説明

巻ロール用の巻解き装置

【課題】
簡単な構造にもかかわらずにあらゆる調整可能性を提供する簡単な構造を備える駆動装置を実現すること。
【解決手段】
軸受要素(4)と、巻ロールを両側に回転可能に保持する軸受要素(4)に配置された二つの支持要素(10)であって、両支持要素(10)は軸受要素(4)に沿って、両支持要素(10)の互いに相対移動の際にこれら支持要素間の間隔が変更されるように移動可能に支承される前記支持要素(10)と、軸受要素(4)に沿って両支持要素(10)を移動させる駆動装置とを備える巻ロール用の解き装置が記載されている。この発明の特性は、駆動装置は軸受要素(4)に沿って移動可能に支承された少なくとも一つの引張手段(20)と少なくとも一つの支持要素(10)に配置された少なくとも一つの作用手段(26)とを有し、この作用手段が支持要素(10)を引張手段(20)には分解自在に錠止めすることである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軸受要素と、巻ロールを両側に回転可能に保持する軸受要素に配置された二つの支持要素であって、両支持要素は軸受要素に沿って、両支持要素の互いに相対移動の際にこれら支持要素間の間隔が変更されるように移動可能に支承される前記支持要素と、軸受要素に沿って両支持要素を移動させる駆動装置とを備える巻ロール用の巻解き装置に関する。
【背景技術】
【0002】
材料帯、特に紙加工産業における紙帯は一般に大きく重い巻ロールの形態で配送されて貯蔵される。適切な機械にてそのような材料帯の加工では、これら帯が巻ロールから引き出される。それ故に、この加工機械が適切な巻解き装置を備えていて、巻ロールが軸受要素に配置された二つの支持要素にて両側で回転可能に保持される。この場合には、一般に巻ロールが巻解き中に両支持要素間に軸なしに固定されてこれら支持要素により保持される。新たな巻ロールを積み込み、完全な巻解き後に巻ロールの心を取り出し且つ異なったロール幅への調整や材料帯路に関する位置を調整するために、支持要素が互いに接近し且つ互いに遠離して移動可能に支承されている。
【0003】
この発明の最近の先行技術を形成する欧州特許第0909253号明細書(特許文献1)と対応する米国特許第6042047号明細書(特許文献2)から、大きい紙ロール用の解き装置が公知であり、四つのスタンドと二つの長い支持体並びに少なくとも一つの解き梁を備える架台と、それぞれに一つの固定ヘッドを備える二つの支持アームとを有する。支持アームは水平に横に移動可能に解き梁に支承され、共通ねじスピンドルを介して、第一駆動手段が支持アームの共通対向横調整や異なった幅を備える巻ロールを受けるために互いの間隔のそれから生じる変更について配慮し、第二駆動手段が加工機に巻ロールを相対的に位置決めするように互いに間隔の変更なしに支持アームの共通の同じに向いた横調整について配慮するように互いに連結されている。さらに、巻解き梁の縦方向調整のために両側で架台に好ましくはロープ、ベルト或いはチェーンの形態の引張手段が設けられていて、これら引張手段が第二水平配置ねじスピンドルの二つのスピンドルナットに固定されているので、巻解き梁が引張手段を介して架台に吊り掛けられている。この第二ねじスピンドルの回転が第三駆動手段によって行われる。
【0004】
欧州特許第0289749号明細書(特許文献3)と対応する米国特許第4895314号明細書(特許文献4)は、ロール、特に紙加工産業用の大きな紙ロールの材料帯を巻解きする装置を開示できる。巻ロールを回転可能に保持するために、これら公知の装置も、共通に旋回軸に支承されている二つの支持アームを有する。異なった幅を備えるロールを受け得るために、この公知の装置も、支持アームがねじスピンドルにより横方向に移動できるねじスピンドルを有する駆動装置を備えている。さらに、旋回軸を中心に支持アームを旋回させる旋回駆動手段並びに別の駆動手段が設けられていて、旋回軸を支持アームと一緒に水平に帯走行方向に移動させる。ドイツ特許出願公開第3825673号明細書(特許文献5)には、大きな紙ロールの同様な巻解き装置が記載されていて、共通に旋回軸に支承されている二つの支持アームを包含する。この支持アームは、新たな巻ロールを受け得るために移動可能に形成されている固定ヘッドを備えている。
【0005】
ドイツ特許出願公開第4219518号明細書(特許文献6)は、ロール状材料を貼付け準備ステーションへ供給する装置を開示する。特に巻解きする大きな紙ロールを受けるように設けられているこの公知の装置は、二つの長い支持体が互いに連結されている少なくとも四つのスタンドを備える架台を有する。長い支持体の間には、少なくとも一つの横方向に移動できる横木が設けられていて、この横木には二つの支持アームが二つのクラブによって水平に横に移動可能に配置されている。
