説明

巻き芯

【課題】長状材を巻付けて保管・運搬でき、必要に応じて、巻き付けた長状材から簡単に取り除くことができる巻き芯を提供する。
【解決手段】少なくとも2つの壁体1,2を組み合わせて筒状を成す巻き芯10であって、第1壁体1を第2壁体2に対して縦方向第1側T1にスライドさせて第1壁体1の位置決め端面が第2壁体2の位置決め端面に止められることによって、第1壁体1と第2壁体2が組み合わされ、且つ、第1壁体1を第2壁体2に対して縦方向第2側T2にスライドさせることにより、第1壁体1と第2壁体2を分離できるように構成されており、第1壁体1と第2壁体2が組み合わされた状態において、第1壁体1の端縁が、第2壁体2の端縁2bよりも縦方向第1側T1及び縦方向第2側T2の少なくとも何れか一方側に突出されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル連続体やテープなどの長状材を巻き付けるために用いられる巻き芯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、飲料容器などに被せて熱収縮装着される、熱収縮性筒状ラベルが知られている。かかる熱収縮性筒状ラベルにおいては、通常、その複数が長手方向に繋がり且つ使用時に個々の筒状ラベルに切断される筒状ラベル連続体の形態でラベラーに供給される。
このような筒状ラベル連続体は、長尺状であるので、通常、巻き芯の周囲に巻き付けた状態(ロール品)として保管・運搬に供される。
そして、使用時には、前記ロール品から筒状ラベル連続体を引き出し、所定長さで切断して個々の熱収縮性筒状ラベルを得た後、それを容器などの被着体に順次装着していく。
【0003】
機械的連続工程にて熱収縮性筒状ラベルを装着する場合、前記ロール品の複数個をロールフィーダに装填し、ロールフィーダによって引き出された筒状ラベル連続体をラベラーに供給し、ラベラーにて熱収縮性筒状ラベルの装着作業が順次連続的に行われる。
このロールフィーダにロール品を装填する際、全てのロール品の筒状ラベル連続体を1本に繋ぐ場合がある。具体的には、個々のロール品について、その巻き芯を引き抜くことによって巻き状態の筒状ラベル連続体のみを取り出す。そして、1つの巻き状態の筒状ラベル連続体の外側端部(引出し端部)ともう1つの巻き状態の筒状ラベル連続体の内側端部(巻取り端部)とを繋ぎ合わせていき、複数の巻き状態の筒状ラベル連続体が長手方向に繋がった1本の長尺物を形成する。
この長尺物をロールフィーダに装填し、ロールフィーダから前記1本の長尺物がラベラーに供給されることによって、個々の熱収縮性筒状ラベルを順次連続的且つ効率的に被着体に装着できるようになる。
【0004】
ところで、前記ロール品においては、巻き芯に筒状ラベル連続体が巻き付いているので、その巻き芯のみを引き抜くことは困難である。
この点、特許文献1には、長状材が巻回された円筒状の巻芯体であって、複数の湾曲体が可撓性を有する薄肉部を介して連設され、湾曲体の左右の接合端面同士を連結することにより円筒形態となり、1つの接合端面を内側方向に入り込ませることにより巻芯体の口径を小さくして、巻回された長状材から抜き取ることができる巻芯体が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の巻芯体を長状材から抜き取る際には、隣接する湾曲体を内側方向に押し込み、両湾曲体を折り曲げるので、何度か使用しているうちに、ヒンジ部である薄肉部が破断し易いという問題点がある。
さらに、特許文献1の巻芯体は、長状材を巻き付ける際、巻芯体には外側から内側に押圧力が加わるので、湾曲部の接合端面が内側に位置ずれするおそれがある。このため、特許文献1の巻芯体においては、長状材を強く巻き付けることができない。加えて、巻芯体に長状材が巻き付けられたロール品についても、外側から内側に押されることがあり、ロール品の運搬中などに巻芯体の口径が小さくなり、長状材から巻芯体が抜けるおそれもある。
【0006】
また、特許文献2には、縦方向に延びる左右の垂直面を有し、一方の垂直面に棒形状の結合突起が設けられ且つ他方の垂直面に掛け溝が設けられた複数の切れ板からなり、1つの切れ板の結合突起に他の切れ板の掛け溝を嵌入することにより円筒状に組み立てられたボビンが開示されている。
かかる特許文献2のボビンは、その外面を押圧することにより、結合突起と掛け溝の結合部分に応力が集中して隣接する切れ板が山型状又は平坦状になるので、結合部分が解除されて個々の切れ板に分離できる。
【0007】
しかしながら、特許文献2のボビンにおいては、外面に押圧力を加えて隣接する切れ板を山型状又は平坦状にして結合部分を解除するので、結合突起又は掛け溝が破損し易いという上記特許文献1と同様な問題点がある。
さらに、特許文献2のボビンに長状材を巻き付け、これを保管・運搬している途中でボビンに押圧力が加わると、結合突起と掛け溝の結合部分に応力が集中し、ボビンが分解するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−226470号公報
【特許文献2】特開2003−212439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、長状材を巻付けて保管・運搬でき、必要に応じて、巻き付けた長状材から簡単に取り除くことができる巻き芯を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の巻き芯は、少なくとも2つの壁体を組み合わせて筒状を成す巻き芯であって、第1壁体を第2壁体に対して縦方向にスライドさせることにより、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされて筒状を成すように構成されており、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされた状態において、前記第1壁体の端縁が、前記第2壁体の端縁よりも前記縦方向第1側及び縦方向第2側の少なくとも何れか一方側に突出されている。
