説明

巻上機組立体とその製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法

【課題】従来技術においては、例えば、長期間に渡る巻上機の保護の点でさらなる改善の余地がある。
【解決手段】実施形態の巻上機組立体は、巻上機と、ソラセシーブと、養生体とを備える。巻上機は、エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能である。ソラセシーブは、前記ロープが巻き掛けられる。養生体は、気密性を有し前記巻上機と前記ソラセシーブとを内包して内部と外部とを遮断し密閉する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、巻上機組立体とその製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータは、昇降路内を乗りかごが移動することにより、乗りかごを任意の階床に移動させるが、このようなエレベータの据付時には、例えば、乗りかごを昇降させる巻上機が未完成の機械室に据え付けられた後、高所で長期間露天にさらされる場合がある。このため、巻上機に対して種々の処置が施されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−231784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来技術においては、例えば、長期間に渡る巻上機の保護の点でさらなる改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の巻上機組立体は、巻上機と、ソラセシーブと、養生体とを備える。巻上機は、エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能である。ソラセシーブは、前記ロープが巻き掛けられる。養生体は、気密性を有し前記巻上機と前記ソラセシーブとを内包して内部と外部とを遮断し密閉する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態1に係るエレベータの概略構成例を示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る巻上機の設置例を示す模式図である。
【図3】図3は、実施形態1に係る巻上機組立体を示す模式図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る巻上機組立体の養生シートの斜視図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る巻上機組立体のマシンビーム近傍の分解部分斜視図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る巻上機据付方法を説明するフローチャートである。
【図7】図7は、実施形態2に係る巻上機組立体を示す模式図である。
【図8】図8は、実施形態2に係る巻上機組立体のマシンビーム近傍の分解部分斜視図である。
【図9】図9は、実施形態3に係る巻上機組立体を示す模式図である。
【図10】図10は、実施形態3に係る養生体の取り外し後の巻上機を示す模式図である。
【図11】図11は、実施形態4に係る巻上機組立体を示す模式図である。
【図12】図12は、実施形態5に係る巻上機組立体を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係るエレベータの概略構成例を示すブロック図、図2は、実施形態1に係る巻上機の設置例を示す模式図、図3は、実施形態1に係る巻上機組立体を示す模式図、図4は、実施形態1に係る巻上機組立体の養生シートの斜視図、図5は、実施形態1に係る巻上機組立体のマシンビーム近傍の分解部分斜視図、図6は、実施形態1に係る巻上機据付方法を説明するフローチャートである。
【0008】
本実施形態に係るエレベータ1は、図1に示すように、昇降路2を昇降可能な乗りかご3とつり合おもりとしてのカウンタウェイト4とをメインロープ5で連結したいわゆるつるべ式のエレベータである。エレベータ1は、昇降路2と、昇降体としての乗りかご3及びカウンタウェイト4と、メインロープ5と、昇降駆動部6と、乗り場7と、エレベータ制御装置としてのエレベータ制御盤(以下、特に断りのない限り単に「制御盤」という。)8とを備える。エレベータ1は、制御盤8によって各部の駆動が制御されて乗りかご3が昇降路2内を昇降することで、任意の目的階の乗り場7に移動することができるものである。
【0009】
昇降路2は、建物の鉛直方向に沿って設けられる。昇降路2は、建物内の複数の階床に渡って設けられる。昇降駆動部6や制御盤8等は、例えば、昇降路2の上部の機械室9等に設けられている。乗りかご3は、利用者が乗ったり荷物を乗せたりするための構造物である。乗りかご3は、昇降路2内に配置され、昇降路2を昇降可能である。カウンタウェイト4は、メインロープ5を介して乗りかご3に連結されて昇降路2内に配置され、乗りかご3と連動して昇降路2を昇降可能なつり合いおもりである。メインロープ5は、乗りかご3とカウンタウェイト4とを連結するものである。ここでは、メインロープ5は、昇降路2の上部に設けられた昇降駆動部6の巻上機10のメインシーブ11やソラセシーブ12等に掛けられて、一端に乗りかご3が接続され、他端にカウンタウェイト4が接続される。つまり、カウンタウェイト4は、メインロープ5を介して乗りかご3に連結され乗りかご3と連動してこの乗りかご3とは反対方向に昇降可能である。昇降駆動部6は、例えば、乗りかご3を移動させる動力を発生させる電動機(モータ)13等が駆動することで、この電動機13に連結されたメインシーブ11が回転駆動し、メインシーブ11とメインロープ5との間に生じる摩擦力を利用してメインロープ5を電動で巻き上げる巻上機10などにより構成され、制御盤8によりその駆動が制御される。乗り場7は、乗りかご3が着床可能な各エレベータ停止階床に設けられ、利用者が乗りかご3に対して乗降したり、荷物を乗りかご3に対して積み下ろしたりするための場所である。