【0006】
公知の巻解き装置は、すべての望まれた調整機能を実現できるために、特に相当に高い駆動装置を必要とする。
【特許文献1】欧州特許第0909253号明細書
【特許文献2】米国特許第6042047号明細書
【特許文献3】欧州特許第0289749号明細書
【特許文献4】米国特許第4895314号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願公開第3825673号明細書
【特許文献6】ドイツ特許出願公開第4219518号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明の課題は、前記種類の装置では簡単な構造にもかかわらずにあらゆる調整可能性を提供する簡単な構造を備える駆動装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、軸受要素と、巻ロールを両側に回転可能に保持する軸受要素に配置された二つの支持要素であって、両支持要素は軸受要素に沿って、両支持要素の互いに相対移動の際にこれら支持要素間の間隔が変更されるように移動可能に支承される前記支持要素と、軸受要素に沿って両支持要素を移動させる駆動装置とを備える巻ロール用の巻解き装置において、駆動装置は軸受要素に沿って移動可能に支承された少なくとも一つの引張手段と少なくとも一つの支持要素に配置された少なくとも一つの作用手段とを有し、この作用手段が支持要素を引張手段には分解自在に錠止めすることによって、解決される。
【0009】
この発明の解決策は、あらゆる調整可能性を提供する所謂ピックアップ巻解きの完全な機能性を備える駆動装置の機械的に簡単且つ高価な実施を提供する。これは、この発明によると、少なくとも一つの引張手段が軸受要素に配置されて且つ軸受要素に沿って移動可能に支承されていて、そして少なくとも一つの支持要素が選択的に引張手段に沿って移動されるか、或いはこれに対して固定式に配置され得ることによって達成される。このために、各支持要素には、少なくとも一つの作用手段が設けられていて、支持要素を作用手段に分解可能に錠止めする。それにより作用手段に支持要素を機械的に係留固定することが生じて、この係留固定は作用手段に支持要素を固定式に配列することを奏する。支持要素が共通にのみ引張手段の移動に基づいて支持要素に沿って移動されて、それで意図せずに開放できないので、追加的安全対策は必要ではない。それに対して、作用手段が開放されると、付属支持要素が引張手段に対して且つ軸受要素に沿って移動させて調整されて、この調整が他の支持要素と無関係に可能である。引張手段における錠止めにより支持要素が引張手段の移動の際に軸受要素に沿って共通に移動されることによって、別の利点として、そのような移動中に支持要素の間の間隔が一定のままであって、それ故に、そのような調整が好ましくは所望材料帯路に関する受けた巻ロールの位置の調整のために機械に利用されることができる。それ故に、この発明は構造的に特に簡単だが、同時に効果的な形式で異なったロール幅における調整の可能性及び受けた巻ロールにおける位置の調整を可能とする。
【0010】
この発明は、実質的に簡単且つ安価な機械的要素を必要とする。この発明によって、従来の構造に比べて、実質的費用の減少がさらに特に基本実施にて達成されて、この実施では手動操作が簡単な形式で可能であり、各自動化やそれと結合した費用の高い組立てや電子部材の保守を放棄される。それにもかかわらず、この発明の構造は完全な自動化までの拡張の利点を提供する。目下のところしばしば要求された自動化ステップは自動的側面稜制御を形成し、それにより既に受けた巻ロールの位置が材料帯路に関して調整されていて、巻ロールの収容とこのために必要な支持要素の互いの間隔の調整とが手動で行われる。そのような自動的側面稜制御は、唯一の駆動手段のみが必要とされるので、発明により僅かな費用の下で適用される。
【0011】
確かに、欧州特許第0909253号明細書は引張手段の使用を開示するけれども、これがこの発明におけるのとは違って解き梁の垂れ下がった軸受のために架台に設けられている。それ故に、この先行技術では、両支持アームの横調整のためにねじスピンドルが設けられていて、モータにより駆動されて第一支持アーム軸受と第二支持アーム軸受の領域にて反対方向の勾配を有する。この発明による構造により可能であるように、支持アームの個々の調整は、この先行技術では、企図されておらず、ねじスピンドルにおける反対方向の勾配のために全くできない。それ故に、この先行技術がこの発明を容易に想起できない。
【0012】
この発明の好ましい実施態様と再現態様は従属請求項に挙げられている。