【0011】
上記本発明の巻き芯は、長状材を巻き付けて使用される。
本発明の巻き芯は、第1壁体の端縁が第2壁体の端縁よりも縦方向第1側及び縦方向第2側の少なくとも何れか一方側に突出されているので、その突出部を押し出し又は引き出すことによって、第1壁体を第2壁体から外すことができる。
筒状の巻き芯を構成する第1壁体を第2壁体から取り外すと、巻き芯は筒状を維持できなくなるので、事後、簡単に長状材から巻き芯を取り外すことができる。
【0012】
本発明の好ましい巻き芯は、前記第1壁体及び第2壁体がそれぞれ位置決め端面を有し、前記第1壁体を第2壁体に対して縦方向第1側にスライドさせて第1壁体の位置決め端面が第2壁体の位置決め端面に止められることによって、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされて筒状を成し、且つ、前記第1壁体を前記第2壁体に対して縦方向第2側にスライドさせることにより、前記第1壁体と第2壁体を分離できるように構成されている。
【0013】
かかる好ましい巻き芯は、第1壁体を第2壁体に対して縦方向第1側にスライドさせると第1壁体の位置決め端面が第2壁体の位置決め端面に止められるので、第1壁体及び第2壁体を所定の位置に押し込んで巻き芯を容易に組み立てることができる。
かかる巻き芯は、例えば、第1壁体の端縁が第2壁体の端縁よりも縦方向第1側に突出されている場合には、突出部を押し込み、第1壁体を縦方向第2側へ押し出すことにより、第1壁体と第2壁体を簡単に分離できる。一方、第1壁体の端縁が第2壁体の端縁よりも縦方向第2側に突出されている場合には、突出部を持ち、第1壁体を縦方向第2側へ引き出すことにより、第1壁体と第2壁体を簡単に分離できる。
【0014】
本発明の好ましい巻き芯は、前記第1壁体の位置決め端面には、縦方向第1側に突設された差込み部又は縦方向第2側に凹んだ受入れ凹部が設けられ、且つ、前記第2壁体の位置決め端面には、前記第1壁体の差込み部を差込み可能な受入れ凹部又は前記第1壁体の受入れ凹部に差込み可能な差込み部が設けられている。
【0015】
かかる好ましい巻き芯は、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされた際に、第1壁体の位置決め端面に設けられた差込み部又は受入れ凹部が、第2壁体の位置決め端面に設けられた受入れ凹部又は差込み部に嵌合される。このため、第1壁体及び第2壁体が周方向に動くことなく、両壁体が確実に連結される。かかる好ましい巻き芯は、長状材の巻付け時又はそれを巻き付けて保管・運搬した時に、両壁体が互いに外れ難く、良好な筒状を維持できる。
【0016】
本発明の好ましい巻き芯は、前記第1壁体及び第2壁体には、その周方向両側にそれぞれ側部接合端面が多段状に形成されており、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされた状態において、前記第1壁体の多段状の側部接合端面と第2壁体の多段状の側部接合端面とが接合されている。
【0017】
かかる好ましい巻き芯は、第1壁体の側部接合端面と第2壁体の側部接合端面との接合継ぎ目が多段状に生じる。このため、巻き芯の外周面から中心方向に押圧力が加わっても、その応力が、巻き芯の円周上の一箇所の接合継ぎ目に集中せず、巻き芯の周方向に多数に分散される。かかる巻き芯は、長状材の巻付け時又はそれを巻き付けて保管・運搬した時に、両壁体が外れ難く、良好な筒状を維持できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の巻き芯は、それを構成する第1壁体を第2壁体から簡単に分離できる。第1壁体を外した後の巻き芯は筒状を維持できないので、本発明によれば、巻き付けた長状材から簡単に取り外すことができる巻き芯を提供できる。
さらに、本発明の好ましい巻き芯は、耐荷重性に優れており、長状材の巻付け時又は巻付け後に、良好な筒状を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る巻き芯の斜視図。
【図2】本発明の第1壁体(突出部を有する壁体)の正面図。
【図3】同第1壁体の背面図。
【図4】同第1壁体の上面図。
【図5】図2のV−V線で切断した拡大断面図。
【図6】図2のVI−VI線で切断した拡大断面図。
【図7】図3のVII−VII線で切断した端面図。
【図8】図3のVIII−VIII線で切断した端面図。
【図9】図4の一部分を拡大した上面図。
【図10】本発明の第2乃至第4壁体(突出部を有しない壁体)の正面図。
【図11】壁体を組み合わせて筒状の巻き芯を成す手順の一例を示す斜視図。
【図12】巻き芯を分解する手順の一例を示す斜視図。
【図13】本発明の他の実施形態に係る巻き芯の斜視図。
【図14】本発明の他の実施形態に係る巻き芯の斜視図。
【図15】本発明の他の実施形態に係る巻き芯の斜視図。
【図16】本発明の他の実施形態に係る壁体の正面図。
【図17】本発明の他の実施形態に係る壁体の正面図。
【図18】本発明の他の実施形態に係る巻き芯の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ただし、本明細書において、「縦方向」は、筒状の巻き芯の軸長方向であり、「周方向」は、筒状の巻き芯の周方向である。なお、壁体の説明においての「縦方向」は、壁体を組み合わせて巻き芯としたときに、その軸長方向となる方向であり、壁体の説明においての「周方向」は、壁体を組み合わせて巻き芯としたときに、その周方向となる方向である。
各部の用語の接頭語として、第1、第2などを付す場合があるが、この接頭語は、用語を区別するために付加されたものであり、各部の優劣などを意味しない。
また、本明細書において、「AAA〜BBB」という記載は、「AAA以上BBB以下」を意味する。
【0021】
図1において、本発明の巻き芯10は、少なくとも2つ(複数)の壁体1,2を有し、これらの壁体1,2を組み合わせて筒状に形成されている。
