説明

差込端付フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板の接続構造、および電子機器

【課題】高いシールド性能を得た上で、差し込みによって、接続相手のコネクタの筐体とシールド部とを導電接続させてインピーダンス整合をとることができる、差込端付フレキシブルプリント配線板等を提供する。
【解決手段】差込端付フレキシブルプリント配線板10は、コネクタに差し込むための差込端Kを備え、ベース絶縁層1および信号線3cを備え、差込端Kにおいて、ベース絶縁層1の、おもて面に信号線3c、31,35、かつ裏面にグランド部3g、31,35、が露出している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差込端付フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板の接続構造、および電子機器に関し、より具体的には、高いシールド性能を得た上で、差し込みによって、接続相手のコネクタにおける筐体と、シールド部とを導電接続することができる差込端付フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板の接続構造、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高周波信号、デジタル信号を扱う電子機器におけるノイズ防止やクロストーク防止のために、静電シールド、磁気シールド、電磁シールドなどの対策がとられる。フレキシブルプリント配線板においても、クロストークおよび電磁波雑音放射を共に防止するために、シールド層を構成する金属薄膜と、グランド配線とを導電性ペーストで接続する構造が提案されている(特許文献1)。
また、回路付サスペンション基板の端子についてインピーダンス整合をとるために、端子部のキャパシタンスを減少させるべく、配線部から延在する誘電体に対して開口部を端子部で設ける構造が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−283579号公報
【特許文献1】特開2004−363205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のフレキシブルプリント配線板によれば、磁気ヘッドを搭載するサスペンション基板等とはインピーダンス整合をとりながら接続することはできる。しかし、差し込みによって接続をとるコネクタとは、シールド部を相手の筐体に導電接続しながらインピーダンス整合をとることは不可能である。
本発明は、高いシールド性能を得た上で、差し込みによって、接続相手のコネクタの筐体とシールド部とを導電接続させてインピーダンス整合をとることができる、差込端付フレキシブルプリント配線板、フレキシブルプリント配線板の接続構造、および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の差込端付フレキシブルプリント配線板は、コネクタに差し込むための差込端を備える。この差込端付フレキシブルプリント配線板は、ベース絶縁層および信号線を備え、差込端において、ベース絶縁層の、おもて面に信号線、かつ裏面にグランド部、が露出していることを特徴とする。
【0006】
上記の構成によって、フレキシブルプリント配線板の差込端をコネクタに差し込むことによって、フレキシブルプリント配線板のグランド部を、コネクタでのグランド部を構成する筐体にアースすることができ、インピーダンス整合を好適にとることができる。この差し込みの際、おもて面の信号線は、当然、コネクタ側の対応する信号線と導電接続する。上記のコネクタは、フレキシブルプリント配線板の信号線と導電接続する導電端子を有し、筐体がグランド部となることを前提とする。
【0007】
グランド部は、ベース絶縁層の裏面におけるグランドパターンからなるか、またはグランドパターンと該グランドパターンに導電性接着剤で積層された金属板とから形成される、構成をとることができる。これによって、視認しながらヒトの指を用いての差し込みのし易さ等を考慮して、コネクタの受け口の大きさ等を決め、それに応じて、フレキシブルプリント配線板の差込端の厚み、したがってグランドパターンのままか、厚みを増す金属板を積層するか、選択することができる。別の因子として、差し込み頻度および耐久性(摩耗、変形など)を考慮して、強度的に優れる金属板の積層を選択することができる。ここで、グランド部は、どのような形態でもよい。
【0008】