【0010】
制御盤8は、通常の形式の双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU(中央演算処理装置)、所定の制御プログラム等を予め記憶しているROM(Read Only Memory)、CPUの演算結果を一時記憶するRAM(Random Access Memory)、予め用意されたマップデータ、エレベータ1の仕様等の情報を記憶するバックアップRAM及び入出力ポート装置を有するマイクロコンピュータ及び駆動回路を備えている。
【0011】
制御盤8は、種々のセンサ、検出器や巻上機10の電動機13等のエレベータ1の各部と電気的に接続され、各部の動作を統括的に制御する。制御盤8は、例えば、かご操作盤14、乗り場操作盤15への利用者からの操作入力に応じて、巻上機10の駆動を制御し、乗りかご3を呼び登録に応じた指定の目的階に移動させる。
【0012】
上記のように構成されるエレベータ1は、利用者によりかご操作盤14、乗り場操作盤15等を介してかご呼び操作が行われた場合に、かご操作盤14、乗り場操作盤15から制御盤8に呼び登録信号が入力され、制御盤8がこの呼び登録信号に応じて乗りかご3の呼び登録を行う。そして、制御盤8は、この呼び登録、種々のセンサ、検出器からの出力、乗りかご3の現在の移動方向(昇降方向)等に基づいて、乗りかご3が合理的に移動しながらそれぞれの呼びに応答するように乗りかご3の着床順序を定め、昇降駆動部6の巻上機10を駆動制御し、乗りかご3を目的の階床へと移動させる。これにより、エレベータ1は、乗りかご3が昇降路2内を鉛直方向上下に昇降移動し、任意の目的階の乗り場7に移動する。そして、エレベータ1は、乗りかご3が目的階の乗り場7に着床し、所定の着床位置に着床したことが検出されると、その後、制御盤8が乗りかご3の扉を開放する。これにより、乗り場7で待機している利用者は、乗りかご3内に乗り込むことが可能となり、また、乗りかご3内の利用者は乗り場7に降りることが可能となる。
【0013】
ここで、巻上機10は、メインシーブ11、電動機13等に加えて、各部の回転部材(回転軸)を回転可能に支持する軸受け(ベアリング)や回転部材の回転を制動可能な制動装置等を含んで構成される。そして、巻上機10は、典型的には、図2に示すように、昇降路2の上部など、比較的に高所の機械室9に設置される。巻上機10は、機械室9内においてマシンベット16、複数のマシンビーム17、18、据付部材としての防振装置19、21等を介して、機械室9内の床に設けられた基礎部20上に据え付けられる。
【0014】
マシンベット16は、巻上機10を載置し、この巻上機10が据え付けられるものである。マシンビーム17、18は、マシンベット16等を介して巻上機10を支持する梁状の構造部材である。マシンビーム18は、鉛直方向上側にマシンビーム17を支持し、マシンビーム17は、防振装置21を介して鉛直方向上側にマシンベット16を支持する。ここでは、マシンビーム17、18は、2段で組み上げられているが、1段でもよいし、3段以上であってもよい。防振装置19は、マシンビーム18と基礎部20との間に介在し、防振装置21は、マシンベット16とマシンビーム17との間に介在する。防振装置19、21は、それぞれ振動の発生、伝達を抑制する装置である。メインロープ5は、電動機13(図1参照)に連結されたメインシーブ11(図1参照)に巻き掛けられ、一方の端部側が昇降路2内に引き落とされ、他方の端部側がマシンビーム17の側部に設けられたソラセシーブ12を通して昇降路2内に引き落とされている。
【0015】
そして、本実施形態では、図3に示すように、巻上機10を保管する際に、巻上機10をソラセシーブ12等と共に養生体23で内包して巻上機組立体22とすることで、巻上機10の長期保管を可能としている。
【0016】
具体的には、巻上機組立体22は、図3に示すように、巻上機10(メインシーブ11等も含む。)と、ソラセシーブ12と、養生体23とを備える。さらにここでは、巻上機組立体22は、巻上機10、ソラセシーブ12、養生体23と共に、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21等を含んで構成される。
【0017】
巻上機組立体22は、これら巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21が、気密性を有する養生体23内に一式内包される。
【0018】
養生体23は、気密性を有し巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21を内包して内部と外部とを遮断し密閉するものである。
【0019】
本実施形態の養生体23は、養生シート24を含んで構成される。養生シート24は、気密性を有する袋状の防水シート等によって構成される。養生シート24は、巻上機10を含め、組み上げられた巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21の全体の鉛直方向上側、鉛直方向下側、及び、側面をまとめて覆う形状、大きさに形成される。
【0020】
養生体23は、図4に示すように、開閉可能な開閉部25を有する。本実施形態の養生体23は、養生シート24に開閉部25として気密ファスナ26が設けられる。気密ファスナ26は、養生シート24の3面にわたって形成されている。気密ファスナ26は、養生シート24の鉛直方向上面、鉛直方向上面と隣接する2つの側面に渡って連続して形成される。養生シート24は、作業員等によって気密ファスナ26が開閉されることで、この気密ファスナ26にて左右に開閉可能である。