これらの壁体1,2を縦方向にスライドさせて互いに組み合わすことにより、筒状の巻き芯10が得られる。一方、筒状を成した巻き芯10において、複数の壁体の少なくとも1つを縦方向にスライドさせてその壁体を取り外すことにより、巻き芯10の筒状を崩すことができる。
この巻き芯10の外周面には、長状材が巻き付け可能である。
長状材は、特に限定されず、例えば、粘着ラベルの複数が長尺状の離型紙上に並んで仮貼付されたラベル連続体、ラベルの複数が長手方向に繋がり且つ使用時に個々のラベルに切断されるラベル連続体、熱収縮性筒状ラベル又はストレッチ性筒状ラベルの複数が長手方向に繋がり且つ使用時に個々の筒状ラベルに切断される筒状ラベル連続体、長尺状のテープ、長尺状の紐などが挙げられる。
【0022】
巻き芯10は、軸芯部分が空洞となった筒状であれば、その具体的形状は特に限定されず、図1に示すような、円筒状でもよいし、或いは、特に図示しないが、四角筒状や六角筒状などの多角筒状、楕円筒状などに形成されていてもよい。
円筒状の巻き芯10の外周面は、上面視(縦方向第1側T1から第2側T2に向かって巻き芯10を見たとき)で円を成しており、好ましくは、その内周面も上面視で円を成している。なお、前記円は、厳密な真円という意味ではなく、概ね円形と認められるという意味である。
本発明の巻き芯10が円筒状又は楕円筒状である場合には、複数の壁体1,2は、その外面が湾曲面とされる。
また、巻き芯10が円筒状である場合、その半径は巻き付ける長状材に応じて適宜設計されるが、例えば、長状材として上記ラベル連続体や筒状ラベル連続体を巻き付ける場合には、その半径(中心点から外周面の一点までの直線長さ)は、3cm〜20cmである。
【0023】
巻き芯10は、複数の壁体1,2から構成されており、巻き芯10は、その縦方向第1側T1において上面視で円状の一方の周端縁と、その縦方向第2側T2において上面視で円状の他方の周端縁と、を有する。
巻き芯10の両方の周端縁は、前記複数の壁体1,2の各端縁1a,1b,2a,2bの組み合わせから構成されている。
【0024】
巻き芯10を構成する複数の壁体1,2は、周方向両側(周方向第1側S1及び周方向第2側S2)において、縦方向に延びる側部接合端面をそれぞれ有し、隣接する壁体1,2の側部接合端面同士を接合して接合継ぎ目5a,5b,5c,5dを形成することによって、筒状体を成す。一方、前記接合継ぎ目5a,…の接合を解除することにより、個々の壁体1,2に分離できる。
さらに、巻き芯10を構成する複数の壁体1,2は、周方向に延びる位置決め端面を有する。1つの壁体を他の壁体に対して縦方向第1側T1にスライドさせ、1つの壁体の位置決め端面を他の壁体の位置決め端面に止めてストップ継ぎ目6a,6b,6cを形成することによって、複数の壁体1,2が組み合わされる(筒状の巻き芯10を成す)。一方、前記1つの壁体を縦方向第2側T2にスライドさせることにより、ストップ継ぎ目6a,…の止めが解除されて、個々の壁体1,2に分離できる。
【0025】
ここで、本発明において、1つの壁体(例えば、第1壁体1)を他の壁体(例えば、第2壁体2)に対して縦方向第1側T1にスライドさせるという意味は、1つの壁体と他の壁体を相対移動させることであり、(1)他の壁体を動かさず、1つの壁体のみを縦方向第1側T1にスライドさせること、(2)1つの壁体を動かさず、他の壁体のみを縦方向第2側T2にスライドさせること、(3)1つの壁体を縦方向第1側T1にスライドさせ且つ他の壁体を縦方向第2側T2にスライドさせること、が含まれる。
また、1つの壁体(例えば、第1壁体1)を他の壁体(例えば、第2壁体2)に対して縦方向第2側T2にスライドさせるという意味は、1つの壁体と他の壁体を相対移動させることであり、(4)他の壁体を動かさず、1つの壁体のみを縦方向第2側T2にスライドさせること、(5)1つの壁体を動かさず、他の壁体のみを縦方向第1側T1にスライドさせること、(6)1つの壁体を縦方向第2側T2にスライドさせ且つ他の壁体を縦方向第1側T1にスライドさせること、が含まれる。
【0026】
本実施形態では、巻き芯10は、4つの壁体1,2,3,4から構成されている。
このうちの3つの壁体2,3,4は同一であり、残る1つの壁体1は、突出部1cが設けられていることを除いて、前記3つの壁体2,3,4と同一である。
以下、突出部が設けられている壁体を「第1壁体」といい、突出部が設けられていない3つの壁体を順に「第2壁体」、「第3壁体」及び「第4壁体」といい、全ての壁体に共通する事項を説明するときには、「壁体」という。また、「第2壁体乃至第4壁体」を「第2壁体等」という場合がある。
【0027】
本実施形態では、第2壁体乃至第4壁体2,3,4を組み合わせて構成される主壁体に、補完壁体である第1壁体1を縦方向第1側T1にスライドさせて組み合わせることにより、筒状の巻き芯10が得られる。
【0028】
図2は、前記第1壁体の正面図であり、図3乃至図9は、前記第1壁体の構成の詳細を説明するための図である。図10は、前記第2壁体の正面図である(ただし、第3壁体及び第4壁体も同じである)。
第2壁体等については正面図以外の図面を提示していないが、これらの詳細は、突出部の有無を除いて、第1壁体と同様であるので、第1壁体の詳細説明図(図3乃至図9)のみを示している。従って、図10の正面図に表れていない構成については、突出部を除いて、図3乃至9と同様であるので、便宜上、それを参照されたい。
【0029】
第1壁体1には、縦方向第1側T1及び縦方向第2側T2の少なくとも何れか一方側に突出部1cが設けられている点を除いて、第1壁体1と第2壁体2等は、同じ構造を有する。
例えば、第1壁体1の縦方向長さは第2壁体2等の縦方向長さよりも長く、この縦方向長さの差分に相当する部分が、第1壁体1の突出部1cとされている。なお、図2において、判りやすくするために、突出部1cを薄墨塗りで示している。
【0030】