信号線およびグランドパターンのうち、少なくとも信号線が金めっきされているようにできる。これによって、おもて面での露出が必須である信号線について、表面性状を導電接触に良好な状態に保つことができる。すなわち、金めっき層によって酸化層などの生成を防ぎ、導電接触しやすい状態を維持することができる。また、腐食による強度的な劣化も防止することができる。また、裏面においてグランドパターンが露出する場合、信号線と同様のことがいえる。ただし、金属板を積層する場合、金属板が露出面を構成するので、金めっき層はあってもよいが、なくても耐食性等が劣化することはない。
【0009】
シールド導電層を備え、グランド部は、該シールド導電層と導電接続している構成をとることができる。これによって、シールド導電層と、コネクタでのグランド部を構成する筐体とを導電接続することができ、インピーダンス整合を好適にとることができる。この場合、グランド部はシールド導電層と導電接続している。またグランドパターンは、シールド導電層と導電接続している、ベース絶縁層に張られた銅箔、ベース絶縁層上に形成された導電層をパターン化したもの、または、これらにめっき層がめっきされたもの、などをさす。
【0010】
本発明のフレキシブルプリント配線板の接続構造は、フレキシブルプリント配線板とコネクタとの接続構造である。この接続構造では、フレキシブルプリント配線板に差込端が設けられ、その差込端において、ベース絶縁層のおもて面側に信号線が、かつ裏面側にグランド部が、位置し、コネクタは、矩形断面の筒状または袋状の受け口を備え、その受け口は、接続端子が配置された本体部と、その本体部に取り付けられる導電性の筐体とで構成され、差込端を受け口に差し込んだ状態において、信号線は接続端子に、グランド部は筐体に、導電接触することを特徴とする。
【0011】
上記の構成によって、フレキシブルプリント配線板ではシールド導電層によって電磁ノイズやクロストークを防止しながら、そのシールド導電層に導電接続するグランド部を、コネクタへの差し込みによってそのコネクタのグランド部である筐体にスムースに導電接続することができる。この結果、フレキシブルプリント配線板とコネクタとのインピーダンス整合を好適にとることができる。コネクタについては、高速シリアル伝送回路の全てのコネクタに適用できる。たとえばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)、SATA(Serial Advanced Technology Attachment)、IEEE(アイトリプルイー)などのコネクタに適用可能である。一例を挙げれば、USB1.1やUSB3.0などのコネクタがあるが、言うまでもなくこれに限定されない。
【0012】
本発明の電子機器は、上記のいずれかの差込端付フレキシブルプリント配線板またはいずれかのフレキシブルプリント配線板の接続構造を用いたことを特徴とする。これによって、フレキシブルプリント配線板のグランド部と、コネクタでの筐体とを導電接続することができ、インピーダンス整合を好適にとることができる。この場合、電子機器は何でもよく、高速シリアル伝送回路の全てに適用することができる。たとえば、HDMI、SATA、IEEEなどに用いることができる。さらに具体的な例を挙げれば、たとえばマウス、キーボード、外付け記録装置、プリンタ、携帯機器の充電装置、HDカメラ、フラッシュメモリを含む携帯機器、SSD、Webカメラ等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高いシールド性能を得た上で、差し込みによって、接続相手のコネクタの筐体とシールド部とを導電接続させてインピーダンス整合をとることができる、差込端付フレキシブルプリント配線板等を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における差込端付フレキシブルプリント配線板を、コネクタに差し込む状況を説明するための斜視図である。
【図2】図1の差込端付フレキシブルプリント配線板の差込端を示し、(a)は差込端付近の平面図(おもて面)、(b)は(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図である。
【図3】図1の差込端付フレキシブルプリント配線板の本体の幅端部における断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2における差込端付フレキシブルプリント配線板の差込端付近の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における差込端付フレキシブルプリント配線板10の差込端Kを、コネクタ50に差し込む状況を示す斜視図である。コネクタ50は、信号線に導電接続する端子部51cを含む本体51と、金属製の筐体52とに分離して表示してあり、実際は、本体51と筐体52とは結合して、袋状の受け口を形成する。フレキシブルプリント配線板10の差込端Kは、その受け口に差し込まれる。図1において、フレキシブルプリント配線板10の差込端Kでは、裏面に露出する金属板37が示されている。信号線は、おもて面にあり、図1では見えない。金属板37は、このあと説明するように、フレキシブルプリント配線板10のシールド導電層に導電接続されている。金属板37は、差し込みによって、コネクタ50の接地電位に保持された筐体52に導電接触して、インピーダンス整合をとりやすくする。