【0013】
この発明は好ましくは二つの態様に実施されて、しかも、両支持要素の一方が回転可能に支承された作用手段を備えていて、他方の支持要素がしっかりと連結されている第一態様と、支持要素の各々には少なくとも一つの回転可能に支承された作用手段が設けられている第二態様とである。最後に記載の第二態様は異なったロール幅に関する調整ではかなりの柔軟性を可能とする。しかし、基本的には、最初に挙げた態様を備えるあらゆる調整可能性が実現される。
【0014】
この発明の特に好ましい実施態様は、作用手段が引張手段の移動方向に対して斜めに、特におよそ直角に延びている回転軸線を中心に回転可能に支承されていて、そして作用手段が回転の際に引張手段に沿って移動するように、引張手段と作用して、それにより引張手段に対する支持要素の相対移動が与えられ、停止時には支持要素が引張手段に錠止めすることを特徴とする。それ故に、作用手段の回転可能な軸受は、支持要素の引張手段に対する移動ができ、作用手段が引張手段に沿って延びている。作用手段が手動或いは駆動手段による外部作用によって回転されるなれば、これは、作用手段が引張手段に衝突して、それにより支持要素が引張手段に対して移動される。作用手段の回転と支持要素の引張手段に対する回転により条件付けされた移動とによって、この支持要素のこれら支持要素の間隔が他の支持要素に比べて変更されて、簡単な形式で受けるべき巻ロールの幅に調整させる。それ故に、作用手段の取り付けによって停止時にはこの作用手段と支持要素が引張手段に錠止めされて、それは特に巻ロールの収容後に行われる。それ故に、この実施態様では、この分解可能な錠止めは、回転可能に支承された作用手段が選択的に一方では自由回転して駆動されて、他方では錠止めのために停止時に保持されている。
【0015】
好ましくは、引張手段が柔軟な引張手段として形成されていて、再現態様ではこの実施態様で無端に循環する。この形式では、引張手段が構造的に特に簡単に形成させるばかりではなく、特に場所節約して配列させる。
【0016】
特に、引張手段がロールであり、いつも引張手段の一部分がロールの周辺の少なくとも一つの部分と作用している。特に有効な作用のために、ロールが引張手段により部分的に包囲される。
【0017】
例えば引張手段がロープ或いはベルトである。
【0018】
しかし、選択的に、引張手段が歯付きベルトであり、作用手段が歯車或いはピニオンであり、その歯部が歯付きベルトの歯部間の中間空間に係合することが考慮できる。
【0019】
別の選択的として、引張手段がチェーンであり、作用手段が歯車或いはピニオンであり、その歯部がチェーンのチェーン部材に係合することが考慮できる。
【0020】
目的に適って、引張手段が引張手段が少なくとも部分的に実質的に直線に沿って移動可能に支承され得る。一般に両支持要素が巻ロールを両側で回転軸線を中心に回転可能に保持するように設けられているので、実質的に直線ではその直線に沿って引張手段が少なくとも部分的に移動できて、目的に適っておよそ各回転軸線と平行に向けられている。
【0021】
特に遠隔操作或いは自動的稼働のために、駆動装置が軸受要素に沿う引張手段の駆動された移動用の軸受要素に配置された少なくとも一つの駆動手段を有するならば、利点である。選択的に或いは追加的に駆動装置が少なくとも一つの作用手段の駆動回転のために付属された支持部材に配置された少なくとも一つの駆動手段を有し、この駆動手段はこの実施態様の再現態様ではブレーキを有し、作用手段を必要に応じて停止時に保持できる。目的に適って、この種の駆動手段として、電動モータが使用される。
【0022】
好ましくは、支持要素がそれぞれに巻ロールの回転可能に支承させる軸受ジャーナルを有し、軸受ジャーナルがその自由端により互いに向けられて互いに共軸方向に配置されている。この実施態様の再現態様では、軸受ジャーナルが巻ロールの心或いはスリーブに差し込むか、或いは進入させるように形成されている。軸受ジャーナルでは、それにより案内ヘッドが重要であるか、或いは支持要素の自由端に形成された案内ヘッドの一部である。
【0023】
目的に適って、支持要素が一般に軸受要素に垂れ下がって配置されている支持アームとして形成されている。自由端には支持アームがそれぞれに巻ロールの側面を回転可能に支承させる軸受手段を備えていて、この軸受手段では、一般に且つ前もって述べられた軸受ジャーナルが重要である。この代わりに、完全性のために、支持要素における巻ロールの保持体が場合によっては支持要素の間隔変更可能な調整に基づいていないばかりではなく、むしろ追加的構造的措置によって分解できて、巻ロールを簡単な形式で交換できる。
【0024】
