熱のバラつきで溶接入熱が小さくなっても、微小突起部103自体がすみ肉溶接時の溶接入熱で十分に溶融して欠陥の発生を抑制することにより、溶込み不良の発生の可能性を下げ、良好な溶接継手を得ることが出来るようにしたものである。
【0018】
さらに、微小突起部103の先端部の内径側は面取された離隔部103aが形成される。ソケット101と配管102の交差コーナー部が密接に接触している場合には、溶接入熱が熱容量の大きい配管側に逃げてしまい、溶接入熱のバラつきを吸収しきれない可能性がある。本実施形態では、離隔部103aを設けることにより、配管102への溶接入熱の逃げを防止している。これにより、初層溶接時、溶接入熱がバラついて小さくなっても、容易に微小突起部が溶け込むことで、初層部は十分溶融し、溶込み不良の発生を低減できる。
【0019】
また、初層溶接を行う前には、ソケット101と配管102の位置を仮止めするため、何箇所かを仮付け溶接し、その後、全周を溶接する。この仮止めの際に、最初に仮付け溶接した側に配管が引き寄せられ、ソケット内面101bと配管102の外面が密着してしまう。この様な密着部分は、継手に必ず1箇所は存在することになるが、本発明では、離隔部103aを設けることにより、配管102への溶接入熱の逃げを防止し、溶込み不良の発生低減に大きな効果を発揮する。
【0020】
本実施形態の場合には、微小突起部103の断面形状は正方形とすることが好ましいが、加工性や溶接性の関係で、正方形でなくても良く、長方形や半円形状であっても良い。
【0021】
また、本実施形態では、微小突起部103の離隔部103aを面取形状としたがこれに限られず、配管102の外面と離隔可能な形状を有すればよい。例えば、図2(a)に示すような段差形状203bや図2(b)に示すような曲面形状303bを設けてもよい。なお、もともとソケット部品端面は面取り加工されているため、ソケット端面部外周側を削るだけで所望の形状が得られる点で、面取り形状が好適である。
【0022】
以上説明したように、本発明の各実施形態の差込溶接式管継手用構造材によれば、ソケット差込口の先端部に離隔部を備える微少突起部を設けることにより、溶接入熱の少しのバラつきでも、良好な溶込みの継手が得られ、使用中の配管内部の液体や気体の漏洩発生の可能性を低減することが可能となる。また、微小突起部の断面形状の例として三角形及び四角形を挙げたが断面形状はこれらに限られるものではなく、加工可能な形状であればよい。
【実施例】
【0023】
次に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0024】
本実施形態の離隔部の効果を確認するため、実施例である離隔部を設けた微小突起を有するソケット(図3(a))と、比較例である離隔部を設けない微小突起を有するソケット(図3(b))とで実際に溶接を行い、その断面をマクロ写真観察により溶け込みを確認した。なお、微小突起の外形寸法は1mm×1mmであり、面取はC0.5mmとした。本実施例では、離隔部の影響を効果的に確認するため、ソケット内面101bと配管102の外面が全周に渡って密着している状態で溶接を行った。
【0025】
溶接状態の良否判定基準を図4に示す。図に示すように、すみ肉溶接部Cの溶け込み量を示す溶込不足高さをマクロ写真から算出することにより溶け込み量を比較した。本図においては、溶け込み量がマイナスの場合に配管側に溶け込んでおり、「良」判定とし、さらにマイナス量が大きい場合に十分な溶け込みが行われたと判定する。
【0026】
試験条件は以下の通りである。本試験では溶接の欠陥が出易い条件を設定して、トーチを固定し、ソケット及び配管を回転して溶接した。
・設定電流:98A(標準)
・口径:25A
・配管:sch40 (材質SUS304)
・ソケット:sch80 (材質SUS304)
・入熱(目標):1000J/mm
・アース:ソケット側アース
・トーチ角度:52°(固定)
・フィラーワイヤ:φ1.2
【0027】
測定結果を表1に示す。
【表1】

【0028】
表からわかるように、離隔部を設けた微小突起を有するソケットと、離隔部を設けない微小突起を有するソケットの両者とも、溶込不足高さがマイナスとなり、溶込み不良の発生がなく、良好な溶接が行われた。ただし、本実施例の離隔部を設けた微小突起を有するソケットについては、離隔部を設けない微小突起を有するソケットと比較して、溶込不足高さのマイナス値が大きくなり、より良好な溶け込みがなされることが確認された。よって、本実施例の効果が確認された
【符号の説明】
【0029】
100:本発明の実施形態の差込溶接式管継手
101:ソケット
102:配管
103:微小突起部
103a:離隔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込口に配管が差し込まれ、すみ肉溶接される差込溶接式管継手用構造材であって、
前記差込口の端面の内径側周囲に、前記すみ肉溶接時の溶接入熱で溶融する微小突起部を備え、当該微小突起部の先端部の内径側周囲には、前記差込口に前記配管が差し込まれた場合に前記配管の表面と離隔する離隔部が備わることを特徴とする差込溶接式管継手用構造材。
【請求項2】
前記離隔部は、当該微小突起部の先端部の内径側周囲に形成された面取り形状であることを特徴とする請求項1に記載の差込溶接式管継手用構造材。
【請求項3】
前記離隔部は、当該微小突起部の先端部の内径側周囲に形成された段差形状、若しくは、曲面形状であることを特徴とする請求項1に記載の差込溶接式管継手用構造材。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−22624(P2013−22624A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160460(P2011−160460)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000230940)日本原子力発電株式会社 (130)
【Fターム(参考)】