各壁体1,2は、その外面及び内面が湾曲面とされている。ある1つの壁体の外面を他の壁体の内面上に載せることにより、重ねて保管・運搬することができる。
各壁体1,2は、それぞれ、縦方向両側(縦方向第1側T1及び縦方向第2側T2)に、周方向に延びる一端縁1a,2aと他端縁1b,2bとを有する。
各壁体1,2の一端縁1a,2a及び他端縁1b,2bは、周方向と略平行に延びている(図2及び図10に示す、正面視で直線状)。もっとも、各壁体1,2の一端縁1a,2a及び他端縁1b,2bは、周方向に延びていることを条件として、周方向と略平行である場合に限られず、周方向に対して若干傾斜していてもよいし、或いは、正面視で直線状でなく、正面視で弧状などに形成されていてもよい。
【0031】
各壁体1,2の一端縁1a,2aの長さは、他端縁1b,2bの長さよりも短い。従って、各壁体1,2は、他端縁1b,2bを下にしたときに概略山型状とされている。
各壁体1,2の周方向両側(周方向第1側S1及び周方向第2側S2)には、側部接合端面511L,511R,521L,521R,…及び位置決め端面611L,611R,621L,621R,…がそれぞれ形成されている。周方向両側における一対の側部接合端面511L,511R,521L,521R,…は、それぞれ縦方向に延び、さらに、縦方向と略平行な直線状に形成されていることが好ましい。側部接合端面511L,…が縦方向に略平行に形成されていることにより、壁体1,2の各側部接合端面における連結強度が増す。周方向両側における一対の位置決め端面611L,611R,621L,621R,…は、それぞれ周方向に延び、さらに、周方向と略平行(正面視で直線状)に形成されていることが好ましい。
【0032】
本実施形態では、各壁体1,2の側部接合端面511L,…及び位置決め端面611L,…は、壁体の周方向両側において、それぞれ複数設けられている(多段状に設けられている)。以下、複数の側部接合端面及び位置決め端面を、壁体1,2の他端縁1b,2bから一端縁1a,2a側に向かって順に、第1、第2の接頭語を付して区別する。
例えば、各壁体1,2の周方向第1側S1には、左側の第1乃至第4側部接合端面511L,512L,513L,514L,521L,522L,523L,524Lが多段状に形成されており、且つ、各壁体1,2の周方向第2側S2には、右側の第1乃至第4側部接合端面511R,512R,513R,514R,521R,522R,523R,524Rが多段状に形成されている。
上下に隣接する側部接合端面511L,512L,…の間に、それぞれ、各壁体1,2の第1乃至第3位置決め端面611L,612L,613L,611R,612R、613R,621L,622L,623L,621R,622R、623Rが形成されている。
従って、各壁体1,2の周方向両側の縁形状は、他端縁1b,2bから一端縁1a,2aに向かって互いに近づく階段状とされている。
【0033】
各壁体1,2において、一対の第1側部接合端面511L,511R,521L,521Rは、周方向で向かい合っており、一対の第2乃至第4側部接合端面512L,512R,522L,522R,…も同様に、周方向で向かい合っている。各壁体1,2において、周方向両側における一対の第1位置決め端面611L,611R,621L,621Rは、互いに周方向延長線上に位置しており、一対の第2及び第3位置決め端面612L,612R,622L,622R,…も同様に、互いに周方向延長線上に位置している。
各壁体1,2の第1乃至第4側部接合端面511L,…の縦方向長さは、適宜設計できる。本実施形態では、第1乃至第4側部接合端面511L,…の縦方向長さは、それぞれ巻き芯10の縦方向長さの1/5倍〜1/3倍程度に形成される。
ただし、第1壁体1の第4側部接合端面514L,514Rの縦方向長さは、第2壁体2等の第4側部接合端面524L,524Rの縦方向長さよりも長く形成されている(図2と図10を比べると、その差が明らかである)。つまり、第1壁体1と第2壁体2等とを重ね合わせると、第1壁体1の一端縁1aは第2壁体2等の一端縁2aよりも外側に突出し、この差分に相当する部分が、第1壁体1の突出部1cである。
【0034】
各壁体1,2の一対の側部接合端面間の間隔(周方向における間隔)は、一対の第1側部接合端面511L,511R,521L,521R間の間隔が最も大きく、順に小さくなり、一対の第4側部接合端面514L,514R,524L,524R間の間隔が最も小さくなっている。よって、複数の側部接合端面511L,…は、周方向の外側に変位している。
具体的には、一対の第1側部接合端面511L,511R,521L,521Rは、一対の第2側部接合端面512L,512R,522L,522Rよりも、周方向両側に位置ずれしており(周方向の外側に変位しており)、一対の第2側部接合端面512L,512R,522L,522Rは、一対の第3側部接合端面513L,513R,523L,523Rよりも、周方向両側に位置ずれしており、一対の第3側部接合端面513L,513R,523L,523Rは、一対の第4側部接合端面514L,514R,524L,524Rよりも、周方向両側に位置ずれしている。
従って、各壁体1,2の周方向両側には、多段状となった、複数の側部接合端面511L,…が設けられている。
【0035】
なお、一対の第1側部接合端面511L,511R間の間隔と一対の第2側部接合端面512L,512R間の間隔との差は、一対の第1位置決め端面611L,611Rの周方向長さの和に等しく、一対の第2側部接合端面512L,512R間の間隔と一対の第3側部接合端面513L,513R間の間隔との差は、一対の第2位置決め端面612L,612Rの周方向長さの和に等しく、一対の第3側部接合端面513L,513R間の間隔と一対の第4側部接合端面514L,514R間の間隔との差は、一対の第3位置決め端面613L,613Rの周方向長さの和に等しい。
従って、各壁体1,2において、第1乃至第3位置決め端面611L,…の周方向長さは、第1乃至第4側部接合端面511L,…の周方向両側における位置ずれ量に等しい。
【0036】