好ましくは、軸受要素が実質的に水平方向に配置されている横木として形成されている。
【0025】
さらに、特に架台が設けられていて、この架台には軸受要素が配置されている。この実施態様の目的に適った再現態様では、軸受要素が高さ調整可能に架台に支承されていて、好ましくは昇降駆動装置が設けられている。昇降駆動装置として例えば油圧式或いは空圧式ピストン−シリンダ−配列が使用され得る。それによりこの実施態様では、支持要素により保持された巻ロールが一般に一致する軸方向の水平線により調整されず、むしろ追加的に縦方向に調整され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
次に、この発明の好ましい実施例は添付図に基づいて詳細に説明されていて、この発明の巻解き装置の好ましい実施態様が概略的に示されている。
【実施例】
【0027】
巻ロールの巻解き装置の添付図に概略的に図示された好ましい実施態様は、巻ロールの更なる加工するように紙帯を引き出すために紙加工産業に使用されていて、添付図には二つの互いに間隔を置いた縦方向スタンド2が部分的に概略的に示されている架台を有する。一般に、架台を形成するために四つのそのような縦方向スタンドが設けられていて、図にて同様に図示されていない長い支持体と横支持体を介して互いに結合されている。
【0028】
図で認識されるように、二つの互いに間隔を置いた縦方向スタンド2の間には、およそ水平に延びている横木4が配置されている。その両横方向端4aにより横木4が図示された実施例では、縦方向に移動可能にそれぞれのスタンド2に支承されていて、図示された実施例の軸受は縦方向に作用するレール案内システムによって形成されていて、このシステムが図に概略的に図示されて、参照符号6により示されている。縦方向高さ調整のために、図示された実施例の駆動手段として空圧式或いは油圧式ピストン−シリンダ−配列8が設けられていて、この配列はその一端により特にシリンダを付属スタンド2に支持し、他の端によりピストンロッドの端部に横木4の対応する端部4aを作用させる。
【0029】
図でさらに認識されるように、図示された実施例の横木4には、二つの支持アーム10が垂れ下がって配置されている。この支持アーム10は図に図示されていない巻ロールを分解可能に保持するように用いられる。このために、各支持アーム10がその下自由端10aには軸受ジャーナル14を有する案内ヘッド12を備えている。軸受ジャーナル14が保持すべき巻ロールのスリーブ或いは心の開放側面に挿入されるか、或いは差し込まれるから、案内ヘッド12は保持すべき巻ロールのスリーブ或いは心と分解可能に作用するために用いられる。それにより巻ロールを保持するために両支持アーム10がそれらの間の巻ロールを受けて両側面に巻ロールを保持する。この場合には、軸受ジャーナル14が軸線16を中心とした巻ロールの回転可能な軸受を保証し、さらに、軸受ジャーナル14或いはそれぞれの支持アーム10における全案内ヘッドが一致して回転可能に支承され得る。巻ロールが支持アーム10の間に受けられるので、軸受ジャーナル14を備える案内ヘッド12が互いに向き合って共軸方向に互いに配置されている、というのは、その回転軸線が共通に、巻ロールの保持の際に実質的にその回転軸線と一致する共通軸線16に位置する。
【0030】
完全な巻解き後に巻ロールの心を取り出し、新たな巻ロールを備える装置の連続的積み込み且つ使用された巻ロールの幅を調整するために、両支持アーム10間の間隔が変更できて、軸受ジャーナル14を使用された巻ロールの心から分解し、邪魔されずに支持アーム10間の新たな巻ロールを据え付ける。それ故に、支持アーム10が横木4には横に移動可能に支承されている。このために、横木4は、図に概略的に図示されて参照符号18によって示されている案内レールシステムを備えている。支持アーム10が横木4に対して隣接した上端10bによりこの案内レールシステムには垂れ下がって支承されていて、このシステムは図に図示された矢印Aの方向に、それでおよそ水平に長い延長部を横切って横木4に沿って支持アーム10の移動を可能とする。
【0031】
横木4の長さと両スタンド2の横木から生じる間隔が作業幅として使用すべき巻ロールの所望最高幅によって決定される。
【0032】
新たな巻ロールを積み込み且つ使用済み巻ロールの心を取り出すために、支持アーム10間の間隔が変更できる間に、巻ロールが支持アーム10に保持されるならば、支持アーム10間の間隔の変更が素直に望まれていない。既に安全時間の理由から支持アーム10が意図しなく開放されない。その外に、巻ロールから引き出する材料の再加工の所望材料帯路に関して位置を調整するために、これが既に支持アーム10に保持されるならば、巻ロールの軸方向における調整が可能である。この異なった調整可能性を実現させるために、次に個々に説明される特別な駆動装置が設けられている。