ここで、上記のコネクタが用いられる電子機器は何でもよく、高速シリアル伝送回路の全てに適用することができる。たとえば、HDMI、SATA、IEEEなどに用いることができる。さらに具体的な例を挙げれば、たとえばマウス、キーボード、外付け記録装置、プリンタ、携帯機器の充電装置、HDカメラ、フラッシュメモリを含む携帯機器、SSD、Webカメラ等を挙げることができる。上記のように、USBコネクタには限定されない。
【0016】
図2は、本発明の実施の形態における差込端付フレキシブルプリント配線板10を示し、(a)は差込端K付近の平面図であり、(b)は、(a)におけるIIB−IIB線に沿う断面図である。
図2(a)において、カバーレイ5およびその接着剤層4は、もともと差込端Kに積層されていないが、本体部Hでは実際は積層されているが省略されている。信号線3cは、図2(a)に示すように、線のパターンとされ、各信号線3cに電気信号が流される。おもて面では、信号線3cごとにスルーホールめっき層31と、その上の金めっき層35とが積層されている。ベース絶縁層1の裏面には、銅箔がグランド層3gを形成し、そのグランド層3g上に、スルーホールめっき層31と金めっき層35とがそのグランド層3g上に積層されている。本実施の形態では、グランド層3g(31,35)に金属板37が導電接着剤36で積層されている点に特徴を有する。すなわち差込端Kではベース絶縁層1の裏面側に、グランド層3gに導電接続された金属板37が露出する。差込端Kは、差し込みの際、図1に示すように、コネクタ50の受け口にスムースに差し込まれ、差込端Kの裏面の金属板37は、やはりスムースにコネクタ50の筐体52に導電接続される。
【0017】
図3は、上記のフレキシブルプリント配線板10の本体部Hにおける幅の端部分の断面図である。図2に示すように、シールド導電部S(8,9)は開口部15においておもて面に位置するグランドパターン3g,31,35に導電接続される。そして、おもて面のグランドパターン3g,31,35は、スルーホール1hの壁面を伝って裏面のグランドパターン3g、31,35に導通する。この裏面のグランドパターン3g,31,35は、差込端Kにおけるグランドパターンへと延在する。
【0018】
上記のコネクタ50における接続構造は、次のようにまとめられる。
(接地側):コネクタの筐体52//フレキシブルプリント配線板の金属板37/グランドパターン3g,31,35/シールド導電層S(8,9)
(信号線):コネクタの端子部51c//フレキシブルプリント配線板の信号線3c
上記の構造によれば、フレキシブルプリント配線板10の本体Hでは、シールド導電層Sによって、電磁波の放射や侵入およびクロストーク、を防止しながら、コネクタ50に差込端Kを差し込むことで、簡単に、コネクタの筐体52とフレキシブルプリント配線板10のグランド電位を共通にすることができる。この結果、フレキシブルプリント配線板10とコネクタ50とのインピーダンス整合を容易にとることができる。
【0019】
また金属板37を配置することで、フレキシブルプリント配線板10の差込端Kの厚みを大きくできるので、視認しながらヒトの指を用いての差し込みのし易さ、および、その他の理由、をも考慮して、コネクタ50の受け口の厚みを大きくすることができる。また、金属板37を用いることで、差し込みおよび引き抜き等の繰り返しに起因する摩耗、変形、腐食などに対して、耐久性を向上させることができる。
【0020】
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態における差込端付フレキシブルプリント配線板10の差込端K付近の縦断面図である。実施の形態1の図2(b)に対応する部分の断面図である。実施の形態1では、ベース絶縁層1の裏面に位置する、銅箔等のグランドパターン3g,31,35に導電性接着剤36によって金属板37が積層されていた。本実施の形態では、金属板37を積層することなく、銅箔等のグランドパターン3g、31,35をそのまま露出させておく。したがって、図1に示すようなコネクタ50への差し込みにおいて、このグランドパターン3g、31,35が、コネクタ50の筐体52に導電接触することになる。フレキシブルプリント配線板10およびコネクタ50のグランド部どうしが導電接触することになる。また、フレキシブルプリント配線板10のおもて側の信号線3c,31,35が、コネクタの接続端子に導電接触することは、差し込みの前提である。