第1乃至第3位置決め端面611L,…の周方向長さは、適宜設計できる。もっとも、前記周方向長さが余りに短いと第1乃至第4側部接合端面511L,…の位置ずれ量が小さくなり過ぎて、複数に分割した各側部接合端面が実質的に縦方向に連なり、その実質的に縦方向に連なった側部接合端面の接合継ぎ目に応力が集中するおそれがある。
一方、前記周方向長さが余りに長いと、1つの壁体が大きくなり過ぎて、取り扱い性が悪くなる。このような点を考慮すると、本発明の巻き芯10の半径が3cm〜20cmである場合には、第1乃至第3位置決め端面611L,…の各周方向長さは、それぞれ1cm〜10cm程度が好ましい。
【0037】
第1側部接合端面511L,511R,521L,521R及び第3側部接合端面513L,513R,523L,523Rには、その全体に、縦方向に延び且つ内側に凹んだ溝部71がそれぞれ設けられている。
第2側部接合端面512L,512R,522L,522R及び第4側部接合端面514L,514R,524L,524Rには、その全体に、縦方向に延び且つ外側に突出した突部72がそれぞれ設けられている。
この突部72は、各壁体1,2を組み合わせるべくそれを縦方向にスライドさせた際、前記溝部71に嵌入脱可能で且つ嵌入時に溝部71に接するような大きさ及び形状に形成されている。
なお、反対に、第1側部接合端面511L,511R,521L,521R及び第3側部接合端面513L,513R,523L,523Rに、前記突部72が設けられ、且つ、第2側部接合端面512L,512R,522L,522R及び第4側部接合端面514L,514R,524L,524Rに、前記溝部71が設けられていてもよい(図示せず)。また、全ての位置決め端面611L,…に、差込み部82と受入れ凹部81の両方が設けられていてもよい。
【0038】
また、第1位置決め端面611L,611R,621L,621R及び第2位置決め端面612L,612R,622L,622Rには、その一部分に、縦方向第1側T1又は縦方向第2側T2に凹んだ受入れ凹部81がそれぞれ設けられている。
第2位置決め端面612L,612R,622L,622R及び第3位置決め端面613L,613R,623L,623Rには、その一部分に、縦方向第1側T1又は縦方向第2側T2に突出した差込み部82がそれぞれ設けられている。第2位置決め端面612L,…には、受入れ凹部81と差込み部82の双方が形成されているが、その各差込み部82は、受入れ凹部81よりも外側にそれぞれ配置されている。受入れ凹部81と差込み部82を嵌合することにより、各壁体1,2は周方向に動かなくなり、かかる受入れ凹部81及び差込み部82は、壁体1,2の周方向への移動を防止する周方向位置決め手段となる。
この差込み部82は、各壁体1,2を組み合わせるべくそれを縦方向にスライドさせた際、前記受入れ凹部81に嵌入脱可能で且つ嵌入時に受入れ凹部81に接するような大きさ及び形状に形成されている。
なお、反対に、第1位置決め端面611L,611R,621L,621Rに、前記差込み部82が設けられ、且つ、第3位置決め端面613L,613R,623L,623Rに、前記受入れ凹部81が設けられていてもよい。
【0039】
また、第1及び第2位置決め端面611L,…に設けられた受入れ凹部81は、壁体の外面に及ばず、壁体の内面に形成された凹みからなる。すなわち、壁体の内面において壁体の厚み方向を凹状に切除することにより、前記受入れ凹部81が形成されている。
この受入れ凹部81の両縁部は、図4及び図9に示すように、テーパ状に形成されている。また、差込み部82の両縁部も、これに適合するテーパ状とされている。このように受入れ凹部81の両縁部及び差込み部82の両縁部がそれぞれ壁体の外面に向かうに従って拡張するようなテーパ状に形成されていることにより、受入れ凹部81に差込み部82を嵌入した際に、差込み部82の両縁部が受入れ凹部81の両縁部に係止されるので、差込み部82が壁体の内面側に外れることを防止できる。
【0040】
また、第1壁体1の差込み部82の突出長さ(縦方向長さ)は、第1壁体1の突出部1cの縦方向長さHと同じ又はそれよりも小さく形成されていることが好ましい。第1壁体1の差込み部82の突出長さを前記のように設定することにより、後述する巻き芯10を解体すべく、第1壁体1の一端縁1aを押し込んで第1壁体1を縦方向第2側T2にスライドさせた際に、第1壁体1の差込み部82の全体が主壁体の受入れ凹部81から確実に外れるようになる。
なお、第2壁体2等の差込み部82の突出長さは、第1壁体1の差込み部82と同様に、第1壁体1の突出部1cの縦方向長さHと同じ又はそれよりも小さくてもよいし、或いは、第1壁体1の突出部1cの縦方向長さHよりも大きくてもよい。
図示例では、全ての壁体の差込み部82の突出長さ(縦方向長さ)は、同じであり、いずれも第1壁体1の突出部1cの縦方向長さHと同じ又はそれよりも少し小さい。
【0041】
さらに、各壁体1,2の内面には、周方向に延びる複数のリブ91が形成されている。この複数のリブ91は、壁体の補強のために設けられており、縦方向に所定間隔を開けて設けられている。
なお、前記リブ91は、受入れ凹部81が設けられた部分や方向表示92が設けられた部分には、形成されていない。
前記方向表示92は、図3に示すように、例えば、矢印であり、この矢印の指す方向は、巻き芯10を構成する壁体を個々の壁体に分離する際の、壁体をスライドさせる方向を明示している。
【0042】
各壁体1,2の形成材料は、特に限定されず、合成樹脂、金属、木などが挙げられる。成形容易で且つコスト的に優れていることから、各壁体1,2は、好ましくは合成樹脂から形成される。
【0043】
上記各壁体1,2を、以下のようにして組み込むことにより、巻き芯10を構成できる。
図11に示すように、第2壁体2と第3壁体を逆向きにして、第2壁体2の他方側の第1乃至第4側部接合端面521R,522R,523R,524Rに第3壁体3の他方側の第4乃至第1側部接合端面524R,523R,522R,521Rをそれぞれ対応させて当て、第2壁体2に対して、第3壁体3を縦方向第1側T1にスライドさせる。