【0033】
この駆動装置の構成部材を、図示された実施例では、横木4には無端に循環して支承されるチェーン20が形成されている。チェーン20が概略的に点線として図示されている図で認識されるように、チェーン20が両側部分により横木4の長手方向に延びている。無端に循環するチェーン20を転向させるために、横木4の各端4aには、対応する転向ロール22が回転可能に支承されている。チェーン20の支持アーム10に隣接した下側部分20aは、図示された実施例では、両支持アーム10の隣接した端部10bの領域では支持アーム10の各端部10bに回転可能に支承された第一ロール24の周りに実質的に水平方向からおよそ90°だけ下方へ実質的に垂直方向へ歯車或いはピニオン26に転向され、この歯車或いはピニオンが同様に支持アーム10の各端部10bに回転可能に支承されている。ピニオン26の図で認識できない歯部が同様に個々に認識できないチェーン20のチェーン部材に係合し、それによりピニオン26がそれぞれにチェーン20の下側部分20aの一部分と作用している。チェーン20の下側部分20aはピニオン26を図示された実施例ではおよそ180°だけ包囲し、次におよそ垂直方向において同様に支持アーム10の各端部10bに回転可能に支承された第二ロール28へ走行し、そこで下側部分20aは再びおよそ水平方向へ転向され、支持アーム10を去る。図でさらに認識されるように、第一と第二ロール24、28は横木4に関しておよそ同じ高さに且つ図の表示によると、同じ垂直高さに位置し、その間にピニオン26が図示された実施例ではこれら両ロール24、28の下部に位置し、それにより既に述べたチェーン20の下側部分20aの包囲がおよそ180°だけ達成される。ロール24、28とピニオン26の回転軸線が互いに平行に延びていて、図示された実施例では軸線16或いは支持アーム10の移動方向Aに対して直角に配向されている。
【0034】
さらに、図に図示されていない固定装置が支持アーム10の上端部10bの領域に設けられて、ピニオン26を停止時に係留できる。好ましくは、この固定装置がブレーキとして形成される。停止時のピニオン26の係留によって、チェーン20にてそれぞれの支持アーム10の錠止めが奏される。これは、それぞれの支持アーム10の横調整が長手方向ににおけるチェーン20の移動によってのみ可能であり、その間にそれぞれの支持アーム10がチェーン20に対して固定したままであるという結果を有する。
【0035】
図に図示されていない固定装置或いはブレーキによる前もって記載された錠止めは、両支持アーム10がチェーン20に錠止めされるときに、特に興味がある。即ち、これは、チェーン20が調整されるならば、両支持アーム10間の間隔が一定のままであり、それが両支持アーム10の全配列の一つの共通の横調整を導くという結果を有する。追加的安全措置が必要とされない。
【0036】
両支持アーム10の同時錠止めは特に自動的側面稜制御にとって重要であり、それにより既に支持アーム10に保持された巻ロールの位置が定義された材料帯路に関して巻ロールから引き出された材料の更なる加工のために調整され、そのような材料帯路の中心軸線が図に概略的に鎖線Mとして示されている。そのような自動的側面稜制御のために、チェーン20用の駆動手段が設けられなければならない。好ましくは、このために、電動モータが使用され、両転向ロール22の一方を駆動し、横木4に組立てられている。図にはそのような駆動手段が図示されていない。
【0037】
特に自動的側面稜制御のために、固定装置或いはブレーキはそれらを単に手動で操作され得るように実施することで十分である。積み込みと積み卸しのために、少なくとも一つの支持アーム10では、固定装置或いはブレーキが解除されて、使用済み巻ロールの取り出しと新たな巻ロールの収容のために、両支持アーム10間の間隔の減少の下で案内ヘッド12の軸受ジャーナル14が新たな巻ロールの両開放側面に進入される前に、両支持アーム10間の間隔を拡大させる。この過程のために、好ましくは、固定装置或いはブレーキが両支持アーム10にて解除される。新たな巻ロールの収容後には、固定装置或いはブレーキが再び作動されて、支持アーム10の意図しない開放を阻止する。
【0038】
積み込みと積み卸し中に横木4が前もって記載された昇降駆動装置8によってその高さを調整され得る。無論、この昇降駆動装置8は走行稼働中も使用され得て、材料帯路に関して垂直方向において保持された巻ロールの位置の調整を実施できる。
【0039】
前述から、固定装置或いはブレーキの解除即ち非作動の際に両支持アーム10が互いに無関係に矢印Aによる横方向に調整されることが明らかである。