【0021】
養生体23は、一部がマシンビーム18に取り付けられる据付部材としての防振装置19と、マシンビーム18との間に挟み込まれる。ここでは、養生シート24は、図5に示すように、複数の孔27が形成されている。複数の孔27は、マシンビーム18、防振装置19にそれぞれ形成される孔28、29と対応する位置、数で形成される。
【0022】
巻上機組立体22は、養生シート24の一部がマシンビーム18と防振装置19とに挟み込まれた状態で、ボルトが孔27、28、29に挿入されナットと螺合することで、マシンビーム18と防振装置19とが締結される。
【0023】
また、巻上機組立体22は、養生体23の内部に設けられる吸湿剤30(図3参照)を備える。吸湿剤30は、例えば、シリカゲル等の種々の吸湿剤によって構成される。
【0024】
上記のように構成される巻上機組立体22は、例えば、巻上機10の長期不動期間対策として、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21がユニット化された状態で、これらが養生体23内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生される。本実施形態の巻上機組立体22は、養生体23をなす養生シート24の一部が防振装置19とマシンビーム18との間に挟み込まれて組み立てられることで、確実に養生体23内部の密閉性を確保することができる。
【0025】
この結果、巻上機組立体22は、例えば、エレベータ1の据付時等に、巻上機10が未完成の機械室9に据え付けられた後、高所で長期間露天にさらされるような場合であっても、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。すなわち、巻上機組立体22は、巻上機10が高所で長期間露天にさらされるような場合に、降雨等による鉛直方向上側からの被水だけでなく、例えば、鉛直方向下側からの雨の吹き上げによる被水に対しても、養生体23が内部と外部とを確実に遮断し巻上機10等を内包している内部空間の密閉性を保持することができる。
【0026】
これにより、巻上機組立体22は、長期間に渡って動かさずに置いておいても、外部環境が巻上機10等を内包している内部空間に与える影響を抑制することができる。よって、巻上機組立体22は、例えば、巻上機10内部の軸受け(ベアリング)等への水分の付着による錆や電動機13の巻き線部への水分の付着による絶縁不良、水分を含んだ外気にこれらが長期間に渡って直接さらされることによる性能劣化等が発生することを抑制することができる。またさらに、巻上機組立体22は、巻上機10等の各部への粉塵の付着等も抑制することができる。したがって、巻上機組立体22は、例えば、軸受けの異常振動や巻き線部の絶縁不良等の不具合を確実に抑制して、巻上機10の引渡し品質を適正に確保することができる。
【0027】
また、巻上機組立体22は、養生体23の内部に吸湿剤30が設けられることから、養生シート24の内部の湿度を抑制することができ、例えば、高所設置による多湿状態から巻上機10を保護することができ、巻上機10等の各部に錆、絶縁不良、性能劣化等が発生することを確実に抑制することができる。
【0028】
なお、吸湿剤30は、一定期間経つと交換の必要性が生じる。これに対して、本実施形態の巻上機組立体22は、養生シート24に開閉部25として気密ファスナ26が設けられることから、この気密ファスナ26を介して作業員が内部にアクセス可能とすることができる。この結果、巻上機組立体22は、吸湿剤30の交換時等の作業性を向上することができる。
【0029】
次に、図6のフローチャートを参照して、巻上機据付方法を説明する。この巻上機据付方法は、巻上機組立体22を製造する巻上機組立体製造方法、及び、巻上機10を養生する巻上機養生方法を含むものである。
【0030】
まず、作業員は、組立工程として、工場等の作業場にて、複数のマシンビーム17、18を組み上げて締結し、マシンビーム17上に防振装置21を介してマシンベット16を締結した後、マシンベット16上に巻上機10を据え付ける(ST1)。
【0031】
次に、作業員は、内包工程として、工場等の作業場にて、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21を、気密性を有する養生体23の養生シート24で内包する(ST2)。
【0032】
次に、作業員は、密閉工程として、マシンビーム18と、マシンビーム18に取り付けられる防振装置19との間に養生体23をなす養生シート24の一部を挟み込んでマシンビーム18と防振装置19とを締結し、養生体23の内部と外部とを遮断し密閉する(ST3)。
【0033】
上記で説明した内包工程(ST2)、密閉工程(ST3)は、巻上機10等を養生体23で内包し密閉して巻上機組立体22とする養生工程、巻上機養生方法、巻上機組立体製造方法に相当する。
【0034】
次に、作業員は、搬入工程として、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21、養生体23等を含んで構成される巻上機組立体22を一体のままで、工場からエレベータ1を据え付ける建物に搬入する(ST4)。
【0035】
次に、作業員は、揚重工程として、エレベータ1を据え付ける建物において、タワークレーン等の揚重装置を用いて昇降路2の上部の機械室9まで巻上機組立体22を揚重する(ST5)。
【0036】
次に、作業員は、据付工程として、機械室9内の据付位置、ここでは、機械室9内の基礎部20上に巻上機組立体22を据え付ける(ST6)。作業員は、この据付工程では、ボルト等を介して防振装置19を基礎部20に締結することで、巻上機組立体22全体を一体で基礎部20上に据え付ける。