この際、第2壁体2の第1及び第3側部接合端面521R,523Rの溝部71に第3壁体3の第4及び第2側部接合端面524R,522Rの突部72が嵌まり、且つ、第3壁体3の第3及び第1側部接合端面523R,521Rの溝部71に第2壁体2の第2及び第4側部接合端面522R,524Rの突部72が嵌まり、各突部72が各溝部71に接しながら、第3壁体3は移動する。
前記溝部71に突部72が嵌入することによって、第3壁体3の縦方向へのスライドを案内させることができる。
【0044】
そして、第2壁体2の第1乃至第3位置決め端面621R,622R,623Rに、第3壁体3の第3乃至第1位置決め端面623R,622R,621Rが当たると、第3壁体3をスライドさせることができなくなり、第2壁体2及び第3壁体3の組み合わせが完了する。
この組み合わせが完了すると、両壁体2,3の各位置決め端面621R,…同士が接したストップ継ぎ目6a,6b,6cが縦方向に多段状に生じると共に、両壁体2,3の各側部接合端面521R,…が接合した接合継ぎ目5a,5b,5c,5dが周方向に多段状に生じる。
【0045】
次に、上記第3壁体3の一方側の第4乃至第1側部接合端面524L,523L,522L,521Lに、更に第4壁体4の一方側の第1乃至第4側部接合端面521L,522L,523L,524Lをそれぞれ対応させて当て、同様にして、各位置決め端面621L,…が当たるまで、第4壁体4を縦方向第2側T2にスライドさせる。
このようにして3つの壁体2,3,4からなる主壁体が構成される(図11参照)。
【0046】
この主壁体に対して、第1壁体1(補完壁体)を組み合わすことにより、巻き芯10が得られる。
具体的には、図11の主壁体(補完壁体を組み合わすことによって筒状を成すもの)の周方向両側には、上記第2壁体2の一方側の第1乃至第4側部接合端面521L,…と第4壁体4の他方側の第1乃至第4側部接合端面521R,…が未連結で残っている。
この主壁体の一方側の第1乃至第4側部接合端面521L,…に、第1壁体1の一方側の第4乃至第1側部接合端面514L,513L,512L,511Lを対応させ且つ主壁体の他方側の第1乃至第4側部接合端面521R,…に、第1壁体1の他方側の第4乃至第1側部接合端面514R,513R,512R,511Rを対応させ、主壁体に対して、第1壁体1を縦方向第1側T1にスライドさせる。
【0047】
この際、第2壁体2の第1及び第3側部接合端面521L,523Lの溝部71に第1壁体1の第4及び第2側部接合端面514L,512Lの突部72、並びに、第4壁体4の第1及び第3側部接合端面521R,523Rの溝部71に第1壁体1の第4及び第2側部接合端面514R,512Rの突部72がそれぞれ嵌まり、各突部72が各溝部71に接しながら、第1壁体1は移動する。
そして、主壁体の両側の第1乃至第3位置決め端面621L,621R,623L,623Rに、第1壁体1の両側の第3乃至第1位置決め端面613L,613R,611L,611Rが当たることによって、第1壁体1を主壁体に対してスライドさせることができなくなり、第1壁体1(補完壁体)と主壁体の組み合わせが完了する。
このようにして、図1に示すような、壁体1,2,3,4が筒状に組み合わされてなる巻き芯10が完成する。
【0048】
第1壁体1には、突出部1cが設けられているので、第1壁体1を主壁体に組み合わせることによって得られた筒状の巻き芯10においては、図1に示すように、第1壁体1の一端縁1aが、第2壁体2(主壁体)の他端縁2bよりも縦方向第1側T1に突出している。つまり、巻き芯10の一方の周端縁の一部分を構成する第1壁体1の一端縁1aが、巻き芯10の一方の周端縁の残りの部分を構成する第2壁体2(主壁体)の他端縁2bよりも、縦方向第1側T1に突出している。
【0049】
また、各壁体1,2の位置決め端面611L,…及び側部接合端面511L,…が多段状に複数に分けられ、それら複数の位置決め端面611L,…及び側部接合端面511L,…が周方向両側に位置ずれしている。このため、上記巻き芯10においては、隣接する壁体(例えば、第1壁体1と第2壁体2)の各位置決め端面611L,…同士が接した、ストップ継ぎ目6a,6b,6cが縦方向に多段状に設けられると共に、隣接する壁体(例えば、第1壁体1と第2壁体2)の各側部接合端面511L,…が接合した、接合継ぎ目5a,5b,5c,5dが周方向に多段状に設けられる。
各位置決め端面611L,…同士が接した部分である、ストップ継ぎ目6a,6b,6cは周方向に延びており、各側部接合端面511L,…が接合した部分である、接合継ぎ目5a,5b,5c,5dは、縦方向に延びている。
【0050】
前記ストップ継ぎ目6a,6b,6cにおいては、差込み部82が受入れ凹部81に嵌合されているので、巻き芯10を構成する各壁体1,2が周方向に動くことなく、各壁体1,2が確実に組み合わされる(連結される)。特に、各壁体1,2は、差込み部82と受入れ凹部81の双方が設けられている位置決め端面(図示例では、第2位置決め端面612L,612R,622L,622R)を有するので、組み合わされた各壁体1,2が周方向に動くことを確実に防止できる共に、筒状ラベル連続体等を巻き付けた際の耐荷重性及び保形性に優れている。
【0051】
上記巻き芯10は、その外周面に長状材を巻き付けたロール品の形態で使用される。
巻き芯10において、第1壁体1の突出部1cは、巻き芯10の一方の周端縁よりも部分的に出張っているので、この突出部1cの外面は、巻き芯10の外周面を構成していない。このため、通常、巻き芯10の外周面に長状材を巻き付けたロール品においては、第1壁体1の突出部1cの外面には、実質的に長状材が巻き付かず、突出部1cの外面は露出している。
【0052】