【0040】
完全自動化実施のために、それぞれの支持アーム10に組立てられるそれぞれに一つの固有の駆動手段を両ピニオン26に備えることが考慮できる。これに関しても、特に、それぞれのピニオン26の軸を駆動する電動モータが使用されるべきである。独立した調整のために、ピニオン26の駆動手段は両支持アーム10にて互いに無関係に始動すべきである。
【0041】
引き続いて、チェーン20の代わりに例えば歯付きベルトも使用され得て、ピニオン26の歯部が歯付きベルトの歯間の隙間に係合することが示唆されている。
【0042】
しかし、選択的に、同様に、チェーン20の代わりに歯無しベルトを、ピニオン26の代わりに対応するロールを設けることが考慮でき、無論、ベルトとピニオン26の代わりに使用すべきロールとの間の摩擦がスリップを生じない大きさでなければならない。
【0043】
この関係では、さらに、前もって記載された実施例にてチェーン20として形成されている無端に循環する引張手段の代わりに、選択的に特にチェーン或いはベルトとして形成された引張手段が有限長さを有し、つまり有限であり、その端部によりそれぞれに両転向ロール22の一方に固定され得るので、そのような配列がロープ巻原理に基づいて作動することが気付かれる。
【0044】
支持アーム10の前もって記載された垂れ下がった配列に対して選択的に、別の好ましい配列が実現される。例えば選択的に支持アーム10の固定配列が考慮でき、横木4が特に床下に配置され得て、意図されない配列を実現させる。その外に、支持アーム10の固定配列の場合には、床に横木4を旋回可能に支承させて、例えばロール収容位置と作業位置、即ち解き位置との間に全装置を旋回できることが考慮できる。しかし、最終的に、選択的に支持アーム10の水平整列も可能であり、この場合に横木4が垂直及び水平又はそのいずれか一方に移動可能に或いはしっかりと支承され得る。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】紙加工産業に使用される巻ロールの巻解き装置を示す。
【符号の説明】
【0046】
2.....スタンド
4.....横木
6.....レール案内システム
8.....昇降駆動装置
10....支持アーム
12....案内ヘッド
14....軸受ジャーナル
16....軸線
20....チェーン
22,24,28...ロール
26....ピニオン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸受要素(4)と、巻ロールを両側に回転可能に保持する軸受要素(4)に配置された二つの支持要素(10)であって、両支持要素(10)は軸受要素(4)に沿って、両支持要素(10)の互いに相対移動の際にこれら支持要素間の間隔が変更されるように移動可能に支承される前記支持要素と、軸受要素(4)に沿って両支持要素(10)を移動させる駆動装置とを備える巻ロール用の解き装置において、駆動装置は軸受要素(4)に沿って移動可能に支承された少なくとも一つの引張手段(20)と少なくとも一つの支持要素(10)に配置された少なくとも一つの作用手段(26)とを有し、この作用手段が支持要素(10)を引張手段(20)には分解自在に錠止めすることを特徴とする装置。
【請求項2】
両支持要素の一方が作用手段を備えていて、他方の支持要素が引張手段としっかりと連結されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
各支持要素(10)には少なくとも一つの作用手段(26)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
作用手段(26)が引張手段(20)の移動方向に対して斜めに、特におよそ直角に延びている回転軸線を中心に回転可能に支承されていて、そして作用手段(26)が回転の際に引張手段(20)に沿って移動するように、引張手段(20)と作用して、それにより引張手段(20)に対する支持要素(10)の相対移動が与えられ、停止時には支持要素(10)が引張手段(20)に錠止めすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
引張手段(20)が実質的に柔軟であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
引張手段(20)が無端循環引張手段であることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
作用手段(26)がロールであり、いつも引張手段(20)の一部分がロール(26)の周辺の少なくとも一つの部分と作用していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