【0037】
この時点では、機械室9の壁面や天井等が未完成である場合があるが、巻上機組立体22は、上記のように、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21がユニット化された状態で、これらが養生体23内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されていることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。
【0038】
そして、作業員は、例えば、機械室9の壁面や天井等が完成し、巻上機10を使用可能な状態とする場合に、取外工程として、養生体23を取り外す(ST7)。この場合、作業員は、養生シート24を、マシンビーム18と防振装置19との間に挟み込まれている部分を残して切り離して、ユニット化された巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21等から取り外すことで、マシンビーム18から上側の部分を再度吊り上げることなく、作業性よく容易に養生体23を取り外して開梱することができ、養生を解くことができる。そして、作業員は、残りの据え付け工事を行って、本実施形態の巻上機据付方法を終了する。
【0039】
したがって、本実施形態の巻上機据付方法を用いることによって、現場での作業量を削減した上で、巻上機10の長期不動期間対策として、巻上機10、ソラセシーブ12等を養生体23内に一式内包して養生することができ、巻上機10等の品質確保を比較的に容易に行うことができる。
【0040】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体22によれば、エレベータ1の昇降体としての乗りかご3及びカウンタウェイト4に連結されるメインロープ5を巻き上げ可能な巻上機10と、メインロープ5が巻き掛けられるソラセシーブ12と、気密性を有し巻上機10とソラセシーブ12とを内包して内部と外部とを遮断し密閉する養生体23とを備える。
【0041】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体製造方法によれば、エレベータ1の昇降体としての乗りかご3及びカウンタウェイト4に連結されるメインロープ5を巻き上げ可能な巻上機10と、メインロープ5が巻き掛けられるソラセシーブ12とを、気密性を有する養生体23で内包する工程(ST2)と、巻上機10を支持するマシンビーム18と、マシンビーム18に取り付けられる防振装置19との間に養生体23の一部を挟み込んでこの養生体23の内部と外部とを遮断し密閉する工程(ST3)とを含む。
【0042】
以上で説明した実施形態に係る巻上機養生方法によれば、エレベータ1の昇降体としての乗りかご3及びカウンタウェイト4に連結されるメインロープ5を巻き上げ可能な巻上機10と、メインロープ5が巻き掛けられるソラセシーブ12とを、気密性を有する養生体23で内包してこの養生体23の内部と外部とを遮断し密閉する。
【0043】
以上で説明した実施形態に係る巻上機据付方法によれば、エレベータ1の昇降体としての乗りかご3及びカウンタウェイト4に連結されるメインロープを巻き上げ可能な巻上機10と、メインロープ5が巻き掛けられるソラセシーブ12とを、気密性を有する養生体23で内包してこの養生体23の内部と外部とを遮断して密閉して巻上機組立体22とする養生工程(ST2、ST3)と、乗りかご3及びカウンタウェイト4が昇降可能な昇降路2の上部の機械室9まで巻上機組立体22を揚重する揚重工程(ST5)と、機械室9内の据付位置に巻上機組立体22を据え付ける据付工程(ST6)と、養生体23を取り外す取外工程(ST7)とを含む。
【0044】
したがって、巻上機組立体22、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、巻上機10、ソラセシーブ12等がユニット化された状態で、これらが養生体23内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。
【0045】
[実施形態2]
図7は、実施形態2に係る巻上機組立体を示す模式図、図8は、実施形態2に係る巻上機組立体のマシンビーム近傍の分解部分斜視図である。実施形態2に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、養生体の構成が実施形態1とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略する(以下で説明する実施形態でも同様である。)。
【0046】
本実施形態の巻上機組立体222は、図7に示すように、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21、吸湿剤30等と共に、養生体223を備える。
【0047】
本実施形態の養生体223は、養生シート224と、養生床231とを含んで構成される。養生シート224は、気密性を有する袋状の防水シート等によって構成される。養生シート224は、巻上機10を含め、組み上げられた巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21の全体の鉛直方向上側、及び、側面をまとめて覆う形状、大きさに形成される。
【0048】
一方、養生床231は、矩形状の鋼板等によって構成される。養生床231は、巻上機10の鉛直方向下側、ここでは、マシンビーム18の鉛直方向下側に設けられ、組み上げられた巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21の全体の鉛直方向下側をまとめて覆う形状、大きさに形成される。
【0049】