上記巻き芯10は、各壁体1,2の接合継ぎ目5a,…が周方向において多段状に設けられている。このため、長状材の巻付け時又はロール品とされた後、巻き芯10に対して外側から内側に押圧力が加わっても、巻き芯10の円周上の一箇所に集中せず、その応力が複数の接合継ぎ目5a,5b,5c,5dに分散される。かかる巻き芯10は、各壁体の側部接合端面に加わる荷重が分散されるので、耐荷重性に優れている。
よって、上記巻き芯10は、長状材の巻付け時に加わる衝撃により又はロール品の形態で保管・運搬した時に加わる衝撃によって、壁体の接合継ぎ目5a,…が外れ難く、良好な筒状を維持できる。
【0053】
上記巻き芯10は、第1壁体1(補完壁体)の一端縁1aが第2壁体2(主壁体)の端縁よりも縦方向第1側T1に突出しているので、第1壁体1の一端縁1aを縦方向第2側T2に簡単に押し込むことができる。
例えば、巻き芯10の一方の周端縁から突出している第1壁体1の一端縁1aを、コンクリート面などの平坦面上に叩き付けることにより、図12に示すように、その一端縁1aの位置が主壁体の端縁(第2壁体2及び第4壁体4の他端縁2b)に略一致するまで、第1壁体1を縦方向第2側T2に押し込むことができる。第1壁体1の外面よりも主壁体(第2壁体2乃至第4壁体を組み合わせたもの)の外面の方が大面積なので、第1壁体1を押し込むと、長状材が主壁体の外面に巻き付いたままで、第1壁体1のみを縦方向第2側T2に移動させることができる。
【0054】
縦方向第2側T2に押された第1壁体1は、その位置決め端面611L,611R,…が第2壁体2及び第4壁体4(主壁体)の位置決め端面621L,621R,…から離れるので、事後、第1壁体1を手で持って縦方向第2側T2に引き出すことにより、第1壁体1を取り外すことができる。
特に、第1壁体1の差込み部82の突出長さが、第1壁体1の突出部1cの縦方向長さと同じ又はそれよりも小さいので、第1壁体1の一端縁1aの位置が第2壁体2の端縁2bに略一致するまで第1壁体1を押し込んだ時点で、差込み部82と受入れ凹部81の嵌合が解除される。このため、第1壁体1を極めて簡単に取り外すことができる。
【0055】
次に、本発明の巻き芯の様々な他の実施形態を説明する。ただし、下記他の実施形態の説明に於いて、主として上記実施形態と異なる構成及び効果について説明し、上記実施形態及び既に説明した他の実施形態と同様の構成及び効果については、その説明を省略し、(それを説明したものとして)用語及び符号を援用する。
【0056】
上記実施形態において、巻き芯10は、組み合わされた第1壁体1の一端縁1aが縦方向第1側に突出しているが、例えば、図13に示すように、組み合わされた第1壁体1の他端縁1bが第2壁体2の一端縁2a(主壁体の端縁)よりも縦方向第2側に突出していてもよい。
この場合、巻き芯10の周端縁よりも突出する第1壁体1の突出部1cが縦方向第2側に形成される。かかる巻き芯10は、第1壁体1の突出部1cを手で持って縦方向第2側T2に引き出すことにより、第1壁体1を取り外し、各壁体1,2を分離できる。第1壁体1の他端縁1bが縦方向第2側に突出されている場合、その突出部に、手で持って引き出しやすいように、指掛け溝や指掛け孔のような指掛止部が設けられていることが好ましい。
また、特に図示しないが、第1壁体1の一端縁1a及び他端縁1bが第2壁体の他端縁2b及び一端縁2aよりもそれぞれ縦方向第1側T1及び縦方向第2側T2に突出されていてもよい。
【0057】
さらに、上記実施形態において、巻き芯10は、突出部1cが設けられている1つの壁体と、突出部が設けられていない3つの壁体との組み合わせから構成されているが、例えば、突出部1cが設けられている2つの壁体と、突出部1cが設けられていない2つの壁体との組み合わせから構成されていてもよい。この場合の巻き芯10の具体的構成例としては、図14に示すように、上記実施形態における第1壁体1及び第3壁体として突出部1cを有する同一形状の壁体を用い、第2壁体及び第3壁体として上記実施形態と同様に突出部1cを有さない同一形状の壁体を用いることが挙げられる。
【0058】
上記実施形態において、巻き芯10は、4つの壁体の組み合わせから構成されているが、これに限定されず、2つの壁体又は3つの壁体から構成されていてもよいし、5つ以上の壁体から構成されていてもよい。図15は、2つの壁体(第1壁体1’と第2壁体2’)から構成された巻き芯10を示している。この第1壁体1’は、突出部1cを有し、第1壁体1’及び第2壁体2’が組み合わされた状態で、第1壁体1’の一端縁1aが第2壁体2’の他端縁2bから縦方向第1側T1に突出されている。なお、第1壁体1’の他端縁1bが第2壁体2’の一端縁2aから縦方向第1側T2に突出するように変更することもできる。この第1壁体1’及び第2壁体2’の各側部接合端面が接合した接合継ぎ目5a,5b,5c,5dが周方向に多段状に生じる。また、この第1壁体1’及び第2壁体2’の各位置決め端面が接合したストップ継ぎ目6a,6b,6cが縦方向に多段状に生じる。第1壁体1’及び第2壁体2’は、その他端縁1b,2bを下にしたときに概略山型状に形成されており、その各側部接合端面は、上記実施形態と同様に周方向両側において多段状に設けられている。
【0059】
また、上記実施形態において、各壁体1,2は、縦方向に延びる4つの側部接合端面と、前記各側部接合端面の間において周方向に延びる3つの位置決め端面と、を有するが、側部接合端面及び位置決め端面の数はこれに限定されない。もっとも、巻き芯10の強度を考慮すると、少なくとも2つの側部接合端面が周方向に離れて設けられていることが好ましい。
また、側部接合端面は縦方向と略平行に延びる場合に限定されず、又、位置決め端面も周方向の略平行に延びる場合に限定されない。もっとも、各壁体1,2の連結強度を維持するためには、少なくとも2以上の側部接合端面が縦方向と略平行に形成されていることが好ましい。一方、位置決め端面は、各壁体1,2を組み合わせる際に壁体1,2を縦方向の所定位置で止める縦方向位置決め手段として機能すればよいので、位置決め端面は、周方向に略平行に形成されていなくてもよい。
【0060】