【0021】
本実施の形態では、差込端Kの裏面に金属板を配置せずに、グランドパターン3g,31,35のままにした点が、実施の形態1と相違するだけであり、その他の点では実施の形態1と共通する。本実施の形態によっても、フレキシブルプリント配線板10の本体Hでは、シールド導電層Sによって、電磁波の放射や侵入およびクロストーク、を防止しながら、コネクタ50に差込端Kを差し込むことで、簡単に、コネクタの筐体52とフレキシブルプリント配線板10のグランド電位を共通にすることができる。この結果、フレキシブルプリント配線板10とコネクタ50とのインピーダンス整合を容易にとることができる。
【0022】
本実施の形態のように、グランドパターン3g,31,35を差込端Kの裏面に露出させる場合、スルーホールめっき層31および金めっき層35は、酸化防止など耐食性の向上、強度補強(変形防止)など、耐久性の向上に有効に作用する。とくに金めっき層35は酸化防止などの耐食性向上に有効であり、コネクタとの導電接触不良を防止することができる。
【0023】
上記において、本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態および実施例は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明の差込端付フレキシブルプリント配線板によれば、差込端の裏面にグランド部を露出させることで、本体部で高いシールド性能を得た上で、差し込みによって、接続相手のコネクタの筐体とグランド部とを導電接触させてインピーダンス整合を容易にとることができる。
【符号の説明】
【0025】
1 ベース絶縁層、1h スルーホール、3c 配線(銅箔)、3g グランドパターン(銅箔)、4 絶縁接着層、5 カバーレイ、8 導電接着層、9 シールドフィルム、10 差込端付フレキシブルプリント配線板、15 開口部、31 スルーホールめっき層、35 金めっき層、36 導電性接着剤、37 金属板、50 コネクタ、51 コネクタ本体、51c 導電端子、52 コネクタ金属筐体、H フレキシブルプリント配線板の本体、K 差込端、S シールド部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタに差し込むための差込端を備える差込端付フレキシブルプリント配線板であって、
ベース絶縁層および信号線を備え、
前記差込端において、前記ベース絶縁層の、おもて面に前記信号線、かつ裏面にグランド部が露出していることを特徴とする、差込端付フレキシブルプリント配線板。
【請求項2】
前記グランド部は、前記ベース絶縁層の裏面におけるグランドパターンからなるか、または前記グランドパターンと該グランドパターンに導電性接着剤で積層された金属板とから形成される、ことを特徴とする、請求項1に記載の差込端付フレキシブルプリント配線板。
【請求項3】
前記信号線および前記グランドパターンのうち、少なくとも信号線が金めっきされていることを特徴とする、請求項2に記載の差込端付フレキシブルプリント配線板。
【請求項4】
シールド導電層を備え、前記グランド部は、該シールド導電層と導電接続していることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の差込端付フレキシブルプリント配線板。
【請求項5】
フレキシブルプリント配線板とコネクタとの接続構造であって、
前記フレキシブルプリント配線板の端に差込端が設けられ、その差込端において、ベース絶縁層のおもて面側に信号線が、かつ裏面側にグランド部が、位置し、
前記コネクタは、矩形断面の筒状または袋状の受け口を備え、その受け口は、接続端子が配置された本体部と、その本体部に取り付けられる導電性の筐体とで構成され、
前記差込端を前記受け口に差し込んだ状態において、前記信号線は前記接続端子に、また前記グランド部は前記筐体に、導電接触することを特徴とする、フレキシブルプリント配線板の接続構造。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の差込端付フレキシブルプリント配線板、または請求項5に記載のフレキシブルプリント配線板の接続構造を用いたことを特徴とする、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159880(P2011−159880A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21577(P2010−21577)
【出願日】平成22年2月2日(2010.2.2)
【出願人】(500400216)住友電工プリントサーキット株式会社 (197)
【Fターム(参考)】