養生体223は、開閉可能な開閉部225を有する。本実施形態の養生体223は、養生シート224に気密ファスナ26(図4参照)が設けられておらず、これにかえて、養生床231に開閉部225として点検ハッチ232が設けられている。点検ハッチ232は、養生床231の一部に、所定の大きさ、例えば、450mm×50mm程度の矩形状に構成される。養生床231は、作業員等によって点検ハッチ232が開閉されることで、この点検ハッチ232にて開閉可能である。
【0050】
養生体223は、一部がマシンビーム18に取り付けられる据付部材としての防振装置19と、マシンビーム18との間に挟み込まれる。ここでは、養生床231は、図8に示すように、複数の孔227が形成されている。複数の孔227は、マシンビーム18、防振装置19にそれぞれ形成される孔28、29と対応する位置、数で形成される。
【0051】
巻上機組立体222は、養生床231の一部がマシンビーム18と防振装置19とに挟み込まれた状態で、ボルトが孔28、29、227に挿入されナットと螺合することで、マシンビーム18と防振装置19とが締結される。
【0052】
養生床231は、縁部を囲うように矩形状の枠状部233が設けられる。養生シート24は、一部が枠状部233と、この枠状部233に取り付けられる複数の押さ板234との間に挟み込まれる。枠状部233は、複数の孔235が設けられる。複数の孔235は、枠状部233に沿ってほぼ等間隔に複数設けられる。また、養生シート224は、端部近傍に複数の孔236が形成されている。複数の孔236は、枠状部233に形成される孔235と対応する位置、数で形成される。押さ板234は、棒状の鋼板にとって構成される。押さ板234は、複数、ここでは、枠状部233の各辺に対応して4本が設けられる(図8中では、そのうちの2本を図示している)。各押さ板234は、複数の孔237が設けられる。複数の孔237は、各押さ板234に沿ってほぼ等間隔に複数設けられる。複数の孔237は、枠状部233に形成される孔235、養生シート224に形成される孔236と対応する位置、数で形成される。
【0053】
巻上機組立体222は、養生シート224の一部が養生床231の枠状部233と各押さ板234とに挟み込まれた状態で、ボルトが孔235、236、237に挿入されナットと螺合することで、枠状部233と各押さ板234とが締結される。なお、巻上機組立体222は、例えば、さらに、枠状部233と各押さ板234との間にシール部材を設けても良いし、養生シート224の端部に密閉テープを設けてもよい。
【0054】
上記のように構成される巻上機組立体222は、養生体223をなす養生床231の一部が防振装置19とマシンビーム18との間に挟み込まれて組み立てられると共に、養生シート224の一部が養生床231の枠状部233と各押さ板234とに挟み込まれることで、確実に養生体223内部の密閉性を確保することができる。この結果、巻上機組立体222は、例えば、エレベータ1の据付時等に、巻上機10が未完成の機械室9に据え付けられた後、高所で長期間露天にさらされるような場合であっても、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の巻上機組立体222は、養生床231に開閉部225として点検ハッチ232が設けられることから、この点検ハッチ232を介して作業員が内部にアクセス可能とすることができる。この結果、巻上機組立体222は、吸湿剤30の交換時等の作業性を向上することができる。
【0056】
そして、本実施形態の巻上機据付方法(巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法)は、上記で説明した巻上機組立体222を適用して行われる。この場合は、作業員は、取外工程(ST7、図6参照)では、各押さ板234を外して養生シート224を取り外すと共に、マシンビーム18から上側の部分を一旦吊り上げてから、養生床231を取り外して、防振装置19を基礎部20に再度締結することとなる。
【0057】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体222、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法によれは、巻上機10、ソラセシーブ12等がユニット化された状態で、これらが養生体223内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。そして、本実施形態の養生体223は、巻上機10の鉛直方向下側に設けられ、開閉部225として点検ハッチ232が設けられた養生床231と、養生床231に設けられ巻上機10及びソラセシーブ12等を覆う養生シート224とを含んで構成される。この場合であっても、巻上機組立体222は、確実に養生体223内部の密閉性を確保することができる。
【0058】
[実施形態3]
図9は、実施形態3に係る巻上機組立体を示す模式図、図10は、実施形態3に係る養生体の取り外し後の巻上機を示す模式図である。実施形態3に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、養生床の構成が実施形態2とは異なる。
【0059】
本実施形態の巻上機組立体322は、図9に示すように、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21、吸湿剤30等と共に、養生体223を備える。養生体223は、養生シート224と、養生床331とを含んで構成される。
【0060】
養生床331は、矩形状の鋼板等によって構成される。養生床331は、巻上機10の鉛直方向下側、ここでは、マシンビーム18の鉛直方向下側に設けられ、組み上げられた巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21の全体の鉛直方向下側をまとめて覆う形状、大きさに形成される。