例えば、図16の壁体11は、第1乃至第3位置決め端面611L,612L,613L,611R,612R,613Rが、周方向及び縦方向に対して傾斜するように形成されている。
【0061】
また、図17の壁体12は、上記実施形態の第2及び第3側部接合端面及び第2位置決め端面が一体化されている。
具体的には、図17の壁体12は、縦方向に延びる1つの側部接合端面515L,515R及びもう1つの側部接合端面516L,516Rと、この側部接合端面515L,515R及び側部接合端面516L,516Rに連設され且つ周方向に延びる位置決め端面614L,614R及び位置決め端面615L,615Rと、を有し、前記1つの位置決め端面614L,614Rともう1つの位置決め端面615L,615Rの間に、周方向及び縦方向に対して傾斜状に延びる傾斜端面561L,561Rが連設されている。
かかる傾斜端面561L,561Rは、各壁体1,2を組み合わせる際に壁体1,2を所定位置で止める機能と、各壁体1,2を組み合わせた巻き芯12に加わる応力を周方向に分散させる機能と、を有する。
【0062】
ただし、図16及び図17の壁体の基本構成は、上記実施形態の第1壁体1(突出部を有する壁体)に基づいているが、これを突出部を有しない壁体に適用することができる。
【0063】
また、上記実施形態では、巻き芯10は、複数の位置決め端面(及び傾斜端面)を有する壁体を組み合わせて構成されているが、位置決め端面が1つだけ形成されている壁体を用いてもよい。
少なくとも1つの位置決め端面を有する壁体を用いることにより、第1壁体1を第2壁体2に対して縦方向第1側にスライドさせると第1壁体1の位置決め端面が第2壁体2の位置決め端面に止められるので、各壁体を所定の位置に押し込んで巻き芯を容易に組み立てることができる。
【0064】
なお、本発明の巻き芯10は、図18に示すように、上記位置決め端面及び傾斜端面を有さない壁体1,…を組み合わせて構成されていてもよい。
この各壁体1,2,3,4は、その周方向両側において縦方向と略平行に延びる左右一対の側部接合端面5L,5Rを有するが、周方向及び縦方向に対して傾斜した傾斜端面や周方向に延びる位置決め端面を有さない。
図示例の場合には、第1壁体1に、縦方向第1側T1に突出した突出部1cが設けられている。もっとも、突出部1cは、縦方向第2側T2に突設されていてもよいし、或いは、縦方向第1側T1及び第2側T2の双方に突設されていてもよく、その他の壁体2,…に突設されていてもよい。
【0065】
位置決め端面及び傾斜端面を有さない壁体1,…を用いた場合には、壁体1,…を縦方向第1側T1及び第2側T2の何れの方向に押し引きしても、壁体1,…の組み合わせ及び分解を行うことができる。
組み合わせた壁体1,2は、それぞれの側部接合端面5L,5Rの溝部71と突部72の凹凸嵌合によって、側部接合端面5L,5Rにおいて接合される。
位置決め端面及び傾斜端面を有さない壁体1,…を用いた場合には、隣接する壁体1,2は、側部接合端面5L,5Rにおいてのみ接合されるため、上記実施形態の巻き芯10に比して、隣接する壁体1,…の接合が弱くなるおそれがある。このため、上記実施形態の位置決め端面を有する壁体1,…を用いて巻き芯10を構成することが好ましい。
【符号の説明】
【0066】
10…巻き芯、1…第1壁体、1a…第1壁体の一端縁、1b…第1壁体の他端縁、2…第2壁体、2a…第2壁体の一端縁、2b…第2壁体の他端縁、3…第3壁体、4…第4壁体、511L,511R…第1壁体の側部接合端面、521L,521R…第2壁体の側部接合端面、5a,5b,5c,5d…接合継ぎ目、611L,611R…第1壁体の位置決め端面、621L,621R…第2壁体の位置決め端面、6a,6b,6c,6d…ストップ継ぎ目、71…溝部、72…突部、81…受入れ凹部、82…差込み部、T1…縦方向第1側、T2…縦方向第2側、S1…周方向第1側、S2…周方向第2側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの壁体を組み合わせて筒状を成す巻き芯であって、
第1壁体を第2壁体に対して縦方向にスライドさせることにより、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされて筒状を成すように構成されており、
前記第1壁体と第2壁体が組み合わされた状態において、前記第1壁体の端縁が、前記第2壁体の端縁よりも前記縦方向第1側及び縦方向第2側の少なくとも何れか一方側に突出されている、巻き芯。
【請求項2】
前記第1壁体及び第2壁体がそれぞれ位置決め端面を有し、
前記第1壁体を第2壁体に対して縦方向第1側にスライドさせて第1壁体の位置決め端面が第2壁体の位置決め端面に止められることによって、前記第1壁体と第2壁体が組み合わされて筒状を成し、且つ、前記第1壁体を前記第2壁体に対して縦方向第2側にスライドさせることにより、前記第1壁体と第2壁体を分離できるように構成されている、請求項1に記載の巻き芯。
【請求項3】
前記第1壁体の位置決め端面には、縦方向第1側に突設された差込み部又は縦方向第2側に凹んだ受入れ凹部が設けられ、且つ、前記第2壁体の位置決め端面には、前記第1壁体の差込み部を差込み可能な受入れ凹部又は前記第1壁体の受入れ凹部に差込み可能な差込み部が設けられている、請求項2に記載の巻き芯。
【請求項4】
前記第1壁体及び第2壁体には、その周方向両側にそれぞれ側部接合端面が多段状に形成されており、
前記第1壁体と第2壁体が組み合わされた状態において、前記第1壁体の多段状の側部接合端面と第2壁体の多段状の側部接合端面とが接合されている、請求項2または3に記載の巻き芯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−60273(P2013−60273A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200287(P2011−200287)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】