ロール(26)が引張手段により部分的に包囲されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
引張手段がロープ或いはベルトであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
引張手段が歯付きベルトであり、作用手段が歯車或いはピニオンであり、その歯部が歯付きベルトの歯部間の中間空間に係合することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
引張手段(20)がチェーンであり、作用手段(26)が歯車或いはピニオンであり、その歯部がチェーンのチェーン部材に係合することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
引張手段(20)が少なくとも部分的に実質的に直線に沿って移動できることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
両支持部材(10)が回転軸線(16)を中心に巻ロールを両側に回転可能に保持するように設けられている請求項12に記載の装置において、実質的に直線がおよそ回転軸線(16)と平行に延びていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
駆動装置が軸受要素(4)に沿う引張手段(20)の駆動された移動用の軸受要素(4)に配置された少なくとも一つの駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
少なくとも一つの作用手段(26)の駆動された回転用駆動装置が付属された支持部材(10)に配置された少なくとも一つの駆動手段を有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
駆動手段がブレーキを有し、作用手段(26)を必要に応じて停止時に保持できることを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
支持部材(10)が巻ロールを回転可能に支承するそれぞれ一つの軸受ジャーナル(14)を有し、この軸受ジャーナル(14)がその自由端により相前後して向けられて互いに共軸方向に配置されていることを特徴とする請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
軸受ジャーナル(14)が巻ロールの心或いはスリーブに差し込むか、或いは進入するように形成されていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
支持部材(10)が支持アームとして形成されていることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
支持アーム(10)がその自由端にはそれぞれに巻ロールの片面を回転可能に支承する軸受ジャーナル(14)を備えていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
軸受手段が軸受ジャーナル(14)であることを特徴とする請求項17或いは20に記載の装置。
【請求項22】
軸受要素(4)が横木として形成されていることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
軸受要素(4)が配置されている架台を備えることを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
軸受要素(4)が高さ調整可能に架台に支承されていることを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
軸受要素(4)の高さ調整を駆動する昇降駆動装置(8)を備えることを特徴とする請求項24に記載の装置。

【図1】
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【公開番号】特開2009−113989(P2009−113989A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286617(P2008−286617)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(304015597)エー・ツエー・ハー・ウイル・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (6)
【Fターム(参考)】