【0061】
そして、本実施形態の養生床331は、複数に分割可能である。ここでは、養生床331は、2つの端部床331a及び端部床331bと、本体床331cとに分割されて構成される。端部床331a及び端部床331bは、それぞれ図8で説明した複数の孔227が形成されている。また、端部床331a及び端部床331bは、それぞれ枠状部233の分割された一部が設けられる。本体床331cは、開閉部225として点検ハッチ232が設けられる。
【0062】
そして、養生床331は、本体床331cの幅方向両側にそれぞれ端部床331aと端部床331bとが配置される。養生床331は、端部床331aと本体床331cとが連結部331dにてボルト等を介して締結され、端部床331bと本体床331cとが連結部331eにてボルト等を介して締結され、全体が一体化されている。
【0063】
そして、巻上機組立体322は、一体化された養生床331の端部床331a、端部床331bがマシンビーム18と防振装置19とに挟み込まれた状態で、ボルトが孔28、29、227に挿入されナットと螺合することで、マシンビーム18と防振装置19とが締結される。また、巻上機組立体222は、養生シート224の一部が養生床331の枠状部233と各押さ板234とに挟み込まれた状態で、ボルトが孔235、236、237に挿入されナットと螺合することで、枠状部233と各押さ板234とが締結される。
【0064】
上記のように構成される巻上機組立体322は、養生体223をなす養生床331の一部が防振装置19とマシンビーム18との間に挟み込まれて組み立てられると共に、養生シート224の一部が養生床331の枠状部233と各押さ板234とに挟み込まれることで、確実に養生体223内部の密閉性を確保することができる。この結果、巻上機組立体322は、例えば、エレベータ1の据付時等に、巻上機10が未完成の機械室9に据え付けられた後、高所で長期間露天にさらされるような場合であっても、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態の巻上機組立体322は、養生床331に開閉部225として点検ハッチ232が設けられることから、この点検ハッチ232を介して作業員が内部にアクセス可能とすることができる。この結果、巻上機組立体222は、吸湿剤30の交換時等の作業性を向上することができる。
【0066】
そして、本実施形態の巻上機据付方法(巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法)は、上記で説明した巻上機組立体322を適用して行われる。この場合は、作業員は、取外工程(ST7、図6参照)では、各押さ板234を外して養生シート224を取り外すと共に、連結部331d、331eのボルト等を外して、端部床331aと本体床331cとの連結、端部床331bと本体床331cとの連結を解除して分解する。そして、作業員は、図10に示すように、マシンビーム18と防振装置19との間に挟み込まれている端部床331a、端部床331bを残して本体床331cを取り外すことで、マシンビーム18から上側の部分を再度吊り上げることなく、作業性よく容易に養生体223を取り外して開梱することができ、養生を解くことができる。
【0067】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体322、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法によれは、巻上機10、ソラセシーブ12等がユニット化された状態で、これらが養生体223内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。そして、本実施形態の養生体223は、巻上機10の鉛直方向下側に設けられ、開閉部225として点検ハッチ232が設けられた養生床331と、養生床331に設けられ巻上機10及びソラセシーブ12等を覆う養生シート224とを含んで構成され、養生床331は、複数に分割可能である。この場合、巻上機組立体322は、確実に養生体223内部の密閉性を確保することができると共に、作業性よく容易に養生体223を取り外して開梱することができ、巻上機10の不動期間終了後に巻上機10を使用可能な状態に復帰させやすくすることができる。
【0068】
[実施形態4]
図11は、実施形態4に係る巻上機組立体を示す模式図である。実施形態4に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、開閉部の構成が実施形態1とは異なる。
【0069】
本実施形態の巻上機組立体422は、図11に示すように、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21、吸湿剤30等と共に、養生体23を備える。
【0070】
本実施形態の養生体23は、養生シート424を含んで構成される。養生シート424は、気密性を有する袋状の防水シート等によって構成される。養生シート424は、巻上機10を含め、組み上げられた巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置21の全体の鉛直方向上側、鉛直方向下側、及び、側面をまとめて覆う形状、大きさに形成される。
【0071】
養生体23は、開閉可能な開閉部425を有する。本実施形態の養生体23は、養生シート424に開閉部425として気密ファスナ426が設けられる。気密ファスナ426は、養生シート424の側面の全周にわたって連続して形成される。典型的には、気密ファスナ426は、水平方向に沿って形成される。養生シート424は、作業員等によって気密ファスナ426が開閉されることで、この気密ファスナ426にて上下に開閉可能である。そしてさらに、この養生シート424は、気密ファスナ426にて上側シート424aと下側シート424bとに分割可能である。言い換えれば、この養生シート424は、袋状の上側シート424aの開口と、同じく袋状の下側シート424bの開口とを向かい合わせにし、上側シート424aの開口と下側シート424bの開口と気密ファスナ426にて接合することで構成される。下側シート424bは、図5で説明した孔27が設けられる。
【0072】
上記のように構成される巻上機組立体422は、養生体23をなす養生シート424の一部が防振装置19とマシンビーム18との間に挟み込まれて組み立てられることで、確実に養生体23内部の密閉性を確保することができる。この結果、巻上機組立体422は、例えば、エレベータ1の据付時等に、巻上機10が未完成の機械室9に据え付けられた後、高所で長期間露天にさらされるような場合であっても、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態の巻上機組立体422は、養生シート424に開閉部425として気密ファスナ426が設けられることから、この気密ファスナ426を介して作業員が内部にアクセス可能とすることができる。この結果、巻上機組立体422は、吸湿剤30の交換時等の作業性を向上することができる。
【0074】
そして、本実施形態の巻上機据付方法(巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法)は、上記で説明した巻上機組立体422を適用して行われる。この場合、本実施形態の巻上機組立体422は、養生シート424が気密ファスナ426にて上側シート424aと下側シート424bとに分割可能であることから、先に下側シート424bを防振装置19とマシンビーム18との間に挟み込んで組み立てた後に、気密ファスナ426を介して下側シート424bの開口に上側シート424aの開口を接合することで養生シート424を構成することができる。この結果、巻上機組立体422は、養生シート424を組み付ける際の作業性を向上することができ、例えば、組み付け時に養生シート424に損傷が生じることを抑制することができると共に、仮に上側シート424aが損傷した場合には、容易にこの上側シート424aを新規のものに交換することができる。また、巻上機組立体422は、上側シート424aを再利用することも可能である。
【0075】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体422、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法によれは、巻上機10、ソラセシーブ12等がユニット化された状態で、これらが養生体23内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。そして、本実施形態の養生体23は、開閉部425として気密ファスナ426が設けられ養生シート424を含んで構成され、気密ファスナ426は、水平方向に沿って形成され、養生シート424は、気密ファスナ426にて上側シート424aと下側シート424bとに分割可能である。この場合、巻上機組立体422は、確実に養生体23内部の密閉性を確保することができると共に、養生シート424を組み付ける際の作業性を向上することができる。
【0076】
[実施形態5]
図12は、実施形態5に係る巻上機組立体を示す模式図である。実施形態5に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、巻上機組立体が温度調節装置を備える点で実施形態3とは異なる。
【0077】
本実施形態の巻上機組立体522は、図12に示すように、巻上機10、ソラセシーブ12、マシンベット16、マシンビーム17、18、防振装置19、21、吸湿剤30,養生体223等と共に、温度調節装置としての電球538を備える。
【0078】
電球538は、養生体223の内部に設けられこの養生体223の内部の温度を調節するものである。電球538は、点灯状態とされることで発熱し、これにより、養生体223の密閉された内部空間の温度をほぼ一定に保持することができる。そして、本実施形態の巻上機据付方法(巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法)は、上記で説明した巻上機組立体522を適用して行われる。
【0079】
この結果、巻上機組立体522は、養生体223の内部に電球538が設けられることで、養生体223の密閉された内部空間の温度をほぼ一定に保持することができることから、例えば、外部環境の変化に応じた寒暖差による結露の発生を抑制することができる。これにより、巻上機組立体522は、結露等から巻上機10を保護することができ、巻上機10等の各部に錆、絶縁不良、性能劣化等が発生することを確実に抑制することができる。
【0080】
以上で説明した実施形態に係る巻上機組立体522、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法によれは、巻上機10、ソラセシーブ12等がユニット化された状態で、これらが養生体223内に一式内包され外気と遮断され密閉され養生されることから、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができる。そして、本実施形態の巻上機組立体522は、養生体223の内部に設けられ内部の温度を調節する電球538を備える。この場合、巻上機組立体522は、確実に養生体223内部の密閉性を確保することができると共に、結露の発生を抑制することもでき、巻上機10等の各部に錆、絶縁不良、性能劣化等が発生することをより確実に抑制することができる。
【0081】
なお、上述した実施形態に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本実施形態に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。
【0082】
以上で説明した巻上機組立体は、長期不動期間対策としてだけではなく、例えば、輸送時対策として適用されてもよい。この場合、巻上機組立体は、輸送等における外部環境の変化に対しても、長期間に渡って巻上機10を保護することができ、巻上機10の性能劣化を抑制することができ、巻上機10の引渡し品質を確保することができる。
【0083】
以上で説明した温度調節装置は、電球538であるものとして説明したが、これに限らず、例えば、ヒータ等の発熱体であってもよい。
【0084】
以上で説明した実施形態、変形例に係る巻上機組立体、巻上機組立体製造方法、巻上機養生方法及び巻上機据付方法によれば、長期間に渡って巻上機を保護することができ、巻上機の性能劣化を抑制することができる。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0086】
1 エレベータ
2 昇降路
3 乗りかご(昇降体)
4 カウンタウェイト(昇降体)
5 メインロープ(ロープ)
9 機械室
10 巻上機
11 メインシーブ
12 ソラセシーブ
13 電動機
16 マシンベット
17、18 マシンビーム
19 防振装置(据付部材)
20 基礎部
21 防振装置
22、222、322、422、522 巻上機組立体
23、223 養生体
24、224、424 養生シート
25、225、425 開閉部
26、426 気密ファスナ
30 吸湿剤
231、331 養生床
232 点検ハッチ(ハッチ)
233 枠状部
234 押え板
331a、331b 端部床
331c 本体床
331d、331e 連結部
424a 上側シート
424b 下側シート
538 電球(温度調節装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能な巻上機と、
前記ロープが巻き掛けられるソラセシーブと、
気密性を有し前記巻上機と前記ソラセシーブとを内包して内部と外部とを遮断し密閉する養生体とを備えることを特徴とする、
巻上機組立体。
【請求項2】
前記巻上機を支持するマシンビームと、
前記マシンビームに取り付けられ、当該マシンビームとの間に前記養生体の一部を挟み込む据付部材とを備える、
請求項1に記載の巻上機組立体。
【請求項3】
前記養生体の内部に設けられる吸湿剤を備える、
請求項1又は請求項2に記載の巻上機組立体。
【請求項4】
前記養生体は、開閉可能な開閉部を有する、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の巻上機組立体。
【請求項5】
前記養生体は、前記開閉部として気密ファスナが設けられ前記巻上機及び前記ソラセシーブを覆う養生シートを含んで構成される、
請求項4に記載の巻上機組立体。
【請求項6】
前記気密ファスナは、水平方向に沿って形成され、
前記養生シートは、前記気密ファスナにて上側シートと下側シートとに分割可能である、
請求項5に記載の巻上機組立体。
【請求項7】
前記養生体は、前記巻上機の鉛直方向下側に設けられ前記開閉部としてハッチが設けられた養生床と、前記養生床に設けられ前記巻上機及び前記ソラセシーブを覆う養生シートとを含んで構成される、
請求項4に記載の巻上機組立体。
【請求項8】
前記養生床は、複数に分割可能である、
請求項7に記載の巻上機組立体。
【請求項9】
前記養生体の内部に設けられ当該内部の温度を調節する温度調節装置を備える、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の巻上機組立体。
【請求項10】
前記昇降体が昇降可能な昇降路の上部に設けられる、
請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の巻上機組立体。
【請求項11】
エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能な巻上機と、前記ロープが巻き掛けられるソラセシーブとを、気密性を有する養生体で内包する工程と、
前記巻上機を支持するマシンビームと、前記マシンビームに取り付けられる据付部材との間に前記養生体の一部を挟み込んで当該養生体の内部と外部とを遮断し密閉する工程とを含むことを特徴とする、
巻上機組立体製造方法。
【請求項12】
エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能な巻上機と、前記ロープが巻き掛けられるソラセシーブとを、気密性を有する養生体で内包して当該養生体の内部と外部とを遮断し密閉することを特徴とする、
巻上機養生方法。
【請求項13】
エレベータの昇降体に連結されるロープを巻き上げ可能な巻上機と、前記ロープが巻き掛けられるソラセシーブとを、気密性を有する養生体で内包して当該養生体の内部と外部とを遮断して密閉して巻上機組立体とする養生工程と、
前記昇降体が昇降可能な昇降路の上部の機械室まで前記巻上機組立体を揚重する揚重工程と、
前記機械室内の据付位置に前記巻上機組立体を据え付ける据付工程と、
前記養生体を取り外す取外工程とを含むことを特徴とする、
巻上機据付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−246101(P2012−246101A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119510(P2011−119510)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】